第129回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダークウガ・マイティフォーム(真骨彫)」
2015年4月25日 更新
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2009年3月28日、「S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ・マイティフォーム」発売。
それから六年以上の期間を経て、リニューアル版クウガが発売されました。
今回は、アレンジ多めだった旧版と異なり、極限まで劇中のイメージに近づけた造形で、まさに決定版とも呼べる出来に仕上がっています。
反面、価格が旧版の二倍以上に跳ね上がったり、また初期ロットの数量が極端に少なかったりと気になる点もなきにしもですが、とにかく最高峰のクウガについて、今回は詳しくレビューしていきたいと思います。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ・マイティフォーム(真骨彫)
2015年4月18日発売。
2015年4月の配送ラインナップは、以下の通り。
- 4/15(配送開始日)「キカイダー01」「仮面ライダーバロン・レモンエナジーアームズ(仮面ライダー鎧武)」「仮面ライダーブレイド・ブロークンヘッドVer.(仮面ライダー剣)」(すべて魂ウェブ限定)
- 4/18「アイアンマンマーク43(アイアンマン3)」
- 4/24(配送開始日)「キュアメロディ(スィートプリキュア!)」「ベジット(ドラゴンボール)」「セーラームーン・オリジナルアニメカラー」(すべて魂ウェブ限定)
- 4/25「ダース・ベイダー(STARWARS)」「ストームトルーパー(STARWARS)」「仮面ライダードライブ・タイプスピード」「タキシード仮面(美少女戦士セーラームーン)」
全高は約14.4センチ。
全5種9個の手首付き。
専用台座はなし。
価格は5,400円(税込)。
フィギュアーツ真骨彫シリーズ第三弾・仮面ライダークウガ・マイティフォーム(以下、特別表記がない限り「真骨彫クウガ」と統一表記)。
「仮面ライダーカブト・ライダーフォーム」「仮面ライダー響鬼」に続いて、初期アーツのクウガが登場というのは、ある意味納得の展開だったかもしれません。
第四弾には「仮面ライダーアギト・グランドフォーム」も控えていますが、少しずつ過去アーツのリニューアルが進行しているようで、可動フィギュアの技術進歩の度合いが窺えて大変興味深いものです。
真骨彫クウガは、単にスタイルを劇中のスーツやマスクに近づけただけではなく、各部関節の解釈も昨今の可動フィギュア準拠のため、可動範囲も大幅に拡張されています。
真骨彫クウガは、2014年10月30日に予約解禁となりました。
これまでのパターンだと、カブトは予約時はやや困難→実売時は在庫潤沢、響鬼は予約も実売も余裕(2015年4月現在も)ということで、今回も生産数は多くなり予約も余裕なのではという大方の予想がありました。
ところが、実際の予約状況は非常に困難を極めることになりました。
単純に、WEB通販店舗各所の予約数枠が少なかったのかもしれませんが、2015年4月発売の製品予約解禁が2014年12月1日だったのに対し、真骨彫クウガだけ一ヶ月以上も早くしかも月末の解禁だったという異例パターンだったため、いつものように月初めの解禁を意識していた人達による取り逃がしが多発したのかな? などと個人的に予想したりします。
このような状況の上、実店舗の販売数も今回は妙に少なかった様子で、久々にアーツ難民が発生した模様です。
とある大型量販店では響鬼の時300だったのに対し、クウガは30〜40程度だったとのことなので、相当少なかった様子が窺えます。
またヤフオクでは、発売日の週末は一体10,000円弱程度の価格帯で取引が行われていたようです。
もっとも、今後二次出荷などで状況が変化する可能性もありますから、今後もずっとこのような状況が続くかどうかは定かではありません。
ただ、真骨彫はここまで再販された例がないので、その辺は些か心配ではあります。
それでは、真骨彫クウガの商品仕様を見て行きます。
まずは、前後比較。
全体が非常にマッシブになり、特に上半身の赤いアーマーの膨らみ具合が目に付きます。
実際のスーツも、上半身アーマーはこれくらい分厚いものなので、非常に上手く再現しているのですが、旧版のスマートさに慣れた人には異形に思えるのかもしれません。
尚、アーマーの膨らみの影響でまっすぐ腕を下ろすこと(所謂「気をつけ」姿勢)は出来なくなっています。
頭部アップ。
見惚れるほどに完璧なマスク再現。
適度な大きさのツノ、ほんのり膨らみを帯びた複眼、クラッシャー部の造形など、これぞクウガという出来になっています。
斜めから。
この角度から見ても納得です。
クウガの顔は、昔から再現が難しいと云われていて、過去発売された多数の商品の中でも、絶賛されたものは非常に少なかったものですが、今回のこれはトップクラスでしょう。
もっと早く、これくらいのグレードで作って欲しかったものですが。
首の可動範囲は、こんな感じになります。
顎引きも顎上げも、かなり自由度が高いです。
その他、写真だとイマイチ違いがはっきり判らないので割愛しましたが、エジプト風のダンス?か何かでたまにある“正面を向いたまま頭を真横に動かす動作”も可能で、これがポージングの際に高い効果を発揮します。
肩と肘の可動は、こんな感じです。
肩は、当然前後スイングが可能。
腕は水平以上に上がり、肘も一応90度以上曲がります。
この辺りの構造は、近年の物のスタンダードですね。
ただ、些か肘の自由度に欠ける印象もあります。
肩アーマーは、上腕肩部にアームで接続されている、所謂ブレイドタイプ。
これのおかげで、大きく腕を動かした際も肩のラインを調整出来ます。
また、スーツと同じく上半身アーマーに接続されているように見せることも、角度によっては可能となります。
今回、何故か前腕の赤い部分が回転する機構になっています。
「仮面ライダー龍騎」や「仮面ライダー剣」の時と同じようなものですが、今回はこれを導入した意図がちょっとわかりません。
普通なら、ないよりあった方がいいというところなんですが、真骨彫クウガの場合、肘を曲げた際に肘関節パーツが食い込む切り欠き部が前腕にあるのですが、回転させると移動してしまうため、肘が曲がり切らなくなるという弊害が多発します。
まあ、弊害といってもちょっとしたものですし簡単に直せるものなんで、問題というほどでもないのですが、今回ばかりはない方が良かったかな? というのが率直な感想です。
手首部分の宝珠を、効果的に見せるための工夫でしょうかね?
首周辺のリント文字も、しっかり再現されています。
金色の部分は別パーツ化されているため、なんとなく期待したくなってしまいますね。
今回の手首ジョイントは、従来のフィギュアーツ式に戻りました。
figmaタイプだったカブト、軸が細く破損の危険が高かった響鬼と続き、結局元に戻った感じですね。
やっぱり、フィギュアーツの場合これが鉄板なのでしょうか。
「キュアピース」「セーラームーン」でも、新しい手首ジョイントを模索していましたが、結局続きませんでしたからね。
ちなみに、今回は比較的楽に差し替えが出来ますが、寒い季節になったらどうなるかは未知数です。
上体の屈伸と仰け反り具合は、こんな感じです。
可動範囲は、かなり優秀な部類に入ると思われます。
例によって、股関節は動かさないで腹部と腰の関節だけで、限界まで曲げています。
今回は腹部関節が引き伸ばし可能なため、かなり自由度が高まっています。
上半身アーマーの下部、リント文字の刻まれた部位は、上体の伸縮に対応していて、ここまで引き伸ばしても途切れません。
これは大変優れた構造なんですが、逆に通常姿勢の時に上半身アーマーの下に潜り込みがちになってしまうので、注意も必要です。
「アークル」は、ここまで細かく塗装が施されています。
形状も劇中プロップ準拠で、非常に素晴らしい出来です。
当然ながら、今回もベルトは別パーツのため、腹部を外せば別な可動フィギュアに装着させることも可能です。
「アマダム」周辺のリント文字がスミ入れされていない点だけが惜しいですが、気になる方はちょちょいと手を加えてもいいでしょうね。
今回、発売前に一部で問題視された股間の処理。
まるでTフロントのようだとすら言われましたが、実際に弄ってみるとこの形状で全然違和感ありませんでした。
可動フィギュアなんだから関節部が露出するのはもはや仕方がないわけで、これは割り切るしかありません。
また、引き出し関節にしていたら、それはそれでちょっとおかしな印象になったかも。
もしfigmaの「仮面ライダードラゴンナイト」みたいな薄地のPVCで覆い隠したら、今度は関節強度が張力に負けてしまってダメだったでしょうし、癒着も怖かったでしょうね。
股関節の可動範囲、前後はこんな感じです。
尻部分のパーツが干渉するため、後方にはさほど大きく曲げられませんが、それでも結構動かすことが出来ます。
というか、本当は後ろ方向にもほぼ水平まで動かせはするんですが、関節にかなり負荷のかかる無理矢理な動かし方をしなきゃならないので、破損の可能性を考慮して止めておきました。
自然に動かせる範囲は、上の画像くらいが限界ということで。
横方向の可動は、限界までやるとこんなところです。
足の裏には、封印の紋章もしっかり彫り込まれています。
旧クウガよりも、モールドしっかり。
クウガ独特のポージングといえば、マイティキック発動前の低姿勢の構え。
上体を大きく屈められるようになったので、かなり良い雰囲気のポーズが取れるようになりました。
ただし、この体勢だと自立は困難を極めるので、飾るなら魂STAGE必須ですね。
クウガ・マイティフォームの必殺技「マイティキック」。
ちょっと癖のあるポーズで、どちらかというと横蹴りに近い体勢でしょうか。
旧版だと、上体の屈みや横スイングが苦手だったこともあって難しかったのですが、今回はバッチリ決ま……
実は惜しいところで再現し切れてないのですが、それについては後述します。
グロンギ怪人ズ・ザイン・ダ(代理)にキック炸裂!
とはいえ、マイティキックはキック力による破壊力で敵を倒す技じゃないんですよね。
本商品は、太股のロール軸が内側方向に回転できないという変わった仕様になっています。
そのため、マイティキックを再現しようとしても、右膝の位置がどうしてもおかしくなってしまいます。
どうやら、太股の外側と内側の各パーツが形状の関係で干渉するのが原因のようです。
これが意図的に仕組まれたストッパーなのか、形状の都合で偶発的に発生したもなのかはわかりませんが、微妙にモヤモヤします。
キック後の着地ポーズ。
ある程度いい雰囲気で再現出来ますが、やはり今回も若干厳しい部分がありました。
劇中のように、左手を地に付けるほど上体を傾倒させることは出来ないので、(太股の上げ具合もあって)これが限界です。
本商品は膝立ちが苦手という、最近のアーツにしては珍しい問題点を抱えています。
というか、一応出来ることは出来るんですが、どこかいびつになるのです。
これは、太股裏とふくらはぎの干渉が大きくて膝を充分に曲げ切れない事と、太股を充分に上げ切れないために起きる問題のようです。
これが、マイティキック関係の各ポーズで露呈する、本商品の数少ない欠点。
同じような構造問題はカブトにもあったので、本来ならそこでも指摘すべき点なのですが、クウガの場合は性質上ポージングの際にどうしても如実化しています。
あともうちょっとだけ太股を上げられて、かつ太股裏にふくらはぎの干渉を避けるための掘り込みがあれば、完璧だったのかもしれませんが。
「仮面ライダークウガ・マイティフォーム(旧)」との比較。
旧版発売当時のフィギュアーツは、現在と趣旨が異なっていて着ぐるみ感を重視しておらず、独特な体型のアクションフィギュアだったため、賛否がはっきり分かれていました。
「何故、もう少し劇中のスタイルに近づけてくれなかったのか」といった意見が当時かなり囁かれていた印象がありますが、こうして見ると、別物云々以前にここまで立体化の解釈が異なることに驚きます。
以前レビューした際は、これはこれで……という感じでしたが、六年も経つと感覚も変わろうというものです。
個人的には、今となってはもう造形やスタイルに関しては魅力が感じられなくなったというのが、正直な感想です。
真骨彫の「仮面ライダーカブト」「仮面ライダー響鬼」との比較。
響鬼は、相変わらず完璧に近い出来と思えますが、比較するとカブトですら些か見劣り感が出てきたような気配すらします。
それでも、充分過ぎる完成度なんですけどね。
今後も、順調に増え続けて欲しいと心底思える良シリーズです。
当時品にしてその完成度を高く評価された、「仮面ライダークウガ・アルティメットフォーム」とも比較してみます。
身長差は相変わらずですが、こうして見ると、アルティメットも未だに色褪せない魅力があるなと感じられます。
ベルトの塗装箇所など、今見るとコスト削減の痕跡かと思える部分も窺えますが、それを踏まえても良い出来です。
ところで、この写真のアルティメットの複眼が、異様に縦長に写ってしまいました。
これが、発売直前に話題になった「光の加減で目の形が変わって見える現象」です。
この状態の写真が当時の模型雑誌に掲載されたので、WEB上のファンが皆絶望したわけです。
よもや今更になって再現できるとは!
……面白いから、このまま掲載しとこっと。
毎度お馴染み、当時品の「DXポピニカ トライゴウラム」のトライチェイサーと共に。
同年7月にはフィギュアーツ版が発売されますが、現状はこちらで代用。
装着変身&旧アーツに比べてクウガ本体が大型化しているので、対比はかなり自然になりました。
……ただ、本当はこれより小振りなフィギュアーツ版の方が、実際の対比に近いんですよね。
なので、この組み合わせの対比は、あくまで玩具コラボ的なものということで。
ところが、実際に組み合わせて遊んでみると、非常に相性が悪いことに気付きます。
ご存知の通り、DXポピニカ版トライチェイサーはボディがダイキャストのため非常に重く、スタンドなしでクウガの脚だけで支えようとすると、倒れます。
正確には、上手くバランスを取れば立たせることは可能なんですが(上の画像の通り)、クウガの尻が浮きがちで困難を極めます。
その他、付属の手首では(一応握れはするのですが)トライチェイサーのハンドルを上手く掴み辛く、そのせいで本体を支え難くなっています。
こういっちゃ何ですが、こればかりは旧アーツ版の方が相性が良かったようです。
とりあえず有効活用法としては、スタンドを立てて乗せるとか、後述するトライゴウラム状態で乗せる、或いは背後に置いてオブジェにする、といったところでしょうか。
こちらは、ゴウラムと合体したトライチェイサー「トライゴウラム」に乗せた状態。
面白いことに、劇中の対比とかなり近くなった気がします(劇中のトライゴウラムは玩具に比べると結構小振り)。
相変わらずハンドルは握らせ辛いですが、トライチェイサーに乗せて飾るよりは精神衛生上? いいのかもしれません。
トライチェイサーがフィギュアーツ化するのはありがたいのですが、恐らくゴウラムとの合体機構は期待できないと思われるので、まだまだ当時品の需要は高いかもしれませんね。
実際、乗せて飾った時の見栄えもかなりの物ですし。
旧クウガ発売当時、(マシントルネイダーのように)ポピニカ版のリデコで再発売しないだろうかと期待した人も多かったようですが、出なくて正解だったのか、それとも……?
あ、前輪浮いてしまった。
続けて、「DXポピニカ ビートゴウラム」のビートチェイサーと共に。
こちらはダイキャスト未使用の軽いボディなんで、トライチェイサーより扱い易いかな? と思ったんですが、正直あまり変わりませんでした。
それでも、この対比と組み合わせは、やっぱり捨て難いものがありますね。
果たして、フィギュアーツ版のビートチェイサーは発売されるのでしょうか?
以上、真骨彫・仮面ライダークウガでした。
【買ってみて一言】
まさに真骨彫ブランドに恥じない、完璧に近いクウガの可動フィギュアだと思います。
造形、可動範囲、ポージングの冴え、塗装など、個人的には文句のつけようがありません。
確かに、股関節の形状は癖があるため、好き嫌いが大きく分かれるのは理解出来るのですが、可動フィギュアである以上もうこれはどうしようもない問題だと思われます。
この後の「仮面ライダーアギト」も同様の処理のようですが、ここさえ気にならなければ、本商品は非常に「買い」のアイテムです。
「仮面ライダークウガ」が好きな人や、「仮面ライダーディケイド」が好きで、ディケイドのパートナーとしてのクウガを求める人には、もはや必須の商品なのかもしれません。
ただ、若干ではありますが、気になる点がいくつかあることも見逃せません。
先の繰り返しになりますが、股関節の可動範囲と脚の干渉は本当に惜しく、あとほんのちょっとだけどうにかして欲しかったという感が拭えません。
その他、上半身アーマーの赤色が劇中(※「仮面ライダークウガ」の方)イメージと異なり、漆塗りのような質感のため、ちょっとイメージと異なります。
「仮面ライダーディケイド」のクウガ(所謂DCDクウガ)は、オリジナルと異なりマジョーラカラーで塗装されているため、また違う色味となっていますが、どうも本商品はオリジナルクウガとDCDクウガの中間を狙ったカラーリングという触れ込みだったらしく(フィギュア王?か何かの雑誌にそのようなコメントがありました)、それがこのカラー指定の原因だったようです。
まあ、これも好き嫌い分かれそうな要素ではありますが、個人的には商品の魅力を大きく損なうような変更ではないかなーと、思っています。
以上、問題点を挙げてはみましたが、いずれも致命的なものでもなく、人によっては全く気にならないポイントでもありますので、決して本商品の良さを大きく損なうものではないと思われます。
まして、今後これ以上のグレードのクウガがどれだけ発売されるのかわかりませんし。
後は、発売数の問題くらいでしょうかねぇ。
しかしこうなると、どうしても他のフォームも欲しくなるというものです。
アルティメットやライジングアルティメットなど、殆ど別形状のものはともかくとしても、基本4種、ライジング4種のフォームくらいは揃えたくなってしまいますよね。
ただ、真骨彫は今のところバリエーション商品も音沙汰ない状態ですので、果たして……
それはそれとして、次弾「仮面ライダーアギト」の後に続くのは、「仮面ライダーディケイド」で本決定しましたね。
これで、ようやくカメンライドが再現出来ると思うと、最高ですね!
……ついで(?)に、「仮面ライダーキバーラ」も9月に一般販売で出るとのことですが。
WEB限定じゃないのかよ!
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