第77回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー新2号」

2011年12月11日 更新

 フィギュアーツ・昭和ライダー第3弾は、「仮面ライダー」もう一人の主人公にしてライダーシリーズの救世主、一文字隼人こと2号ライダーです。
 基本的に「仮面ライダー新1号」と同構造で、殆ど同じ物ではあるんですが、だからといって外す事は考えられない商品でしょう。
 というわけで、今回はポイントを絞って紹介してみたいと思います。

■S.H.フィギュアーツ 仮面ライダー新2号

 

 2011年11月19日発売。
 同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
 2011年11月の販売(配送)ラインナップは、以下の通り。

  • 11/19 「ゴーカイグリーン(海賊戦隊ゴーカイジャー)」
  • 11/23 「仮面ライダーナイト&ダークウイングセット(仮面ライダー龍騎)」
  • 11/25(配送開始日) 「劉鳳&絶影(スクライド)」「仮面ライダーオーズ ブラカワニ コンボ」「メズール(仮面ライダーオーズ)」(すべて魂ウェブ限定)

 全高は約14.3センチ(ツノ含まず)
 合計5種10個の手首付き。
 交換用マフラー一点付属。
 エフェクトパーツ付属。
 台座などのオプションはなし。
 価格は税込2,940円。

 

 仮面ライダー新2号。
 「仮面ライダー新1号」同様、この名称は、ファン間または書籍上などで記されたもので、劇中の呼称ではない。
 悪の秘密組織ショッカーによって改造された一文字隼人が変身する、二人目の仮面ライダー。
 9・10話撮影中に発生した藤岡弘氏のオートバイ事故の影響で、本作はしばらく主役不在(変身後の姿でのみ登場)で進行せざるをえなくなったが、14話より新しい主人公を登場させ、状況の打開を図る。
 以降、仮面ライダー1号は本編から姿を消し、仮面ライダー2号が活躍する形で物語が進行、51話で本郷猛(1号)が本格復帰するまで、メインで活躍した。
 ここでいう「新2号」とはその時点からの姿を指す表現となる。

 仮面ライダー2号は元々は代役だったとはいえ、連続38回に渡り主人公として単独活躍したヒーローであるため、平成ライダーでいうところの「二人目のレギュラーライダー」とはポジションが全く異なっている。
 しかも「(仮面ライダーの)変身ポーズ」の始祖でもあり、後年にも多くの影響を残した「変身ブーム」という一大センセーションを巻き起こし、社会現象にまで発展させるという、特撮界でも屈指の影響を与えたキャラクターでもある。
 そういった見地では、仮面ライダー1号をも上回る存在感を持っているとも言える。
 このような形で、「本編スタート時点ではいなかったヒーローが、本来の主役以上の人気を獲得」したという例は他作品でも滅多になく、少なくとも2011年時点の仮面ライダーシリーズ中では他に一切例がない。

 

 仮面ライダー2号は、フォームチェンジとは別な意味で、最も多くの外観を持っているライダーである。
 これは劇中で姿を変えるシチュエーションが存在したという意味ではなく、登場の度に各部位が微妙に変化しているということで、その組み合わせ例は「正解例がない」と一部で云われるほど多岐に渡っている。
 黒または緑のマスク、大きく張ったクラッシャー(顎)、緑または赤の手袋とブーツ、体側面の線の太さや配置などそのパターンは様々で、時にはその時点での1号マスクが間違って使用されているといった例もあった。
 これらは細かく分析するときりがないので割愛するが、今回の商品化は、脇の下に太いラインがある点から「劇場版・オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」登場時のスタイルがモチーフになっていると考えられ、前に発売された新1号も同様と思われる。

 

 さて、仮面ライダー新2号です。
 我が地元出身のライダーという事もあって、個人的に思い入れの強いライダーなんですが、今回は堪えてさらりと参ります。

 

 前後比較。
 今回の新2号は、新1号のリペ商品と思われがちですが、実はそうではなくリデコ商品です。
 両者をよく見比べると共通部分も多く、同じ原型に少し手を加えただけと見られる部分もあることに気付けます。

 ちなみに発売前、新2号のコンバーターラング(胸)の色を新1号より明るくするという、意味不明な告知がされておりファンから大きな反発を受けました。
 そこまで無理矢理差別化図らなくてもいいっつーに。
 余計なことをされなくて、本当に良かったです。

 

 一番目立つ違いは、体の側線の浮き彫り(モールド)。
 二本線の新1号とは別のモールドが施されてます。
 ベルト横の黒いダイヤルスイッチも一見別物に見えますが、実際は塗装範囲が違うだけです。
 新1号はスイッチの突起だけを塗装していますが、新2号はその周辺含めて塗装しているため、大きく見えるわけです。

 

 新2号のみさらにアップ。
 モールドに沿って線が塗装されているのがわかると思います。
 こうしてアップで見ると、線の縁がすごく汚く思えますが、実物は殆ど気になりません。
 というか、撮影した本人自身、実物と見比べてこんなに違って見えるのかと驚くくらい。
 なので、この写真で「えー」と思った方は、安心してください。

 

 他にも、手袋部分がそれぞれ全くの別物です。
 というか、実際は前腕丸ごと新規のようです。
 新1号は、手首の辺りに絞ったようなモールドがありますが、新2号にはありません。
 ブーツ部分には目立つ違いはありません。 

 

 頭部アップ。
 こちらは、さすがに新1号と殆ど同じです。
 アンテナの開き幅が新1号より広くなってるという説もありましたが、比べたら同じでした。
 「仮面ライダー」時の微妙なマスク形状違いは、さすがに今回は再現されていません。

 

 では何故、全く同じと書かないのかというと、塗装面で若干の差異があるためです。
 今回は、マスク全体がつや消し塗装になっています。
 写真だと殆ど比較しても区別がつかないため並べて撮っていませんが、実物で比べると一目瞭然。
 あまり印象が変化する事はありませんが、とりあえずの区別は付けられています。

 

 奇妙なことに、今回は耳のモールドが銀色になっています。
 しかも、矢印状モールド4段のうち、後ろ寄り3段だけが銀色という意味不明なもの。
 マスクのパーツ分割のちょうど境にあたる部分ということもあり、何かの事情でメタリックグリーンの塗装がオミットされたんではないかなと思えます。
 勿論、劇中のマスクの再現とか、そんなことは全くありません。

 

 変身ベルト「タイフーン」。
 残念ながらシャッターはありません。
 バックル中央の風車が、新1号とは別造型・別塗装になっています。
 その他、なぜか今回はベルト装飾用ボタンの塗装がオミットされています。
 新1号ではちゃんと塗られていたのに。

 

 新2号には、ショッカー戦闘員から奪った武器は付属しません。
 しかし、何故か武器持ち手は左右しっかり付いてきます。
 勿論、これは問題という事ではなく、むしろ「ありがたや」「助かった」ってな仕様です。
 いつでも来いやぁ、サイクロン!

 って前にも書いたなコレ。

 

 「武器がないなら、奪って使えばいいじゃない!」

 

 さて、ここからはちょっとだけ複雑な話。
 この新2号、変身ポーズ(正確にはファイティングポーズ)が取れないと、一部で囁かれています。
 理由は、上腕ロールが存在しない構造のため、肘を回転させられず、前方に腕を向けつつ前腕を水平に出来ないというものです。
 確かに、普通に弄っていると上の写真のようにするのが精一杯で、左肘が外側に行きすぎてしまいます。
 ライダーのポーズにはこだわる人が多いこともあり、これではとても満足出来そうにありません。

 

 先のポーズを、俯瞰で見てみるとこんな感じ。
 本来なら、左前腕はこんな風に横に伸びず、もっと前に出る形になります。
 これは、あまりにも酷いと言わざるを得ません。
 この状態でも、もう少し上腕を前に出す事は可能ですが、そうすると今度はコンバーターラングと干渉してしまい、前腕が上向きに傾いてしまいます。
 ラインを分断したくない気持ちは分かるものの、どうしてこんな構造にしてしまったんだ?! …とお嘆きの貴兄も多いかと思われますが。

 実はコレ、全然全く何にも問題なかったりするのです。

 

 左上腕というか、左肩を肩胛骨の上に乗せるようにスライドさせてみましょう。
 すると、上腕の前かざしが若干楽になり、コンバーターラングの干渉も、ある程度緩和できるようになります。
 この写真だと腕の違いは分かりづらいですが、まずは肩の配置だけ参照してください。

 

 上記処置を行った結果、ここまで腕の位置が変化するようになりました。
 左手首の位置の違いを、3つ上の画像と比較してみてください。
 胸の中心線辺りに指がようやく届く程度だったものが、右肩の付け根辺りまで伸び、しかもほぼ水平を保っています。

 

 別角度から。
 初動のポーズは、とりあえずこれでクリアです。

 初動というと、正しくは腕を左に流す動作なのでちょっとニュアンスが違うのですが、細かいことは抜きで。

 

 腕を回して……

 

 2号お馴染みの、決めのポーズへ。
 この姿勢も再現不能と言われてましたが、ご覧のように、一応は可能です。
 ちょっと歯切れが悪い表現なのは、理由がありますが、後述。

 

 右斜め上から。
 この場合も、肩を肩胛骨に乗せるようにしています。

 この配置だと、新2号の腕は「上腕ロールを内側に回した状態」に限りなく近くなります。
 これは、腕・肩の付け根の関節可動範囲が上下に広いために行える処置です。

 

 確かに、上腕ロールによる可動の方がストレスなくスムーズに動かせるわけで、その方がいいのかもしれません。
 実はこの行程で取った決めポーズは、別角度からみると、ほのかなコレジャナイ感が漂いがちになります。
 先でも触れた、上腕がコンバーターラングに干渉する事態はここでも避けられないため、どうしても右腕がやや浮き気味になるわけです。
 これでは、劇中で一文字隼人がやっていたような決めポーズには及びません。
 曲げた右腕を右胸前に添えるような配置に主眼を置いた場合、再現しているとは言い難いでしょう。
 これが、先の歯切れの悪い表現の理由になります。

 

 右腕の位置をちょっと下げてみると、いい感じに落ち着きます。
 本当はこれでも腕が浮いてる状態なので、あくまで角度限定ですけど。

 仮面ライダー2号のファイティングポーズは、スーツアクターによってかなりの違いがあり(要するに結構適当)、マスクやスーツの色の組み合わせ同様、正解がないとも言えます。
 なので、個人的にはそれっぽくポーズが取れていればいいんじゃないかなと思っています。
 まあ、一文字隼人のポーズを模範にした方が正道なんでしょうけど。

 

 新1号と並んでポージング。
 こうして見るとわかりますが、スーツ部分がつや消しで統一されている新1号に対して、新2号は妙にツヤツヤしています。
 最初は個体差かと思ったのですが、範囲が広すぎる上に他でも見られるようなので、これは仕様と考えていいようです。
 マスクといい、変なところで差別化図ってるなぁ。

 

 エフェクトパーツの付属は、今回もあり。
 新1号と同じもので、若干色が薄い(比較してわかる程度)です。

 

 全く同じ物なので、あまり新鮮味が感じられないかもしれませんが、やっぱりあればあったで良いものです。
 出来れば、せめて左足用にして欲しかった気もしますけど。
 または、パンチ用エフェクトとか。

 

 2号といえばライダーパンチ。
 上半身と腰の可動範囲が広いので、いい感じに力のこもったポーズが取れます。
 とか言いつつダイビングパンチ姿勢だけども。

 

 殴られ役がいてこそ、初めて引き立つパンチポーズという考え方。
 久しぶりに引っ張り出したなぁ、ナスカドーパントなんて。

 

 新1号と揃ったとあれば、やらねばなるまいあの技を。
 というわけで、魂ステージを2体セットアップです。

 「行くぞ、本郷!」
 「おう、一文字!!」

 

 「「 ト ォ ッ !! 」」 

 

 空中一回転。
 もうちょっとだけ屈伸が出来れば……まぁ、いいか。

 

 「「 ライダーダブルキ――ック!! 」」

 よく「ダブルライダーキック」と間違われますよね。
 RXの時は堂々と間違われてた気がするけど。

 

 やっぱり1号2号といえば、ライダーキックで決めたいものです。
 単独でもバッチリ決まるのですが、二人揃うと言葉に出来ない感動があります。

 だがしかし! あえてポーズをみっともなく崩すのも、昭和ライダー的キックって感じでありかと思います。

 

 以上、仮面ライダー新2号でした。

 繰り返しになりますが、仕様的には新1号と殆ど同じなので、キャラクターに思い入れが薄い人にとっては、あまり強い購買意欲増進は起こりにくいかもしれません。
 コレクション的な意味で揃えるという意味は、充分あるとは思いますが。
 逆に、キャラクターに思い入れがある人には、避けて通れない必須アイテムと云えるでしょう。

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【買ってみて一言】

 新1号との仕様差については置いておくとして、今回はやはりコレクターアイテム色の方が高い商品だったのではないかなと、自分なりに分析します。
 あと、ネット上で黒マスク頭部も付属して欲しかったという意見も散見されますが、個人的にはこのマスク形状で黒塗装されてもなんかイメージが違うので、なくても別にいいじゃないかと感じられてなりません。
 ちなみに、仮に別頭部が付属したとしても、この商品(新1号含む)の首ジョイントはなんだか接続が難しくなっているので、頻繁な差し換えには向かないようです。
 具体的には、ジョイントの差し込み角度をちょっとでも間違えると、ボールジョイントが中で曲がってしまって穴に入ってくれません。
 今回、諸事情あって一度頭部を取り外したのですが、戻すのにドえらい手間がかかりました。

 新2号の流通は、やはりというかかなり潤沢のようで、今のところ特に問題なく手に入れやすいようです。
 もっとも、昭和ライダー勢は再販がかかるのか、かかったとしても頻度がどうなのか現状全く読めないので、後々手に入れようと考える人は警戒が必須かもしれません。

 

 それで、次の昭和ライダーは……なんと、多くのファンの予想の斜め上を行く「スカイライダー」!
 スーパー1と共に商品化に恵まれないライダーの代表格でしたが、それがまさかのフィギュアーツ化。
 2号(一文字隼人)との絡みが多かった後輩ライダーが、すぐ次に出るというのも、素晴らしいタイミングかもしれません。
 これは注目せずにはいられないでしょう。

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