第113回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「ロードセクター」

2014年4月29日 更新

 仮面ライダーBLACKの専用バイク2台目「ロードセクター」が、ついにフィギュアーツ化!
 非常に地味なデザイン? ながら、実はさり気に劇中で活躍しまくったマシンで、「文明破壊マシン」「超高速要塞」の異名を持つスーパーバイク。
 中には、バトルホッパーよりもこちらの方が好きというファンもいるとか(筆者もそうです)。
 そんなロードセクターは、リニューアルBLACKとの組合せでどこまで劇中の雰囲気を再現出来るのか、また最大の目玉であり注目ポイントである「スパークリングアタック」はどこまで再現可能なのか!?
 今回は、そこに重点を置いてレビューを行ってみます。

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■ S.H.フィギュアーツ ロードセクター

 

 2013年10月25日〜2014年1月8日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2014年4月18日配送開始(19日頃到着)。
 2014年4月のラインナップは、以下の通り。

  • 4/18(配送開始日)「キョウリュウブラック&キョウリュウピンクセット(獣電戦隊キョウリュウジャー)」「仮面ライダーインペラー(仮面ライダー龍騎)」「孫悟空(ドラゴンボール)」 (すべて魂ウェブ限定)
  • 4/19 「セーラーヴィーナス(美少女仮面セーラームーン)」
  • 4/26 「仮面ライダーBLACK RX(リニューアルVer.)」「アクロバッター(リニューアルVer.)」

 全長は約19センチ(前輪からテール部分まで)。
 交換用オプチカルアイ土台付属。
 交換用ハンドル一組付属。
 後輪固定用スタンド付属。
 台座などのオプションはなし。
 価格は税込5,400円。

 

 ロードセクター。
 「仮面ライダーBLACK」12話より登場したマシンで、バトルホッパーに次ぐBLACK第二のスーパーバイク。
 ゴルゴムが、大門洋一博士に設計・完成させた文明破壊用マシンで、当初は量産される予定だった。
 そのあまりの超性能のため、普通の人間では乗りこなせず、改造人間であるBLACKのみが操れる。
 本体内に高性能RSコンピューターを搭載し、様々なデータを蓄積する事が可能。
 更に、リアカウル上部に取り付けられたオプチカルアイ(カメラ)を通じ、風防内部やコンソール上のモニタに映像を投射し、高速走行時の視界補助を行う能力も持つ。
 他にも、プラズマジェットや妨害電波機能、イオンバリアを形成する性能も持つ。
 最高時速は960kmで、時速800キロ以上に達すると、ポップアップしたリアカウルから「アタックシールド」が出現する。
 この状態で、突進・体当たりを敢行する技を「スパークリングアタック」と呼び、コンクリートの壁やコンテナを連続で突き破るほどの破壊力を発揮する。
 自動操縦が可能で、BLACKの呼びかけに応じて単独走行で駆けつける事が出来、劇中では(足元しか写らないバトルホッパーとは異なり)全体を写した状態で無人走行を行っていた。
 バトルホッパーと違い、完全に人間の手で製作されたバイクのため、独自の意志のようなものは持っていないが、エピソードによっては独自の意志があるかのような様子を見せたことがある。
 最終回では、BLACKがゴルゴム神殿から脱出する際に使用した。

 尚、続編である「仮面ライダーBLACK RX」では登場せず、設定上は大門親子に返還されたことになっているが、初期のエピソードで、それらしき機体(の一部)が写ったことは有名。

 

 かつて、秋月信彦と共に通ったツーリングコースを巡り、想い出に浸る南光太郎は、改造人間の超聴力で、山奥から響くバイクの音を察知した。
 光太郎は音源を求めて山に入るが、そこでは、モトクロスの練習に励む親子の姿があった。
 バイクを駆る幼い少年と、それを見守る父親に、光太郎は声をかけるが、何故か二人は逃げるように姿を消してしまう。
 二人を追いかけた光太郎は、山小屋を発見し、室内の写真から、父親がかつて名を馳せた世界的なトップレーサー・大門明であることに気付く。
 そして、そんな光太郎の様子を窺う、ゴルゴムのコウモリ怪人。
 コウモリ怪人は、光太郎ではなく、大門親子を追っていたのだ。
 大門親子の居所を察知したゴルゴム三神官は、明が息子・輝一にバイクテクニックを仕込んでいるという情報から、「ロードセクター」というバイクの存在とその完成を推測する。
 南光太郎がロードセクターを手に入れるために、意図的に大門親子に近づいたと疑った三神官は、それを阻止するためにカミキリ怪人を派遣する。
 光太郎は姿をくらませた大門親子を追い、一方の大門明は、光太郎をゴルゴムの手先と思い込み、応答しようとはしなかった。
 そんな彼らに襲い掛かる、カミキリ怪人とコウモリ怪人。
 そこに光太郎が飛び込みBLACKに変身、大門親子を救った。
 光太郎に、ゴルゴムに狙われる理由を問われた明は、父である機械工学の権威・大門洋一のことを語る。
 洋一はゴルゴムの科学陣の一人で、文明破壊用マシンとしてロードセクターの開発を任されていた。
 しかし、その搭乗員として明を指名された事に焦りを感じた洋一は、密かにロードセクターを完成させ、その存在を隠蔽する。
 だがそんな洋一は、襲来したコウモリ怪人によって殺され、明の妻も巻き添えになる。
 ゴルゴムへの復讐を決意した明だったが、洋一から託されたロードセクターは彼の腕前でも乗りこなせず、そのため、まだ十歳の輝一を特訓していたのだ。
 子供を復讐の道具にしようとする明に反発した光太郎は、自身の身の上を明かし、復讐は自分に任せてくれと告げる。
 その思いに感銘を受けた明は、光太郎をロードセクターの下に案内することを決意。
 コウモリ怪人の追跡をかわし、廃工場の隠し部屋に案内された光太郎は、ついにロードセクターを目の当たりにする。
 試乗を行う光太郎は、瞬時に時速500km近くまで達する加速力に感嘆。
 その頃、杏子と克美に保護されていた輝一は、一人でいるところをコウモリ怪人に捕らわれてしまった。
 また、明自身もカミキリ怪人に捕らわれてしまっていた。
 走るロードセクター上で、BLACKに変身する光太郎。
 カミキリ怪人と対峙するBLACKは、ライダーキックを弱点の頭部に命中させ、撃退。
 しかし、輝一を人質に取ったコウモリ怪人と三神官の一人・ダロムが現れ、BLACKと明にロードセクターを渡すことを強要。
 輝一は、大事なロードセクターを守ってくれとBLACKに懇願。
 それに応え、BLACKは再びロードセクターに搭乗、スパークリングアタックで次々にコンテナを破壊しながらダロムに突進し、そのまま輝一の奪還に成功する。
 明と輝一は、ロードセクターをBLACKに譲渡することを決意。
 そしてBLACKは、ロードセクターに秘められた更なる性能を紐解くため、研究を行うことを誓った。

 

 さて、ロードセクターです。
 実は、個人的に最高に大好きなライダーバイクだったりするので、今回の商品化は本当に嬉しく思いました。
 本放送時以降、商品化の機会にあまり恵まれなかったこともあり、本商品に期待していたファンは、きっと多かったんじゃないかと思っています。

 

 ロードセクターはスパークリングアタックという、他のライダーバイクではやらないような特殊な乗り方が求められることもあり、果たしてどこまで再現可能なのかという関心も集めていました。
 実際のところ、その辺はどうだったのでしょう?
 リニューアルBLACKが、思ったほど可動範囲が広くなかったことから、そこが心配だった人もいるでしょうし。

 

 まずは、フロントビュー・リアビュー。

 

 サイドビュー。
 非常に良く整ったラインです。
 SUZUKIのロゴがない! ないじゃないか!!(棒)

 

 フロントカウルアップ。
 前面のスリット部分は、ちゃんと開口されています。
 ライトは、二重丸のような形状のクリアパーツの、内側円部分のみ裏側から銀色を塗装。
 これにより、ライトを縁取るような自然な影が出来、実車の雰囲気をとても良く再現しています。

 

 前輪部アップ。
 白と金の組合せがステキ。
 本当なら、フェンダー部の前部には黒のラインが入ってるんですが、何故かスミ入れがされていません。

 

 コンソール部分アップ。
 こちらも、劇中の雰囲気をかなり忠実に再現しています。
 しかし、タンク部分にかかるサブモニタは、省略されています。
 劇中の車両では、モニタが縦に三つ並んでいて、二つめと三つめのモニタの間には赤い大きな丸ボタン上の機器が付けられています。

 

 テールランプ部分。
 実はここ、実車より良い処理になっています。
 実車のテールは下向きのコの字型の部分がたった一枚のプレートになっていて、テールランプはそこに塗装しただけです。
 なので、まるでシールを貼ったようで、結構違和感を覚えるんですが、こちらはクリアパーツ化されているので、いい感じにリアリティを醸しています。
 また、下部のアフターバーナー部も“開口されていない”ところが忠実。
 なんか嬉しいです、こういう良いところ?取り。

 

 今回も、定番のリアサス搭載。
 これくらい沈みこみます。

 

 オプチカルアイ。
 こちらは取り外し可能になっていて、アタックシールド展開時には一旦取り外し、下部カウル部分を交換した後に戻します。

 

 リニューアル版BLACKを搭乗させると、こんな状態です。
 この角度だと、一見ちゃんと乗れているように見えるんですけど。

 

 横から見ると、こんな感じで、かなり前寄りになってしまいます。
 理由は後述しますが、今回はいつものように、BLACKの尻を後ろに配置してから、腕や拳の位置を調整するという手段が通用しません。
 これは、BLACK自体の可動範囲の狭さも大きく関係しているのですが。

 

 こんなライディングポジションなんで、片足を地に着けて本体を支える姿勢も、なんかやり辛くなっています。
 あと、やっぱりバイクでかい。

 

 そして、肝心のギミック・アタックシールド。
 このように、リアカウル上部を取り外し、シールドが伸びた状態のパーツに差換えます。
 先の通り、上に乗るオプチカルアイは1個しかないので、差換える必要があります。

 

 搭乗姿勢。
 BLACKの可動範囲の狭さが、大きく災いしています。
 実際は、もっと尻を後ろに置き、背を丸めるのではなく反らせ、シールドの真下辺りに頭部全体が来るような姿勢となります。
 もっとも、それは可動フィギュアにはかなり厳しいポーズなんで、完全再現は難しいことはわかります。
 しかし……

 

 このように、硬質プラ製のツノが物凄くタイトな位置に来ることになるので、危険極まりなくなります。
 実際、この撮影用のBLACKも、この撮影の後見事にツノが折れ曲がりました。

 

 別角度で、BLACKのツノの際どい位置を確認。
 ちなみにこれ、BLACKの首がもう少し上げられる構造だったら、頭部がこの位置のままでも、ツノの接触回避率が格段に向上していました。
 逆にいうと、この限られたスペースの中でいかにツノの安全を確保するのかが、ポージング時のキモと言えます。

 

 搭乗時のスタイルのまま、BLACK本体を取り外した状態。
 若干角度が異なっていますが、だいたいこういう姿勢が求められます。
 首と腰の可動範囲、脚が前に曲がらないことが、大きく影響を及ぼしているのが分かります。
 尚、搭乗させる時は、予めハンドルを握らせておいて、後からはめ込むようにした方が良いようです。

 

 脚部及び股関節の構造もあって、スパークリングアタック時は、もはや両足首をステップに乗せることは無理と割り切った方が賢明です。
 それでも無理やりステップに乗せようとした場合、膝の位置はこんな感じになってしまいます。
 激突したらえらいダメージ食らいますがな。

 

 改めて、スパークリングアタック時の全貌を。
 このように、アタックシールドを閉じた状態でリニューアルBLACKを乗せることは、ツノの破損覚悟を強要される、非常にリスクの高い行為です。
 BLACKの可動範囲の狭さだけが問題なのではなく、ロードセクターの対比が微妙に大きすぎることもあって、身体に合わない状態で乗せてるため、こうなるわけです。
 まあ、全く再現不可能というわけでもないので、何もかも問題視するのは、個人的にはどうかと思いますが、やっぱりちょっと残念ですね。

 

 こうなるとどうしても気になるのが、「なら旧BLACKならどうなんだろう?」という点。
 というわけで、旧フィギュアーツ版の仮面ライダーBLACKを搭乗させてみました。
 まずは、普通のライディングポジション。
 リニューアル版みたいに、鼻をカウル上部にぶつけてしまいそうな、際どい状態にはなりません。

 

 サイドビュー。
 それでも、やっぱり前寄りにはなってしまいます。
 しかし、なんだかかなり違和感が薄いような気も。
 腕が長いのが幸いしたのかも。

 

 アタックシールド状態。
 こちらも、尻の置き位置こそ前寄りですが、それ以外はかなり良い姿勢のようです。
 しかも、頭部の配置もいいし、両脚もステップにかなり近い位置まで持っていけます。
 その上、旧BLACKはツノが軟質なので、破損を心配することなく搭乗させられるのが強みです。
 
 なんか、こうして見ると、ロードセクターには旧BLACKをあてた方がストレスなく楽しめそうですね……まさかの再評価?!
 尚、旧BLACKにはグリップを握れる手首が付属しないため、旧「仮面ライダーBLACK RX」か「マシントルネイダー」に付属する手首を流用するしかありません。

 

 ちなみに、他のフィギュアーツで搭乗がほぼ完璧に行えるものがありました。
 「仮面ライダーアマゾン」は前屈が得意で脚の可動範囲も広いので、どうかなと思って試したところ、非常に理想的なライディングポジションが取れました。
 唯一、後頭部の突起がシールドに引っかかっているため、これも完全とは言い難いのですが、ほぼ問題なしと言い切って良いでしょう。
 見方を変えれば、ロードセクター完全搭乗を果たすためには、リニューアルBLACKにもこれと同じくらいの可動範囲が要求されるわけで、それもそれで無茶かなあと感じたり。

 

 リニューアルBLACKとの対比。
 実物の対比だと、ロードセクターの風防頂部がBLACKの胸のラインより若干下に来るくらいなので、やはり全体的に大きくされていることがわかります。
 普通のバイクとして見た場合、大型車くらいのボリュームを感じますが、実車は400ccでした。

 

 リニューアル版バトルホッパーとの対比。
 同スケール仕様でのBLACK用二台マシンが並ぶ光景……ここまで、とても長かった!

 

 二台マシンを、サイドビューで比較。
 両車は、これ以上接近出来ないというくらい近づけています。
 元々小型でスケールが合わないバトルホッパーではあるんですが、それにしても、こうして比べると大きさの違いに驚きます。
 ちなみに、バトルホッパーの全長は約15.9センチなので、ロードセクターとは前輪位置が3.1センチも違います。

 

 こちらは、BLACK搭乗位置を合わせた状態での比較。
 もちろん、実際の撮影時のではなく、フィギュアーツが乗る位置です。
 ハンドル位置の違いに注目。
 この中間くらいの位置に、ロードセクターのハンドルが来るくらいが丁度良かったのかなと。

 

 以上、ロードセクターでした。

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【買ってみて一言】

 この時代に満を持して登場しただけあり、完成度の高さ、雰囲気の再現度は相当なものです。
 細かな差異こそあれど、大きく印象を覆すものではなく、中にはむしろ良アレンジとも解釈できるポイントが多く、ファンならかなりの満足度を得られるのではないでしょうか。
 そういう意味では、現状最高のロードセクターである、と言い切ることも可能じゃないかなと。
 そんな風に、個人的には思っています。

 しかし、肝心のスパークリングアタックの再現と、そこから露呈する数多くの問題点は、さすがに無視出来ません。
 その詳細は、ここまで細かく述べてきた通りで、非常に評価が難しいものではないかと思います。
 何せ、これはロードセクター自体の問題というよりは、それに乗せる物の方の難点なんですから。
 あえて言うなら、もしリニューアルBLACK開発当時、いずれロードセクターを商品化する腹積もりがあったのなら、それを見越した関節構造と可動範囲の確保を行っておいて欲しかったなぁという感じです。

 

 本商品を実際に弄ってみると何となく感じられる事ですが、恐らく、リニューアルBLACKの関節可動範囲から逆算し、劇中同様の対比ではまともに対応できないと考えられた結果、この大きさにされたのではないかなと推測出来る気がします。
 実際のところはどうかわかりませんけど、とにかく、そんな感じでバトルホッパーとはまた違う問題を抱えているバイクであるという理解があるかどうかで、本商品の評価は大きく変わってくるのではないかと、筆者は思います。

 まあ、個人的には100点満点中200点くらいの評価ですけれども。

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