第58回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ 魂フェス会場限定販売「仮面ライダージョーカー」
2010年8月8日 更新
イベント終了前に速攻レビューアップです。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダージョーカー
2010年8月7日〜8日まで、秋葉原UDXで開催された「魂FES」にて会場限定販売。
ただし、2010年9月3日より魂ウェブ上で受注販売受付中。
同時販売物は「ROBOT魂 エヴァンゲリオン初号機(ナイトコンバットVer.)」と「聖闘士聖衣神話 フェニックス一輝 (最終青銅聖衣)〜ORIGINAL
COLOR EDITION〜」。
尚、イベント初日は「劇場版・仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」の公開日でもあった。
全高は約14.5センチ(ツノ含まず)。
合計4種8個の手首付き。
専用台座付き。
価格は税込3,000円。
仮面ライダージョーカー。
劇場版「仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ」に登場。
またTV版でも、最終回で登場した。
新世代のT2ガイアメモリ“ジョーカー”と、ロストドライバーを使用して、左翔太郎がフィリップの助力なしの単独で変身した姿。
相棒のフィリップが関わっていない上、普段使用している6本のガイアメモリが能力を抑え込まれているため、普段変身しているWと異なりフォームチェンジや武器の使用、加えてフィリップのサポート等が一切ない。
その結果、平成シリーズの中でも珍しく、武器や特殊能力に頼らない純粋に肉体のみで闘う仮面ライダーとなっている。
設定上はWの半分程度の性能しかないが、格闘技能力に特化しているためスペック以上の性能を発揮するケースもある。
不死身の傭兵テロリスト集団「NEVER」のリーダー・大道克己と、その母であり「死亡確定固体復環術」の開発者である美樹ことマリア・S・クランベリーは、風都タワーに組み込んだ「エクスビッカー」を用い、風都の住人を全て克己達と同じネクロオーバーに変えてしまおうと企む。
だがそのためには、風都に散らばった全26本のT2ガイアメモリと、それらを作動させる際の補助装置的役割を担うフィリップが必要だった。
マリアに母親の面影を重ね冷静さを失ったフィリップは、彼女の罠にまんまとかかってしまい、克己の手により拘束されてエクスビッカーの回路に接続されてしまう。
一方、克己が変身する「仮面ライダーエターナル」のマキシマムドライブにより、全ての旧世代ガイアメモリは力を永久無効化されていたため、照井竜と左翔太郎は一切の対抗策を失っていた。
だが仮面ライダースカルが翔太郎の前に突如現れ、自らの持つロストドライバーを与え、姿を消す。
変身を解いて消え行く鳴海壮吉の後ろ姿に呼びかけようとする翔太郎の前に、「NEVER」の一員でありヒートドーパントでもある羽原レイカが刺客として現れる。
彼女の言葉よりフィリップの行方を知った翔太郎は、猛攻の中、事務所内に落ちていたT2ジョーカーメモリを発見する。
いまだ回収されていなかった最後の一本であり、「NEVER」が賞金10億を掲げてまで探索していたガイアメモリは、偶然にも翔太郎の手元に届いていたのだ。
「どうやら、切り札は常に俺のところに来るようだぜ…!」
ロストドライバーとT2ジョーカーメモリで変身した翔太郎は、変身したレイカにマキシマムドライブ「ライダーキック」を決め撃破。
その後、エンジンブレードしか装備がない照井と共に風都タワーに突入した翔太郎は、再び変身してメタルドーパントをMD「ライダーパンチ」で撃退。
ボロボロの状態でフィリップの許に辿り着いたジョーカーの前に、克己が立ち塞がる――
TV版では、フィリップ亡き後翔太郎が単独で戦い続ける姿として登場し、なおも風都にはびこるドーパント(ガイアメモリ所持者)らを相手に孤軍奮闘する。
翔太郎は、実質一年間この姿で闘い続けたことになるようだが――
仮面ライダージョーカーです。
リデコ(というよりリペ?)の劇場版限定仮面ライダーということもあり、てっきり魂WEB受注オンリーだと予想されていましたが、意外にもイベント先行発売という登場になりました。
しかも、これ以上ないほどのタイムリーなタイミングで。
今回も、基本構造は既出の「仮面ライダーW」シリーズと同様のため、可動範囲や共通のギミックについてはオミットします。
前面・背面比較。
真っ黒、とにかく真っ黒です。
「仮面ライダーBLACK」も黒いライダーでしたが、ここまで徹底的に黒いのは凄いものがあります。
「仮面ライダーW」との外観上の相違点は、
- 全身がつや消しブラック塗装になっている
- セントラルパーティション(中心の銀色ライン)がない
- 右半身にもジョーカーのモールドパーツが存在する
- ベルトがダブルドライバーではなく、ロストドライバー
というものです。
ただしセントラルパーティションはモールド自体は存在するため、塗装すれば復活させることが可能です。
――何の意味があるかはともかく。
また、右半身胸部やブレス、アンクレットの模様は、これより以前に発表されている「仮面ライダーWサイクロンサイクロン&ジョーカージョーカーセット」のジョーカージョーカーと同じものなので、本商品オリジナルのパーツというわけではないようです。
翔太郎を演じる桐山漣氏は、今回オリジナルの変身ポーズを考案したそうですが、氏が大好きだという「仮面ライダーBLACK」のオマージュを感じるものになっていました。
さすが、Wのオーディションに受かった瞬間、喜びのあまり大泣きしたという逸話を持つ漢。
そういう背景が滲み出てくるようで、物凄く魅力的に思えます。
顔アップ。
造形自体はWシリーズと全く同じため、ツノや複眼の形状、顔の面積比率などは全く同じです。
言い換えれば、問題点もそのまま継承しているといえます。
首の向きが変なままだけどご容赦。
セントラルパーティションがなくなっただけなのに、形状が同じにも関わらず随分印象が変化しています。
というか、銀色の中心線が思ったよりも引き締め効果を発揮していた事を再認識させられます。
これにより、ツノのバランスの悪さと目の小ささが余計引き立つ形となったのは、皮肉以外の何物でもないでしょう。
シンメトリカルな形状が、逆に良い意味の違和感を引き立てるボディデザイン。
この一年で、いかにアンシンメトリカルなWのデザインに慣れてしまったかを思い知らされます。
ロストドライバー。
形状は「仮面ライダースカル」の物とほぼ同じです。
バックル部だけでなく、ベルト全体がWとは違うものになっています。
(同じものだと、ジョイント形状の都合ロストドライバーが左側にズレるため)
スカルの時はやたら外れやすかったのですが、今回はかなりしっかり固定されています(取り外し自体は可)。
「仮面ライダースカル」との比較。
ボディはほとんど同じものなんですが、装飾品や頭部形状のせいか全くの別物に見えます。
その他、全身のフラット感が更に違いを引き立ててます。
こういう、些細な違いで大きく印象が変わるものって個人的に大好きです。
「仮面ライダーWサイクロンジョーカー」と比較。
「うがーっ」
メタルドーパントを倒したマキシマムドライブ「ライダーパンチ」。
それにしても、こんな時期にまさかこんなスタンダード過ぎるMDが登場するとは。
「ヒートセット」付属のバーニングパンチパーツがいい感じに映えますが、色はどうしようもないので色調補正。
嗚呼、左手側のバーパンが本当に欲しかったものです。
気が利かねぇなヒートセット!
ターゲットは、同時期撮影していたエクシードギルス。
続けて「ライダーキック」。
超低空の飛び蹴りという、これまたライダーキックの常識感を打ち破る面白い使われ方をしました。
ヒートドーパント撃退時に決めた、水面と並行に飛翔するシーンのかっこいいことったら!
こちらにも、無理矢理バーパン付けてそれっぽくしてみたり。
ちなみにこれは相当アレな接続をしているので、普通には再現不可(別に難しい加工を要するわけでもないですが)。
やっぱりジョーカーはムラサキだよねぇ。
近くでよく見ると炎の中に指の形が見えてしまうので、ある程度距離を離して見るか脳内補正が必要になるところがネックですか。
代用ターゲットは手近に転がっていた氷川さんで、特に意図はなく。
「サイクロンジョーカー」「ヒートジョーカー」「ルナジョーカー」とも揃い踏み。
「ファングジョーカー」は入り切りませんでした。
なんだよこの不気味な集団。
今回は専用台座が付属します。
渋いスモークブラッククリアに、ジョーカーのマーク。
早いうちにマーク部分にトップコート吹いておきたいものです。
タイプは、魂STAGE ACT-3と同じ。
台座面アップ。
ジョーカーのマークと名前がプリントされています。
本商品は、つり銭のやりとり問題を軽減する目的なのか、他のW系単独商品よりも価格が高めになっていますが、この台座が付加したことで実質的には割安になっているようです。
付属手首について。
まずはお約束「お前の罪を数えろ」手首。
劇中ではやってなかったですけどね。
変身時のドライバーを弾く手。
ジョーカーはW時と全く変身ポーズが違うため、このいつものポーズはないんですけど、手首はしっかり付属。
使い道が思い当たらないので、こんな風に使ってみたり。
普通の平手。
ジョーカーの手首はほとんどスカルや他ジョーカー系と同じ物に見えますが、実はすべて専用の別物です。
実は手首もつや消し処理されており、本体との落差がないように工夫されているのです。
これは、他の黒手首と比較してみないと気付かないかもしれません。
筆者も、撮影用のスカルを片づける時に初めて気付いたくらいでした。
こういう細かい気配りは嬉しいですね。
ジョーカー付属手首の内訳は、デフォの握り拳を含めて以上なのですが、肝心の持ち手が入っていません。
上の写真は「ヒートセット」に入っていた謎の武器持ち手A(シャフト保持用)ですが、これを流用しても右手はどうしようもありません。
ジョーカーは劇中でハードボイルダーを乗り回してる印象的なシーンがあるので、これを再現したいと思う人も多いと思うわけですが、これでは片手落ちでしょう。
また、これまで発売されたシリーズを振り返っても「黒い武器持ち右手」は存在せず、また「CCJJセット」にも付属しませんから、もうどうしようもありません。
とはいえ全く対策がないわけではありません。
ここで「仮面ライダースカル」の武器持ち手B(マグナム保持用)の存在意義が引き立ちます。
これを使えば、一応ハードボイルダーに搭乗させることは可能になります……が、スカルボイルダー搭乗スカルと同時に飾れなくなるのでは? という新たな懸念も発生したりとモニョモニョ。
とにかく、なんでもいいんでフィギュアーツには毎回武器持ち手を付けて欲しいと切に願います。
たとえそいつが武器持ちキャラでなくても、流用が利く物なら――
8月28日発売「SHF-EX マシンハードボイルダー」と共に。
TV版では搭乗シーンがとうとうありませんでしたが、劇場版での搭乗シーンは割と印象的でしたね。
スカルの武器持ち手を利用して、早速搭乗させてみます。
可動に癖があるためコツが必要ですが、うまく調整すれば改造なしでしっかり乗せられます。
スカルの手首はつや消し処理がありませんが、流用してもそんなに違和感は感じられません。
搭乗スタイルを左側から。
実際は右側からこっそり魂ステージで支えていまして、このままでは自立は不可能です。
真っ黒ライダーにはスカルボイルダーのような真っ黒バイクの方が似合うのかなとも思っていましたが、これはこれでなかなかです。
以上、追加撮影によるマシンハードボイルダーとの組み合わせ例でした。
パッケージはこんな感じ。
なかなか良いデザインですが、ライジングマイティ同様ウインドウパッケージではありません。
どうやらこれ、イベント会場での選別行為防止の意味もあるようですね。
「仮面ライダージョーカー」は、どちらかというと異端なライダーばかりが登場する作品内において逆にスタンダードなスタイルで出演するという、本来とは逆のスタンスが活きている存在だと筆者は思います。
玩具製品として見た場合独自性はほとんど見当たらず、また劇場版を見ていなければ思い入れ補正もかからないわけで、人によってはスルーまたは入手が遅延しても痛くないかもしれないものではあります。
ところが、劇場版での活躍ぶりはとんでもなく素晴らしいもので、観てしまったが最後多くのフィギュアーツファンは欲しがるようになるんじゃないでしょうか。
形状やギミックとは別に、ハーフボイルドな翔太郎が単独の力で突破口を開くという、“鳴海壮吉に一歩近づく”きっかけになった姿という意味で、また独特の魅力が含まれている点も大きいでしょう。
そういう見地で観ると、師が変身するスカルに近い「黒く光るボディ」というのも、なんだか深い意味が込められているような気もしてきます。
【買ってみて一言】
本来であれば商品としての新鮮味はあまり感じないところなんでしょうが、劇場版での見事な「切り札」っぷりが、限りなく購入意欲(または買って良かった感)を高めてくれるという、素晴らしいアイテムとなりました。
先述の通り、劇場版を観ているか否かでかなり思い入れが変わってしまう部分もあり、また劇場版限定ライダーとしては(本来なら)大きなマイナスである「主役ライダーとほとんど変わらない外観」というポイントもあるため、二の次に考えがちなファンも多いとは思います。
本商品は、それだけ「劇場版公開日と同時に発売された」影響が大きいということです。
かつて「仮面ライダーディケイド」でBLACKやRXが登場したのと同じ週に、フィギュアーツのRXが発売されるという奇跡的な偶然がありましたが、今回はそれ以上かもしれません。
最終局面を目前にして、少しだけ早く登場した「翔太郎の本来あるべき姿」。
しかも、普段変身しているWよりも設定上は弱いにも関わらず、次々にドーパントを撃退していくかっこよさ。
更には、変身に至るまでの経緯の面白さ、そして、ライダーキックの後に“あの音”を鳴らしてしまうという、超反則技演出までプラスと、盛り沢山過ぎるキャラクター。
これが(上手く立ち回れば)すぐに手に入ったわけですから、旨味が濃いなんてどころの話じゃ済まないでしょう。
そういう意味では、「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」のジョーカージョーカーのような、サプライズ要素のみの存在より思い入れが感じられるでしょう。
また、ほんのちょっと彩色やパーツを変えるだけで、ここまで大きく印象が変化するという、これまでW系が何度も証明してきた魅力を、改めて強調してくれた点は評価せずにはいられません。
残念ながら、過去に見られた問題点・疑問点をそのまま継承してしまっているというマイナスポイントも無視出来ませんが、かといってこれだけ修正されてもアンバランスでしょうし、今更どうしようもないと割り切るしかないでしょう。
ちなみに本商品は、2010年2月開催の「魂フィーチャーズ」限定品(後にWEB受注)「SHF仮面ライダークウガ・ライジングマイティフォーム」の時よりも在庫減少が激しかったようで、二日目午前中には在庫残り僅かのアナウンスがありました。
午後2時過ぎでも余裕だったライジングとはえらい違いですが、これでイベントの状況判断に以前の情報はほとんど役に立たない事が判明したわけです。
今回のイベントは、物販についてこれまでと違うシステムが取られました。
開場前から整理券が配布され、30分区切りで300人前後を集めて列を再編成。
その後に購入希望数を書き込む紙を渡され(魂フィーチャーズの時はここまで)、その後それを購入チケットに変換、ようやく物販コーナーに入れるという流れでした。
購入チケットをもらった時点で注文数は変更不可なので、間違えた場合はもう一度並び直すしかありませんが、その場合は別な時間帯の整理券を持っていない限り完全にアウトとなるわけです。
筆者は午前6時45分くらいに会場に到着したのですが、この時点で既に秋葉原駅・電気街口からUDXを結ぶ歩道橋を折り返すほどの長蛇の列が出来ており、中にはそれを見て諦めて帰る人もいました。
この時点から整理券をもらうまでの時間はおおよそ45分で、筆者は9時半からでした。
最速は8時半からだったと聞いています。
その後、15分前から待ち合わせ場所に集合、再度物販列に並ぶわけですが、流れが悪く前の時間帯の列が消化仕切れていなかったため更に1時間以上待たされることに。
それでも、後の報告を見ると整理券配布から購入までの時間は比較的短く済んだようで、中には待機時間が二時間以上になった(そこから更に並ぶ)というケースもあったそうです。
また、整理券を貰ったからと言って購入が確定するわけではなく、先着順である事には変わりないため、中には整理券を得て長時間並んだにも関わらず買えなかった人もいたそうです。
と思えば、何回も整理券列に並び一人2個までという制限にも関わらず、同じ商品を無数に抱えている人達も大勢いたわけですが……
それでも、一日目は午後2時までは購入が可能だったようです。
ただし、午前9時半に現地到着した人は購入不能だったという話もあるので、今回はいかに早く動いたかがカギになったようです。
今回は、イベント開催前からかなりの話題と「事件」が発生しました。
WEB上の話題は、「魂フィーチャーズ」の「クウガ・ライジングマイティ」の販売状況との比較、或いは通販有無などがメインでしたが、事件の方はちょっとシャレになっていなかったかもしれません。
2010年7月25日に開催された「ワンダーフェスティバル」にて、本商品と、同じく限定の「ROBOT魂エヴァンゲリヲン初号機ナイトコンバット」をフライングで販売しているブースが存在しました。
価格は8000円で、相当な数が用意されていた模様。
これらが流出品なのか、それとも製造時のエラー品を寄せ集めた海賊版、或いはそれ以外の別な物なのかは残念ながらわかりませんが、イベント限定品が開催約二週間も前に倍以上もの価格で売られていたとなると、さすがに無視は難しいでしょう。
また事件というわけではありませんが、いくつかの通販ショップでは「事前予約」という前提で本商品を8500円前後で注文受付するなど、露骨な転売行為をアピールする所も見られ、以前から各所で語られている転売問題の健在ぶりを知らしめました。
時期こそまだ未発表ですが、WEB通販受付が告知されている以上、転売行為の旨味はそう長くは続かないようにも思えます。
しかして振り返ってみると、あれだけ受注期間が長くWEB上でも話題になっていたスカルが、配送後に人気再燃して価格高騰化を見せるなど予想外の展開も見られますから、断定するのは危険でしょうね。
ちなみにイベント開催前日のヤフオクの相場(当然すべて違法出品)は、4000〜4500円辺りで、これを越える物への入札はほとんどないという状況でした。
これが、今後どう変化していくのか――興味はともかく関心はちょっとありますね。
とにかく、欲しい人は本発売とも云える通販受付で、忘れることなくしっかり注文をして欲しいと切に願います。
Wファンにとっては、とても良いアイテムなのですから、出来るだけ多くの人に楽しんでもらいたいものです……