第127回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーV3」

2015年3月6日 更新

 

 「ハリケーン」発売&レビューに併せて、今までレビューしてなかった「仮面ライダーV3」も扱ってみたいと思います。
 何で今まで扱わなかったのかっていうと、ただ単に出すタイミングを計りあぐねただけなんですけど。
 「ライダーマン」「仮面ライダーストロンガー」も、同じ理由だったりします。

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■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーV3

 

 2012年5月12日発売。
 2012年5月の配送ラインナップは、以下の通り。

 全高は約14.3センチ(ツノ除く)。
 全8種13個の手首付き。
 V3ホッパー付属。
 V3ホッパーホルダー付属。
 マフラー二組付属。
 キックエフェクト付属。
 専用台座はなし。
 初版時価格は3,150円(税5%時)。

 

 「仮面ライダーV3」。
 昭和48年2月17日から昭和49年2月9日まで、毎日放送NET系で全52話放送。
 「仮面ライダー」シリーズ2作目で、前作の完全な続編となっている。

 城南大学の学生・風見志郎は、ある日デストロンの暗躍活動を偶然見てしまったために、怪人ハサミジャガーによって家族の命を奪われてしまう。
 その復讐に燃える志郎は、自分の先輩である本郷猛(仮面ライダー1号)と一文字隼人(仮面ライダー2号)の正体を知ったことから、彼らに「自分を改造人間にしてくれ」と迫る。
 しかし、後輩を自分達と同じ境遇に立たせたくない気持ちから、二人は志郎の願いを拒む。
 その頃1号と2号は、ゲルショッカーに代わる新たな悪の秘密結社「デストロン」の活動を阻止するために活動していたが、もう一人の怪人カメバズーカの罠に陥りピンチとなる。
 そんな彼らを志郎が救うものの、その代償に瀕死の重傷を負ってしまう。
 1号と2号は、志郎の命を救うため、三人目の仮面ライダー「V3」への改造手術を行った。
 新たな肉体を得て蘇った志郎は、赤い仮面のV3となってハサミジャガーを撃退するが、まだその戦闘能力を把握し切れずにいた。
 一方、1号と2号はカメバズーカとの戦闘で、敵の体内に水爆級の爆弾を内蔵していることを知る。
 爆発の被害を食い止めるため、二人はカメバズーカごと海の彼方へと飛翔し、そこで自爆した。
 このため、V3はたった一人で、自身の未知の能力を模索しながらデストロンと闘わなくてはならなくなってしまった。

 

 3号ライダー・仮面ライダーV3は、仮面ライダー1号と2号の「力と技」を受け継いだ存在として描かれ、その象徴として、変身ベルト「ダブルタイフーン」には二つの風車が付いている。
 改造された肉体を特訓により強化し、怪人を撃退していった1号2号と異なり、V3には予め幾つかの特殊能力が組み込まれており、それは「V3・26の秘密」として第1クールのメインテーマとして描かれた。
 しかし、「26の秘密」を解き明かしていく内容のために、V3が一旦ピンチになってしまうという展開が連発したため、V3は弱いのでは……と思われる懸念が発生(実際にそういう反応があったという説も)したため、これは途中で途切れてしまう。
 また「V3ホッパー」という探査用の装備を持っているのも特徴で、武器としての使用は出来ないものの、空に飛ばすことで遠隔視(策敵)を行えるようになるという、画期的なアイテムだった。
 これ以外にも、「V3反転キック」「マッハキック」「V3きりもみ反転キック」「V3回転三段キック」「V3フル回転キック」など、必殺キック技が豊富という特徴もあり、それらの習得や初使用なども劇的に描かれた。
 V3本人の描写以外にも、クールまたは話数ごとに分けられた展開が特徴的で、次々に入れ替わる大幹部とそれに関連する特徴的な怪人達など、ビジュアル的な迫力も重視された。
 更に、43話から登場する「ライダーマン」など、平成ライダーにおける2号ポジションライダーの先駆けともいえるキャラクターが登場したのも画期的で、しかも元デストロン出身者&改造人間ではないという設定も斬新だった。
 このように、ただ単に前作のフォーマットをそのまま引き継いだだけでなく、新しい要素をいくつも組み込み(中には失敗もあったものの)、結果的に非常に高い支持を得ることに成功、その後の作品も含めてシリーズ最高の視聴率を叩き出すに至った。
 また、その後のシリーズにも高頻度で客演するなど、様々な影響を残した。

 

 さて、V3です。
 (当時)満を持してフィギュアーツに登場! というところなんですが、実はのっけから結構ケチがついた商品でもあります。
 造形自体は非常に良いのですが、ところどころに解釈ミスがあり、しかもそれが酷く目立つというので、発売当初はファンの間でも困惑が広がっていた印象が強いです。
 ただ、出来自体は及第点どころかかなり良いとこまで行ってるので、決して低評価というわけではありません。
 何と言うか、全体の出来が良いからこそ、細かな違いが気になってしまうとか、そういうことです。

 

 まずは、前後比較。
 V3の体格がしっかり表現されていて、実に良い感じです。
 体色については、様々なバリエーションがあって一概にどれが正解とも言い切れないのですが、とりあえず無難なカラーを選択しているかと思います。
 というか、個人的には何の不満もないです。

 

 頭部アップ。
 恐れていた「スカイ客演版(複眼が妙に小さい)」にならなくて、本当に良かった。
 相変わらず、クリア複眼故のフチ部分問題はありますが、それでも目が極端に小さく見えることはありません。
 また、試作では前面真っ白にされていたクラッシャーも、劇中同様下側がグレーに塗装されています。

 

 斜めから。
 しかしその一方で、首の色が変わってしまうというポカもやっています。
 V3の首は赤色が正解(正確には、マスクの下顎から繋がっている赤い布で首全体を包んでいる)なんですが、何故かグリーンにされています。
 更に、襟の解釈も間違っています。
 V3の襟は左右が繋がっているということはなく、喉元の赤い突起部分からきっちり分けられています。
 なのに、今回は赤い突起の上で繋がってしまっているので、ここだけラインが不自然になっています。
 顎を引くと、下顎が襟元のラインと接触してしまうので、本当にみっともないです。

 

 V3の襟は、元々首の後ろやマスク後部のバレを隠す目的もあったのですが、実際はもっとピンと立っていて、マスク側面に接触するくらいです。
 ところが、今回は妙に横にだれていて、首の横側やマスク後部のバレなどが丸見えになってしまっています。
 これはさすがに擁護が難しい難点かなと。
 その他、襟の下側が真っ白のままで、緑になっていない点も厳しいです。
 幸い、後方から見るとそんなに違和感ないのでまだ良いのですが、襟の存在理由とその周辺の解釈は、もうちょっと徹底して欲しかったと思います。

 

 肩は、ちょっと特殊な構造です。
 関節などは1号2号らと同じで、上腕ロールのないいつもの奴なんですけど、横にちょろっと伸びた軟質パーツがあります。
 これは、V3のマフラー留めパーツかと思われますが、面白い解釈だと思います。

 

 胸部。
 ラング上部(大胸筋に相当する部位)が、アマゾンやライダーマンのように可動します。
 ただ、腕の可動を広げる役には、正直あまり立っていません。
 ラング部分の赤い部位各所が不自然に途切れてしまっていますが、これは可動を確保するための解釈のようです。
 理屈はわかるんですが、特徴的な部位でもあるので、もう少しなんというか加減が欲しかった気持ち。

 

 これによる可動範囲の確保は、こんな感じです。
 上は、胸パーツ非可動状態で両腕を可能な限り寄せた状態で、右が胸パーツを動かして限界まで寄せた状態。
 決して大きな変化が生じているわけではないですが、地味に効果が出るくらいの効果はあります。

 

 股関節を曲げない状態で、出来る限り前屈させた状態。
 胸アーマー付き&ベルト付きでここまで曲げられるのなら、昨今のフィギュアーツとしては標準くらいかなと。

 

 命のベルト「ダブルタイフーン」。
 風車の奥行きが足りない気がしますが、造型自体はなかなか良く出来ています。
 ただ、中央のVの字モールドの色は、もっと深い緑にして欲しかったところです。

 

 V3ホッパー。
 デフォルトはホルダーと一体式です。
 これは取り外し可能で、ホッパーを取り外した後のホルダーに交換出来ます。

 

 V3ホッパーを握って掲げるための手首が付属します。
 右手首しかないので、左手で持つことは出来ません。

 

 空に羽ばたく二枚の翼・V3の特徴の一つでもある、二本マフラー。
 今回は、V3の肩甲骨辺りから生えてるボールジョイントに差し込んで固定する方式です。
 正直、ちょっと癒着が怖いです。

 

 なびき方の異なる組み合わせが、もう一組付属します。
 根元がちょっと太いですが、気にしちゃいけません。
 この状態で、横回転が可能&若干縦方向にも揺らせます。

 

 名乗り用の手首も当然付属。
 右手の二本指を閉じるのも、開くのも再現可能。
 ただし、左手首はVサイン手首のみ。
 上腕ロールがないため、左肩を限界まで内側に回し込まないと、このポーズが取れません。

 

 「V3! 回転ダブル、キ――ック!!」

 V3といえばキック技。
 数が多い上に映像資料揃ってないので、これだけで。

 

 今回付属のエフェクトは、「V3火柱キック」という本編未使用の技をイメージした物とのことですが、パッケージや説明書上では特に細かく触れていません。
 V3は、右脚に原子炉を搭載しているという設定で、火柱キックはこれを灼熱化させて蹴り込むという恐ろしい技です。
 「仮面ライダーSPIRITS」で登場しましたね。

 

 このエフェクトは、ちょっと嵌め方が特殊です。
 パーツは4分割構成で、画像のように分解出来ます。 

 

 V3の右足首を、大きいパーツで挟み込み、最後に一番小さいパーツでロックをかけます。

 

 構造上、足首の大きさと、足首周辺の形状さえ合えば、他のライダーにも装着可能です。
 理屈の上では、ライダー以外でも可能な筈です。

 仮面ライダー新1号&2号との比較。
 やはりこの三人の組み合わせは、実に絵になります。

 

 ライダーマンと共に。
 全く異なるデザインラインにも関わらず感じられる、この親和性がたまりません。
 刷り込み効果なのは、重々承知ではありますが……

 

 ライダーマン、スーパー1、ZXと共に。
 仮面ライダーMADビデオの上映会参加メンバーで。

 

 以上、仮面ライダーV3でした。

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【買ってみて一言】

 昭和ライダー好きのフィギュアーツファンには、避けて通れない一品です。
 残念ながら、詰めの甘さが所々に残り、非常に微妙な気分にさせられる感もあるんですが、それでも締めるところはきっちり締められているので、総合的には割と良い出来ではないかとは思います。
 特に顔の出来は本当に秀逸で、これぞまさにV3! と思えます。
 ボディカラーに関しては賛否あるのですが、個人的には充分許容範囲(というか問題に感じない)ですね。

 

 ご存知の通り、V3は客演時にちょこちょことマスクの造形が変更されていて、中にはこれちょっと酷くね? と思わされるタイプもありましたから、そういうのを参考にされなくて本当に良かったです。
 昭和ライダーアーツ特有の、ちょっと癖のある可動範囲が災いして、V3の特徴的なポージングが取らせにくいという難点もありはするのですが、その辺りはユーザーの工夫で補える範疇かなと、個人的に考えています。

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