第106回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーアビス」
2013年10月25日 更新
かつて「仮面ライダーディケイド」という、過去のライダーシリーズを振り返る趣旨の作品がありました。
その中には、各エピソードでピックアップされた過去の作品にちなんだ新要素が時折登場し、ファンを喜ばせてくれたものです。
その中の一つ「仮面ライダー龍騎編」では、なんと!
原典では登場しない14人目の龍騎系ライダー・アビスが登場しました。
当時はそう来たか! と思わされるほどのサプライズでしたが、それから約4年後。
まさか、それがフィギュアーツで、しかも一般販売で出ることになるとは。
いったい、誰が予想しえたでしょうか?
というわけで、今回は「仮面ライダーアビス」のレビューになります。
鎌田だ、鎌田!!
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーアビス
2013年9月28日発売。
同時販売物は、「キュアハッピー(スマイルプリキュア!)」「仮面ライダーウィザード インフィニティースタイル」。
2013年9月のラインナップは、以下の通り。
- 9/21 「ハリケンレッド(忍風戦隊ハリケンジャー)」
- 9/21(配送開始日)「仮面ライダーシザース(仮面ライダー龍騎)」「仮面ライダー555 GLOWING STAGE SET」「キバレンジャー(五星戦隊ダイレンジャー)」「スカイライダー(強化前)」(すべて魂ウェブ限定)
全高は約14センチ(頭頂部まで。ツノ除く)。
合計6種11個の手首付き。
アビスバイザー付属。
アビスセイバー2点付属。
アビスクロー付属。
アドベントカード4枚付属。
専用台座付属。
価格は税込3,990円。
仮面ライダーアビス。
「仮面ライダーディケイド」第6・7話に登場した、仮面ライダー龍騎の世界14番目のライダー。
ただし、オリジナルの「仮面ライダー龍騎」では存在していない。
アビスラッシャーとアビスハンマーの二体と同時契約しており、左腕に装着したアビスバイザーにアドベントカードをベントインすることで、ソードベント「アビスセイバー」やストライクベント「アビスクロー」を使用出来る。
ファイナルベントは、契約モンスター二体を合体させたアビソドンを操り、相手を攻撃させる「アビスダイブ」。
ディケイド本編「龍騎の世界」の仮面ライダー(ディケイドとクウガを除く)は、「ライダー裁判」と呼ばれる“闘って最後まで生き残ったものが裁判の判決を決められる”という司法ルールの下に存在しており、基本的に特定の誰かがずっと変身して定まった目的のために活躍しているという存在ではない。
仮面ライダーアビスもその一つで、本編内ではATASHIジャーナルの副編集長・鎌田という人物が変身し、同社編集長・桃井の変死事件の裁判で、(自身が犯人でありながら)夏海を犯人に仕立て上げるために闘った。
ミラーワールドにてディケイド&龍騎と対峙したが、ディケイドと、ファイナルフォームライドでドラグレッダーに変えられた龍騎の協力技「ディケイドドラグーン」を受けて敗北。
しかし、変身が解けた鎌田は殆どダメージを受けていなかった。
彼の本当の正体は、ハートのK:パラドキサ・アンデッドだった。
そしてディケイドこと門矢士は、次の「仮面ライダー剣の世界」でも、彼と対峙することになる。
というわけで、アビスです。
こういうのは、普通あってもせいぜいWEB限定なんじゃないか? と誰もが思った意外なラインナップ。
商品化発表当時は、一般販売というのは誤植なんじゃないかとすら疑われました。
こいつが一般販売なら、仮面ライダーガイやシザースも一般でいいんじゃないかとすら思わされるほど、知る人ぞ知る仮面ライダーですし。
といっても、一時期の奇妙な鎌田人気のせいで、一部の人には超有名かもしれませんが。
何はともあれ、こういうイレギュラーキャラまでしっかり発売してくれるのは、本当にありがたいものです。
まずは、前後比較。
龍騎系ライダーとしてみると、各部位が色々と肥大化している上にトゲトゲが追加されているという随分荒々しいデザインなんですが、基本部分はちゃんとフォーマット準拠なんですよね。
ちなみに、デザイナーはシザースを手がけた篠原保氏です。
斜め後ろから。
背面には、特徴的なバックパック状のパーツが組み込まれています。
特にギミックもない部分なので、他の龍騎系ライダーのようにジベットスレッドが外れる仕組みにはなっていません。
どうでもいいんですが、家族がこの背中を見て「眼鏡かけたひげのおっさんみたい」と言ったせいで、もうそうにしか見えなくなってしまいました。
頭部アップ。
癖のあるデコボコといい、牙が噛み合ったようなクラッシャーといい、再現度は相当なもの。
アップで見るとスリットの塗装が荒いように見えますが、実物はそんなに違和感はありません。
斜めから。
側頭部のスリットや後頭部の段差なども、しっかり再現されています。
今回、肩周辺の構造が少し特殊になっています。
二重肩アーマーの一枚目は、胴体アーマーに完全固定(一体式)。
二枚目のアーマーは、シャドームーンに近い構造で、上腕の動きに連動して可動する仕組みになっています。
肩アーマーが一部固定なので、腕の可動範囲が制限されそうですが、意外に広い範囲が確保されています。
真横には、ここまで上げられます。
二枚目の肩アーマーの位置調整が必須となりますが。
腕は、ここまでなら上げることが可能。
肩アーマーの干渉で、これ以上寄せるのはさすがに無理です。
Vバックルは、これまでの龍騎ライダーと同じ仕様。
当然、カードデッキは引き抜けます。
適当なおっさんフィギュアに構えさせることも、これで可能になります。
アビスは、全身の青いラインが非常に特徴的で、そのせいかパッと見が龍騎ライダーっぽく見えなかったりしますが、良く見ればボディのフォーマットは全く同じ。
牙状?のモールドを避けるように走る青と白のラインこそオリジナルですが、やっぱり龍騎ライダーとしてのお約束は守っています。
ちなみに、牙状のモールド部分に塗装されているというのは、これ以外にもシザースが該当します。
足の裏のモールドも、当然これまでのパターン準拠。
今回は、つま先はダイキャストのようです。
アビスバイザー。
一見すると、龍騎やライア、シザースと同じような手甲タイプに見えますが、かなり独自性が高い装備です。
しかし、ページによっては「コバンザメ型」と書かれていますが、どこにコバンザメの意匠があるのでしょう?
アビスバイザー単独で。
剣や杖型など長いタイプを別にすれば、全バイザー中でもかなりの大きさを誇ります。
全長約5.8センチ、最大幅約3.3センチ。
本体底部に、手首を差し込んで装備する形式です。
当然、その際は手首パーツを取り外す必要があります。
ただし、手首を外しただけでは上手く差し込めません。
そのため、手首ジョイントを差し込む部分が上下に若干可動する構造になっていて、装備時は手首ジョイントをはめてから戻す過程を踏みます。
その際、前腕のジベットスレッドもバイザーの下部に潜りこみます(ちゃんと収まるために凹になっている部分がある)。
そんなアビスバイザーを装備する都合上、左手首はなくてもいいんじゃない?
と思われる方もいるかもしれませんが、そこはそれ。
きちんと左手も揃っています。
カードつまみ手以外は、全て両手ありです。
アドベントカードは、バイザーの口部分を開いてベントインさせます。
しっかりキバまで生えてる!
ストライクベント「アビスクロー」。
アビスラッシャーの頭部を模した装備です。
こちらも、バイザー同様結構な大きさ。
サイズの大きさだけでなく、良い造形もポイントです。
アビスクロー側面。
全長は、約5.6センチ。
装着方法は、アビスバイザーと全く同じ理屈です。
非常に造形が細かくて、特にモールドの表現は秀逸過ぎです。
口部分は開閉可能。
細かい板状の歯が、見事に噛み合ってるのが判ります。
個人的に、とてもお気に入りのギミック。
ドラグクローとの比較、というか激突!
片や炎、片や高圧水流を噴き出す面白ギミック搭載でした。
ソードベント「アビスセイバー」。
これは、龍騎本編でもアビスラッシャーが装備していた武器で、サイコローグの剣みたいに、ライダーがそのまま継承するような使い方をします。
非常に個性的な形状で、鮫の背骨といった印象。
長さは先端部まで約8.9センチ。
アビスセイバーは、なんと二本付属します。
これは、元々使ってるアビスラッシャーが二刀流だからというのもあるんでしょうけど、デザイン画の中で二刀流の絵があったことにちなんでいると判断しても良さそうです。
当然ですが、アビスバイザーを常時左手に装備している都合、このような使用法は本来行えない筈です。
そのため、劇中では二刀流は使っていません。
しかし、そこはそれこれは玩具。
劇中の設定なんか無視して、どんなことをやっても構わないのです。
(違和感はあるけど)やって楽しんだもの勝ちという奴です。
それはそれとして、アビスが発売されたことで、ようやくディケイド本編のオリジナル敵キャラとの対決シチュが再現可能になりました。
アビスは、仮にも仮面ライダーの冠を掲げてるので商品化が叶ったようなものかもしれませんけど。
これ以外のディケイドオリジナル敵キャラの商品化は難しそうだから、これが最初で最後かもしれませんけどね……
ファイナルベント。
ミラモンの発売アナウンスを待ちたい心境。
一万年待っても無理でしょうけど。
合体ミラモン・アビソドンは、本来はシュモクザメ+ノコギリザメ型なんですが、何か似てるものはないかと探してみたら、ガオゴッドのガオソーシャークが出てきましたので、無理やりでっちあげ。
本当なら、ノコギリはこの向きではなくて縦向きなんですけどね。
……ガオハンマーヘッドの方がそれっぽかったかな?
今回付属するカードは、4種類。
左から、アドベント(アビスラッシャー召還)、ソードベント(アビスセイバー)、ストライクベント(アビスクロー)、ファイナルベント。
右端は、カードの裏側。
今回は魂STAGEが付属します。
水色で鮫の紋章のプリント。
仕様はいつもの通りです。
アビスを台座に飾ったところ。
でも、やっぱり龍騎ライダーに台座が付属しちゃうと、ミラモン発売予定はないのか……と、つい勘ぐっちゃいますね。
以上、仮面ライダーアビスでした。
【買ってみて一言】
造形、塗装、ギミック共に非常に完成度が高く、このままのグレードでWEB限定としても通用したんじゃないか? とすら思わされる商品です。
これといった問題点も見当たらず、非常に飾り栄えするオススメの逸品ですが、あえて(本当にあえて)一言付け加えると……
本編に登場したアビスよりも、遥かにかっこ良過ぎる。
という点が、最大の特徴じゃないかなと。
勿論これは良い事なんで、決して難点として挙げるわけではないのですが、聞くところによると劇中のスーツはどうやら怪人スーツ等と同じような素材だったらしく、メタリックとか硬質といったイメージからはかけ離れていました。
そこに、このいつものメタリック感バリバリのアビスですから、そりゃもう違いはハンパありません。
こういう差異を、劇中の再現度無視と取るか良質のアレンジと解釈するかは人それぞれですが、筆者は、こういうアレンジならむしろ大歓迎だと考えています。
昨今、フィギュアーツの造形の良し悪しから劇中スーツの再現はどこまで求められるべきか? といった論争がネット上各所で起きており、中には造形の難を指摘する声に対して「劇中スーツと全く同じじゃないと満足出来ない輩がいるのでは?」と揶揄される場面も多々あるようです。
決してそういう訳ではなく、実際のところは、スーツの完全再現でなくても「商品として違和感が少なくかっこ良ければ良い」とする人が殆どなんじゃないかと、個人的に思っています。
今回のアビスは、少なくとも劇中スーツの情報を的確に踏まえた上で、より良い造形と塗装を実現したということで、フィギュアーツ良質アレンジの代表例として充分挙げられるものではないかと思われます。
まぁ、難しい話はともかく、「良いものよ」というわけです。
ちなみに、この商品は場所によって在庫の有無の差が非常に大きいようです。
ネット通販では、最初の予約開始時期を過ぎてからしばらくどこも在庫なしが続き、Amazonのマケプレではかなりのプレ値がついていました。
もっとも、実売開始後は一気に落ち着き、割引の大小を問わなければ(2013年10月中旬現在)そこまで入手難度が高いということはないようです。
とりあえず、今後の再販はまずないでしょうから、欲しい人は在庫があるうちに確保しとけ! といったところでしょうか。