第101回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダータイガ」
2013年8月3日 更新
仮面ライダー龍騎系フィギュアーツも、これを書いてる時点でもう残り少なくなって来ました。
相変わらずミラモンの展開がどうなるのか疑問ではありますが、何はともあれめでたいことです。
しかし今回は、あえて以前に発売された物を取り扱います。
そう、ただ単に今までレビューし損ねていたものを消化しようというだけなんですけど。
というわけで、今回は英雄志願の彼を取り扱います。
おいおい、もうすぐ丸一年経つじゃん。
■ S.H.フィギュアーツ仮面ライダータイガ
2012年8月25日発売。
同時販売物は、「仮面ライダーメテオストーム(仮面ライダーフォーゼ)」。
2012年8月のラインナップは、以下の通り。
- 6/23(配送開始日)「映司グリード(仮面ライダーオーズ)」「恐竜グリード」(すべて魂ウェブ限定)
全高は約14.2センチ。
合計6種12個の手首付き。
デストバイザー付属。
テストクロー2点付属。
アドベントカード4点付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込3,465円。
仮面ライダータイガ。
「仮面ライダー龍騎」35話から46話まで登場した、9番目の仮面ライダー。
清命院大学の学生・東條悟が変身し、トラ型の契約モンスター「デストワイルダー」の力を借りて戦う。
斧型のデストバイザーを使い、ストライクベント・デストクローを駆使して戦うが、その戦法は正面から堂々と戦うのではなく、むしろ闇討ち・不意討ちが主体。
この他、ミラーモンスターの動きを止められる「フリーズベント」も使う。
ファイナルベントは、デストワイルダーが引き摺って来た敵をデストクローで刺し、天高く持ち上げる「クリスタルブレイク」。
TV本編中では、王蛇のベノクラッシュと並んで最も多くの犠牲者を出した技でもある。
東條悟は、「401号研究室」という、ミラーモンスターの存在やライダーバトルの発端に深い関連を持つ研究室に通う一員で、清命院大学教授・香川英行(オルタナティブ・ゼロ)の下、ミラーワールドを閉じる研究に携わっている。
大変病的なキャラとして描かれており、独自解釈による「英雄願望」に取り付かれている。
香川の述べた「多くを助けるために1つを犠牲にできる勇気を持つ者が、真の英雄なんです」という言葉を、「自分にとって大切な物を失ってでも戦う」→「自分自身の手で殺してしまうのも含まれる」と曲解。
そのため、彼の友人や恩人はそのまま英雄になるために必要な「殺戮対象」となり、仲間の仲村や香川すらそれに含まれてしまった。
やがて、香川の目的であった「ミラーワールドを閉じる」という野望も見失い、「仮面ライダーは英雄でなければならない」という更なる独自解釈を振り回して戦い続けるが、他のライダーとの戦闘でそれすらもままならない事を思い知らされ迷走する。
その最期は、助けた子供の代わりにトラックに撥ねられてしまうというもの。
その事故を記した新聞記事上で、東條はやっと“英雄”という冠を得る事ができた。
さて、遅ればせながら仮面ライダータイガです。
今回と次回の「仮面ライダーベルデ」は、特に凝った仕様ではないため、あっさり済ませて行きます。
三クール目終盤からの登場と、割と出番が遅いライダーだった割に、フィギュアーツ・仮面ライダー龍騎シリーズとしては、思ってたよりも早く発売された印象があります。
先の通り、発売からもう一年が経過しようとしていますが、相方は一向に出る気配がありません。
これまでは、専用台座が付いてこない=相方のミラーモンスターに付属する、というパターンが来ましたが、はてさてタイガはどうなることでしょう?
(この部分、デストワイルダーの発売が決定したら、しれっと書き直す予定)
前後比較。
R&Mや装着変身に比べて、非常に劇中のスタイルに近いイメージになりました。
理由は肩の辺りにあるんですが、詳しくは後述。
頭部アップ。
タイガは、立体化の度に顔がどれだけ似てるか否かが注目される傾向がありますが、残念ながら今回もハズレ気味です。
あともうちょっとだけ、ゴーグル部のスリットが太ければ良かったんですが……
今回は、なんとなく目を細めてるような感じになってしまいました。
斜めから。
だたし、目の部分以外の出来はさすがというところです。
結構複雑な立体解釈はかなり忠実で、イメージを良く再現しています。
今回最も変わったポイントが、肩です。
劇中同様、左右の肩が肩甲骨辺りの装甲で繋がっています。
腕を上げようとすると、肩全体が傾いたり、持ち上がったりする構造。
これにより、タイガの体格が太ましく感じられます。
肩アーマーを外すと、このように貧弱な坊やに。
ジョイントは、延髄の辺りにあって上下に多少可動する仕組みになっています。
両腕を上げると、こんな感じになります。
R&M版と装着変身版は、両肩がそれぞれ分断されていて独自で回転可能でした。
その構造は、劇中の雰囲気をあまり再現出来ていない反面、優秀な可動を誇るという一面がありました。
今回のこの構造は、さすがに腕の可動範囲を狭めています。
劇中再現度を評価するか、可動範囲の低下を嘆くかは、ユーザー次第といったところでしょうか。
今回のビックリ機構。
なんと、肩の爪が可動します。
表情付けの足しになるのかどうか正直疑問ではあるんですが、なんか嬉しいギミックです。
腕を横に開いた時に爪も開くと、なんかいい連携っぽいですね。
もはやすっかりお馴染み? になった、カードデッキ取り外し機構。
ちょっと顔が中央に寄り気味ですが、良く再現されているタイガの紋章。
足の裏も、いつもの通りつま先の裏がタイガの紋章になっています。
やっぱり今回も、つま先のみプラ製。
デストバイザー。
いつも大きめに造形される武器ですが、今回もでっかいです。
カードのサイズから逆算すると、どうしてもこうなっちゃうんですかね?
まぁ、迫力があるので個人的にはOKなんですけど。
デストバイザー単独で。
全長約8.4センチ、刃渡り約6.1センチ。
なかなか細かい塗装が各所に施されていて、出来は凄く良いです。
反対側。
上部の虎の顔も、しっかり塗装が施されています。
下顎部にある細い線の塗装も、凄く細かくてちょっとした脅威。
ちょっとわかりづらいですが、グリップの上部分を引き下げることで、カードスロットが露出します。
そこにも、ちゃんとタイガの紋章が!
仕事が細かいなぁ、ホント。
カードスロット部には、当然付属のカードを挿入可能です。
カードを持つ手首も、当たり前のように付属。
この手首が、後に意外なところで再活用の場を与えられ……
カードのベントインは、特に問題なく行えますし、取り出しも支障ありません。
ただ、たまに入れたつもりでカードが落下してたりもします。
あらためて、全体の対比。
次は、ストライクベント。
タイガの主力武器・デストクロー。
今回、これがかなりの進化を遂げています。
デストクローは、劇中同様の装着法になったようで、ジベットスレッドに固定するR&M版とも、手首に内蔵グリップを握らせる装着変身版とも違っています。
また、爪の造形とギミックが進化し、五指それぞれ個別に可動させられます。
これにより、微妙な表情付けが可能になりました。
ただし、この装備が本商品最大の難点を生み出したのも、また事実。
ぶっちゃけ、今回のデストクローの装着は滅茶苦茶困難です。
というのも、今回は手首を取り外して、デストクロー内にある凹ジョイントにボールジョイントを差し込むのですが、ボールジョイントがしょっちゅう逃げてしまい、なかなか上手くはまらないのです。
これは、凄まじいストレスです。
なまじ爪が細く薄めなので、下手に力をかけると折れそうで怖いし……
しかも、一見スムーズにはまったように思えて、実際は浅くしかはまってないなんてことも起こりがち。
その状態で妥協すると、ちょっと動かしただけで脱落するので本当に困りものです。
せめて、もうちょっとデストクローのジョイントの口径を広げるなりして欲しかったものです。
これ、冬場じゃなくて夏場の話なんで、温めれば云々という話はまた別になります。
そんな装着方法に問題の多いデストクローですが、優秀な面も非常に多く。
爪以外にも、肘側面の装甲まで可動します。
これは、肘を曲げた際にジベットスレッドの干渉を和らげる効果を発揮します。
さて、肝心のクリスタルブレイクの再現なんですが……
どんなものでも自力で持ち上げられた装着変身版と異なり、今回は爪の可動が災いして完全自立再現は不可能でした。
どうしても支えが必要になってしまいますね。
まぁ、何も絶対自立で再現出来なきゃならんっつー訳じゃありませんから、商品の問題とかそういうものではありませんけどね。
さっき「カード持ち手が意外なところで再活用」と書いた理由ですが。
この後発売された「仮面ライダーベルデ」は、なんとカード持ち手が付いていません。
幸い、手首の形状や配色が同じなため、タイガの手首を利用すれば、ベルデのベントインが再現出来るようになるわけです。
その辺の詳しい事情は、ベルデのレビューページにて。
付属するアドベントカード一式。
左から、アドベント(デストワイルダー召還)・ストライクベント(デストクロー)・フリーズベント・ファイナルベント。
右端は、各カードの裏面です。
タイガの仕様はだいたいこんなものです。
以降、適当なポージングなど。
タイガの変身ポーズは、妙に難易度高かったですね。
話によると、タイガは当初は龍騎のライバルポジションになるライダーだったとか。
もしそうなら、どんな活躍をしていたんでしょうか。
龍虎対決は面白そうだけど、東條観ているととても想像出来ない気が。
以上、仮面ライダータイガでした。
【買ってみて一言】
顔の造り、デストクローの装着のし辛さなど、気になる問題点こそありますが、全体的に非常にクオリティが高く、とても良い出来の商品だと思います。
劇中のスーツに準拠した肩構造と、そこから感じられる着膨れ感、ポージングの幅が広がったことにより再現可能になった独特の雰囲気など、かなりの味わいです。
ただ、この商品構成でライダー単独の価格が3,465円……高くなったもんです。
龍騎やナイト、オーディンのようなミラモン付属商品とそのまま比べるのはどうかとは思いますが、あれだけオプションが充実していた「仮面ライダーゾルダ」が3,675円ですから、どうしても割高に感じられてしまいます。
個人的には、この内容ならライアと同じ3,150円で充分だったんじゃないかという気もします。
デストクローとデストバイザーの大きさが、想像以上にコストに影響したのかな?
まぁでも、フィギュアーツは全体的に定価が高まっていますから、今更そんなことを問題視しても……という気もしなくはないですね。
何はともあれ、いまとなっては入手が難しくなりはしましたが、龍騎ライダーを集めてる人には是非とも手にとって頂きたいですね。