第143回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーディケイド(真骨彫)」

2016年5月17日 更新

 

 「仮面ライダーアギト」に続く、フィギュアーツ真骨彫シリーズ第五弾は、仮面ライダーディケイド。
 かつて通常のフィギュアーツ版で物議を醸したライダーが、ようやく決定版と呼べる完成度になって発売されました。
 ディケイドは、他のライダーと並べるだけでプレイバリューがいくらでも発生するというおいしいポジションを誇りますが、今回は更にプラスアルファ要素があって、メチャクチャ遊べる本当に嬉しい商品となっています。
 というわけで、些か出し遅れな感もありますが、レビューしてみたいと思います。

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■ S.H.フィギュアーツ 真骨彫製法 仮面ライダーディケイド

 

 2016年2月27日発売。
 2016年2月のラインナップは、以下の通り。

  • 2/13「仮キャプテン・ファズマ(スターウォーズ・フォースの覚醒)」
  • 2/16(配送開始日)「小泉花陽〜僕らは今のなかで(ラブライブ!)」「星空凛〜僕らは今のなかで(ラブライブ!)」「小泉花陽&星空凛〜僕らは今のなかで」「黄金騎士ガロ〜流牙Ver.(牙狼-GARO- 〜闇を照らす者〜 )」(すべて魂ウェブ限定)
  • 2/20「キン肉マン(王位争奪編Ver.)」「キン肉マンソルジャー」
  • 2/25(配送開始日)「仮面ライダーオーガ(劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト)」(すべて魂ウェブ限定)

 全高は約15センチ(頭頂部まで)。
 手首5種10個付属。
 交換用頭部(激情態Ver.)付属。
 ライドブッカー・ブックモード付属。
 ライドブッカー・ガンモード付属。
 ライドブッカー・ソードモード付属。
 ディケイドライバー・交換用バックル基部付属。
 カード15枚付属。
 価格は6,480円(税込)。

 

 フィギュアーツ真骨彫シリーズ第五弾・仮面ライダーディケイド(以下、特別表記がない限り「真骨彫ディケイド」と表記)。
 2015年4月21日、「仮面ライダーキバーラ」の一般発売情報が流れました(発売は2015年9月19日)が、アギト以降の真骨彫情報に飢えていた一部のファンの間では、「次はディケイドが出るに違いない」という予測が立っていました。
 これは一応ある程度の根拠(?)があり、真骨彫は(響鬼を除き)旧フィギュアーツの販売された順に出ているので……という繋がりから出た予想でありました。
 尚、この法則は第九弾「仮面ライダーガタック」で崩れています(ガタック→2008年11月発売、第六弾クウガ・ライジングマイティ→2010年2月)。

 真骨彫ディケイドの情報がネット上に初めて出たのは、2015年4月22日で、「フィギュア王」の早売り情報が元でした。
 この時点ではまだ未彩色原型画像のみでしたが、スタイルの良さなどは明確で、期待も高まる感じでした。
 そうなると、当然のように出てくるのが「激情態」の販売形式ですが、この時点ではまだ真骨彫シリーズでの原型使い回し例がなかった事もあり、いったいどうなるだろうという予想がファンの間に広まっていた感がありました。

 

 しかし、その後の情報で真骨彫ディケイドに激情態ヘッドも付属することが判明し、そのサービスぶりにネット上では歓喜の声が上がっていました。
 更には、昨今のフィギュアーツの構造上、ベルトパーツの分離も可能だろうと予想され、これを利用すれば「カメンライド」の再現も可能なのでは? という意見もありました。
 結果的に、この期待は叶えられる形となりましたが、約1,000円の値上げに関しては、あまりのサービス&完成度っぷりに、あまり文句は出ていなかったような印象を受けました。

 

 それでは、早速商品の方を見てまいります。
 まずは、前後比較。
 太めで劇中のイメージに忠実なプロポーションに、真骨彫の拘りを感じます。
 尚、この画像に限った話ではありませんが、ディケイドは脚の内側が白い為、背景によっては色が溶け込んで、実際より脚が細く見えてしまう場合があります。

 

 旧版フィギュアーツのディケイドと比較してみます。
 左から、旧版ディケイド、真骨彫ディケイド、旧版ディケイド激情態
 当時は、頭の出来が云々と云われたものの、プロポーション自体は悪くないと評価されていました(筆者も同感でした)。
 しかし、こうして見比べてみると、肩や胸、腰部の大きさなど、今の目線ではさすがに無視しがたい問題点がいくつも見えてきます。
 同時に、プロポーション解釈の変化過程も良く判るというものです。

 

 頭部アップ。
 こちらは、通常モードです。
 今回は複眼の色もイメージ通りで、ようやく納得のいくイケメンになりました。

 

 こちらは、旧版ディケイド激情態の通常版頭部。
 かつては複眼の色が濃い点だけが難点と感じられましたが、良く見ると複眼の形状も頭部全体の形状も、なんか違う感じです。

 

 こちらは、一番最初に発売された旧版ディケイド頭部。
 もはや何も言う事はないというくらいの別物で、失笑しか出ないというのが正直な気持ちです。
 一部情報では、中国工場による勝手な変更の影響でこうなったという話ですが、真偽の程はともかく、オリジナルの時点でどこまで本物に近づけようと思っていたのか疑問です。

 

 こちらは、激情態ヘッド。
 とても良く出来た形状ですが、眉間の波状?の部位や目尻がいまいち目立たないので、(画像でははっきり違いが判りますが)実物を見比べると、通常ヘッドとの区別が咄嗟につき難い気がします。
 恐らくですが、複眼パーツの下に来る黒い部分が透けてしまい、本来の形状が活かしきれてない影響のように思えます。

 

 参考に、こちらは旧版激情態頭部。
 こちらの方が、複眼の形状区別がわかりやすくなっています。
 また、額のランプもこちらの方が認識しやすいですね。

 

 腕と肩の可動範囲は、概ねこのような感じです。
 腕の横可動は、目測135度くらいまで余裕で上がります。
 肩アーマーの接続は、これまでの真骨彫シリーズと同じ。
 肘は90度以上曲がります。

 

 腕のスイング機構もあり、前方にはこのくらい腕を出せます。……とはいうものの、正直あまり目立った感じはありません。
 実際はそこそこ動かせるんですが、各部装甲が厚いせいか、あまり動いた気がしないというところです。

 

 今回も、前腕のロール機構があります。
 ディケイドは、肘の形状が独特なので、この機構は地味に役立ちます。

 

 上体の前後スイング幅は、このくらい。
 前後共に、かなり可動範囲が広いです。

 

 脚の前後可動範囲は、このくらい。
 後方にはあまり動かせませんが、必要な分は動くというところでしょうか。

 

 脚の横方向可動範囲は、このくらいまで行けます。
 足首可動範囲も、それなりです。

 

 今回の目玉・ディケイドライバー。
 中央部分はクリアパーツで、その周辺には平成ライダーのマークが細かくプリントされています。
 マークはかなり細かいのですが、肉眼でもちゃんと形状の区別がつき、よくもまあここまで! と思わされます。

 

 左側面には、ライドブッカー・ブックモードを装着可能。
 ジョイントは、設定通りライドブッカー側にあります。

 

 ディケイドライバーは、ディケイドの腰に巻かれるベルト部分を含め、全部で三つに分解可能です(ライドブッカー除く)。
 これにより、バックル基部パーツが交換可能となります。
 交換するとどうなるかというと。

 

 このように、バックルを縦に(カード挿入待ち状態)することが可能になります。
 また、バックル部にはスリットがあるので、そこから付属のカードを差し込むことも出来ます。

 

 ディケイドライバー・カード挿入待機状態アップ。
 うっすらとですが、中央のクリアパーツ部から、カードの模様が透けて見えるのがわかるでしょうか?
 この画像では、入っているのはクウガのカードになります。
 ちなみに、取り出す時は簡単に出てきてくれるので、中で引っかかったり静電気で吸着する恐れはありません。

 

 ライドブッカー・ブックモードは、設定通り展開可能。
 これは、旧版フィギュアーツからあるギミックです。
 今回も、内部にカードを収納することは出来ません。

 

 ライドブッカー・ソードモード。
 長すぎず短すぎない、丁度良い長さになっています。

 

 ライドブッカー・ガンモード。
 本来、ガンモードは本体を垂直にして撃ってるのですが、門矢士はタランティーノ撃ちなので、あえてそっちにしてみたりして。

 

 ライドブッカー新旧比較。
 いずれも、上が旧版で下が真骨彫付属版です。
 ブックモードの大きさがかなり違っている点が、特徴的です。
 また、ガン及びソードモードの塗装も違いがあります。
 ディケイドマークの有無も大きいですね。

 

 ライダーカード。
 素材は「仮面ライダー龍騎」シリーズ付属の物と同じで、基本的なラインナップで15種類付属します。

 

 今回のカードは、旧版のような切り抜き式ではなく、一旦取り出してもまた戻すことが出来ます(表面に軟質の保護シートがあるので、そこに吸着させられます)。
 上段はディケイド、クウガ〜ファイズ、中段はブレイド〜キバで、下段はアタックライド・イリュージョン、スラッシュ、ブラスト、インビジブル、ファイナルアタックライド。
 裏面は、ディケイドのカードのみ全部マークが同じで、それ以外は各平成ライダーのマークになっています。

 

 真骨彫クウガと揃い踏み。
 ディケイドに出演したDCDクウガは、ボディカラーがマジョーラなので若干違和感がありますが、やはりこの揃い踏みは良いものです。

 

 「仮面ライダーキバーラ」も含めて、劇場版三人レギュラーライダー集合。
 本当なら、ここに更にディエンドも加わるのですが……原型が発表済みのディエンド真骨彫版を待ちたいところです。

 

 ディケイドといえば、他のフィギュアーツとの組み合わせによるプレイバリュー拡大です。
 というわけで、「ちょっとくすぐったいぞ」と。

 

 2010年8月26日配送の魂ウェブ限定「ブレイドブレード」と共に。
 しかしこれが、魂ウェブの「仮面ライダー剣」「仮面ライダーディケイド」のどちらにも掲載されていないのは何故なんでしょう?

 

 2010年9月18日配送の魂ウェブ限定「キバアロー」と共に。
 このFFR装備は非常に出来が良く、約六年前の商品にしては充分飾り栄えします。

 

 フィギュアーツ「シンケンレッド」と共に。
 シンケンジャー編は、実に面白い試みに溢れていましたね。

 アタックライド「AUTOVAJIN」!

 

 S-RHF「サイドバッシャー・バトルモード」に搭乗。
 真骨彫ディケイドは旧版ディケイドより大型化しているせいか、以前より対比に違和感が薄まった気がします。
 ただ残念ながら、付属手首ではサイドバッシャーのハンドルは握れません。

 

 もう一つのプレイバリュー。
 それは、ディケイドライバーを活用した「カメンライド」です。
 要は、ボディを一旦バラしてベルトパーツを取り外して流用するだけですが。
 尚、当然ながらこれはメーカーが推奨しているギミックではなく、あくまで副次的に発生するプレイバリューなので、試す場合は自己責任で。

 

 真骨彫クウガとベルトを交換して、DCDクウガに。
 ベルトはかなりジャストフィットで、まさに理想的なカメンライド。

 

 真骨彫仮面ライダーアギトとベルトを交換して、DCDアギトに。
 こちらもジャストフィットで、しっかり装着出来ます。
 尚、クウガもアギトも、腹部の取り外しは容易なので、気軽にカメンライドさせられます。

 

 仮面ライダー龍騎とベルト交換。
 ただ、残念ながらベルトの口径に対してウエストがかなり細く、ブカブカになってしまいます。
 お世辞にもフィット感はありません。
 上手くフィットしたら、DCDゾルダDCDオーディンなど、ありえないカメンライドも可能だったでしょうに……

 

 仮面ライダーファイズとベルト交換して、DCDファイズに。
 こちらは若干ウエストに余裕がありますが、一応問題なく換装出来ます。
 もっとも、腹部パーツの取り外しは若干困難なので、換装時は注意が必要です。

 

 「付き合ってやる。十秒間だけな!

 

 仮面ライダーブレイドとベルト換装で、DCDブレイド。
 残念ながら、こちらもベルトが緩いです。
 また、交換もやや困難です。

 

 ブレイラウザーは、アタックライド扱い?

 

 真骨彫仮面ライダー響鬼とベルト交換して、DCD響鬼に。
 こちらは、腹部の取り外し及びベルトの口径、どちらも問題なし。
 個人的に、これが一番フィット感があって素晴らしいと思います。

 真骨彫仮面ライダーカブトとベルト交換で、DCDカブト再現。
 こちらも、ベルト取り外しはやりやすいのですが、若干ウエストが緩いです。

 尚、「仮面ライダー電王」シリーズのフィギュアーツは持っていないので、再現出来ません。
 ごめんなさい。

 

 構造が共通で大きさが同じくらいなら、本編内ではありえなかった&今後もまずありえないだろうカメンライドも出来てしまいます。
 例えば本編では敵役だった仮面ライダーカリスを使って、DCDカリスとか。

 

 また、近年の新人?ライダー達にカメンライドさせることも。
 仮面ライダー鎧武とベルト交換で、DCD鎧武。
 換装はやりやすく、またベルトも狙ったようにジャストフィットです。

 

 アタックライド・ダイダイマル(?)

 

 仮面ライダードライブとベルト交換で、DCDドライブに。
 こちらは、腹部パーツが若干外しにくいですが、口径はジャストフィット。

 

 アタックライド「ヒトッパシリツキアエヨ」?

 

 2016年10月22日発売の「仮面ライダーWサイクロンジョーカー(真骨彫)」にも、ディケイドライバーを合わせてみました。
 サイズこそぴったりですが、今回はとにかく胴体のジョイントが硬くて硬くて、正直なところ二度と外したくないというくらいきつかったです。
 加えて、下手なことをすると上半身を外す際にツノを折ってしまいそうで(実際きわどいことになりました)、大変神経を遣います。

 ……と書いていたところ、実はWのツノは手で普通に取り外せる仕様だと判明して、ずっこけました。
 これなら、ツノを先に外せば折る心配は確かにないですね。
 胴体破損はありうるかもしれないので、どのみち安心は出来ませんけど。

 

 以上、真骨彫ディケイドでした。

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【買ってみて一言】

 非常に出来が良く、過去商品の不満点を一気に払拭する完成度です。
 付属品も多く、またディケイドとしてのプレイバリューも引き立ち、本当に遊べます。
 ベルト交換は些か気をつける必要がありますが、旧版発売時以降フィギュアーツ商品も増えたので、オリジナルカメンライドの選択肢はよりどりです(一部ベルトの口径の都合、難のある組み合わせもありはしますが)。
 ちなみに、当初は昭和仮面ライダーやW系も試そうと思ったのですが、カメンライド画像ばかり増えてしまうのと、一部腹パーツが固くて取り外せない物があったり、ベルトパーツに上着の裾が付いている(新1号など)ものがあり、なんかマヌケになりそうなので今回は取り止めました。
 
 尚、筆者未所有のため試せなかったのですが、本商品はフィギュアーツ「マシンディケイダー」とも相性が良いとのことで、実際にマシンディケイダー用と思われる持ち手も付属するため、お持ちの方は是非組み合わせてみて頂きたいと思います。
 旧版ディケイドとの相性が最悪だったので、筆者は購入しなかったのですが、よもや後悔させられるとは……買っておけば良かったなぁ。

 

 次の真骨彫ですが、「仮面ライダークウガ・ライジングマイティフォーム」「同・アルティメットフォーム」「仮面ライダーガタック」の発売が決定済みです。
 このうち、ライジングマイティ以外は魂ウェブ商店限定品で、とうとう限定の真骨彫が出るのかという心境です。
 2016年5月開催の「魂フィーチャーズ2016」では、真骨彫の更なる新作発表があるとのことで、今から楽しみです。
 一部の有力情報によると、次回は「仮面ライダーW」とのことですが、さて……?

 

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