第121回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー響鬼(真骨彫)」

2014年12月31日 更新

 

 真骨彫製法第二弾は、これまでフィギュアーツシリーズに全く登場しなかった仮面ライダー響鬼。
 未だ未発売な「仮面ライダーキバ」と並び、以前からフィギュアーツ化を願われていたものでしたが、まさに満を持しての商品化。
 しかも、その完成度は「これなら真骨彫という特別な銘も納得」の、極上の出来!
 パッと見、可動フィギュアとすら思えない本商品を、今回は取り扱ってみたいと思います。

 ――って、発売から四ヶ月も経っちまったけどな!

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■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー響鬼(真骨彫)

 

 2014年8月30日発売。
 同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
 2014年8月のラインナップは、以下の通り。

  • 8/9 「カメラ男(No More 映画泥棒)」「パトランプ男(No More 映画泥棒)」「仮面ライダー龍玄 ブドウアームズ(仮面ライダー鎧武)」
  • 8/23 「セーラーサターン(美少女戦士セーラームーンS)」
  • 8/25(配送開始日)「ローズアタッカー(仮面ライダー鎧武)」「仮面ライダー斬月・真 メロンエナジーアームズ(仮面ライダー鎧武)」「ゴールデンライアン(劇場版TIGER&BUNNY)」(すべて魂ウェブ限定)

 全高は約14.4センチ(頭頂部まで。ツノ除く)。
 合計5種10個の手首付き。
 音撃棒・烈火“阿”付属。
 音撃棒・烈火“吽”付属。
 音撃棒(収容形態)付属。
 変身音叉・音角(通常形態)付属。
 変身音叉・音角(携帯時)付属。
 ディスクアニマルホルダー付属。
 ディスクアニマル(ディスク形態)三点付属。
 音撃棒用エフェクトパーツ二点付属。
 メッセージカード付属。
 コンセプトブック付属。
 専用台座などはなし。
 価格は税込5,400円。

 

 真骨彫・仮面ライダー響鬼の情報が広まったのは、2014年3月20日。
 この頃は、「仮面ライダーカブト(真骨彫)」の次弾は一体何か、というファンの期待が高まっている時期で、カブト同様過去作品のリメイクだろうという見方が強い一方、キバや響鬼辺りの、未アーツ化ライダーを求める声も大きくなっていました。
 ただ、後者の意見にはちょっとした根拠もありました。
 2014年7月13〜14日開催「魂フィーチャーズ vol.6」にて公開された可動フィギュアの新素体の中に、明らかに“音撃棒を振り上げる響鬼のようなポーズを取る物”が含まれていたのです。
 これを商品化の伏線と読んだファンがいたということなのですが、実際、その読みは当たったことになります。

 

 その後、雑誌や魂WEB上で公開された本商品の画像により、ファンの期待は凄く高まりました。
 大自然風のジオラマ? を背景に飾られた響鬼には「(明らかに可動しているのに)可動関節が見えない」「(マジョーラ塗装じゃないのに)マジョーラ塗装の雰囲気が良く出てる」といった評価が上げられていて、かなりの驚きを含めた好評ぶりでした。
 特に、ぬめっとした質感のスーツの再現は見事でした。
 この時点では、殆ど文句のつけようがない状態に思えたのですが、そうなると心配になるのが「商品化の際に起こるだろう劣化の度合い」でした。

 

 もっとも、その不安は杞憂に終わりました。
 実際に発売された商品は、目立った劣化が殆どなく、まさに理想的な状態でした。
 中には「フィギュアーツ最高傑作」と断ずる評価も多くありましたが、そう言っても決して過言ではないと思わせるほどの説得力があったのは事実です。
 そして、商品のクオリティはそれを裏付けるグレードを、充分発揮していました。

 ただ、一部では手首・足首部の輪状パーツの塗料が充分に乾燥していない個体があるのか、茶色い汚れが指や他パーツ部に不着するという問題点も指摘されていました。
 発売後、二ヶ月以上経過した現在はどのような状況かわかりませんが、留意すべき点かなと思います。

 

 それでは、そろそろ現物を見て行きます。
 まずは、前後比較。
 人体の骨格・筋肉のバランスを重視して「スーツ感」を意識して構築された真骨彫だけあって、とても理想的なバランスです。
 頭部とボディのバランスも申し分なく、本当にうっとりするほどの出来です。
 尚、この画像では、非戦闘時または移動時の装備状態にしています。
 詳しくは後述しますが、左右と後ろの腰部分は、差し替えで装備品の状態変化を再現できます。

 

 頭部アップ。
 顔の中心のグラデーションも、上手く再現されています。
 また、額の鬼の顔も、この小ささにも関わらずしっかり造形されていて、雰囲気は充分です。

 

 斜めの角度から。
 惜しいことに、隈取部分の解釈が些かオリジナルになってしまっていて、隙間の広さやエッジの具合などは、実物マスクと比較すると結構違和感を覚えます。
 とはいえ、これ単独で見ている分にはさほど問題には思えないので(個人差は当然あるとは思いますが)、このサイズのフィギュアとしては充分及第点と評価して良いのではないかとも思います。

 

 首の可動範囲は、このような感じです。
 一枚目が正位置、二枚目が限界まで顎を引いた状態、三枚目が最大まで顎を上げた状態。

 

 響鬼といえば、光の当たり具合で色が変わって見えるマジョーラカラーですが、今回はさすがに使われてはいません(非常に高価な塗料らしいので)。
 その代わり、グラデーションを活かしたメタリックパープルを用いて、劇中スーツの雰囲気を上手く再現しています。
 個人的にはこのサイズのフィギュアで下手にマジョーラを用いたら、色が変わった部位が広がり過ぎて、逆に「コレジャナイ」感が出る気がするので、この処理で正解だと思います。

 

 肩と可動範囲について。
 画像の通り、腕は180度くらい開けます。
 ただ、肩部分が独自解釈による可動方式(肩アーマー的なものになっている)ため、腕を開くと肩部周辺が若干違和感のある状態になります。

 

 肩はそのまま上腕と一体化させていれば……とも思うのですが、腕を動かした後に肩アーマー部の位置調整を行うことで、筋肉の隆起っぽくそこそこ自然なラインが保てる構造でもあるので、これはこれで悪くはない気もします。
 ただ、見方によっては上腕部だけが妙に貧弱に見えてしまうのも事実なので、ここは評価が分かれそうです。

 

 両肩には、近年の可動フィギュアにはもう定番となりつつある、スイング機構が取り入れられています。
 前後のスイング幅は結構大きいですが、リニューアル版「仮面ライダーBLACK」のような引き出し肩構造ではないため、胸の前で腕をクロスさせるような動きまでは不可能です。
 また、肩の前後スイングに連動するように可動する外殻? が背パーツ内側にあり、これが隙間を隠す構造になっています(画像の黄色い丸部分)。
 これが地味に効果を発揮しており、なかなか唸らされます。

 

 肘の可動は、このくらいまで可能。
 力瘤を作るような動作でしょうか。
 可動範囲もさることながら、こういった動きをさせても違和感の殆どないラインを形成する関節構造に、心底驚かされます。

 

 今回の手首交換方式は、真骨彫カブトとは違い、従来のフィギュアーツタイプに近くなっています。
 ただ、手首の軸が凄く細いので、交換は凄く楽になっています。
 ……しかし、寒い時期には要注意で、時折根元からポッキリ折れます。
 というか、手首に持っていかれるというか。

 実はこのレビュー用の画像を撮影し終えた12月中旬頃、手首を戻すため武器持ち手を引き抜こうとしたら、軸が根元から折れて、手首の中に入ったままになってしまいました。
 当然、すぐバンダイにメールして有償修理依頼をしたのですが(勿論自分が破損させた旨も記述)、何故か先方から送付の無償交換になり、しかもいつものお詫び手紙まで届きました。
 もしかして、似たような症状がよそでも結構起きてたとか……?

 

 腰の前後可動について。
 なるべく股関節を動かさないようにして、限界までのけぞった状態。
 のけぞりは、太鼓を叩く動作で大変重要になりますが、これだけ動かせれば充分かと。

 

 変身(ではない)ベルト「音撃鼓」。
 小さいサイズにも関わらず、ディテール、質感はしっかりしています。

 

 今回も、バックルの取り外しが可能なので、音撃アクションポーズを取らせる時も対応出来ます。

 

 右腰部には、変身音叉「音角」の収納形態を吊るすことが可能。
 勿論、音角を手に持っている時にここは空になりますが、その際のホルダーパーツも別途付いています。
 というか、パッケージ状態だとそっちのがデフォになっているんですけどね。

 

 左腰部には、ディスクアニマル(ディスクモード)を三枚吊るせます。
 といっても、後述するディスクアニマルを実際にまとめて吊るすのではなく、携帯状態の別パーツを接続するだけですが。
 こちらも、ディスクアニマル使用中用の空のホルダーパーツが別途付きます。

 

 こちらが、音角及びディスクアニマル使用中の空ホルダーパーツを使用した状態。
 空ホルダーパーツはとっても細かいもので、それぞれ全長約3〜5ミリ、一番大きい後ろ腰の物でも約9ミリ程度の大きさしかありません。
 紛失には充分な注意が必要ですね。

 

 腰周りの装着品全部。
 左上が「音角」、その下が空ホルダーパーツ、更にその下が音角携帯状態。
 中央上は、音撃棒収納状態で、その下は空ホルダーパーツ。
 右上がディスクアニマルホルダーの空パーツで、その下がディスクアニマルホルダー使用中の状態。
 各ホルダーは、牛革状のベルトの質感だけでなく、縫い糸や真鍮の止め具までしっかり再現されています。
 それぞれ長さ1センチ弱程度の大きさにも関わらず、です。

 

 音撃棒を腰の後ろに携帯している状態の再現。
 なんだかこのまま音撃棒だけ取り外せそうですが、先の通りこれはホルダーパーツと一体化しているもので、取り外しは不可能(音撃棒は別にある)です。

 

 ちなみに、この携帯時の状態でも、音撃棒を握らせることが可能です。
 取り出す直前の再現に良しかもしれませんが、結構手首や音撃棒部分に負担をかけますので、出来ればやらない方が無難です。

 

 下半身の可動範囲は、見た目の印象に反して(?)とても広めです。
 基本構造は「仮面ライダー龍騎」型の発展みたいな感じで、引き出し式ではないもののかなりの自由度を誇ります。
 左右開脚は、ここまで可能となっています。

 

 前方向の可動も、広めです。
 真骨彫カブト同様、片膝立ちも余裕&全身の流れも自然になります。

 

 響鬼は褌があるため、下半身の分割線が他のライダーより違和感なく融合出来ています。
 脚を前に出すと、尻パーツ全体が移動するという、見方を変えたらちょっと驚きの可動システムなんですが、このおかげで大胆なポージングも自在に行えるようになっています。
 他のライダーに適応出来るかどうかは、デザインの都合もあって微妙そうですが、今後の商品への何かしらのフィードバックに期待したい気がします。

 

 変身音叉「音角」。
 こちらは先に触れた携帯型の他に、通常使用形態の物もあります。
 装着変身の時は、もはや大型ナイフかそれ以上の迫力のデカさがありましたが、今回はかなりコンパクトになっています。

 

 とはいえど、やはりまだ大きいんですけどね。
 このサイズの商品じゃ、しょうがないと思いますけど。

 

う〜……ハッ!(ボワワ)。

 

 音角を持たせて、ディスクアニマルの起動場面を再現可能。
 なかなかいい雰囲気になっていると思います。

 

 ディスクアニマルは、ディスク形態のみ付属します。
 裏面は、クリアの赤・青・緑の三種で、それぞれ「アカネタカ」「ルリオオカミ」「リョクオオザル」です。
 変型後の姿や、個別の未起動状態(全面が銀一色)は、残念ながら付属しません。

 

 野山に放ったディスクアニマルを回収して、折り畳んだ音角に挟んで再生すると、ディスクアニマルが見てきた状況を映像再生出来る設定がありますが、今回それを再現することは、残念ながら出来ません。
 折り畳んだ音角の先端部が本体と一体化しているため、開いてディスクを挟むことが出来なくなっているわけです。
 もっとも、厳密に再現するとなると吊り下げバンドの付いていない音角が、さらにもう一個必要になってくるため、オミットされたのかもしれませんね。

 

 音撃棒「烈火」。
 設定通り、先端部の鬼石がクリアパーツになっています。 阿吽は、今回も再現されて……いるのかどうか、判りづらくなっています。
 装着変身の時みたいに、はっきりわかるという事はなく、もしかしたら区別がないかもしれません……?
 (鬼の口が開いているのが「阿」、閉じているのが「吽」です)

 

 音撃棒には、人差し指を通すための輪があるのですが(恐らく玩具化の際のナニアレだったのではないかと)、今回はそこにちゃんと指をかけて握ることが出来ます。
 武器持ち手の保持力は元々万全なのですが、この輪のおかげで更に高まっています。
 破損でもない限りは、まず脱落はありえません。

 

 バックルの音撃鼓を取り外して、音撃攻撃のポーズなど。
 本体がダイナミックに動くので、ポージングが様になります。
 画像は、本放送当時に作った、仮面ライダー響鬼レビューページの壁紙用画像をエフェクト風に適当流用したものです。

 

 こうなってくると、巨大化した音撃鼓のエフェクトも欲しくなりますねぇ。
 FFRのヒビキオンゲキコは流用できるかな?

 

 というわけで、適当なポージングをば。
 個人的に、音撃棒を持って佇む響鬼の雰囲気が好きなんですが、本商品はそれが本当によく再現されています。

 

 音撃棒先端の鬼石は、取り外し可能です。
 ここに別パーツを差し替えることで……

 

 炎を吹き出す音撃棒を再現可能です。
 炎はたなびいてるような形状のため、使用時のポージングが若干限定されがちですが、実に嬉しいオマケです。

 

 まっすぐ屹立するような炎もあったら面白いかなと思いましたが、良く考えたら新しい鬼石のテストをしている場面の再現くらいしか使い道なさそうですよね。

 

 こうなると、音撃剣も欲しくなってくるのは仕方ないでしょうか。

 

 またまたポージングを色々。

 

 真骨彫・仮面ライダーカブトとの比較。
 本当に可動フィギュアは進化したんだなあと、つくづく思い知らされます。
 この後、更なる進化を遂げることで、これらの出来が相対的に拙く感じるような時が、果たして来るのでしょうか?
 少なくとも、今の時点では想像だに出来ませんが。

 

 以上、真骨彫仮面ライダー響鬼でした。

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【買ってみて一言】

 ガチで、とんでもなく出来が良いです!
 現状、これ以上の再現度を誇るフィギュアーツを求めるのは酷なんじゃないかと思えるほど、研ぎ澄まされた出来です。
 可動フィギュアとは思えないような自然なフォルムに、予想を覆す可動範囲の広さ、加えて大きく動かしても違和感のない関節各部、更には豊富なオプションと、これでもかという意気が詰め込まれた逸品です。
 個人的には、この完成度なら一体5000円という価格帯も充分納得出来ますし、いまだ一般販売である事が信じられないくらいですね。
 まさに「真骨彫」の名に相応しい、素晴らしい商品です。

 前回の真骨彫カブトは、確かに出来はとても良かったのですが、部分的な処理に好き嫌いが分かれる要素があり、また可動範囲もさほどでもなかったこともあり、実際の完成度に対して評価は一概に高いとは言い難い状況でした。
 対して今回の響鬼は、各所で大絶賛だった模様で、中には「フィギュアーツ最高傑作」と断言する意見も多かった印象があります(現時点では、筆者もこの意見に賛成です)。
 とにかく、真骨彫2作目にして本領発揮に至ったという感じでしょうか。

 過去フィギュアーツとして一度発売されたもののリメイク路線ONLYだと思いきや、完全新規シリーズにも対応するということで、俄然今後のラインナップが期待されますが、次回第三弾は「仮面ライダークウガ」が既に確定済み。
 こちらも、出来が非常に楽しみでなりません。

 

 せっかく響鬼が出たのだから、この調子で他の音撃戦士もラインナップして欲しいものですが、真骨彫シリーズは素体や金型の使い回しってやれるのかな? という疑問も浮かびます。
 コンセプトを見ると、どことなく流用前提にないような印象を受けるのですが……もしそうだとしたら、なんか色々もったいないような気もしますね。

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