古物倉庫SP ■ 今野産業「復刻版・バイキン軍団大行進!」

2011年1月25日 更新

【復刻版・バイキン軍団大行進!(全24種)】

 こちらのページでは、復刻版のバイキン軍団について触れていきます。

 2004年夏〜秋頃にかけて、約10年ぶりに「バイキン軍団大行進」がガシャポンに帰ってきました。
 こちらでも触れていますが、これは今野産業が当時現存していたバイキン軍団の原型を可能な限り集め、新規で金型を作り直して再生産したという、まさに復刻の中の復刻といえるものでした。
 ただし、四半世紀の間に金型は各所へ散らばってしまったそうで、集まったのは24種類のみ。
 しかも、初期の「バイキン軍団大行進(全42種)」「戦車部隊(全14種)」、後期の「ローラー族&ヘッドフォン族」の原型は一つもありませんでした。
 なぜそんな事になってしまったのかという理由(の考察)は後述するとして、そんな訳で復刻版はシリーズ複合で販売する形となりました。

 復刻版に含まれているシリーズは以下の通りです。

  • 暴走族シリーズから5種
  • カラオケ(バイキン缶)シリーズから17種
  • 機甲部隊シリーズから2種

 シリーズ複合のため、正直あまり統一性があるとは言い難い構成ではありますが、それでも久しぶりに復活したバイキン軍団ということで当時からのファンは熱い注目のまなざしを送っていました。

●復刻版・内訳

 復刻版の価格は、ガシャポンで一回100円。
 1カプセルにランダム4個封入で、ミニブック1点付属。

 各バイキンのコメントは、当時のカタログのものをそのまま流用。
 使用されている画像は、商品企画時に製作されたデザイン画です(こちらは、筆者が今野産業様よりいただいたコピーで確認済)。
 ビールス菌の部分にミスがあり、下くちびる菌がプリントされています。
 オー○ド博士風のキャラが何やら説明しているところがラブリーであります。
 尚、ここでは「四半世紀ぶりに完全大復活!!」と書かれてはいますが、実際にはユージンガシャポンのハズレ商品(ミニミニトーイの一部)や、95年販売の「バイキン缶シリーズ」が存在するので、このコピーはいささかオーバーな表現と言わざるを得ません。
 
 バイキンの成形色は、赤・黄・青・緑・ピンクの5種類に、レアカラーのクリアグリーンが加わり計6種です。
 ただクリアグリーンはレアというほど入手困難ではなく、割と多めに混入していた印象があります(それだけで1セット組めるくらい簡単に集まりました)。

それでは、続いて各バイキンの解説です。

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●前期 全5種

■ バイ菌 ■

 手のひらを良く見てごらん。
 ぼくの友達がたくさんいるだろう。
 手をよく洗わないとお腹の中へはいっちゃうゾ〜。
 (ミニブック解説より)

 こちらはカラオケバージョン。
 オリジナルに比べて随分トサカレベルがアップしています。
 一番目を引くのが、更に洗練されて可愛く?なった表情。
 さりげなく腕が追加されているのも注目点です。
 足の形も、オリジナルよりはっきりした形状に変化しています。

 一方、こちらは「機甲部隊シリーズ」の変型復刻版。
 背中の吸盤が新造されています。
 顔各部のモールドが異様にクッキリしていて、アクの強い表情に。
 微妙にデッサンが狂っている所が、また可愛いものです。

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■ 虫歯菌 ■

 口の中にいる菌。
 ムシャクシャ、バリバリとおかしを食べ過ぎると虫歯になるゾ。
 ほら、歯ッ! 歯ッ!
 笑い声が聞こえるだろう。
 (ミニブック解説より)

 こちらも、カラオケバージョンからの出典。
 暴走族バージョンを参考にしたのか、増設された下半身の形状・位置がほとんど同じ。
 ただしこちらはベルボトムになっています。
 歯の数が激減してしまいました。
 全体的に厚みに乏しく、かなりちんまりした形状です。

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■ 菌額 ■

 ボクの貯金箱にいる菌。
 お手伝いを少しするとお母さんのサイフの中から移ってくる。
 お金持ちになる良い菌だョ。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンからの出典。
 オリジナルにかなり近いデザインですが、腕が増設され顔の造型がハッキリ解りやすくなりました。
 全体的に大型化しているのも特徴ですが、反面、背面の複雑なモールドはオミットされてしまいました。
 また、吸盤もかなり上の方に移動してしまいました。
 それでもしっかり自立するのがすごいですけど。

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■ 勉強菌 ■

 クラスの秀才、二宮金次郎チャンのツメのアカから生まれる。
 ママに伝染すると教育ママゴンになるから注意しよう。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンからの出典。
 顔と上半身が大型化し、バランスが良くなったもののタレ目になってしまいました。
 なんとなくですが、顔部分は暴走族版の影響が見える気がします。
 吸盤の位置はお尻から背中に移動。

 後述しますが、マイクのコードが整形不良で途切れている物も多く混入しています。
 ただし、それはエラーというよりは「そういう事もある」レベルでとらえた方が良いかと思います。
 これは割と混入率高めで、恐らくは細いコード部分の整形がかなり難しいために発生しやすいのだろうと考えられます。
 だから、途切れた物を入手してしまっても泣かないようにしましょう。

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●中期 全7種

■ バイ菌大王 ■

 バイ菌の中の王様?
 いつもいばっている菌。
 そういえばそんな菌どこかで見たゾ。
 そうだ、先生にソックリ!
 (ミニブック解説より)

 バイキン大王も、2種類あります。
 まずは、カラオケバージョン。
 オリジナルの雰囲気をかなり忠実に再現してはいますが、やはり最も新しい造型のせいか各モールドがとてもシャープになっています。
 デメキン造型でなくなったのは自然でいいのですが、迫力が乏しくなった?
 ツノと背丈、脚が長くなった代わりに腕が短くなりました。
 吸盤は、腰から後頭部へ移動。

 もう1種は「機甲部隊シリーズ」からの出典。
 こちらは、ある意味大変貴重な存在です。
 「機甲部隊」は他のシリーズと異なり、吸盤が存在せず、全体がマグネットで作られていました。
 そのため全体に金か銀、メタリックグリーン、イエロー、ブルーの塗装が施されています。
 今回はこれの原型を改修しPVC化、更に吸盤を増設しています。
 「機甲部隊」自体が、シリーズ末期の希少性が高いものなので、こういった形で再びお目にかかれたのは大変嬉しいものです。

 というわけで、オリジナル「機甲部隊」バイキン大王との比較です。
 さすがというか、モールドは復刻版の方がしっかりしています。

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■ のぞき菌 ■

 「のぞくベッチーのぞくベッチー」と言いながらテストの答えをのぞくズルーイ菌。
 テスト勉強しない奴だけにうつる。
 (ミニブック解説より)

 一見かなりオリジナルに忠実そうに思えて、実は大幅変更されているものです。
 まず、5連目玉が4連に変更。
 身長も伸びて脚部が大型化、頭のツノも伸びて折れ曲がりました。
 他と同様、吸盤の位置も上昇に背中(ほぼ中央)に。
 これだけ変わっているにもかかわらず、パッと見の印象は大差ない。
 それだけ個性的なデザインだということでしょうか。

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■ うんち菌 ■

 ためゴンから発生し、あたり一面にくさい臭いをまきちらす。
 世界一くさい菌。
 一度ふむと、においがとれない。
 (ミニブック解説より)

 こちらも、オリジナルにかなり忠実な作りです。
 虫歯菌のように胴体増設はされませんでした。
 とぐろが三段巻きから四段、手が増設され脚が伸びたという変化はありますが、それ以外は吸盤の位置も含めてだいたい同じような感じにまとまっています。
 ああ、そういえば体表のモールドも点からラインに変化してたっけ。
 だんだんリアルになっているんだなあ……

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■ なまけ菌 ■

 宿題をする時間になるとテレビの回りに発生する。
 感染すると「なまけ者病」になる。
 叱られるとすぐに治るんだモーン。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 背と脚が伸びたのはいいんだけど、愛嬌たっぷりだった顔がなんともおかしな造型になってしまったのがいささか残念。
 また、暴走族シリーズからの流れなのか、眠たそうな表情になっているのも特徴です。
 細い部分が多いので、整形不良を気にしがちですが、マイクのコード以外はほとんど大丈夫そうです。

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■ ビールス菌 ■

 ビールを飲みすぎたお父さんのお腹からもれた菌。
 夏に多く発生する。
 感染したふりをするとおこづかいがもらえる。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 こちらはほとんどオリジナルの原型を止めていない、大幅アレンジタイプ。
 マイクを持っているのはいいんだけど、手の形状もなんだかよくわかりません。
 個人的にはオリジナル版の方が可愛かったかなあと。
 虫歯菌同様、背が高くなったのはいいんだけど薄っぺらで、実際はかなり小型です。

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■ ベロベロ菌 ■

 びっくり箱の中にいる。
 「ベロベロバー」といいながらみんなをびっくりさせて喜ぶ菌。
 アレ、どこかで見たゾー。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンからの出典。
 こちらも、オリジナルとは全く別物の大幅アレンジタイプ。
 それどころか造型の適当っぷりは群を抜いていて、ここまで来るともう「おおまかな記憶だけで造型した」かのような印象すら抱いてしまいます。
 無駄に伸びた手足と胴体が不気味悪さを醸し出しています。
 加えて、表面のぬめっとした感じが……

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●後期 全12種

■ バイ菌女王 ■

 バイ菌のあこがれの的。
 モモエ菌ともいう。朝一番にカガミを見た時「ァ〜私はなんと美しい!」と思ったら、もう感染している証拠。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 ものすごく適当な造型だったオリジナルを、かなりブラッシュアップしています。
 スマートかつ女性的なスタイルを確率したのはさすがですが、でもやっぱりバイキン。
 マントが目立つようになり、顔も引き締まって威圧感が高まりました。
 ただし、裏側から見ると彫り跡が……
 これも、原型が木製故の宿命なのかと。

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■ バイ菌博士 ■

 バイ菌大王の先生。
 人間のことならなんでも知っている。
 もちろん君がおやつを食べる前に手を洗わないってこともね。
 (ミニブック解説より)

 暴走族バージョンからの出典。
 これに限らず、暴走族の物はほとんどそのまんまなんですが、二点ほど注目すべきポイントがあり、同時にそれがオリジナルと復刻を見分ける目安となります。
 
 まず暴走族復刻版全体の共通点ですが、全体のモールドがオリジナルよりシャープになっています。
 オリジナル版の多くはスプレー塗装されており、そのためモールドが際立って見えるので表面からだとわかりづらいですが、背面部をよく見ると、体表のデコボコ(彫刻刀で削り出したのではないかと思われるもの)のエッジが際立ってます。
 対してオリジナルはそういうのがほとんど目立たない、なめらかな体表になっています。
 バイキン博士の場合、背中から脚の裏側辺りを見れば一発で判別可能です。

 もう一点は、何故か吸盤の大きさと位置が変わっていること。
 オリジナルは、吸盤がベルトの上から生えているのですが、復刻版はそれよりやや上の背中から生えています。
 このため、復刻版ではベルトの裏側(のモールド)が確認出来ます。
 吸盤も復刻版はオリジナルより小型化しているので、両方を比べられる人ならすぐにわかります。
 後述しますが、吸盤の位置が変化してないものもあるので、その辺注意が必要です。

 本当は、さらにもう一つ区別するポイントがあるのですが、それは「下くちびる菌」の項で説明します。

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■ おなら菌 ■

 ブヒブヒと鳴くからすぐバレル菌。
 発生源はおいもかお腹の中かパンツの中か良くわからない。
 悪化するとうんち菌とも仲良くなれる。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 こちらも、バイキン女王と同様オリジナルのブラッシュアップバージョン。
 特徴をかなり上手く掴んでおり、ひょっとしたら復刻版の中では最高のアレンジぶりがもしれません。
 口?周辺の凹モールドはかなり深く彫り込まれています。

 画像のものは、勉強菌で触れた「マイクのコードが途切れた」整形不良のもの。
 本来はきちんと繋がっていますが、こんな風になっちゃってる個体もあるということです。
 断面部分はブッツリ逝ってるわけではなく、溶けて丸くなっている感じです。

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■ カリカリ菌 ■

 近寄るな! 近寄るな! カミナリが落ちるゾ。
 すごーく頭に来た人のオツムに発生する。
 静かにしているとすぐにおとなしくなるから心配ない。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 もはや完全な別物といっても過言ではないくらい、原型を止めていません。
 スパークした髪?に小型化した目玉、極端に細くなった脚部、更には薄っぺらになったボディと、オリジナルの印象はほとんど残されていません。
 とはいえ、「大行進」後期シリーズは(以前のレビューでも触れた通り)造型がかなり適当っぽいものが多いので、これはむしろ良い方面のアレンジではないかと思います。
 あくまでオリジナルの面影を求める人には、難色を示されやすいという程度の話かと。
 それにしても、髪のモールドの作り込みが凄まじい!

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■ キントン雲 ■

 雲の型をしたバイ菌。
 大昔、猿によく似た宇宙人が地球に持ってきたらしい。
 感染すると空を飛んでいるようないい気持ちになれる。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 表情の作り込みが高まって、個性が上手く発揮されるようになりました。
 イマイチ表情が読めないオリジナルより、こちらの方が好印象かと。
 よく見ると脚が伸びて、身体もスマートになっていたり。
 深く彫り込まれた口腔部が、良い味わいになっています。
 これで自立性もかなりのものなんだから、驚きです。

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■ 人くい菌 ■

 アフリカの奥地で発生したらしい。
 でも、かなり流行している。
 ほら、誰にでもかまわずカミツキたがる奴がいるだろう。
 犯されているゾ。
 (ミニブック解説より)

 暴走族シリーズからの出典。
 前面の各部モールドのシャープ化が、他よりかなり際立っている印象が強いです。
 また、吸盤の位置もかなり上がっています。
 口にくわえた、腹から突き出た手足の指がハッキリわかるので、なんだかとっても猟奇。

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■ 下くちびる菌 ■

 夜の8時ごろに多く発生する菌。
 目から感染する。
 すぐにヒゲダンスを踊りたくなるから感染したかどうかすぐわかる。
 (ミニブック解説より)

 暴走族シリーズからの出典。
 暴走族復刻版の中で唯一、オリジナルとの判別が困難な個体です。
 両方を見比べれば吸盤の大きさですぐわかるのですが、それぞれ別々に見るとほとんど区別が付きません。
 特に、(後述する)限定版は成形色もオリジナルと似たものが含まれているため、よほど注意して見ないとオリジナルのつもりで復刻を掴まされたりする事もありえます。
 他では見分ける要素となるモールドのシャープさも、これだけはあまり目立っておらず、むしろ脚部などはオリジナルの方がしっかり造型されています。
 
 唯一の明確な見分け方として「湯切り口の位置確認」があります。
 湯切り口とは、ランナー状に繋がった状態で仕上がる製品をカットした際に残る切り口のことですが、オリジナルが頭頂部にあるのに対し、復刻版は左腰部分にあります
 これさえ覚えておけば、比較対照がなくてもすぐに判別が出来ます。
 ま、お目にかかる機会があればの話ですが。

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■ バイ菌樹 ■

 アマゾンの密林に発生すると言われているがまだ見た人はいない。
 幻のバイ菌。
 この幹から取れるジュースは不老不死の薬といわれる。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 こちらも、カリカリ菌同様原型を止めないまでに大幅変化した個体。
 枝が増設され、背が伸びて表情も引き締まり、更にはツノの形まで変わりました。
 ちょっとインテリっぽい顔の作りがイカします。
 木の幹を表すモールド処理が、なかなかに細かくていい雰囲気出しています。
 見た目の印象に反して実商品がかなり小型なのも、面白い特徴かと。

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■ ハナタレ菌 ■

 ハナグソ菌のいとこ。
 昔、ハナ紙屋がひそかにバラまいたというウワサも!?
 だから今は大繁盛。飲みこまないように。
 ハナグソ菌になるよ。
 (ミニブック解説より)

 暴走族シリーズからの出典。
 こちらも、モールドがシャープになり吸盤が小型化、それに伴い位置も尻から背中に移動しています。

 それ以外は、当然のようにオリジナルの印象そのままですが、手の指が平たくなっていて、ここだけオリジナルとは違った印象を抱かせます。

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■ 金もち菌 ■

 感染するとなんでもお金を出せば手に入ると思ってしまう。
 新しいものをつぎつぎほしがる君は、このいやしい菌のとりこになったのだ。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 随分ダイエット頑張ったようなスマート化が魅力。
 なぜかマイクで右目を隠しています。
 ドッシリした安定感こそなくなりましたが、オリジナル以上に(デザインモチーフの)金袋っぽさが強調されています。
 こちらも、マイクコードが途切れているものがよく見られます。

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■ なきむし菌 ■

 本当はイジメッ子に寄生している。
 だからイジメッ子が強いんじゃなくてなきむし菌のおかげなんだ・・・ボクが泣かされるのは。
 (ミニブック解説より)

 カラオケバージョンから出典。
 こちらも原型止めないアレンジバージョンで、頭と胴体のバランスをはじめ、あらゆる部分が変化しています。
 以前より子供っぽい作りになったのは秀逸で、しかもただ子供というのではなく、どことなく「ガキっぽさ」が強調されている気がします。
 ちゃんと泣いている目になっている所もポイントですね。
 個人的には、このアレンジ具合がかなり気に入ってます。
 オリジナルでは右手に持っていた槍を捨て、マイクに持ち替えています。
 こちらも、コードの途切れあり。

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■ タイフー菌 ■

 海水浴に行くと約束した時に限って発生する。
 時にはいえがつぶれることもある強力なきん。
 塩をまいたぐらいでは退治できないのだ。
 (ミニブック解説より)

 暴走族シリーズからの出典。
 こちらも、下くちびる菌同様判別が付きづらいものですが、よく見ると膝辺りのモールドがシャープで、また頭頂部の渦巻きが綺麗に整っていてすぐ解ります(オリジナルはモールドがもっさりしている上、中心部分に湯切り口がある)。
 しかし最大の違いは、これだけ吸盤の位置が「下がって」いる点でしょう。
 他の暴走族(除・比較対照のない人食い菌)では上にずれるパターンが主でしたが、タイフー菌だけは下付きです。
 オリジナルでは、両腕の間辺りから生えているのですが、復刻版はそれよりやや下・腰裏辺りから生えています。

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●経年劣化について

 復刻版バイキン軍団で、一点だけ注意しておかなくてはならない問題があります。
 緑の成形色の物だけ、なぜか部分的に黄色い汚れのようなものが付着する現象が確認されています。
 可塑剤気化の影響なのか、それとも別な理由なのか詳しくは不明ですが、こちらは発売後さほど時間をおかずに確認されています。
 幸い、歯ブラシなどでこすれば割と楽に落とせるので深刻な問題にはなりませんが、色がマダラになってみっともないので、もしお持ちでしたら、変色しているものが混じっていないかどうか是非チェックしてみてください。

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●イベント限定版

 去る2004年11月20・21日の土日に、原宿「GREY」にてユージン主催「バイキン軍団個展」が開催されました。
 このイベントでは、「バイキン軍団大行進」のオリジナル品や木製の原型の展示をはじめ、当時流通していた20円ガチャガチャ筐体やポップ類の展示もあり、更には多方面からの寄稿も見られました。
 狭いながらも大変興味深いイベントで、こんなマイナー消しゴム人形、しかも25年前の商品のためによくもまあと感涙にむせいだわけですが、最大の注目ポイントは別に存在していました。

 このイベント会場限定の商品として、復刻版バイキン軍団にスプレー塗装を施した特別版が存在していたのです。

 スプレー塗装は今更説明する必要もないと思いますが、80年代当時の消しゴム人形には欠かせないデコレーションで、これにより各部モールドが引き立ち高級感が増加するという、大変嬉しいものでした。
 それを、21世紀の現代で復活させようというのですから、ガチャガチャ好きにはたまりません。
 筆者も、当時会場に向かい、入手してきました。
 スプレー塗装も、サッと吹きかけた程度から前面が完全に塗り潰されるくらいベッタリなものまで揃っており、まさに当時の雰囲気再現です。
 今では色剥げのない綺麗な当時物の入手はかなり難しいわけですから、こういう商品が出てくれた事はマニアにとって感激以外の何物でもないでしょう。

 通常版との違いは、スプレー塗装の有無以外に「暗い青」の成形色が追加、代わりにクリアグリーンがなくなっています。 

 こちらが、前期5種。

 尚、画像のものはあくまで一例で、この色の組み合わせしか存在しないというわけではありません。

 こちらが中期7種。

 ちなみに、前期と中期は前面塗りつぶしタイプはありません。
 いずれもサッと吹きかけタイプです。
 ただし、中にはかかり方が甘いのもあり、上の画像のなまけ菌のようにほとんどわからないものもあったりします。

 後期12種。

 こちらは、サッと吹きと前面塗りつぶしの混合です。
 実際、オリジナルでも暴走族シリーズから前面塗りが登場しましたから、これは本当によく分かってる処理です。
 
 上のハナタレ菌とタイフー菌は、メタリックグリーンなので成形色がよく解りませんが、実は赤だったりします。
 これだけ徹底的に塗り潰されています。
 当時は、これがなんだかとっても良く感じられたのです(今でもだけど)。

●まとめ

 ここまでで、バイキン軍団5シリーズと復刻版に触れてきました。
 ただし、これで全部ではなく、まだ「機甲部隊」「ローラー族&ヘッドフォン族」「バイキン缶(カラオケバージョン)」に触れていません。
 これらは、遠い将来まとめて入手出来る機会があれば取り扱いと思いますが、恐らく達成確率はかなり低いと思われます。
 逆に言えば、ここまでのシリーズなら、集めるのはそんなに極端に困難ではないという事です。

 復刻版のメインとなった「カラオケバージョン」ですが、こちらについて軽く触れてみたいと思います。
 カラオケバージョンが封入されていたシリーズ「バイキン缶」とは、95年頃にひっそりと発売されたガシャポン商品で、軟質プラ製の缶詰容器の中にバイキン人形が4体封入されているという、ちょっと変わった構成でした。
 こちらはかなり多くのラインナップで、復刻版で登場していない「菌マン」「顔が悪くなる菌」「鼻グソ菌」なども含まれており、更には復刻版では暴走族バージョンだった「下くちびる菌」「タイフー菌」などもありました。
 材質はやや固めで、正直な話、ある程度以上の軟性が求められる吸盤はほとんどその役割を果たしていませんでした。
 筆者は、一時期これをかなり大量に所持していたのですが、他のマニアの方とのトレードで排出してしまったため、生憎現在は一つも手元に残っていません。
 そのためオリジナル版と復刻版の比較が出来なかったのですが、今振り返るととても惜しいことをしてしまったと後悔しています。
 当時所持していた一部の商品は、こちらに画像を置いていますので、興味がありましたらご覧になってみてください。

 この「バイキン缶」のバイキンは、さほど間を置かずにユージンのガシャポン景品としても登場します。
 どうやら、そちらは「バイキン缶」の原型を用いて作り直した別物だったようで、所謂「ハズレガシャ景品」としてランダムに混ぜられていたようです。

 冒頭で軽く触れた復刻版の原型の件ですが、どうやら現在、かなりの木型原型が散在してしまっているようです。
 ユージンに渡ったためなのかどうかわかりませんが、95年に新規発売したばかりのカラオケバージョンの物も揃うことはなく、かなりの数がなくなってしまったそうです。
 理由はわかりませんが、いくつかの木型が「なんでも鑑定団」の鑑定依頼品の一部に含まれていたりした事もあったので、何かの事情で非生産側の人間の手に渡ってしまったケースなどもあったかもしれません(経緯は予想もつきませんが)。
 
 バイキン軍団大行進・復刻版は、割と最近まで残っていたり、ヤフオクで見かけたりしていましたが、気が付くともう発売から丸7年が経過しており、そろそろ需要が変化してきているかもしれません。
 実際、某有名ショップではプレミア価格がじわじわと付き始めていたりします。
 ただし、実販売時は全然売れていなかったそうで、かなり在庫がダブつき今野産業の方でも苦戦を強いられていたそうです。
 筆者は、ある機会に今野産業の社長さんとお話させていただく機会を得たのですが、当時伺ったお話によりますと、バイキン軍団は考案者である社長さんにとってとても思い入れが強い作品で、復刻版もその思いから生み出されたものだったようです。
 ところが、四半世紀経ちガチャガチャがガシャポンと呼ばれるようになった昨今において、バイキンの需要はほとんどなくなってしまったようで、以前のような栄光には恵まれなかったようです。

 復刻版と言いつつも、実際は近年のものばかり(それでも30年近く以前の形もあるのですが)ということで、元祖の造型を求めていた人達にはいささか不評だった部分もあるようですが、物としては決して悪くないどころかむしろ良い物で、カラオケバージョンに至ってはオリジナル以上に良い質感を持っていたりもします。
 PVCの質感も出来るだけ当時物に近くなるように注意を払ったというほどの逸品、このまま忘れられていくのはあまりにも惜しいと思いますが、ネット上でもほとんど話題に上ることがなく、大変に残念です。
 こちらも、遠い将来再評価されて価値が出てくるのでしょうか?

 三十年前、小銭を手の中に握りしめながら必死でハンドルを回したあの感覚ではなく、どこか事務的に淡々と回す現代のガシャポン感覚で触れてしまったバイキン軍団。
 ノスタルジーを呼び戻すにはイマイチ何かが足りない感がありますが、それでも、やっぱり21世紀に再び登場してくれたのは嬉しいものです。
 実は、現在も尚、また違った 形で生き残りを計っていたりするのですが……そちらについては「実物」が手に入った折に触れてみたいと思います。

→ バイ菌軍団大行進 第一期(前期)14種

→ バイ菌軍団大行進 第二期(中期)14種

→ バイ菌軍団大行進 第三期(後期)14種

→ バイ菌軍団戦車部隊シリーズ 全14種

→ バイ菌軍団大行進 暴走族シリーズ

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 このバイ菌軍団レビューページ製作にあたり、筆者は今現在もなおバイ菌軍団シリーズを集め続けております。
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