第99回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーX」
2013年6月16日 更新
- | 仮面ライダーX |
- クルーザー |
2013年5月。
ついに、あの栄光の昭和ライダーが出揃いました!
2011年7月31日「仮面ライダー新1号」から始まって約二年、ようやくここまで辿り着いたといった感じです。
トリを務めるのは、仮面ライダー5号・Xライダー!
装着変身当時も発売を見送られてしまった、ある意味商品化悲願のアイテムだったわけですが、これが最後に来てコンプリートというのも、非常に味わい深いものがあります(その一個前が「ライダーマン」というのもまた……)。
とにかく、これで7人ライダー及び9人ライダー勢ぞろいが、フィギュアーツで出来るようになったわけです。
コレは嬉しい!
というわけで、今回は個人的に思い入れが滅茶苦茶深い、仮面ライダーXのレビューを行って参ります。
――あ、ZXのこと、素で忘れてた……
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーX
2013年5月25日発売。
同時販売物は、「マシンウィンガー(仮面ライダーウィザード)」。
2013年5月のラインナップは、以下の通り。
- 5/25(配送開始日)「仮面ライダーウィザード エフェクトセット01」「仮面ライダーベルデ(仮面ライダー龍騎)」「仮面ライダーネガ電王」「デカイエロー(特捜戦隊デカレンジャー)」「デカピンク(同)」「宇宙刑事ギャバンtype-G」「大原大次郎(こち亀)」(すべて魂ウェブ限定)
- 5/31「金色の闇(ToLOVEるダークネス」「アイアンマンMark-6(IRONMAN2)」「ウォーマシン(同)」
全高は約14.2センチ(ツノ含まず)。
合計8種16個の手首付き。
マフラー2種付属。
ライドルグリップ(スイッチ付)付属。
ライドルホイップ付属。
ライドルスティック付属。
ライドロープ付属。
ライドルロングポール付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込3,360円。
仮面ライダーX。
昭和49年(1974年)2月16日から10月12日まで、毎日放送・NET(現・テレビ朝日)系列にて全35話放送された、シリーズ3作目「仮面ライダーX」の主人公。
“秘密裏に二大国家が手を握り組織した”悪の秘密結社GOD(Government Of Darkness)は、城北大学の教授にして海洋科学・人間工学の世界的権威である神啓太郎博士に協力を要請していたが断られ、彼を、息子の神敬介ごと殺害しようとした。
敬介は凶弾に命を落としたが、啓太郎は瀕死の重傷を負いながらも息子に改造手術を施し、深海開発用改造人間「カイゾーグ」として蘇らせることに成功する。
父の命と引き換えに、新しい命と姿を得た敬介は、カイゾーグの力をGOD殲滅のために使うことを誓い、仮面ライダーXを名乗って闘いに身を投じる決意を固めた。
だが、恋人であり婚約者の水城涼子が、突然裏切りGOD側に付き、更に彼女と瓜二つの霧子という協力者が現れるなど、予想外の事態が連発したことで、敬介は様々な疑惑と葛藤を背負いつつ闘ってくことになる。
やがて立花藤兵衛や彼の店「COL」に集う仲間達と出会い、また涼子と霧子を巡る真実を知ったことで、敬介は更なる成長を遂げる。
また、過去に仮面ライダーと名乗り闘って来た先輩達との関わりが、敬介及びXライダーを更に強力な戦士へと進化させていくことになる。
Xライダーは、シリーズ初の「悪の組織の科学技術が全く関与せず誕生した改造人間※」で、またデフォルトで専用の手持ち武器を装備する初のライダーでもある。
また、「メカニック要素を前面に出したライダー」の始祖でもあり、いわば「仮面ライダーファイズ」や「仮面ライダーカブト」等の元祖的存在とも云える(そのため、デザインモチーフは存在しない)。
動力源は太陽エネルギーと風力・水力で、深海開発用改造人間のため、水深1万メートルの環境下でも活動が可能という極端に強靭な身体を持つ。
また、高い自己修復能力も持ち合わせており、短時間で傷を治すことが出来る。
変身ベルト「ライドル」を用いて変身「セタップ(Set
Up)」を行うが、これに加え、ベルト側面に装着された「レッドアイザー(顔)」「パーフェクター(口)」を併用しなければ、変身が完了しないという特異性がある。
レッドアイザーが変化した左右分割式のマスクを装着後、口部分にパーフェクターをはめ込むことで変身完了となるため、変身バンクがかなり長めであった。
28話以降、体内に新規で組み込まれた「マーキュリー回路(及び風見志郎に輸血された血液)」の影響で変身プロセスが変化し、レッドアイザーとパーフェクターの装着過程が省略された「大変身」になる。
※これはV3またはライダーマンが初と思われがちだが、風見志郎を改造した1号2号はショッカーが自身に施した改造技術を応用(ライダーベルトや変身システム等)しており、結城丈二の場合はデストロンから脱走した科学者仲間の協力を経て誕生した経緯があるため、この例の場合は除外される。
また、結城丈二は改造人間ではない。
専用武器ライドル(ベルトの名称と同じ)は、バックル右側面に装着された赤いグリップを引き抜くことで使用可能となり、基本形態は剣型の「ライドルホイップ」。
その後、グリップ部分にあるL・R・S・Hのスイッチを押すことで更に形状変化し、棒型「ライドルスティック」ロープ型「ライドロープ」長い棒型「ライドルロングポール」へと可変する。
必殺技は、ライドルロングポールを併用して放つ「Xキック(前期)」と、マーキュリー回路装填後に使用可能となった体術技「真空地獄車」。
専用バイク「クルーザー」を駆り、陸海空と自在に走り回る。
また、クルーザーはXライダーの意思に反応して単独走行も可能で、無人で走り寄って来る場面も劇中に何度も登場している。
「仮面ライダーX」は、2013年現在ライダーシリーズ中唯一の打ち切り作品※としても有名である。
本作は、非常にアダルトな雰囲気でスタートしており、大人の視聴層を意識した(という説あり)ものの、1クールに満たない時点で路線変更が行われた。
その後も何度か新案・新展開が考案、導入された結果、非常にまとまりに欠ける内容となってしまい、その影響もあってか、或いはシリーズ3作目・放送4年目ということで飽きられたのか、視聴率的に伸び悩んだ。
他にも様々な問題があったと云われているが、本作はこれにより短期間で幾度もの路線変更やテコ入れを行い、更には仮面ライダー2号やV3など、過去のライダーをゲスト出演させて人気の回復を図ろうとするも、最終的には3クールで終了となった。
尚、劇場版「五人ライダー対キングダーク」は、複数の番組から歴代ライダー全員登場&現役ライダーが絡むシチュエーションを初めて採用したオリジナル作品で、これにより「5人ライダー」というカテゴリが誕生、後の「7人ライダー」「9人ライダー」等に繋がっていくことになる。
また、この時の「ヒーローが5人勢揃い」が、後の「秘密戦隊ゴレンジャー」のヒントとなったことも有名。
※現在でもよく誤解されるが、全24話で終了した次作「仮面ライダーアマゾン」は打ち切りではない。
放送局移転(所謂「腸捻転解消」)による諸問題に対応するために、予め短い放送期間での製作が決定しており、放送前から全24話というアナウンスが行われていた。
1975年4月1日付で、毎日放送はそれまでのNET系列からTBS系列に変更(厳密には統合)となったが、放送局移転前後では視聴率が大幅に低下するなど諸問題が多いこともあり、仮面ライダーシリーズは同年3月29日で「仮面ライダーアマゾン」を終了させた。
そして、放送局移転後の同年4月2日からは新作「仮面ライダーストロンガー」を放映開始し、問題に対応した。
逆に、同時期にTBSからNET系列に移動した必殺シリーズ第5弾「必殺必中仕事屋稼業」は移転の間も番組を継続したため、移転後は移転前に比べて20%近くも視聴率が低下し(番組が終了したと誤解されたのが原因)、一時はシリーズ中断の可能性もあった。
さて、ようやく仮面ライダーXのレビュー本文です。
まずは、定番の前後比較。
スーツの色は、後期タイプの青寄りのグレーになっています。
頭部アップ。
マスク形状は、前期ないしは後期(覗き穴の底辺と鼻筋の底辺がだいたい揃っている)を意識した造形のようです。
正面から見ると、複眼がちょっといびつにも感じられますが、実際は殆ど違和感はありません。
銀の仮面を斜めから。
少し角度がついた状態で複眼を見ると、なかなか良い雰囲気を出しているのがわかります。
顎下まで伸びているパーフェクターと、黒い顎部分のバランスもベスト。
赤い胸「ガードラング」。
本来の胸の位置よりちょっと上に配置されてるところが、実にらしいです。
本編同様非常にボリュームがある造形で、このままだと可動に大きな支障がありそうに思えますが……
こんな感じで分割されていまして、上下にかなり伸ばせるようになっています。
画像は、限界まで胸を反らせてみた状態。
上と下は別パーツですが、下が上に被さり裏側にあるピンで貫通している構造なため、上下がずれたり分かれたりすることはありません。
今度は、最大まで屈んだ状態。
ガードラングの下側がベルトの裏側に潜り込むようになっているため、目測30度弱くらいは屈めます。
でも、それ以上はパーツ干渉のため、さすがに無理です。
具体的には、これくらいの動きが可能です。
立ち膝的なポージングですが、可動範囲的には可能ですけど、上着の裾が長いためちょっぴり干渉してしまいます。
それでも、ストロンガーよりはましというものです。
変身ベルト・ライドル。
フードに包まれた風車が、いい質感を出しています。
グリップを手で掴むことも可能です。
グリップは、当然引き抜き可能。
残念ながら、連動して風車が回ることはありません。
そこまで求めてないけど!
黒マフラー。
特徴的なマフラーですが、接続位置が後方にあるため、こんなにひん曲がった形状になっています。
これは、通常形態(垂れ下がっている状態)。
こちらは、なびいている状態。
イマイチなびきっぷりが足りない感じもしますが、ゼータクというものでしょうか。
別角度。
ちゃんと黒地に黄色いライン、赤い「X」マークが施されています。
「X」が布の形状に沿って変型しているところが、妙にリアルです。
今回は、上腕ロールが組み込まれています。
これで、ポージングも安心。
ちなみに、前腕側面の赤ラインがデフォで剥げている場合が結構あるようなので、ご注意を。
交換には普通に応じてもらえます。
後天的に剥げることもあるそうです。
他部分の塗装皮膜はしっかりしてるんですけどねぇ。
今回の「ここまでやるか」アイテム。
切り替えスイッチ付きのグリップ。
後述するライドルホイップまたは、ライドルスティックの末端部分を取り外し、差し替えて使用します。
つうか、よくまぁこんな物まで……これは個人的に予想外のサプライズでした。
続いて、各種武器。
まずは、「ライドルスティック」。
最も露出・使用頻度が高かった武器で、設定では電流やら流せる打撃棍。
仮面ライダーが棒術で闘うというスタイルは、当時としては非常に画期的でした。
ライドルスティックは、長さ約11.2センチ。
これを持たせるための手首が一組付属します(ライドルホイップ用とは別物)。
ライドルスティックは、ABS製。
そのため、勝手にひん曲がることはありません。
手首の保持力がいささか弱く、垂直に持たせると手の中を滑り落ちることが多々ありますので、ポージングにはちょっとコツが必要になります。
尚、PVC製の手首と長時間接触させ続けると、癒着する可能性があるかと思います。
ライドルホイップ。
片手用の剣(というかフルーレ)で、これ専用の持ち手が付属します。
長さは、約6.8センチ。
こちらも、ライドルスティック同様ABS製なため、歪むことはありません。
長さも適度で、名乗りポーズ(画面をX字型に切るタイプ)の際には欠かせません。
尚、手首の構造が「仮面ライダースーパー1」に近いものとなっているので、開き手を前にかざすことが可能となっています。
ライドロープ。
まさかの同梱で、仮面ライダーアマゾンのコンドラーみたいに、ある程度自由に曲げられるものになっています。
長さは約42センチと、かなりの長さです。
材質は不明ですが、ライドロープはそこそこ形状変化に対応可能。
ただし、ベンダブルではないため、形状固定はできません。
ロープというよりホースだな、とか言うな。
材質の関係上、張力がかなりあるため、小さな物に巻きつけておくのは難しいです。
何かに先端を引っ掛けておければいいんですが。
ちなみに、細かく巻くと癖がついてしまいますが、しごき直しておけば割とすぐ戻ります。
ライドルロングポール。
パッケージを斜めにまたぐほどの長さを誇り、長さはなんと約22センチ!
ロングポールは、ライドルスティックと違ってグリップは外れません。
武器持ち手の指をくぐらせるようにして持たせる必要があります。
材質はABSで、とにかく本当に長い!
ただし、形状が形状なのでポージングにはかなり頭を使わされるような気が。
直接戦闘には、あまり使われなかったからねぇ。
ロングポールの代表的な使い方と言ったら、やっぱりこれでしょうか。
前期の必殺技「Xキック」!
まさか、これが卓上で再現できる日が来るなんて。
すごい世の中になったもんです。
S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーV3」と共に。
V3こと風見志郎は、Xこと神敬介とかなり深い関わりを持った存在でした。
マーキュリー回路の移植手術を手がけただけでなく、自身の血を輸血し、Xライダーパワーアップのきっかけを生んだわけですから。
その後の作品での客演展開では殆ど絡んでないので、忘れられがちな名コンビです。
しかし一方では、Xライダー独自の個性を潰す理由を作った忌まわしい存在、という厳しい見方も。
まぁ、それはそれ。
とにかく、このコンビの再現が可能になったことは、素直に嬉しいものです。
マーキュリー回路といえば、忘れちゃならないもう一つの必殺技。
ちょうどいいエフェクトを持ってないので、せっかくだからV3付属の「火柱キックエフェクト」を、かなり無理やり使ってみました。
もうやっつけ。
「真空! 地獄車ぁ!!」
いったい何食ったんだXライダー?! と誰もが思った、あの伝説の妙技!
まさかここに来て「柔道一直線」に回帰とはねぇ。
特に意味もなく、「仮面ライダータイガ」に犠牲になって頂きます。
だって、別のライダー絡ませると角が折れたりしそうで怖いんだもん。
さんざんゴロゴロ転がしておいて、最後は蹴り上げ→空中でキック。
ガンバライドのは迫力がありすぎて、凄まじいことになってましたね。
この際なんで、改めて栄光の7人ライダー勢揃いなんかを。
この時点で、まだレビューしてないのが三体ほどおりますが。
なんというか、勢揃いさせた時に感じる説得力が、段違いです。
もう一枚。
7人ライダーとなると、どうしてもストロンガーを中心に添えざるを得なくなるというジレンマ。
レビュー対象はXなんだけど、まあいいか。
9人ライダーも勢揃いさせてみましたが、普通に立たせるだけで四苦八苦。
正直、ちょっとした振動ですぐドミノ倒しになってしまい、精魂尽き果てたので適当に。
それでも、この造形レベルで9人が出揃ったというのは、もはや脅威です。
Xもライダーマンも、スカイもスーパー1も、本当に商品化の機会に恵まれなかったからなあ……
以上、仮面ライダーXでした。
【買ってみて一言】
昭和ライダーの(一応の)トリを務めるということで、期待値が高まっていた感のあるXライダーですが、おおよそ期待通りの出来だったかと思います。
以前にも書いた通り、昭和ライダーの立体化については古くからのマニアが相当な拘りを持っており、ちょっとでも違和感があれば敬遠されるといった雰囲気がありますが、今回のものは(そりゃ完璧ではありませんが)それなりにイメージに忠実な立体化で、最大公約数的な回答だったんじゃないかなと、個人的に思っています。
前作のライダーマンに引き続き、上腕ロール構造が採用されているため、ポージングもかなり楽になり、特徴的なライドルの構えも再現可能になっているのは、実に嬉しいポイントです。
また、ガードラングなども出来る限り可動の妨げにならないようにと工夫されていて、非常に高いプレイバリューを発揮するに至りました。
あえて難点を挙げるとすれば、スーツカラーが後期の青系統のため、いささか安っぽい色合いになってしまっている点や、肩関節の造りにちょっと癖があり、腕を大きく動かす際に肩のラインが断続的になるといった点があります。
また、これまでの昭和ライダーより、更に自立させ難いような印象も少しあります(個体差かもしれませんが)。
とはいえ、これらは非常に細かい問題で、ユーザーの思い入れで充分フォローできそうなものばかりです。
右前腕の赤いラインの色剥げ問題など、深刻なエラーもありはしますが、全体的に見ても欠点の少ない、非常に良く作られた決定版と云えるのではないでしょうか。
昭和ライダーのラインナップはこの後も続き、今のところ「仮面ライダー旧1号」「サイクロン号」、そして魂WEB限定で「スカイライダー(強化前)」「チャージアップストロンガー」「電波人間タックル」が決定しています。
また、8月にはXライダーの宿敵「アポロガイスト」も控えています。
全昭和ライダーフルコンプのためには、まだZXが残されていますが、それ以外にもまだまだ色々と予想外のものが登場しそうで、実に楽しみです。
特にサイクロンは、昭和ライダー用バイクの商品化第1号で、今後に繋ぐことが出来るか非常に期待したいところです。
とか書いてたら、クルーザーまで出ちゃいましたけどね!
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