第71回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーファイズ アクセルフォーム」
2011年9月11日 更新
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「仮面ライダーファイズ」の中間形態にして、事実上の最強フォームではないかと云われた「仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム(以下アクセルフォームと表記)」が発売されました。
装着変身同様、今回も限定品だったわけですが、大方の予想通りで何の問題もなかった模様?!
今回は、時代に合わせて進化した、新しいアクセルフォームについて触れていきたいと思います。
尚、本当はこれより前に「仮面ライダーファイズ・ブラスターフォーム(以下ブラスターと表記)」が発売されているんですが、諸事情によりまだ入手していないため、申し訳ありませんが先送りとなります。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーファイズ アクセルフォーム
2011年2月25日〜5月10日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
2011年7月25日配送。
同時配送物は、「ライドベンダー&メダルセット(仮面ライダーオーズ)」「カズマ 第二形態(スクライド)」
2011年7月の販売ラインナップは、以下の通り。
- 7/16 「アンクスタンドセット」
- 7/30 「仮面ライダーオーズ・シャウタコンボ」
全高は約14.3センチ(ツノ含まず)
合計4種6個の手首付き。
ファイズフォン、フォンブラスター(通常)、フォンブラスター(Fポインター合体)の計3個付属。
ファイズドライバー(バックル部のみ)計3種付属。
ファイズショット小、(右手首付の)大の計2個付属。
ファイズポインター(小・大)の計2個付属。
ファイズエッジ1本付属。
ファイズアクセル(アクセルメモリー差込状態)1個付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込3,465円。
仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム。
センチピードオルフェノクからの戦利品「ファイズアクセル」を入手した草加雅人※
は、自分(仮面ライダーカイザ)では使わず、乾巧に与え使用させることにした。
ファイズに変身した巧は、腕時計型のファイズアクセルから「アクセルメモリー」を引き抜き、ファイズドライバーのミッションメモリーと交換。
すると、ファイズの姿が変化し始め、赤い目と銀色のフォトンストリームを持つ「アクセルフォーム」になった。
アクセルと化したファイズは、胸部のフルメタルラングを解放、ファイズアクセルのタイムカウント開始と同時に、1000倍もの超加速能力を発揮した。
時間の流れが鈍化したような空間内で、更に加速が行えるようになったファイズは、これまでは行えなかった超絶かつトリッキーな戦法が出来るようになり、既存の技も大幅なパワーアップを果たす。
10秒間という時間制限があるものの、この状態のファイズは一度に無数のクリムゾンスマッシュを放てるほどになり、まさに敵なしの状態へと突入した。
だがしかし、オルフェノクの中にも、超加速能力を秘めている者達がおり――
※あくまで設定上の話で、劇中ではファイズアクセルを手に入れる場面は存在しない。
諸事情でレビューが遅れてしまいましたが、アクセルフォームです。
真っ赤なバイクのあんちくしょうのせいで、単にアクセルと書けなくなってしまったのが無念ですが、気にせず行ってみます。
今回は、「仮面ライダーファイズ(以下ノーマルと表記)」のリデコ商品の一つで、ブラスター以上にそのまんまな仕様です。
塗装、胸部形状以外は、基本的にノーマルそのまんまの仕様だと考えて支障ありません。
実際には細かな差異がありますが、それは順に触れていきます。
アクセルフォームは、これまでS-RHFや装着変身などでも発売されていて、より高額な他社製品でも人気を集めていたのですが、手頃な価格帯とサイズの物でリアル寄りの造型のものは、かなり少なかった模様です。
「装着変身・仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」のレビューでも触れましたが、「仮面ライダー555」本放送当時に発売された「S-RHF仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」は大変な不評ぶりで、物凄い規模の不良在庫になってしまいました。
そんな背景もあってか、バンダイはあまり積極的に商品化することはなく、装着変身の時もその販売方法に不満の声が上がっていました。
大人のファンには人気があったにも関わらず、関連商品が売れなかった理由は後ほどビジュアル的にハッキリわかる事になりますが(含み)、まずはそんな“呪われた?”アクセルフォームの最新商品仕様に迫ります。
前面・背面比較。
相変わらず太めの体格ですが、これはノーマルやブラスターも同様なので、あえて不問に伏すとします。
それより気になるのは、妙に頭部が小さく感じる事と、首が長く見えることでしょう。
これはノーマルの時以上に気になる点なので、以下で細かく見て行きます。
まずはアクセルフォームの頭部アップ。
複眼(アルティメットファインダー)のモールドが縄状に変化しています。
また、各部位の形状・大きさが微妙に変化しているのもわかります。
ノーマルではオミットされていた、複眼の縁取りはこちらではしっかり施されています。
頭部側面。
なんか、首の形状がキモイことになってます。
明らかに首が浮いて、しかも鎌首もたげてるみたいになってますが、これが定位置だったりします。
全体的にバランスがおかしくなっているようにしか見えません。
どうしてこうなったのか……
ここで、同じ角度で撮影したノーマルの側頭部を見てみます。
こちらは、ちゃんと首と頭部が接合している感じで、首も長くは感じられません。
発売当時は小さめと云われた頭部も、こうしてみるとベストサイズだとわかります。
ノーマルとアクセルフォームの頭部を外し、並べてみました。
こうしてみるとわかりますが、実はアクセルの頭部はノーマルの流用ではなく、新規造型です。
その際、なぜかコンパクト化を果たしてしまったというわけです。
意味がわかりませんね。
ちなみに、新規造型といってもこれはアクセルフォーム用に新しく作られたという意味ではありません。
実際には、これより早く発売したブラスターの方に使用されています。
なので、正しくはブラスターの頭部(の型)を流用したと云うべきでしょうか。
横向きで比較しても、大きさの違いがハッキリわかります。
それにしても、何故小型化してしまったのか、そして首から浮いてしまうようなジョイントになったのか?
造型自体は大変良いのに、これではせっかくの良さが台無しです。
ああもったいない。
ノーマルとアクセルフォームの頭部を、それぞれ交換してみることで、違和感がより明確化します。
頭を小型化する必要なんか全くなかったことが窺えますね。
ノーマルは、発売前の時点で頭部が小さい(相対的に身体が大きくなり無駄にマッシブに見える)という指摘が沢山あり、実際にそれで買わなかったという人もいました。
しかし実際は、そこまで極端に頭部が小型化していることはなく、割と許容出来る範疇に留まっていました。
ところが、アクセルフォーム(正確にはブラスターから)は、まるで発売前のイメージに戻ってしまったかのようです。
その上で首まで長くなって見えるわけですから、これでは嫌われても仕方ありません。
まあ、アクセルフォームだからという事であえて買った人も多いと思いますが、これは指摘しないわけにはいかない問題点だと思われます。
新造型の胸部・フルメタルラングの内部です。
ブラッディ・コアが露出した状態で、アクセルフォームの特徴の一つです。
こちらは良く出来ていて、存在感バッチリ。
装着変身では起動直後の黄色で塗装されていたブラッディコアですが、今回は起動中の赤色になっています。
伝統に基づき? フルメタルラングの開閉は手動で行えます。
ただし、フルメタルラングの形状が胸のカーブに沿ってないため、重ねると色々おかしなことに。
この辺はオマケ要素と解釈するか、再現不足と受け取るかで評価が大きく変わりそうです。
横から胸チラ+開閉途中。
フルメタルラングはABS製。
今回は裏側や底面部のモールドまでしっかり作られています。
跳ね上がったフルメタルラングは、ものすごく邪魔そうに感じられますが、実際には可動を妨げることは全くありません。
腕を上げるのだってこの通り。
「デスティニー!」
左手首のファイズアクセルは、取り外し&交換可能。
アクセルメモリーが刺さった初期状態のものと交換出来ます。
……って言っても、アクセルになった時点でアクセルメモリーがここに刺さってる筈がないので、あまり意味はないんですが。
それならノーマルの左手首に着ければ……と思っても、このようにジョイントがないので改造でもしない限り着けられません。
手前は、ファイズアクセルを取り外した状態のアクセルフォーム左手。
まあ、ないよりはあった方がいいので、文句というわけではないですけど。
なんだかもったいないので、その後ノーマルに装着出来るように改造しちゃいました。
0.8mmφの真鍮線で2点支持。
リストバンドもないし、本体がちょっと浮いてしまってますが、なかなかいい感じに固定されています。
ノーマル発売の時点で、その後のアクセルやブラスターの商品化が決まってなかったので、拡張のゆとりを加えることが出来なかったのか、それとも最初からそのつもりがなかったか……
ファイズドライバー。
アクセルメモリーが刺さっている、赤いバージョンに変更されています。
しかし、あれ以来「アクセルメモリー」というと、全く別な物を指すイメージが強くなってしまいましたね。
これはノーマルにも流用出来るので、アクセルフォーム変化直前の様子再現にも活用出来ます。
それはいいんですが、なぜかメモリが刺さってないものまで入ってます。
更にさらに、ファイズフォンを取り外したものまで。
ノーマルのパーツを流用したための結果ですが、これはアクセルフォームにとって全くの無駄では……
これで取り外したファイズフォンにアクセルメモリーが付いていれば、まだ玩具オリジナル設定と割り切るのも可能でしたが。
こちらはなぜかノーマルのミッションメモリーにされています。
アクセルメモリーどこいった?!
まあ、せっかく付いてるのでフォンブラスターを構えてみたり。
もし、アクセルメモリー付いた状態で使用していたらどうなっちゃったんでしょうね?
結構ものすごい画面に出来たかも?
当然、ファイズポインターの付いたフォンブラスターも付属。
メモリは言うまでもなく黄色。
これらはもう、ノーマルの予備部品としてしか意味を成さないような気がします。
右手首と一体化したファイズショットも付属。
こちらは、ミッションメモリーで正解。
これのせいで? 武器持ち左手が付いてこないのもノーマルと同じ。
アクセルフォームのグランインパクトも、クリスマみたいにド派手で予想の斜め上を行く演出が欲しかったですね。
結局地味武器のまま終わってしまったのが惜しい……
ファイズエッジも付属。
こちらも、ノーマルと全く同じです。
アクセルフォームは、ファイズエッジによる超高速辻斬りをやっていた事もあり、割と重要アイテムです。
アクセルフォームほど、動くことで魅力を発揮するライダーはいないんじゃないかと思います。
単に超加速するだけならカブト系ライダーもありますが、あれとは何かが大きく違っている気がします。
逆にいえば、フィギュアーツのアクセルフォーム単体だけを静かに飾っているだけでは、劇中のような迫力を伴う魅力を味わうのは難しいという事にもなりかねません。
やっぱり、劇中のアクションを実感させるような「何か」が欲しくなるのは、人情ではないでしょうか。
こうなってくると、吹っ飛ばされてるオルフェノクまたはその代役の何かが欲しくなってくるというものです。
もっと現実的に考えるなら、フィギュアーツの「仮面ライダーザビー」を用意してディケイドカブト編の高速バトルを再現してみるとか?
もっとも、あの時のファイズはディケイドが変身した姿でしたから、ベルトの形状が異なっているんですが。
アクセルフォームというと連想されるのが、誰もが驚いたあのトンデモないクリムゾンスマッシュ。
その構えともいえるウ○コ座りモーションも、しっかり再現したいところです。
可動範囲はノーマルと全く同じなので、あちらで行った工夫を適応すればそれっぽい姿勢に出来はしますが、やっぱり難易度は高いです。
腰の可動部拡張だけに頼らず、太股の付け根を思い切り動かして前傾姿勢にする必要がありますから。
――もう自立出来ないくらいにまで。
ミッションメモリーを刺したバージョンのファイズポインターを装着して。
クリムゾンスマッシュ。
そういえば、ノーマルでは豪快に間違われていた足裏先端部の模様ですが、今回はちゃんと修正されて「\ /」の形になっています。
相変わらず無塗装ですが。
やっぱり、クリムゾンスマッシュのエフェクトが欲しくなりますね。
それも、十数個くらいは。
自作するかなあ……
ノーマルとアクセルフォームの比較。
頭部だけはさっきやりましたが、あらためて全身を。
やっぱり首周りが別物に感じられてしまいますね。
なんとなくアクセルフォームの方が背が低く見えますが、立たせ方が悪かっただけで実際は同じです。
先で触れた、不良在庫の王「S-RHF版アクセルフォーム」との比較です。
ソフビサイズなので、めちゃくちゃ大きいのは前回も触れた通り。
今回久しぶりに出してみたんですが、複眼部分にかなりの可塑剤気化が見られ、ベタベタになっていました。
その結果、色が薄まってしまったようです。
S-RHF版も胸部開閉は手動だったんですが、内部構造が色々複雑だったせいなのか、妙に鳩胸になった上、何故か両腕を真上に上げられない(正面に出すのが精一杯)という仕様でした。
単なる時代の流れだけでは片付かない、モヤモヤしたものが残ります。
蛇足ですが、左は当時価格1,600円。
右の半分以下の定価でした。
「装着変身版アクセルフォーム」との比較。
配送当時ですら、出来の悪さを指摘されていた物ですが、今回の比較でより難が目立つ形になりました。
それでも、当時は結構重要なアイテムだったんですよね。
胸部開閉機構とその造型については、今でも一番良い処理だと筆者は思っています。
ブラッディコア部分が黄色というのも、特徴ですね。
今回の撮影のため、数年ぶりに装着変身アクセルフォームを取り出してみたわけですが、なんだかとっても懐かしい光景が展開しておりました。
お持ちの方は、商品の状態確認をお勧めします。
まだ取っておきたいとお思いなら、ですが。
破損部のアップです。
アレと同じ症状が出ています。
というか、今回うちのは太股前面部に真横に走る亀裂が生じておりまして、今までの自然破損の中でも最もダメージが大きくなっていました。
さすがに、今となってはもう交換申請も無茶でしょうが……
こちらの件は、「装着変身・仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」の項にも追記しておきます。
以上、仮面ライダーファイズ・アクセルフォームでした。
【買ってみて一言】
元々良く出来ていたファイズのリデコ品ということで、今回もそつなく造られていて非常に良好ではあるんですが、ここまで述べてきた通り「頭の大きさ」と「無駄な付属品」には首を捻らざるを得ません。
何故、ノーマル頭部を踏襲した造型に出来なかったのか、またアクセルには無駄にしかならない装備をわざわざ付属させたのか、本当に疑問です。
まあ前者は、ブラスターにもかかる問題なのでアクセルフォーム単独の難点とは言い難いですが、後者は本商品オリジナルの疑問点でしょう。
確かに、付属品は足りないよりも多すぎる方がマシではあるのですが、元来アクセルフォームは“ノーマルよりも使用するアイテムが極端に減少する”性質があるため、安易な部品流用は裏目に出る筈なのです。
今回はそれがモロに出てしまい、「本当に本編の設定を理解しているのか」と言いたくなります。
そんなものをわざわざ付けるゆとりがあるなら、一個でいいんだから武器持ち左手を付けろと。
アクセルフォームにだってファイズエッジはあるんですから、左手に持たせてもいい筈ですから。
手頃な価格帯の商品、という条件を付ければ、本商品は「仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」としてはトップクラスの完成度であると云えます。
しかし、それにしては不満点が多く、相対的にトップなだけで決して充分な完成度に至っているとは言い切れません。
アクセルフォームは、2010年10月開催「魂ネイション2010」にて公開されましたが、その当時から頭部の小型化・フルメタルラングの形状のいびつさ等が指摘されていました。
にも関わらず、結局修正される事なくそのままの発売になりました。
一般販売ならばともかく、WEB限定なんだから、もう少しだけ頑張ってくれても良かったんじゃないかなとすら思えてしまいます。
特徴的な、指先の銀色まで相変わらずオミットしたままというのも、なんだかな〜といった感じです。
ブラスターの方では、ファイズブラスターの付属は当然として、更に巨大な刃型のエフェクトパーツまで付けるという「何故ここまで」的な展開を一般販売でやってのけたのです。
それでいて価格は3,675円と、アクセルフォームより高いとはいえ価格差はそんなに大きく開いていません。
それぞれのフォームの人気度合いの影響で、アクセルフォームの評価はかなり甘く見られている気がしなくもないですが、今回の商品は正直残念なレベルでしかないと結論付けるしかありません。
もっとも、それでもアクセルフォームが大好きだから許せる、という人も多いことでしょう。
結局、どこで折り合いをつけるか、どれだけ思い入れでカバーするかが、本商品に求められている要素なのではないでしょうか。
あんまりこういう事は言いたくないですが、今回ばかりは「修正ヘッド出して欲しいよ」と書きたくなってしまいます。
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