第68回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダースカルクリスタル」

2011年6月21日 更新

 魂ウェブ限定販売・仮面ライダースカルがまさかの再商品化!
 旧版スカルを買い逃してしまった人、後からスカルの魅力に目覚めた人に向けた、最後のチャンスでした。
 各部を改修しただけでなく、付属品のボリュームもアップ、更に2つのスタイルを再現可能と至れりつくせりで、しかも価格は同じ。
 実にありがたい商品化ではありましたが、同時に、前回はありえなかった様々な話題も浮上してきました。

 というわけで、今回はスカルクリスタルのレビューいってみたいと思います。
 尚、可動範囲や各部パーツの仕様は「仮面ライダースカル」に準拠しますので、詳細はそちらをご参照ください。

■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダースカルクリスタル

 

 2010年12月17日〜2011年2月17日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2011年5月25日配送開始(26日頃到着)。
 同時配送物は、同シリーズ中にはなし。
 2011年5月の一般販売(配送)ラインナップは、以下の通り。

  • 5/14 「仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム」
  • 5/28 「仮面ライダーオーズ・タジャドル コンボ」
  • 5月配送(個別)「仮面ライダーオーズ タカキリバ&タカトラーターセット」

 全高は約14.5センチ(帽子含まず)
 合計5種10個の手首付き。
 帽子二種(通常・キズ有り)付属。
 ノーマル頭部パーツ一点付属
 マフラー二種付属。
 スカルマグナム一点付属。
 台座などのオプションはなし。
 価格は税込3,360円+送料・手数料。

 

 仮面ライダースカルクリスタル。
 「仮面ライダー×仮面ライダーオーズ&ダブルfeat.スカルMOVIE大戦CORE」内、「仮面ライダースカル メッセージforダブル」に登場。
 鳴海荘吉が、ガイアメモリ使用に対して迷いを覚えたために発動した、仮面ライダースカルの不完全形態。
 「半人前に帽子は似合わない」という壮吉のポリシーに乗っ取り、この状態では帽子を被らない。
 スパイダードーパントと対決し、その最中に完全態になるきっかけを掴むことになる。

 

 2010年5月に限定販売され、大人気を博した「仮面ライダースカル」の別バージョンです。
 「MOVIE大戦CORE」のスカルクリスタルという触れ込みではありますが、実質的にはリメイクに近い商品で、具体的な構成は以下のようになります。

  • ボディ構造は無変更(W系の流用)
  • 手首、マフラー、帽子、スカルマグナムなどの付属品構成は同様
  • 頭部二種類が新規造型
  • ボディ、手首などの塗装変更
  • 癒着防止パーツが新規付属

 これ単体で、不完全版・完全版を両方再現可能です。
 ですから、前の版を買いそびれた人でも充分満足出来る仕様といえるでしょう。

 

 スカルクリスタル前面・背面比較。
 まず全身ですが、「仮面ライダージョーカー」同様のつや消しブラック塗装が施されています。
 これだけで、より劇中のイメージに近づきました。
 塗装はボディだけでなく、手首にも施されていますので部分的に色味が違うということもありません。
 一見とても素晴らしい改良点なんですが、実はちょっとした問題点も発生しています。
 それについては後述。
 前の版で問題だった、ロストドライバーのハズレ易さは改善されています。

 

 スカクリ頭部アップ。
 パッと見は、クリアパーツっぽい塗装に思えますが、実は本当にクリアパーツです。
 目の形などはバッチリ&パッチリ。

 

 側面。
 この角度だと、パーツ構成がよくわかります。
 クリアパーツの中に黒い核パーツがあり、ジョイントはそこに接続する形になります。
 そのため、黒いパーツ以外の部分(顎周辺など)はそのまま透過しています。
 もっとも、クリアパーツは曇ってるので、スケスケということはありません。

 

 スカルマグナムは、相変わらず銃身が伸びたもののみ付属。
 一応間違いではないんですが、スカルクリスタルは銃身が折れた状態(トリガーマグナムの通常形態のような)でも使用していたので、今回は完全な抜けだとしか言いようがありません。

 

 立ち状態をあらためて別角度で。
 今回、塗装がやや粗めでつや消し部分にムラがあったり、銀色部分に乱れがあったりするようです。
 今回、筆者が購入したものも正直あまり精度がよろしくなく、胸部分の模様なんか結構汚いんですが、我慢出来る範疇なので特に交換はしてません。
 ただ、個体差がかなり大きいようなので、入手後はなるべく早めに確認して、酷い場合は交換申請するといいでしょう。

 

 旧版スカルとの比較。
 やはり一番目を惹くのが、ボディのつやの有無ですね。
 旧版も出来は決して悪くないと思うのですが、やはり説得力が大きく変わってきます。
 あと、改めて見ると顔つきが全然違っていますが、これについては後述します。

 

 不完全形態スカルクリスタル。
 近年までオーパーツ扱いされていた、水晶ドクロがモチーフといったところでしょうか。
 当初はどんな頭になるのか不安もありましたが、なかなか良い(面白い)処理をされていて満足度の高いものになっています。
 ただし、本来メインである筈のこちらの頭部をオプションパーツ的なものと考えているユーザーも多そうです。

 さて、スカルクリスタルはここまでならさして大きな難点はないのですが、一番肝心の「ノーマル頭部」を持ち出した途端、いきなり多くの問題点が浮上してきます。
 そちらは、後に一つひとつ詳しく検証して行きます。

 

 こちらは、ノーマル頭部&帽子の組み合わせ。
 このスタイルで、ようやくスカルらしさが感じられるようになります。
 帽子は、男の鋭い目線を隠すためのものです。

 

 つば部分に切れ目のある帽子も付属。
 これは「ビギンズナイト」時についたものなので、本来付属する必要はない筈なのですが、あえて付属している点が嬉しいです。

 

 旧版スカルでは、頭の銀色が帽子の裏側に癒着して剥げてしまうという問題が指摘されていました。
 その対策として、今回は半球型のブリスターが加わり、これをスペーサーにすることで癒着を防げるようになりました。
 ちなみにこれは2点付属していますので、一つ紛失しても大丈夫。

 

 こちらが、癒着防止スペーサーをかました上から帽子を被らせた状態。
 この写真でスペーサーがはみ出ているのはわざとで、実際はもっときっちり隠せます。
 このように、一見とても便利そうなのですが、実際にはコレ殆ど何の役にも立ちません。
 というのも、「帽子がある程度以上深く被れない」「帽子が安定せず、すぐに滑り落ちる」という難点が生じるのです。
 ぶっちゃけあるだけムダとしかいいようがないので、箱から出す必要性は皆無と言い切っていいでしょう。

 ではどうすればいいのか、というと、やはり旧版同様トップコートを吹いて保護するか、長時間帽子を被らせないように心がけるしかないでしょう。
 筆者の所有物は、かなり厚めにトップコートを吹いたので、今のところ癒着の兆しはありませんが……

 癒着問題は、「買ってみて一言」でまとめて詳しく触れます。

 

 頭部パーツですが、今回は完全新規造型でより劇中イメージに近い造りになっています。
 比較すると一目瞭然で、もはや旧版頭部には違和感しか覚えないほどの差が生じています。
 相変わらず、側頭部のくぼみは再現されていませんが。

 ただし、この新しいノーマル頭部には、ちょっと考えられない大問題があって、決して手放しで褒められないのもまた事実です。

 

 この画像は、新ノーマル頭部を真正面から撮影し、顎の線を基準に水平にしたものです。
 青い線は基準線で、赤い線は、問題のある部分を解りやすくするための比較線です。
 ご覧の通り、左右の目の大きさが全く違っており、右目が肥大化している印象です。
 鼻部分から目頭にかけてを見比べると、よりよく解ると思います。
 これは、頭部の銀色塗装が不充分なため発生しているエラーのようで、ほぼ全ての製品に発生しています。
 ちなみに、これは不良品扱いではなく仕様ということで、バンダイに送り返してもそのまま戻ってきてしまいます(実際に確認しました)。
 どうしても納得が出来ないという人は、Mr.カラーのシャインシルバーなどを使用して修正するしかなさそうです。
 恐らくは工場の塗装段階でのマスキングミスでしょうが、よりによって一番肝心なパーツにこんなエラーを施してしまうとは、考えられないレベルです。

 

 それでも、帽子を被らせればある程度違和感を抑えられるので、人によっては我慢出来るかもしれません。
 とはいえ、それをやるにはブリスターなしで帽子を深く被らせなければいけないわけで、そうなるとどうしても癒着対策を度外視出来なくなってしまいます。
 銀色が塗装でなく成形色だったら良かったんでしょうけど、それだとこの色合いは難しいのかな?

 いずれにせよ、このノーマル頭部を扱うには色々を気を遣わなければなりません。

 

 「スカルボイルダー」と共に。
 旧版配送終了後の予約開始だったためか、一時は需要が見込まれずオークション相場も低めだったスカボですが、今回の再商品化でまたまた需要が高まったようです。
 とりあえず買っとけ的なノリで購入した人は、ラッキーだったのかもしれません。
 ……相変わらず、乗せづらいんですけどね。

 

 以上、スカルクリスタルでした。
 高い満足度と多くの問題点を同時に抱える、ある意味評価が難しい商品ではあるのですが、それより何より増加する需要に対して解答を示してくれたという、その姿勢がありがたいと個人的に思います。
 旧版スカルは限定品でしたから、そのままの再販は難しかったでしょうし、それならとバージョン違いで出すというのは、充分ありだと思います。
 中には、旧版購入者をバカにしているのかといった声もあったようですが、その辺はユーザーのとらえ方次第でしょうね。
 筆者は速攻で予約したものです。

 WEB限定品なので今後の入手はいささか手間と必要以上の予算が必要となりますが、どうしても欲しいという人はちょっと無理してでも手に入れてみる価値はあるかも? 
といったところです。
 ただし、その際はここで触れた各種問題点について、深い理解を得ておく必要があります。

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【買ってみて一言】

 良い品なのは間違いなく、旧版を持っている人にもありがたい仕様だと思いますが、何より前回買い逃した人にとって嬉しい商品といえるでしょう。
 逆に言えば、旧版で充分満足した人や、細かなバージョン違いにまで手を出していられないと考える人には不向きかと思います。
 実際のところ、こちらは他の商品以上にコレクター向けの性質が強いですから、需要は本当に様々だと思います。

 

 本レビューの各所で癒着について何度も触れていますが、最後にまとめと追記をしておきたいと思います。
 かなり重要なことをまとめているので、覚えておいていただければ幸いです。

●旧版スカルと新版スカルの帽子は実は別物

 これは、筆者の手持ち商品で起こった事故で発覚したものです。
 上にあった頭部比較でも解るとおり、旧版と新版は頭の大きさが異なるため、当然帽子も違ってきます。
 ところが、パッと見がそっくりなので混同が起きやすく、ごちゃ混ぜにするとピンチです。
 旧版頭部に新版の帽子を被せると、パーツ同士の密着性が増すためか、トップコートをかけていても塗装皮膜が剥離してしまいます。
 筆者手持ちの旧版頭部は、二重にトップコートを吹いてあり、以前は一ヶ月以上帽子を被せていても問題なかったのですが、(新版ノーマル頭部を交換に出している最中)新版の帽子を被せていたら、一日もしないうちにごっそり剥げてしまいました。
 対して、新版ノーマル頭部にトップコートをかけて新版帽子を被せた所、一週間経っても癒着はありませんでした。
 どちらも、保管環境は同じ場所(ショーケース内)だったので、外部要因による影響は考えられません。
 このような状況なので、もし新旧の帽子をごっちゃにしている人がいるなら、早めに確認・区別した方がいいでしょう。
 帽子の見分け方は、旧版頭部に帽子を被せてみればわかります(旧版帽子の方がスムーズに被れ、新版はややきつめになる)。

●マフラーにも癒着が発生する

 スカクリのボディはつや消し塗装が施されていますが、こちらもマフラーに癒着してしまいます。
 というか、かなり確実性が高いので危険です。
 マフラーの接地面積自体はそんなに大きくはないのですが、範囲が広いので注意は必要です。
 こちらも、トップコートで保護をするか、なるべくマフラーを着けないようにするしかありません。
 もっとも、剥離部分はマフラー内部に限定されるため、パッと見は解りづらいでしょうから、我慢出来るという人はそのままにしておくのも手段かもしれません……

 さて、W系フィギュアーツもかなり増えて来まして、現状ライダー系では最大規模になってしまいました。
 さすがにもう全種類コンプは目指していないので、レビューで取り扱わない物も出ていますが、ご容赦ください。
 とりあえず、W系アーツはこのスカルクリスタルでラストにしようと思います。
 アクセルブースターも予約はしているんですが……映像観るの相当先になりそうだしなあ。

 それと、オーズ系なんですが、すみませんタトバ以外購入していない&する予定がないので、こちらもレビューはやる予定はありません。
 すみませんが、予めご了承いただければと思います。

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