第92回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「マグナギガ」

2012年11月10日 更新

■ S.H.フィギュアーツ マグナギガ

 

 2012年5月8日〜2012年7月5日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2012年9月25日配送開始(26日頃到着)。
 同時配送物は、下記参照。
 2012年9月のラインナップは、以下の通り。

  • 9/22「仮面ライダーフォーゼ・コズミックステイツ」「仮面ライダーフォーゼ モジュールセット04」「ボウケンレッド(轟轟戦隊ボウケンジャー)」
  • 9/29「レッドバスター(特命戦隊ゴーバスターズ)」
  • 9/25(配送開始日)「リブラ・ゾディアーツ(仮面ライダーフォーゼ)」「キュアマリン スーパーシルエット(ハートキャッチプリキュア!)」「デカブルー(特捜戦隊デカレンジャー)」(すべて魂ウェブ限定)

 全高は約17センチ(ツノ含まず)、横幅最大約12センチ。
 ギガランチャー用グリップ2点付属。
 ギガホーン用グリップ1点付属。
 ギガアーマー・パイルバンカー用ジョイント付属。
 アドベントカード2点付属。
 魂STAGE(ゾルダ用)付属。
 価格は税込5,040円。

 

 マグナギガ。
 仮面ライダーゾルダの契約モンスターで、外観は完璧に武装ロボット。
 非常に堅固なボディを持ち、どんな敵の攻撃も微動だにせず受け止め、びくともしない。
 普段自ら用いることはないが、身体各部に重火器が仕込まれているのも特徴。
 ゾルダがマグナバイザーにアドベントカードをベントイン(挿入)することで、彼に様々な装備を付加する。
 ファイナルベントは、全身の砲門を展開して一斉射撃を行う「エンドオブワールド」。

 劇中では殆ど動かず(動けず?)、せいぜい腕を上げる程度しかなかった。
 北岡弁護士亡き後、彼に代わってゾルダとなった吾郎と共に仮面ライダー王蛇ジェノサイダーと対峙するも、「ドゥームズデイ」の直撃を食らってしまい、ブラックホールの彼方に消滅してしまった(同技の初にして唯一の犠牲者でもある)。

 

 というわけで、フィギュアーツ版ミラーモンスター第3弾・マグナギガです。
 イベントでの試作品公開時は、「これってR&M装着変身EXのリペじゃね?」みたいなことも囁かれましたが、実際には全くの別物・完全新規造形品でした。
 しかし、その構造自体は装着変身EX版などとほぼ同じなため、(先の仮面ライダーゾルダのレビューでも書いたように)あまり新鮮味が感じられない商品となったのもまた事実です。
 今回は、そういった性質も折り込んだ上で、レビューしてみたいと思います。

 

 マグナギガとゾルダは、龍騎系ライダーとミラーモンスターが別売りで揃ったという、シリーズ初のパターンです。
 この後、魂WEB限定商品「ジェノサイダー」が配送されるため、唯一とはなりませんが。
 ゾルダ発売前(試作品も公開されていない時期)、既販売品の龍騎やナイトのようにマグナギガ付属はありうるのかという疑問が、一部ネット上にて囁かれましたが、王蛇の商品仕様発表後はあまり見かけなくなりました。
 装着変身EXという前例もありましたし、さすがにセット販売はありえないだろうと思い返したファンも多かったのではないかと。
 結局、ゾルダはミラモンなしとはいえ、豊富なオプション付属で4,000円を大きく下回るという“これはこれでお得なセット”になり、これといった文句は出ませんでした。
 その後、魂WEBでの限定発売が決定した際も、不満より「やっぱりな」と納得する声の方が多かった印象がありました。

 

 恒例の前後比較。
 小顔化&四肢が大型化した印象です。
 やや首が浮いてる感じがしますが、現物はさほど気になるものではないです。
 肩アーマーのグリップ部分がツノをやや押し上げている感じになっていますが、ツノはPVC製なので、このままだと癒着の危険が生じます。

 後頭部に見える銀色の部分は、恐らく今回唯一の目立った難点。
 これについては、ギガホーンの項で詳しく触れます。

 

 頭部アップ。
 かなり精悍な顔つきになっています。
 これまでの中では格段に劇中に近い作りで、惚れ惚れします。
 頭部は横方向に回転可能ですが、なんと顎を上げることも可能です。
 頭部を浅く差し込めば、顎を引く動きも出来ます。

 

 腕の可動について。
 肩の回転と展開、上腕ロールと一通りのことは出来ます。
 ほんの僅かですが、両肩の前後スイングも可能。
 当然、ポージングの役には立ちません。

 

 左手のクロー部分も、当然展開可能。
 まあ、そうじゃなきゃファイナルベント再現出来ませんが。

 

 脚部ですが、股関節がボールジョイントで、膝が一段階可動。
 腕部を含め、ここまではR&Mや装着変身EX版と(可動範囲も含めて)ほぼ同じです。
 言うまでもありませんが、ギミックの都合上腰周辺は全くの無可動です。
 フィギュアーツオリジナルの可動箇所としては、足首のスイング機構追加があります。
 元々派手なポージングを求められていないマグナギガではありますが、設置性向上にそれなりに貢献します。
 ただし、過剰な期待をかけるほどの可動範囲ではありません。

 

 左手ハサミ(クロー?)周辺の、細かな塗り分けもOK。
 特に、ガトリングガン状の部位はちょっとした感動物。
 エンドオブワールド時に判りますが、ハサミ内部もばっちりです。
 さすがは限定品、かなりのクオリティです。

 

 装着変身EX版は無事発掘出来ましたので、比較してみます。
 直接比較して見ないと、装着変身とあまり変わりないようにも思えたフィギュアーツ版ですが、実際は何もかもが違っていました。
 身長(足の長さ)なんかもう全然別物で、比較するのも野暮というほど。
 「大雑把な記憶との比較」がどれだけいい加減なのか、あらためて思い知らされます。

 

 こちらは、装着変身EX版。
 胸のハッチを展開した状態です。
 こちらでは、胸板のフタ裏側が金色で、ゴージャスな印象ですが。

 

 フィギュアーツ版は、ガンメタルのストイックな色合い。
 ちなみに、こちらの方が劇中準拠です。

 

 左手ハサミ部分の比較。
 左が装着変身EX版で、右がフィギュアーツ版。
 ガトリング部分の塗装や、内部の塗装の有無など、大きさや形状がまるで違っています。
 よく見ると、オデコの高さもかなり違います。
 装着変身EX版って、こんなに脳勃起状態だったっけ……?

 

 フィギュアーツ版も、装着変身EX(R&M)版と同様、身体各部を分解して武器にすることが出来ます。
 また、これによって「S.H.フィギュアーツ仮面ライダーゾルダ」には付属しなかった装備を得ることも出来るようになっています。

 まずは、マグナギガの頭部を外して。

 

 左右のツノを前方(上画像では上向き)に90度倒し、ついでに凸ジョイントと顔を後方(画像では下向き)に倒します。

 

 折りたたんだ凸ジョイントに、ギガホーン用グリップを接続します。
 慣れないと、ちょっと戸惑うかもしれません。
 頭部後方に見える銀色のパーツは、ジベットスレッド。
 言うまでもなく、これは本来マグナギガには付いていない部分です。

 

 ゾルダの前腕のジベットスレッドを、取り外しておきます。
 画像では右腕のを外してますが、左右どちらでも持てるので、お好きな方でどうぞ。
 どうせ本編未使用なんだし、右だろうが左だろうが間違いじゃないし。

 

 グリップを手首に掴ませ、後部のジベットスレッドをゾルダの前腕にはめ込めば、装着完了。
 この時使う手首は、「SHF仮面ライダーゾルダ」でも説明した“未使用だった武器持ち手”が良いようです。

 

 本編未使用装備・ストライクベント「ギガホーン」。
 長さ約5.4センチ(ツノ含まず)。横幅最大約10センチ。
 ストライクベントなんで打撃武器だろうとは思いますが、マグナギガの額の砲門があるので、これも実は重火器なんでは? と考えがちな装備です。
 実際、殴りつけるにしてもかなり使い辛そう……

 このギガホーン、フィギュアーツ版でも付いてくれたのは嬉しいんですが、今回はグリップ保持に加えて前腕のジベットスレッドを交換して保持する都合、マグナギガの後頭部に余計なジベットスレッドがぶら下がるという、いささかみっともない結果となっていました。
 ギミック優先で、この仕様を許容するか。
 ジベットスレッドをなくし、グリップ部分の保持力を強めて手首だけで保持するようにすべきだったか。
 この辺りは人によって評価は変わるでしょうが、どうあれ「ちょっとアレ」な形になってしまったことは事実です。
 これが、先に軽く触れた「唯一目立った難点」ですね。

 

 まあ、とはいえ。
 やっぱり追加装備は嬉しいですし、プレイバリューが広がることに変わりありません。
 まして、マグナギガ買ってこれがない、というのは考えられませんからね。
 ツノのおかげで結構なボリューム装備になっているので、格闘戦というシチュで他のライダーと絡ませるのもいいかもしれません。

 

 次の装備。
 頭部を外した状態のマグナギガの、両肩を繋ぐ部分を後方にぐっと倒します。
 すると、パキッという感じで上体が外れます。
 ここは、R&M及び装着変身EX版では非常に固く、取り外しにくい部分でしたが、今回はさほどきつくなく、適度な固さになっているので安心して取り扱えます。

 

 取り外した部位を、横一直線に伸ばします。
 更に、肩の付け根(僅かにスイングする部分)を、押し縮めます。

 

 肩アーマーに付いているグリップ型の部分を取り外し、別パーツに交換します。
 これは、フィギュアーツ版で初めて導入された仕様です。
 元々大型のパーツで保持に問題なさそうなのに、付け替える必要があるのか? と疑問を持たれる方もおられるかと思いますので、次で検証してみます。

 

 ちょっと判りにくいですが、マグナギガ形態で片側だけ交換パーツをつけてみました。
 結論として、交換パーツにするとマギナギガ時にツノが少しだけ持ち上がる程度。
 大きさも高さが2ミリほどしか変わらず、ゾルダの武器持ち手のグリップ性もほぼ同じです。
 実質的には、交換する意味は全くと言って良いほどありません。
 どうしても交換パーツを使いたい、けれど交換はめんどいという人は、いっそ交換パーツをそのままつけっぱなしにしても良いのではないでしょうか。

 

 装備本体に話を戻して。
 両肩の間の部分(マグナギガ本体接合部)を180度回転させます。

 

 その後、シーカーとマグナギガ左手を展開させれば、ギガランチャーが完成します。

 

 マグナギガ版「ギガランチャー」。
 ゾルダに付属する物より、かなり大型になっています。
 かろうじて装備させたまま自立可能ですが、魂STAGEなどの補助がないと、かなり姿勢が限定されます。

 

 付属のギガランチャーも決して悪くない(むしろベスト)んですが、これくらい過剰な大きさの武装も魅力的な気がします。
 まさに大砲という佇まいで。

 

 踏ん張り方が、ややいびつになってしまいがちなのは、しょうがないところ。
 それにしても、目測で狙い付けるのは殆ど無理ですなこりゃ。

 

 ギガランチャー比較。
 デカいにも程がある対比!
 ゾルダ付属版ギガランチャーが長さ約20.7センチなのに対して、マグナギガ版はなんと約26センチもあります。
 このサイズで6センチ差は大きすぎ。

 

 ゾルダと比べると、こんなになります。
 こちらと見比べて貰えれば、もっと判りやすいかも。

 

 次の装備に行きます。
 胴体前面部と、下半身を切り離します。
 この接続、外すのは楽ですが戻す時はちょっとしたコツがいるので、注意が必要です。

 

 パイルバンカーを引き起こし、裏面のグリップをゾルダに持たせれば、ガードベント「ギガアーマー」完成。
 高さ約7.5センチ(パイルバンカー含まず)。厚み最大約5.4センチ。
 アーマーって名前なのに、現物はごっつい盾というギャップが素敵です。
 本編では、殆どチラ役的な出演? でした。

 

 ギガアーマー裏側。
 パイルバンカーは、折りたたんで裏側にぴったり収まります。
 グリップを掴ませるのには、またまたコツが必要。

 

 ゾルダが持っているとはいえ、パイルバンカーだけではさすがに立たせ辛いので、保持パーツも付属します。
 けれど、正直気休め程度の効果です。
 径が緩いんで、思ったほど安定性が稼げないという。

 

 ギガアーマーは、ギガランチャーとの合体が可能。
 何故かパイルバンカーを立てている写真が公式にありますが、設定上はこれが正しいです。
 ちなみに、ギガアーマーにゾルダ付属のギガランチャーを合体させることは出来ません。
 銃身をただ乗せることは可能ですが、接続部が合わないのです。
 ましてそれをやっても、安定性なんかあったモンじゃないです。

 

 次の装備。
 残された下半身の接続ジョイントを、180度回転させます。
 これはちょっと驚きの機構。

 

 次に、ふくらはぎを左右に開きます。
 画像は、左足のみ開いた状態。
 太さの違いを比べれば、ギミックが判ると思います。
 これは砲塔を引き出す際に行うものですが、開かないままで引き出そうとすると端を擦ってしまう危険があります。

 

 左右の砲塔を180度回転させて、ふくらはぎを閉じます。
 この時点で、長さ約15.4センチ、横幅最大約7センチ。

 

 背中のジベットスレッドを外したゾルダに接続して、「ギガキャノン」完成。
 デカすぎにもほどがある装備です(褒め言葉)。
 砲塔が前面にせり出しすぎで、武器として機能するのかどうか不安ですが、だからこそこのハッタリ感が良いともいえます。

 

 どれくらいデカいかは、側面から見れば一目瞭然。
 ゾルダ付属版も結構大きかったんですが、そんなもんじゃないです。

 

 ギガキャノン比較。
 長さ4センチ差なんで、えらいことになってます。
 脚の空間が寂しいですが、これはギミック上仕方のないこと
 それに、過去二回既に通り過ぎてきたところですから。

 

 こちらのギガキャノンにも、魂STAGE接続用ジョイントがあります。
 というか、股間部に穴が開いてるだけですけど。
 とりあえず、こっちの方が魂STAGEの必要性が高いでしょうから、こういうのはさりげに嬉しいものです。
 これで、マグナギガ変形の装備は全て紹介しました。

「あれ? ちょっと待って?
 もしかして、もう一匹一つ忘れてない?」

 

 物足りなさを感じられた方は、ほぼ間違いなくR&Mか装着変身EX版マグナギガを弄った経験がある方でしょう。
 これまでもマグナギガは、膝頭部分が分離して、ゾルダの両肩側面に接続する装備「ギガテクター」というものがありました。
 ところが、フィギュアーツ版には あ り ま せ ん 。
 膝頭は分離不能な構造で、なんちゃって再現も含めて使用不可。
 まあ、これも本編未登場装備だし、そもそもゾルダの肩のジベットスレッドに拡張性皆無なんで、あっても仕方ないわけなんですが。

 

 武装関係は紹介済みですが、マギナギガには最後のギミックが残っています。
 後腰部分の穴に、マグナバイザーを接続。

 

 全砲門開放。
 ファイナルベント「エンドオブワールド」!
 やっぱり、これが出来なきゃってもんです。
 今回もばっちり再現可能。

 

 この辺りは、過去商品版と全く同じと考えてほぼ支障ありません。
 違いといえば、せいぜい脚の砲塔を倒す際にふくらはぎを一旦開く必要がある点のみ。
 各部可動も含め、ホントそのまんまですね。
 それでも、これで初めてマグナギガに触れた人には、やっぱり衝撃かも。

 

 マグナギガには、魂STAGEが付属します。
 仕様はACT-4(もう言うまでもないですが)。
 ゾルダの紋章がプリントされてます。

 

 台座アップ。

 

 ゾルダを飾った状態。
 これで、メインの三人ライダーは全員専用の台座が付属したことになります。
 ただ、龍騎の場合はドラグレッダー専用という気もしなくもないですが……

 

 アドベントカードが2枚付属。
 左から、ストライクベント、ガードベント。
 ゾルダに付属しなかった装備のカードになります。
 当然サイズは同じなので、マグナバイザーに装填可能。

 

 以上、マグナギガでした。

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【買ってみて一言】

 ゾルダ同様、こちらも大変に出来が良く、ほぼ文句のつけようがありません。
 劇中とイメージの異なるメタリックボディを否定される向きもあるかとは思いますが、フィギュアーツ的解釈のミラモンシリーズと割り切れればまだ何とかというところ。
 また、過去商品の不満点を多く改善していることもあり、大変に力がこもった商品と云えるでしょう。
 フィギュアーツから集め始めた人には、プレイバリュー的な意味でも良い逸品となるでしょうね。

 ですが、R&Mや装着変身EX版に慣れ親しんだ人達には、今回の商品は余り……いや、はっきり言ってしまうと“全く”新鮮味がありません。
 新規造型なのはいいんですが、ギミックやおおまかな構造など、過去の商品のまんまということもあり、驚きも感動も乏しくなります。
 それだけ、過去のマグナギガ商品の完成度が高かったということなんでしょうが、せめてもう少し捻りようがあったんじゃないかと思えてなりません。
 その上で、ギガテクターだけオミットされてるので、いささか残念感も伴ってしまいます。
 まあ、これはあくまで贅沢な欲求で、決してフィギュアーツ版マグナギガの評価を下げる要素というわけではありませんが。

 フィギュアーツ版のミラーモンスターは、この後2013年1月の「ジェノサイダー」が確定しています。
 そちらは実質三体のミラモンのセットで、加えて3月に「仮面ライダーリュウガ(ドラグブラッカー付)」が追加。
 これで、13ライダー中(オルタナティブも加えれば14)7組がフィギュアーツ化確定となります。
 だいたい半分を消化したわけですが、残りが果たしてどうなることか……
 今後に期待して行きたいと思います。

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