第5回 ■ 百獣戦隊ガオレンジャー「パワーアニマルシリーズ」3
2002年2月28日 更新
2010年11月17日 画像再撮影
『百獣戦隊ガオレンジャー』超合金パワーアニマル編の第三回、行ってみたいと思います。
一応これで最後です。
百獣戦隊ガオレンジャー 超合金 パワーアニマルシリーズ QUEST-03
7.ガオイカロス セット売り商品時『百獣合体 DXガオイカロス』 定価10,000円
▼ 左:ガオイカロス構成PA/右:各PA価格
- ガオファルコン(胴体)
- ガオディアス(左腕)
- ガオジュラフ(右腕)
- ガオライノス&ガオマジロ(下半身)
- 「PA7 ガオファルコン」4,000円
- 「PA2 ガオジュラフ」1,500円
- 「PA6 ガオディアス」1,500円
- 「PA4 ガオライノス&ガオマジロ」 3,000円
●ガオイカロスの設定面:
他の精霊王のパーツの流用がなく、オリジナルのPAの組み合わせで完成する最後の精霊王。
登場当時は“最強”の名を欲しいままとしていたが、その後「ガオケンタウロス」等も登場したため、ホントに最強なのかは不明瞭になってしまった。
唯一の飛翔型であり、本編ではCGを多用して派手な空中戦を幾度も繰り広げた。
前身を覆うシールドにもなる巨大な翼と、その中に光る巨大な目“イカロスバインド”が特徴で、相手の動きを翼の眼力で止め、そこにガオマジロを蹴り込む必殺技「究極天技イカロスダイナマイト」を持つ。
他にも「天地逆転ホーンクラッシュ」という技もあった。
…と思ったら、最終回直前にガオファルコン単体でイカロスバインドを使っていたので、これはどうやら精霊王オンリー技という訳ではないらしい(突発ネタなのはミエミエだが)。
PAの召還がちょっと特殊なのも特徴だ。
専用武器「ファルコンサモナー」を使って、合体に必要なPAをまとめて召還できるようになったためだ。
- ガオファルコン→ガオレッドが宝珠所持(ファルコンサモナーを使用)
- ガオディアス→ガオホワイトが宝珠所持
- ガオジュラフ→ガオブルーが宝珠所持
- ガオライノス&マジロ→当初ガオブラックが両方まとめて所持。
本編途中から、ガオマジロだけガオイエローに手渡した
※ただしガオイカロスの合体以外の目的で、ガオファルコン以外のPAを召還する場合は、必ずしも上記の方法だけとは限らない。
ガオイカロスは、ほとんど換装バリエーションのない精霊王だが、やったらやったでめっちゃくちゃ強いという特徴を持つ。
- ガオウルフ・ガオハンマーヘッド・ガオバイソン→ガオディアス(左腕)・ガオシュラフ(右腕)・ガオライノス&マジロ(下半身)と換装→“ガオイカロス・アナザーフット&アーム”
必殺技「イカロスリボルバーファントム」
これまでガオエレファントと並ぶ“百獣武装専属要員”だとばかり思われていた「ガオジュラフ」が、メインの片腕となって活躍する形態があったというのが意外だった。
また下半身にしても、どちらかというと強化or交換パーツ的位置づけにいた「ガオライノス」をメインに据えているのには、なぜか新鮮な感覚がある。
そう、よくよく見るとガオファルコン以外はすべて“かつて別な精霊王との合体経験がある”PAばかりなのだ。
寄せ集め…と一言で片づけるにはあまりにもったいない、完成されたフォルムは素晴らしい。
●前評判:
ガオイカロスの登場はだいたい2001年の秋頃であったが、実は、その登場はかなり早い時期から広まっていた。
なんと、番組開始直後辺りにはすでにその存在が囁かれていたのだ。
もっとも、例年のパターンからその辺に最終ロボットが出てくるだろう…という予測を踏まえた発言もあっただろうが、ガオマッスル登場前後には“巨大な鳥が上半身に…”という話を聞いた事があった。
断片的に、そういう噂を耳にした人も多かったと思う(ま、自分もそうなんだけど…)。
今になって過去の先行情報を検索してみると、面白いほど正確な内容が広まっていた事がわかって楽しい。
ただし、さすがにセット販売まではほとんど予想した人がいなかったようだ。
というのも、すでに相当前に「ガオジュラフ」が売られている訳で、セット販売したあかつきには再び“PA重複”の可能性が出てくる事を、皆知ってしたためだ。
かつて「DXガオマッスル」にて、余りパーツを気にしていないとしか言いようのない商品展開をしてはいたが、それが二回も続くとは誰も考えなかったたろう。否、心のどこかで否定していた部分があるのではなかろうか。
しかし、なんとびっくり発売されてしまった。
しかも、価格10,000円という高額セット!
もちろん価格はバラ売りの合計金額そのままだが、やはり5ケタ価格はインパクトがある。
また、デパートの玩具売場などで展示されている商品をみて、またびっくり。
とにかく、デカイなんてどころの騒ぎじゃない。
前回書いたガオエレファントの装備なんか、これに比べりゃ子供です…ってなくらい。
高さ約30センチ前後に対して最大幅約50センチ強、奥行きも20センチ近くある。
しかも、イカロスバインドのフード(内翼)を展開すれば、さらに全高は大きくなる。
いったいどこにどうやって飾れというんだ状態になってしまう事必至だ。
他の精霊王達もそれなりに大きかったものの、これには叶わない。
ほとんど「DXスーパーファイヤーダグオン」のバンダイ版だ。
そして、このインパクトは後述の「ガオケンタウロス」登場の瞬間まで続く。
●概要
前述の通り、ガオイカロスはその巨大さが一番の注目ポイントである。
しかもそれだけではなく、デザインや総合造形もかなりのもの。
あれだけガチャガチャとくっついているのに、さほど違和感のないデザインフォルムになっているのは驚嘆する他ない。
正々堂々と“正義のヒーロー”面しているフェイスに、意外に引き締まっている胴体、巨大な翼の重さによって後ろに倒れる事を防ぐ尾翼、内翼に隠されている“巨大な目”イカロスバインド…これらは結構面白い作りになっていて興味深い。
しかし、いくつか問題箇所も目立つ。
例えば頭部付近だが、変形過程上仕方ないとはいえ「ガオイカロスの頭が元々あった場所」…つまり、胸のガオファルコンの頭の後ろがポッカリと空間になってしまっているのはいただけない。
上から見下ろすと、かなり目立つのだ。
さらに、上半身の重さを支えきれる程の強度が腰部ジョイントにないため、しょっちゅう上半身が外れてしまう。
ガオハンター以外の精霊王の上半身と下半身は、たった2つの並列ジョイントだけで接続されている。
ガオキングなどではほとんど問題がないのだが、これだけ大きなものになるとシャレにならない。
持ち上げた時の角度によってポロリと落ちるのは、もはや危険ではなかろうか?
ちなみにこの保持力の弱さは、「ガオケンタウロス」時にさらに炸裂する(後述)。
頭部周辺の空間はまだいいが、こちらはあまり無視できない注意点だ。
・PA7 ガオファルコン 定価4,000円
ガオイカロスの上半身を構成/ガオケンタウロスの上半身を構成
単品販売セット内容:
- ガオファルコン(5パーツ構成)
- イカロスバインド・シール×2
- ガオの宝珠用フィギュア
- 取扱説明書
一応、サイズ的には最大のPA。
翼長を基準にすればDXガオライオンをもしのぎ、その存在感は一種異様な域にまで達している。
単体販売PAとしては価格も最大で、番組終盤時の在庫過多ぶりまで最大だった。
本編では『恐竜戦隊ジュウレンジャー』の守護獣プテラノドンばりに火山から飛び出してくるが、特に炎と関連した性能がある訳ではない。
大きさについてはこれ以上書いてもしょうがないので、細かい所を。
両脚は3段関節で、付け根・膝(?)・足首部分が可動。
これのおかげで、かなり自由なポジションが確保できるようになっている。
関節の保持力もなかなかのものだが、どうしても全体のバランスの関係で尻尾なども支えに利用しなくてはならない。
頭がやや上向きになるようにしか飾れないのは残念かもしれないが、全体の造形の高さも手伝って、かなり精悍なイメージにまとまっている。
ただ、非常に残念なのがメインの「翼」。
翼の根本でジョイント固定されるだけなので、なんと、あの大きく開いた姿勢以外にポージングが取れないのだ!
これは、ギミック上仕方ない事なのはわかる。
ガオファルコンの翼は、ガオイカロスのディフェンスモード時に身体を包むシールドの役目も果たすため、翼の途中に関節があったりパタパタ動かしやすかったりすると都合が悪いのだ。
とはいえ、思い切り展開したままの姿勢ではプレイバリューばかりでなく、飾る際にも、また(箱の中以外に)片づける際にも支障を来してしまう。
もうちょっとなんとかならなかったものだろうか。
PAの顔も、好き嫌い分かれてしまう所ではないだろうか。
ガオファルコンの顔は横が見る分には問題ないが、真正面からみると、ものすごい寄り目になってしまっている事がわかる。
これは、根本的なデザインの問題ではないかと推察されるので玩具が悪い訳ではないが、少なくとも筆者は気になってしょうがない。
他が比較的よくまとまっている分、妙に引っかかってしまうのだ。
さて変形だが、単純ながらもなかなか面白いアイデアによるものだ。
ファルコンの頭を腹部の位置まで下げ、頭部の後ろからガオイカロスの頭部を取り出し、本来の位置まで立てる。
その後ファルコンの両脚をたたみ、足の裏がファルコンの顔の両側を包む位置にくるように調整すると、それらがひとまとまりでガオイカロスの胸部になる。
あとは両腕のジョイントを立てるだけだが、本来邪魔になるだろう脚部分をうまく処理してあり、非常にポイントが高い。余った太股パーツにしても、両脇腹の邪魔にならない位置に置かれるため、関節可動に支障は来さない。
・PA6 ガオディアス 定価1,500円
ガオイカロスの右腕を構成/ガオキング・ガオマッスルなどに百獣武装→〜クロスホーン
単品販売セット内容:
- ガオディアス
- ガオの宝珠用フィギュア
- 取扱説明書
バカでかい銀色の角と、エメラルドグリーンのボディが特徴のPA。
本編内ではどエライワガママさんの上に、昔の事を根に持つタイプ…という触れ込みで登場したが、いつの間にか忘れられてしまった。
さすが1000年前にもいた巨大シカ、とても人間業とは思えない忘却力である。
癒しの力を発揮するという設定で、他のPAばかりでなく破壊されたGフォン(変身携帯)まで修復してしまうが、百獣武装で活躍した事は実はほとんどない。
当初は、その角の形状から“相手を挟んで攻撃”するパワーアーム的なものだと誰もが想像したが、実際には角の輪っかから巨大な泡を吐き出す…という迫力皆無の必殺技を披露していた。
その技は、せいぜい「千年の邪気」を封じ込めたくらいしか役に立たなかったが、これも後に復活されてしまったし…なんか哀れな扱いである。
(個人的な想像だが、玩具はこの角が若干ハサミ状に開閉するギミックがあるところから、ホントは本編でもそういう使い方をする予定だったのではなかろうか? …なんて思う事がある)
さて、玩具の方は…
まず、何よりも「ハメ込みづらすぎる2本の角」の一言に尽きるだろう。
一見プラスチック、実は軟質樹脂で作られている両角は別パーツで、最初にガオディアスの頭部と接続しなくてはならないのだが、頭部から生えている凸部に対して、凹部の口径があまりにも小さい。
ちょっとしたコツ…どころではなく、かなり強引にグリグリ押し込まないと、全然ハマってくれない。
その強度は、器用なお父さんでもやっきになってしまうくらいだから、小さな子供には絶対無理。
筆者は、とにかく破損を恐れておっかなびっくりはめようとしていたため、ドえらく時間がかかってしまった上、怖くて分解→収納ができないままでいる。
さらに、ボディの成形色のチープさにも驚かされる。
まあ価格や合体構成内容からして、複雑なパーツ構成や材質を追求する事は酷なのだが、それにしても“一昔前の玩具によく使われた軟質ビニール風”の表面カラーはいただけない。
もちろんホントは硬質プラなんだけど、モールドのアンシャープさも手伝って、かなり粗い雰囲気が目立ってしまう。
その割に、角部分だけは妙にしっかりしているものだから、不思議なんだよな〜。
しかし、デザインラインそのものは非常に秀逸で、実はガオジュラフと同じ金型を利用した部分が大半を占めているのに、そう感じさせないような工夫が成されている。
また、変形後は後ろ足の太股部分がガオイカロスなどの肩プロック部分になるが、その収まり方が非常に自然かつ違和感がなくて素晴らしい。
いかにも大型武器を装備した…といった外観になるため、なかなかにカッコイイスタイルになる。
角の下からピョコンと突き出たシカの顔がマヌケといえばマヌケなのだが、まあご愛嬌という事で。
・PA2 ガオジュラフ 定価1,500円
ガオイカロスの右腕を構成/ガオキング・ガオマッスル等に百獣武装→〜スピアー
単品販売セット内容:
- ガオジュラフ
- ヘッドギア
- ガオの宝珠用フィギュア
- 取扱説明書
ガオエレファントに続いて登場した、長い間クレーン車に擬態していたPA。
必殺技は、全スーパー戦隊ロボットすべての中でも一際輝く豪快な技“顔面往復ビンタ”。
自分の頭を使って相手に連続ビンタをかますという、衝撃の必殺技である。
唯一、本体とは無関係の謎のアイテムを装着して合体するPAでもある。
どこからともなくやってきた“ヘッドギア”を頭に装着し、ただでさえビンタする程強い頭をより強固にして、スピアー形態となる。
キリン→首が長い→ヤリ(SPEAR)という発想が、激しい感動を誘う。
とにかく、この「ウルトラマンレオ」に登場したウリンガにそっくりなヘッドギアが槍の矛先となって、敵を貫く必殺技「悪鬼突貫ネックスラスト」を完成させる。
比較的早い時期に登場したため、ガオエレファント同様武装専属要員だとばかり思っていたら、ちゃんとメインパーツになれたので大変驚いた記憶があるが、同様の人は多かったのではないだろうか。
玩具の方を見てみよう。
意外に濃いオレンジで統一されたボディは、先の通り首と四肢・尾以外はガオディアスと共通で、さほど凝った造りではない。
とはいえ、その長い首は充分なオリジナリティがあり、さらにはボタンで伸びるため、異彩放ちまくりだ。
もちろんこれはネックスラスト時のためのギミックなのだが、これを延ばす時、ヘッドギアの接続が甘いと伸ばした瞬間に「ポーン」と飛んでいってしまう事になる。
筆者はこれに“ガオジュラフ。ドキドキびっくりパンチ”と命名しようとしたが、柏木悠里に冷たく拒まれたため諦めた。
一見なんとなくバランスが取り辛そうにみえて、実はしっかりと姿勢を保持できるというのは大変素晴らしく、可動率も高いため、案外プレイバリューは高い。
多少無理があるが、キリンが眠る時の姿勢みたいなのも再現できるというのは凄いかも。
PAシリーズ唯一、下顎が別パーツなのに一切可動しないというのは寂しいが、シッポが本体内収納だったりと工夫してあったりするので、相殺してもいいと個人的に考える。
…しかし、やっぱり問題は“ヘッドギア”だ。
存在そのものはいいのだが、PA時には完全な余りパーツと化してしまうのはいただけない。
せめて胴体に収納を…と願いたい所であるが、意外と横幅があるので難しいだろう…
根本的なデザインの見直しを要求したいような問題である。
やっぱりなくしやすいしね。
ガオゴッドのスペーサーみたいに、不要と思ったら最初から出さなきゃ良い…というものでもないし。
ちなみにガオジュラフもガオディアスも、その形状からか合体時の肘に相当する部分は可動しない。
つまり、同シリーズでは珍しい“棒のように硬直した腕”という事になってしまう。
・PA5 ガオライノス&ガオマジロ 定価3,000円
ガオイカロスの下半身を構成…ガオライノス
ガオイカロスの右つま先に合体&武器に変形…ガオマジロ
ガオキング・ガオマッスルに百獣武装→〜ストライカー
単品販売セット内容:
- ガオライノス
- ガオマジロ
- ガオマッスルストライカー用スペーサーパーツ
- ガオの宝珠用フィギュア×2
- 取扱説明書
ガオベアー&ポーラーと並ぶ2体PAセット。
ガオバイソンタイプのPAとは根本から異なる形状・変形で、ストライカー形態の下半身になる。
ガオライノスの変形はもはや驚異のレベルで、こんな複雑かつ無駄のない変形機構を搭載したものは、過去にも例がない。
写真を見ていただいた方が理解が早いが、前半身を左足首、後ろ半身を右足首とし、尻部分が腰になるというシャクトリムシ変形。
実際に手に取ってみないと、この複雑さ&楽しさはうまく伝わらないのかも。
変形後は脚が前方向に曲がらないとか、膝が曲がりそうに見えて全然曲がらない(それどころか逆方向に折れる)、ガオマジロを蹴る動作が出来ない…などといった不満もない訳ではないが、元々下半身の可動がほとんどない戦隊ロボットである。文句をいう方がバチアタリなのだ(爆笑)。
ストライカー下半身は、変形行程で必要な関節しか動かないようになっているのだが、それでもそれなりに表情がつけられるようになっているのは高ポイントだ。
足首が内側に傾き、ちゃんと接地できるようになるだけでも、筆者は許せてしまうのだ。
その他にも様々なギミックや見所が満載で、ホント「ガオベアー&ポーラー」と同価格である事が信じられないくらいだ。
変形したガオマジロを蹴り出すカタパルト代わりとして、ガオライノスの鼻先がピョンと飛び出すようになっている。これはお茶濁しと言ったらそこまでだが、なんとなく可愛くて微笑ましい。
さて、この商品で筆者がちょっと驚いた部分が他にもある。
それは、ストライカーのすね部分に当たるパーツの“金メッキ”。
「なんでたかが金メッキで?!」と思われる方は、本コーナー第二回「装着変身仮面ライダークウガ」の分岐ページ“黄金聖衣の白銀化現象”の項をお読みいただきたいが、とにかくこのメッキは、従来の悪質金メッキとはまったく違い、かなりしっかりとした定着を見せていてほとんど皮脂などの影響を受けない。
もちろん、実はプラスチックメッキ…などというオチではない。
ちゃんと亜鉛合金上に付加されたメッキで、厚手ではあるが立派なものに仕上がっている。
この他の商品でも、金属メッキの質はかなり向上しているようで、これとはまた違った方式と思われる「DXガオゴッド」各所の金メッキも、簡単に剥がれたり劣化しないしっかりとした物が使われているようだ。
一方のガオマジロは、軸金具以外ほとんど完全なプラ製のもので、その造形も手伝ってかなりかわいらしい印象である。思わずこれだけでどっかに飾っておきたいくらいだ。
下腹部に隠されている“腹の皮”ないしは“腸”を引っぱり出し、それで装甲のない部分を補う事で、側面の平たいボール状に変形する。
ガオマジロ自身はこれ以外の変形ギミックを持たず、普段は無変形の状態で右足首部分の空洞ブロックに身を収めている。そして武器として使用されるたびにここから飛び出す、という図式だ。
残念ながら変形した状態で右足首部に収納する事は出来ないが(正確には出来るが、接地に支障を来してしまう)、特別出っぱる事なくすっきり収まっているので、ライン的にはあまり気にならないようだ。
ガオマジロは、PA形態の時はガオライノスの腰の上辺りに乗っかっているが、ここにはご丁寧にガオマジロの前足がちょうど収まるような窪みが出来ている。完全固定は出来ないが、なかなかに嬉しい。
しかし、本商品最大の問題点…余りパーツだけは、いかんともしがたいものがある。
すでに前回にも触れているが、これは「ガオマッスルストライカー時に腹部を埋めるブロック」の事であり、PA時は当然として、ガオマッスルストライカーの時以外はまったく使用する事がないといったお荷物だ。
仮になくしてしまったとしても、ほとんど支障はない。
前述の通り、デザインは狂ってしまうがガオマッスルは“ガオイーグル”を装着したままでも下半身換装が可能であるため、無理にこれを使用する必要性はない。
あえて需要を見出すとしたら、このコーナーでも掲載したような“精霊王(可能な限り)全員集合”させる時くらいのものだ。
もちろん使用については個人の好き嫌いがあるだろうが、本来不要な筈のものを“数合わせ”のためだけに付け足したこのパーツ、筆者はどうしても好きになれない。
これを省く代わりにガオマッスルとガオキングが並び立たなくなっても、それはそれで別に構わない…と思うのだが、これは暴言なのだろうか?
商品では、変形ガオマジロの予備(?)としても使用出来るとは言うが…
ガオライノス&ガオマジロは、ガオキングやガオマッスルと合体して「〜ストライカー」となるため、一時期ひんぱんに使用されていた。
そして、そのほぼすべてにおいて「ライノシュート」が決め技となっていた。
そういう印象のためか、なんとなくガオイカロスの下半身になった際の決め技にオリジナリティが感じられないような気がする。これが、筆者にとって残念だった所である。
ただし、47話にのみ登場した別形態「ガオイカロス・アナザーフット&アーム」は別物だった。
もうほとんど“新しいロボット登場”感覚で、必殺技「イカロス・リボルバーファントム」は代用技とはとても思えない映像の迫力とパワーを持っており、なかなか見応えに溢れていた。
クレセントブーメランをリゲーターブレードの先端に引っかけて、そのまま突貫するという発想だが、これは当然玩具では再現出来ない上、リゲーターブレードを使用して“ネックスラスト”しただけだったりする。
●展開
ガオイカロスは、10月頃にセットが発売、11月にやっとガオファルコンが発売になり、バラで集めている人も完成出来るようになった。
筆者はセット版は購入していないが、あの巨大なガオファルコンがどういう収納をされているのか、とっても興味がある。
当初は年内のトリを勤める商品、そして最終ロボットという噂と共に登場したガオイカロスだったが、事実上そうはならず、この後、番組的には「ガオケンタウロス」、商品的には「ガオゴッド」が控えていた。
そのため本来求められる存在感がボヤけてしまった感もあり、12月前後の販売状況としてはやや他の商品よりも見劣りする状況であったようだ。
ガオイカロスのセット売り以降、PA関連商品は第一次生産のみで終了というケースが多くなった。
もちろんこれは、番組終了後に商品を残しておかないための対策なのだが、例年ではこれについてかなり余裕を持って対処するようにしており、新登場商品はもっと早い時期で打ち止めとなってしまう。
それがなかった『百獣戦隊ガオレンジャー』は、やっぱり“その時期になお出す”だけの意味が見込まれていたというコトなのだろう。
過去、そんな時期に商品が登場したパターンは『忍者戦隊カクレンジャー』の「DXニンジャマン」だけであり、これは番組終了直後からプレミアが付く程の価値がついたものだが…。
8.PA9 DXガオライオン 定価4,000円
ガオケンタウロスの下半身を構成
セット内容:
- DXガオライオン
- ガオライオンの背中パーツ
- ミサイル×4(ランナー付)
- 取扱説明書
●DXガオライオンの設定面:
事実上、最後に登場した新型PA…じゃないか。
商品としてはラスト1つ前であるが、一応“オリジナルの合体用ギミックを備えたPA”としては、最後に登場したものという事になる。
しかし、まさかこんなのが最後に来るとは、さすがに予想していなかった…
最初は登場する過程を記そうとしたが、文章にするとめったやたらややこしくなるので割愛!
とにかく、ガオライオンが「地面に落ちて、川の水で洗われた卵焼きを食べて巨大化」という、知らない人には絶対信じてもらえないような過程で登場した存在。
実際に商品もバカでかく、写真内のノーマルガオライオンと見比べていただければわかるが、ホントにとんでもないスケール。
写真で概要をわかっていても、実際に手にするとそのギャップにきっと驚かされるだろう。
このDXガオライオン(便宜上、ノーマルガオライオンと区別するため以下はこれで統一)を核として、
- ガオファルコン→上半身
- ガオシャーク→右腕
- ガオタイガー→左腕
- ガオエレファント→剣と楯
これらが合体して、戦隊ロボット史上初の“4本足のロボット”が誕生する。
また、ガオゴッドを除いて唯一“ガオレンジャーが誰一人として搭乗していなくても戦闘可能”という事を証明してしまった存在でもあった。
次元の壁をぶち破るわ、攻撃らしい攻撃を受ける事なく一方的に打ち勝つわと(CGだからってツッコミは野暮)、むやみやたらと強いのも印象的。
必殺技は「究極剣技・獣王の舞」。
たった2回程度の登場なのに玩具になってしまった…と考えると、ちょっと剛気に感じてしまう。
●前評判:
商品発売は、2001年12月8日。
これが発売されるちょっと前の時期から、コレクターの間では様々な情報が飛び交い、緊張感が張り詰めまくっていた。
10月頃には登場が(写真付きで)報告されており、最終形態に利用されるという事で、PAコレクションの最後を彩る(結局最後じゃなかったが)存在として、それまで集め続けていた人達には絶対見逃せない商品だったのだ。
すでにある程度の経験を持っているコレクターはこの商品が二次出荷される可能性が低い事、一度の出荷限りで打ち止めになる可能性が高い事を深く理解しており、同じ考えを持つ人達と情報交換に余念がなく、その緊迫感に煽られた初心者コレクターまでもが焦りを感じてしまい、この後の「ガオゴッド争奪戦」までひたすらピリピリした空気を漂わせ続ける結果となってしまったようだ。
実はガオケンタウロスという名前自体は、相当前から各所で登場していた事をご存じの方も多いと思われる。
ある程度PAシリーズが発売された頃から、「オリジナルPA合体」を考え、それを広め合うというちょっとした情報交換がネット上各所で行われていた。
その中に、(具体的な構成内容は知らないが)“ガオケンタウロス”というものがあり、すでに登場している精霊王の上半身を応用してあの形態を作る、という事に燃えている人達がいた。
そんな事も落ち着き始めた頃になって、突然登場する事が決まった「ガオケンタウロス」。
当然ながら「誰か関係者がネットからネタを拾ったのでは?」なんて考えも出てくる事になった。
その真実の行方はともかくとして、他にも「ガオナイト」という名称もネット上で先に登場していた事実などもあり(一部ではガオマッスルの没ネームだったとも言われているが、裏付けは取れなかった)、案外本当にチェックされていたのかもわからない。…無理があるかな?
●概要
…に入る前に、「ガオケンタウロスはガオイカロスのバリエーションだろう!」という考えの方もいるらしいとの事だが、とりあえずここでは“DXガオライオン”に関連付けて説明する都合上単体ロボットとして扱うので、一応ご了承願いたい。
巨大化したガオライオンは元の物とは完全な別物で、デザイン以外関節可動くらいしか共通点がない。
ノーマル時はガオシャークやガオタイガーを接続していた肩ジョイントも、本商品では単なる“ミサイルランチャー”になっていた(本編では当然未使用の武器)。
ここにミサイルを差し込んだ姿はそれなりにナニでアレだろうが、残念ながら筆者には試す勇気がなかった。
その大きさのためか亜鉛合金パーツは一切使用されておらず、すべて硬質プラ製で統一されているが、そのためかなりチープな印象をも与えかねない。
それでも決して悪い造形という訳ではないし、工夫も多々あるのだが、実際に画面に登場するガオケンタウロスと大きく異なり、合体時には背中部分(ミサイルランチャー部分と接合したたてがみ上部)を丸ごと外さなければならない。
本編に登場したガオケンタウロスは、上半身の側面にミサイルランチャー(ガオキングの肩ジョイント)がちゃんとくっついているため、非常にデザインが異なって見えてしまう。
せめて合体時のCGの方で外していてもらえれば、比べる事もなく違和感が減ったのに…と、思わず口惜しい思いに駆られてしまう。
とはいえ、やっぱり合体した時の迫力は捨てがたい。
ガオイカロス以上のボリュームと奥行きを得たガオケンタウロスは、もはやよほどの広さがないと飾る事すら困難というレベルの巨大さであり、ディフェンスモードにできない都合上ウイングが常に開きっぱなし…ガオイカロスの時に記した我が家のテーブルは、これを置くと半分以上の面積を占有されてしまう。
また重量もそれなりになるのだが、驚くべき事に、なんと後ろ足2本だけで全体重を支えて立ってしまうという抜群のバランスぶりを発揮する!
これは、浮き彫りの矢印マークで指定された位置に後ろ足の付け根関節を動かし、上半身の接合部分をぐぃんと持ち上げる事で完成する形態で、デフォルトで用意されているギミックだ。
はっきり言って…すさまじくかっこいい!
写真と、現物を直接見るのとではインパクトが全然違うのだが、せめて用意した画像でその雰囲気の一端を味わっていただきたいと思う。
だが、この合体にも当然問題がある。
上半身の固定が甘くなり、すぐに外れてしまうというものだ。
ガオイカロスの時も気になった事だが、今度のは全体的な重量の絡みもあって、さらに危険度が増している。
これのおかげで、ガオケンタウロス自体をうかつに持ち上げられない。
ところが、実はこれには一応対策が成されたような痕跡がある。
ガオイカロスの上半身の接合部分には、凸ジョイントのすぐ後ろに四角い突起があり、そこにほんのわずかな爪状突起が付いている(気が付かない人はホント気付かないままって程度の)。
実は、これはガオケンタウロスの合体の時しか使用しない“補助ジョイント”で、DXガオライオンの接合部後ろにある突起部分と引っかけ合うようにする。
これで、一応ある程度しっかりした合体保持力は稼げるようである。…といいたい所だが、実はこれ全く役に立っていない。
実際に合体させようとするとわかるが、ジョイントがその部分まで届かず、結局かみ合わせる事が不可能なのだ。
そのため、すぐにポロリと落ちる事を覚悟の上で合体させなければならない。
四肢の関節がかなり固いだが、これは体重をうまく支えるために必要な強度を稼いでいるためだ。
とはいえ、やはり動かす時は緊張する。
なにせ、曲げるたびに「バキッ、バキッ、バキバキ」と激しい音がするので、なかなかに怖いのだ。
これ、人様からいじらせてもらっている場合だったら、とてもじゃないがうかつな事は出来そうにない。
●総括
発売前の殺気立った雰囲気はどこへやら、実際に発売された後はそんなに過酷な販売状況という訳ではなかったらしく、残っている所にはそれなりに残っていたようだ。
まあ状況はどうしても、一番の要ともいえる「ガオゴッド」と比較されてしまう訳だからそう感じてしまうだけかもしれないが。
しかし、やはり出荷数そのものが少なかった事も手伝い、すぐに姿が見えなくなったのも事実だ。
ほとんど登場していないというのも手伝ってか、子供達の興味はそれほど引かれていなかったらしい。
しかし、ここで思いも寄らないトラブルが確認された。
なんと、子供のプレゼント用にPAシリーズを買いに来た(とおぼしき)大人達が、なぜかやたらと本商品を購入していったようなのだ。
これは何故か?
事情に詳しい業者の方に聞いてみた所、実に予想外な答えが返ってきた。
どうやら、「こんなに大きくて(その割に他よりも安い)しっかりしている物だから、こっちの方が喜ばれるに違いない」と考え、本来のターゲットを急遽変更する大人が結構多かったらしい。
まあ、こう考えてしまうのも当然だろう。
今の玩具が、それ以外の別商品との絡み合わせで楽しむ事がメインである、という事実を認識していない大人は多い訳で、あくまで“単品評価”に走ってしまう事もあるのだろう。
また、「大きい物はいいものだ」的な発想を持っている人達もいるだろうから、そういう見解でDXガオライオンが選ばれるというのにも納得がいく。
子供にとって予想外のプレゼント…になれば幸いだが、生憎それは難しいだろうと思われる商品である。
断定は危険だが、こういった流れで思わぬ物を押しつけられた子供も結構いたのではなかったか。
せっかくの好意が、裏目にでていなければいいが…と、その業者さんも思ったという。
もちろん、詳細を尋ねてくる人も多くいたらしいが。
DXガオライオンだけでなく、この時期ガオファルコンも、面白い現象を起こしている。
DXガオライオンが発売されるちょっと前の頃は、「DXガオイカロス」のセットをはじめとしていくつかのPAが姿を消していた。
「ガオキング」「ガオハンター」などのDX系は当然として、比較的初期に発売された「ガオエレファント」「ガオジュラフ」なども姿を消し始め、皆の間に“品不足”という言葉が浸透し始めていた。
だがある時期から、なぜかガオファルコンだけがこの流れに逆らうかのように姿を現し始めた。
ガオファルコンは11月発売なので、12月初頭までは充分メインの販売期間だったと考えられるが、なぜかその手前で一端姿を見かけなくなっていた時期があったため、ちょっとした動揺も一部ではあったようだ。
しかし、ガオケンタウロス登場と同時に再び市場に出回り始める事となったが、これは再販というよりは“第二次出荷”だったと判断するのが懸命だろう。
そして、その後ところどころで余り始める事になる。
番組放映終盤期、もっとも容易に入手できるPAがガオファルコンだったのは間違いない。
やっぱり、単体販売PAが出るには、時期が中途半端すぎたという事なのだろうか。
DXガオライオン並に流通数を絞っていれば、あるいは…?!
しかし、筆者は観た。
1月中旬、都内某有名デパートの玩具売場にて、27体も並んでいるガオディアスを…
9.『百獣合体 DXガオゴッド』(一般販売版) 定価7,000円
セット内容:
- ガオレオン
- ガオコンドル(尾パーツ一部別)
- ガオソーシャーク
- ガオバッファロー(角パーツ別)
- ガオジャガー
- 台座
- シール
- 合体用スペーサー
- 取扱説明書
●ガオゴッドの設定面:
他の精霊王等とは根元的に異なる存在で、まさしく「神」。
5体のゴッド・パワーアニマルの合体集結体として姿を現すものの、固有の意志を持っており、ガオレンジャーやテトムをはじめとした、ガオの力を持つ物達を見守っている。
驚くべき事に人間体の姿があり、“風太郎”という少年の姿で出現する事もある。
1000年前のオルグとの戦闘において、現在のガオシルバー・大神と盟友の間柄となったが、その後百鬼丸というオルグに破れていたりする。
どうやらPA全体の総合指揮権(しかも限りなく強制的な)を持っているようで、一度はPAを全部天界に連れ帰った事もある。
かなり穏和な性格らしいが、今ひとつ考えが読めないため、つかみ所がないという印象が強い。
必殺技は、右手・ガオソーシャークの鼻っ面を利用した深甚荒神剣の攻撃や、「パワーボウ」という大型の弓。そして必殺技名は「天誅! パワーアロー」。
●前評判:
コレクターの方々ならほとんど知っている事だと思うが、実はガオゴッドは、最初はキャンペーンのプレゼント用商品として製作され、後に一般販売が決定したという経過がある。
これは「百獣召喚パワーアニマルキャンペーン」第二弾の事で、パワーアニマルシリーズのポイントを集めて応募すると、250名に「DXガオゴッド」が当たるというものだった。
筆者がこのキャンペーンの締め切り間際に業者さんから聞いた所によると、倍率40倍という事だったので1万人の応募があったという事なのだろう。
しかし、情報によると実際はこれの倍以上の応募があったという事で、正確な規模はわかっていない。
とにかく、めっちゃくちゃ沢山の応募があったという事は事実なのだろう。
当然筆者もプレゼント版ガオゴッドは所有してはいないが、聞いた話によると、一般販売版が成形色による色分けだったのに対し、プレゼント版は塗装による色分けがなされていたという。
どちらが良いのかはさすがに比べられないので、ここでのこれ以上の詮索はご容赦願いたいが、いずれにしても一般販売開始の情報が流れるまではかなり“神格化”した存在となっており、ネットオークションでは数十万円もの価格提示がされていたらしい。
しかし、一般販売が決定したからといってコレクター達の緊張が解かれた訳ではなく、むしろ激化したと言ってもいい。
「DXガオゴッド」の発売日は2001年12月15日。
「DXガオライオン」の発売日のちょうど一週間後。
そして、過去異例の“年末新発売商品”の一つとして登場した。
過去にそれなりの経験を積んできたコレクターにとって、この時期に新発売される商品が“事実上の限定版”である事は自明の理だったのだ。
発売開始が異例であっても、商品がなくなる時期だけは例年のパターンを踏襲する。
つまり、この時期にきばらなければ大後悔必至なのだ。
それが本能でわかる人達にとっては、その年最後の聖戦(爆)に等しい出来事だったのだ。
だが、今年に限ってはコレクターだけが殺気立っていたわけではなかった。
これまで子供と約束していたのに、欲しがるPAを買ってやれなかった親御さん達なども、争奪戦にエントリーしてきていた。
もちろん、ガオゴッドだけがターゲットじゃなかった事は想像に難くないが、事前チェックをしていた人達も多かった。
過去、限定版商品を争って購入していたのはたいがいに於いてコレクター・マニア同士だった。
ところが、今回だけはそうではない。
単純に考えても、いつもの数倍の購入希望者がいたという事になるのだ。
中には、小学生や中学生の“少年コレクター”もいたというから驚きである。
こうなってくると、もはやキャンペーンどころの騒ぎではない。
各玩具店では入荷確認・予約の是非の電話が飛び交い、前日発売しそうな店舗には早くもマニア達の姿が見て取れた。
大型店舗や専門店だけの話ではない。個人商店もターゲットに入っている。
玩具を売っている店という店すべてが、彼等のターゲットになったと言っても過言ではなかった。
ほとんど「絨毯爆撃」と化したガオゴッド争奪競争は、まさに熾烈を極めるに至ってしまったのだ。
●概要
写真をみてもらえればなんとなくわかる通り、「DXガオゴッド」は「DXガオキング」の型を利用して作られたバージョン違いみたいなものであり、ほとんど同型のPAで構成され、合体システムもすべて共通。
ガオキング単体で出来る事は、ガオゴッドでもほぼ再現させる事が出来る。
もちろんこれは「タンクモード」でも言える事で、説明書に記述はないものの、なんとか行う事が出来るようになっている。
しかし、本来は無理がある形態なんだろうなぁ、やっぱし…。
大まかな所はPART-1の「DXガオキング」の項を参照していただくとして、ここではガオキングとの比較や、その独特の追加造形パーツ・彩色について注目していきたい。
・ガオレオン:
ガオゴッドの上半身・胴体を構成
ガオライオンと完全同型のPAで、ただ成形色・彩色だけが違うというもの。
だけど、ただそれだけの事なのになんかエラそうな雰囲気マックス状態になってしまっている。
他のゴッドPAは個別の動物がモチーフになっているのに、こいつだけはそれが無いようにも感じられるが…?!
ボディの赤い部分はブラック塗装に変更され、たてがみなどのゴールド部分は、メタリックコッパー…赤銅色とでも表現すべきだろうか? そんなシックな色になっている。
かと思うと、足首回りにはゴールドカラーが配されていたりと、結構すごい配色センスになっている。
ほとんどが黒一色という事で、なんとなくブラックバージョンのガオライオンと見分けがつかなそうに思えるが、実際は結構区別が付きやすくなっている。
この独特の配色センスはガオゴッド全体の大きな特徴であり、後にも先にも、こんなすごいのは出てこないのではないだろうか? …などと考えてみる。
とはいえ、ガオレオンそのものはまだ比較的落ち着いてる方なんだよね。
これはピックアップすべきポイントなのかどうか悩んだのだが、一応レポートしておこう。
実は、ガオレオンのたてがみ伸縮ギミックは、ガオライオン時よりもかなり向上しており、ガオイーグル離脱後いまいち戻りにくかったたてがみ上面部分が、すっきり復元するようになった。
ただしこれはブラックガオライオンにも言えたし、ひょっとしたら再販時には改修された可能性もあるので、あまり堂々とは記せない部分だ。
とにかく、このガオレオンについては不満は少ないという事に間違いない。
ちなみに、ガオレオンとガオコンドルを合体させる時、ちょっとしたオリジナル行程が必要になる。
ガオキング時には、ライオンの首の隙間部分に鳥の羽が差し込まれて一体化するのだが、ガオゴッドの場合、ガオコンドルの羽は上に跳ね上がった形状の胸飾りになるため、ガオレオンの首の隙間には何も入らないスカスカ状態になってしまう。
これを防ぐため、本商品では「スペーサー」なる追加パーツが用意された(右写真矢印)。
平たい楔形のこのパーツを、下から隙間に挟み込むという寸法だ。
これにより、ガオレオンの首のブラブラが落ち着いて……といいたい所だが、実はこれ、なくてもほとんど問題がない。
確かにあった方が落ち着くのだろうけど、PA時にはどこにも行き場がなくなってしまうため、わざわざ使用するほどのメリットがない。
また、成形色がなぜか青色という、ガオレオンとはまったく統一感のないものとなっている。
それともガオコンドルの方に合わせたつもりだったのか?!
・ガオコンドル:
ガオゴッドの頭部・胸飾りを構成
ガオイーグルの色変え…と言いたいところだが、実は大部分が新造形というPA。
この商品の中では、もっとも形状が変化しているものである。
胴体部分に変更はないが、首が長くなった上に2段関節となっており、首の付け根辺りまでくちばしをまげる事が可能になっている。
頭部も、どちらかというと縦長の面持ちとなり、モヒカン状のパーツも手伝ってか全然違う印象を与えるようになった。
ガオゴッドの頭部になる尻尾部分はガオキングとは完全な別物で、しかも角部分が分離するようになっている。
これは、ガオゴッドの必殺武器「パワーボウ」に可変させるためで、両耳部分の角をそれぞれ180度反転させ、ガオジャガーにくわえさせる事によって弓状になるというものだ。
さすがに本編同様“弓を引く”姿勢はとれないが、なんとなく嬉しいギミックである。
弓パーツが外れてしまっても、さほど違和感がないというデザインも秀逸と言っていいだろう。
ガオコンドルもう一つの特徴は、その色彩パターンだ。
他のPAはなんとなく全体的な統一感が取れているのだが、なぜかガオコンドルだけはまったく違う。
否、異彩を放っているという表現の方がぴったりかもしれない。
頭部と尾は青、羽にも青やゴールドのツートーンが施され、胴体や足にはメタリックコッパーや黒と青、爪は金メッキ。
さらにくちばしやとさか、末端部各所はゴールドと、もうなんだかサイケデリック。
特に青なんて、他の構成PAには使用されていない色である事もあり、異様に目立つ。
それでもあまり浮き立った感がないというのは、もはや驚異のレベル。
ホント、ガオゴッドの全体彩色パターンを考案した人のセンスには、脱帽するしかない。
・ガオソーシャーク:
ガオゴッドの右腕を構成&深甚荒神剣としても使用)
全長約27センチにも及ぶ、さりげなく存在感のデカいPA。
身体の一部と武器が一体化構成されているという、ユニークな特徴を持っている。
もちろんこれもガオシャークの型利用なのだが、とにかく鼻っ面の巨大なノコギリが目立ちまくりで、こんなに素敵かわいらしいPAもそうはない <おい!
ガオゴッドの足首近くまで届くノコギリ剣のインパクトはものすごく、他を圧倒するかのようだ。
ノコギリにしても、安全基準に基づいて過剰に鋭利な部分はないとはいえ、ここまで緻密なモールドが組み込まれていると頭が下がる。
また、全身小豆色ラメの成形色というのも面白い。
金色と小豆色(シャアザクの胴体色よりやや明るめ…って感じ?)のツートーン、エラ部分のメタルコッパーなどもかなり印象に深く残るカラーリングだ。
ガオゴッドのパッケージ内箱はガオキングのものとほぼ同規格のため、収納させるためにノコギリ部分が外せるようにもなっている。
接続の際にちょっとだけコツがいるけど、一度はめ込んでしまえば二度目からは結構楽に脱着できるように感じる。
…それとも、これって個体差?
一応理屈の上では、ノコギリをはずしてさえしまえばガオエレファントのエレファントソードを装着出来る筈なのだが、筆者は試していない。
…万が一塗装がハゲてしまったら、可哀想…いやや、もったいないので(ビンボ症)。
口の中のジョイントは、ガオハンマーヘッドではなくガオシャークと同形状のものになっている。
ガオソーシャークは下顎の内側が黒で塗装されているが、このジョイントも黒の成形色で出来ているため、あまり目立たなくなっているのが嬉しい。
もちろん自身の尻尾を接続してフィンブレード状態にする事も出来るが、元々前方に長いのが飛び出ている訳だから、この状態でさらに武器を持たせると、コンパスみたいになってなんとなくおかしい。
尚、寒い季節など軟質樹脂が硬化しそうな時期に、ノコギリパーツをノーズ部分に挿入しようとすると、最悪の場合額の金色部分が割れてしまう危険があるので、充分に注意されたい。
事実、この撮影に使ったガオソーシャークは、その後ノコギリパーツをはめ込んだ際に派手に破損してしまい、えらい目に遭った。
恐らくだが、金色部分の材質が経年劣化していた可能性もあるので(それだけあっさりと割れ砕けたので…)、もしはめ直しをする際、固いかなと思ったら、力ずくにはせずドライヤーでパーツを温めてみるか、或いはジョイントの端を若干削り取った方がいいかもしれない。
ノコギリパーツはPVC製なので、カッターでジョイント側面部をカットしても、よほど雑に処理しない限り切り口はそんなに醜くならない。
(2012年12月 追記)
・ガオジャガー:
ガオゴッドの左腕を構成)
ガオタイガーの色違い。
以上、終わり。
という訳にもいかないので、塗装についてちょっとだけ。
ガオタイガーでは黒いラインの入っていた部分がやや窪んだ造形になっているのだが、ガオジャガーはその窪みの中に斑点状のモールドがペイントされている。
よく見ると斑点ではなく、四角だったり三角だったりと様々なパターンによって再現されていて、なかなか興味深い。
ただし顔の側面部分の塗装だけはモールドを無視して塗装されているかのようにも見え、ちょっともったいないような気がする。
全身はやや山吹色の入ったゴールドといった感じで、なかなかに綺麗だが、よく見ると身体の中心線に沿ったグラデーションが背中側に施されていて驚かされる。
どうやら造形的に変化が加えられない分、塗装に凝ったと見ても間違いないようだ。
さらに、四肢の手首部分にも注目したい。
ここは亜鉛合金パーツになっているが、全体がゴールドメッキであるのに対し、先端の爪部分だけは例のメタルコッパー塗装になっている。
これは意識していないとホント気付かないかもしれないくらいささやかなものだが、なんとなく嬉しいではないか。
でも、瞳のピンク色だけは…なんか浮いてるような気がするのは筆者だけだろうか?!
・ガオバッファロー:
ガオゴッドの下半身を構成
こちらも、ほとんど元であるガオバイソンと変化がない。
唯一頭部の構造と角の形状が異なっているが、それ以外は塗装変更のみだ。
ただし、その独特の配色のためになかなかの個性を発揮しているのも事実だ。
ゴールドの脚、メタルコッパーの蹄、ブラウンの胴体にゴールドのライン、そして巨大なゴールドの角…
一見地味に感じるが、よく見るとやっぱりかなり異彩を放っている存在のようだ。
ガオバイソンと同じ造形である以上、当然タンク形態のベースに変形する事が可能である。
ガオゴッドの太股部分はゴールドメッキで、さらにその裏側は黒一色のため、実は個人的にガオバイソンよりも統一感が感じられて好みだったりする。
しかし、これには一つだけ困った問題箇所がある。
とにかく角の接続が甘く、何をやってもポロポロ取れてしまうのだ。
ガオバッファローは、初期状態では右の角だけが外れた状態で封入されているが(それともたまたま外れただけ?) 、取り出して差し込んでも「ピッチリいけた」感がほとんどない。
なんか仮接続状態のままといった印象なのだ。
実際、合体させた時に角を上に向けるため動かすと、かなり高い確率でグラついてしまうようだ。
せめて、もう少し凹凸部を長く設計するなどの工夫が欲しかった所だ。
●展開
ガオゴッドは、一般販売化の要望がやはり高かったようで、かなりの数の意見が寄せられたと噂に聞く。
実は本編内ではほとんど目立った活躍がないのだが(パッと思いつくのは劇場版くらいだなぁ…筆者は)、その人気・注目度は高かったという事なのだろう。
増岡弘氏が演じたキャラクターの中で最高の人気になっちゃったりしたらどーしようかと、本気で心配してみたり。
それはともかく、玩具は待ち望まれた状況で大々的に発売されたという事だ。
これについては冒頭でも触れたが、とにかく大型玩具店では「次回入荷未定」とか「完売」といった記述が多く見られ、実際クリスマスよりも前の入荷時期に、売場に殺到する人々…という光景が見られたという。さぞや殺気立っていた事だろう。
しかし、戦隊玩具でこんな現象にまで至ったという例を、筆者は知らない。
というか、多分無かったんじゃないだろうか? 一時的に完売状態に陥った商品なら多数あったが、混乱にまで至ったなんて話は聞いたことがないし。
ガオレンジャーPA玩具のトリをつとめた「ガオゴッド」…そして、これが事実上の最終商品という事になった。
やはり、異例である。
年明けどころかクリスマス直後にはほとんど見かけなくなってしまった事を考えると、実質的な主力販売期間はたったの10日間ほどしかなかった事になってしまう。
その後にこの商品を入手できたという人は、かなりラッキーだったのだろうと思われる。
もっとも、やはり複数買いした人も多くいただろうから、そういう人達からの流出加減、または番組終了後に冷めてしまった人達の手放しによって、中古業界に流通しないとも限らないので、まだこの先相場がどうなる…といった事は言えないのだろう。
こればっかりは、ガオレンジャーに限らず毎年大なり小なりある事だし。
ちょっとだけ、プレミア系の話を。
筆者はその後「東京トイフェスティバル(2002,2/3開催)」というイベントに行って、PA関係商品がどれくらいの相場で販売されているかをちょっと見てきた。
その結果、ガオゴッドはだいたい12,000〜15,000円、ガオナイトなども10,000円オーバーという感じで販売されていた。
ブルームーンは、場所によってまちまちだった印象を受けたが、あまり厳密にはチェックしていない(汗)。
さすがにその価格帯で、しかも当時まだ放映が終了していない作品の商品が大きく動くという事はなかったみたいだが、そういう風に捉えられていたという事は興味深いかもしれない。
おそらく今後、プレミア対象商品としてより注目されていく事にはなるのだろうが、筆者としては、数年後などではなく最低十年以上先の結果に興味を感じる。
ガオレンジャーを子供の時に楽しんでおり、PAを集めたくてもそれが叶わなかった世代が自分のお金を自由に使える様になった時、どういう影響を与えるかだ。
これはプレミアの根元的な要因である訳で、もしも求める者それぞれにちゃんと行き届くくらいの数が流通してしまえば、価値はさほど高まらない。そうならなければ高くなる。単純な話だ。
そうなると、元々の数が少ないガオゴッドはどうなるのか?
皆がストレートに考えるように高額商品となるか、予想外の事態が起こって暴落するか…ちょっと長い目で観察してみたいと思う。
10.PA8 ソウルバード 定価2,000円
セット内容:
- ソウルバード
- ガオレンジャー人形×5
- 台車(脚部分)
- ガオの宝珠用フィギュア(ピヨちゃん)
- 取扱説明書
- シール
●ソウルバードの設定面:
ソウルバードは、そもそも“パワーアニマル”と呼称して良い存在なのかどうか怪しい存在であり、かなり異端な位置づけにある。
根元的誕生理由はどうやら他のPAと同じらしいが、卵から生まれたりぬいぐるみマスコット様の幼生体があったり、成体後も分離して幼生体に戻ってしまったり(いくら訳ありとはいえ)、何よりも役目が全然違う。
合体を完了させた精霊王の首の後ろ辺りから体内に入り込み、コックピット(?)の位置に収まる…というのがメインの用途だが、これが入る事によって明確に変わるのはガオキングの必殺技が「天地轟鳴アニマルハード」が「同・スーパーアニマルハード」にパワーアップするくらい。
その他の精霊王にも合体する訳だが、その際にはどういう変化を及ぼすのかがいまいちはっきりせず、筆者はほとんど覚えていない。
「いてもいなくても大した違いはない」とは言いたくないが、そう感じられても仕方のない存在…それがソウルバードだ。
そんなものだから、商品化したって大した人気は出ないだろうと高をくくっていたら…
●前評判:
これより前に「DXソウルバード(定価7,500円)」という商品が発売されていたが、評判はガタガタだった。
同時期に展開していたタカラの『電脳冒険記ウェブダイバー』の「DXグラディオン」と同様のシステムを用い、テレビに接続してミニゲームを楽しんだり映像を見たりできるというのがメインの売りだったようだが、はっきり言って惨敗だった上に途中回収までされてしまい、ガオレンジャー関連商品の中でも珍しく最初から最後まで冷遇を受けた商品だった。
で、消費者の誰もが、それ以外にソウルバードの商品を求めてはいなかった。
そのため、他のPAシリーズと関連ギミックを持つソウルバードの商品化、といわれても咄嗟に概要を理解出来る人は少なかったようで、当初は若干の混乱が生じていた。
だがしばらく後、「要はPAの頭数を揃えるための商品化である」と事情を察する人達も増えてきた。
●概要
本体全長約11.5センチ。
最頂部までで高さ約8センチ。
スケール感を豪快に無視した本商品は、前評判や人気・需要を無視すればかなり語るべき部分が詰まっている。
本体は胴体部と脚部の二つによって構成されており、 いわゆるコックピット形態の時は脚を接続して支持、側面部4カ所と後末端部のハッチを展開してガオレンジャーのフィギュア5体を固定する。これが、メインのスタイリングだ。
ただしガオレンジャーの人形とソウルバード本体の大きさの対比がドえらくいい加減なためか、本編のような並びは絶対に再現出来ず、あまつさえガオレッドの姿が正面からではまったく見えなくなってしまう(写真参照)。
フィギュアの大きさが1.5倍くらいのサイズだったら何の問題もなかったのだが…ま、その辺の事情は置いときましょう(^_^;
驚きなのが、「天地轟鳴スーパーアニマルハード」使用時に展開する“主砲(説明書表記まま)”の展開だ。
ソウルバードは必殺技の際に先端部から回転扇状のセンサー風パーツを伸ばすのだが、なんとこれが完全収納で、差し替えではない。
本体上面のガオレンジャーエンブレムを押す事で、ノーズ部分のハッチをせり上げて主砲がずいっと飛び出して来る。
これがなかなか豪快で、筆者は大変気に入っている。
残念ながら回転扇状部分は手で開いてやらないとならないが、このギミックはそれだけに止まらない。
なんとこの主砲、本体上面の右側のウイング(?)状の突起を押す事で回転させる事が出来る。
説明書読まなかった筆者は、これにかなり驚かされた。
本体のもう一つの大きなプレイバリューは、“精霊王に百獣武装”だ。
ソウルバードの脚部を取り外すと、その下からは精霊王の腕部接続ジョイントの凹部が出現する。
つまり、スケール感なんか気にしないでとりあえず腕に合体させて遊んでくれい!! といった感じなのだ。
この豪快さは、文章ではちょっと書きたくな…表現できないものがある。
本来は体内に収まっているくらいのサイズのものが腕からぶら下がる違和感…また、元々腕になる事を考慮してデザインされていない物体がその位置にあるという姿は、見る者に衝撃すらも与えかねない。いや、良い意味でも悪い意味でも…
いったいどれだけの人が、このギミックを心の底から喜んで迎え入れたのか、それがとても知りたい。
実は、ソウルバードにはもう一つのPA共通ジョイントがある。
それは本体と脚部をつないでいるジョイントで、なんとこれが、ノーマルガオライオンの腹の下と同様…つまり、上半身PAがソウルバード本体、下半身PAが脚部にあたるようなものなのだ。
説明書では、ガオライオンをソウルバードの脚部にジョイントさせてコロ走行させる遊びを提唱しているが…もちろん、誰もそこまでで止まるなんて事はないだろう。
筆者も、約0.5秒で考えた形態を作ってみた(写真参照)。こういう事に使用すると、これはなかなかに楽しいものである。
当然、各下半身PAの上にソウルバード本体が乗っている、という構図も作成可能だが、意外につまらなかったので写真は撮らなかった。チェッ。
ガオレンジャー5人の人形はだいたい高さ2.5センチ程度の大きさのもので、大雑把ながらもすべて別々な型から作られており、ありがちな流用ではない。
特徴的な部分だけとはいえきちんと塗り分けされているため、大変良くできていると思う。
さて、ここで「流用? 別々な型? 当たり前でしょ?」とお考えの方もいると思われるので念のため。
実は、こういうミニ人形系のオプションは、一つの人形の型から複製したものをそれぞれのカラーに塗り分けただけで再現しているケースが多く、古くは「秘密戦隊ゴレンジャー」から伝統的に受け継がれてきたものなのだ(?!)。
これだけ小さなものをちゃんと個別に製作しているというのは、結構すごい事なのだ。
ちなみに、前年度商品「未来戦隊タイムレンジャー」の『タイムフライヤー&レンジャーセット』を引っぱり出してみたが、やはり5体ともすべて共通の型のものを無理矢理塗り分けているだけのものだった。鬱…
最後に、珍しくガオの宝珠フイギュアにも触れておこう。
各PAシリーズにセット封入されているフィギュアは、別売りの玩具「獣王剣セット」に同梱されている5つの宝珠と組み合わせて遊ぶためのもの。
宝珠は二つに割れるカプセル状になっており、その中にフィギュアの台座部分を固定するようにしてはめ込む。これを剣の柄部分にはめ込んで、百獣召還のモーションを取る。
獣王剣に元々同梱されているガオキングの五体と、ガオハスラーロッドに付属するガオハンターの3体以外は個別販売もしくはセット売りのPAシリーズから集めなければならなくなっていた。
ところが、獣王剣やファルコンサモナーで召還しないソウルバードにまで、“ピヨちゃんの宝珠用フィギュア”が付いていたりする。
●展開
商品が期待されていたわけでもなく、DX版は回収されてしまう程の完成度、しかも本編でも全然有効利用されていないソウルバードは、一番人気のない存在だと言い切っても問題ないくらいだった。
だが信じられない事に、ある時期からこれは突然プレミアを付加した価格で取引されるようになってしまった。
価格こそ大したものではなかったものの、定価の2倍程度のやりとりが成されていたというから驚くしかない。
しかも、これは冬に入るか入らないかの頃の話だから、販売から大して時間がかかっていなかった時期らしい。
一体どういう事なのだろうか?
これには諸説あるが、2000年度商品の「タイムフライヤー&レンジャーセット」と似たような現象が起きたのではないかと考えられる。
これは、『3Dフォーメーション DXタイムロボ』との関連プレイバリューがあった事と、DXロボ玩具とほぼ同サイズのフィギュアが付属していたために一部で珍重され、当時タイムレンジャー玩具中唯一高額なプレミア価格が付いた現象だ。
これに当てはめて考えてみれば、なるほど、納得できそうな気もする。
もちろんこのガオレンジャーフィギュアは、他のPAとの関連プレイバリューは一切考慮されていない。
しかし、ある程度近い対比で比べられる唯一の玩具な訳だから、それなりに存在意義が見いだされていたのかもしれない。
また、やはりこれが欠けるとシリーズが全部揃わない、という如何ともしがたい事情もあったのでは、と思う。
いずれにしても、ある時期を境に突然その姿を見なくなってしまった商品であった事は間違いない。
2001年8月下旬に発売された本商品は、3ヶ月後くらいにはほぼなくなり始めていたという事になるだろうか。
商品を見てみても、なんとなく無理矢理プレイバリューを導入したようにしか感じられず、やはりそんなに売れるものではないという事をメーカーも意識していたのかもわからない。
その結果、生産数・出荷数を制限していたとしたら、こんな展開もあり得ない事ではない…などと考えてしまうのは行き過ぎなのだろうか?
これを最後に買い集めようとして、時期を逃してしまったという人は結構いたらしい。
筆者もその一人であったが、協力者の登場によって事なきを得た(首藤様、ありがとうございました)。
11.ガオパンダ
●詳細:
ガオパンダは、もちろんテレビ本編にはいっさい登場していないPAである。
小学館発行・2002年2月号の「てれびくん」付録“ガオアクセスCD”という物の中に収録された、ショートオリジナルドラマの中にだけ登場する。
当然映像もイラストしかなく(いつものCGと同様だが)、もちろん商品も販売はされていない。
ところが、てれびくん誌内では読者プレゼントとしてこれのPAシリーズ版を用意したらしく、そのために一部では大変有名になった。
しかし、ただ応募するだけのプレゼントではなく「ガオレンジャーの絵を描いて送ってね」という企画だったため、大人は事実上参加不可能なものとなっていた。
考えればなんとか応用の方法はあったのだろうが、リスクが大きすぎる。
筆者は、「転売業者や玩具コレクターを避けるために企画されたものではないか」と考えているが、うがちすぎだろうか?!
なんでもとある場所では、UFOキャッチャー系の商品としてこれが置かれていたというケースもあったらしいが、未確認のため詳細追求は割愛する。
さすがに筆者も現物は持っていないので、関連情報と“ガオアクセスCD”そのものの紹介をしていきたいと思う。
●概要
ガオパンダは、なんて事はないただの「ガオベアー&ポーラーの流用」によって完成してしまう程度の存在だ。
ガオポーラーの胴体にガオベアーの四肢を移植し、ちょっとだけ隈取りを施せばそれだけで完成してしまう。
もちろんシールの張り替えも必要らしいが、造形的にはそれくらいの違いしかないのだ。
で、対ではなくたった一体しか存在しない。
もちろん構造上から他のPAとの合体も可能ではあるが…元がガオピッグ&ポークでは…ねぇ。
一方「ガオアクセスCD」は、ミニドラマの他にクイズトーク、さらには主題歌「ガオレンジャー吼えろ!!」の6人合唱バージョンがフルサイズで入っていたりと、付録の割には妙に盛り沢山な内容になっている。
収録内容はさすがに子供向け全開という事でかなりお茶濁しの部分が多いが、ミニドラマは結構面白い気がする。
内容をちょっと紹介しよう。
●ガオアクセスCD:
ストーリー:
天空島に積もった雪にはしゃぐガオレンジャーの面々とテトムは、雪だるまを作ったりしてたのしく遊んでいた。
それぞれ自分のパートナーのPAを模した雪像を作るが、ホワイトの作ったものにだけたまたま泥が混じってしまったため、まだらになってしまった。
しかも、ホワイト自身の造形力のなさが手伝って、「どーみてもこれは“パンダ”だろ」ってな事になった。
当然怒るホワイト。
そんな時、突然ツエツエとヤバイバ登場!
新しいオルグ…雪だるまオルグ(声:松本大)も一緒に登場する。
雪上の対決!
しかし、雪だるまオルグの凄まじい冷気攻撃で、ガオレンジャーだけでなく他のPA達もまったく身動きがとれなくなってしまった!!
しかし、そんな時現れた新しいPA…それが、ガオパンダだった。
口から笹の葉の混じった竜巻を噴射して、雪だるまオルグを翻弄する!
どうやらパンダは冬眠する事のない動物らしく、その生息地の関係から意外と寒さには強いとの説明が入る(もちろん増岡弘氏による)。
形成逆転に至ったガオレンジャーは、さらに反撃!
ツエツエによって巨大化させられたオルグに対抗して、ガオキングに乗り込むガオレンジャー。
なんとか雪だるまオルグを倒せたメンバーだったが、いつのまにかガオパンダがいなくなっている事に気付く…
「ガオパンダは、ホワイトの作った雪だるまだったのかなぁ」
…だいたいこんな感じ。
クイズの内容は、5秒くらいですぐに解答が返ってくるという呼びかけ系。
それなりに番組を見ていたお子様ならば全部解答できそうに思えるが、一つだけ「同時に流れる4つのPAの鳴き声を全部答えろ」という難儀な問題がある。
それ以外の利点として、劇中の名セリフなどがデジタル音源として入手できるというものもある。
●影響
すでにガオレンジャーの新製品が一通り出終わった頃に登場した名前だったせいか、あまりマニアが注目したという印象がない。
もちろんプレゼントオンリーだという事もあるのだろうが、評判の悪かった「ガオベアー&ポーラー」の流用だったというのもあったのでは…と想像する。
はじめからあきらめムードだったと言い換えても良いかもしれない。
ネットオークションでもやっぱりこれは見かける事はほぼ皆無で、たまに自主改造によるものを出品している方がいた程度だった。
どうやら“26体目のPA”とは認めてもらえなかったようである。
ガオパンダ以外のプレゼントPAにも触れてみよう。
もちろんすべて筆者は未入手だが、どうやらここで紹介したもの以外にも
- ガオライオン ホワイトバージョン
- ガオライオン ブルーバージョン
- ガオライオン ブラックバージョン(DXブラックガオキングのものとは別)
- 金メッキバージョン PAシリーズセット
というものがあった。
この中で、筆者が見たことがあるのはガオライオンの白と青のみなのだが、これはDXガオキング付属の物の色換えバージョンで、なかなか上品な色使いで塗装されている逸品。
さりげなくケースに飾っておくといい感じのするものばかりである。
ホワイトバージョンは、たてがみ部分から上半身上面部分が銀、ボディは全体が白(パールホワイト? だったかどうかは未確認)、四肢の一部と爪の先端がゴールドの塗装になっている。
目はあまり記憶に自信がないが、たしかブルーメタリックだったような気がする。
ブルーバージョンは、まるでスフィンクスを連想させるような独特の雰囲気を湛えており、筆者は結構気に入っている。
…とまで書いてふと思った。その場合のスフインクスって、何のスフィンクスだっただろう…う〜ん…
…ま、いいか。
たてがみ部分から上面部がゴールドで、四肢の一部に銀、爪はゴールドであとはすべてブルーで統一されている。
確か尾もゴールドだったと記憶しているが、残念ながらそれ以外は覚えていない。
いずれも、胸部分だけはノーマルと同様黒の成形色のパーツで構成されている。
ブラックバージョンがどういうものだったのか、ホントに知りたい。
一部では、ブラックガオキングのものとほとんど区別がつかないと言う話だが、ホントだろうか?!
●全体総括
最後に「ガオレンジャーPAシリーズ」が与えた影響というものを、ここでもう一度まとめてみよう。
筆者が今まで色々と見たり聞いて回った話、そして自身で見てきた状況などを考慮すると、だいたいこんな感じではないかと思われる。
- 次作『忍風戦隊ハリケンジャー』以降に引き継がれるかもしれない、商品展開とメカの描写
- 1年間というスパンの割に多すぎる商品数、そして個人商店のためらいに反比例するような玩具への人気
- 限定版の存在
- 他番組との商品販売数の摺り合わせ
2や3については前2回で触れているのでここでは省略するが、誰もが興味を持つのは、やっぱり1ではないだろうか。
すでに発表されている「ハリケンジャー」のロボット旋風神は、ガオキング等とよく似た合体スタイルにも見え(これを執筆している段階では、まだ合体シーンを見ていないので断定は出来ないが)、また動物モチーフも継承している。
さらにこれとは別にカブトムシ・クワガタ型のメカによる合体ロボットも登場すると言われているが、そういった情報をそのまま受け止める限りだと、プレイバリュー的にも似たような路線を狙ってくるだろう事は容易に想像出来る。
問題は、そこから如何に受け手の予想を覆すかなのだが、それはまた別な話になるだろう。
ただ、ガオレンジャーで培ったコンセプトをたった一作きりで使い捨てるなどという事は、誰も考えはしないだろう。
PAシリーズと同様あるいはそれに迫る人気が出たら、という前提の話だが、ガオレンジャーの時の商品展開パターンを意識して、二の撤は踏まないように警戒するコレクターも出てくるだろうし、また、商品入荷数を計算・調整して対応してくる業者も出てくる筈だ。
どういう流れになるかはまるたで予想が付かないが、良い意味でスリリングかつ情報収集が楽しい一年になってくれれば良いかな、と考えてみる。
もちろん4も重要で、「仮面ライダー龍騎」の商品群との兼ね合いも見物となる筈だ。
以前にも触れたが、玩具展開はそれぞれの作品ごとでどれだけ売る…というものではなく、「全体でどれだけの商品数を用意し展開していくか」を考慮した上で計画される。
わかりやすく言えば、一つの家族が子供の玩具のために毎年出す金額の相場というものがわかっているため、これを度外視した展開を行う訳にはいかないのだ。
そのため、毎年これくらいの価格設定内で行こう…という計画が施行されるが、これには自社が提供している他番組の状況も含まれるという。
2001年度はガオレンジャーに押されたため、仮面ライダーアギトの商品展開を制限する結果となったというのは、なかなかに面白い事だ。
だが、これは別に近年始まった事ではない。
昔はまず商品数ありきで、そこから番組の数が決められる事があった。
ロボットが複数登場するなら、その数だけ作品を作るという発想だ。近年はこれが統合化し、一本の作品に複数のロボット等がでるようになったという事で、全体数…あるいはそれら商品の価格の総計は、毎年あまり変わらないのだという。
これはちょっと驚きかもしれない。