第131回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「ライダーマン&ライダーマンマシンセット」
2015年6月6日 更新
ライダーマンマシン、別名(?)スズキハスラーTS-250。
これまで、昭和ライダーのバイクの中でも商品化のハードルが最も高いと云われて来たものですが、恐ろしいもので、「ポピニカ・スーパーマシンシリーズ」に続き、とうとうフィギュアーツ化までしてしまいました。
Xライダーの「クルーザー」も商品化決定していますし、昭和ライダーフルコンプの本気度が伝わってくるようです。
というわけで、今回はライダーマンとライダーマンマシンのセットを、レビューしてみたいと思います。
って、ライダーマンダブっちゃったけど、気にしない!
■ S.H.フィギュアーツ ライダーマン&ライダーマンマシンセット
2014年12月25日〜2015年2月22日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
2015年5月19日配送開始(20日頃到着)。
同時配送物は、下記参照。
2015年5月のラインナップは、以下の通り。
- 5/19(配送開始日)「ライダーマンマシン/単品版(仮面ライダーV3)」「キュアリズム(スイートプリキュア!)」「ジースタッグ&レッドルセット(重甲ビーファイター)」「ハーレークィンINJUSTICE ver.」(すべて魂ウェブ限定)
- 5/23「セーラーちびムーン」
- 5/25(配送開始日)「ジャスピオン(巨獣特捜ジャスピオン)」「ギルハカイダー(キカイダー01)」(すべて魂ウェブ限定)
- 5/30「ヨッシー」「魔進チェイサー」「ライドチェイサー」
ライダーマンとライダーマンマシンのセット。
ライダーマン全高は約14.2センチ。
4種8個の手首付き。
マフラー二組付属。
ロープアーム付属。
パワーアーム付属。
ドリルアーム付属。
カマアーム用先端パーツ付属。
スィングアーム用先端パーツ付属。
ロープアーム用紐(長短二種)付属。
ライダーマンマシン本体、全長は約18センチ。
交換用ハンドル一組付属。
後輪スタンド付属。
価格は7,560円(税込)。
ライダーマンマシンは、先の通り「スズキ ハスラーTS-250(左記以外の細かい型番は諸説あり)」が元車……というより、ミラー取り外し以外無改造でそのまま使用されていました。
他のライダーマシンは、いずれも派手な装飾を施されていましたが、何故ライダーマンだけノーマルバイクをそのまま? と不思議がった人も多かったようです(筆者もその一人)。
恐らくライダーマンマシンと全く同一の車両ではないかと思われるものが、だいたい同じくらいの時期に製作された他の東映作品にも登場していることから、当時生田スタジオに常備またはそれに近い形で使用されていた物を、何かしらの都合でそのまま使っていたのではないかとも噂されていました。
まあ実情はともかくとして、それくらいパッとしない普通のバイクなのですが、昨今ではそれが逆に個性となって、好意的に評価されることもあるようです。
一応、ライダーマンマシンは「最大時速250km」「シートの下にマスク収納可能」といった設定上のみのギミックがあるのですが、後者は形状の都合無理のある設定なせいか、本商品を含め、再現された商品はありません。
もし、撮影用バイクを本当にそのように改造出来ていたら、後年一般化する「メットイン」の先駆けになっていたかもしれませんね。
ライダーマンマシンの商品は、それだけで見ると何の特徴もない古いバイクのミニチュアに過ぎませんが、2015年にもなって1973年当時の市販バイクの可動モデルが発売されたと考えると、また違った意味で味わいが出て来る気がします。
2015年2月配送の「白いカラス(人造人間キカイダー)」同様、貴重な存在になるかもしれません(プレミアが付くとかそういう意味ではなく、ですが)。
フロントビューとリアビュー。
ナンバーはやっぱり真っ白。
サイドビュー。
ライダーマンマシン(ハスラー)は、マフラーの形状の都合で左右非対称になっています。
実車の写真と比較してみるとわかりますが、右側面に見えるマフラーの長さや形状、配置などは、若干のズレがあるもののかなり忠実に再現されています。
もっとも、そのズレも写真のアングルのせいで、そう思えるだけかもしれません。
ハリケーン同様、「SUZUKI」のロゴは絶対に外せませんねぇ。
フロント部アップ。
サイドミラーが付いていませんが、これはオリジナル準拠です。
それはいいのですが、ブレーキケーブルやクラッチケーブルが省略されているため、ハンドル周りの違和感が凄いことになっています。
ここが、本商品の問題点の一つ。
これまでのライダーバイクも、ケーブルの再現はオミットされていましたので、決してライダーマンマシンだけの問題では(本来)ないのですが、こちらは下手なデコレーションがなく、オリジナルそのままの外観なので、更に目だってしまうといったところでしょうか。
ハイエイジトイなんですから、ここはなんとか再現して欲しかったところです。
前輪部アップ。
今回も、ケーブル二本が一体化。
しかも今回は、途中で露骨に途切れていて、もう違和感どころの騒ぎじゃありません。
ホイールは、スポークが太くなってしまったものの結構頑張って再現しています。
ブレーキ周辺の構造も、オリジナルを踏襲。
メーターは、シールで再現。
実にシンプルなハンドル周りです。
エンジン周りも、精密ではないもののかなり良い雰囲気を出しています。
タンクやクラッチカバーの「SUZUKI」ロゴも光っています。
後輪には、定番のサスペンションギミック搭載。
今回は、後輪横のシャフトが伸縮する様子が良く見えるので、視覚効果も高くなっています。
この後輪部分ですが、かなり独自解釈が入っています。
稼動部のチェーンですが、良く見ると銀色のカバー(?)に直接モールドが作られています。
実車では、この銀色部分はS字型パーツとI字型パーツ以外の部分はヌキで、その向こう側にチェーンが走っている構造です。
恐らく、パーツ強度の都合上このように処理する以外方法がなかったのでしょうけど、それならせめてS字とI字の間を黒く塗るとか、少しでもヌキっぽく見えるようにして欲しかったものです。
もしかして、後輪の駆動系が黒一色(実車は普通に銀色)も、この処置の絡みで行われた色指定なのかなあ?
ライダーマン搭乗。
ライディングポジションは、当時の写真を確認する限りでは結構後ろ寄りに座っているようで、シートのベルト部分に尻が少し乗るくらいが丁度良いようです。
握り手は、付属の手首を使用します。
そのため、ハンドルグリップはかなり細めになっていて、ライダーマン以外のフィギュアーツでも気楽に握らせられます。
ライダーマン自体の可動範囲、バイクのサイズや形状的に、特段問題なく搭乗可能です。
ただ、足の長さが微妙に短いのか、それともバイクのシートがちょっと高いのか、片足立ちで支える場合ちょっとだけ無理かかかります。
ちなみに、同時期発売の「キュアリズム」を乗せてみたところ、グリップ保持は問題なく可能でしたが、腕や脚のリーチが足りないせいか、まともなライディングポジションは全く取れませんでした。
まあ、手足以前にでっかいスカートが干渉するんですけどね。
以下、適当にライディングポーズを。
やっぱり、ライダーマンにはこの暗い色のハスラーが似合います。
スカイライダー客演時のアレは、悪い冗談?
ライダーマンマシン下部には、魂STAGE接続用の穴があるので、これを使えばウィリーやジャンプの再現が可能となります。
本体が軽いので、支柱のねじさえしっかりしまっていれば、ライダーマン込みでもバッチリ浮かせられます。
ライダーマンマシンは、そういえば「ショッカー戦闘員」等が乗っていたバイクと似てるよなぁ、と思い立ち、やってみたのがコレ。
違和感が仕事してくれません。
何この親和性!
これなら、単品版も複数購入しておくべきでした!!
ついでに、「仮面ライダーアマゾン」を使って、感動のシーン再現など。
まあ正確には、この場面の時あまじょんは変身してませんでしたけど。
うーん、活用の幅が広いなぁ、ライダーマンマシン。
もっと×2遊びの幅が拡張できそうな予感がします。
「仮面ライダーV3」&「ハリケーン」と並べて。
スチール写真でもいくつか共に並んでるものがあったせいか、このシチュエーションを実際に再現出来るようになったのは、本当に嬉しい限りです。
今回のレビュー商品は、ライダーマンとのセット版となります。
「新サイクロン」「ジャングラー」と、この後7月に発売される「クルーザー」、10月の「改造サイクロン」などの各セット版同梱のライダーは、単品発売版と微妙に仕様が異なりますが、今回のライダーマンには、なんと「叫び顔」が付属しています。
左:単品版ライダーマン、右:セット版ライダーマン。
頭部以外の仕様は同じなので、あまり比較になっていませんが、念の為。
セット版は叫び顔にしていますが、当然通常の口閉じ顔にも出来ます。
ちなみに、ライダーマンの単品価格は3,990円(税5%時)で、本商品の価格は7,560円。
対してライダーマンマシン単品版の価格は4,860円ですので、本商品との差額……つまり、セット版ライダーマンの値段は、2,700円しかしない事になります。
今までライダーマンを持っていなかった人にとっては、(税率差を無視すると)なんと1,290円もお安く買えた計算になります。
叫び顔アップ。
正直なところ、口閉じ顔に比べると、些かやっつけ感が感じられる造型。
これは単品版にも是非付けて欲しかったパーツなのですが、セット版のみの特典みたいなものとなってしまいました。
この顔パーツがあるせいで、やむなくセット版を買ったという人もそれなりに居たようです(筆者もその一人)。
セット版ライダーマンは、なんとマスクが取り外せるようになっています。
そのため、中の顔はこんなことに……
表情交換の場合は、まずマスクを外し、その後に頭部を差し替え、再度マスクをはめ込むという行程が必要となります。
このような仕様変更のため、ライダーマンマスクがパーツ単位で独立可能となりました。
そのため、他の適当なキャラにマスクを持たせ、変身シーンをなんちゃって再現する事も可能になりました。
うーむ、別表情が付いたことよりも、むしろこっちの方がおいしかったような気がする。
しかし、弊害もあります。
前後分割で取り外し式になったマスクは、パーツ間の隙間がとても目立つようになってしまいました。
確かに、この方が交換は楽なんですけど、それならいっそマスク付き頭部を二つ付属させた方が良かった気もします。
以上、ライダーマン&ライダーマンマシンセットでした。
【買ってみて一言】
個人的には大満足で、よくぞ出してくださったと感激の一品です。
なんですが、やっぱりセールスポイントが弱い商品だなぁという印象は拭えません。
原典からしてそうなので今更な話ですが、やはりメインとなるバイクが普通の市販車とほぼ変わらない、言い換えればヒーローマシンっぽさ皆無のレトロバイクで、しかも付属のライダーも実質再販品。
ましてライダーマンは、近年になって再評価されつつあるとはいえ、リアルタイムに近い世代でも、一部の人には低評価なライダーでもありますから、相当な好き者しか手を出さないシロモノであると、断言しても差し支えはないのではないでしょうか。
まあ、本当に好きな人だけに向けたディープでコアな商品であることは最初から明白なんですから、そういうのもありかなとも思います。
それはそれとして、本商品はライダーマンマシンとしてだけでなく、スズキハスラーTS-250の1/12可動立体化モデルという意味で、大変希少価値のある物です。
先で触れた通り、各ケーブルの省略や、後輪駆動系の杜撰な処理など問題点もありはしますが、それでもこの存在感は突出しています。
こうして見ると、ライダーマンのバイクはノーマルそのまま使用で大正解だったんじゃないか? とすら思えてくる麻薬的効果もあるようなないような……
とにかく、コアなファンにはオススメ出来る商品です。
格安&拡張パーツ付きライダーマンもセット梱包されていますから、好きな人にはもうこれ以上ないほどの商品ともいえるんじゃないでしょうか。
まあ、WEB限定品ですから、今後はもうオークションか中古屋で探すしかないのですが……