第108回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー旧2号」

2013年12月29日 更新

 「仮面ライダー」といえば、藤岡弘氏演じる本郷猛が変身する仮面ライダー1号が真っ先に頭に浮かぶという人が多いかと思いますが。
 実は、現在の人気やブームの火付け役となったのは、14話から登場した2号です。
 2号が居なければ、もしかしたら仮面ライダーは昭和46年で終わってしまってシリーズ化もなかったかもしれない……
 それくらい、重要な存在ともいえます。
 ファンにとっては常識中の常識ですが、平成からライダーシリーズに触れた人にとってはにわかには信じられない事だと思います。

 そんな“仮面ライダーシリーズの流れを生んだ”源流が、ようやくフィギュアーツ化しました!
 11月発売の「仮面ライダーZX」で昭和ライダー勢は一通り勢揃いしましたが、今回のこれで、本当の終結を見たと言っても過言ではないでしょう。

 

 というわけで、今回は、ライダー人気の始祖・仮面ライダー旧2号をレビューいたします。

 

「お見せしよう、仮面ライダー!!」

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■ S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー旧2号

 

 2013年7月25日〜10月2日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2013年12月21日配送開始(22日頃到着)。
 同時配送物は、下記参照。
 2013年12月のラインナップは、以下の通り。

  • 12/14 「セーラーマーズ(美少女仮面セーラームーン)」「仮面ライダーデルタ(仮面ライダー555)」
  • 12/21(配送開始日)「仮面ライダーブレイド・キングフォーム」「ゴウライジャーセット(忍風戦隊ハリケンジャー)」
    (すべて魂ウェブ限定)
  • 12/28 「仮面ライダーアギト バーニングフォーム」

 全高は約14.2センチ(ツノ除く)。
 合計5種10個の手首付き。
 交換用マフラーパーツ付属。
 台座などのオプションはなし。
 価格は税込2,940円。

 

 仮面ライダー旧2号。
 「仮面ライダー旧1号」「同・桜島1号」同様、この名称はファン間または書籍上などで記されたもので、劇中での呼称ではない。
 悪の秘密組織ショッカーによって改造された一文字隼人が変身する、二人目の仮面ライダー。
 9・10話撮影中に発生した藤岡弘氏のオートバイ事故の影響で、本作はしばらく実質主役不在で進行せざるをえなくなったが、14話より新しい主人公を登場させ、状況の打開を図ることになった。
 以降、仮面ライダー1号は本編から姿を消し、仮面ライダー2号が活躍する形で物語が進行、51話で本郷猛(1号)が本格復帰するまで、メインで活躍を続けた。
 旧2号とは、この14話以降に登場したものを指し、再登場後は若干デザインやカラーリングが変更され、「新2号」と呼ばれるようになる。

 「仮面ライダー」は、2号の登場を機に、それまでやや暗めだった雰囲気を明るく、同時に主人公の性格も明朗化するなど路線の転換が行われた。
 また、それまでの「ベルトに風を受けて変身する」というやや回りくどい変身システムを一新、特定のポージングを取ることで自らの意思で自由に変身出来るという判りやすいものに変更されたが、これが予想外の大きな反響を生み、社会現象とまで呼ばれるほどの「変身ブーム」を巻き起こした。
 
 仮面ライダー2号は、元々は代役だったとはいえ、連続38回(約3クール)に渡り主人公として単独活躍したヒーローであるため、平成ライダーでいうところの「二人目のレギュラーライダー(サブライダー)」とはポジションが全く異なっている。
 しかも、後年の特撮界に多大な影響を及ぼしたキャラクターでもあり、そういった見地では仮面ライダー1号をも上回る存在感を持っているとも云える。
 このような形で、「本編スタート時点にはいなかったヒーローが主人公として活躍し、本来の主役以上の人気を獲得」したという例は、他のヒーロー番組でも殆ど見られない。

 

 というわけで、仮面ライダー旧2号、ついに発売です。
 昭和ライダーの、かつてないほどの商品展開の勢いから、いずれは発売されるだろうと予想されてはいたようですが、まさかのWEB限定発売!
 昭和最強のメジャーライダーで、特段特殊な造りを必要とされない構成のはずなのに、これは一体何故なのか? と疑問が拭えませんが。
 これも、時代の流れによる認識の変化なんでしょうか。
 何はともあれ、無事商品化にこぎつけてくれただけでもありがたいものです。

 

 まずは、前後比較。
 全体的な造りは非常に良く、ライダー必須の「人間が身に付けている感」が良く出ています。
 やや大き……否、デッカイ頭も、(旧2号としては)非常に良いバランスです。

 

 頭部アップ。
 2号=黒マスクのイメージが強い人が、ずっと求めていたものです。
 古い「仮面ライダー」の意匠として多用された顔が、実に上手く再現されています。
 まあ厳密には、本放送当時のいささか雑な造形を忠実に表現したわけでは決してありませんが、とても巧みにブラッシュアップを図っていると思われます。

 

 斜めから。
 この、妙に張り出したエラこそが、旧2号マスクの最大の特徴!
 この角度から見ると、「これぞまさに2号!」と、思わず頷きたくなるほどの説得力を感じます。
 覗き穴周辺のリベット再現もしっかり施されていて、満足度高し。

 ちなみに、マスクの黒は厳密には濃いグレーで、漆黒ではありません。
 それがまた、2号らしさを更に引き立てています。

 

 煽り。
 下顎のラインが、実に素晴らしい。
 ただこの顎の影響で、俯きはほぼ完全に不可能になってしまいました。
 正しくは、首をちょいと前方に突き出すようにすれば可能ですが、それでもほんの僅かです。
 どうしても大きく俯いたポーズを取らせたいなら、もはや顎を削るかジョイントを延長するしかありませんが、顎を削るのは……それは、それは違うだろ! と個人的に言いたい気持ち。

 

 側線は、劇中通り脇の部分には施されていません。
 ですが非常に残念なことに、劇中のようなギラついた銀色ではなくホワイトパールにされています。
 何故、どういう経緯でこの色を選んだのか、本当に疑問です。
 どうしても納得できないという人は、シャインシルバーなどで自分でリペするしかなさそうです。

 

 変身ベルト・タイフーン。
 さすがにシャッターはありません。
 このパーツが実は密かに新造形で、ベルト下からはみ出した裾がありません。
 旧2号のスーツはツーピース構成なんですが、上着の裾がベルトからはみ出ていないため、ワンピースだと誤解しているファンがかなり多いようです。
 今回は、その辺りのポイントをしっかり押さえてくれています。

 

 ベルト側面のエナジーコンバーターは、トグルスイッチではなくスライドスイッチが付いたバージョンを再現。
 新2号のものとは、微妙に異なる作りになっています。
 旧1号や桜島1号のものとも全く違うもので、結構細かくこだわっている気がします。
 ベルトの飾りボタンも、新2号の時とは違い中心部が赤く塗られています(新2号のベルトはボタンが銀一色のものも実在しますが、フィギュアーツのものはそのバージョンとはエナジーコンバーターのスイッチ形状が違っているので、単なる塗装漏れの可能性もあります)。

 それはともかく、良く見ると側線の中心に妙な浮き彫り線があります。
 これは、脚部が旧1号(&桜島1号)からの流用のためです。
 スーツ側面の縫い合わせ部分が表出しているわけですね。
 これはちょっと頂けない気がします。

 

 今回は、エフェクトパーツなどのオプションが全く付いていませんが、過去に発売された1号2号付属のエフェクトパーツの流用が可能です。

 

 先の通り、今回は旧1号系のリデコ商品ですので、当然ながら可動範囲もそれに準拠します。
 上腕に回転ロールがない構造のため、肩の付け根部分で角度を調整する必要が生じます。
 そのため、ファイティングポースをつける場合コツが求められます。
 左上腕を、肩の上に乗せるようにすることで、初動のポーズは比較的楽に取れます。

 

 締めのポーズは、右肩を思い切り下げて内側に回すことで、なんとか対応できます。
 これは、胸から腹にかけた辺り右前腕を添える感じで構える「一文字隼人流」ともいえるバージョンの構えです。
 変身後によく取られた「胸の前を右前腕が横切る」タイプの構えも一応可能ですが、新2号同様ちょっと調整が難しくなります。

 

 参考に、一文字流(仮称)。
 これは、一文字隼人が変身時に取るポージングを参考にしています。

 

 こちらは、主にスーツアクターが取りがちなポーズ。
 本当なら右拳はもっと左胸の方に行くのですが、本商品ではそこまで可動しません。
 また、右肩ももう少し上げられるのですが、そうすると構造上肘の角度が変わってしまうので。
 せめて、もう少し肩部分の融通が利く構造であれば良かったんですが。

 

 各部関節は、結構固めに調整されていて良い感じです。
 片足立ちも、割と簡単に行えたり。

 

 マフラーを、なびいた形状のものに交換して、ライダーパンチ。
 顎を引く動作は厳しかったものの、顎を上げる動きは問題ないので、こういうポーズは問題なく行えます。

 

 この写真を撮った直後、ショッカー戦闘員がアーツで出ていたことを思い出し。
 しかし、どんなに倉庫をほじくっても見つからず。
 まぁ、でいいか。

 

 劇場版や40・41話のイメージで、桜島1号と共に。
 劇中では旧1号と2号の顔合わせはなかった(旧1号のマスクとスーツが2号に改造されたため)ので、組み合わせる場合はこうなります。
 桜島1号、このサイトではレビューしてませんが、なかなか良い雰囲気を出してるものです。
 でも実際は、(この後に発売された)旧1号と同じ金型を使用しているので、マスクやらアンテナ先端の形状など、細かいところが全然違っていて、ちょっと評価に困るアイテムでもあったりします。
 まあそれでも、目が真っ赤な旧1号よりは遥かにましだと思いますが。
 ちなみに、筆者は旧2号に次いでお気に入りです。

 

 劇中再現というわけではありませんが、ダブルライダー握手。
 手首の形状的に、かなりの無理が生じました。
 リアルタイムでこの姿を観た当時の子供達の興奮は、いかほどのものだったことでしょう。

 

 今度は、2号同士で。
 約2年前に発売された、仮面ライダー新2号との比較。
 こうして見ると、新2号が相当スタイリッシュになっているんだなと、改めて思い知らされます。
 というか、もはや中身が同じ人物だとは信じがたい程の違いが。
 ああ、再改造ってそういう……

 

 旧2号マスクと新2号ボディの組合せで、後年の客演版2号もお手軽再現可能です。
 ここで、あえてスカイライダーとの揃い踏み。
 スカイのレビューでも書きましたが、ゲスト出演した一文字隼人の親和性が異常に高かったので、このペアは凄くお気に入りなんです。
 まぁ、「仮面ライダー(新)」に出演した黒マスク2号は、側線が妙に細いタイプなんですが、いいんだよ細けぇことは!

 

 ノーマル旧2号、新2号、客演版2号の揃い踏み。
 2号は、結構場当たり的にバージョン違いが生み出されたものですが、代表的なこの三体が(その気になれば)揃えられるというのは、実に素晴らしいことです。
 これをやりたいがために、新2号を二体買い、二年間保管し続けたわけです。

 

 バリエーションが充実? すると、次に欲しくなるのは、当然サイクロン。
 というわけで、旧サイクロンに搭乗させてみます。
 個人的に、旧2号といえば改造サイクロンというイメージなんですが、旧サイクロンに乗ったこともあるので、親和性はかなりのものです。

 

 旧2号は裾がないため太股がより大きく曲げられ、搭乗姿勢も更に整います。
 バイクが異なりますが、この構図は「ポピニカ(ミニミニ)サイクロン号」のパッケージ絵を思い起こさせます。

 

 なんとなく、ライダー乗り。
 旧サイクロンでやると、なんだか「新仮面ライダーSPIRITS」みたいですが。

 

 今じゃ信じがたい話ですが。
 本放送当時、ないしは昭和時代のライダーファン向け書籍では、仮面ライダーの代表的な意匠として使用されていたのは、1号ではなくて2号の姿でした。
 実際、当時発売された商品では2号のデザインを用いた物がかなりあり、仮面ライダーといえば2号の姿、と捉えられている時代があったんです。
 今でこそ1号と2号は明確に区別されていますが、「仮面ライダー」というブランドが大雑把に捉えられていた時代は、黒マスクに銀のライン、太い側線が一本というものが良く見かけられました。
 実際の商品は1号モデルでもパッケージは2号なんてものもあり……随分いい加減だったようですが、2号のデザインはそれだけ認知性が高いものだったのかもしれません。

 

 生憎ショッカー怪人枠はまだフィギュアーツ化してないので、とりあえず「怪人枠扱い」な人達を共に並べたり。
 しかし、まごうかたなき正義の人であるオルタナティブ・ゼロが怪人枠みたいに扱われるのは、個人的に違和感あったり。
 おのれディケイド!

 

 以上、仮面ライダー旧2号でした。

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【買ってみて一言】

 

 非常にお買い得度が高い、良い商品だと思います。
 過去商品のリデコであるとはいえ、特徴的な部分はしっかり新造されていますから、似たような物感はありませんし、何よりこの黒マスクの存在感が素晴らしいです。
 新2号との差し替えで、客演版が手軽に再現出来るのもポイント高いです(メーカー推奨の遊び方では当然ありませんが)。
 首の可動範囲の狭さや側線の色、マフラーが首部分と垂れてる部分とで質感が違うなど気になる点も多いのですが、それを補って余りある物があると筆者は思います。
 ただ、そういったターゲットから外れる人達にとっての需要は如何程か、と考えると、なんとも言えない感があるのも、また事実で。
 旧2号は、非常に限られた世代向けの商品であることも確かなので、また最近のヒーロー客演映画系への露出もありませんから、需要が読めずWEB限定になってしまうのも、冷静に考えれば判る気はします。

 

 何はともあれ、これで一応おおまかな昭和ライダーのバリエーションは出揃いました。
 男爵ヒゲXライダーや赤胸アマゾンなど、マニアックな領域に入り込むバリエは難しいでしょうから、これで本当のコンプリートだと捉えてもいいでしょう。
 第1弾の新1号発売から、2年と5ヶ月。
 長い道のりでしたが、ここにまた一つフルコンプが叶ったシリーズが誕生しました。
 実にめでたいことであります。

 ――え、バイク?

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