第42回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダークウガ」1
2009年5月24日 更新
2010年10月3日 ページ編成変更
今回は、以前リクエストのあった「S.H.フィギュアーツ(以下フィギュアーツと記述)」のレビューを。
2009年度作品「仮面ライダーディケイド」の影響で、旧作平成ライダーの新規商品化が著しい今期ですが、まさかの元祖・平成ライダーが登場しました。
2009年4月末現在、アナウンスされている未発売商品情報も含めて基本4フォームしかありませんが、こちらをまとめて取り扱います。
――尚、先に記しておきますが、筆者は基本的にはアンチ・フィギュアーツ派です。
以下はその前提で読んでいただければ幸いです。
■ S.H.フィギュアーツとは:
「装着変身シリーズ」の流れを組む可動フィギュアブランドで、2008年2月「仮面ライダーNEXT」勢よりスタートし、「仮面ライダー電王」「仮面ライダーカブト」シリーズ等のリリースを経て現在に至っています。
「S.H.」とは装着変身の略と当初告知されており、各ホビー誌上では同シリーズの継承商品であることが強調されていましたが、現在では「Simple style & Heroic action」と別な当て字が施され、装着変身との差別化を意識している部分が窺い知れます。
装着変身は、「仮面ライダーBLACK」シリーズで“胴体アーマーの蝶番”“素体頭部を覆うマスクパーツ”等、それまでのお約束の多くを廃し、かなりの試行錯誤を展開しました。
しかし、これらは代償としてスタイルを著しく崩す結果を生んでしまい、かなりの酷評を受けてしまいました。
「仮面ライダー電王」の各フォーム製品が高評価だった点を除けば、続く2008年度「仮面ライダーキバ」のものも含め、かつての大人気ぶりが信じられないほど寂しい状況になってしまいました。
そして電王も、初期のクウガを彷彿とさせるトイザらス限定5フォームセットが不評に終わるという寂しい結果となりました(ただしラインナップは大変充実していた事もあり、決して失敗ではありませんでした)。
「仮面ライダー電王」シリーズは、変身前の素体頭部の完全排除や「聖闘士聖衣神話」の素体をベースとした細身&可動箇所増加という、現在のフィギュアーツに通じる大幅な変更が施され、それまでの素体からは考えられないほど大きな可動幅と良いスタイルを確立させていました。
ところが、「仮面ライダーキバ」シリーズはやや肉厚な(本編イメージに近い)スタイルラインこそ確保したものの、“頭部は各フォーム固定(着脱一切なし)”“素体の互換性なし(無改造ではドガバキフォームの再現すら不可能)”という、装着変身独自のプレイバリューのほとんどを失った造りとなった上、サブライダーでかなりの人気があったイクサは発売せず、なぜか劇場版限定ライダーを(受注生産のみとはいえ)発売するなど、かなりの迷走振りを見せ、装着変身ファンを大いに困惑させました。
この頃になると、ライダー玩具ファンの間では装着変身の基本仕様「素体にマスクや装甲を装着させる」というプレイギミックは評価され難くなり、あまり受け入れられなくなったようで、BLACKからキバまでの流れは、そういったファンへの対応を模索した結果だったのではないかとも考えられます。
そして、これらがフィギュアーツ誕生の流れに通じていったのではないでしょうか。
また昨今の世情もあり、装着変身も大幅なコストダウンを計る必要性に迫られていたのかもしれません。
どちらにしろ、装着変身が次世代に切り替わる時期に差し掛かっていたと見るのは、間違いではなかったようです。
フィギュアーツは、装着変身と違い……
- サイズの大型化(若干)
- 装備交換・着脱ギミックの排除
- 上同・変身前頭部との交換ギミック排除
- 関節可動箇所の増加
- 各部モールドの精密度向上
- スタイルの重視と、極力玩具っぽい形状の関節を使用しない配慮
- 指可動手首パーツの排除
- (ライダー系のみ)複眼パーツのクリア化&モールド再現
- 合金パーツ使用率の減少
- 装着変身で出なかったラインナップの対応
- 仮面ライダーシリーズにこだわらない展開
- 一部オプションの強化またはバージョンアップ
といった大きな違いがあり、おおまかなサイズと可動フィギュアという点以外はまったくの別物になっています。
上記項目を確認するとわかりますが、これらは装着変身シリーズ全盛期当時、各所で囁かれていた問題点・不満箇所に対応したもので、その結果より実物に近いイメージの再現に成功しています。
もっとも、イメージ再現と言ってもあくまで玩具的なデフォルメを含めた意味なので、各部位には大きな違いがあるわけです。
少なくとも、装着変身よりは劇中で活躍するライダーのイメージを上手く立体化していると云えるでしょう。
ただし、装着変身ファンの全てに受け入れられたとは決して云い難く、中には装甲換装などのプレイバリュー減少を嘆く声もあります。
後述しますが、リアルプロポーションを追求したという割にはかなり問題のあるスタイルになっている部分も目立ち、よくここが「好き嫌い」を分けるポイントとして挙げられます。
また、一部可動範囲が装着変身より低下しているものがあり、更にはアレンジの仕方が極端で大きな違和感を発生させた商品もありました。
加えて、初期商品の一部には関節保持力が極端にないという致命的な問題があり(現在は改善)、こういったマイナスイメージがいまだにブランド全体に付きまとっている感もあります。
とはいえ、こういった問題点の改善もめざましく、またライダー枠以外からも商品を持ってきたり、不満の多かった過去の(装着変身系)商品をリニューアルしたり、「こんなのまで出すのか!」と驚愕するようなラインナップを示したりすることで、大きな注目や期待を集めているのも事実です。
以前、装着変身展開中に発売を匂わされたにも関わらずスルーされた“地獄兄弟”こと「仮面ライダーキックホッパー」「同・パンチホッパー」を、のっけから持ってきて関心を集めたのも、大変良い掴みでした。
2009年5月中旬現在、「機動武闘伝Gガンダム」からドモン・カッシュが発売され、また漫画&OVA作品「覚悟のススメ」から強化外骨格・零の発売が決定しています。
更に「アナザーアギト」や装着変身初期商品のためリニューアルが求められていた「仮面ライダーアギト」、装着変身の評価が最悪だった「仮面ライダーBLACK」「同・RX」、FFRシリーズで別途展開しているのでやや望み薄と思われた「仮面ライダーディケイド」など、まさかのラインナップが控えています。
また最近は、参考出品として「Yes!プリキュア5GoGo」のキュアドリームまで発表され、物議を醸しています。
今回紹介する「仮面ライダークウガ」も、こういったまさかの新商品だったわけで、それまで装着変身やバンダイ以外の商品で我慢するしかなかった人達にとっては嬉し過ぎるものでした。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダークウガ“マイティフォーム”
2009年3月28日、同「タイタンフォーム」と共に発売。
発売以前から大人気かつ注目度大だったせいか、店頭からあっという間に姿を消すという脅威の現象を引き起こしました(もっともすぐ再入荷したけど)。
全高14.5センチ(ツノ含まず)、全5種の手首付き。
ただしそのうち一つは右手のみ(サムズアップ)。
台座などのオプションはなし。
価格は税込2,625円。
クウガの基本形態。
格闘戦に優れたフォームで、五代雄介(&小野寺ユウスケ)が変身した際に最初に取るスタイル。
別名「赤のクウガ」で、炎を司る戦士とされるが、特に火を操ったりするわけではない(他フォームも同様)。
目と各部アーマー、アマダム(ベルトの中心部)、手甲、膝アーマーの中心部の色が赤色になっている。
必殺技は、所謂ライダーキック的な「マイティキック」。
ただし劇中での技名呼称はなし(以下すべてのフォームも同様)。
グロンギの身体に紋章を刻み、封印エネルギーをグロンギの体内のアマダムに干渉させて爆死させる。
この状態からパワーが低下すると、ツノが小さく各部が白い「グローイングフォーム」という弱体化形態に変化してしまう。
2009年5月現在、そちらの発売アナウンスはなし。
可動箇所は、首、肩、上腕、肘、手首、腹部、腰、太股付け根、膝、足首、つま先。
このうち首、肩、肘、太股付け根、膝は二重関節で、上腕と太股は基部にロール軸あり。
肩関節は、付け根部分を基に前後スイングが可能。
足首はもっと複雑な構造になっていますが、詳しくは後述。
手首は、前腕付け根と手首側にそれぞれロール軸とボールジョイントありで、更にその中間部にも関節が追加。
これにより、手首を横方向にスイング出来ます。
足首は回転に加え、足首全体の横方向への捻りと前後屈折が可能。
その上でつま先まで曲がるんだから凄いものです。
※これらはクウガ独自のものではなく、フィギュアーツの基本構造です。
カブト系では引き出し式だった太股関節は廃止され、「(電王以降の)装着変身」「聖闘士聖衣神話」等で見られた前屈式に変更。
ただしクウガ系からの変更ではありません。
ここからは、問題点や指摘のまとめです。
以後紹介する商品全てに当てはまることなので、先にやっちゃいます。
カブト系フィギュアーツは、なぜか両足が外側に大きくしなっているという所謂「O脚」になっており、これにより著しくプロポーションが乱れるという無視し難い問題点がありました。
フィギュアーツが好きではないという人の多くは、この問題点を指して批判していることが多いようですが、それだけ致命的な問題だったのです。
ですがクウガ系は、この問題がほぼ完全に解消されています。
厳密にはまだほんの少しだけ曲がっていますが、よほど注意して見ないと気付かないレベルです。
というか、これを指してO脚呼ばわりするとなると、さすがに神経質すぎると思います。
O脚問題は解決したものの、フィギュアーツ独特の「自立させ辛い」という問題は、いまだに解決されていません。
フィギュアーツは、装着変身同様足首が合金パーツなので(というかそこだけ)、重心が低く安定性も充分確保……出来る筈なのですが、なぜかそうではありません。
なんせ、一部の商品には自立を補助する目的のスタンドまで付属しているくらいです。
正確には、自立させる事は可能なのですが非常に神経を払う必要があり、(合金パーツのせいでフィギュアーツより重心が高い筈の)装着変身に大きく劣っています。
これはどうやら、足首の形状をリアルにしたため従来のような横幅やサイズ、重さが確保出来なくなり、安定性を欠いたためのように感じられます。
自立させ辛い問題はクウガ系に限った話ではなく、どうやら全体にかかっているもののようです。
そのため、自立させる際は足首の関節を中心に、やや前屈気味にしなければなりません。
また、つま先の可動はよほど上手く調整しない限り自立の補助には立たず、屈伸時のポーズ付けに活用するのが精一杯です。
このような性質があるため、フィギュアーツを派手なポーズで長時間飾る場合は、別売の台座に頼った方が賢明です。
一応念を押しますが、これはクウガに限った事ではなく、フィギュアーツ全体の問題です。
かなり難易度が高いですが、それでも、一応片足だけで立たせる事は可能ではあります。
しかし、立たせる場所の接地面形状にも影響を受けるほど微妙なバランスが求められ、例えばツルツルのテーブル面では自立出来ても、その上に設置した撮影ブース(平たくならした布の上)では立てなかったりするほどです。
この姿勢で自立させ、撮影完了するのに数分間もの微調整を要しました。
本来片足立ちさせる必要性はほとんどないでしょうから、これは特に問題点ではありませんが、それだけ微妙な影響を受けてしまうというわけです。
この点については、圧倒的に装着変身の方が高い安定性を確保しています。
しかし、装着変身の弱点だった「足首の横方向可動」が、これ以上ないほど大きく進化している点は見逃せません。
足首の横方向可動幅のおかげで、大股開きなどをさせる際は逆に自立性が向上するという不思議な特性があります。
試してみたところ、上の画像くらい足を開いてもまったく問題なく、しかもすんなり自立に成功しました。
東映版スパイダーマンの発売が待たれます(無理)。
各部関節の可動幅ですが、実はフィギュアーツはそんなに広いわけではなく、むしろ装着変身よりも退化している点が数箇所ほど見受けられます。
これは、パーツ構造上どうしようもないものだったり、或いは関節各部の解釈の差で発生したものだったりと原因はまちまちです。
ひとまず今回は、クウガ系に重点を置いて見て行きましょう。
まず肩の可動幅ですが、真横に大きく開くことが出来ません。
上の画像は、それぞれ目一杯真横まで腕を上げている状態です。
クウガ系フィギュアーツは、肩アーマーをぶら下げるジョイント(突起)が胴体側(またはアーマー側)ではなく、肩ブロック上部に干渉してしまい、目測150度? 前後程度しか開けません。
似たような構造の新生装着変身(555以降のもの)や他フィギュアーツはもっと大きく開く上、後述する腋問題も加わるため、これは大きなマイナスと言わざるを得ません。
装着変身・電王(肩アーマー基部が胴体側にあり)とフィギュアーツ・ガタック(肩アーマー基部接続構造はクウガと同じ)、フィギュアーツ・クウガの両腕をそれぞれ最上限まで上げて比較すると、こんなにも違いが出てしまいます。
完全でなくてもいいから、せめて180度近くまで上がって欲しかったものです。
せっかく蝶番が排除されたにも関わらず、腕を下ろした時の腋の開き具合は、装着変身より広くなってしまいました。
上の写真は、若干開いてますが腋を一杯まで閉じた状態です。
ただ、これは関節可動幅の問題ではなく、完全に造形面での問題。
クウガ系は上腕が妙に太く、これが胴体アーマー側面に干渉して腋が開いてしまうのです。
この辺は、もう少しなんとか出来たんじゃないかなと思えてなりません。
これら肩や腕の動き具合の制約が、ポージングにかなり大きな影響を与えてしまっている点は無視出来ません。
肩の前方へのスイングも、やや弱い印象です。
とはいえ、これは胴体アーマーパーツのデザインや大きさによって変化するものですし、装着変身や他のアクションフィギュアすべてが満足の行く可動を誇っていたわけではありませんから、一概に欠点や問題点とは言い切れません。
一応踏まえておくと良い点、という程度かと。
太股基部が前に曲がらないというのは、クウガ系フィギュアーツが抱える深刻な問題。
デフォルトでは、せいぜいこの程度までしか曲げられません。
これのため、着地時の低姿勢ポージングなどは再現不能。
また、後述するバイク搭乗も不可能です。
これは一応クウガ系以外でも見られる問題点なのですが、特にクウガに顕著な様子。
筆者は未購入ですが、「NEW電王」はこれより更に曲がらないということで、かなり困り者だとか。
ちなみにカブト系では、太股基部関節が引き出し式になっており、これで可動幅を稼ごうという工夫が見られるだけかなりマシになっていました。
と、厳しく書きはしたものの、実はクウガの脚は無改造でここまで曲げる事が出来ます。
しかし、これはちょっとした工夫が必要でスムーズに行なえるものではなく、また股関節部に大きな負担を与えるため長時間維持させるのは危険です。
つまりは裏技的なものなので、やってみたい人は自己責任で。
やり方は、太股前面部の上側にやや力を込めながら、脚の付け根部分が腰パーツの前に被さるように脚を曲げるだけ。
つまり材質の弾力性を利用して、本来届かない位置まで太股を持ち上げるわけです。
後述するトライゴウラム他への搭乗の際は、これをやらないとまともに乗せられません。
また、膝立ちポーズなどもかなり不自然になってしまいます。
もう一つの問題として、アークル(変身ベルト)があります。
実物とは似ても似つかない形状にアレンジされていて、全体的に水ぶくれしたようになっています。
実際は、バックル部の上下はもう少し肉薄で、アマダム(風車)部分が締める面積割合が大きくなります。
また、横部分の機械状モールドやボタンも、これより若干大きめになります。
アークルは本来横長の楕円で、どちらかというと人間の目の形に似ているのですが、これはどちらかというと仮面ライダーBLACKのベルト(名称ナシ)のような、角丸四角に近い形状です。
その上、フィギュアーツ・クウガはすべてアークルにスミ入れがされていません!
画像のものは各部に黒い線が入っていますが、これは筆者がガンプラマーカースミ入れ用で加えたもので、実物はまったく印象が異なります。
幸い、黒が入るべき部分はすべて溝になっているため、ガンプラマーカーの先端部がきっちり収まればさほどはみ出しを気にせず作業可能です。
発売前のサンプルでは、しっかり黒部分も塗装されていたことを考えると解せません。
この他、フィギュアーツはイマジンの一部で背面塗装をすべてオミットするなど、予想外の手抜きをしてくる事がたまにあるため、本当に油断が出来ません。
問題指摘ここまで。
そろそろ、クウガ・マイティフォーム自体に触れていきましょう。
クウガの可動フィギュアは色々ありますが、代表的なものとして挙げられるのは、やはり装着変身でしょう。
当時品と比較するとこんな感じ。
ほぼ頭一個分違う身長差も気になりますが、それ以外の部位にも約9年の技術進歩、解釈の進化が窺えます。
装着変身は、当時からマスクが全然似ていないと言われていましたが、今あらためて見てみると、なんだか妙に可愛い印象があります。
NEXT系・カブト系で特に問題視されていた「縦長で小さすぎる頭部」ですが、今回はかなり改善されています。
胴体に比べてやや頭部が(まだ)小さい感もありますが、これは玩具アレンジとして充分許容出来る範囲ではないかと、個人的には考えています。
むしろ着ぐるみクウガの方が、若干頭でっかちな印象があるし。
それより、クウガ独特の「横幅のある丸みを帯びた」頭外周部がしっかり再現されている点は高評価です。
加えて、黒部分はちゃんとつや消し。
実に良くわかっています。
装着変身ではオミットされていた、アーマーに刻まれたリント文字も再現(他フォームも同様)。
このおかげで、リアルな存在感が益々引き立ちます。
この部分は、旧OPでもアップで写されている部分なので、とても嬉しいものがあります。
変身直後の基本的なポーズとか。
構えとか。
右手のみ付いている「サムズアップ」手首。
ディケイドではやらない仕草ですが、これは意図的だそうですね。
マイティキック直前の構えとか。
ちょっと厳しいけど、雰囲気の再現は充分?
マイティキック!
さすがにそのままでの固定は厳しかったので、別フィギュア用の台座を利用して撮影。
なかなかの……否、充分すぎるほどの迫力です!
腰が回るのって本当にありがたいことなんだなと、改めて実感させられます。
装着変身クウガは、腰が回らない構造だったからねえ。
ピーチオルグ(仮名)を蹴飛ばしてみるとか。
着地ポーズ。
これは、かなり厳しい結果に。
足が長すぎる上に胴体ともども可動幅が意外に狭いため、劇中みたいに上体を斜めに傾けつつ手を地に付ける姿勢は再現不可能でした。
フィギュアーツ・クウガを指して「顔が全然似ていない」という指摘が多く出ていますが、これについて少し踏み込んだ考察をしてみましょう。
頭部は、ツノがかなり大きく作られている上、コンパウンドアイズ(複眼)がものすごく小さく引っ込んでいるようにも見えるため、WEB画像や雑誌写真を見ると違和感が強いですが、実物はそうでもありません。
なんでそんな違いが生じるのでしょう?
原因は、コンパウンドアイズのパーツ構成にあります。
これは以下の全フォームにも当てはまることですが、クウガの目はかなり厚ぼったいクリアパーツで構成されていて、更に内部は複眼モールドを掘り込んだ筒状のパーツが収められています。
つまり、表面ブツブツの筒をクウガの頭型カバーで覆い、目の位置から覗いている構造です。
相当前に、こんな構造の食玩フィギュアが出ていたような記憶があります。
この筒パーツが頭全体に対してかなり細い上、クリアパーツが厚ぼったいためか、縁部分に暗い影が発生してしまい、目の周りにクマがあるように見えたり、実際よりも目が小さく見えてしまう原因となっています。
このために、写真と実物の印象が大きく異なるようです。
筆者も今回撮影していて、この影を目立たないように写せないものかと試行錯誤しましたが、上手く行きませんでした。
コンパウンドアイズのクリアパーツは、耐久性を維持する都合上どうしても厚く作る必要がありますから、影が生じるのは仕方ないとは思います。
ただ、クウガ系フィギュアーツはこれで相当損していると思います。
もし、フィギュアーツクウガをWEB画像のみで判別し、「目に違和感がある」と感じてスルーしている人は、一度実物を見てから再考してみるのも良いでしょう。
コントロールクラウン(ツノ)の大きさに関しては、所謂玩具アレンジと解釈するべきか、それとも製作担当の考え方の違いと見るか、かなり微妙なところです。
これに違和感を覚えて購入を止めた人もいたようなので、決して無視出来ない点かと思われます。
本物のマスクと見比べてみると、ツノの基部はともかく上方向への長さが、目測1.4倍程度延長されているようです。
玩具的にはハッタリが利いていて良いかもしれませんが、リアルプロポーションを主張するシリーズでこのような目立つアレンジを施すことについては、賛否両論分かれると思います。
もしグローイングフォームも発売されていたとして、そのツノの大きさが(映像の)マイティフォーム並だったら、多分今以上に叩かれたかもしれませんね。
筆者は当初WEB上で見た時かなり強い違和感を覚えたものの、実物を見たら不思議と許容出来るバランスに感じられました。
ですが、今回の撮影にあたり長時間見続けているうちに、またじわじわと違和感が戻ってきてしまいました。
これは、今回のレビューにあたり「仮面ライダークウガ」本編を見直したため、無意識に比較してしまったせいかもしれません。
ただ違和感はあるとはいえ、玩具アレンジとしては充分許容範囲なんじゃないかなと考えてもいます。
それより、一部ではツノの塗装皮膜剥離(ツノが軟質素材のため、曲げていると表面がひび割れる)が報告されていて、むしろそっちの方が気になります。
頻繁に弄る人は注意した方がいいかもです。
フィギュアーツ・クウガは、アーマードマウス(クラッシャー…つまり顎)部分の形状がかなり異なっていて、横幅が狭められ先端が細めに整えられています。
これが、小顔に見える最大の理由ではないでしょうか。
撮影用マスクを見るとわかりますが、クウガは意外と口周りの幅がふくよかなんですよね。
また、今ひとつシャープさが乏しい気もします。
これも、許容できるか否かは購入者次第ということでしょうか。
残念ながら、足の裏モールドの再現はガッカリ。
正しくは、一応再現されてはいるのですがつま先の関節部で大幅に削られている上、残った紋章部分がものすごくぞんざいな彫り込みになっているため、パッと見封印の紋章に見えないのです。
ややシャープさに欠けるとはいえ、足裏中心からかかとにかけてのモールドだけは、しっかり作られています。
個人的には期待していた部分なのでガッカリ感強し。
実質的に、ここはマイティフォーム唯一の「武器」だと解釈しているだけに……
ちなみにこれは、全フォーム共通部品です。
画像の手首は、他の3フォームに付属しているものと同じ形状で、基本的には武器を持たせるためのオプションです。
しかし、武器を持たないマイティには本来必要が無いはず。
では、どうしてこんなのが付いてくるのか?
これが、今回「実に良くわかってらっしゃる」なポイントです。
ここで、約9年の月日を越えて、あるアイテムを登場させてみます。
当コーナー立ち上げ当時、最初に取り扱ったあの商品……
ポピニカ「DXトライゴウラム」!!
の、トライチェイサーにまず搭乗させてみましょう。
先述の通り、太股部分は例のコツの要る曲げ方をします。
サイズバランスは、なかなか良好。
正直、まだ若干バイクが大きい気もしますが、これくらいの差なら充分許容範囲ではないでしょうか。
あまりの違和感のなさに、思わず驚愕です。
脳内でクウガ主題歌が自然に流れます。
こうなると、ゴ・バダー・バとバギブソンも欲しくなりますな。
インチキウィリー。
それにしても、次世代白バイの試作機とは思えないスタイルですなこれ。
それがいいんですけど。
湘南海岸で行なわれたトライアルアクションは、凄まじいものがありましたね。
バイクの露出すらなくなり始めた昨今のシリーズでは、とても考えられないほどです。
上の画像の姿勢は、(実際にやったのはバダーですが)劇中で本当にやっています。
クウガはクウガで、「完全滞空状態でバイクを180度ターン」という神業を見せてくれましたっけ。
しかも、でこぼこの海岸で。
いまだに、あの動きが人間業に思えないんですが……成田兄弟のアクションは本当に凄かったなあ。
トライチェイサー・ブラックヘッド。
五代雄介が普段乗っている時のモード。
ごく初期には、マイティフォームも搭乗しています。
本来はこちらがメインの姿(ゴールドヘッドはマトリクス機能で表面色を変化させた状態)。
仮面ライダーディケイドでは未登場。
確かこれの実車は、本放送中にビートチェイサーに改造されたから残ってないんじゃなかったかな?
続いて、2台目マシン・ビートチェイサー。
こちらは変身後に搭乗するレッドライン。
通信機能やマトリクス機能に障害を来し、更にゴウラムに金属成分を吸収され過ぎて金属疲労を起こしたトライチェイサーに代わって、最初から「ゴウラム合体いいのよ」前提で作られた、実質初の「クウガ専用マシン」ですな。
(トライチェイサーは本来警察配備用車両の試作品)
個人的には、形状的にこっちの方が好き。
更に、ビートチェイサー・ブルーライン。
五代雄介が普段乗っている時のモード(色変化の設定はトライチェイサーと同じ)。
トライチェイサー・ブラックヘッドは、本放送当時限定発売された商品で、ビートチェイサー・ブルーラインは2000年「仮面ライダーワールド」という、今ではもうなくなってしまった恒例イベントでの会場限定発売品。
後者は、当時えらいプレミアが付いたものです。
……その後暴落しましたが。
装着変身版・仮面ライダークウガを搭乗させて比較。
当時、フィギュアに対してバイクが大きすぎると云われていましたが、フィギュアーツの登場でようやく不満が解消されました。
蛇足ですが、ポピニカ「マシントルネイダー」にクウガを乗せてみると、こんなバランスです。
気のせいか、チェイサー系より配色バランスが整っているような気が?!
マシントルネイダーは1,000cc超えの大型二輪が原型のため、これくらいがちょうどいいのかな? と一瞬思ってしまいがちですが、やっぱり長い足が災いしてかなりもてあまし気味になってしまいます。
それでも、バイク形態はまだ許容範囲と言えるでしょう。
問題は、スライダーモード……
アギト及びディケイド劇中では、一緒にG3-Xも搭乗するくらいの縦幅がある筈なので、これではえらく小さくなってしまいます。
こうして考えると、装着変身はベストバランスだったのだろうか?!
って、実際はマシントルネイダーの変形後の対比が色々アレだっただけでしょうけど。
ともあれ、フィギュアーツ・アギト購入後に絡ませる目的の人も多いと思われますが、ある程度の違和感は覚悟しておいた方がいいのかも。
商品名・バトルゴウラム。
DXトライゴウラム付属の、サポート古代メカ。
オダギリジョーの声で英語(違)をしゃべる可愛い奴です。
クウガと並べていると、微かな違和感を覚えるようになってしまった2009年の春。
特に最近は、ケツっぺたにデンガッシャーをぶっ刺してみたくてたまりません。
トライチェイサーとゴウラムが合体、「トライゴウラム」に。
元々バカでかいバイクなので(元車もモトクロスバイクの「バンペーラ」から大型の「V-MAX」に変更)、フィギュアーツとのサイズ差は更に気にならなくなります。
ビートチェイサー+ゴウラムで、ビートゴウラム。
大雑把なシルエットは変わらないので、参考程度に。
「仮面ライダークウガ」劇中一度だけ登場した、ブルーライン原型?のビートゴウラム。
トライゴウラムに搭乗したフィギュアーツ・クウガと、ビートゴウラム搭乗の装着変身で比較。
ビートゴウラムの方は、当時大人気を博したエンシェントバージョン。
こうしてみると、装着変身+ゴウラムは凄まじいオーバーボリューム差だったんだなとあらためて実感させられます。
オマケで、ライジングビートゴウラムも。
クウガはライジングじゃないけど。
トライゴウラムその他のレビューは、こちらから。
ただし最初期のレビューなので、えらく読みづらいと思います。
ご容赦を。
「超変身!」
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