第54回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダースカル」
2010年6月15日 更新
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「ガイアメモリを仕事に使わないのが俺のポリシーだったんだが――やむをえん」
S.H.フィギュアーツに、おやっさん登場です。
今回は、劇場版オリジナルライダーにしてTV本編にも大きな影響を与えている名キャラクター・鳴海壮吉転ずる「仮面ライダースカル」のレビュー行ってみます。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダースカル
2009年12月11日〜2010年3月15日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
2010年5月24日配送開始(25日頃到着)。
同時配送物はないが、この三日前(21日)に「魂ウェブ限定・S.H.フィギュアーツ仮面ライダーライジングイクサ」が配送されている。
配送開始日の二日前(22日)より「FARキャンペーン第一弾」が開始され、この日に「仮面ライダーG4」が発売。
更に、配送後の二日後(27日)「キュアピーチ」が、更に四日後(29日)には「仮面ライダーG3-X」「仮面ライダーWファングジョーカー」が発売された。
全高は約14.5センチ(帽子含まず)
合計5種10個の手首付き。
帽子二種(通常・キズ有り)付属。
マフラー二種付属。
スカルマグナム一点付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込3,360円+送料・手数料。
仮面ライダースカル。
劇場版「仮面ライダーWビギンズナイト」に初登場、その後「仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー
THE MOVIE 超・電王トリロジー/EPISODE YELLOW」等にも登場(後者はディエンドによる召喚体)。
左翔太郎の師匠で鳴海亜樹子の実父、そして鳴海探偵事務所の先代所長でもあった鳴海壮吉が、スカルのガイアメモリとロストドライバーを使って変身した姿。
劇中の演出や台詞から、常に傍にいた翔太郎にすらその存在を知られていなかった様子が窺われる。
壮吉は私立探偵の業務ではガイアメモリを使用しないように心がけていたようだが、「ビギンズナイト」内の回想シーン中ではあえて禁を破り、タブードーパントの率いるマスカレイド・ドーパント達との戦闘のために変身した。
つまりは仮面ライダーWにとって変身前後共に先輩格にあたる存在で、決め台詞の「さぁ、お前の罪を数えろ」というのも、オリジナルはこちらである。
ただし、台詞時のポーズはWのものとは大きく異なり、右手の平を上に向けながら相手を指差すスタイルとなっている(更に「〜数えろ」の部分で指をクイッと動かす動作あり)。
なぜか変身前に身に着けていた帽子を変身後も着用し続けており、これがスカルにとってのトレードマークになっている。
回想シーンの他、劇中ではデス・ドーパントを名乗る「ダミー・ドーパント」の変身体としても現れており、唯一の武器・スカルマグナムで仮面ライダーWを追い詰めた。
鳴海壮吉を演じた吉川晃司氏のニヒルかつダンディな演技・吹き替えも手伝い、シリーズ中でも稀有な「純ハードボイルドな性質のライダー」となった。
しかし、同時に平成ライダーで初の「トォッ!」と叫んでジャンプするライダーでもあり、そのギャップも魅力の一つである(平成ライダーシリーズに再登場したRX等のような、昭和ライダー系は除く)。
スカルマグナムを利用したマキシマムドライブも可能で、その破壊力は仮面ライダーWルナトリガーを戦闘不能にするほどのパワーを秘めている。
仮面ライダースカルです。
基本的には「SHF仮面ライダーW」のリデコ品で、そのため構造・可動範囲は同様になっています。
付属品を除くと、頭部・胸パーツ・手足首のリングパーツが新規造形です。
「おやっさん…!」
『落ち着け翔太郎、そんな事はありえない』
「そ、そうだ…ありえねぇ!」
「半熟には帽子は似合わねぇって言ったよな、翔太郎?」
このシーン、本当は変身解けてるんだけどね。
前面と背面、帽子なしの状態で比較です。
サイクロンジョーカーより大きくはっきりしたマフラー、肋骨をイメージした胸の模様が独特ですが、それより何より「触覚とOシグナルが存在しない」マスクが異彩を放っています。
また、黒一色のボディも(アンシンメトリカルなWのデザインに慣れてしまうと)かえって新鮮に思えます。
頭部アップ。
本編を観ておらず、また詳細設定を知らない人が見たら間違いなく「悪役」と直感しそうなテザインがイカしてます。
なんとなく、昭和40年代頃までの「マンガ映画」に登場しそうな、悪役チックな雰囲気がありますね。
特に九人の戦鬼と人が言いそうな方々の。
それでも、巨大な複眼の奥にはしっかりパターンが入っていて、やっぱり仮面ライダーなんだなと再認識。
帽子を被った状態を各方向から。
PVC製の帽子はスカルの頭部とちょうどピッタリのサイズで、被せた後にグッと上から軽く押さえると安定します。
こうすると、本体を逆さまにしても帽子は落下しません。
帽子の装着はかなり融通が利き、よほど無茶しない限り、特定の角度じゃないと安定しないといったことはありません。
帽子は、通常のものと“タブードーパントの攻撃でキズが入ったもの”の二種が存在。
前者は本物、後者はあえてダミードーパントが変身した偽者と解釈するのもありかもしれません。
片方の帽子はアシスタントに持ってもらいました。
ただし、帽子を装着して飾る場合、忘れてはいけない問題があります。
実はこの状態で長時間(せいぜい数時間程度)飾ると、スカル頭部の銀色が帽子の接触面に癒着してしまう現象が起こります。
帽子自体は裏面未彩色なので、一応塗装皮膜癒着対策を考慮した感はあるのですが、頭部の色剥げは勘弁して欲しいところです。
これを避けるためには、帽子を被せないで飾るか、或いは色移りが起こらないようにコーティングを施す必要があります。
そこで対策として挙げられるのが、「半光沢トップコート」の使用。
「仮面ライダーBLACK」「同・RX」の胸マーク保護でも使用推奨されていたものですが、今回もこれが役に立ちます。
これをスカル頭部に軽く吹きかけて完全乾燥させることで、色移りが起こらなくなります。
今回撮影に使用しているものは、コーティング処理後約5日以上帽子を被せ続けたものですが、色移りはゼロです。
「その写真のはどう見てもトップコートじゃないんだけど」というツッコミは勘弁の方向で。
筆者はスーパークリアーの方を使ってますが、今のところバッチリですね(SHFアルティメットの金色保護にも使用しました)。
トップコート使用については、いきなり行わず必ず使い方を調べましょう。
出来れば何かで一度練習してからの方がいいと思います。
いきなり吹きかけるのはNGで、別な場所に向けて吹きながら対象物を横切らせるようにするのがオーソドックスです。
それから、一見かかってないようでもしっかりかかっていますので、何度もしつこく振りかけたりしないようにしましょう。
トップコートがかかっていると見ただけでわかる状態は、明らかにやりすぎです。
製品に手を加えるのはどうしても抵抗があるという人は、癒着保護用によく用いられるビニールをカットして、帽子の下に被せるという対策もあります。
ただし、サランラップのように癒着してしまうものや、テープのようにノリ部分が劣化してしまう物は使わない方が無難です。
そんなものを使うくらいなら、まだトップコート使用に踏み切った方がマシです。
木工用ボンドを帽子の内側に塗るのは最大のNG。
結局スカル頭部の色剥げは防げませんし、完全硬化すると素材を巻き込んで劣化したり、ともすればスカル頭部表面を傷付けてしまう可能性もあります。
(木工用ボンドは弾力性を持ちながら固まると誤解している人がいますが、それは充分乾燥していない状態というだけで、最後はガッチガチに固まるものなのでお間違いのないように)
色移り問題があるなら、帽子を手に持たせて飾れば……と言いたいのですが、残念ながら形状的にそれが叶う手首はないようです。
今回、新規造形として「帽子支え用手首」というものが付属しますが、これは既に被っている帽子に指を添える「かっこつけ用」で、保持力はないのです。
まあ末端部を身体で支えるようにすれば、他の手首使用でなんとか飾れなくはないですが。
付属手首ですが、先述の帽子用手首はポージング用として最良のパーツです。
斜めに構えた動作が、これにより更に引き立ちます。
マフラーは、通常のものと風にたなびいているものの二種類が付属。
一旦首を外さなければならないので、交換はちょっと面倒。
また、これを装着すると首の自由度が低下します。
カブト系のような、首のジョイント軸が長めなものと交換すると、ちょうどいいかもしれません。
たなびくマフラーパーツは、これくらいの長さです。
マフラーを外すとこんな状態。
動かしやすそうではありますが、やっぱり首元に壮絶な違和感が。
そういえばSHFスカルは、側頭部上方のくぼみが再現されていませんね。
再現すると、帽子かぶれなくなっちゃうのかな?
ロストドライバー。
今回もガイアメモリは無彩色ですが、スカルメモリは黒系なので違和感は少なくて済みそうです。
ジョイントの形状のせいか、なぜか異常に外れやすくなっているので注意が必要です。
Wのダブルドライバーと比較。
ちなみに、Wへの転用は可能ですがその逆はジョイント形状の都合で出来ません。
また、ロストドライバーをWに着けると、本来の位置より左にずれてしまいます。
スカルマグナム。
言うまでもなくトリガーマグナムのリペで、マキシマムドライブ時の物と同形状。
スカルメモリ装填時(DXスカルマグナムのギミック参照)の折れ曲がり状態は付属しません。
Wルナトリガーのトリガーマグナムと比較。
色が変わるだけで印象も全然違います。
Wのマーク位置が目立たないように塗り分けされてるのが見事というか。
スカルは、なんとなく両手で銃を構えるイメージが出てこない…。
片手で構えて、しかも視線は僅かに逸らしてるようにすると格好良いかもしれません。
DX版のパッケージデザインの印象、かなあ?
劇中ではあまり多用されなかったスカルマグナム。
ここぞとばかりに好き勝手なポーズを取り捲る。
サイクロンジョーカーと並べて、師弟揃い踏みとか。
デザインラインがほぼ同じなせいか、すごく様になります。
「さぁ」
「お前の罪を」
「……数えろ」
最後は、師を師とも思わぬヒートジョーカーのバーニングパンチ炸裂!
いやこの場合は偽者ですが。
【買ってみて一言】
製品としては、特に可もなく不可もなくといった感じで、無難にまとまっている反面「突出した魅力がない」ものでもあります。
多少厳しい評価ではありますが、基本仕様はルナトリガープラスアルファに過ぎないわけですから、これはしょうがないことでしょう。
スカルの場合は、「ビギンズナイト」を観て補正がかかっているか否かが、購入決断の決め手になると思われます。
劇中での圧倒的なかっこよさに魅了されていれば購入を躊躇う理由はないでしょうが、そうでなければ“カラフルさがないWのリデコ”の範疇を出ませんから、欲しくない人がいても仕方ありません。
また、ジョーカー用の武器持ち手確保用としての意味合いも、「ヒートセット」によって薄まりましたから※、更に旨味が薄まりました。
これの少し前に配送された「ライジングイクサ」の豊富なプレイバリューと比較すると、確かに見劣りする面は大きいと考えられます。
ですが、「スカルボイルダー」発売が確定したことで、このマイナス面は大きく補われると言っても過言ではないでしょう。
スカルボイルダー自体「SHFEXマシンハードボイルダー」のリペ商品ではありますが、一応は(ポピニカの流用ではない)新規造形バイクに搭乗させられるわけで、他のフィギュアーツライダーよりよほど恵まれた存在に昇華させられます。
スカルの受注期間は基本的に劇場版公開時前後だったので、DVD発売後に魅了されたファンは時既に遅しとなっているケースも多いようです。
とりあえず注文しといて、後悔は後ですればいい、という事は、玩具ファンの間でよく言われることですが、スカルは正にその代表例になってしまったようですね。
尚、スカルの受注期間は2009年12月11日〜2010年3月15日でしたが、同月配送の「ライジングイクサ」は2010年1月29日〜3月8日と、後から始まり先に終わる結果となりました。
受注生産品というものは、企画時に生産予定数を設定しこれに達した時点で締め切るものですが、その観点で観ると受付時の需要はスカル<Rイクサだったように思えます。
無論、Rイクサの方がスカルより設定数が少なかった可能性もありますから断言は難しいですが、一応そういう考え方もありうるかも、ということです。
ちなみに、Rイクサは配送開始後に物凄い数のヤフオク出品があり、ついには定価割れを起こすなど明らかな需要過多が発生しました。
ひょっとしたら、大人気を博して売り場から即なくなった「仮面ライダーイクサ」の状況を考慮した人達が、Rイクサでも高値転売が出来るかもと考えて大量に申し込んだのかもしれません。
実際はなんともいえませんが、もしそうだったら「なんだかなぁ」と言わざるを得ません。
※「仮面ライダーWヒートセット発売前および「マシンハードボイルター」発売確定前の話です。
ジョーカーは武器を持たないので、メタルシャフト保持用・トリガーマグナム保持用手首のどちらも必要がない筈で、そのためヒートセットにはジョーカー用の武器持ち手が存在しないのでは、という憶測が囁かれていました。
そのため、武器持ちライダーであるスカルから黒い左手首を流用すれば、市販のバイク玩具に乗せて遊べるのではと考えたファンが(筆者も含め)ある程度いた模様です。
ところが、ヒートセットに武器持ち手がなぜか付属したため、無理にスカルの手首を流用する必要性がなくなったわけです。
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