第32回 ■ バンダイ装着変身EX2「ミラーモンスターズ04」

2006年10月7日 更新

 龍騎系装着変身のペアアイテム「装着変身EX ミラーモンスターズ」の第四弾。
 そろそろ佳境です。

 今回は、仮面ライダーゾルダの契約モンスター・マグナギガと、仮面ライダー龍騎の契約モンスター・ドラグレッダー
そして、ついに登場!! 仮面ライダーシザースの契約モンスターにして、最強の人気を誇るボルキャンサー!!

 大方の予想を裏切り、大型モンスターを二体もセットにした今回の商品。
 そして価格も、シリーズ最大!
 果たしてその出来は? プレイバリューは?
 ま、マグナギガが含まれている時点で、プレイバリューはかなり保証されてはいるわけですが。

「装着変身EX ミラーモンスターズ04」
 マグナギガとドラグレッダー、ボルキャンサーの三体セット。
 発売日は2006年8月31日で、定価5,775円(税込) 。
 前回もちょっと高めでしたが、今回はそこからさらに1,000円以上高くなってます。

 「ミラーモンスター」とは、基本的には「仮面ライダー龍騎」本編内に登場した敵キャラクターですが、ライダーが契約を行う事で、その能力の一部を受け取り、強くなる事が出来ます。
 その代わり、ライダーは別なモンスターを倒し、その際発生するエネルギー球? を契約モンスターに与えねばならないという義務が付加され、これが破られた時は契約モンスターに捕食されてしまいます。
 また、契約証明でもあるカードデッキが破損した場合も同様。
 以前発売されたR&Mシリーズでは、モンスターの身体の一部を取り外し、それをライダーに装備させるというプレイバリューがありましたが、モンスターが付属しない装着変身では、このギミックを楽しむ事ができませんでした。

 そこで、この「装着変身EX ミラーモンスター」シリーズが出てきたわけです。

 複数種のモンスターを同梱、R&M版の再販リペイント物と、新造形の物を組み合わせた販売形態で、今回はその第四弾。
 第一弾は、ギガゼール(仮面ライダーインペラー)・メタルゲラス(ガイ)・エビルダイバー(ライア)の三種類。
 第二弾は、デストワイルダー(仮面ライダータイガ)・サイコローグ(オルタナティブ)の二種類。
 第三弾は、ダークウイング(仮面ライダーナイト)・ゴルトフェニックス(仮面ライダーオーディン)・バイオグリーザ(仮面ライダーベルデ)の三種類でした。

 残すのは、ドラグブラッカー(仮面ライダーリュウガ)・ベノスネーカー(仮面ライダー王蛇)・ブランウィング(仮面ライダーファム)の三体のみ。
 リデコ物が二個も含まれているわけですが…売りになるのかなあ…
 この三体、今ひとつ花がないような気がするんですが?

●ドラグレッダー

  主役の契約モンスターなので、まずはこやつから。

 龍型のミラーモンスター。
 仮面ライダー龍騎と契約しているが、実はそれ以前は、龍騎as城戸真司を食らおうと命を狙っていた。
 なんだかえらく強いモンスターらしい。
 デザインラインは単調に見えるが、実は武器はかなり多い。
 尻尾はドラグセイバーという剣、四肢とその間を繋ぐ腹部表面はドラグシールドという盾になり、しかも二つもある。
 さらに、頭部はドラグクローというナックルパーツに変化。
 もちろん他のミラーモンスター同様、劇中では本当に身体がバラけて武器化するわけではないが、玩具構成はそんな感じ。
 ファイナルベントは、ドラグレッダーの口から吐き出す火炎ブレスで龍騎を押し出し、敵にキックを炸裂させる「ドラゴンライダーキック」。
 この技のかっこ良さの評価は人それぞれだろうが、ヘタしたらキック激突時の迫力さは、全ライダー1かもしれない。
 燃えてるわ爆発してるわふっ飛んでるわで、とにかくえらいことになっちゃう。

 R&Mシリーズでは第一弾だったミラモン、ようやく登場。
 …なのはいいけれど、ここで、またあらたな展開が。
 なんと今回のドラグレッダー、R&M版とほとんど区別が付きません!
 というか、ウェザリングもスミ入れもないのです!
 ホント、そのまんまR&M版の再販と言ってもいいでしょう。

 比較画像をご覧ください。
 ちょっと頭の位置や角度に差がありますが、色味や塗装など、ほとんど区別がつかない事がわかると思います。
 なぜ、ここに来てウェザリングやスミ入れを止めてしまったのでしょう?

※スミ入れ
モールドラインやパーツ分割を再現する筋堀部分に、黒やグレーの塗料を薄く流し、線を入れる作業のこと。
ガンプラなどでは有名な技術だが、他のプラモや玩具でも、これを行う事で見違えるほどディテールアップする場合がある。

 恐らくなのですが…

 ドラグレッダーは、胴体の側面モールドがシールで再現されています。
 しかも、シールは銀メッキ調のものでて。
 そんなものが貼られている以上、ウェザリングやスミ入れをするとバランスが狂うと判断されたのか?!
 実際のところはわかりませんが、なんとなくそんな気がしてしまいます。
 いずれにしても、経年劣化によるパーツの状態差を確認しない限り、R&M版も装着EX版も「まったく同じ物」と言い切って構わないでしょう。
 …なんだかなあ。

 というわけで、ここではドラグレッダーの細かなギミック解説は省略します。
 詳しくは、こちらをご参照ください。

 ちなみに、今回そのメッキシールの貼り精度がかなり低いです。
 筆者は諸事情あって(後述)、この商品を二つ手に取りましたが、いずれもかなり酷いシールの貼りずれがありました。
 手の器用さに自信のある人は貼り直しするのも手かもしれませんが、そうでない人は、諦めた方がいいかも。
 へたにやって粘着力落ちたり、シールが折れ曲がったりすると泣くに泣けないからね〜。

 しかし、ものは考えようで。

 R&M版ドラグレッダーの初版は、胴体各関節のボールジョイント受け部分がすぐに劣化して割れてしまい、クタクタになりやすいという難点がありました。
 今回ので、その無念を晴らすことが出来るかな? なんて。
 ちなみに、この撮影で久しぶりに取り出した筆者のR&M版ドラグレッダーは、まだ関節は痛んでいませんでした(購入時期から、恐らく再販だと思われます)。
 さすがに、若干ヨレヨレにはなってたけど。

 R&M版がまだ健在だという人は、今回のと繋げて胴体延長とかしてみると、面白いかもしれませんね。

 写真の龍騎は両肩にドラグシールドを装備していますが、もちろん今回はグリップが二つ付属しています。
 ようやく、劇中の様にシールド二枚かざしが出来るようになりました。

 今回、出来ることなら改善して欲しかった「ドラグクローの接続方法」は、残念ながらそのままでした。

 今なら、龍騎の手首と換装とかやらせて、もっとしっかり保持できるようにするべきなんでしょうが。
 改善する気は全くなかった様子で。
 相変わらず、少し浮いた感じでクローを装備させるしかないようです。

 この写真、怪しい汚れが付着していますが、これは、硬化した接着剤のようなものでした。
 かなりガッチリくっ付いている上に中にも入り込んでいるので削り取るのも難儀。
 仕方なく、バンダイにパーツ交換依頼をかけました。

 …そしたらなんと、新しいミラモン4セットが丸々送られてきました!
 例のハンカチと一緒に。

 いつものパターンなら、該当パーツだけ送られてくる筈なのですが、今回だけ何故?
 やむなく、他のミラモンも全部箱に仕舞い直して返送しました。
 なので、今回このページで撮影に使った個体は、現在すでに筆者の手元になかったり。
 ま、筆者自身に特に問題はなかったのでいいんですが、ちょっと驚かされたので報告。

 まさかと思うけど、交換の仕方・スタイルが変わった…なんてことはないよ、ねえ…?

 ちなみにその後、「装着変身リュウガ&ファムセット」と「装着変身オルタナティブ」も、同様のパターンで商品丸ごと送られてきました。
 この辺りの顛末については、また別ページにて。

 というわけで、R&M版とまったく同じため評価がしようがないというのが、正直なところです。
 本当にシールが原因でウェザリングorスミ入れがオミットされたのかどうかはわかりませんが、もしウェザリングをするならシールは新規で作りなおしになるでしょうし、シールを使わないという事になったら、胴体パーツ全体を新規造形しなければならなかったでしょう(側面モールドの処理のため)。
 しかし、そこまで手を加えるつもりはないんでしょうね。
 再販で手堅く…というのも、ミラモンシリーズの目的の一つですからね。

 装着変身EX版・ドラグレッダー。
 個人的には許容範囲なんですが、違いがまったくないという事に憤怒する人も居るでしょう。
 少なくとも、こうして考えると、やっぱりウェザリングは失敗だったかなあという気がしてなりません。
 スミ入れはいいと思うんだけどねえ。

●マグナギガ

 仮面ライダーゾルダの契約モンスターで、牛(バッファロー?)型。
 でも実は、ボディ全体がゾルダの紋章を模した形状になっている。
 (…実はこれ、つい最近まで筆者も気付きませんでした…)

 本編ではほとんど動かず、ただ立っているだけ、という印象が強かった。
 耐久性と防御力に溢れ、ただ立っているだけでゾルダの盾として活用できる。
 一度だけ、龍騎がこの特性を利用した事がある。

 基本的に打撃・斬撃系武器の多い他のミラモンと異なり、全身これ砲撃武器の塊。
 いたる所に様々なタイプの銃火器が仕込まれている。
 両腕と肩・上体は巨大砲ギガランチャー、下半身は二連ビーム砲ギガキャノン、胴体前面部は分厚い盾ギガアーマーになる。
 さらに、本編未使用装備として、頭部が打撃武器?(小型キャノン砲にも見えるけど)ギガホーン、両膝がギガテクター(ゾルダの追加肩アーマー)になる。
 さらに、ギガランチャーとギガアーマーは別箇合体形態があり、設置固定型の巨大ランチャー形態を作る事も可能。

 商品化されたミラモンの中で、唯一全身余すところなく個別武器に分離変型し、しかも余剰なく一度にすべて装備させる事ができるという、唯一の存在。
 R&M版発売当時は、その異様なプレイバリューの高さで大人気となり、ここからR&Mにハマったという人も多かったらしい。

 なお、WEB上では「ギガランチャーが外れにくいのですが、どうすればいいでしょうか?」という質問はタブーという通説がある。
 なんのことはない、説明書見ればすぐ判ることだからなんだけどね。

 さて、このマグナギガは先のドラグレッダーと違い、スミ入れ処理が成されている。
 おかげで、かなり重厚さが際立って、いい感じになっている。
 前回のダークウイングやゴルトフェニックスでもいいなと思わされたけど、今回のはそれ以上かな。
 いかにも銃火器の寄せ集め、という感じにまとまっています。
 また、金色部分の色味も強調され、濃い目の配色になりました。

 で、当然これもR&M版と同じものなのですが、両肩部分に、唯一の大きな変化が。
 なんと、ギガランチャー時にグリップとして使用するパーツの向きが異なっています。

 ちなみに、正しいのはR&M版の方。
 どーしたんでしょうね、これ。

 あと、今回は肩アーマーの接続が固くなり、そのためやや浮いているような感じになってしまいます。
 固いと言っても、万全の保持力というわけではないから、くれぐれも落脱にご注意。

 各装備。
 当然、違いは(肩のアレを除いて)塗装しかないんだけど…

 ギガホーン比較。

 ギガランチャー比較。
 照明のせいで影が出来て、若干色味が違って見えますが、基本的にはほとんど同じです。

 ギガキャノン比較。
 なお、今回これを装備させるために、今までになかったある工夫をしなければならなくなりました。
 詳しくは後述します。

 それぞれを装着変身に持たせた場合のスタイルについては、「装着変身・仮面ライダーゾルダ」のレビューページ内もご参照ください。
 なお、ギガテクターはR&M版とまったく変わらないものだったので、比較写真はオミットしています。

 「装着変身・仮面ライダーゾルダ」でもやったけど、相変わらず持たせづらいギガランチャー。
 しかしその分、持たせられた時の感激はひとしお。
 何かが違う気がするけど…。

 一番迫力を増したと思われる、ギガアーマー。

 金色が強調されたため内部モールドが引き立ち、さらに蓋の胸装甲に立体感が出て、「分厚い盾」から「分厚い装甲壁」に進化したような印象。
 ここは、間違いなくスミ入れの勝利でしょう。

 ギガランチャーとギガアーマー合体時、反対側を支える支柱も、当然付属。
 まったく同じ物でしたけどね。

 で、今回の最大のポイント「ジョイント補助パーツ」。

 装着変身のジベットスレッドとR&M版のジョイントは規格が違うため、本来接合・合体は出来ません。
 そのため、口径の差を調整するスペーサーとして、このパーツが準備されたのです。
 装着ゾルダにギガキャノンを装備させるためには、この補助パーツが絶対必要になります。
 色がボルキャンサーの成型色と同じなのが謎ですが…

 過去、一部で「R&Mの装備は、装着変身のジベットスレッドに問題なく合体できる」と主張する人達が大勢居ましたが、実際はそんな事はなかったと、メーカーが回答を提示したという事ですかね。
 出来ることなら、マグナギガの下半身形状を少し手直しして、補助パーツなしでも接続出来るようにして欲しかった気もしますけどね。

 え、それなら無理にR&M版のギガキャノン脊負わさなくてもいいじゃないかって?
 ま、確かにそうだ。

 当然、ファイナルベント「エンドオブワールド」も再現可能。
 エビルダイバーと共に、シリーズ中数少ないFV完全再現可能モンスター(ゴルトフェニックスはFV自体が不明瞭なので除外)なので、これはやらずにはおれません。

 無意味に、ダブル・エンドオブワールド!
 …いや、せっかくだから片付ける前に、と思って。
 攻撃方向がムチャクチャなんで役に立たないと思うけど。

 やはりというか、元の完成度が高かったため、手堅い作りになっています。
 R&M版を持っていなかった人には、とても嬉しいアイテムになったのではないでしょうか。
 前の発売からすでに4年経過していますが、いまだにプレイバリューは色褪せていません。
 これはさすがですね。

 R&M時で問題だった「肩アーマーの外れやすさ」は、今回かなり改善されています。
 梱包時は肩アーマーが外されていて、開封時に接続するのですが、かなりはめ込みが固くて困惑させられます。
 しかし、これだけ固いにも関わらず、「外れにくくなった」というにはまだ若干保持力が足りない気がするのは、ご愛嬌でしょうか。
 ギガランチャー装備時は、どうしてもこのパーツが外れやすくなってしまいますから。
 以上の事から、肩アーマーは「前よりは多少マシになった」程度に考えておけばいいかなと。

 こちらも、前回の翼モンスター二種同様、R&M版を持っていた人にもオススメできる良いアイテムですよ。

●ボルキャンサー

 ミラモンシリーズ購入者の100人中200人が待ち焦がれていた、憧れの「蟹」が、ついにアクションフィギュア化です。
 限定版ソフビが買えずに泣いた人、ソフビじゃなくてアクションフィギュアが欲しかった人、待ってた甲斐がありましたね!

 夢ではありません、これは現実です。
 たった二回ぽっちの登場しかしなかった、仮面ライダーシザースとボルキャンサーのコンビが、揃ったのです。
 四年前には、とても考えられない出来事です。
 とても子供向けとは思えない、狂ったラインナップ(←現装着変身の実際のターゲット層は高年齢層です。マジで)。
 さあみんなも、ボルキャンサーを操って、装着変身シザースを遠くへ放り投げて遊ぼう!

  今回の…否、ミラモンシリーズ最大の注目株・ボルキャンサー。
 カニ型のミラーモンスターで、仮面ライダーシザースと契約。
 第5話と6話のみの登場で、劇場版やスペシャルでも登場しなかった。
 
 「仮面ライダー龍騎」で初めての“悪役ライダーの契約相手”として登場し、腕がシザースピンチという打撃?武器に、背中の装甲がシェルディフェンスという盾になる。
 ファイナルベントは、丸まったシザースをバレーボールのように弾いて敵目掛けて飛ばす「シザースアタック」。
 一見物凄く地味で威力なさげな技だが、実は(本編中かなりの強さを誇った)ナイトの飛翔斬を真正面からぶつかって止めており、実際はかなり強いものだと考えられる。
 ただしその際、カードデッキが破損してしまったため…

 完全新造形なので、まずは全身の形状を。

 逆三角形ですらりとした下半身。
 実に見事なマッチョ体型。…って言っていいのかどうかわかんないけど、バランスは良い感じ。

 シザースよりも若干背が高いという対比設定も、しっかり再現。
 え、この画像だとわかりにくい?

 こんな体型なのに、可動率は妙に高め。
 回転ロール軸&二重関節の膝に、上腕と前腕両方に回転軸のある腕、肩可動の制約を軽減する肩アーマー、回転する腰、足首のボールジョイント。
 そんなこんなで、写真のようなポーズまで取れちゃいます。
 これだけ動けば文句ないでしょ、といわんがばかり。

 しかもここに加えて、首までボールジョイントでグリグリ動くってんだからもう。

 さて装備ですが、実は残念な点がちらほらと。

 両腕のシザースピンチ。
 ボールジョイントで外す事は可能ですが、シザースに装備させる事ができません。
 なので、シザースピンチは装着変身版に付属した物を使い続けないとならないのです。
 装着版ピンチは、裏側がなく表面だけなので、ここで完全版を求めた人は多かったでしょう。
 形状は上の写真の通りなので、無理矢理装備させるためには、かなり大規模な改造が必要でしょう。

 背中のシェルディフェンス。
 接続用ガイドがあり、それがしっかり支えてくれるので、勝手に外れて落下することはなさそう。

 装着変身シザース付属のシェルディフェンスとの比較。
 後に触れますが、ボルキャンサーの成型色そのままなので、色味はかなり違和感あり。

 形状そのものはほとんど同じですが、装着版と違い「シザースバイザー」を挟むためのガイドがありません。

 そのため、その気になればシザースの両腕にシェルディフェンスを装備させられます。

 今回追加されたオリジナル装備として、両肩に接続可能の「新ガードベント?」があります。

 フル装備状態。
 なんだか無駄に強そうだ!
 でもこれを装備するためには、シザースの元々の肩アーマーを外さないとなりません。
 差し替え式なんです。
 シザースは、肩にジベットスレッドがないからね。
 シザースピンチといい、やたら差し替え装備多いなこいつ。

 新ガードベントに、両腕シェルディフェンスをプラス。
 おお、これまた無駄に硬そうだ!

 もちろん、ファイナルベントも問題なく再現可能。

 ボルキャンサーは、出来としてはかなり良い線行ってます。
 まさかここまで可動するか、という感じの圧倒的可動幅は、前回のバイオグリーザすら霞むほどです。
 大変細かな作りで、製作者の魂すら感じられるような気がします。

 ですが、それらをある意味台無しにしてしまっているのが、この成型色丸出しのボディ
 これは、いくらなんでもあんまりでしょう。
 全面塗装が不可能だったにしても、せめてもう少し、シザースに近い擬似金色っぽい成型色にして欲しかったところ。
 こんなに色が違うと、シザースに装備を着けさせても違和感が強まりますし、何より並べて絵になりにくい感があります。
 せっかくこんなに良い形で出てくれたのに、こういう肝心なところで外してしまうというのは、あまりにもあんまりなわけで。
 確かに、まあ、遠目に見れば違和感はないけど、ねえ…

 もう一つ、関節可動はいいんですが、股関節の強度が足りずやたらと倒れやすい(安定したポージングを作りにくい)という問題も無視できません。
 これについては、単に強度を上げてくれれば簡単に解決する問題なわけで、大変残念。
 一見些細な問題なんですが、実際に手に取ると、なかなかやっかいなんですよね、これ。

 個人的には、人間型脚部を持つ新造形モンスターは、足首だけでも装着変身と同じ金属+スプリングで保持力強化をやって欲しかったんですよね。
 オールプラ製でただでさえ軽いんだから、ボルキャンサーみたいに重心が上のほうに偏る物は、足の方に重りになるものが必要な筈なんですが。

 …昔のソフビフィギュアの安定化みたいに、足の中に石膏でも流し込んでみようか。

【買ってみて一言】

 シリーズ中一番高額&カニ導入という事で楽しみにしていたのですが、正直な所、果たして価格に見合う内容だったのかなぁと考えると、少し複雑です。

 恐らく内訳としては、大型のボルキャンサー&マグナギガ=2,000円、ドラグレッダー=1,500円といった内訳でしょうね。
 大型のデストワイルダー&ギミックとオプション豊富なサイコローグを各2,000円と考えると、ミラモン02の定価4,000円(税抜)になりますし、ダークウイング&ゴルトフェニックス、そして人型だけどやや小型のバイオグリーザを各1,500円と考えるとミラモン03の定価と釣り合いますから、この目測はさほど大きくは外れていないでしょう(この理屈だと、ミラモン05の定価は4,500円くらい?)。

 しかし、この仮定を基準に考えたとして、ボルキャンサーに2,000円分の価値があったかというと、正直かなり複雑です。

 これは、祝・ボルキャンサー一般玩具化のための布施と割り切るにしても、いささか難があるという意味です。
 確かに気合の入りまくった造形ですが、軽すぎる関節強度、違和感の強い成型色、当て外れな装備(ピンチの事)など疑問点は多く、人によっては難色を示しかねません。
 特に成型色問題は、結構大きいように思います。
 というより、「惜しい」という気持ちの方が強いのかも。
 ミラモンの新造形物は、今のところすべて成型色そのままになっていますが(01のギガゼールはウェザリングがあるけど)、果たしてボルキャンサーにまで、それを適応させる必要性があったのでしょうか?
 金色という、特殊な配色のシザースと合わせる事を前提とするなら、それなりに配色に気を配らなければならない筈で。
 もし、散々考慮された上でこうなったのだとしたら、筆者はもう何も言えないです。
 コストの問題なども色々あるでしょうが…それは製作側の問題であって、ユーザーには関係ない話ですからね。

 それともう一つ。
 今回は、この後に続く商品に対する大きな不安を抱かせる結果にもなりました。
 それは、「ドラグレッダーにウェザリング等の塗装なし」という点。
 もちろん、これだけならさほど大きな問題ではないですが(統一感が削がれるという難点はある?)、このドラグレッダーのリデコ品である「ベノスネーカー」が、今後どのような処理をされるだろうか、という所に不安が集まるのです。
 ご存知の通り、ミラモン01ですでにメタルゲラスとエビルダイバーが再販されており、しかもこれらには、執拗なウェザリングが施されていました。

 という事は。
 これらと合体してジェノサイダーとなるベノスネーカーにも、同様のウェザリングが求められるわけです。

 しかし、R&M版のベノスネーカーも胴体側面部のモールドはシール再現で、今回のドラグレッダーのようにそのまんまで出される危険は高いと感じられます。
 実際にはどういう処理をされるのか、現時点ではわかりませんが、ヘタをすると「頭の一部と首だけが妙に綺麗で、それ以外は煤けているアンバランスなベノスネーカー」が誕生してしまう可能性もあるわけで。
 ジェノサイダー欲しさに、今までずっと我慢して待ち続けていたファンに対して、それはきっつい仕打ちになるでしょう。
 まあ、問題なく回避されればいいんですけど、とにかく今回は、そんな不安要素を高めたわけです。
 ドラグレッダー、シールはそのままでスミ入りだけする事とか出来なかったのかなあ?

 ちなみに、このミラモン04と前回の03は、早速一部で叩き売りが始まっているという噂を聞きます。
 やっぱり、あんまり人気ないのかなあこのシリーズ…
 なんでもファンの一部では、ミラモン新規立体化に歓喜して、「このままいけばオルフェノクやアンデッド等も立体化・商品化してくれる筈だ!」と頑なに信じている人達が居るようです。

 でも、筆者は現状まず無理だろうと思ってます。
 だって…そんな勢いが付くほど売れてないんだもん(泣)。

 本シリーズは、次回、最大の山場を迎えるわけですが、同時にそれは、最悪の修羅場にもなりかねない側面も持っています。
 さて…どのような結果になりますことやら…

 ひとまず年末を待つべきでしょうか。

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