第94回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダーナイトサバイブ」
2013年1月3日 更新
以前「仮面ライダー龍騎」をレビューした時に、“もし今後龍騎サバイブが出たら…”といった事を書いたのですが、念願叶い? 約一年と三ヶ月の間を置いて二体のサバイブが商品化されました。
よかったね、左前腕のジベットスレッドを接着しないでおいて!
というわけで、今回はサバイブライダー(という表現は聞いたことないけど)二体を同時レビューしますが、まずは先にサバイブ化した方から。
■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダーナイトサバイブ
2012年11月23日発売。
同時販売物は、「イタッシャーロボ(非公認戦隊アキバレンジャー)」。
2012年11月のラインナップは、以下の通り。
- 11/10 「仮面ライダースーパー1」
- 11/26(配送開始日)「イエローバスター&ウサダレタス(特命戦隊ゴーバスターズ)」「パワーダイザー(仮面ライダーフォーゼ)」「レオ・ゾディアーツ(フォーゼ)」「セル完全体(ドラゴンボール)」(すべて魂ウェブ限定)
全高は約14.3センチ(頭頂部まで)。
合計8種9個の手首付き。
ダークシールド付属。
ダークブレード長短2種付属。
マントパーツ(計4パーツ構成)付属。
アドベントカード7枚付属。
専用台座付属。
価格は税込3,675円。
仮面ライダーナイトサバイブ。
「仮面ライダー龍騎」23話より登場。
親友・斉藤雄一の仇であるミラーモンスター・ガルドサンダーと対峙した仮面ライダーライアこと手塚海之は、(仮面ライダー龍騎に変身する)城戸真司に事情を尋ねられる。
実は、神崎士郎によってライアに選ばれていたのは、手塚ではなく斉藤の方だった。
だが斉藤は、ライダーとして闘うことを拒絶し、ガルドサンダーに殺されてしまった。
手塚は、斉藤の判断と固い意志を正しいものと捉え、彼の信じた正義を無駄にしないため、また変えられない運命を変えるために、ライアのカードデッキを引き継いでいた。
そんな手塚に、神崎は「疾風のサバイブカード」なるものを手渡していた。
神崎の目的は、斉藤をダシに手塚を挑発し、遅々として進行しないライダーバトルを活性化させようというものだった。
しかし、マッチの火占いで次に消えるライダーが誰かを察知した手塚は、疾風のサバイブカードを(仮面ライダーナイトに変身する)秋山蓮に譲渡し、真司には警告を告げ、自ら闘いの運命に身を投じた。
仮面ライダー王蛇に変身する浅倉威は、とある経緯で、手塚がライダーとして闘う理由にも関わっていた。
そんな彼と対決することになった手塚は、戦闘の直前に士郎に告げられた言葉に心乱されており、王蛇に押され気味になってしまう。
そこに龍騎が割って入り、ライアを助けるも、今度は龍騎が追い詰められてしまう。
王蛇はファイナルベント「ベノクラッシュ」で龍騎を狙うも、ライアは身を張って龍騎を助け、代わりに自身が直撃を食らってしまう。
瀕死のライアと彼に駆け寄ろうとする龍騎、そして更なる攻撃を加えようとする王蛇。
そこに現れた仮面ライダーナイトは、龍騎達をかばいながら疾風のサバイブカードを取り出し、変身。
仮面ライダーナイトサバイブと化したナイトは王蛇を圧倒した。
仮面ライダーナイトサバイブは、神崎士郎から手塚海之経由で手にした「疾風のサバイブ」カードを用い、仮面ライダーナイトが二段変身した姿。
全身の青色が明るくなり、ボディスーツ部分が黒色化、更に全身に金色の部位が加わる。
ナイトの時と比べて装備が変化し、使用できる武装も変わったが、身体能力も大幅にパワーアップを果たしており、その時点での最大の強敵・仮面ライダー王蛇をも余裕で敗退させるほどになった。
召還機であるダークバイザーは、サバイブのカードを翳したと同時に「ダークバイザーツバイ」という新しい形態へと変化し、装備位置も左腰から左前腕に変わる。
更に、契約モンスター・ダークウィングも連動して「ダークレイダー」に進化する。
ダークバイザーツバイは「ダークシールド」と「ダークブレード」に分離可能。
また、「シュートベント」ダークアロー(ボウガン)や「ブラストベント」ダークトルネード(ダークレイダーの翼から発する突風攻撃)、「トリックベント」シャドーイリュージョン(分身)などの能力も使用可能。
ファイナルベントは、ダークレイダーが変型したバイクに搭乗し、錐状に変化したマントで全体を包んで突進する「疾風断」。
さて、仮面ライダーナイトサバイブです。
上の説明だと、ナイトサバイブの登場過程というよりライアの退場劇の説明みたいに感じますが、実際に本編も「ライア退場劇9割・ナイトサバイブ新登場1割」といった内容だったので、仕方なかったりします。
それはともかく。
所謂主人公ライダー最終フォーム的な位置づけのスタイルなわけですが、主役を差し置いてサブライダーの方が先に強化(しかもどう見ても棚ボタ式で)するという、シリーズ中でもかなり異色な存在です。
フィギュアーツとしても、龍騎サバイブより一ヶ月早く発売されました。
本編では、最大二ヶ月と三週間も間が空いていましたが……
ナイトサバイブというと、R&Mではミラーモンスター「ダークレイダー」とのセットという構成でしたが、装着変身版と今回は単独です。
というか、R&M以降ダークレイダーの再商品化の気配が全くありません。
これは龍騎サバイブにとってのドラグランザーも同様ですが、双方とも変型ギミックとプロポーション維持の両立という命題があるせいなのか、なかなかスムーズに行かないようです。
これを書いている時点で、サバイブミラモンのアーツ化のアナウンスは、全くありません。
今後是非商品化して欲しいところなんですが、果たしてR&M時の数々の問題点をクリアできるのか、そこが不安点といえましょう。
※2016年5月追記:
ドラグランザーは2016年4月、ダークレイダーは同年8月に魂WEB商店にて発売・配送が確定しています。
ようやく商品レビューですが、今回はマントのせいで横幅が広いので、前面背面比較ではなくバラバラに見て行きます。
まずは、正面。
大まかな特徴はナイト時の意匠を継承していますが、実際は殆ど別物と言って良いほど様変わりしています。
また、装甲部分にメインカラーが移り、スーツ部分が(龍騎・ゾルダを除く)他のライダーと同じ黒配色になった点が最大の特徴です。
仕様上、ダークバイザーツバイが大型化していますが、そこはご愛嬌。
背面。
マントの構造と接続方式が、今回ちょっと特殊になってますが、それは後述。
頭部アップ。
今回も、充分なほど良く出来ています。
ゴーグル奥に青い目があるのですが、ナイトの時より目立たなくなってしまい、下手すると目があることになかなか気付けない可能性もありそうです。
斜めから。
ナイト時はこの角度で目が見えたものですが。
前面に突き出した形状のゴーグルは、しっかり再現。
金色と銀色の境も、問題なくきっちり分けられています。
若干首が短めに感じられますが、実物はさほど気になるものではありません。
むしろ、ナイトの方が長すぎでは? と後から思えてくるくらい。
仮面ライダーナイトとの側面比較。
R&Mのレビューの時もやりましたが、似ているようで結構形状が異なってます。
多分この角度が、一番違いが判るんじゃないかなと。
目の位置が相当下がってるようです。
次に、可動範囲。
ナイトサバイブは、肩の構造がやや特殊なため、若干癖のある可動になっています。
画像は、腕をそのまま普通に最大まで上げた状態。
真上にはとても向けられません。
これは、肩アーマーが干渉しているからなんですが。
肩アーマーは、これまでと違って胴体側に接続されています。
画像は、一つ前のポーズを真横から撮ったものですが、肩アーマーの基部が胴体から生えているのがわかるかと思います。
この基部は前後に若干スイング可能で、腕を上げると少し後方に移動します。
これで若干の可動範囲拡大を図っているわけですが、肩アーマーの形状もあって、やはり自在な可動を表現、とはいきません。
もっとも、これは問題点では決してなく、より劇中のスーツ構造に近づけたという意味でむしろ賞賛されるべきポイントじゃないかと考えられます。
肩アーマー下部の出っ張りを避けるように腕を回して上げれば、ここまでのアップが可能になります。
でもさすがに、バンザイポーズまでは取れそうになく。
マントの接続について。
R&M及び装着変身版ではジベットスレッドに接続されていましたが、今回は専用スリットに固定します。
これは普通に差し込むと接続が緩く感じられて、すぐポロリしてしまうといった印象になりますが、実は「カチッ」と音がするまで差し込めば、しっかり固定されます。
固定後に引き抜くのも、問題なく行えます。
「ダークキバ」「キバ・エンペラーフォーム」以来もはや定番となった感がある、二枚重ね式のマントは、横に大きく広げられます。
マント一段目は上下可動のみ、二段目は横に広がります。
画像は、マントパーツの重ね合わせ部分に隙間が出来ない範囲で最大に広げた状態。
横幅は、この状態で約26センチ。
マントはPVCではなくABS製で、尖ってる部分はマジ凶器なので、注意が必要です。
この撮影中も、思い切り指にブッ刺さりやがりました。
Vバックル。
同じくサバイブ化している(という設定の)オ−ディンが金色なのに、何故か変化がなく銀色のままのベルト。
構造はこれまでと全く同じで、カードデッキも取り外せます。
今回は、ナイトの時のような色間違いはないです。
でも、紋章周囲の飾りの形状がいささかアレ。
足の裏は、ナイトと変わらないデザイン。
さりげにつま先が、ダイキャストからABSに変わっています。
ちなみに、今回は自立性が悪く、下手したら足首合金製組の中では最低かもしれないほどなんですが、このつま先は関係ないようです。
念の為、つま先がダイキャスト製の龍騎サバイブと足首を交換して検証しましたが、殆ど変化ありませんでした。
自立性の悪さについては、後述します。
ダークバイザーツバイ。
このサイズの可動フィギュアとしては、完璧に近いギミックを備えている優れものアイテム。
R&Mや装着変身の時の不満を全て解消する出来で、ある意味最大の注目ポイントです。
ややでっかいけど。
まずは、仮面ライダーナイトに装着させて……
ナイトの左前腕からジベットスレッドを取り外し、ダークバイザーツバイを装着させることが可能です。
装着は、特に問題なくそのまま行えます。
劇中では、「疾風のサバイブ」カードを取り出し構えた時点で、ダークバイザーが変型。
カードをベントインさせることで、サバイブへ変身が始まります。
サバイブカードは、本体下部外側のスリットに挿入します。
一応、構造的にはこのまま入れ続けて問題ない筈なんですが、実際に挿入するとすぐにカードが脱落します(所謂静電気的な固定は発生しません)。
実際に装填して遊ぶ場合は、すぐ取り出した方が賢明そうです。
さもないと、すぐなくしそうで非常に神経を使います。
ダークバイザーツバイのカードトレイは、蓋部分が開閉可能。
蓋部分は、ちゃんと半透明素材になっています。
各種装備や技系のカードは、こちらに挿入。
カード持ち用手首で、ダークバイザーツバイにベントインさせる動作も再現可能。
実際は、関節の曲げ具合とか位置調整とか色々大変ですけど。
それでは、続いて武装関係のギミックを。
まずは「ソードベント」。
ソードベントで、ダークバイザーツバイが分離。
ダークブレードとダークシールドに。
ダークブレードは大小あり、シールドに合体していた小を取り払って、大の方を持たせます。
ダークブレードを取り去った後のシールドの穴には、きっちりモールドが刻まれていて、安っぽさはありません。
ダークブレード大のカードトレイ部分も、やはり開閉可能です。
ソードベントと並行でベントインを行う都合、ダークシールドを掴む左手にも、専用のカード掴み手が付属します。
この左カード掴み手は、バイザーのグリップ部分を握らせる為の隙間と、カードをつまむ指が共存している構造で、今回初登場の新規造型手首です。
ですが、これが入ったせいなのか、今回は左手首のバリエーションだけがやたらと少なめになっていて、この手首を含めて二種類しかありません。
合計8種9個の手首付き、というおかしな内訳の原因は、ここにあります。
ダークバイザーツバイを通常モードに戻して、今度はシュートベントを。
ノーマル時には存在しなかったモードが、パワーアップ変身後に付加されるという設定が、個人的にすご良い感じです。
ダークバイザーツバイ側面の弓を展開することで、「ダークアロー」に変型。
ダークブレードの柄部分が矢(正確には射出口)になります。
シュートベント「ダークアロー」。
光の矢を射出するという、それまでのナイトが持っていなかった遠距離攻撃。
剣二本持ちから、剣とボウガン持ちに変化というアイデアが光る装備です。
龍騎サバイブと共にシュートベント。
こうして見ると、どちらのバイザーも良いサイズバランスに感じられるのが不思議です。
付属するアドベントカード一式。
左上から、疾風のサバイブ・アドベント(ダークレイダー召還)・ソードベント(ダークブレード)・シュートベント(ダークアロ−)。
左下から、ブラストベント(ダークトルネード)・トリックベント(シャドーイリュージョン)・ファイナルベント(疾風斬)。
右下は、各カードの裏面。
トリックベント再梱がさりげに嬉しい内訳です。
仮面ライダーナイトとの比較。
ナイトは、この姿だとマントの重量で後ろに引っ張られますが、マントの端がつっかいになるため、自立が成立します。
対してナイトサバイブは、ある程度姿勢を低くしないとマントの端が接地しないため、つっかいがなく、自身の足首の保持力だけで自立しなければなりません。
ですが、マントが結構重いので、どうしても後ろに引っ張られてしまい、非常に自立させづらくなっています。
無論自立は可能ではありますが、かなり前のめりにしないと苦しいです。
所謂「S字立ち」をさせるためには、かなり神経を使います。
足首の説明の部分で「下手したら足首合金製組の中では最低かもしれない」と書いたのは、こういうことです。
もっとも、今回は専用の魂STAGEが付属しますので、特に文句をいうほどのものじゃないとも思うんですが。
今回は、専用台座が付属します。
綺麗なクリアブルーの台座に、金色の印刷が割と映えます。
なんとなく、カードデッキみたいに見える構図なのも面白いですね。
ナイトサバイブを立たせた状態。
魂STAGEは、(もう今更書くことでもないですが)ACT-4仕様。
ありがたい魂STAGE付属ですが、正直ナイトサバイブを素立ちで飾る場合は、注意が必要です。
二枚のマントの隙間を通すようにアームを設置しなければなりませんが、支柱の関節部の幅がマントの隙間より大きいため、そのままではスムーズに嵌りません。
若干マントを浮かせる必要があるんですが、これがいささか厄介です。
重大な問題では決してありませんが、ちょっとてこずる問題箇所ということで気に留めておく必要があるかな、といった程度のポイントですね。
以上、仮面ライダーナイトサバイブでした。
【買ってみて一言】
既に書いたことですが、これまで発売されたナイトサバイブで唱えられた不満点の殆どを解消するような、非常に良い出来の商品です。
細かい所にも気が配られていて、満足度はかなり高めかなと。
腕や肩、マントの可動範囲など癖のある部分もあるにはありますが、これらは元デザインが影響している点なので、商品の抱える問題とは言い難いでしょう。
問題点が少なく、非常にありがたい商品なんですが、あえて疑問点を挙げるとすれば、左手首の数だけ異様に少ない点でしょうか。
先にも触れた通り、今回は右手の数が6種に対して、左手がたった3種しかなく、しかもそのうち二つは「握り拳」「バイザーのグリップを握る手」という、表情付けの役には立たないものなのです。
龍騎のように、一時的にグリップから手を離した状態などを再現するための開き手などは一切なく、そのためいささかバランスが悪くなっている気がします。
この一ヵ月後に発売された龍騎サバイブは、(バイザーの形状が異なるとはいえ)全10種15個(内2種2個は、ノーマル龍騎用ボーナスパーツ)と非常に豊富な手首オプションを誇り、更に完全新規造型の手首も一つ含まれるため、益々気になります。
新造手首が一点付属するために、いくつもの既出手首(のリペ)が犠牲になってしまうものなのかと、つい以前流行った?「コストが云々」問題を思い出させます。
まあそれでも、これらは深刻な問題点とは言い難い気もする点なので、これによって商品評価が下落するということはほぼないでしょう。
あと、最後に付け加えるなら、とにかく突起部の危険性に気をつけるべきかと。
マントの先端が危険というのは先ほども触れましたが、バイザーのグリップ部にある銀色のツメ状パーツにも、注意が必要です。
拳パーツにグリップを握らせる際に、この部分がどうしてもユーザーの手に触れがちですが、結構尖っていて痛いので、怪我及び破損には気をつける必要があります。
というわけで、次は「仮面ライダー龍騎サバイブ」のレビューに移ります。