第147回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーW サイクロンジョーカー(真骨彫)」
2017年1月4日 更新
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フィギュアーツ真骨彫シリーズ第八弾は、待望のハーフボイルドヒーロー!
遡る事、約六年と八ヶ月前。
お世辞にも期待通りとは言い難かった旧版が発売されてからというもの、ファンは本当に長い“我慢”を強いられて来ました。
しかし、我慢の甲斐があって、ようやく納得の出来るサイクロンジョーカーが発売されました!
価格は約2.5倍に膨れ上がってしまいましたが、このご時世と、完成度・満足度を考慮すれば、当然の結果かと。
というわけで、またまた出し遅れとなってしまいましたが、レビューしてみたいと思います。
S.H.フィギュアーツ 真骨彫製法 仮面ライダーW サイクロンジョーカー
2016年10月22日発売。
2016年10月のラインナップは、以下の通り。
- 10/14「スーパーサイヤ人ベジータ(ドラゴンボール)」「ボディくん(Solid black Color Ver.)」「ボディちゃん(Solid black Color Ver.)」
- 10/15 「仮面ライダー1号(仮面ライダー45周年記念映画『仮面ライダー1号』)」
- 10/21 「クローン・トルーパー フェイズ2(STAR WARS)」「バトル・ドロイド ジオノーシスカラー(STAR WARS)」
- 10/22 「ゼットン(ウルトラマン)」「トニー・スターク(IRONMAN)」
- 10/18(配送開始日)「仮面ライダーゼロドライブ (仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス)」(すべて魂ウェブ限定)
- 10/25(配送開始日)「特警フルパッケージオプションセット(特警ウインスペクター)」「ラファエロ(Teenage Mutant Ninja Turtles)」「うちはサスケ〜イタチ戦(NARUTO)」「銭形警部(ルパン三世)」「真骨彫・仮面ライダーガタック ライダーフォーム【2016年10月発送分】」(すべて魂ウェブ限定)
全高は約14.8センチ(頭頂部まで)。
手首6種12個付属。
サイクロンメモリ付属。
ジョーカーメモリ付属。
ウィンディ・スタビライザー(小)付属。
ウィンディ・スタビライザー(大)付属。
価格は6,480円(税込)。
さて、街の涙を拭う二色のハンカチ・仮面ライダーWです。
真骨彫第八弾ということで、前回レビューした「仮面ライダーディケイド(第五弾)」との間に、いきなり二体も入り込んでしまいましたが、その内訳は「仮面ライダークウガ・ライジングマイティフォーム」「同・アルティメットフォーム」となります。
ちなみに、「仮面ライダーガタック」は本商品の発売三日後の配送なので、ほぼ同時発売ではありますが、実質的に第九弾となります。
このうち、ライジングマイティ以外は全て魂WEB商店の限定版で、とうとう真骨彫もWEB限定化なのかと、感慨深いものがあります。
2016年12月現在、この後に「仮面ライダーダークカブト」がイベント限定販売、WEB限定では「仮面ライダークウガ・アメイジングマイティ」「ン・ダグバ・ゼバ」が確定及び配送済みとなっています。
本商品の情報公開は、2016年4月19日。
しかしこれは、バンダイのミスで発覚したという、所謂事故による情報漏えいでした。
この日「バンダイ公式チャンネル」が、当時まだ全く前情報がなかった本商品の動画を、情報解禁前にうっかりアップロードしてしまったのです。
さすがに動画は即取り下げられたようですが、動画アップの告知情報が掲載されたままだったため、真骨彫の次弾はWで確定と知れ渡ってしまったという顛末。
ちなみにこの日は、「S.H.フィギュアーツ キュアビート」の到着日でもあり、また同時に「仮面ライダー1号」のフィギュアーツ化情報の公開もあったため、新商品情報が盛り沢山となり、ネット上はとても盛り上がっていました。
結局、本商品の正式リリース情報が出たのは、一ヵ月後の5月19日。
フライングにも程がある展開でしたが、早く情報が知れたこともあり、ファンとしては嬉しい事態となりました。
尚、今回は「真骨彫クウガ」以来の過酷な予約争奪戦となり、まさに瞬殺という状況が乱発しました。
予約開始日は、ネット通販有名店はほんの1〜2分足らずで終了、予約再開があった所でも状況は変わらずといった有様。
その後、割引率の大小問わずマイナー店舗含めて在庫枯渇な状況が続き、これはとうとう発売日まで変わることはありませんでした。
その割に、イオンショップなど玩具以外がメインの通販ショップでは、結構長い間受付が行われていたりして(実は筆者もこれで助けられました)、なんか微笑ましい感じでした。
争奪戦が展開したクウガは、その後すぐ再販の告知があり、またバリエーション展開も行われましたが、Wについてはまだ何もアナウンスがありません。
果たして、この後どうなっていくのでしょうか?
それでは、早速商品の方を見てまいります。
まずは、前後比較。
非常にマッシブで張りのある身体つきとなり、今までの真骨彫の中でも特に“中に人が入ってる感”が強まっています。
W独特の、全体的に丸みを帯びた身体の特徴が上手く表現されていて、どこかロボットっぽかった旧版とは違った存在感を覚えさせます。
ただ胸部の肉付きが良いせいで、上腕が干渉して両腕をまっすぐ真下に揃えることは出来ません。
マフラーがない状態の背面は、こんな感じです。
旧版フィギュアーツと比較してみます。
……と言いたいところなのですが、実は旧サイクロンジョーカーが行方不明になってしまったため、やむなく(同型の)「仮面ライダージョーカー」を引っ張り出して来ました。
角ばった印象が強く、オリジナルの独特の丸みが全く感じられないボディが、比較により際立ってしまっています。
ディケイドや「仮面ライダーBLACK RX」の時にも書きましたが、旧アーツは、本当に“仮面ライダー型ロボ”を作っていたかのような気にさせられます。
それでも、当時としてはかなり改善された体型だったんですけどねぇ。
さすがに全く挙げないのもアレなので、旧版レビューから画像をピックアップしてみました。
形状の違いを除くと、右半身のグリーン彩色部分の違いもかなり目立ちます。
旧版のサイクロンカラーも確かに綺麗ではあったのですが、正直テカテカ過ぎてメタリック感よりも艶感の方が強く、あまり劇中の色と似ていませんでした。
頭部側面比較。
旧版最大の問題点だったツノ角度も、今回の商品化で改められています。
それにしても、こうして見るとツノ以外の部分も全く違ってるのが本当に良く判ります。
一体何処に目をつけてやがるのか立体化に対する解釈の違いがはっきりと判って、非常に興味深いものがあります。
頭部以外にも、肩アーマーやブレスレット、腕の形状など、細かな部分も相当な違いが見受けられます。
本商品のサイクロンカラーですが、パッと見、こちらも劇中とはイメージが異なります。
というか、むしろ妙に玩具っぽい彩色で、実際にはメタリックグリーン彩色にも関わらず、まるで成形色のように見えることもあります。
真骨彫なのに、これはどういう事? とも思える判断なのですが、実は撮影用スーツも、光の加減や撮影場所によって色が違って見えることが多々ありました。
実際、本商品も太陽光下ではまた違った色味に感じられ、一概に問題点とは言い難い気がしますが、その辺りの評価はユーザー次第だと考えます。
ジョーカーサイド(左側)。
旧版は、頭部以外成形色まんまの艶がある黒で、また頭部にしても艶消し具合がやや弱く、ぶっちゃけ相当な違和感がありました。
しかし、今回は全体が艶消しになり、しっとりしたいい雰囲気が出ています。
旧版アーツWシリーズで、ジョーカーサイドが艶消しになるのは「仮面ライダージョーカー」まで待たなくてはなりませんでした。
そのため、サイクロン・ヒート・ルナセットも、「サイクロンサイクロン&ジョーカージョーカーセット」も、皆艶のあるジョーカーで我慢する必要がありました。
真骨彫で、バリエーション展開してくんないかなあ。
破産しそうだけど……
頭部アップ。
ともすれば可愛らしくも見える、独特のお団子型の輪郭と、上手い表現が難しい楕円形の複眼が、見事に再現されています。
複眼の一部が、セントラルパーティションに食い込んでいる点も、ぬかりありません。
今回のWは、実はツノが取り外し可能です。
未接着なので、ツノの根元付近の太い部分を指で摘み、先端を折らないように注意しながらコキコキ揺らすように引いていくと、スポッと取れます。
本来、外す必要性なんか全くないんですが、何かの都合で頭部を外す際や、ベルトを他のキャラに付け替えようと思って胴体を分ける時には、予めツノを外しておくのが良いかと思われます。
ただし、一度取り外したら二度目から外しやすくなる……ということはないので、毎回慎重にやらなくてはなりません。
頭部の可動は、このくらいの範囲で可能。
後述する、新ハードボイルダーに乗せる都合もあってか、顎が良く上がる仕様になっています。
下向きもかなり行けるので、自分のベルトや足下を見るような仕草も可能です。
ウィンディ・スタビライザー(マフラー)。
今回は、風になびいているような形状の物が付属します。
旧版は、根元がマフラーと一体式のボールジョイントで、基部が細い為ねじ切れる事がよくありましたが、今回は根元が別のジョイントになっているため、そういった恐れは一切なくなりました。
加えて、マフラーがとても軽いため、結構な大きさがあるにも関わらず、バランスが狂うこともありません。
あえて惜しい点を挙げるとするなら、真っ直ぐ垂れた状態のマフラーがない事でしょうか。
旧版ではサイクロンセットに付属していた巨大マフラーが、今回デフォで付属します。
しかも、これだけ大きいにも関わらず、やはり自立の障害にならないという軽さ!
実に素晴らしいものがあります。
旧版はほぼ全部PVC製な上、根元がジョイントと襟部分の二箇所保持だったため、一切角度が変えられないという難点がありましたが、今回は自由に角度を付けられる(根元で捻るのも可)ので、OPイントロの風になびく長マフラー再現も、余裕でクリアです。
両肩の可動は、真横に目測130度くらいまで上げられます。
また肩アーマーが昨今のような上腕基部付近に付いているので、腕を上げた際に若干浮くような(実際の映像のような)効果も出ています。
肩アーマーは、本体肩部にあるジョイントに接続されていますが、ジョイント自体が可動する方式のため、非常に自由度が高くなっています。
反面、下手な動かし方をすると肩アーマーが外れてすっ飛んでいく上、再接続が非常に難儀なので、動かす時は細心の注意を払った方が賢明です。
尚、肩アーマーが外れる場合、たいがい肩のジョイントも持って行ってしまうので、再接続する時は一旦肩アーマーからジョイントを取り外し、先に肩部にジョイントを取り付けてからアーマーを接続した方が楽です。
ジョイントを肩アーマーに付けたまま接続しようとすると、なかなか上手くいかずイライラしてしまいがちです。
ブレスレットですが、今回は旧版と違い前腕部とくっ付いている(一体パーツではない)ため、手首交換時に痛い思いをすることはなくなりました。
ちなみに、アンクレット(足首のリング)も同様です。
今回ようやく、正しい形状の「さぁ、お前の罪を数えろ」手首が付属しました。
親指もちゃんと立っていて握りきっていない中指以降の指もきっちり表情が付けられています。
勿論、右手首もあります。
他にも、ガイアメモリを持つための手首も左右付属します。
ただ持っているだけではなく、微妙に人差し指が浮いていて、ガイアメモリのスイッチを押す寸前のような形になっているのが実にニクイ。
今回は、肘関節は左右でちゃんと色が違っています。
旧版のように、左右共に黒ということはなく、また成形色ママでもないので、違和感は殆ど感じられません。
胸部は、胸板が可動します。
「仮面ライダーアマゾン」や「ライダーマン」ほど大きくは動きませんが、可動というより回転する感じです。
でも、正直このギミックはあってもなくても変わらないという印象で、可動に対して影響を及ぼすことは殆どありません。
「真骨彫・仮面ライダーカブト」のは、まだ役に立つこともあったのですが。
今回は胸部と腹部の境の可動範囲がそこそこ広く、前屈がやりやすくなっています。
しかし、腹部と腰部の境はあまり可動せず(若干はします)、また後方へののけぞりは殆ど出来ません。
これは、2017年4月配送予定の「(新)マシンハードボイルダー」搭乗を前提とした可動かと思われますが、最近のでここまでのけぞれないのも珍しいという印象です。
今回の目玉の一つ・ダブルドライバー。
はっきり言って、旧版とは完全な別物になっています。
左右展開可能、しかもガイアメモリの抜き差しまで出来てしまうという優れもので、加えてマキシマムスロットにガイアメモリを差し込む事まで出来てしまいます。
当然、この大きさでそれをこなす以上、ガイアメモリは必然的に極小サイズとなり、紛失超注意となります。
これまでのフィギュアーツのベルト(バックル)は、全体が取り外し可能でしたが、今回のみ構造が異なります。
ガイアメモリを差し込む左右のスロット部と、中央部分が別パーツとなっており、合計3パーツ構成(※バックルのみ)となっています。
このため、バックル部分を取り外して他の1/12フィギュアに持たせ、携帯状態のダブルドライバーを再現……という遊びは出来なくなってしまいます。
反面、左側のスロットだけを取り外すことで、仮面ライダースカルやエターナル、ジョーカー用の「ロストドライバー」をナンチャッテ再現出来たりします。
尚、バックルの中央部はベルトから外れません。
ダブルドライバーは、閉じることも出来ます。
マキシマムスロットは、旧版と違い、ガイアメモリ挿入可能です。
ただし変わらず緩めなので、気を抜くとすぐ落下しますので注意必要。
付属のガイアメモリ。
サイクロンメモリとジョーカーメモリで、大きさはそれぞれ2.3?mm×9mm程度で、クリア成形。
厚みはだいたい1mm強で、こんな極小サイズにも関わらず、細かいプリントやモールドがしっかり施されています。
端子部分の色の違いにも注目です。
先の通り、ガイアメモリは小さくてかつ薄いため、各スロットにそのまま挿入するとあっさり抜け落ちてしまいます。
かといって、きつくすると今度は取り外すために毛抜きやピンセット等の道具が必要になってしまいます。
筆者は、ガイアメモリの裏側に「テープのり」を若干付けていますが、これなら落下の心配なく装着していられます。
ただし、取り外す際は先が平たい毛抜きを必要とするため、気軽に交換というわけには行かなくなってしまいました。
股関節は、旧版と違い引き出し関節ではありません。
所謂パンツスタイルですが、段差や隙間がそんなに気にならない工夫が施されていて、全体のラインを乱していません。
脚の付け根と太股の境界線に、回転ロール軸があります。
脚部の前後展開は、これくらいになります。
「真骨彫・仮面ライダー響鬼」のように、モールドを活かした可動部となっているので、大きく脚を開いてもさほど違和感は出ないようになっています(さすがに響鬼の方が自然ですが)。
脚を前に出した状態を後ろから。
こんな感じになります。
脚は、横方向にここまで広がります。
この辺はどの真骨彫も凄いものですね。
しかし、両脚を揃えると、若干ではありますが脚が広がってしまいます。
ジョーカーエクストリーム発動直前状態を再現するのは、ちょっとつらい?
あ〜でも、本来なら左右分断するんだから、脚が閉じようが開こうが関係ないのか!
膝関節も、当然左右で異なります。
しかも、通常は隠れてしまう部分にまで、しっかり塗装が施されています。
大きく曲げても色味の差は生じず、実に自然な外観となります。
それでは最後に、適当なポージングなど色々。
以上、真骨彫・仮面ライダーWサイクロンジョーカーでした。
仮面ライダーW真骨彫版のバリエーション展開は、2016年12月現在まだ全くアナウンスがありませんが、代わりに(?)「ハードボイルダー(新規造型Ver.)」が魂WEB商店限定で発売されます。
残念ながら既に締め切られていますが、配送予定は2017年4月。
こちらも、合わせて飾ってみたいものですね。
【買ってみて一言】
真骨彫シリーズの名に恥じず、非常に素晴らしい出来です。
問題点も殆ど粗探しに近い感じでしか挙げられず、せいぜいガイアメモリのスッポ抜け易さくらいしか思い当たりません。
是非ともこのまま、基本9フォーム制覇を目指してもらいたいものですが、仮に叶ったにしても、ある意味気が遠くなりそうですね……
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