第45回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーBLACK RX」
2009年7月27日 更新
さーて、気分盛り上がってるうちに、とっととやってしまいましょう!
「ブッちぎるぜぇ!!」
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーBLACK RX
2009年7月18日発売。
同時販売物は、シリーズ中にはなし。
全高約14.2センチ(ツノ含まず)、全4種の手首付き。
刀身部がクリアのリボルケインが一本付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込2,625円。
今更説明の必要などない、80年代最後を飾った大人気のライダーが、ついにフィギュアーツ化。
ただし、今回の商品化は他のフィギュアーツ・ライダー系とはまた違う意味がある(後述)。
2009年度「魂ネイション」にて、何の告知もなく原型展示が行なわれた事から各所で話題を呼び、様々な憶測・不安を駆り立てながらも無事発売と相成った。
実物の完成度はさることながら、本商品はそれ以外の部分でも大変多くの(良し悪し含めた)話題を内包しており、また同シリーズ別商品との意外な関連性がある事でも知られている。
「仮面ライダーBLACK RX」は1988年10月23日〜89年9月24日まで、全47話放送。
現在の平成ライダーシリーズと異なり、TBS系列で日曜朝10時台の放送だった。
放送途中から元号が平成に切り替わったため、一部では「最初の平成ライダー」と云われることもあるが、実際には昭和カテゴリに属するものとされる(というより、平成ライダーシリーズがクウガからであると既に定義されてしまっている)。
「仮面ライダーBLACK」の正当な続編であり、前作の主人公を演じた倉田てつを氏が非スピンオフで継続出演。
しかも、二年連続で(一応別形状の)ヒーロー物の主人公を勤めるという、前代未聞の展開も大きな注目を受けた。※1
暗黒結社ゴルゴムとの長き闘いに勝利し、平和を取り戻した仮面ライダーBLACKこと南光太郎は、異世界から突如やって来たクライシス帝国のクライス要塞に拉致された。
クライシス軍司令官・ジャーク将軍と出会った光太郎は、クライシス帝国のために闘う事を強要されるがこれを拒否したため、変身能力を奪われた上に大気圏外へと放り捨てられてしまった。
本来ならそのまま死んでしまう筈だった光太郎は、体内に秘められたキングストーンが太陽の力を得た事により奇跡の生還を遂げる。
再び地上に現れた仮面ライダーBLACKは、以前とは全く異なる姿に変貌していた――
「俺は太陽の子! 仮面ライダーBLACK! RX!!」
尚、2009年度作品「仮面ライダーディケイド」26話以降及び劇場版作品「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」にて、約20年ぶりに仮面ライダーBLACK
RXが(BLACKと共に)再登場。
しかも、変身前の姿・南光太郎を当時と同じ倉田てつを氏が演じることでも話題となった。
本商品の発売日は「仮面ライダーディケイド」25話放送の前日にあたり、この回の予告にBLACKとRXが登場したことで実に理想的なサプライズを演出した。
※1:同一役者・同一キャラクターが、二作品(二年間)連続出演で主演&前作と異なるヒーローを演じたという例は、2009年現在TV特撮作品では(仮面ライダーシリーズに限らず)他に存在しない。
「仮面ライダーBLACK」に続き、RXもついにフィギュアーツ化。
かなり遊び甲斐・飾り甲斐のあるアイテムになりました。
基本構造は、フィギュアーツBLACKとほぼ同様。
そのため、「フィギュアーツ・仮面ライダークウガ」や「同・アギト」のような股関節部の可動制約はありません。
ただし、若干股関節の保持力が弱いため、足がふらつくことも。
両肩は、残念ながら水平まで上げられません。
「フィギュアーツ・アナザーアギト」でせっかく改善されたのに、また戻ってしまいました。
無理して肩を上げすぎると、肩アーマーがふっ飛んでいくので注意が必要です。
筆者はやっちゃいました。
足首は、従来通りの合金パーツで、安定性・接地性については今まで通り。
アナザーアギトみたいな事にはならなかったので、まずは安心です。
でも、相変わらずポージングによっては自立時に微妙なバランス調整を要します。
以下は、RX独自の注目箇所について。
ご存知の通り、RXはかなり独特の形状をした部位が多く、そのため必然的に他ライダーにはない不安点や疑問点も発生します。
これまで発売されてきたRX関連玩具でも、こういった点は常に注目されて来ましたので、関心をお持ちの方も多いのではないかと思います。
まず、首から。
歴代で最もバッタ的なラインを持っているRXの頭&首部分の形状は、かなりイメージ通りに再現されています(ただし顔については後述)。
首は、これまでのシリーズ同様根元と頭接続部で二重関節構造になっていますが、上の方が斜めのカットになっています。
ですから、頭だけ回すとこんなに不気味なことに。
実際のバッタも、これくらい首が回るのですが、そんな再現は誰も求めていないと思われ候。
この部分の接続は、BLACKと同じく小さなボールジョイントを使用しているのですが、残念ながら上を向くことは完全に不可能です。
後頭部につっかいがあるためですね。
首の根元の方を動かしても、襟が干渉するためこれまたダメ。
首の根元は、横方向の他、若干の前方向可動が可能。
上手く利用すれば、顎を引いた状態も再現出来ます。
首上部関節(頭部との接続部分)だけを動かして、横を向かせた状態
これ以上回すと、さっきの怪奇画像になってしまうと。
RXの着ぐるみは、アップ用はともかくアクション用は見た目の印象に反してかなりフレキシブルに動かせたようです。
後頭部が軟質素材の上、襟の内側に入る構造のため自由度は高かったとか。
アトラクション用は、襟がボディの外側に出る構造で更に動きやすく、また複眼の1/3が視界確保のため透けている(しかし表からは判りづらい)ようになっていて、かなり自由度が高かったそうです。
以上、鷹羽飛鳥氏による情報でした。
サンバスク(腹部)周辺からサンライザー(ベルト)の合間には空間が設けられ、これにより腹部関節の可動が活かせるようになっています。
ただし、そのまま見るとちょっと開きすぎのようにも感じられます。
RXの着ぐるみでもここは少し開いてはいるのですが、本当にごく僅かで、アップ用はわかりませんが少なくともアクション用スーツは素材の弾力性に任せて身体を曲げられたように見受けられました。
こうして考えると、腹部の隙間はあまりよろしくないようにも感じられます。
ところが、着ぐるみの腹部の隙間を比較的忠実に再現した「装着変身版RX」では、腹部関節可動幅を上半身アーマーが殺す形となったため、パーツ干渉による破損が多発するというデメリットが生じてしまいました。
ですから、今回のこれは改善策と解釈して良いかと思われます。
事実、フィギュアーツ版RXではまったくストレスなく上体を動かせます。
フィギュアーツBLACKで削れ易いと酷評されていた左胸のマークは、今回はほとんど問題なしのようです。
ただし、コーティングされているわけではないので、遠い将来削れ落ちてしまう危険がないとは言えないかも。
唯一「装着変身版」に劣っているのが、リストビットの独立回転。
つまり、手の甲が正面を向いているのに手首を連動させられないわけです。
でも、前腕独自回転はライダー系ではC.O.Rシリーズ(仮面ライダーカブト)くらいでしか再現されてませんし、そんなに致命的な難点というわけではありませんから、問題というほどではないかと。
むしろ、ザビーゼクターが正規の位置に回せないためライダースティングの構えが正しく再現出来ない「フィギュアーツ・仮面ライダーザビー」の際に、この問題が表面化するのではないかと。
もっとも、これは装着変身の時に既に通った道なのですが。
サンライザーは、この大きさにも関わらず二つの穴がきちんと掘り込まれていて、更に前面中央部のモールドも再現されています。
また、BLACKのような“バックル周辺の余計な塗装”などもありません。
実際のサンライザーは、前面部がクリアーパーツでコーティングされた状態なのですが、そこまで再現しろってのは無茶でしょう。
そういえば、RX本放送当時に発売されたDX変身ベルトは、リストビットを振動させると電波が発生し、これに反応してベルトが回転・発光するというギミックがありました。
しかも、ちょっとした振動ですぐ反応するので、これをつけたままあの動きの激しい変身ポーズを再現するのは至難を極めました。
例えるなら、口の前に置かれたロウソクの火を揺らさないように歌う金沢明子の心意気と申しましょうか。
次に造形面の話。
RXの顔は、さすがに劇中のマスクとはかなり印象が異なっています。
特に目立つのが「目が小さい」「目の形状が違う」「目の周りの銀縁が太い」「ツノが太い」「眉間の銀色ライン幅が太い」といった点でしょう。
このうち、パーツ耐久性問題などの都合で太くなっただろうツノは除外するとして、それ以外の部分はかなり違いが目立ちます。
特に気になるのが目の大きさの違い、目の周りの銀色と眉間のラインの分厚さで、これは人相すら変わって見えるほどです。
ここはかなり好き嫌いが分かれる気がします。
ただ、個人的には玩具的アレンジとしては充分許容範囲ではないかと思っています。
恐らくですが、目の大きさを劇中同様の割合にしたら、それはそれで「コレジャナイ」扱いされるのではないかと。
頭部上半分の大面積を占める目は、着ぐるみくらいの大きさがあって初めて許容される気がするんですよね。
どちらにしろ、「仮面ライダーBLACK」の時のような、頭の下半分がまったくの別形状に改悪されるなどといった致命的な問題はないので、これなら弄っているうちに許容していける可能性は高いでしょう。
それから、ツノの接続方法は装着変身版と同様で、根元がブロック状に固まっていて顔面に埋まっているタイプになっています。
装着変身版は、この処理についてかなりの反発を招いたようですが、今回はほとんど気にならなくなっています。
こりゃあ、大したもんです。
全身の色について。
RX玩具を語る上で、この問題は決して避けて通れません。
フィギュアーツ版は、頭部・前腕&手首・膝下全体を黒、胴体上部・肩を濃いグレー、胸部・胴体下部・腹部・上腕・太股をダークグリーンでまとめています。
このうち胸部と胴体下部はメタリック塗装で、着ぐるみのフラット感はまったくありませんが、グリーンの明度が良い具合に調整されてなかなか悪くない雰囲気を維持しています。
こういう手法は、素直に感銘を受けます。
ただし、それ以外のグリーン部分はやや色味が異なっている感があり、若干浮いています。
具体的には、着ぐるみのエメラルド系ダークグリーンに対して、カドミウムグリーン系に近いいかにもな暗緑色になっています。
それでも、過去のバンダイ製品RXに比べれば、充分過ぎるほどの進歩だと思われます。
バンダイ玩具は、昔からダークカラーを妙に明るくしてしまうという悪い癖がありまして、RXは放送当時品からその悪影響を受けていました。
ポピニカ「アクロバッター」の搭乗フィギュアは、胸や太股が真緑でものすごく気持ち悪く、その他の商品でもなぜか明るい緑が多用されていました。
近年でも、「装着変身版」で同様の処置が行なわれ、RX以外でも「仮面ライダーナイト(の青スーツ部分)」が同様の影響を受けました。
RXの場合、上腕と太股が明るい色だと「緑色の肌の男が黒手袋と黒ブーツ、黒短パンを履いている」ように見えてしまう難点があるので、これはかなり厳しかったものです。
そう考えると、彩度がかなり抑えられた今回のカラーバランスは、ベストとは言えなくてもかなりありがたい仕様だと云えるでしょう。
次に、手首問題。
今回、RXが最も注目を受けた点かもしれません。
部品構成は以下の通り。
- 握り拳(フィギュアに接続状態)
- 開き手(指先を曲げたもの)
- 手刀(指先を伸ばして揃えたもの)
- 武器持ち手(リボルケイン保持用)
いずれも左右あり、計8つ付属しています。
先に記しておくと、これについて本商品自体には、何の問題もありません。
なぜRXが手首関連で注目されていたかというと、以下のような経緯があったからです。
- 「仮面ライダーBLACK」発売前、「魂ウェブ」内のスタッフブログ内で同商品に武器持ち手が付属しないアナウンスがあり、実際にその通りになった。
(担当者曰く「BLACKは武器を持たないから付けなかった。どうしても欲しかったらRXから流用してくれ」) - その後発売された「仮面ライダーアギト(上写真参照)」では、手首が「握り拳」と「開き手」のたった二種類しか付属しなかった。
このため、劇中の特徴的なポージングすら再現出来ないとユーザーの多くが反発。 - 「仮面ライダーアギト」の付属手首と、「仮面ライダーBLACK」の手首が完全同一のものである事がネット上のユーザー情報により判明(つまり流用パーツだった)。
- 七月に入り、突如「仮面ライダーアギト・フレイムフォーム」「同・ストームフォーム」が同月25日に発売する事が決定。
これにより、(アギト・グランドフォームに流用可能な)武器持ち手追加の希望が見えたが、ジャスコ限定販売ということで入手難の可能性も高まる。 - 7/16頃から、フライングゲットされたRXのパーツ構成情報がネット上に広まり、武器持ち手が左右付属&BLACKやアギトに完全流用可能だと判明。
(装着変身バトルホッパーやDXマシントルネイダーに乗せる事が可能になった)
これが、冒頭で述べた「同シリーズ別商品との意外な関連性」です。
一言でまとめると、BLACKとアギトの付属パーツに不満が集中したため、それを補えるRXの需要が高まったということです。
この件について、現状は一応の解決を見ている感もありますが、三商品全てを購入する予定がない人にとっては、相変わらず問題のある状況のようです。
で、実際に手首パーツを比較してみました(クリックで画像拡大します)。
画像は、上から横一列でBLACK・アギト(グランド)・RXの手首を並べたものです。
成型色はどれも完全に同一。
構造が特徴的な「開き手」の側面を比較(クリックで画像拡大します)。
「開き手」正面を比較(クリックで画像拡大します)。
角度の関係でちょっと違う感じがするかもしれませんが、人差し指と中指の折り曲げ方に注目するとよく判ります。
「開き手」の手の平側を比較(クリックで画像拡大します)。
こちらの方が、形状が判りやすいかな。
手のしわ? のモールドなども全く同一です。
「握り拳」を斜め前から比較(クリックで画像拡大します)。
アギトがちょっと変な角度になってしまいましたが、これもまったく同じ物だとお判りいただけると思います。
実際の着ぐるみは、三ライダーすべて拳の形状が異なっているのですが、いずれも黒一色なせいか思い切り流用されたわけですね。
もっと細かいことを言うと、BLACKとRXの時点でまったく別形状で、ナックルの部分などは完全な別物だったりします(前者は節一つひとつに楕円型のガードがあるが、後者はそれがなく全部一体式の帯状ガードに変更されている)。
話をまとめると、今回は全5種(BLACKの名乗り用右手首含む)の手首を最初の時点で作成しており、これをそれぞれに配分したようです。
「アギトのライダーキック構え時の平手&前方に翳す手刀」や「RXの構え時の中指と薬指だけを曲げた手首」など独自性の高いものは、どうやら最初から作成されていないっぽい感じです。
厳密には、上記で挙げた例だけで更に計4種を追加しなければならないわけですが、フィギュアーツ=コストダウン狙いが露骨、という視点で見ると、なんとなく納得出来そうな気がしてきます。
ちなみにアギトは、この後別な形で武器持ち手が補完されることになりましたが、それについては次回のレビュー参照ということで。
肝心の武器持ち手ですが、幸いにもBLACKやアギトを各バイク玩具に搭乗させる際には大活躍で、特に「ポピニカDXマシントルネイダー」とのフィット感は異常です。
当然、RXを「装着変身EXアクロバッター」に搭乗させる際にも役立ちます。
いずれも、ハンドルグリップをかなりしっかり掴んでくれるため、勝手に手が離れたりすることはまずありません。
本来の用途ではありませんが、この点については文句なしです。
もっと具体的に言えば、フィギュアーツ・クウガの武器持ち手よりも遥かに保持力が高いです。
ところが、本来の目的であるリボルケイン保持については、問題ありまくり。
過去に出た武器持ち可能ライダーの中では、最低クラスの保持力です。
というか、既に持ってすらおらず、手の中の空間にグリップを通しているだけという感じです。
安定感はほとんど皆無に近いので、ポージングを行なう際はリボルケインの柄部分(風車の下側)まで掴むようにしないといけません。
ただ、これは手首の問題というより、リボルケインの造形の方がまずいような。
話題に出たので、「装着変身EXアクロバッター」との相性についても触れましょう。
「仮面ライダーBLACK」の時にも触れましたが、やはりサイズは全然合いません。
バトルホッパーは、サドル位置が明確化してないのを利用して、わざと後方に座らせてライディングスタイルを誤魔化すことも出来ましたが、アクロバッターはサドルがしっかりあるため、こんな不自然な格好になってしまいます。
ネット上では良くベストバランスと言われてますが、それはないです(断言)。
真横から見れば、違和感は一目瞭然です(若干尻が浮いてますが、実際はちゃんと腰掛けられます)。
両肘を直角に曲げた状態でハンドルを掴むとか、250ccクラスのオフロード型バイクのタンクを太股の内側でホールドとか、そんな乗り方はありえません。
自転車に乗るよりも不自然な「前寄り姿勢」になっちゃいます。
125ccが元車だったバトルホッパーは、「バイクが小型だから」という言い訳も通用したかもしれませんが、250cc車がベースのアクロバッターではさすがに無理。
OPで特徴的な前屈姿勢にしても、不自然さは隠せません。
それどころか、かえって不気味になったり。
ライディングスタイルはアンバランス過ぎるので、またがらせるだけにするとか、横に並べるだけに留めた方が賢明でしょう。
「仮面ライダーBLACK」の時にも書きましたが、装着変身RXの時点で既にサイズが合わなかったのですから、それより大型のフィギュアーツを乗せてバランスが整う筈がないんですよね。
ただ、どうしてもバイクが欲しいという人にとっては選択肢がこれしかないのもまた事実なので、あえてアンバランスさを受け容れつつ搭乗させるという楽しみ方はありかもしれません。
というか、ここまで見てきて思ったんだけど、これはフィギュアーツとサイズが合ってないという単純な理由じゃなくて、むしろバイクそのものの形状が原因のような気もしてきました。
現状のままでも、あともう少しバイクのボディが長めだったら、よりフィットしたように思えてなりません(アーツ基準でなく、装着変身基準で見た場合でも、という意味です)。
RXのメイン武器リボルケイン。
今回は、刀身?部分がクリアになっている「発光状態(を再現したと思われる)バージョン」のみが付属。
装着変身のような二本セットということにはなりませんでした。
もっとも、サンライザーから引き抜いた後のリボルケインはずっと光りっ放しなので、特に問題はないと思いますが。
先の通り、今回唯一と言っていいほどのガックリアイテム。
細すぎてまともにつかめないわ、グリップ部分の大きさが合わなくて違和感バリバリだわと、良いところが全然ありません。
しかも、グリップの色違うし(実際は銀色)。
ただ、これのおかげで武器握り手が付属し、ひいてはアギトやBLACKも救われた? わけですから、邪険には出来ないわけです。
また、小さくて細いとはいえ細かい所まで作りこまれているので、あまり悪く云うのもどうかなと思わされるものもあったり。
誰もが一度はやるだろうと思われる「リボルクラッシュ」のポーズ。
こういう時は、良く動くフィギュアーツ様々といったところ。
手持ちの中で、見た目が限りなく怪人に近い人に、取り返しのつかないことになってもらいました。
手首の角度が変えられるため、両手持ちも難なくクリア。
振り抜きポーズ再現……と、ここで肩関節の可動幅問題が浮上します。
リボルケインを引き抜き、振り返り様に右斜め上に掲げるポーズで、かなり難儀なことに。
写真は、これでもかなり誤魔化している方。
リボルクラッシュ決めポーズ。
ここで背景でガソリン(ナパーム)爆発が起こるとそれらしいのですが、合成めんどいなので相手にはそのまま倒れ腐っていただくことにしました。
ここでも、リボルケインの細さが災いして手から抜け落ちそうになってしまいますから、柄部分を持たせて調整する必要があったりします。
これはいっそ、装着変身版と交換した方がいいかもしれませんね。
RXキックの再現は、ちょっと難しいようです。
フィギュアーツの構造上、伸身状態では両足が綺麗に揃えられないため、脚部に若干の捻りを加えるなどの工夫を行なう必要があります。
けど、ドロップキック系を可動フィギュアでかっこよく再現するってのは、難しいねえ。
というか、無理な気がする。
名乗りポーズなんかしてみたり。
「俺は太陽の子!」
「仮面ライダー、ブラ゛ッ!」
シャキィ、シャキィ!!(←効果音)
「ア゛ール、エ゛ッ!!」
シャキィ、シャキィ!!
大股開きで立つのが、ア゛ールエ゛ッの醍醐味だと先生思うの。
RXジャンプ直前の、地面ぶっ叩きモーション。
残念ながら、これはかなり難しい感じです。
片膝立ちは可能なので、それっぽい雰囲気には出来るのですが、上体の屈伸率がやや足らず右手がイマイチ伸び切らないです。
もっとも、見方を変えれば「それでもここまで再現可能」とも取れるわけで、充分評価出来るのではないでしょうか。
形状が形状なので、他のライダーよりも表情が変わりにくいRXですが、それでもやっぱり角度ごとに違った雰囲気が感じられて楽しいものがあります。
「仮面ライダーBLACK」と揃い踏み。
本人同士の共演というと番外編的位置付けの「仮面ライダー世界に駆ける」が有名ですが、「仮面ライダーディケイド」のおかげで現実に成立してしまいました。
いい世の中になったものです。
もうこれだけで、「仮面ライダーディケイド」は宇宙一です。
仮面ライダーBLACK RX。
フィギュアーツシリーズ二つ目の昭和ライダー系にして、ようやく文句なし(注:正しくは比較的アンチ意見の少ない)完成度に達した感のある良アイテムとなりました。
2009年7月、某ホビー系イベントで参考出品された「フィギュアーツ版昭和ライダーズ」がいずれも凄まじいほどの酷い出来で話題となりましたが、もしあのままさほど改善されずに発売したら、RXが昭和で唯一まともな出来……という評価になってしまうかも?!
【買ってみて一言】
個人的には、見る度に評価が変わる面白いアイテムでした。
魂ネイションの会場で見た時は「思っていたよりも良い(けど買うほどじゃないかな)」という印象、その後製品版をWEB上で見た時は「あれ? 少し出来が悪くなった?!」という感想を抱き、発売日に現物を見た時は「出来が悪いなんてとんでもねぇ! こりゃあ買いだ!!」と突き動かされました。
その後、撮影のために色々と弄り回していたら、「やっぱり顔に違和感あるかなあ…」という新たな感想が芽生えてきたり。
でも、そういう経緯を全部ひっくるめて、大変に遊び甲斐のある良いアイテムだったと評価しています。
本商品は、写真と実物とで印象が大きく異なります。
WEB画像の場合、撮影時の照明の都合かその後の画像加工の影響か、若干緑色部分の色味が変化してしまいがちです(このレビューページも含む)。
ですから、RXが好きで、かつフィギュアーツも買おうかどうか迷っているという人は、一度現物を直接確認して判断されるとよろしいかと思います。
それくらい、イメージが変わるんです。
RXは、先に記した通り各部位の造形や体色のバランスなど、他のライダーよりも多くのポイントがあるため、評価が大変難しくなりますが、2000円台で買える全身フル可動フィギュアとして判断した場合、本商品はなかなかの傑作ではないかと思われます。
よく考えれば、RXは元々「トンでもないデザイン」→「動いてるのを見たら凄かった」→「カッコイイ!」と評価が大きく変化したものでした。
このフィギュアーツも、これと同様の評価の変化が起こりうるかもしれません。
もっとも、フィギュアーツ独自の解釈である「妙に細い四肢」「頭が小さい」というポイントも当然あるため、まずはこれが許容出来るかどうかという問題もありますが。
もし、RX=細身というイメージを持っている人であれば、この辺の難点は比較的容易にクリア出来るかもしれませんね。
実際のRXは、よく見ればそれなりに太めなんですけどね。