第72回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー龍騎&ドラグレッダーセット」
2011年9月11日 更新
2011年8月、S.H.フィギュアーツに新たなライダーカテゴリが誕生しました。
2002年度放映で、平成ライダー初期の人気作品「仮面ライダー龍騎」。
その第一弾・仮面ライダー龍騎は、これまでのフィギュアーツでは考えられない内容構成と価格で登場しました。
その背景には、実に色々なことが見え隠れしているのですが……
というわけで今回は、この商品とその関連話について、詳しく触れてみたいと思います。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー龍騎&ドラグレッダーセット
2011年8月27日発売。
同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
2011年8月の販売(配送)ラインナップは、以下の通り。
- 8/6 「キュアムーンライト(ハートキャッチプリキュア!)」
- 8/20 「仮面ライダーオーズ・プトティラコンボ」
- 8/29(配送開始日) 「仮面ライダーアクセル・ブースター(仮面ライダーW)」
龍騎・全高は約14センチ
合計7種12個の手首付き。
ドラグレッダー・全長は約57センチ(鼻先〜ドラグセイバー末端まで)。
ドラグバイザー、ドラグセイバー、ドラグクロー、各一点付属。
ドラグシールド二点付属。
ドラグシールド用グリップ二点付属。
専用台座付属(アーム三本・台座一点の組合せ)。
アドベントカード五点付属。
価格は税込3,990円。
仮面ライダー龍騎。
「仮面ライダー龍騎」の主人公・城戸真司が、龍の紋章のカードデッキで変身した姿。
ミラーモンスター・ドラグレッダーと契約をしており、龍召機甲ドラグバイザー(手甲型装備)にアドベントカードをベントイン(挿入)することで、ドラグセイバー(剣)やドラグシールド(楯)、ドラグクロー(拳)等の武器を使いこなす。
契約モンスターのドラグレッダーがかなり強いためか、基本性能は全ライダーの方でもかなり優れた方で、特に各武器・必殺技の破壊力は凄まじい。
ただし、変身者である城戸真司の性格や考え方のせいか、これら性能が充分かつ有効に利用されているとはいささか言い難い面もある。
最強必殺技(ファイナルベント)は「ドラゴンライダーキック」で、ドラグレッダーの吐き出す火炎で加速された跳び蹴り。
これまでのライダーシリーズで見られたライダーキックのような、命中して吹っ飛んでから爆発するタイプとは異なり、敵に命中した瞬間から爆発が始まるという、大変インパクトが強いものになった。
蛇足だが、ドラゴンライダーキック発動前の構えは、一部のモーションが「五星戦隊ダイレンジャー」に登場するリュウレンジャーの名乗りとよく似ているという特徴がある(蛇足だが、スペシャル版ではリュウレンジャー亮を演じた和田圭一氏が、先代龍騎・榊原を演じていた)。
本作における仮面ライダーとは、それまでのシリーズで用いられた概念・名称とは大きく異なり、神崎士郎が作り出した「ライダーシステム」で変身した者のみを指す。
このため、神崎士郎の設計図面を参考に香川教授が作り出した「オルタナティブ」は、ほぼ同じ性能を持ちながらも仮面ライダーとは呼ばれない。
仮面ライダーは、後述する「ミラーワールド」という特殊な次元世界に入り込むために必要な防御システムであると同時に、戦闘能力を大幅に強化する武装でもある。
本来、人間が滞在する事が出来ない(入ると消滅してしまう)ミラーワールドにおいて長時間の活動が行えるが、仮面ライダーといえど滞在制限時間があり、それを越えるとやはり消滅してしまう。
そのため、変身者には限定された時間内でミラーワールド突入と目的遂行を行わなければならないという、厳しい条件が付加される。
本作には、鏡の世界「ミラーワールド」と呼ばれるものが存在し、そこにはモンスター(ミラーモンスター)という危険な存在が多数生息している。
モンスターは時折ミラーワールドから現実世界に現れ人間を補食するが、その姿は普段は誰にも見えない(被害者が襲われる瞬間だけ、例外的に見えることはある)。
仮面ライダーは、このモンスターを駆逐しなければならないという使命を持つが、それは決して人を守るためではない。
彼らはモンスターの一部と契約を行い、(仮面ライダーに変身する以上の)特殊な力を得て他のモンスターを狩っていくが、その際「倒したモンスターの魂」を契約したモンスターに捧げなければならない。
この契約を破ると、仮面ライダーは契約モンスターに襲われ食い殺されてしまう。
つまり、パワーアップの代償にモンスターを倒し続けなければならないという条件を課せられ続ける事になるが、もう一つ、やらなければならない使命が存在する。
それは「仮面ライダー同士で殺し合い、最後まで生き残る」というもの。
これはライダーバトルと呼ばれ、神崎士郎の本来の目的でもある。
仮面ライダーは、神崎士郎により「最後まで生き残ればどんな願いも叶う」と約束されており、そのため欲望とエゴを剥き出しにして戦いに臨んでいる。
龍騎こと城戸真司は、そんな仮面ライダーの中で数少ない非戦闘主義者で、ライダー(人間)同士の戦いは良くないと考え、戦いを止めようとする。
そのため、従来とは別な意味で他のライダーと衝突し、苦境に陥っていく事になる。
●仮面ライダー龍騎
さて、フィギュアーツ仮面ライダー龍騎です。
契約モンスターとのプレイバリューの都合上、平成ライダーの主人公の中でも最大級のボリュームが期待されるキャラクターです。
本商品発売決定以前、ファンの間では「龍騎はどうやってアーツ化されるのか」「やはりミラモンは別売りになるのか」といった予測が囁かれましたが、結局ドラグレッダーとのセットとして発売されました。
しかも、こんな低価格で!
何故こんなことになったのか、それには色々と複雑な事情が絡んでいる(と予測されている)のですが、まずはそれについて触れてみたいと思います。
「仮面ライダー龍騎」の放送終了の約6年後、「KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT(以下ドラゴンナイトと表記)」という作品が作られました。
これは「仮面ライダー龍騎」をアメリカでリメイクした作品で、登場キャラクターやメカ、モンスターなどのデザインや映像の一部が共通、それ以外はオリジナルというものでした。
可動フィギュア「figma」等を販売しているマックスファクトリーは、バンダイに占有されているため本来なら発売出来ない仮面ライダー関連の商品を、この「ドラゴンナイト」の関連という触れ込みで製作・販売。
2011年2月「仮面ライダートルク(ゾルダ)」「同・インサイザー(シザース)」を皮切りに、同年5月までの短期間でメインの13人ライダー全ての商品化を実現しました。
この商品化情報は、2010年2月頃にネット上で広まりましたが、同月に開催されたバンダイのイベント「魂フィーチャーズ」でのスタッフの弁によると「寝耳に水」だったそうです。
その後、約一年間に渡り「龍騎のフィギュアーツはどうなるのか?」「figmaさえあればフィギュアーツ龍騎はなくてもいいのでは?」といった話題がネット上各所で囁かれました。
また、実際に発売されたfigmaドラゴンナイトの評判が良かった事もあり、一時はバンダイはマックスファクトリーに敗北した的な発言が勢いを増した背景もありました。
ところが2011年3月23日、フィギュアーツ版龍騎の発売が雑誌の早売り情報で判明、ネット上に広まりました。
そして、そのありえないほどの豪華仕様&低価格は、多くのファンを驚かせました。
中には価格は誤植だろう、あるいは嘘情報だろうと疑う意見も出るほど。
前々々回に紹介した「シャドームーン」の価格が3,390円だった事を考慮すると、たった+600円でドラグレッダーと各種装備、更に魂ステージまで付いてくるなんて、ちょっと考えられません。
また、オプションだけでなく龍騎自身の各種ギミックも驚異のレベルで、ここまでやっていながら4,000円以下に抑えようとする理由は、もはや対figmaドラゴンナイト以外考えられないだろう……という分析が、各所で聞かれるようになりました。
実際、筆者もこの意見には同意せざるを得ず、後述する製品仕様からも「figmaを意識した」と予想される部位が見られることから、何かしらの意識が働いていたのではないかと思えてなりません。
実際にはどのような思惑や事情があったのかは解りませんが、このような連想・妄想を生み出す素地が、本商品には明らかに存在していたのです。
前置きが長くなってしまいましたが、ようやく商品仕様です。
まずは、定番の前面・背面比較。
最近のフィギュアーツと同様、マッシブで逞しさを感じさせる造型になっています。
全体的に、引き締まった感覚があります。
スーツ部分の色は、劇中イメージに近いややくすんだ赤になっていて、大変良い感じ。
撮影用スーツの質感を感じさせる、本当に良い雰囲気を生み出しています。
頭部アップ。
いきなりですが、ここは指摘せずにはいられない部位。
今回の龍騎は、妙に複眼の膨らみが感じられません。
過去発売された龍騎商品と比較すると、膨らみなど皆無と言ってもよいレベル。
そのせいで、角度によってはリュウガのようにも見えてしまいます。
アーツ龍騎は、ゴーグル部の格子状処理とクリア複眼が共存するという素晴らしい構成なんですが、格子の幅も狭かったりして、なんか違う感がつきまといがちです。
最初期の試作品では特に問題は感じられなかったですが、恐らく試作品のままだとクリア複眼が目立たないので、より強調を計るためにこのようにしたのではないでしょうか。
しかし、実際にはクリア複眼は殆ど良い効果を発揮しておらず、よほど強い光で透かさない限りクリアである事すら解らないほどです。
それと、複眼の幅が足りないように見えてしまいます。
この角度で見ると、ようやくうっすらと膨らみが感じられて来ます。
劇中のマスクは、複眼の端からスリット末端までの長さはそんなにないのですが、フィギュアーツだとかなり長くなっていますむ。
これも、複眼が細く感じられてしまう要因の一つになっているようです。
なんでこんな形状になったのか理由を分析してみましたが、これは恐らくアーツ龍騎の頭を微妙に縦長に造型してしまったための影響だと思われます。
「そうか?」とお思いの方もおられると思いますが、一つ上の正面写真をもう一度見て「ゴーグルがない場合」を想定してみてください。
顔幅の多くが、実はゴーグルパーツの厚みで補われていて、頭部自体は割と縦長に作られていることがわかると思います。
実は、本商品の目は実際にはパッと見の印象より大きく、幅も結構あるのです。
しかし、複眼が暗いためスリットの黒に溶け込み、細く見えている――ように感じられますが、どうもそれだけではないようです。
劇中のマスクはもっと全体的に丸っこい造型で、ゴーグルはもっと横に広がった形状になり、複眼がスリットを占める面積が相対的に広がります。
ですが、フィギュアーツでは頭を若干縦長気味にしてしまったため、ゴーグルが側面部に大きく回り込むようになりました。
結果、銀色部分の長さが増し、複眼とスリット末端部までの長さが広がってしまったのです。
また、ゴーグル全体のカーブがきつくなったため複眼部分に影が入りやすくなった事も、目の幅が狭く見える理由の一つになっているわけです。
これらの説明でピンと来ない人は、「仮面ライダークウガ」の目が小さく見えるのと似たような問題が発生していると解釈して頂ければよろしいかと。
上記の「実は目は大きい」という表記に納得がいかない人も、多いのではないかと思います。
目の形状を明確化する方法の一つとして、ゴーグルの内部にアルミホイルなどの反射物を挟み込むというものがあるので、こちらをご紹介しておきます。
やり方は、ただ単にゴーグルパーツを取り外し、その下に適当な大きさに切ったアルミホイルを挟むだけ。
ゴーグルは眉間と鼻上の二カ所で止められていて、外すと高確率で下のジョイントが折れますが、そのままでも保持力には問題ありません。
アルミホイルを挟んだら、綿棒みたいな柔らかいもので顔面にゴシゴシ押し付けると、複眼モールドを浮き立たせられます。
後は、そのままゴーグルをはめ込めばOK。
これを行うことで複眼の輪郭や形状が明確化し、龍騎の目の膨らみも目立って来ます。
先で触れたゴーグルのカーブやら複眼に入る影やらの件も、この状態で見てもらえれば、意味が理解して貰えるのではないかと思います
接着もパーツカッティングも必要ない、ものの数分で完了する作業なので、もし現状で納得がいかないという人は試してみてはいかがでしょうか。
尚、本レビューでは基本的に改造品は扱わない主義なので、上の写真以外はこの処理を施していない状態で撮影しています(というか上の写真は全撮影終了後に付け足しました)。
首の可動は、根元と頭の付け根の二カ所で制御しています。
頭の付け根部分の可動範囲は広くないのですが、首の根元の可動範囲が広いので、さほど大きな支障はありません。
上の画像は、左が限界まで顎を引いた状態で、右が限界まで頭を上げた状態です。
ここに、上体や股関節の可動が加わり、割と大きな前屈が叶います。
龍召機甲ドラグバイザー。
今回、ようやく「バイザーのグリップを握る龍騎」が再現出来るようになりました。
既にfigmaドラゴンナイトでも再現されていたポイントではあるのですが、この装備の処理についてはフィギュアーツの処理・ギミックに軍配が上がります。
ドラグバイザー装備状態を、横から見るとこんな感じです。
グリップはABS製で、付属の専用手首でしっかり握らせて保持します。
R&Mや装着変身、FFR版ではオミットされていた部位なので、これは本当に嬉しいものがあります。
今回より、フィギュアーツで初めて前腕ロール機構が組み込まれました。
これは、肘から手首までの前腕部が独自で回転するというもので、これにより劇中同様のベントイン動作が再現出来るわけです。
「仮面ライダーザビー」でも付けて欲しかった機構なんですが、ようやく叶ったわけです。
ちなみに、figmaドラゴンナイトにはこの機構がないため、ポージングでかなり苦労させられます。
右手首は、カード保持用のもの。
端部分を掴み、OPのようにカードを持たせることも出来ます。
ドラグバイザーを手首で保持出来るようになったのはいいんですが、それだけだとさすがに安定性に欠けます。
そのため、本商品ではジベットスレッド(各部にある銀色のジョイント)に面白い仕掛けが施されています。
写真は、ドラグバイザーを装備していない状態。
左前腕のジベットスレッドは、取り外しが可能になっています。
ここに、ドラグバイザー底面部の凸ジョイントを差し込むわけです。
「でも、龍騎は常に左前腕にドラグバイザー装備してるんだから、左手のジベットスレッドはいらないよね?」とお考えの人もいるかもしれませんが、もしドラグバイザーを接着してしまおうと考えておられたら、ちょっと待ったです。
もし今後、龍騎サバイブが出たとしたら、ここのジベットスレッドは残しておかないと大変です。
何故なら、サバイブ化する時はまず最初にドラグバイザーが変型する(左前腕から外れる)のですから。
ドラグバイザー装備時のまとめです。
ドラグバイザーのグリップを掴んでいる左手首は専用のもので、まずこれにグリップを握らせてから前腕に接続すると良いようです。
手首にグリップを握らせる時、くれぐれも折らないように注意が必要です。
慣れてきたら、写真上部のように先にドラグバイザーを接続してから、手首を付けるようにしても良いでしょうね。
ドラグバイザーのグリップに手首を通すようにすれば、後述する「バイザーとシールドの同時装備」も可能になります。
写真最下段は、グリップから手を放した状態の手首再現といったところ。
もちろん、開いた親指にグリップの一部を引っかけたりするのも可能です。
手首のジョイントが太く短くなって、より耐久性が高まっている点も見逃せない改善点ですね。
これらの機構のおかげで、ドラグシールドとドラグバイザーの同時装備が可能になります。
過去の商品でも再現は出来たのですが、グリップがなかった故に普通に出来ただけの話なので、あまり有り難みはありませんでした。
とにかく、今回はこのように自由度が大変高まっているわけです。
ドラグバイザーの造型も、過去の商品と比較にならないほど凝っています。
また、大型化しているのも嬉しいものです。
いささか横幅が広がり過ぎな感もありますが、これは可動ギミックを組み込んだための影響です。
ドラグバイザーは、この大きさにも関わらずちゃんとスライド可動します。
前腕ロールを組み合わせれば、龍騎自らがスライドさせている様子も再現可能。
これは本当にありがたいです。
R&M時代からずっと感じ続けていた不満が解消されて、感無量です。
(S.I.C.版ノータッチだからこその感動とも云う)
カードスロット部のアップ。
このようにちゃんと穴が開いており、実際に付属のアドベントカードを挿入可能です。
きちんと、全部収納されます。
「ファイナルベント」のカードを少しだけ差し込んでみました。
カードは引っかかったりはせず、スムーズにスロットイン可能。
ここにカードを半分くらい差して、端を右手指で摘むようなポーズも再現可能。
ただし、ここにトラップが!
ドラグバイザーの中に入れたカードは、少しでも湿り気や静電気? を帯びているとバイザーのスロット内でくっついてしまい、なかなか出て来てくれなくなります。
こうなるとかなり焦るので、もしどうしようもなくなったら、先端部が平たい形状の毛抜きまたはピンセットを用意して、それでカードを摘み出すしかありません。
その際、先端が尖っているものを利用すると、カードに傷を付ける危険があるのでお勧め出来ません。
スムーズにカードが排出される時もあれば、全然ビクともしない事もあったりと時の運に左右されがちなので、念のため用意する事をお勧めします。
付属のアドベントカードは5種類。
画像左から、「アドベント(ドラグレッダー召喚)」「ソードベント(ドラグセイバー)」「ストライクベント(ドラグクロー)」「ガードベント(ドラグシールド)」「ファイナルベント」、一番右は各カードの裏側です。
縦9ミリ、横6ミリとかなり小さいので、なくさないように注意する必要があります。
材質は硬質プラ? でかなり丈夫です。
相当小さいため、普通に見ると図面の判別がかなりつけ辛いです。
また、ズームで見ると印刷がかなり粗いことがわかります(普通に見る分には全く気にならないですが)。
肩の構造です。
今までの龍騎商品の殆どは、ジベットスレッドがただの凹ジョイントに過ぎず、見栄えが良いとはあまり言えませんでした。
今回は、ジベットスレッドの中身のモールドも再現してあって、とてもいい感じなんですが、それではドラグシールドの固定などはどうするのか?
もったいぶるほどのものではないのですが、前腕同様、ジベットスレッドそのものを取り外して差し替えます。
ドラグシールドには、予めジベットスレッド型のジョイントが設置されているので安心です。
非常に解りやすく単純な構造でナイスなんですが、反面取り外したジベットスレッドをなくしやすい&一度取り外すと再接続時に緩くなるといった欠点もあるので、充分な注意が求められます。
Vバックル。
非常に立体感があって良い造型です。
細かい部分も丁寧に塗装されていて、実に良く出来ています。
ですが、何故か腰横のジベットスレッドが横に大きく張り出し過ぎています。
他のと違って取り外しも不可能で、これはちょっと意味がわからないです。
斜め横から見た状態。
カードデッキ中央部の紋章部分が、タンポ印刷などではなく立体造型なのがよくわかります。
これだけでも凄いんですが、Vバックルには更なるギミックが……
なんと、カードデッキが外せます!
これで、スペシャル版の全ライダーからリンチを受ける直前の状態も再現可能になりました。
本来、ライダーになった後でカードデッキを外す事はありえないので、これは一見無意味とも取れる構造ですが、それでもなんか嬉しいものがあります。
実際の所、これは龍騎系ライダーを今後出し続けていくにあたり、パーツ流用をしやすくするための処置ではないかと思われます。
Vバックル自体は、仮面ライダーオーディンを除いて全員共通ですからね。
尚、カードデッキが勝手に抜け落ちたりすることはなく、保持力はとても高いです。
Vバックルは丸ごと取り外し可能。
こうなると遊び甲斐が広がるというものです。
適当な大きさの別フィギュアに装着させれば、変身直前の再現なんかも可能に。
こういう遊び方だと、カードデッキが分離するのもありがたいというものです。
龍騎系ライダーは、中の人が入れ替わっても支障ない設定ですから、選択肢は無限大。
プリキュアーツだとさすがに無理がありますが。
次に、可動とか。
龍騎は、ドラゴンライダーキックのポーズなど足を大きく広げる動作が多いためか、脚部の可動範囲がかなり拡張されています。
加えて、ダイキャスト足首が復活しているので、安定性も高まっています。
多少無理のある姿勢でもふんばってくれるので、とても素晴らしいものがあります。
やっぱりダイキャスト足じゃないと、色々物足りないというものです。
足は前方向約90度くらいしか出ず、最近よくある引き出し式股関節ではないため、両脚の可動を活かして工夫する必要性が生じます。
しかし、決して可動が極端に劣っているという事ではなく、及第点以上だと思われます。
というか、引き出し式股関節のアーツが動きすぎなんだてばさー(新潟弁)。
「仮面ライダー龍騎」本編を見てない人は、龍騎にかっこよさだけを求める傾向がありそうですが、実際の龍騎はどちらかというとすっとこどっこいなキャラクターなので、ギャグっぽいポージングもベストマッチします。
動かしてかっこいいはよくあるけど、動かして面白可愛いライダーは龍騎だけ!(偏見)
そんな龍騎が、たまにすごく格好良い動きやポージングを決めるから、そのギャップが更なる魅力になるわけですが。
ケツをポリ掻きするライダーなんて、龍騎くらいのもんだよね!
龍騎といえば「よっしゃ!」。
ここまで何度か話題に出た「figmaドラゴンナイト」との比較をしてみます。
左がfigma、右がフィギュアーツです。
ご覧の通り、全体のスタイルというかラインはfigmaの方がらしく見えます。
フィギュアーツの方は、こうして見るとかなり玩具然としている事が理解出来ると思います。
とはいえ、実際のところどっちがどう良いのか? となると、判断はすごく微妙になってきます。
背面比較。
「figmaドラゴンナイト」の特徴は、だいたい以下の通りです。
- PVC率が高い
- 顔の造型が全体的にもっさりしている※
- ボディスーツの赤色が明るい
- ドラグバイザーのグリップがPVC製で柔らかい
- 背中に専用土台接続用の穴が開いている(これはfigmaの基本仕様)
- 腰部〜股関節部分に伸縮性があり、劇中スーツの雰囲気に近い
- 膝のジベットスレッドが脛パーツ側に付いている
- カードデッキの紋章がタンポ印刷
- 前腕ロールがない
※ただし、顔の造型自体はこちらの方が忠実です。
商品に求められているものがそれぞれ違っているので、上で触れた点はあくまでフィギュアーツと比較した場合に見えてくる差異とお考え頂ければ幸いです。
ドラゴンライダーキックの構えで比較。
フィギュアーツ龍騎は、前屈範囲が狭いため(注:フィギュアーツとしては結構動く方です)、このポーズの時は股関節で身体を倒し、足首の保持力と重量で踏ん張る形になります。
対してfigmaドラゴンナイトは、大きく前屈出来るためより劇中に近いポージングが可能。
上体を傾斜させつつ左肩を下げ右肩を上げる動きもさせやすいので、右腕の流れるような動作を再現しやすくなっています。
反面、非常にアンバランスになってしまうので、自立はかなり困難になってしまいます。
そのため、どうしても自立させたい場合は足の開きや足首の位置で妥協を計らないとなりません。
劇中の映像と実際に比較すると、イメージに近いのは可動幅の狭いフィギュアーツの方だったりするのが、ちょっと不思議です。
背面。
figmaの上体可動範囲の広さと捻りの幅がよくわかります。
フィギュアーツの方は、上体の黒いアーマー部分と腹部の赤いスーツ部分に結構な段差がありますが、にも関わらず可動範囲確保の役に全く立っていないのが惜しい気がします。
気になる股関節部分ですが、figmaドラゴンナイトは股関節を薄いPVCで覆っている構造です。
これは見た目は凄く良いんですが、反面足を前に出した時の歪み・たわみが目立ってしまうという欠点があります。
また、スーツ部分の張力に関節が負けてしまい、姿勢が維持出来ないケースも起こります。
フィギュアーツ龍騎の方は、股関節構造を「仮面ライダークウガ」等で用いられたものにしているため、大きな段差が発生してしまい、スーツらしさが損なわれています。
ですが、可動に制約を受けたりする事はなく、また保持力も強くて安定性が高いため、ポージングの際には非常にありがたい存在となります。
これまでのアーツでよくあった、股関節プラプラも殆ど発生することがなく、信頼性の高い構造になっています。
足を上げた際の尻側の形状も、チェックしておくと良いかもしれません。
前面部の見栄えが良かったfigmaドラゴンナイトも、こうして見ると内部の球体部が露出してしまい、お世辞にもあまり見栄えが良いとは言えません。
一方、フィギュアーツ龍騎は、同じポーズを取らせてもそれほど見苦しくはなりません。
というより、前面部との差異が少なくなっています。
元々段差があるけど、可動による破綻が少ないフィギュアーツ。
見た目は良いけど、可動のさせ方によってはほころびが出るfigma。
どちらも一長一短あるといったところでしょうか。
ついでに、「装着変身・仮面ライダー龍騎」も引っ張り出してみました。
発売当時は大絶賛された装着変身版も、こうして比較するともはや……といったところです。
時の流れと技術の進歩というものは、とても残酷です。
次は、装備について。
まずは、ドラグセイバー。
今回のベント装備は、ドラグクロー以外はR&M(および装着変身EX)と同様、ドラグレッダーから引っぺがす形になります。
言うまでもないですが、装備はいずれも完全新規。
ドラグセイバーは、大振りになって塗装も丁寧と、過去商品に比べて完成度が飛躍的に高まりました。
赤い部分はメタリック塗装で、すごく綺麗!
グリップ付近にある金色部分は、紋章の周囲がきちんと黒で塗り分けられています。
これまでは全面金色でベタ塗りされていた部位なので、この細かさには驚かされます。
驚いたことに、ドラグセイバー専用の持ち手が左右付属します。
これまでのパターンだと、武器持ち手は一組あればセイバーもシールドも持てたわけですが、今回はちょっと違います。
人差し指が前に出ている形のこの手首は、指の隙間が広いため、ドラグシールドのグリップを持たせるとフラフラになってしまいます。
この手首付属は嬉しい不意打ちなんですが、これまで必要な手首すらオミットしてきた事を考えると、「何があったバンダイ?!」と言わざるを得ません。
ドラグセイバーは割としっかり保持出来るため、過去のアレとかソレみたいにポロリする事はありえません。
手の中で回ってしまうことはありますが、大きな支障はなく信頼がおけます。
蛇足ですが、ドラグシールド保持用手首でもドラグセイバーを持たせる事は可能で、そちらでもポロリはしませんが、さすがにちょっときつめになります。
ドラグセイバーはABS製なので、曲がったりはしません。
R&M他同様、グリップの末端にあるジベットスレッドを、ドラグレッダーの尾部分に差し込んで固定します。
個人的には、今まで出たドラグセイバーの中で一番好きな形状です。
figmaドラゴンナイトのドラグセイバーと比較。
かなり大きいです。
よく見ると各部位の解釈も、随分違っていますね。
ちなみにドラゴンナイトの方は、グリップ端のジベットスレッドは内側までモールドが再現されています。
続けて、ドラグシールド。
肩に装備させたり、手に持たせたりと自在。
パッと見はR&M他のものと大差ないように感じますが、実際は全くの別物です。
メタリックレッドが綺麗ですが、関節部分の赤色が浮いてしまっている点が、とても残念。
ドラグシールド単体。
縦約5.8センチ、最大幅約5.1センチ、最大奥行約2.8センチとかなりの大きさです。
手首と腕の付け根だけ無塗装なのは、恐らく可動による摩擦で塗料が禿げてしまうための対策だと考えられます。
だったら、せめてもう少し暗めの赤にして欲しかったところですが……
ドラグシールドは、先で少し触れた肩接続用ジョイントの他に、専用グリップも二点付属しています。
これらを差し替えることで、装備方法を選択可能。
対ゾルダ戦で見せた、両手にシールド&卑屈モードも再現可能。
グリップ部分アップ。
基部はボ−ルジョイントです。
緩んだりカタついたりはせず、結構しっかり姿勢保持可能ですし、重さも適度なので腕や肩に負担もかかりません。
裏側のパーツは、黒成形色にしてくれると嬉しかった……
ドラグシールド保持用手首。
こちらも、左右一対付属です。
四指が揃った状態で握られているのが特徴。
こんな持ち方でもふらつかないほど、保持力はしっかりしています。
こちらは、肩接続用パーツと交換した状態の内側。
ドラグレッダーに装着する時は、このジョイントごとくっつけます。
本編中、意外に行われなかったセイバーとシールド同時装備。
個人的には、やっぱりシールドは手に持たせる方がしっくり来ます。
両肩装備+セイバー。
過去商品の紹介画像でよく見かけられた、一応のフル装備状態(ドラグクローないけど)。
あの龍騎がかっこよくなっちゃうなんて、なんか違うと思います!
背面から。
このように、各部にバッチリ装備可能なドラグシールドではあるんですが、残念ながら前腕部に装備させることは出来ません。
前腕のジベットスレッドを取り外した穴との口径が合わないためです。
まあ、無理にやる必要のない装着方法なので難点という事ではありませんが、ちょっと残念な気がします。
figmaドラゴンナイトのドラグシールドと、その装備状態の比較。
figmaの方は、肩に装着する場合黒いパーツごと専用パーツに交換します。
また腕に装備する場合も専用のパーツを接続しなければならないため、ちょっと面倒。
まあ、アーツと違い余剰が出ないという利点もあるにはあるのですが。
驚くことに、figma版ドラグシールドは手に持たせることが出来ません。
このように、前腕に固定することは出来るのですがそれだけです。
これではまるで、R&M他のゴルトシールドではないですかーと。
ドラグクロー。
龍騎のファイナルベント以外の決め技「昇竜突破」を行うために必要な、ナックル強化タイプの武装。
ただし、劇中では専ら火炎弾を吹き出すことの方が多かったです。
これまでのドラグクローは、ドラグレッダーの頭部をそのまま流用していましたが、これだと大きさが合わなかったり、また龍騎への持たせ方がイマイチ中途半端だったりと、不満点が沢山ありました。
今回、これらはほぼ全て解消されています。
ドラグクローと、後述するドラグレッダーの頭部は全く大きさが異なります。
だからこそ共通装備ではないのでしょうが。
それでも、こんなに大きさがあり迫力満点です。
ただ、劇中のドラグクローは意外にコンパクトなので、再現性という意味ではいささか難ありかもしれません。
この辺は人により評価は様々だと思いますが。
「おー」
口の中も、劇中通りに再現。
というかドラグレッダーの、だけど。
可動は、顎の開閉・首部分で多少なら捻りも可。
ヒゲはプラなので、折らないように注意が必要です。
これまでのドラグクローは、龍騎の拳の側面に変な形のジョイントをはめるという奇妙な構造でしたが、今回は手首からの差し替えとなりました。
手首を外した前腕を首の中に通し、黄色い丸部分のジョイントに接続・固定します。
前腕のジベットスレッドを取り外す必要もありません。
ドラグクローの頭部自体は、後頭辺りにある小さなボールジョイント一点のみで接続されていて、ちょっと不安を覚えますが、勝手に外れたりねじ切れたりはしません。
figmaドラゴンナイトのドラグクローと比較。
形状・サイズ的にはfigmaの方が忠実ですが、精密度やモールド、構造などはフィギュアーツの方がいい感じです。
ちなみにfigma版は、前腕そのものを丸ごと交換するという装着方法です。
正面から見ると、こんなにも大きさが違います。
「昇竜突破」――事実上、龍騎第二のファイナルベントともいえる技で、これでミラーモンスターを仕留めた事もあります。
ドラグレッダーと一緒に火炎噴射攻撃、といったものですが、実際はドラグレッダーはもっと低い位置まで頭を下げてましたっけ。
「仮面ライダーライア」がもし出たら、ここに並べてコピーベント昇竜突破を再現してみたくなります。
R&Mシリーズ「DXライドシューター」がようやく倉庫から発掘出来たので、追記です。
元来、フィギュアーツより小型のR&M用サイズなのですが、一応問題なく乗せる事が出来ます。
ちょっとだけ足関節の調節にコツが必要ですが、さほど難しいものではありません。
また、フィギュアーツ龍騎本体がフード部にぶつかるなどといった事もないです。
造りが豪華な上、ダイキャストも豊富に使われているので重量感もあり、かなりのベストアイテムかと思われます。
フードをアップした状態。
ちなみに、腰部分のジョイントはただ当てているだけで、実際には固定されていません。
DXライドシューターは、本体前部のスイッチを押すとフードが跳ね上がって、シートをリフトアップする後部スイッチが自動的に押される仕組みになっています。
R&Mの時は、迂闊にフードを開けるとフィギュアが吹っ飛ぶという隠された? ギミックが楽しめましたが、今回は本体が重いのか、或いは足がハンドル部分に引っかかるせいか、吹っ飛ばされることはないようです。
念のためグリップを握らせない状態でテストしてみましたが、ビクともしません。
ものっそい期待してたので、すっげー残念。
●ドラグレッダー
さて、お待たせしました。
ある意味一番の注目ポイントのドラグレッダーです。
ようやくここまで来ました。
今回のドラグレッダーは、基本構造こそR&M他と同じですが、完全新規造型になっており流用部分はありません。
また、以前はシールによる再現だった側面部の模様は全てモールド&塗装になっています。
これだけで相当な価格になりそうなものですが、今までのアーツ基準で差し引くと、たったの600円……?
ありえなさすぎる。
雑誌記事だけだとイマイチ新規造型の良さが伝わらなかったドラグレッダーですが、実物を見れば一目瞭然。
顔つきも精悍になり、非常にイケメンになりました。
ツノも長くてかつシャープ、とても格好良いです。
ヒゲはプラ製なので、ドラグクロー同様折らないように注意する必要があります。
当然ですが、頭を外してもう一つのドラグクローにする事はできません。
R&M他では、可動に大きな制約のあった腕部とツメですが、今回はかなりフレキシブルに動かせるようになりました。
片腕だけで、四ヶ所の可動があります。
ツメを内側に向けるのも、手のひらを上に向けるのもOK。
龍騎の肩を押さえ込む謎ギミックはなくなりましたが、何の支障もないでしょう。
手首はPVC製なので、ここの退色が懸念されます……
具体的には、こんな風にも動かせます。
ドラグレッダーの胴体には、ドラグシールドのジョイントを丸ごと収納するスペースがあります。
このジョイント、一点保持の割に保持力はあるんですが、とにかく差し込みづらくて、コツが掴めないといつまで立っても接続出来ずイライラしがちです。
「装着変身EX ミラーモンスター4」のドラグレッダー(右)との比較。
装着変身版ドラグレッダーは、アーツ版と同じ条件で計った場合、長さは約54.5センチ。
各節の長さは最大約5.3センチほどで、これはアーツ版もあまり大差ありません。
意外にも長さ的にはそんなに大きな変化はないのですが、各パーツのボリューム感が全く違うため、やはり装着変身版の方が貧弱に感じられてしまいます。
造型の差を確認してみます。
まずは、アーツ版ドラグレッダーの側頭部。
こちらが、装着変身版。
R&M版も同じと考えて支障ありません。
仕方がない事とはいえ、造型、各部モールド、ハッタリ具合と色々な部分が見劣りしてしまいます。
一番の難点は、やはり側面のシールでしょうか。
これは、装着変身版での再商品化の時にも散々言われたものでしたが……
こんな感じで、大変良い出来になって帰ってきたドラグレッダーなんですが、残念ながら各関節の保持力が弱く、かなり上手く調整しないとすぐにヘタれてしまうという致命的な欠点も持っています。
なので、そのままだと飾るのが大変困難なのですが、それをサポートするために「魂ステージ」が1セット同梱されています。
これとドラグレッダー込みで、単純差引600円?!
過去の商品に添付された魂ステージと異なり、今回はアームが3本も付いてきます。
仕様はACT-4とACT-3の混合で、写真左・中央のアームと台座はACT-4、右の短いアームのみACT-3となっています。
別角度から。
あまりにデカすぎて、もはやこれフィギュアーツじゃありません(褒め言葉)。
画像は、パッケージ写真を参考に組んでみた状態ですが、当然これ以外にも色々な飾り方が可能です。
無理にアーム三本使わなくても、二本でもいける場合が。
気分はもう長崎のアレ。
アームが接触する部分は塗装皮膜の損傷が起きる可能性もあるので、気になる人は予めトップコートを吹いておくことを推奨します。
ものすごく大雑把ですが、龍騎と比べるとこんな感じです。
ドラグレッダーの方がメイン商品で、むしろ龍騎がオマケなんじゃね? と錯覚してしまいそうなほど。
ありがたやありがたや。
ドラグレッダーの各節の接続方法は、R&M他と同じく大型のボールジョイントで繋がっています。
R&Mの時は、ボールジョイントの受け部分が破損してしまうという問題点があり、今回もこれが心配なところですが、フィギュアーツ版はボールジョイントの受け部分に切れ目があり、接続時の湾曲を補助する構造が組み込まれています。
これにより、若干耐久性が上がっているのではないかと推測されますが、実際に効果があるかどうかはある程度の時間が経たないとなんとも言えないところです。
ドラグレッダー、龍騎と揃ったら、やるべき事はただ一つ。
そう、ファイナルベントです。
発動前の構え用の、四指を揃えた手首までちゃんと付いてる所が泣かせます。
というか、ホントどうしたんだこの充実振りは?!
ドラゴンライダーキックの構え。
指を開いた手は、勿論左右揃っています。
やっぱり、龍騎といえばこのポーズでしょう!
最初の写真とはまた違った構図で、アクション。
このドラグレッダーのポージング、ドラグクローの撮影時に使えば良かった……
ファイナルベント・ドラゴンライダーキック。
CGミラモンは大きさがしょっちゅう変わるから気にしない!
こうなると炎のエフェクトが欲しくなりますが、これ以上求めるのはさすがにゼータク過ぎるというものでしょう。
キックの姿勢はバッチリ決まり、また勝手にヘタれたりはしません。
龍騎は、過去のフィギュアーツと比べ物にならないくらいに各関節の保持力が優れているので、この格好で飾ったとしても当面は大丈夫ではないかと思います。
……さすがに「絶対大丈夫!」と断言までは出来ませんが。
以上、大変長くなってしまいましたが、「仮面ライダー龍騎&ドラグレッダーセット」でした。
細かい難点もあり、決して完璧とは行きませんが、良い部分の魅力とちょっと考えられないレベルのロープライスが作用して、総合的には非常に素晴らしい充実した商品になっています。
先のように、よくfigmaと比較されてしまう本商品ですが、個人的にはfigmaを持っている人にも是非手にしてもらいたいと考えます。
どちらの方が優れている・魅力的かという事ではなく、それぞれに独自の魅力や旨味があるんではないでしょうか。
figmaは、所謂「可動する完成品フィギュア」で、男玩というよりはむしろ完成品フィギュアに近い位置づけの商品です。
ですので、バンダイ製品のように高頻度でガシガシ弄くり回される事を前提に作っておらず、どうしても耐久性に欠ける面も出て来ます。
対してフィギュアーツは、長い男玩開発の歴史に裏付けられた高耐久性とプレイバリューを併せ持っているので、ガシガシ動かすには最適です。
それを優先させる都合、どうしても造型面で譲歩せざるを得ない部分も出ているわけですが、それを難点と捉えるか仕方ないものと感じるかが重要なのでしょう。
筆者個人としては、figmaの仕様にとても不満があり、良い所は認めつつもあまり高評価は出来ず、「これじゃ叩き売りになってもしょうがない」と感じているのが正直なところです。
もっともそれは、上の例で言えば筆者が男玩寄りの評価基準を持っているからなのでしょう。
なので、決してfigmaは薦められない、などといった事は言えませんし、言う必要もないと考えます。
2011年9月初旬現在、本商品は割と豊富な在庫を誇っているようで、場所にもよりますが実店舗でもかなり見かけることがあります。
またネット上でも在庫ありの所がチラホラと窺えるようなので、結構な生産数と出荷があったのではないかと推測しています。
興味を持った人は、今からでも是非探してみてください。
【買ってみて一言】
商品について必要な情報はほぼ書き切ったので、ここではもう少しだけアレについて突っ込んだ話をしてみたいと思います。
今回のレビューにあたって、どうしてもfigmaドラゴンナイトとの比較が避けて通れなかったわけですが、こちらを見れば見るほど、バンダイの対抗意識を感じずにはいられません。
まあ、実際の所バンダイのコレクター事業部が本当にマックスファクトリーに対抗心を燃やしていたかはわかりませんが、そう思えてしまう材料がありすぎたということです。
figmaドラゴンナイトシリーズは、各税込3,000または3,200円。
対して、フィギュアーツは3,990円でミラーモンスターと魂ステージ付き、しかもアーツ自体の完成度を高めて発売してきました。
今までの、どちらかというと「ケチり過ぎ」だったフィギュアーツの仕様を理解していると、これがどれだけ異常なことかがわかります。
採算度外視なんじゃないの? とすら思えてしまうほどに。
あるメーカーが人気商品を出すと、それに対抗商品をぶつけてくるというのはバンダイの古くからの性質で、最近だと「ちびアーツ」が「ねんどろいど」の対抗商品として(良くも悪くも)注目されています。
本来であれば、バンダイが占有する筈のライダーブランドを、変則的とはいえ他社に利用されたわけですから、普通に考えたら対抗意識は出るでしょうし、少なくとも無視は出来ないでしょう。
特に、去年のイベントの時点でその事を本当に知らなかったのだとしたら、なおさらです。
これだけの要素が揃っていれば、両商品がユーザーに比較されてしまうのはやむなしといったところです。
実際にどちらの商品が優れていて、どちらの商品が成功を収めたのか(或いはそれを断定するべきなのか)等は、こういう玩具レビューのページで語るものではないと、筆者は考えますし、仮にやるとしてもソースが不足しています。
なので、ここでは「メーカーの違う、同モチーフの商品がほぼ同じ時期に市場に出揃い、ファンの注目を集めた」という出来事だけを、まとめておきたいと考えています。
龍騎発売情報が広まり、後に「仮面ライダーナイト」の商品化も確定、こちらもダークウィングとのセットですが、多くのファンは「この勢いがいつまで続くんだろう?」という懸念を抱きました。
どう考えても薄利の極みにしか思えないセット販売が、龍騎シリーズ限定だとしても、いつまでも続けられるわけがないと思えたためです。
まして、ミラーモンスターにはマグナギガのような巨大かつ複雑な分解ギミックを内蔵している物や、デストワイルダーのような大型タイプ、ジェノサイダーのような合体ギミック付きまでいるのです。
しかも、過去にR&Mや装着変身EXで散々商品化している物ですから、また一から揃え直さなければならないのかという見地もあるでしょうから、不安が募らない筈がありません。
そんな背景があったため、2011年7月開催「魂FESTIVAL」での新商品発表は、ファンの大きな注目を集めました。
結局、ミラモンセットはナイトで終了、第三弾の「仮面ライダー王蛇」は単独発売でベノスネーカーなし。
そしてその次? に「仮面ライダーゾルダ」が控えているらしい事もわかりました。
中には、「そんなハンパな売り方するなら最初から龍騎シリーズなんか出すな!」的な意見も各所で見受けられましたが、おおかたの人達は「やっぱりなぁ」と妙な納得をしたようです。
龍騎系ライダーは、全員が人気で確実に売れ行きが見込めるものではなく、装着変身やfigmaを見る限り、むしろ大半がダダ余りになる危険を孕んでいます。
バンダイはその辺もちゃんと理解・分析した上で商品開発を行っているでしょうから、それらを踏まえて今後はどのように展開していくのか、注目のしがいがあると思われます。
装着変身時代のように、ライダーとミラモンの別売りを徹底するのか、或いは時々セット売りを混ぜていくのか。
または、定番の魂WEB限定商品で埋めていくのか、いっその事途中で止めるのか……
どうあれ、とりあえずはあと一年以上は龍騎系ライダーの動向に注目せざるを得ないようです。
それにしても、バンダイ・コレクター事業部は、当時本当にfigmaドラゴンナイトの事を知らされてなかったんでしょうかねぇ……?