第112回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーカブト・ライダーフォーム(真骨彫)」
2014年4月14日 更新
これまで、S.H.フィギュアーツは、「劇中のスーツと比べるとなんか違う」という、負の特徴がありました。
一部の例外を除き、最近発売された物は、比較的本編のスタイルに近いのですが、数年前ないしは黎明期は、似ても似つかないものが大半でした。
そもそも、最初は「マスクの大きさを人間の頭部と同じくらいのサイズにする」という、ちょっと意味のわからないコンセプトを唱えていて、そのため小さい頭にバランスの悪いボディという、あまり人間味を感じないスタイルとなっていました。
特に、最初期に出た「S.H.フィギュアーツ仮面ライダーカブト」は、細過ぎる頭にガリガリの胴体、加えて酷いO脚(これは再販から改善)と、発売当初から物議を醸していました。
その後、続々発売されるラインナップのスタイルが、劇中のものに近づくにつれ、カブトの違和感はどんどん大きくなって行き、リメイク希望が各所で囁かれるようになりました。
そして2013年、ついに発表されたカブトのリニューアルは、なんとスーツアクターである高岩成二氏(JAE所属)の体型をトレースし、劇中のスーツに極限まで近づけるというコンセプト!
過去にない程のリアリティ追求を大きく宣伝した「真骨彫」を名乗り、実質的にはフィギュアーツの上位ブランドとして売り出した本商品は、嫌が上にもファンの関心を集めました。
そんな新・カブトの出来は、実際どうだったのか?
今回は、ここに重点を置いてレビューしていきたいと思います。
尚、今回のレビューのため「旧カブト」と「CORMカブトエクステンダー」を用意しようと思ったのですが、いまだ倉庫内から発見できないため、今回はこれらとの比較はゴメンナサイしています。
発掘が叶い次第、画像とレビューを追加しますので、何卒ご容赦の程を。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーカブト・ライダーフォーム(真骨彫)
2014年3月29日発売。
同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
2014年1月のラインナップは、以下の通り。
- 3/12(配送開始日)「アイアンマン マーク6 ブラックVer.」(魂ウェブ限定)
- 3/21 「モモ・ベリア・デビルーク(To LOVEる ダークネス)」
- 3/22(配送開始日)「ライドシューター(仮面ライダー龍騎)」「キョウリュウゴールド(獣電戦隊キョウリュウジャー)」(すべて魂ウェブ限定)
全高は約14.8センチ(頭頂部まで。ツノ除く)。
合計5種9個の手首付き。
カブトクナイガン・ガンモード付属。
カブトクナイガン・クナイモード付属。
メッセージカード付属。
コンセプトブック付属。
専用台座などはなし。
価格は税込5,400円。
今回は、仮面ライダーカブトではなく、本商品「真骨彫」について。
本商品の情報が初めてネット上に広まったのは、2013年7月。
10日頃、三日後に開催される「魂フィーチャーズ vol.6」にちなんだ魂WEBのオフィシャルページ上にて、いくつかの商品の予告情報が掲載されましたが(その中にはアギト・バーニングフォーム有)、その中に「リニューアル発売決定。モチーフは虫」という一文がありました。
しかし、虫モチーフでリニューアルなんて仮面ライダー以外には考えられず、しかして該当するものが多すぎなので、実際には何のヒントにもなっていませんでした。
「仮面ライダーBLACK」のリニューアル情報はとっくに出ていたので、当然それ以外のライダーという事だけは分かっていましたが。
そして12日、「魂フィーチャーズ vol.6」会場展示の事前情報がWEB上で広まり、その中に「リニューアルカブト」が含まれている事が判明しました。
フィギュアーツ新素体という触れ込みで、あみブロ等で公開されたその試作画像は、これまでの予想を大きく上回る完成度でした。
また、同時にいくつか飾られていた新素体モデルは、いずれも意味深なポージングで飾られており、今後の展開を予感させるような状況でした(実際その中には、真骨彫第二弾の仮面ライダー響鬼を思わせるポーズのものも)。
リニューアルカブトは、それまで「ULTRA-ACT」や「D-arts」の担当者がチームを異動して取り組んだものとのことで(過去の担当例として「D-artsアリサ」等があり)、人体の再現への拘りの強さなどが、特徴として挙げられていました。
そのため、スタイルや可動範囲、またボディバランスなどを過去商品より向上させてくれるのではと、ファンの期待も高まっていました。
しかし、この担当はD-artsの「格闘素体」にて、格闘ゲームのポージング再現に特化した素体を開発したと豪語しつつ、実際の商品「テリー・ボガード」はろくに動かない&造形が最悪という致命的な失敗もしていたので、中にはリニューアルカブトにも何か大きな欠点が隠されているのでは?! と不安がるファンもいたようです。
また、同担当は「ULTRA-ACT」時代、無闇にマッシブな体格にする癖があるとも言われており、もしやカブトも……という予想もあったりなかったり。
しかし、実際に発売されてみると、それらの不安は殆ど全て杞憂に終わりました。
先の通り、スーツアクター・高岩氏の体型を参考に造形し、更に人体の可動を意識した関節構造や可動ギミックをふんだんに盛り込み、「動かすとなんか凄い」というフィギュアを見事に完成させています。
さすがに劇中完全再現とはいきませんが、良い感じの再現度&若干のアレンジが利いていて、本編イメージにかなり近い……否、ある意味それ以上ともいえるスタイリング再現に成功しています。
素材などの都合上、劇中スーツ同様の可動というのはさすがに不可能ですが、各部位にかなりの工夫が施され、ただ素立ちだけが似ているフィギュアになっていないところはさすがです。
また、可動させてもプロポーションが大きく崩れないようにするというのもコンセプトの一つのようで、それは充分に成功しているといえます。
前後比較。
旧カブトとは比較にならないマッシブさで、全体の肉厚感が高まっています。
コンセプト通り、まるで人が着ているかのような、自然なプロポーション。
これは、さすがと言わざるを得ません。
ただこうして見ると、装着変身の体格も、割とスーツに近いバランスだったなぁと今更ながら思い知らされたり。
頭部アップ。
ツノの太さ、大きさのバランス、複眼の大きさや幅、顎部分の比率など、文句のつけようのない造形。
非常に良く出来ていて、今後も是非このグレードを維持して頂きたいと願う気持ちは強いのですが、反面、複眼周囲の黒縁部分の塗装精度や、ツノとの密着度が意外に低いため、複眼のブルーがありえない部分に透けてしまっている点は、非常に残念です。
特に、鼻筋部分にチラチラ見える青は、アップ画像だけでなく肉眼でも結構目立つので、気になる人には気になって仕方ないかもしれません。
個人的には、この問題点を含めても尚、このマスク造形は絶賛したいところですが。
本当は横長の楕円に過ぎない複眼が、カブトホーンの逆三角形部分のためにやや吊り目気味に見える特徴も、しっかり掴んでいます。
尚、カブトホーンは可動しません。
ほぼ同じ時期にプラモデル「Figure-rise6仮面ライダーカブト」が発売され、そちらは(マスクドモードも再現可能なため)カブトホーンが可動するので、情報を混同された人達もいたようです。
或いは、後述のカブトゼクターのツノ可動と間違えたとか?
真横から。
ここまで頑張って造りこんだ頭部だからこそ、悪目立ちしてしまう分割線。
仕方ないことではあるんですが、せめてもうちょっと目立たなくなるようなパーツ分割をして欲しかったと思えてなりません。
いや、今までのアーツもこうだから、仕方ないのは分かるんですけど。
なんだかこのカブトの分割線だけ、やたらと目についてしまうんですよね。
首の可動は、ここまで俯かせることができます。
これは、かなり表情付けに役立ちます。
反面、顎を上げる動作はほぼ不可能と言ってもいいくらいです。
一応、首軸自体を後方にスライドさせることで、ちょっとだけ斜め上方に向けられますが、バイクに乗る時のような上げ方は出来ません。
後述しますが、真骨彫はその宣伝内容から来るイメージに反して、思ったほど可動範囲は広くありません。
従来のフィギュアーツと殆ど変わりない程度なので、この首可動も、そういった要素が垣間見える部位といえます。
肩や腕部の可動は、こんな感じ。
ブレイド系アーツ等と良く似た肩アーマーの接続方式で、可動による不自然な途切れを防ぐ効果が高くなっています。
腕は、真横に120度以上?は上がります。
肘も、二重関節で90度以上しっかり曲がります。
曲げた肘のラインも、不自然さはなく綺麗な流れを維持している点にも注目です。
肩アーマーの付け根構造。
ちょっとわかり辛いですが、上腕から「コ」の字型のジョイントで接続されています。
思った以上にアーマーの可動範囲が広いので、かなり融通が利きます。
今回は、胸アーマーの一部が可動します。
これは、「仮面ライダーアマゾン」のように、胸板が独自可動する構造ということです。
カブトの場合、単に動くだけじゃなく、回転まで可能です。
一見これはあまり可動に影響しないように感じますが、実際は地味ながらもかなりの効果を発揮しています。
こちらは、胸アーマーを一切可動させないで、両腕をまっすぐ前方に伸ばした状態です。
両拳は外側に開き、八の字になっています。
こちらは、胸アーマーを可動させ、限界まで両腕を寄せた状態。
これにより、だいたい平行になります。
目測ですが、おおよそ15度くらい開き角度が変化します。
一見大差なく思えますが、これがポージングの際に地味に響きます。
胸部以外にも、可動箇所があります。
腹部のアーマーも、前後に動かすことが可能。
こちらは、通常の状態。
こちらは、腹部アーマーを最大まで引き上げた状態。
ちょっと分かり辛いかもしれませんが、前の画像と比較すると光の当たり具合が全然違うことがわかります。
言うまでもないですが、これらは劇中のスーツにはない、オリジナル解釈の可動です。
腹部アーマーを開いた状態を、真横から見た様子。
ベルトのバックル(カブトゼクター)に被るくらい、前に出ていることがわかります。
正直なところ、このギミックによって前屈具合が大きく変わるわけではないのですが、あともうちょっとだけ屈めれば……という時に、効果を発揮します。
これまでのアーツでは、膝パーツが外れやすいものがたまにありましたが、今回は肘パーツも別パーツになってしまいました。
撮影に使ってる個体は全く外れる様子がないのですが、中にはやたらポロリするものもあるそうです。
紛失に要注意というところですかね。
カブトゼクター。
造形、立体感、パーツの精度など、旧版とは比較にならないくらい良い感じになりました。
バックル部以外にも、ベルト部分の造形なども格段に向上しています。
今回の目玉の一つに、カブトゼクターのツノが可動するという点があります。
これで、ライダーキックの動作も自然に作れます。
ちなみに、ツノの可動範囲には限界があって、左側に目一杯倒しても途中で止まるため、分離状態のカブトゼクターと同じ位置にすることは出来ません。
両脚の可動範囲、横方向はこんな感じ。
膝の可動は、こんなもの。
ここは、意外にもあまり曲がりません。
他のフィギュアーツは、きっちり折り曲げてふくらはぎの裏側が太股につくものが多いのですが。
まあ、これがポージングの支障になるかといえば、そういうわけではないんですけどね。
それより、こんな姿勢でも支えなしで立てる事に驚いていたり。
立て膝にすると、こんな感じ。
可動範囲の確認云々以前に、こういう姿勢を取らせても違和感が殆どないボディラインと各部関節構造に、驚愕させられます。
ここまで触れてきたように、各部位の造形や可動範囲、可動後のラインなどは大変優秀ではあるんですが、ではそれらが全部まとまった結果はどうかというと、正直な話、驚くほど大きな変化は見られません。
部位によっては、旧カブトの方が良く動くというケースもあったりします。
例えば、OPの低姿勢の滑り込みポーズも、正直再現仕切れるとは言いがたいものがあります。
ただ、真骨彫は決して過去商品を越える広範囲の可動を売り文句にしたわけではなく、あくまで人体構造を意識した造形が売りなので、この辺りは決して問題というわけではありません。
むしろ、ここまで動かせれば上等なんじゃない? と個人的には思います。
今回、手首の接続方式が大幅に変更されました。
電王の装着変身とfigmaを合わせたような形式で、割と手軽に交換が可能です。
安定感も高く、返しがあるので勝手に抜けることもなく、またクルクル回転することもありません。
ただ……
こんな仕様のため、手首のスイングが上下方向のみとなってしまいました。
これまでのような、横方向へのスイングは、完全に不可能です。
これは、後述するカブトクナイガンのような手持ち武器を装備する際にネックとなる問題。
今回の真骨彫で、最も非難が集中した改悪箇所です。
せめて、「figma初音ミクVer.2.0」のように、軸棒+ボールジョイントといった仕組みになっていれば、差換え簡単&手首回転を両立させられたのですが。
手首ホルダー。
棒状ジョイントの手首をホールドする、専用の部品が付属します。
しかしこれ、ぶっちゃけ殆ど役に立ちません。
固定力がとても甘く、すぐにポロリするのでストレスが半端ないです。
画像を見ると、軸が浅くはまっているからポロリするんでは? と思えそうですが、これは深く差し込んでも手首を曲げると浮いてくるので、結果的にこうなってしまうんです。
ここは、素直にfigmaや新ミクロマン形式をパクれば良かったのに…と、素直に思ってしまいます。
手首ホルダーは、二つに分割できます。
構造を見ると、どうやら連結も可能らしいんですけど、仮にこのシリーズが続いたとしても、他の手首ホルダーを連結させる人なんかいるんだろうか? と思えてなりません。
とにかく、なんだかよくわからない仕様です。
カブトクナイガン2種が付属。
上がガンモード、下がクナイモード。
今回も、分離ギミックはなし。
グリップ下部が小さいままなので、アックスモードとしては使えなさそうです。
カブトクナイガン、どちらのモードにも対応手首が付属します。
ただ、先述の通り手首のスナップが特定方向のみしかできないため、今ひとつ構えが決まらないのが残念。
まあ気を取り直して、カブトクナイガンを持たせて適当ポーズ。
あんまり使ってた記憶ないけど。
そういやアックスモードは、マスクドフォームが使っているイメージが強かったですね。
だからライダーフォームには不要と判断されたのかな?
まあそれはそれとして、なんだかんだで武器を持たせてもバッチリポーズが決まるのは、素晴らしいもんです。
惚れ惚れするなあ。
旧カブトはいまだ発見されていませんが、代わりに「仮面ライダーケタロス」が出てきたので、こいつと比較。
カブトのリデコ商品で、おおまかなスタイルは同じなので、充分比較になるかと思います。
真骨彫との造形の差はしょうがないとしても、細くて小さい顔、バランスが悪くひょろ長い手足、この立ち方でもわかるほどのO脚……
時の長さの残酷さと、商品解釈の違いの滑稽さを、嫌というほど見せ付けられる対比といえるでしょう。
とはいえ、やはり足首ダイキャストの安定感の高さだけは、旧版アーツの方に軍配が上がるんですよね。
カブトといえば、独特のライダーキック。
敵にあえて背を向けながら
『1・2・3……』
「ライダー……キック」
『ライダーキック!』
ゼクターのツノ可動が嬉しい瞬間。
ライダーキック。
これの決まり具合は、かなりのもの!
浮かせたキャラをそのままに、別なポーズを取らせれば、なんとなくクロックアップ状態っぽく見える?
ライダーキック時のポーズ。
単に足が上がるだけではなく、腰の横方向への傾倒も効果を発揮していて、より自然なスタイルになっています。
これは、試作品展示でも行われていた姿勢なんですが、相当自信のある売りポイントだったようで、確かにそれだけの見事さを感じさせます。
ちなみに、足の裏も塗装やモールドはしっかり。
代表的な「天の道を往き〜」の指差し手首について。
今回、何故か人差し指が曲がっています。
劇中では(曲がっているように見えることもあったけど)、一応ピンと伸ばしてるんですけどね。
あと、この手首に限りませんが、スーツアクターが手袋をつけた状態をご丁寧に再現しようとしたせいなのか、なんだか妙に指が短い気がします。
ここは、再現度を無視しても少し伸ばして欲しかった気がします。
実際、脚なんかも劇中対比より若干伸ばしてるんだし、それくらいのアレンジはいいんじゃないかなー? と思ったりします。
「CORカブトエクステンダー」がようやく発掘されましたので、画像追加。
CORカブトエクステンダーは、ご存知の通り、本来は大型のフットステップやら、シートにフィギュア固定用のアダプタ(のようなもの)が付属しているのですが、今回のものはそれらを取り除いたプチ改造品です。
ちょっとバイクが大きめという程度で、割と合ってるようにも思えますが……
実際は、かなり無理が生じます。 脚は結構いい感じにフィットするのですが、やはり首と腰の波動範囲が厳しく、まともに搭乗しているようには見えません。
まあ、規格が全く違う製品同士なんで、しょうがないんですけど。
キャストオフ後。
というわけで、CORカブトエクステンダーは、真骨彫カブトと合わせるには些か難があるようです。
ここは是非、フィギュアーツ版の発売に期待をかけたいところですが。
それにしても、今見ても本当に奇抜なデザインとギミックのバイクだよなあ……
今回、パッケージが大きく変化しました。
商品のアップ画像を堂々と表面に出し、商品名は超控えめという、かなり変わったもの。
箱自体はマット加工で厚みもある豪華なものなのはいいんですが、正直、パッケージデザイン自体はかなり手抜き。
というか、デザインセンスを疑います。
裏面。
なんかかえって没個性化したような……
パッケージは、合わせ箱形式です。
上蓋を取ると、メッセージカードが一枚。
その下に、色々入っています。
パッケージ側面には、「MASKED RIDER KABUTO」と「S.H.Figuarts」の文字とロゴが箔押しされています。
内容物はこんな感じです。
上は、左からカブト本体、備品、メッセージカード。
下は、説明書、コンセプトブック。
コンセプトブックとは、その名の通り真骨彫のコンセプトを解説したパンフレットのようなものです。
内容はこんな感じで、真骨彫を作る上でどんなこだわりを持ったのかを、軽く触れた程度の内容です。
本当にあっさりした内容なんで、WEB上で真骨彫の情報を集めていた人なら、既知の情報に過ぎません。
個人的には、これと説明書を一体化させれば良かったんじゃない? と思えてなりません。
つうか、説明書の内容超ショボいんで、わざわざ分ける必要性感じないんだもん……
まぁこんな感じで、商品パッケージはいつもよりかなり豪華な仕様で、高級感を煽るスタイルになっています。
商品仕様の概要は、これで全部です。
以降、適当な撮影。
ディケイド捜索隊を編成してみたり。
ようやく、スーパー1やスカイライダーと並び立てるグレードのカブトが並べられて、嬉しいものです。
この編成で飾りたいと願う人が、今のご時世にどれくらい残ってるか疑問ではありますが。
ネタが古かったことを反省して(嘘)、最新の対戦カードを。
広範囲に放ったエレクトロ・ファイヤーでクロックアップを強制停止させる戦法は、実にいいアイデアでしたな。
結局負けたけど、ストロンガガガガガ。
以上、真骨彫仮面ライダーカブト・ライダーフォームでした。
【買ってみて一言】
完成度の高さ、各部位の造形のこだわり、可動時のボディラインの途切れをなくす工夫など、様々な気配りと技術が凝縮されており、本当に素晴らしい商品であると思います。
現時点では、まさに究極の仮面ライダーカブトであると言い切っても過言ではないかもしれません。
そう言いたくなる程、この真骨彫の出来は凄いです。
カブト好きなら、是非とも手にとって欲しい逸品であると、筆者は断言したいです。
が。
かといって、問題点が皆無であるというわけでは、決してありません。
一番の問題点は、この程度の仕様で5000円を越える価格という点。
フィギュア自体は一旦置いておくとして、この価格帯にしてこの付属品のお粗末さは、さすがにどうかと思えます。
確かに、カブトはそんなに多くの付属品を必要としないライダーではありますが、ここまでやるならエフェクトを付属するなりしてもバチは当たらなかったのでは? と。
それに、ゼクトマイザーという付属装備すら(需要の有無はともかく)ないというのも、いささか疑問を差し挟む余地があります。
正直、中身がないに等しい……言い換えれば、製作者の独り言でしかないコンセプトブックなど付けるくらいなら、もっと価格の低減化に努めろよと言いたい気持ちです。
また、肝心のカブト自体も、果たしてここまで高額化させるほどのものかという疑問点が拭えません。
確かに出来の良さは素晴らしいのですが、高岩氏の体型再現とまではいかなくても、「何故もっと早くこれができなかったのか?」という部分が、あまりに多すぎます。
特に、マスクの造形やバランスなどは、わざわざ真骨彫と銘打つまでもなく、これまででも充分行えただろうレベルのものですし、まして可動時のボディラインの途切れ防止などは、ブレイド系やリニューアルBLACKなどでも採用済みであり、決して新しい要素ではありません。
また可動範囲自体も、昨今のフィギュアーツとしては並レベルで、決して目を見張るものではないです。
格闘素体の時ほどの「宣伝文句と実物の落差」の酷さはありませんが、果たしてこれは本当に、わざわざ骨格から肉付けを試みて作ったのか、些か疑問を差し挟む余地があります。
というか、実際にやってるんだろうとは思うんですが、それが効果を充分に発揮してるかどうかは、果たしてどうなんだろうというのが、素直な感想です。
確かに、カブトのスーツデザインを考慮すれば良く工夫はしてますし、あとちょっとの可動が叶うという点は高評価できるのですが、それを考慮に入れても、全体の可動は思ったよりも凄みを感じません。
なので、思いっきり動かしてガンガンポージングを楽しむというプレイスタイルには、意外にも向いていない気がします。
どちらかというと、動かせるディスプレイモデルといった印象が強いと云えます。
と、いきなり掌を返したような評価をしていますが、逆に云えば、価格にさえ納得が出来るのであれば、本商品は殆ど問題らしい問題のない商品であると、結論付けられます。
真骨彫は、この後8月に「仮面ライダー響鬼」の発売が決定してまして、4/14に予約も開始されました。
こちらも、価格は5,400円。
このままこの価格帯を貫いて、フィギュアーツの上位ブランドとしての位置づけを確立させていくのか、それともここから更なる進化と値上げが始まるのか……
とにかく、フィギュアーツシリーズが新しい領域に入ったことは事実なんで、今後の展開に期待したいものです。
というか、もうガンガン、リメイクライダーを作り続けていって欲しいものです。