第95回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー龍騎サバイブ」

2013年1月3日 更新

 

 ナイトサバイブと並ぶ、もう一体の赤いサバイブのレビューです。
 つっても、こちらが主人公なんですけど。

■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー龍騎サバイブ

 

 2012年12月22日発売。
 同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
 2012年12月のラインナップは、以下の通り。

  • 12/25(配送開始日)「ジェノサイダー(仮面ライダー龍騎)」「デカグリーン(特捜戦隊デカレンジャー)」「宇宙服(仮面ライダーフォーゼ)」「バスコ&サリー(海賊戦隊ゴーカイジャー)」「キュアサンシャイン・スーパーシルエット(ハートキャッチプリキュア!)」(すべて魂ウェブ限定)
  • 12/27 「ペガサス光牙(聖闘士星矢Ω)」

 全高は約14.3センチ(ツノ除く)。
 合計10種15個の手首付き。
 ドラグバイザーツバイ付属。
 ドラグブレード長付属。
 左腰マウント用ジベットスレッド付属。
 アドベントカード9枚付属。
 専用台座付属。
 価格は税込3,675円。

 

 仮面ライダー龍騎サバイブ。
 「仮面ライダー龍騎」34話より登場。
 ただし、映像初出としてはこれより前の「劇場版・仮面ライダー龍騎EPISODE FINAL」「TVスペシャル 13RIDERS」の方が早い(劇場版では本編より一月以上も先に登場)。

 OREジャーナルの記者・桃井令子の、神崎士郎の手がかりを求める調査は、秋山蓮(仮面ライダーナイト)の恋人・小川恵里が長い眠りに落ちた原因“江島研究室メンバーによる401号室実験”へと迫っていた。
 だが、そこで出会った仲村創(オルタナティブに変身)と香川英行(オルタナティブ・ゼロに変身)からは、特に有力な情報を得ることは出来なかった。

 同じ頃、神崎士郎は城戸真司(仮面ライダー龍騎)の前に姿を現し、“いずれ闘いの後押しをしてくれる”と言って、「烈火のサバイブ」カードを渡した。
 その後、真司と蓮はとあることから再び冷戦状態に陥り、その様子に苛立った沙奈子は花鶏から(神崎優衣と共に)追い出してしまう。
 三人でなんとなく向かった遊園地で、突如、真司に闘いを挑む蓮。
 それに応えた真司は、変身してミラーワールドに向かい、ナイトサバイブと対峙。
 士郎から受け取ったサバイブのカードを使って、自らもサバイブ化に至った。

 

 仮面ライダー龍騎サバイブは、仮面ライダー龍騎が「烈火のサバイブ」カードで二段変身した姿。
 また、各部装甲にはサバイブ化の象徴ともいえる金色のラインが加わり、大幅に印象が変化。
 更に、頭部の形状も印象が様変わりしている。
 これまでスーツに施されていた赤色が装甲部分に移り、スーツは他のライダー同様黒になった。
 左腕に装備していたドラグバイザーが、サバイブのカードの力で銃型の「ドラグバイザーツバイ」に変化し、それに連動するように姿が変わる。
 更に、契約モンスター・ドラグレッダーも連動して「ドラグランザー」へと進化する。

 ドラグバイザーツバイは、「シュートベント」メテオバレットや「ソードベント」ドラグブレードが使用可能で、銃としてだけでなく剣としても使える。
 また、ファイナルベント時は、照準レーザーを照射する役割を果たす。
 その他、ドラグバイザーツバイの機能に依存しない能力として、「ガードベント」ファイヤーウォール、「ストレンジベント」などの能力も使用可能。
 この「ストレンジベント」は、どのような効果が起こるかわからないというランダム要素を持つ特殊なカードで、劇中では仮面ライダーナイトの「トリックベント」や相手の装備を奪う「スティールベント」に変化した。
 ファイナルベントは、ドラグランザーが変型したバイクに搭乗、無数の火球を射出しながら敵を踏み潰す「ドラゴンファイヤーストーム」。

 

 さて、龍騎サバイブです。
 2012年のフィギュアーツで、最後に発売されたライダーとなりました。
 この後、「ジェノサイダー」が配送となったため、2012年は龍騎系アイテムがライダー部門(?)を締める形となったわけですが、2012年といえば龍騎十周年でもあったわけで、展開的には理想的なフィナーレとなった感もあります。
 
 ナイトサバイブのレビューでも書きましたが、こちらも今回はライダー単品の発売で、契約モンスターの商品化は、これを書いてる2013年1月初旬現在全くアナウンスがありません。
 R&Mのドラグランザーが、現在の視点ではプップクプーな出来だったこともあって、是非ともフィギュアーツ化して欲しいところなんですが、装着変身の時に豪快にハブられたこともあって、非常に不安です。
 本来であれば、このレビューでR&M版を用いて比較撮影でもやるのが筋なんですが、諸事情により昨年所持していた玩具の大半を失ってしまったため、叶わなくなってしまいました。

※2016年5月追記:
 ドラグランザーは2016年4月、ダークレイダーは同年8月に魂WEB商店にて発売・配送が確定しています。

 

 まずは、前後比較から。
 相変わらず好き嫌いが分かれる微妙なデザインですが、フィギュアーツとしての再現性や造型、プレイバリューはかなり高品質です。
 細かいところはともかくとして、全体的には非常に上手くまとめられています。
 それどころか、むしろ劇中のスーツより高バランスかも? とすら思えたり。
 まぁこの辺の判断はユーザー次第なんでしょうけど、それくらい良く出来てるということです。

 

 頭部アップ。
 多くの不満が述べられた龍騎頭部と比べると、良く頑張った! と言いたくなるマスク。
 今回は、複眼の膨らみも発色も充分で、スリットの幅もさほど違和感を覚えません。
 実際はもっと銀色ラインが太いんですが、実物マスクと比較して感じる程度の差でしかありません。

 

 斜めから。
 顔のパーツが中心に寄り集まっているように見える造型も、きっちり再現されています。
 とにかく、大きくはっきりとした複眼が嬉しいものです。

 長いツノは、やはり硬質プラ製。
 今回は、特に折れないように注意する必要があります。

 

 頭部側面。
 やけに前後に長く見えるマスク形状も、問題なく再現されています。
 もうちょっと前後幅を狭めてもいいんじゃない? と個人的に感じはしますが。

 

 龍騎サバイブで最も目立つ「肩の巨大な突起」。
 これの処理は、R&M時代から大きな課題だったようで、可動を妨げないようにと色々工夫されていました。
 今回は、胸アーマーの側面部に専用の関節を設けて、ここを基部に独立可動する構造になっています。

 

 腕を上げたり、内側に寄せると、このように変化します。
 この構造のおかげで、多少ではありますが両腕を寄せる動きも可能になっています(ただし上腕が胸アーマーに干渉するため、交差はおろか並行にすることも不可能)。
 腕も、途中ちょっと引っかかりはしますが、前方からそのまま上げられます。
 とにかく、こんな形状と配置にも関わらず、殆ど邪魔にならない優れものです。

 

 Vバックル。
 今回は、「仮面ライダーゾルダ」のように、ドラグバイザーツバイを左腰にマウント出来るようになっています。

 

 この辺りの構造はまんまゾルダと同じ方式で、左腰のジベットスレッドを専用のものと交換する仕組みです。

 

 ドラグバイザーツバイの方も、ジョイント穴を隠す蓋パーツを取り外してジョイントする仕組み。
 本体側面の、銀色の丸い部分が取り外し可能になっていて、ここでマウントします。
 付け替えがやや面倒ですが、保持力も高く非常にありがたい構造です。

 

 足の裏は、龍騎と全く同じ。
 つま先もダイキャスト製です。
 今回は、ナイトサバイブのように自立させづらいといった問題はありません。

 

 ドラグバイザーツバイ。
 本商品最大の注目ポイント。
 この大きさにして、なんとDX版とほぼ同等のギミックを備えているという、物凄いアイテムです。
 さすがに点灯・音声ギミックはありませんが。
 ソーセージ食べて強くなろうなんて励ましてもくれません。

 

 まずは、手順通り龍騎に持たせてみます。
 通常のドラグバイザーを取り外し、龍騎サバイブに付属するボーナスパーツ「龍騎用・カード翳し手首」と「同・ドラグバイザーツバイを握る手首」を装着させ、サバイブカードとドラグバイザーツバイを持たせます。

 龍騎に付属する手首はどれも赤い成型色でしたが、このボーナスパーツは黒い成型色に赤い塗装を施したものです。
 形状は、どちらも過去発売された龍騎系ライダーに付属していたもので、新造型ではありません。

 

 ギミックその一。
 顎部分を展開させ、サバイブカード専用スリットを露出させます。
 もちろん、ここにカードを装填したまま顎を閉じることも可能です。

 

 『サバイブ!』

 繰り返しになりますが、なくさなくて本当に良かった、左前腕のジベットスレッド。

 

 ドラグバイザーツバイは、銃型アイテムなのに銃として使われたことがない、という誤解が何故か一部で広まっているようですが、実際にはちゃんと銃として使われていました(高頻度ではなかったですが)。
 そんなわけで、気にせず銃撃ポーズなんかも取らせればいいじゃない状態。
 劇中では絶対やらない、東映ジャンプ撃ちなんか。 

 

 ギミックその二。
 サブグリップを引くと、連動してカードスリットのフード部分がポップアップします。
 画像左がグリップを引く前、右が引いた後。
 手前のフードが持ち上がっているのが、良くわかると思います。
 これはかなり驚きの機構で、当然グリップを押し込めば、フード部分も元に戻ります。

 

 グリップを引き、ポップアップしたカードスリットにアドベントカードを挿入した状態。
 勿論、カードを入れたまま閉じることも出来ます。
 中に入れたカードは、適当に振ればポロリと落下しますので、以前のように静電気的な何かによる吸着は、心配無用です。

 尚、画像では右手に普通の武器持ち手を使用していますが、サブグリップ引き用の専用手首(グリップを四本指で軽く握る形状)も付属しているので、簡単にポーズを取らせられます。
 その手首は新規造型。

 

 ギミックその三。
 ソードベント「ドラグブレード」の刃を、本体内に収納!
 劇中通り、上の方からクルッと引き出せます。
 さすがに、これではブレードが短すぎますが。

 

 差し替えにより、大型ブレードも再現可能です。
 かなりの迫力になって大変嬉しいところですが、やっぱり剣なのに銃のグリップという違和感は凄まじいものがあります。

 

 これ自体は元デザインのせいなんで、問題点として指摘出来ませんが、やはりというか、ポージングの際には結構悩まされてしまいがちです。
 銃型の剣ないしはそれに似たものとして、他にも「仮面ライダーギャレン・ジャックフォーム」の持つギャレンラウザーがありますが、あちらは(当然ですが)銃に特化した使い方してましたからね。

 

 使い方は難しそうですが、これはこれで格好良い武器なんで、是非とも持たせて飾りたいところです。

 

 ブレードを交換したドラグバイザーツバイ(ドラグブレード)の長さは、約9.3センチ。
 通常のドラグブレードが全長約6.8センチなので、かなり大型化しているのが判ると思います。

 

 仮面ライダー龍騎(ノーマル)との比較。
 こうして見ると、目と口以外殆ど原型を留めていないくらい変化しているように感じられます。
 やはり手甲が銃になり、ツノが生えた点が一番大きいでしょうか。
 龍騎サバイブを見慣れると、どうしてもノーマル龍騎が物足りなく感じられてしまいます。

 

 ナイトサバイブ同様、今回も魂STAGEが付属します。
 ホント、手首といいバイザーといい、今回はなんでこんなにサービス満点なんでしょ!!
 こちらも、カードデッキを連想させる真っ赤な台座。
 仕様はACT-4です。

 

 龍騎サバイブを飾った状態。
 可もなく不可もなく。
 スタンダードに飾れるし、台座からはみ出したパーツが場所を占めることもありません。

 

 付属するアドベントカード一式。
 左上から、「烈火のサバイブ」「アドベント(ドラグランザー召還)」「ソードベント(ドラグブレード)」「ガードベント(ファイヤーウォール)」「シュートベント(メテオバレット)」。
 左下から、「ストレンジベント」「トリックベント」「スティールベント」「ファイナルベント(ドラゴンファイヤーストーム)」。
 右下は、各カードの裏面。
 ストレンジベントが転じたトリックベントやスティールベントも付属するところが、さりげに嬉しいポイントです。
 スティールベントのみ、「仮面ライダー王蛇」に付属したものと同じ物のためか、金縁ではありません。

 

 以上、仮面ライダー龍騎サバイブでした。

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【買ってみて一言】

 こちらも、ナイトサバイブ同様非常に良く出来た商品で、殆ど非の打ち所がありません。
 相変わらず龍騎系アーツは気合入りまくりで嬉しいですが、ナイトサバイブで見受けられた僅かな問題点すらもなく、個人的にはかなり完璧に近いライダー系フィギュアーツだと思います。
 少なくとも、最終フォームライダーの中では、現状トップクラスと言い切って良いでしょう。
 これで今後赤部分の退色さえ起こらなければ、言う事なしです。

 あえて問題点を挙げるとしたなら、龍騎系ライダーアーツが全部抱えている「何故腰のジベットスレッドが妙に大きいの?」ってくらいじゃないかなと。
 あとは、ツノが折れやすそうだから細心の注意をはらうべし、といったところでしょうか。
 それにしても、商品構成的に同価格のナイトサバイブと随分差のある内容にも感じられ、いささか疑問も浮かんだり。
 まぁ、あちらには大型のマントパーツや、ダークブレード(長)など大型オプションパーツもありますから、実際はこんなもんかもしれませんが。
 それでもやはり、手首の数の差はどうなの? と思えてならない気がします。

 

 繰り返しになりますが、本商品はフィギュアーツとしての完成度はとても高く、それ自体は文句なしの出来です。
 ですが、龍騎サバイブ自体のデザインは本当に意見が真っ二つに別れがちで、「かっこいい」という人と「かっこ悪い」という人の見解は、永遠に交わることがないとすら思える程に平行線です。
 フィギュアーツとして出来が良くても、龍騎サバイブ自体が受け入れられないという人にまでアピールが叶うか、といわれると、さすがにどうかなと考えてしまいます。
 非常に悪い言い方をしてしまうと、それが本商品にのしかかるカルマみたいなものかなと……
 ちなみに筆者は、龍騎サバイブのデザインはぶっちゃけ苦手ですが、それでもフィギュアーツの造型は認めていますし、大好きです。

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