第67回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「シャドームーン」

2011年6月21日 更新
2011年6月29日 画像追加

 2010年2月開催「魂フィーチャーズ1」にて、商品化アンケート第一位に輝いた「シャドームーン」が、ようやくフィギュアーツ化しました。
 実に1年と4ヶ月! 本当に長かったものです。
 しかし、待たされただけあってその出来の良さはかなりの物になりました。
 仮面ライダーBLACK及びRXの永遠のライバルにして、劇場版ディケイドなどでも印象的な敵キャラとして登場したシャドームーン……
 今回は、こちらを細かくレビューしていきます。

■ S.H.フィギュアーツ シャドームーン

 

 2011年6月11日発売。
 同時販売物は、「キュアサンシャイン(ハートキャッチプリキュア)」。
 2011年6月の販売(配送)ラインナップは、以下の通り。

  • 6/25 「パーマン1号」「仮面ライダーバース」
  • 6/29(配送開始日) 「シンケンブルー」「シンケングリーン」(侍戦隊シンケンジャー)「仮面ライダーオーズ・タカゴリバ&ガタトラバセット」「ストレイト・クーガー(スクライド)」「クレイドールドーパント(仮面ライダーW)」
  • 6月末配送予定 「スミロドンドーパント(仮面ライダーW)」

 全高は約14.5センチ(ツノ含まず)
 合計3種6個の手首付き。
 サタンサーベル、シャドーセイバー大小各一本付属。
 台座などのオプションはなし。
 価格は税込3,360円。

 

 シャドームーン。
 「仮面ライダーBLACK」に登場する、秘密結社ゴルゴムの世紀王(大幹部)。
 南光太郎の親友・秋月信彦としては第1話から登場しているが、シャドームーンとして姿を現した(覚醒した)のは、第35話からとかなり遅い。
 後述するRX登場回も含め、2クール未満という短い活躍期間であったにも関わらず、大変印象深く、ライダーシリーズ全ての中でも屈指の名敵キャラクターとなった。

 元々は光太郎と共に誘拐された秋月信彦という人間で、次期創世王候補の一人として改造手術を受けたが、途中で脱出に成功した光太郎とは異なり、最後まで脳改造を受けてしまった。
 三万年前に世紀王になり損ねた剣聖ビルゲニアは、今度こそ世紀王の座に就こうと、創世王から授けられた“世紀王の証”サタンサーベルを用いてBLACKと、いまだ覚醒しないシャドームーン両方の抹殺を企てる。
 しかし、ダロム他三神官がそれぞれの持つ天・海・地の石の力を解放しシャドームーン復活を早めてしまったため計画は頓挫、シャドームーンにサタンサーベルを奪い取られ、瞬殺されてしまう。
 サタンサーベルを得たシャドームーンは次期創世王になることを誓い、BLACK抹殺を決意。
 南光太郎の前に立ち塞がり、宣戦布告を行った。
 その後、幾度もの対戦を経て、ついにBLACK打倒に成功するも、創世王の命令に従えず彼のキングストーンを奪えなかった。
 後に、クジラ怪人から命のエキスを与えられ復活したBLACKと、再び交戦。
 創世王監視の下で激しい決闘を繰り広げるが、最後はサタンサーベルを手にしたBLACKにベルト部を攻撃され、戦闘不能状態に陥ってしまう。
 その後、BLACKが創世王を破壊した事でゴルゴム神殿崩壊が始まり、シャドームーンはそのまま瓦礫の下敷きになって姿を消してしまう。

 

 しかし、シャドームーンは死んではいなかった。
 「仮面ライダーBLACK RX」第22話にて、全身錆び付いた姿でクライス要塞内に姿を現し、ジャーク将軍と交渉の末にRX打倒を画策する。
 ゴルゴム時代の記憶を失っており、打倒BLACK(RX)の本能に突き動かされて行動するも、事前にRXの戦闘能力を分析してから闘いを挑むなど知略的な面も見せており、事実初戦ではRXを絶体絶命のピンチに追い込んだ。
 後にクライシス帝国と袂を分かち、単独でRX再戦を目指すが、怪魔異生獣マットボットの罠にはまり、人質の子供達もろとも炎の中に閉じこめられてしまう。
 炎の激戦の末、リボルケインの一撃をベルトに受け敗北を喫するも、人質の子供達を救うため最後の力を振り絞り、RXをマットボット打倒に向かわせる。
 その後、助け出した子供達に見守られながら、シャドームーンは二度と動かなくなった――

 

 その後、「東映シネファンタジー'94」他で公開された3Dショート映画「仮面ライダーワールド」にも登場。
 仮面ライダーBLACKや真、ZOやJに登場した再生怪人軍団を操り、地球制服を企て、仮面ライダーZOやJと闘う。
 本作ではなんと巨大化した状態で登場し、仮面ライダーJジャンボフォーメーションと対決するが、ライダーキックをベルトに受けてあっさり爆死してしまう。

 それから更に15年後、今度は「劇場版・仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」に登場。
 ここではディケイドの世界観に合わせ、秋月信彦とは異なる“月影ノブヒコ”という人物が変身し、門矢士を陥れ大ショッカーの首領の座を奪おうと画策する。
 ここでは、ディケイドやクウガ・ライジングアルティメットフォームを単身で翻弄するなど高い戦闘能力を発揮したが、突如乱入した仮面ライダーWにあっさり撃退され、トドメは全ライダーによるライダーキックを食らい、大ショッカー本部基地ごと爆砕した。
 尚、劇場公開同時期にシルエットのみで「仮面ライダーディケイド」本編(27話ラスト)にも登場したが、直接姿を見せることはなかった。

 更にその後、2011年公開「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」にも登場。
 ここでは人間体の姿はなく、ゴルゴム代表の一員として大神官ダロムと共に姿を現す。
 残念ながら「〜大ショッカー」の時のように前面に出ることはなく、再登場怪人幹部の一人といった扱いに留まったが、仮面ライダーディケイドに敗北して散った。

 ゲームでも多数登場しており、代表例が「仮面ライダー 正義の系譜」。
 このように、本編以外でも非常に多岐に渡る出演を行っており、大変人気のあるキャラクターであることが窺い知れる。

 

 「魂フィーチャーズ」以来、待ちに待った夢のアイテム・シャドームーン。
 2011年1月下旬、商品化情報がネット上に広まって以来、大変多くの注目を集めて来ました。
 その出来はシリーズ中屈指と言っても過言でないほどハイレベルなもので、まさしく長い間待った甲斐があったというシロモノになっています。
 各部の仕様も、過去の商品と比べてかなりの進歩が見られますので、一つひとつ細かく見ていきたいと思います。

 尚、シャドームーンは劇中のイメージや、或いは見た目のなんとなく重そうな雰囲気からか、あまり派手に動かない印象を抱かれることがあるようですが、実際にはBLACKやRXに負けないくらいド派手に動いていました。
 そしてこのフィギュアーツ版も、それに負けないくらいガンガン動きます。
 そりゃもう、パッと見のイメージからはちょっと想像が付かないくらいです。

 

 まずは、定番の前面・背面比較。
 劇中のスーツに比べると足が長く、ウエストが引き締まっているのが目に付きますが、実際に手にしてみるとそんなにガリガリという感じはなく、程よいアレンジ体型といった範疇です。
 ベルトの形状のせいで更に引き締まって見えていますが、実は「仮面ライダーファイズ」と腹幅はあまり変わりません(ファイズの方が目測2ミリ弱ほど広い程度の差)。

 

 気になる頭部造型ですが、かなりの及第点。
 というか、個人的には全くケチの付けようがありません。
 劇中のマスクは、もっと顎が短く色も黒に近いガンメタリックで、こんなに薄くはありません。

 

 正面からアップで。
 複眼のパターンも劇中マスクとは大きく違っています。
 劇中はアップ用マスクが六角形、アクション用が丸穴(或いは横向きの六角形?)の開いた網目状格子がフード内側にくっついている形状で、本商品のようなブツブツ立体型ではありません。
 間近で見るとやや違和感があり、正直ちょっとキモイんですが、少し離れてみると違和感は全く感じられずむしろいい感じに思えてくるので、これはこれでありかなとも感じます。
 実際、劇中マスクと全く同じモールドってのは細かすぎて再現不可能だろうと思いますし。

 

 横向きの顔もなかなかいい雰囲気を出してます。
 写真の角度のせいで奥行きが狭まって見えますが、実物は劇中マスク写真と比較しても殆ど違和感のない完璧なバランスなので、その辺は安心して頂いて問題ないかと思います。
 それより何より、シャドームーン独特の垂れ目形状が、バッチリ再現され尽くしているのが嬉しいじゃないですか。
 この絶妙造型、なんでBLACKの時にもやってくれなかったのかと……

 

 最近のフィギュアーツは、背面の目立つ所にコピーライトやら版数表記(4つの点)があっていささか閉口させられるのですが、本商品では「上体を屈ませると上半身アーマーの隙間から覗く」というナイスな処理が施されています。
 普通に背を伸ばして立たせている分には、全く見えないようになるので、本当にありがたいものです。
 これ、今後のシリーズでも適応してくれないかなあ。

 

 続けて可動範囲について。
 まず肘ですが、シャドームーンの特徴の一つ・エルボートリガーはPVC製で無可動の固定式。
 柔らかいので手に刺さるような心配はまずありません。

 

 肘の可動は、これくらいまで可能です。
 見た目の印象だと、90度未満くらいしか曲がらなさそうなのに、実際はここまでイケます。
 ただしここまで曲げると、上腕・前腕の材質の柔軟性に頼らなくてはなりません。
 もし腕が全てプラ製だったら、やっぱり90度までしか曲がらなかったでしょう。
 当然ながら、前腕ロールなどといった気取った機構はありません。

 

 シャドームーンは、肩パーツの接続方法が大変個性的です。
 このような処置は「装着変身」シリーズから見ても初となります。
 まず、これが通常の姿勢。

 

 腕を真横に少し上げています。
 肩アーマーの位置と角度に注目。

 

 腕を水平に上げた状態。
 肩アーマーが、肩胛骨部分に被さるようになっています。
 これまでのような、肩ブロックの基部に肩アーマー上辺の一部が接続されているとか、そういうスタイルではありません。
 この構造のため、肩アーマーの横方向のパタつきがなくなっています。

 

 接続方式は、肩ブロックの側面側にジョイントを設けているという新規アイデア。
 この穴は内側が広く入り口が狭くなっており、遊びもあるため肩アーマー側の凸ジョイントを固定しつつフレキシブルに動かせるという、面白い作りになっています。

 

 こちらは、肩アーマーの裏側。
 ご覧の通り、接続用の凸ジョイントが下寄りに付いています。
 実際のスーツは、ありがちな胴体側接続で腕を上げるたびにパタパタいう構造なので、本商品のような接続方式は本来違和感が強まる筈なのですが、実際に動かしてみると肩アーマーが変な角度で固まる事などが抑えられ、また腕を下ろしても、他のアーツみたいに肩アーマーごと腕が下にずれるといった事が起こりません。
 具体的には、腕を5ミリほど下げても肩アーマーの位置が維持されます。
 これは、もっと早く導入して欲しかった画期的なアイデアと言えるでしょう。

 

 ただし、前後可動については従来同様、肩アーマーは肩ブロックと一緒に回転します。
 どんな角度に動かしても、肩アーマーと腕が干渉することはありません。

 

 次に、レッグトリガーの可動について。
 さすがに、劇中のように踵が離れると倒れ、踵を地に付けると持ち上がるといった連動ギミックはありません。
 可動範囲は写真の通りで、足裏を接地させた状態でもここまで動かせます。
 梱包時は右端の状態になっていますが、銀色部分癒着しないかな?

 

 レッグトリガーは、下方向ならここまで曲げられます。
 材質はプラ製で、形状の関係でチクチクしてとても痛いです。
 破損させないように注意したいところです。

 

 名前のない、シャドームーンのベルト部分。
 こちらは完全新規造型で、フィギュアーツ・BLACKとは全く形状が異なります。
 当然、こっちの方が現物に近いです。
 ただし、残念ながらシャドーチャージャー周辺の僅かなくぼみは、再現されず。
 BLACKでは省かれていた、パルストリガーやタイドステイダー部分の塗り分けもきっちり行われています。
 シャドーチャージャー部分はパーツの関係で奥行きがあって、斜めから見ると内側に影が入ります。

 

 なんとびっくり、上体を屈めるとベルトの下半分がパンツ部分に潜り込みます。
 この構造のおかげで、ライダー系アーツ最大の課題ともいえた前屈範囲の向上に成功しています。

 

 参考に、「仮面ライダーBLACK」のベルト部アップ。
 比較するのもアレなほど形状が別物です。

 

 次に、股関節です。
 最近のフィギュアーツ同様引き出し式なのですが、予想以上に引き出し幅が長いです。 
 W系や、ひょっとしたらギルスよりも長いかも。

 

 この構造のおかげで、両脚の横方向の可動範囲は凄いことになっています。
 写真は、足首接地&自立可能の状態で限界まで開いたもの。
 この状態でしっかり立っています。

 

 足首の接地を気にしなければ、180度開脚が可能。
 とんでもない可動範囲です。

 

 横方向だけではなく、前後にも180度開脚可能。
 とにかく、股関節についてはほとんど制約がないものと考えていいかもしれません。

 

 足首の可動範囲ですが、横方向は先の通りで、前後はこれくらいが限度。
 前屈があまり得意ではないですが、実際のポージングであまり支障を来すようなことはなさそう。
 ただし、意外や自立性はあまり高くありません。
 保持力はあるんですが、後述するボールジョイントの位置が踵に近いせいか、後方に倒れやすくなってしまいます。
 それでも、プリキュア系アーツよりは遙かにましな自立性なんですけどね。

 

 ちなみに足首の構造は、同年4/28発売の「仮面ライダーNew電王トリロジーVer.」と同じもので、非ダイキャストです。
 根元に大型のボールジョイントが接続されていて、その保持力で支えている感じです。
 figmaの足首ジョイントにかなり近いものになっていますが、やはりここは過去商品同様ダイキャストパーツにして欲しかったところです。
 メタリックなイメージの強いシャドームーンは、やっぱりダイキャスト使用でズッシリ感のあるものに仕上げて欲しかったものです。

 

 背逸らしはここまで可能。
 腹部上下の可動範囲の秀逸さが光っています。

 

 前屈はここまで可能。
 この前後の可動幅の広さは、今のところシリーズ屈指といえるでしょう。

 

 これらの可動範囲の広さが組み合わされることで、想像以上のポージングバリエーションが広がります。
 本家を遙かに凌ぐ「エクシードチャージ」までやれちゃったり。

 

 別角度。
 ファイズは引き出し式の腰関節というアイデアで前屈範囲を確保していましたが、今回はそれなしでより深い「屈み」が再現出来ます。
 やる意味の有無はともかくとして、ですが。
 まあ、こんなポーズ取らせる必要性はないんですが、一応参考までにということで。

 

 ギルスヒールクローとか。

 

 一番驚いたのが、「マシンハードボイルダー」に、問題なく搭乗出来てしまうこと。
 なんと、この画像ではちゃんと両脚がステップに乗っています(どれだけ凄い事かは、ハードボイルダーのレビュー参照)。
 実際には、若干左に傾いているため100%完璧ではありませんが、これだけしっかり乗れるくらい各関節可動範囲が広いという事がわかれば充分かなと。

 

 劇中でもよく見せていた「東映ジャンプ」も、当然再現可能。
 本当にもう、困っちゃうくらいよく動きます。
 その上で、関節がやわやわでフラフラという事もなく、落ち着いているので、安心して飾れます。
 以上、可動範囲の解説でした。

 

 「仮面ライダーBLACK」との比較。
 発売当時から今尚、その出来の悪さについて語られる事の多いBLACKですが、こうして見ると体型の細さがどうの以前に、上体のプロポーションにも多くの問題を抱えているのがわかります。
 というか、シャドームーンと比較して益々問題点が目立ってしまっている状態。
 リメイク要望が囁かれるのも、わかる気がします。
 ただ、この角度から見ると意外に下半身は違和感ない対比だったり。
 BLACKの方が当然脚が細いんですけど。

 

 続けて、「仮面ライダーBLACK RX」と比較。
 こちらは、上体も下半身もそれほど違和感ない感じです。
 ただ、RXの腰部全体がコンパクトすぎるため、そこだけ違和感が強まってしまいます。

 

 三体同時比較。
 こうして見ると、確かにシャドームーンはBLACK系の体型を意識してバランス調整されているだろう様子が理解出来ます。
 今の価値観で見ると色々厳しい面が目立つBLACKとRXですが、それらに合わせた体型でありながら破綻を少なくまとめているシャドームーンは、本当に大したものです。
 しかしよく考えると、これで仮にBLACKやRXのVer.2とか作られて太めな体型になってしまったら、今度はシャドームーンが細身過ぎるように感じられてしまうかもしれませんね。

 

 次に付属品、まずは「サタンサーベル」から。
 造型はかなりシャープでいい感じ、刀身もきっちりクリアレッド成形です。
 残念ながら、鍔部分とグリップ部分の青と赤のポイントは省略されていますが、殆ど気にならないのではないかと。

 

 大きさも充分で、小さすぎる事なくほぼ劇中のイメージ通り。
 長い期間露出していた武器ですし、シャドームーンといったらコレというアイテムですから、外すわけにはいかないですよね。

 

 残念ながら、サタンサーベルの「鞘」は付属しません。
 装着変身版には付属していたのでいささか残念ですが、実は鞘付きサタンサーベルを使用していたのは剣聖ビルゲニアだけで、シャドームーンは最初から抜き身でしか持っていないんですよね。
 そのため、特に問題はないとする派と、鞘なしはおかしいとする派と意見が分かれることもあるようです。

 

 当然ですが、BLACKにも持たせることが出来ます。
 最終局面での、対創世王戦のイメージなんかも再現可能になります。
 ただし、BLACKは武器持ち手がないので、実際には「S.H.フィギュアーツ版バトルホッパー」またはRXが別途必要になりますが(或いはアギト系)。
 グリップが太いので、かなりしっかり保持出来ます。

 

 続けて、RX登場時に使用した「シャドーセイバー」。
 BLACK時には未登場のオリジナル武器で、いきなり取り出して使っていました。
 左の短い剣は防御用、右の長い剣は攻撃用という設定です。

 

 シャドーセイバーは、造形的にはかなり満足度の高いものなのですが、塗装のオミットがかなり激しいです。
 刀身部のライン(実物は溝に沿って白か銀の線が引いてある)がなく、鍔部分のフィン状パーツ部のグリーンもありません。
 しかし一番目立つのは、グリップ部分が黒ではなく銀一色になっている点。
 もっともこれらは、装着変身の頃からオミットされていましたけどね。

 

 細かい部分に不満はあるものの、それでも充実した付属品と言ってもいいでしょう。
 発売前、まだ充分な情報が出ていない頃はどちらかの武器がオミットされるんじゃないか、なんて噂も出ていましたが、杞憂に終わって何よりです。

 

 「装着変身EXバトルホッパー」との組み合わせ。
 フィギュアーツ版は持っていませんが、色合い的には絶対こっちの方がイメージに近いと思う筆者。

 

 BLACKやRXの時に散々書きましたが、サイズが全然合ってないため、シャドームーンも乗せると酷い有様になってしまいます。
 これでも、本来のシート位置より後方に尻を置いているんですが、それでもこんな状態。
 これと全く同じ形状の「S.H.フィギュアーツ版バトルホッパー」に乗せた場合どうなるか、想像に難くないと思います。

 

 それでも、どうしても乗せたいというのなら飾る角度に凝るしかないかと。
 シャドームーン&バトルホッパーvsBLACKという構図で飾りたいという人も、多いでしょうからね。

 

「忘れたのか? ブラックサン。
バトルホッパーは、次期創世王のために造られたマシン。
俺が操れて当然ではないか!」

 本編ではサタンサーベルを持ってたりどっかにやったりと、やたら忙しそうな運転でしたな。

 

 RXとの決着シーンなんか適当に再現。
 本編映像の角度だとイマイチなんで、別アングルで撮ってみました。
 この時はリボルケイン貫通はなしで、ベルトへの斬り→突き攻撃でしたね。
 貫通させちゃうと、その後のドラマがやれなかったからでしょうけど。

 

「聞け!
 クライシスは、あの山を噴火させるつもりだ!
 この辺りは勿論、街も火の海になる筈だ……
 ――行けRX! あの子供達のことは俺に任せろ!!」

 

「信彦――っ!!」

「我が名はシャドームーン。
 いずれ再び蘇り……仮面ライダーBLACK RX! お前に勝負を挑む。
 誰にも、お前の首は――渡さん!」

 

「ねえ、どうしたの?」
「死んじゃったの?」

 向きは反対だし、子供は片方男だったけど、撮り直すのめんどいからいっか。

 

「大丈夫だよ、ちょっと疲れて眠っているだけさ……」

 てつお代役。
 まさかこんな状態で自立出来るとは思わなんだ。

 

デ「緑のライダー?」
影「黒の…ライダー?」
デ「いや、緑だろ」

W「どっちも、だ」

 いきなりオールライダー対大ショッカー。

 

「俺の名は――仮面ライダーW

「「さあ、お前の罪を数えろ!!」」

 何の前置きもなしにやってきた二色のハンカチ野郎に指差しされ、突然こんな事言われて、少しうろたえているような月影さんが可愛かったです。

 

 シャドームーンといえばヒートメタル、ヒートメタルといえばホームランです。
 げにおそるべきは新登場ライダー能力補正。

 

 シャドームーン、フルボッコの序曲。
 全盛期からはとても考えられないほど酷い扱いでありました。
 あの集団ライダーキック、明らかに何人か貫通してるよね……

 

 以上、シャドームーンでした。
 6月末現在、一部の量販店やネットショップで一時的な在庫復帰があったようですが、いまだ明確な回復が見えてこない状況のようです。
 ひょっとして、二次出荷もそんなに数が出なかったんでしょうか?
 よくわかりませんが、アンケート1位だったんだし、敵キャラだからって控えめに考えないでもっとドバッと流通させて欲しいものです。
 せっかく良いものなのに、本当にもったいないですよ……

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【買ってみて一言】

 ここまで色々述べてきた通り、完成度は相当なものです。
 単なる造形美だけではなく、可動やギミック、付属品も充実していて、よほど細かく劇中と比較しない限り文句の付けようがないほどです。
 スタッフによると、シャドームーンは相当な試行錯誤を重ねたようで、入念な準備を行ったそうです。
 BLACKやRXは、フィギュアーツ初期の商品のため体型が今とは大きく異なり細身過ぎるため、並べた際に大きな違和感が出ないように、といった工夫もあったようですが、充分成果は出ているかと。
 ただし、スタイル以前に完成度に差がありすぎるため、別な意味でアンバランスになった感は拭えません。
 BLACKとRXは、各所でVer.2が欲しいという要望が出ているようですが、筆者も同意します。

 シャドームーンですが、確かに出来は良く文句なしの完成度ではありますが、やはりというかダイキャスト廃止の影響でやたらと「軽い」のが気になってしまいます。
 非ダイキャストのアーツは過去にいくつもありましたが、「強化外骨格零」と同じくダイキャストパーツの重厚さが良い効果を発揮しそうに思えるため、これは本当に悲しい点でしょう。
 致命的なマイナスとなるかどうかはユーザー次第と思いますが、個人的には、せめて足首くらいは使って欲しかった心境です(それ以外は割とどうでもいい)。
 とにかく、全体的に軽すぎるというのは、悲しい気がしてなりません。
 もう一点、最近は非ダイキャスト肯定の意見も多く見られがちですが、どんなにボールジョイント自体の保持力を高めても重心問題は解決されないため、充分な姿勢保持は出来ないんですよね。
 どうしても安定性に乏しくなってしまうので、ここはなんとしても貫いて欲しかったところです。
 評判の良いNew電王トリロジーVer.でも、やっぱり安定感は不充分でしたし。
 先でも触れましたが、シャドームーンはやや後方に傾きがちな重心配分なので、余計にそう感じられます。

 もう一点、これはシャドームーンだけの問題ではないのですが、「ツノがやたらと折れやすい」という難点も抱えています。
 Wや仮面ライダーG3系、またファイズなどでよく囁かれていた不満点ですが、今回も同様で、既にへし折ってしまったという人も多いらしいです。
 シャドームーンのツノは大変シャープでとても折れやすそうですから、とても神経を使います。
 単純に軟質パーツに交換すればいい、という問題でもないため、どうしようもない難点かもしれませんが、やはり警戒はしておくべきでしょうか。

 あと私見ですが、シャドームーンは全身にトップコート吹いた方がいいかもしれません。
 細かいキズが結構入りそうで、その辺もなかなかにスリリングなので。

 

 本商品の流通ですが、実はこれを書いている6月末現在、状況が今ひとつよくわかっていません。
 一時期は深刻な品不足を連発させていたライダー系フィギュアーツでしたが、2011年に入ってからは供給も安定化し始めて来ました。
 特に「仮面ライダーオーズ」系は、一時的な品不足になってもすぐに在庫が安定するようになり、New電王をはじめ「ファイズ・ブラスターフォーム」や、「シンケンレッド」「シンケンゴールド」などのライダー以外の物も含め、かなりゆとりのある状況がありました。
 ただし、そんな中でも「牙狼」のようにすぐ入手困難になった物もありはしましたが……

 それでシャドームーンですが、予約開始時期の3月初頭は即瞬殺状態で、その後もネット予約困難な状態が続きました(全く予約が出来なかったわけではない)。
 ただ、最近のライダー系アーツが割とゆとりがあり、New電王などは発売日当日であれば夜であっても楽に購入出来るほど在庫が潤沢、「オーズ・タジャドルコンボ」も発売後はネット上で在庫が豊富になるという状況でしたから、今度も大丈夫だろうと考えた人達が結構いたようです。
 ところが、どうもシャドームーンは例外だったようで、瞬殺とはいかないまでも、量販店では発売日当日は比較的早く売り切れたようで、ネット上でも在庫復活は殆どない状態です。
 今後二次出荷が行われるかどうかは見通しが付かない状態ですが、このため、難民になってしまった人も結構出たようです。
 アンケート1位とはいえ、敵キャラだからそんなに売れないだろうと思われ、出荷数を抑えられたのでは? なんて予想も聞かれましたが、実際はどうなんでしょうね。
 先の繰り返しになりますが、せっかくこんなに良い出来なんですから、二次出荷と言わず再販などもして、もっと多くのユーザーの手元に届くようにして欲しいと切に願う次第です。

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