第114回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーBLACK RX(リニューアルVer.)」

2014年5月18日 更新

 

 「仮面ライダーBLACK」のリニューアル版が発表された当時、恐らくいずれ来るだろうと、多くのファンが予想していた、RXリニューアルVer.。
 それはすぐに現実化し、約半年程で発売に至りました。
 しかし、比較的好意的な意見が多かったBLACKに対し、様々な問題点が指摘・不安視されていたRX……果たして、その出来はどれほどの物となったでしょうか?

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■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーBLACK RX(リニューアルVer.)

 

 2014年4月26日発売。
 同時販売物は、「アクロバッター(リニューアルVer.)
 2014年4月のラインナップは、以下の通り。

 全高は約14.3センチ(ツノ含まず)。
 合計7種12個の手首付き。
 交換用サンライザー付属。
 リボルケイン(未発光)付属。
 リボルケイン(クリアブルー)付属。
 リボルケイン・短刀身パーツ付属。
 専用台座などはなし。
 価格は税込3,888円。

 

 仮面ライダーBLACKに続き、リニューアルされた(正確にはこの間に真骨彫仮面ライダーカブトがあるけど)、仮面ライダーBLACK RX。
 本商品の情報が初めてネット上に広まったのは、2013年7月13日開催の「魂フィーチャーズ vol.6」のオフィシャルページ上。
 ただし、情報そのものが掲載されたのは、イベントよりずっと後の10月11日頃です。
 フィギュアーツ開発担当者による、仮面ライダーBLACKリニューアル版の発売前レビュー(製品版サンプル)の最後に、後ろ向きの頭部画像が貼られていました。
 それ以前から、恐らくRXもリニューアルされるだろうという予想はありましたが、見事にそれが叶った形になったわけです。

 

 ただ、この時点ではまだ後頭部からのスナップだけで、身体のごく一部しか出てなかったこともあり、全体の完成度に対する不安は、まだ強かった印象です。
 また、この時点でリニューアルBLACKの出来の良さも(まだ未発売ではありましたが)認められつつある状況でしたので、それと比較されそうな雰囲気も強かったようです。
 実際に現物がファンの目に晒されたのは、2013年11月1〜3日にかけて秋葉原UDXで行われた「魂ネイション2013」会場でした。
 ですが、この時点で「股関節の処理」「サイコインジケーターの位置のおかしさ(ツノの付け根と並ぶ位置だった)」が指摘されており、その後の模型雑誌(確か電撃ホビーマガジン?)の紹介スチールでも修正されていなかったため、ファンの一部からかなりの反発が出ていました。
 結局、サイコインジケーターは修正されましたが、その後もRXの出来についての議論は、ファンの間で途切れることはありませんでした。
 そしてまた、同時発売のアクロバッターについても……

 

 それでは、そろそろ商品仕様の紹介に移りましょう。
 まずは、前後比較。
 旧版と比較すると、着ぐるみ感が強調されて、とても自然なスタイルになっています。
 BLACK同様、全体的にスマートになってはいますが(劇中のRXは意外に太い)、初期のフィギュアーツのような極端な細さではなく、スタイリッシュにまとめられている感じです。
 それはともかく、妙に明るすぎる体色が、滅茶苦茶気になりますが……
 これについては、後述。

 

 頭部アップ。
 一件、特徴を掴んだ良い出来にも思えるのですが、なんだかとっても違和感が強いです。
 その理由は、ツノがやたらと太いことと、複眼内側下、黒い三角(覗き穴)との境にある銀色のラインの存在にあるようです。
 劇中マスクは、このラインが他の部位よりかなり細めになっていて、場面によってはライン自体が見えない(複眼の照り返しにも見える)くらいで、こんなに存在感を主張してはいませんでした。
 上の画像では見えませんが、RXの首にはスーツの癖によって発生した細かな横ジワの再現が施されています。

 

 斜めから。
 複眼内側の銀ラインは、複眼の形状に沿ってカーブを描くのが正解なんですが、今回は何故か斜めの直線になっています。
 このため、なんか妙にヘンテコリンな表情になってしまった感が拭えません。
 ちなみに、旧版ではこの銀ラインは完全にオミットされていたのですが、むしろその方が違和感がないというのが皮肉です。

 

 RXの首は、襟部分から後頭部までのカーブラインが途切れずに続くという独特の形状で、可動を仕込むのが大変難しいのではないかと思われます。
 旧版では、蛇腹状の首の根元と、頭部との境が可動するという処置でしたが、今回は、首の軸と蛇腹状の部分が一体化せず別パーツになっているので、頭と首の動きに沿って蛇腹部分が連動するという、より自然な動きが出来る構造になりました。
 このため、旧版のような、ちょっと怖い可動は出来なくなっています。

 

 こちらが、目一杯顎を引いた状態。
 俯くとまでは行きませんが、真正面を見据えるくらいには出来ます。

 

 こちらは、最大まで顎を上げた状態。
 旧版が全く上を向けなかったことを考えると、この可動はなかなかのものです。
 ただ、恐らく中には「うちのは、こんなに顎が上がらないぞ?」とお思いの人もおられるかと思います。
 その辺の検証も、後程行います。

 

 首の構造は、こんな感じです。
 分かり易くするため、頭部のみ取り外しています。
 要するに、首の後ろに皮が被さっているような感じです。
 蛇腹(皮)部分は、襟部分と連続していますが、それぞれの節が別パーツで、中央を渡る細い棒状のジョイントで繋がっています。

 

 このような構造のため、首の動きと襟が連動してしまい、若干の違和感が発生しますが、特に際立って目立つ問題でもないようなので、恐らくすぐに慣れるのではないかと思います(中には、全く問題視しない人もいるかと)。

 

 ところで、先の顎上げ画像を見て、ここまで上がらないぞ! と思った方がもし居たら、それは多分、首ジョイントの向きがおかしくなっているのだと思われます。
 今回、何故か首のジョイントが正面を向かず、斜め向きになっていたり、酷いのになると真横を向いている場合まであります。
 筆者は、都合二体手にしましたが、どちらもほぼ真横を向いている状態だったため、当初は首が殆ど動かせませんでした。

 かといって、いつもの調子で首を引っこ抜いてしまうと、破損が生じてしまいますので、注意が必要です。
 恐らく、これが今回最大の難点かと。

 

 こちらは、RX頭部の裏側(ジョイント接続側)です。
 下を向いている状態ですが、矢印部分を見ると、上部に突起のようなものがあるのがわかると思います。
 これは、首後ろの蛇腹状パーツの最頂部を引っ掛け、連動を促すための重要な部位。

 

 これが後頭部裏側から伸びて、蛇腹パーツを引っかけている構造(矢印部分に突起が入る)のため、今までのフィギュアーツの感覚で首を引き抜くと、根元からボッキリ折れてしまいます。
 では、どうすればいいかと云うと。

 

 RXの頭部を外す際は、必ず、襟部分から首の蛇腹部分にかけてを押さえながら、力をかけていく必要があります。
 要するに、頭部裏側の突起が蛇腹パーツと組み合った状態を維持したまま、上方向に引っ張るわけです。
 こうすると、蛇腹パーツが最大限に伸びて、上手く頭部から首ジョイントだけが外れるようになるわけです。
 ただし、蛇腹〜襟パーツ自体は胴体から外れない(首軸パーツの底部で押さえられている)ため、引っ張り過ぎると、やはり突起が折れてしまいます。
 ですので、頭部が外れた感触があったら、それ以上は引っ張らず、突起を丁寧に取り外しましょう。
 後は、首ジョイントの向きを修正して、突起を蛇腹パーツに引っ掛けた状態で真上からゆっくり押し込めば、問題なくはめ直せます。
 ……と書くと簡単そうですが、実ははめ直す方が難しかったりするので、くれぐれもご注意ください。

 

 リストビットは、旧版より小型化。
 相変わらず、回転などはしません。
 また、前腕ロールなどの機構もありませんが、RXの場合、肘当てっぽい楕円形の部位が、前腕の外側に位置しているため、これはこれで正解かと。

 

 今回も、BLACKと同様に、両肩が引き出せる構造になっています。
 これによる腕の可動範囲の変化具合は、BLACKとほぼ同等になります。

 

 肩アーマーの構造も、やはりBLACK準拠。
 非常に可動幅が広いため、腕を大きく動かした際に発生する隙間を、上手く埋めてくれます。
 これがまた、本当に優秀で嬉しくなってしまうほどです。

 尚、今回何故か肩と上腕の間の回転ロールが非常に固く、動かすのがやや困難になっています。
 隙間からシリコンスプレーしても、あまり劇的な変化がないくらいで、下手に力をこめると破損しそうで怖いです。
 動かす際は、肩ブロックを摘んだ状態で、ゆっくり上腕を捻るといいかもしれません。

 

 胸のマークは、今回も掘り込み+塗装で再現されています。
 旧版は、劇中と色味が違うものの、胸や上腕、太股部分の緑が暗めの配色だったため、撮影用スーツに近いイメージを堪能出来ました。
 ところが、今回は何故か……否、まるで本放送当時に出た関連商品の如く、大変下品でみっともないライトグリーン系にされてしまいました。

 

 言うまでもなく、実際のRXは黒とエメラルド寄りのダークグリーンという組み合わせで、緑部分の明度が若干変化したりはしましたが、全体的には黒に近い色味です。
 しかし、何故か玩具は明るい緑との組み合わせにされることが非常に多く……
 これでは、短パン穿いたおっさんみたいで、かっこ悪いことこの上ありません。

 確かに、仮面ライダーディケイド客演時のスーツは、緑部分が割と明るめではありましたが、ここまで酷くはありません。
 昔、ポピニカ・アクロバッターを購入した際、付属するRXフィギュアの塗装に絶句させられた時のことを思い出してしまいます。 

 

 サンバスクと、サンライザー。
 サンバスクは、クリアパーツの下にモールドが施されています。
 サンライザーは、かなり小型ながらも形状はしっかり再現。

 

 それに加え、なんとこの大きさにも関わらず、エナジーリアクター部分のモールドまで再現されていて、しかもちゃんと、左右で模様が異なっています。
 これは文句なしに凄い!

 

 今回のサンライザーは、交換可能。
 このように、左側から突起が飛び出たものと差し替えられます。
 取り外しは、爪で軽く引っ掛ければ簡単に取れますが、勝手に外れたりはしない程度の保持力があります。

 

 この突起には、後述するリボルケインのグリップ部分を差して、取り出す瞬間を表現できます。
 また、手首も問題なく生えかけのリボルケインを握れます。 

 

 試作品公開時、最も非難が集中したのが、この股関節部分です。
 所謂パンツ部分の一部が太股付け根部分と一体化しているため、非常におかしな分割になっている……というのが、当時の主な批判内容でした。
 しかし、実際に商品になると、思っていたよりは違和感がなく、また可動範囲確保にも貢献しており、意外に悪くない処理となっています。
 書き忘れましたが、今回も引き出し関節になっています。

 

 それはいいんですが、パンツに走っているシワの表現が、何故かものすごくぞんざいになっているのが、妙に気になります。
 チラ見する程度ならいいんですが、よく見ると本当に適当に掘り込んだようになっていて、BLACKのような緻密な処置が嘘のようです。
 ちなみに、発売前に各模型誌や「魂ネイション2013」で公開されていた試作品を見る限りだと、このシワはBLACK同様の、細かで自然な仕上がりになっていました。
 つまり製品化にあたって、急激に劣化したことになります。
 なんでこういうことになるのかなあ……

 

 RXの主力武器「リボルケイン」。
 今回は、非点灯・点灯の両方が再現可能です。
 また、旧版のように手首の握りが甘いということもなく、非常に快適に持たせられます。

 

 今回のリボルケインは、未発光版とクリアブルー版の2種類が付属します。
 まずは、未発光版。

 

 こちらは、クリアブルー版。
 どちらも形状は同じで、エッジ(剣じゃないけど…)部分が交換可能です。

 

 これにより、「発光状態のリボルケイン」「ベルトから生えた状態のリボルケイン」が再現できるようになります。
 その気になれば、「未発光でグリップ周辺だけ透過状態のリボルケイン」という、謎の形状にも出来ます。

 

 こちらは、旧版RX付属のリボルケインと比較した状態。
 意外にも、旧版の方がエッジが長く、スタイルとしてはかっこ良くなっています。
 ただ、前回のレビューでも触れた通り、旧版はグリップ部が黒くなっていたりと設定に反する塗装箇所があります。
 まあ、今回のリボルケインも、若干アレンジの加わった配色なんで、言うだけ野暮なんですけど(そもそもグリップは二色に分かれてない)。

 

 旧リボルケインを、試しにリニューアルRXに持たせてみました。
 意外にフィット感が高く、旧版みたいに手の中からすっぽ抜けるようなこともありません。
 もし、今回のリボルケインを破損してしまったり、或いはもう少し長さが欲しいと感じられた際に、あえて流用してみるのも悪くないかもわかりません。

 

 今回、妙に短いバージョンのエッジパーツまで付いて来ます。
 これの用途とは……

 

 当然、リボルクラッシュ用!
 別なフィギュアーツ、または可動フィギュアに向けるだけで、簡単に必殺技再現が可能になります。
 こういう心遣いは、非常に嬉しいものがありますね。
 また、昨今のライダー大戦的な何かの影響で、旧新キャラクターを織り交ぜた構図も自然に感じられるようになりましたから、クライシス怪人が商品化していなくても、嘆く必要はないのです。
 バンバン刺し殺しちゃえ!

 

 RXキック。
 今回は、両脚をきっちり閉じられる構造なんで、旧版よりは決まります。
 足の裏はモールドはなく、コピーライトなどの表記があるだけです。
 色は銀色ではなく、普通に黒。

 

 以下は、適当にポージングなど。

 「俺は、太陽の子!」

 

 「仮面ライダー!」

 

 「ブラァック!!」

 

 「アールッ!」

 

 「エッックス!!」

 割といい感じでポージングが決まるのは、やっぱりいいですね。
 なんとなく、腹周りの細さに一抹の違和感を覚えたりしますが……作れ、次郎素体!!

 

 RXジャンプ。
 今回は、腹部関節が引き出し式になっているおかげで、旧版とは比較にならない程の前屈が可能なんですが、ジャンプ直前の地面ぶっ叩きモーションは、今ひとつ決まり切らない感じです。

 

 「リボルケイン!!」
 モーションを再現してみる。

 

 先に紹介したギミックを用いて。
 いい雰囲気出てます。
 半透明グリップは、本当に素晴らしい付属品です!

 

 リボルケイン、根元にグラデ塗装が入ってることで、より光ってる感が出ているのがいいですね。

 

 リボルクラッシュ!
 怪人アーツが咄嗟に発掘出来なかったので、またしても蟹の出番

 

 リボルケインをグリる時のための、角度がついた左手首も付属。
 できれば右手も欲しかったけど、このサービス精神はなかなか!

 

 脇腹から噴き出すエネルギー!
 このエフェクトは、残念ながら付属品ではありません。
 D-arts「ノエル・ヴァーミリオン」に付属する銃撃エフェクトです。

 

 爆発エフェクトが、本気で欲しいと思った一瞬。

 

 ここで、旧版フィギュアーツ仮面ライダーBLACK RXと比較。
 発売当時、これはこれで……と誉めちぎったものですが、さすがに今見るとかなり厳しいものを感じます。
 なんというか、旧版はメカRXという感じですね。
 こうして見ると、旧フィギュアーツは、人が着ているスーツの再現というより、まるでロボット系フィギュアを作っていたような印象すら受けますね。

 

 上半身側面比較。
 意外に身長差がある事に驚きますが、それより旧版の襟の形状や胸の角ばりっぷりに改めてビックリさせられます。
 ここまで違いがあると、もはや単なる解釈違いというレベルでは済まない気がします。

 

 リニューアル版BLACKとの比較。
 かなり出来の良い筈のBLACKですが、こうして見ると、RXの方が全体的な造形やラインが優れていることが分かります。
 ポージングのせいでそう思えるだけじゃないかって?
 そう言うな……

 

 最近の映画で、もうすっかり別人設定になってしまった感のあるBLACKとRXですが、これでようやく、ハイクオリティな造形で並べることが出来るようになりました。
 ここにシャドームーンを加えると、より引き立ちますね。

 

 以上、仮面ライダーBLACK RXでした。
 引き続き、アクロバッターへ続きます。

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■ S.H.フィギュアーツ アクロバッター(リニューアルVer.)

 

 2014年4月26日発売。
 最大全長は約16センチ(前輪〜リアカウル末端まで)。
 後輪固定用スタンド付属。
 魂STAGE用固定パーツ付属。
 価格は税込4,860円。

 

 さて、仮面ライダーBLACK RXと同時発売のアクロバッターです。
 リニューアルバージョンとは表記していますが、実際にはリペ商品で、新造形どころかリデコですらありません。
 2006年10月11日に発売された「装着変身EX バトルホッパー&アクロバッター」をほぼそのまま流用したものと考えて、支障はありません。

 

 というか、これ実質ただの再販ですよもう。
 2010年3月19日に配送されたWEB限定品のアクロバッターと、全く同じ。
 正確には、部分的に色が濃くなっているだけで、あとは魂STAGE固定用のパーツが付加したのみ。
 これで、1.5倍の値上げです。

 

 旧版アクロバッターがいまだ発掘出来ない状態のため、比較画像なしで話を進めざるを得ないわけですが、今回は本当に代わり映えゼロ。
 前回の商品版を持っているなら、これを買う意味は限りなく皆無です。
 それくらい何の変哲もありません。

 

 とりあえず、フロントビューとリアビュー。

 

 サイドビュー。
 もう今更ですが、アクロバッターは250ccバイクが元車なので、バトルホッパーが125ccだと(好意的に解釈しても)もう少し大型になる筈です。
 しかし、残念ながら大きさはもうポテチン。
 語るだけ無駄。

 

 でもまあ、アクロバッターの出来の悪さや、大きさの問題は、過去商品で予想がついたものですから、まだいいんです。
 もっとたちの悪い問題がありまして。
 この画像、RXの手首がいずれも握り手じゃないんですが……

 実は今回、アクロバッターのハンドルグリップを握れる手首が、RXにも、アクロバッターにも付属していないのです。

 

 RXに付属する握り手(リボルケイン用)だと、端っこを掴むのが精一杯。
 無理矢理指を開かせればなんとか掴めはしますが、それだと癖がついてリボルケインが握りにくくなります。
 では、BLACKの握り手を使えばなんとか……と思ったら、なんとRXの手首ボールジョイントの口径が、BLACKのそれより太いことが判明。
 要するに、使い回すことも出来ないわけです。
 どんな嫌がらせなんだよもう……

 

 それでもなんとか、無理矢理にでも搭乗姿勢。
 RXの可動のおかげか、旧版を乗せた時よりは自然なスタイルにはなっています。
 でも、それはあくまで相対的な話であって、やはりベストバランスには程遠いです。
 もう一回り大きい方がいいでしょうけど、それよりなんでこんなに後輪が小さいのか。
 毎回気になって仕方ありません、個人的に。

 

 RX付属の「俺は太陽の子!」手首(指差し)が、かろうじてグリップを掴めるので、これを右手に。
 左は、普通の開き手をそれっぽく合わせました。
 苦肉の策ですね、全く。

 後輪固定用のスタンドは、今回は安定性抜群のようです。

 

 バトルホッパー同様、今回も魂STAGE固定用パーツが付属します。
 もっとも、アクロバッターってあまりこういうジャンプアクションしていた印象が薄く、ひたすら突っ走ることが多かったイメージも強いので、あまり出番はないかも?
 まあそれ以前に、RXをしっかり固定出来てない状態でコレやるのは、いささか危険だと思うのですよ。

 

 バトルホッパー(リニューアルVer.)との比較。
 中身が同じなので、大きさもスタイルも非常に似ています。

 

 後ろから。
 せめてマフラーの穴くらいは、ちょっと彫って欲しかったかなあ。
 まあ、そもそもマフラーの位置や生え方自体、かなりでたらめなんですけど。

 

 こんな感じで、もう色んな意味でどうしようもないアクロバッターですが、意外にも、一部のfigmaとの相性はバッチリです。
 中には、この太いグリップを普通に掴める手首もあるので、スカートパーツなどが極端に大きい物でない限りは、比較的問題なく乗せられるようです。
 まあ、本来の用途からはかけ離れている使用方法ですが、ネタ的な使い方が出来るだけ、まだ救いがあるのかもしれません……はぁ。

 

 というわけで、マジで語ることがないので、アクロバッターはここまで。
 最近のアーツでも、一二を争うくらいの手抜き商品で、こんなのをリニューアル名義で出すなんて、担当者の正気を疑います。
 というか、どさくさに紛れて、公式サイトからはリニューアルという表記すら消されていますけど。
 確か、当初の告知だとアクロバッターもフロントカウルを新造するということだったんですが、結局なかったことにされてしまいましたね(確かに可動範囲は広がったんですが……まさかそれのこと?!)。
  
 まあとにかく、本当に酷い商品です。
 ある程度は覚悟の上だったけど、斜め上を行かれた感じですね。

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【買ってみて一言】

 非常に総評が難しい商品だったかな、というのが、正直な感想です。

 RXに関しては、造形面については殆ど文句なし、細かい難点についても許容できる範疇で、また非常に遊べる割と良い商品であると、個人的には思います。
 何より想像以上に良く動くこと、旧版で挙げられていた不満点の多くが劇的に改善されていることなど、評価すべき点は多くあります。
 ですが、劇中カラーリングを無視し、激しい違和感を催す体色や、複眼周囲の塗装処理など、「ここまで仕上げていながら、どうしてそこで……」と言いたくなるような問題点だけは、さすがにフォロー出来ません。
 特に、首のジョイントの不具合の多さに関しては完全なエラーなわけで、(正常品も多いことは理解しつつも)より高い品質管理を求めざるを得ません。
 せっかく、試作品の第一印象をここまで好転させ得る完成度まで高められたのだから、最後の詰めまでしっかりやって欲しかったと、つくづく残念です。
 逆に言えば、そこさえしっかりしていたなら、殆ど文句なしだったと云えたかもしれないわけです。
 何より、リボルケイン関連のプレイバリューは、恐らくどのユーザーも予想していなかった程で、実に遊び甲斐がある心配りでした。
 こういう気概は、本当に心から褒め称えたいものです。

 一方のアクロバッターは、もはやフォローの言葉すら一切出ない、全く褒めようのない商品です。
 8年前の商品を、殆ど無改修で二度目の商品化、加えて前回の1.5倍の値上げというのは、もはや評価対象外です。
 無論、様々な事情はあるのでしょうが、だからといってこれは明確な手抜きであることに変わりはなく、ユーザーのニーズに応えた結果とは、到底考えられません。
 フロントカウル部分の新造だけで、ある程度実車のイメージに近づけていたバトルホッパーはともかく、ほんのちょっと色の濃さを変更しただけとは……
 いくらライダーをリニューアルさせたとしても、これでは意味を成さないでしょう。
 せめて、基本形がこれまでと同じものだとしても、フロンカウルの形状の見直しやマフラー部分などの改修などを行うだけでも、雰囲気は違ったかもしれないのに。
 これはバトルホッパーにも云えますが、装着変身EX版の型をここまでしつこく使い回す理由とは、一体何なのか?
 この様子では、全くサイズが異なる新規フィギュアブランドでも立ち上がらない限り、まともな大きさ・形状のアクロバッターは、永遠に手に入らない気すらしてきます。
 唯一の利点は、過去のアクロバッターを持っていない人が、RXの背後などに飾るのには適しているかも? という程度でしょうか。

 しかし、何より頭が痛いのは、この期に及んで「RXとアクロバッターのどちらにもハンドル用握り手が付属しない」という、しょうもない問題。
 まして、BLACKの握り手すら流用が出来ない仕様というのは、もうわざとやっているとしか思えないほどの失態でしょう。
 RXは百歩譲って納得するにしても、アクロバッターの方に手首をつけることくらい可能だったでしょうし、或いはRXの手首ジョイント口径をBLACKと同じにするだけでも、救済措置にはなった筈です。
 それらのポイントをことごとく外し、「バイクと同時発売なのに乗せられない」組み合わせにするとは、もはや担当者の正気を疑うレベルです。
 ここ最近は、バイク用の手首に関して非常に気配りがあって、中には「絶対バイクなんか出す気ないだろ!」というライダーにまで握り手が付属したり、既出のライダー手首のバリエーションを全部つけるなど、非常に良い傾向にあったのに、ちょっとユーザーが油断した途端にコレです。
 確かに、アクロバッターは対比的に難があり、RXを搭乗させることへの是非は確かにありますが、それとこれとは全く別の問題です。
 本当に、このどうしようもない詰めの甘さだけは、早急に解消して頂きたいものです。

 

 「意外な高評価要素」と「論外なほど駄目な商品」が組み合わされた、今回のリニューアル。
 これ以上は、ユーザー各位の“仮面ライダーBLACK RX”に対する思い入れの強さで、サポートしていくべきなのでしょうか。
 筆者の個人的な最終評価は、「RXのプラスをアクロバッターのマイナスで帳消し」といった感じです。

 尚、RX系フィギュアーツはこれで終わりではなく、この後7月に「ロボライダー」の発売が決定しています。
 しかも、WEB限定ではなく、一般販売で!
 残念ながら、5月中旬現在「バイオライダー」の情報はまだ公開されていませんが、ここまで来ると期待したくなりますね。

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