第132回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「トライチェイサー2000」
2015年8月13日 更新
- | トライチェイサー2000 |
- 真骨彫 仮面ライダークウガ |
- ビートチェイサー2000 |
最近、フィギュアーツバイク(ビークル?)シリーズの勢いが激しいですが、平成ライダーシリーズの第1号バイクが、7月にとうとうフィギュアーツ化しました。
これまでの約15年間、DXポピニカ「トライゴウラム」付属のトライチェイサーがフィギュアーツ・クウガのお供として愛用されて来た感がありましたが、ようやく御役御免?という状況になりました(トライゴウラムという要素も残ってるので、完全引退はまだまだ先でしょうが…)。
というわけで、今回はクウガの愛車・TRCS2000ことトライチェイサーのレビューを行います。
■ S.H.フィギュアーツ トライチェイサー2000
2015年7月11日発売。
2015年7月の配送ラインナップは、以下の通り。
- 7/11「仮面ライダードライブ タイプワイルド」
- 7/15(配送開始日)「スーパーマン (INJUSTICE ver.)」「仮面ライダーゼロノス・ベガフォーム」「仮面ライダーマリカ・ピーチエナジーアームズ」(すべて魂ウェブ限定)
- 7/24(配送開始日)「南ことり(ラブライブ!)」「スーパーマン (INJUSTICE ver.)」「メタルガルルモン -Original Designer's Edition-」(すべて魂ウェブ限定)
- 7/25「キャプテン・アメリカ(アベンジャーズ・エイジオブウルトロン)」「ハルク(アベンジャーズ・エイジオブウルトロン)」
- 7/31 「スーパーセーラームーン(美少女戦士セーラームーンS)」
全長約16.8センチ(前輪から後輪まで。アンテナ含まず)。
真骨彫「仮面ライダークウガ・マイティフォーム」用手首二個付属。
魂STAGE固定用パーツ付属。
後輪スタンド付属。
価格は4,860円(税込)。
TRCS2000「トライチェイサー」。
仮面ライダークウガが搭乗するバイクだが、本来は警察用車両(所謂新型白バイ)として開発された「TRCS2000A」の試作機。
右グリップが警棒になったり(トライアクセラー)、電気信号で車体の色を変えられる「マトリクス機能」など、後の量産化車両には搭載されていない機構が組み込まれている。
一条刑事の独断で、クウガに変身する五代雄介に託され、以降は五代の日常の足としても利用されるようになるが、その際は車体の色が黒&ガンメタル調のカラーリング(通称・ブラックヘッド)となる。
車体のクウガの紋章は、五代が自分で描いたもので、ブラックヘッド時には車体の黒に溶け込んで見えなくなるが、変身後のカラーリング変化(ゴールドヘッド)時に表出するという、ちょっと凝った設定となっている(ちゃんと五代がペイントを施している場面がある)。
EPISODE-15から登場した巨大な甲虫型支援機ゴウラムと融合合体することにより、トライゴウラム(劇中呼称なし)に変型することが出来る。
ライダーマシンとしては非常に受難なバイクであり、EPISODE-17ではメ・ガドラ・ダの攻撃で、フロントカウル後部のダイヤル式コントロールパネルが破損、以降はテンキー方式に改修・変更される(今回の商品はこのバージョン)。
また、金属を吸収して自身のボディを維持しているゴウラムとの合体を繰り返したことから、急激な金属疲労を起こし、EPISODE-33でのゴ・バダー・バ戦でとうとう機能停止してしまう。
その後修理が行われ一応復活はしたものの、想定外であるゴウラムとの合体による破損を懸念されたためか事実上の御役御免とされてしまい、以降はクウガ専用に開発された「ビートチェイサー2000」が後継車両として用いられることとなる。
ベース車両はスペインのバイクメーカー・GASGAS社の「パンペーラ250」で、これはバイクトライアルシーン時にクウガのアクターを担当した成田匠氏(チーム・ハザードブレイカーズ所属トライアルライダー)の希望を組み込み選定されたものとされている。
当初は非市販車のトライアル用バイクが候補とされていたが、ライダー(ヒーロー)マシンとしては小さすぎて見栄えが悪いとのことで却下され、同車両が選択されたという経緯もある。
このため、トライチェイサーは他のライダーマシン(アクション撮影用の小型車両Ver.を除く)としては異例の小ささとなっている。
「仮面ライダーディケイド」では、約8年ぶりにトライチェイサーが復活し、劇中でクウガに変身する小野寺ユウスケが、変身前後問わず搭乗していた。
しかし、マトリクス機能がなく変身前からゴールドヘッドであることや、始動キーがトライアクセラーではなく普通のエンジンキーであるなど、オリジナルと比べて細かな差異が見受けられた。
尚、劇中では「仮面ライダー剣」に登場したブルースペイダーとの併走シーンがあるなど、作品の垣根を越えた魅力あるシーンも存在した。
さて、トライチェイサーです。
本商品は、単なるフィギュアーツバイクシリーズとしてだけでなく、真骨彫対応バイク第一弾という側面もあって、非常に存在意義のあるものだと思われます。
フィギュアーツ版トライチェイサーにまつわる話は、2010年2月開催の「魂フィーチャーズ」まで遡ります。
当時、イベントではDXポピニカ版を改修した(ほぼそのまんま?)と思しきトライゴウラムが展示されていて、「マシントルネイダー」同様、ファンが再商品化を望んでいました。
以前にも、アギト系のライダーバイクでポピニカのマイナーチェンジ版をフィギュアーツブランドで販売したことがあったので、今回もそれで行けるのではないかと多くのファンが思ったようです。
他にも、当時品のゴウラムの羽根が経年で自然破損する可能性が高いということもあって(詳細はこちらをご参照)、代替品的存在が欲しいという向きもあったようです。
しかし、その後何年経っても一向に商品化情報は公開されず……
その間に、クウガのフィギュアーツは全種揃ってしまい、あまつさえ真骨彫版というリメイク版まで出てしまったわけです。
そろそろトライチェイサーを見て行きましょう。
まずは、フロントビューとリアビュー。
独特の形状のフロントとリアが、よく再現されています。
しかし、警察車両だったらテールランプくらい付けろよと、当時からの疑問が……(ライダーマシンとしては正解なんですが)
サイドビュー。
DXポピニカ版に比べて車高が下がった分、かなりスマートさが増した気がします。
前輪に対して、後輪が太めなのもオリジナル通り。
この、小さな車体に大きなタイヤという一見ミスマッチ感が、トライチェイサーの「色気」だと思うのです。
フロントカウル。
ヘッドライト及び、ゴールド部分両端のウィンカーはクリアパーツ。
黒のカラーリングに溶け込んでいるような青目が特徴です。
クウガマークが若干小さめな気がしますが、細かくプリントされていて良い感じです。
前輪アップ。
ホイール部分の金色が、いかにもトライチェイサーという感じで実に感動的です。
さすがにスポークは劇中より太めですが、なかなか雰囲気は出ています。
ディスクブレーキ部分が些か安っぽい質感ですが、個人的には許容範囲。
ワイヤー関係は、今回は完全にオミットされていますが、むしろその方が違和感ない気がする?
エンジン周辺。
非常に良く出来ていて造型的には満足なんですが、クウガマークに白縁が施されているのが、個人的に不満。
これじゃあ、ブラックヘッドになっても浮いちゃうじゃないかー。
独特な形状のマフラー部などはかなり高レベルで再現されています。
こういうさりげない所が、実際に弄ってると意外に目に付いてくるんですよね。
後輪周辺。
長く伸びたアンテナとその基部は一体式で、プラパーツ。
そのため、気をつけないと転倒→ポッキリ逝く可能性も。
ここはさすがに、劇中の雰囲気を重要視して軟質素材にして欲しかったものですね(実車はアンテナ部分がプルンプルンと良く震えていたもので)。
毎度お馴染みの後輪サスペンションは、今回も当然健在。
ハンドル周辺。
マトリクス機能使用時に操作するコントロールパネルは、先の解説通りEPISODE-17で破壊された後の改修版になっています。
良く見えないけど、キーの文字もしっかり印刷されています。
ハンドル部分は、右側が赤くなっている点などを踏襲しているのはいいんですが、今回は何故か外れません(予備パーツもなし)。
オートバジンといい、何故ハンドルが外れる仕様のバイクの時に限って外れなくしてしまうんでしょうか……理解不能です。
まして、本商品はトライアクセラーの件を度外視しても、ハンドルが外れる仕様にした方が賢明だったとしか思えません(後述)。
ボディ右側。
トライチェイサーは、ベース車の都合でスタンドが右側に付いています。
真骨彫「仮面ライダークウガ・マイティフォーム」(以下、真骨彫クウガと表記)を搭乗させてみます。
過去幾多のライダー&バイクが商品化されましたが、その中でもトップクラスのスタイルだと思います。
劇中のイメージにかなり近い、まさに理想的なクウガ&TRCS2000!
本商品には、真骨彫クウガ用のハンドル握り手首が付属します。
ところがこれ、親指が他の指と一体化している造形のため、ハンドル末端部を手首の穴に通さなくてはなりません。
これがまた固くて、ちょっとしたコツが必要になります。
コーティングしていないと、ハンドル端の塗装が剥げそうだし、不器用な人が力ずくで通そうとするとハンドルが破損しそうです。
そのため、最初に手首だけをハンドルに通して、後から手首をクウガ本体に接続する方が無難なようです。
ここでもし、ハンドル部分が外れる仕様だったら、もっと安心して組めるのですが。
とはいえ、実はこの嵌めづらい手首は、搭乗後に大きな効果を発揮します。
嵌めづらいということは、逆に云えば外れ辛いということでもあるので、バイクを絡めた派手なアクションポーズを取らせる際にクウガの腕をしっかり固定させてくれるので、最大の効果を発揮します。
そんなこともあり、一概に問題点と言い切れないのがポイントですね。
搭乗姿勢を真横から。
この通り、尻もきっちりシートに付けた状態で、両足をステップに乗せることが出来ます。
定番の後輪スタンドも付属していますので、走行状態をイメージしたディスプレイも可能。
今回はしっかり後輪をホールドしてくれるので、ふらつく心配はありません。
本体下部に取り付けられる透明パーツで、魂STAGEの支柱に接続可能。
後は工夫次第で、バイクを大きく浮かせられます。
今回のパーツは、後ろからスライドさせて本体に固定する方式。
トライチェイサー最大の魅力といえば、メ・ガドラ・ダ戦やゴ・バダー・バ戦での、思わず目を疑うほどの超ド派手なバイクアクションでしょう。
仮面ライダーシリーズ中疑いようのない最高峰アクションだったわけですが、本商品はそれをいくらか再現出来ます。
多少無茶な体勢でも、魂STAGE接続パーツがあれば無問題。
とはいえ、実は魂STAGEに頼らなくても、こんな極端な姿勢で自立出来てしまったりします。
名物後輪キックもこの通り。
脅威の、空中180度ターン再現……ただし適当。
EPISODE-33では、海岸を舞台にクウガとゴ・バダー・バが、バイクに乗りながら闘う場面があるのですが、その際に「完全滞空状態(ライダーの足も地に着いていない)でバイクを180度反転させる」という荒技をクウガが見せました。
当時は一体何がどうなったのか、脳が理解出来ないほどのインパクトがありましたが、付属パーツを使うことでそれっぽく再現出来てしまいます。
いつもは「せめてどこかにダイキャストを使用してドッシリ感を加えて欲しいなあ」と思う筆者ですが、今回に限ってはダイキャストなしで大正解だと思います。
本体が軽くてナンボのプレイバリューですからね、これは。
DXポピニカ「トライゴウラム」付属の、所謂旧版トライチェイサーとの比較。
旧版の方が大振りなサイズになっています。
それにしても、これはこれで今見ても良い出来です。
ボディのダイキャストがいい重量感だったんですが、真骨彫クウガとの相性はあまり良くなく……
フロント・サイドビューで二台を再比較。
このように、車体の大きさ・車高に差があるのがわかります。
その他、スタンドの解釈も異なりますね。
本商品に、旧版フィギュアーツのクウガを搭乗させてみます。
こころなしか、真骨彫版を見た後だとクウガがやや小さめに見えてしまう気がします。
意外にも、これはこれで親和性はそこそこ高いようです。
真骨彫を持っていない人でも、これなら充分組み合わせて楽しめると思います。
握り手は、旧クウガ付属のもので充分いけます。
以上、トライチェイサー2000でした。
【買ってみて一言】
個人的には、文句なしの逸品です。
試作品画像公開当初は、「あれ? なんか劇中より更にバイク小さくね?」とも思ったのですが、実物を手にしてみたら小さいどころかベストサイズでした。
細かい部分に気になるところはあるとはいえ、それの指摘は殆ど粗探しのレベルなんじゃないかとすら思えるくらいです。
あえて言うなら、先でも触れた握り手の嵌め辛さとか、アンテナの耐久性への不安くらいですが、それを含めても素晴らしい商品です。
とにかく、クウガ本編を見てあのバイクアクションに見惚れた人にとっては、無限の(極端?)プレイバリューが見出せるかもしれないわけです。
今までも、魂STAGE接続用パーツやジョイントが設けられたバイクはありましたが、これほどまでに活用の幅が広いものはないかと思います。
出来ることなら、マイティフォームだけでなく、劇中同様ドラゴンフォームも乗せてみたいものですが……
蛇足ですが、本商品の発売に併せて真骨彫クウガの再販も行われました。
真骨彫シリーズ初の再販となったわけですが、それも初版同様すぐに店頭から姿を消してしまいました。
かと思うと、都心部では在庫潤沢な店舗もあったそうで、地域や店舗によって非常に供給状況にムラがあった模様です。
せっかくこんなに良いバイク玩具を売り出したんだから、もっと多くの人の手にクウガが渡るようにして頂きたいものです。
で、ビートチェイサーまだー?
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