古物倉庫SP ■ 今野産業「バイ菌軍団大行進!」5
2020年3月12日 更新
【バイ菌軍団 暴走族シリーズ】
さて次は、バイ菌軍団暴走族シリーズ。
残念ながら、2011年1月現在コンプリートはしていません。 ←2020年3月、ようやくフルコンプしました!(バイキンのみ)
まずは、あらためて「バイ菌軍団大暴走シリーズ(以下暴走族と記述)」について。
戦車部隊同様、今野産業が以前に発売していたプラ製玩具「ミニスーパーバイクシリーズ」を流用して、バイ菌軍団とコラボレーションさせた物です。
ただし、戦車部隊のように吸盤の位置を変更しただけではバイクに搭乗できないので、「バイ菌の足を延長」「暴走族風の格好」「胴体がないものには胴体を増設」というはっちゃけた大改造(新規造形)を行っています。
その結果、大行進シリーズのイメージを色濃く残した物、巧くアレンジを加えた物、ほとんど原型を留めていない物などが混在する形になり、これまでとはまた違った味わいが生まれました。
●暴走族版バイ菌の特徴
造形のアレンジは、主に
- 足が延長されている
- 胴体が伸びている・または増設されている
- 手が新たに増えている
- ハチマキを巻いている
- ヘルメット(またはマスク?やゴーグル?)を被っている
- 服を着ている
- 靴を履いている
- 大幅に造形が変わっている
- 肥大化している
以上のいずれかまたは複数。
さらに、系列として
- 大行進時の原型を維持しているタイプ
- 一応原型を留めているが、アレンジが効いているタイプ
- アレンジが強すぎるタイプ
- もはやほとんど原型を留めていないタイプ
といった物に分けられます。
1と2には名前の刻印が記されている物が多いが、3と4にはほとんどありません。
そのため、3と4のタイプは人によって「パチモノ」と解釈される事もあるようですが、当時のガチャ台紙上で1や2に該当する種類と一緒に現物が張られていた事が確認されているので、れっきとした正規品です。
またそれは、2004年度の復刻版に加えられた暴走族バイキン5種(バイキン博士・タイフー菌・下くちびる菌・人くい菌・ハナタレ菌)の登場によって立証される形となりました。
尚、1と2は大行進版と造形が良く似ているため、一見原型を改修したかのようにも思えますが、パッと見が同じような部分にも結構沢山の差異が見受けられます。
なきむし菌などは特にその傾向が如実で、細かくチェックすると胴体部分等もまったくの別物(つまり作り起こし)である事がわかります。
バイ菌の原型は木製だったと言われているが、それを考えると、大変な職人技である事が窺えます。
暴走族バイ菌は、ほとんどがスプレー塗装されたものですが、塗装にも2種類のパターンが見られます。
一つは、他のシリーズ同様サッと吹きかけただけの塗装、もう一つはほとんどベタ塗りに等しい塗装で、前面部は成型色がわからなくなるほどべっとりと塗られています。
人気があるのは主に後者の方で、使用されているスプレーがほとんどメタリックタイプだった事もあり、金属的な質感を感じさせます。
ただし、手足など細い部分にかかっている塗料は経年劣化ではがれていまう事がほとんどのため、塗装がほとんど剥がれていないベタ塗りタイプのものは大変珍しいです。
しかし、一部にはスプレー塗装が行われていないタイプも存在し、こちらもかなり珍しいものとされています。
これは成型色が緑のものによく見られる(というより他はない?!)傾向ですが、緑のものに銀色スプレーがかけられたものも存在するため、どういう理由で未塗装版が存在したのかは不明です。
また、塗装がメインで行われるようになった都合なのか、クリア成形版や蓄光版は存在しません(というのが定説ですが、もし存在したら相当なレアです)。
尚、暴走族シリーズ発売当時に再販?された大行進シリーズ等にもスプレー塗装がよく行われるようになったが、こちらには前面ベタ塗りは行われていません。
●バイクについて
先述の通り、元々は「ミニスーパーバイク」シリーズという別カテゴリ商品だった物で、車種は全12種類。
ボディはプラ製で、成型色は赤・青・黄色・緑・黄緑。
更に全体が銀メッキ・金メッキ・青メッキ・赤メッキのバージョンがあり、タイヤの色も黒と白が存在(タイヤ自体はプラではなく塩ビ製)。
またこの他に、前輪がライターの着火部分※になっている物も存在します。
ちょっと力を込めて転がすと、火花が飛び散ってなかなかカッコイイのですが、本体の一部がススけてしまうというデメリットもありました。
今では考えられない豪快&意味不明なギミックですが、こういうデタラメ感がいかにも当時のガチャガチャ玩具的魅力で、とても嬉しいものなのです。
残念ながらバイクは全種揃えていないので勢揃い画像は用意できなかったのですが、タイプは主にオンロードタイプで、一部三輪車、スクーター(ベスパ)、ポケバイ(フルカウルタイプ)等も含まれています。
中には暴走族のマシンとしては相応しくなさそうなものも多く含まれていますが、その辺はご愛嬌。
また、これが発売された当時現実に存在していた暴走族は、派手に目立つ違法改造をまだあまり積極的に行っていなかった事もあり、いわゆる「モロ族車」的なデザインの物は存在しません。
バイクには、上向きの「コの字型」台座が付属しており、これで後輪を挟むことで自立させる事ができました。
ただし、先述の前輪が特殊なタイプは、タイヤが太いため単独で自立が可能。
バイクはプラ製の上、ハンドル部分などが細くまたハンドルから前輪部全体が外れる構造になっている(一部例外あり)ため、破損や紛失が起こりやすいです。
また前輪特殊型は、前輪部分を引っこ抜く事が出来ます。
※ライターの着火部分:
100円ライターによくあるような、ダイヤル型着火部パーツのこと。
ダイヤルの内側が石と擦れる度に火花が出るが、燃料がないためそのままでは当然火は着きません。
80年当時、これを用いたガチャガチャ玩具が結構あり、それなりの人気を誇っていました(小型ですがモロにライターの形をした物も存在しました)。
次に、バイ菌本体。
一応、このシリーズは全42種類というアナウンスがありますが、現在32種類までしか確認されていません(情報出典:趣味人様)。
これはミニカタログ上表記と確認された現物との間に差があるという意味で、実際には発売されていないのか、或いは他とは比較にならないくらいレアなのかのどちらかだと考えられます(多分前者の可能性高し)。
以下は、確認済みのラインナップと筆者所有バイ菌のデータ、そして未確認バイ菌の名前を前・中・後期のカテゴリに分けて解説。
ただし、ここでいうカテゴリは「大行進シリーズ」の第一〜三期区分に基くもので、大暴走シリーズ自体が三期に分けて発売されていたわけではありません。
●前期 全10種
大菌獣、ハナグソ菌、菌虫、顔がわるくなる菌は存在未確認。
■ バイ菌 ■
手のひらを良く見てごらん。
ぼくの友達がたくさんいるだろう。
手をよく洗わないとお腹の中へはいっちゃうゾ〜。
(ミニブック解説より)
大行進の原型を大きく留めている「原型維持」タイプだけど、不自然に増設された下半身と、妙に立派な脚&ブーツが異様に目を引きます。
当時初めてこれを見た時、「これは何かのギャグなんだろうか」と思ったものだけど、こういうセンスって大事だよね。
よく見ると、腰にはきっちりベルトまで付いています。
ここまでやっていながら、腕は相変わらず付いてないという中途半端さがたまらない。
大きさは、約2.9センチ(大行進版は約1.6センチ)。
■ 虫歯菌 ■
口の中にいる菌。
ムシャクシャ、バリバリとおかしを食べ過ぎると虫歯になるゾ。
ほら、歯ッ! 歯ッ!
笑い声が聞こえるだろう。
(ミニブック解説より)
バイ菌同様、下半身増設の原型維持型。
こちらは元々腕があるため、バイ菌よりは人体に近くなったものの、デカ口が益々異彩を放つハメに。
これと、後述する菌額の三体は「下半身トリオ」と呼ぶべき直球&素敵なアレンジが冴えています。
でも、この腕でハンドルを握ろうとしたら、絶対前見えないよね。
そして、そういうツッコミはしちゃいけないよね。
大きさは、約3.1センチ(大行進版は約1.5センチ)。
■ 出歯菌 ■
ギャー出っ歯菌! と大声で叫んだヤツにだけ感染する菌。
ボクの口の中にはいないゾ。
きっと、トウモロコシの中にいるのさ。
(ミニブック解説より)
こちらも延長された脚に目が行くけど、元々頭と胴体がはっきり分かれているタイプのせいか、かなり自然な(言い換えれば、異形性の乏しい)デザインに。
あんまり大行進と変わらないように見えるけど、しっかりハチマキを締めている所は見逃せないです。
個人的には、大行進版よりこっちの方がバランスがいいと思うんだけど、異端かな?
原型維持型。
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
■ 悪魔菌 ■
ドラキュラの棺おけの中に住む。
伝染すると吸尻鬼になって、女の子の尻を追いかけ回すようになる。
太陽の光に弱い。
(ミニブック解説より)
元々上半身がマッチョ体型なので、下半身が出来た事でものすごくスタイルが向上した原型アレンジ型。
マッチョライダーってかっこいいよね。
フルフェイスメットを被っているせいか、バイザーからは一つ目しか覗いていません。
それがなんだかとてもマヌケなんだけど、逆にそれがいい表情になっているから不思議。
大きさは、槍含まずで約3.4センチ(大行進版は約2.1センチ)。
■ 菌ダコ ■
どこにでもくっつきたがる。
この菌にとりつかれると、誰にでもベタベタしたくなる。
寂しがりやさんが落とした菌。
(ミニブック解説より)
暴走族シリーズで、一番入手困難だったシロモノ。
探し始めてから入手まで、十年以上かかりました。
大幅アレンジ型で、タコの足が二本伸びて脚の代わり(…?)になり、バイクをまたげるようになっています。
ハチマキと、つぶらな可愛らしい眼、そして妙にゴツゴツした吸盤がチャームポイント。
大きさは、ツノの折れ曲がった最頂点から計って約3.5センチ(大行進版は約2.4センチ)。
■ 口裂け菌 ■
友達の悪口を言ったり、長電話をすると口の中にできる菌。
1日中マスクをして、おしゃべりをしないでいると治る。
(ミニブック解説より)
「大行進」のページでも紹介したが、全体の中でも一二を争うほど形状が変化したバイ菌。
ヘルメットが被れる頭部、胴体、両腕、長い足と増設箇所がすごく多いです。
また、特徴的な口はさらに肥大化し、全体的にも大きめに造形されているせいか、印象はほとんど「巨大化」の領域。
「原型を留めてないタイプ」の代表と言ってもいいかもしれません。
こんなのがバイクに乗って追いかけてきたら、絶対イヤだ。
大きさは、約3.7センチ(大行進版は約1.6センチ)。
■ 水虫菌 ■
お兄さんの臭い靴下、お父さんのゲタに注意!
暖かくなると「ジクジク・カサカサ」と鳴きだすのですぐにわかる。
(ミニブック解説より)
水虫菌は元々のデザインが「足首」なので、当時はどうアレンジされるのかと不思議だったものですが、なんと物凄い直球でした。
よりによって、こーいう足の生やし方をするかと。
足首の側面から生えている、二本の長い足!
しかもバイ菌や菌額とはまったく異なる、凄まじくシュールなスタイル!!
更に、ヘルメットを被っていながらも大胆不敵な笑みは崩さず。
益々味わい深くなってしまいました。
これだけ大幅なアレンジをされつつも、実は原型維持型だったりするから驚きです。
大きさは、約3.2センチ、長さ約2.2センチ(大行進版は約1.6センチ/長さ約2.1センチ)。
■ 菌額 ■
ボクの貯金箱にいる菌。
お手伝いを少しするとお母さんのサイフの中から移ってくる。
お金持ちになる良い菌だョ。
(ミニブック解説より)
バイ菌、虫歯菌同様「おみ足が生えちゃった」タイプ。
若干顔付きが違うけど、原型維持型と見ていいでしょ。
一見大行進版とほとんど変わらない面構えに見えるけど、比較するとかなり表情が変わっている事に気付かされます。
ちょっと目付きが悪くなっているかな。
足が太く長いのに胴体(頭部?)は相変わらず薄っぺらなもんだから、上下のギャップは凄まじいものがあります。
大きさは、約3.4センチ(大行進版は約2.1センチ)。
■ 勉強菌 ■
クラスの秀才、二宮金次郎チャンのツメのアカから生まれる。
ママに伝染すると教育ママゴンになるから注意しよう。
(ミニブック解説より)
デザイン的には特に大きな変化がないにも関わらず、なぜか原型を留めないほど変わってしまったタイプ。
頭や手に持つペンは巨大化して、更に和服みたいなのを身に付けています。
表情も、キツイ目付きからなんともいえない脱力系に。
でも、頭部が大きくなったせいなのか、足が伸びてもさほど違和感を覚えない(?)のは面白いかもしれません。
大きさは、約3.5センチ(大行進版は約2.2センチ)。
■ イジワル菌 ■
イジワル花子が巻き散らしたといううわさ。
足の太い女の子に多く、カワイイ男の子にチュッとされるまで治らない。
(ミニブック解説より)
大行進版のイメージを色濃く残している、「原型アレンジ」タイプ。
ボディ部のディテールがそのまま生かされた足が特長で、出っ歯菌などと同様かなり秀逸なアレンジではないかなと。
以前は足が極端に短くて胴長だったせいか、このアレンジで妙にバランスが取れてしまったのが面白い。
それでも腕は相変わらずの小ささというのが可愛らしい。
顔に着けているのはゴーグルなのかアイマスクなのかな?
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
●中期 全12種
デブ菌、ビールス菌は存在未確認
■ バイ菌大王 ■
バイ菌の中の王様?
いつもいばっている菌。
そういえばそんな菌どこかで見たゾ。
そうだ、先生にソックリ!
(ミニブック解説より)
原型維持型。
いかにも暴走族の頭(ヘッドと読む)っぽい雰囲気の格好にアレンジされています。
これは大元のデザインがド派手だという利点が効いているのかもしれないけど。
暴走族は、原型維持型は比較的コンパクトでアレンジ型が大柄である傾向がありますが、こちらは珍しく前者なのに大きく感じられます。
これは恐らく、幅の広いデザインの影響ではないかと。
しかし、それでもアレンジ型のバイキン女王やバイキン博士と比較すると、やや小さめに思えてしまうから恐ろしい…。
飾るなら、バイク軍団の先頭に並べたいものです。
大きさは、約3.9センチ(大行進版は約2.6センチ)。
■ のぞき菌 ■
「のぞくベッチーのぞくベッチー」と言いながらテストの答えをのぞくズルーイ菌。
テスト勉強しない奴だけにうつる。
(ミニブック解説より)
原型維持型。
その中でも、かなり元デザインに忠実なアレンジになっている個体。
5つ並んだ目のうち、一番上はハチマキに隠されている様子。
ハチマキの文字「菌」は、名称刻印と同じものが掘り込まれています。
足が長くなった上に、重心が上の方に移動しているからものすごくバランスが悪そうに思えるけど、実は大行進版よりも安定度が遥かに高いという不思議ちゃんだったりします。
個人的には、暴走族版の中で一二を争うくらい好きなバイキン。
と思ってたら、なぜかこれだけやたらと一杯手に入ってしまいました。
大きさは、約3.7センチ(大行進版は約2.6センチ)。
■ カトンボ菌 ■
ヒョロヒョロのガリガリ君のくしゃみからうつるゾ。
カトンボメガネをかけて、空を飛べる菌なんだって。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型にして、ヘタしたら暴走族最大の変貌を遂げたかもしれないバイキン。
おおまかなスタイルはそのままなのに、大きさ・ポーズ・ディテール・顔の向きなどが大幅に変化。
しかも、「暴走族シリーズなのに唯一バイクに乗せられない!」というオマケつき。
ちなみに当時のガチャガチャの台紙イラストでもバイクには乗っていないので、一応これは何かの間違いではなく、デザインの正当再現みたい。
大行進版ではハッキリしなかった顔付きが明確になり、さらに(吸盤に対して)顔が正面を向くようになったため、表情がとてもわかりやすくなりました。
個人的には、空飛ぶケムンパスというイメージなんだよね、これ。
大雑把な造りの多いアレンジ型において、比較的精密さを保っている個体。
暴走族の中でも、入手はかなり困難な様子。
また、バイクに乗れないものの暴走族シリーズの条件に従い、一応「足の延長」は行われています。
ただ…これよく見ると。
このカトンボ菌、足の位置を基準にして見ると、頭が正反対に向いてない?
と、いうか……エクソシスト状態!!
頭を基準に見ると、今度は背中から足が生えている事になっちゃうしなあ。
大きさは、約3.3センチ/翼幅約2.7センチ(大行進版は約1.2センチ/翼幅約2.4センチ)。
■ ヘドロ菌 ■
海や川をアッという間に真っ黒にしてしまうコワ〜イ菌。
公害菌。
汚い男の子には「ヘドロマン」と言ってやろう。
(ミニブック解説より)
原型維持型。
のぞき菌と同様のアレンジが成されていて、ハチマキと長い足に目が行きがちです。
大行進版は、前方と側面に延びている計四つの突起が足なのかと思っていたせいか、この足を初めて見た時はかなり驚いた記憶があります。
ぶっとい足がいいなあ。
のぞき菌同様、ハチマキ前面部の真ん中に「菌」の字の刻印あり。
大きさは、約3.5センチ(大行進版は約2.2センチ)。
■ でめ菌 ■
頭を3回たたくと2日後に目の回りに発生する。
よく見るとカワユイ菌。
この菌が目に入ったら舌を引っぱってもダメ。
(ミニブック解説より)
これは原型アレンジ型…かなあ。
ちょっと判断に苦しむところだけど、名前の刻印もあるし造形も緻密だから多分そうなんでしょう。
全体的に大型化して、頭?に無理矢理巻きつけたハチマキがエラくイカすデザインに。
ただしハチマキには刻印はなく、小さな穴が開いてます。
ベルトのモールドまで加えられているせいか、まるで服を着ているような印象に変化。
ある意味、原型維持型の中ではもっとも印象が変わった物の一つかもしれません。
大きさは、約4センチ(大行進版は約2.8センチ)。
■ うんち菌 ■
ためゴンから発生し、あたり一面にくさい臭いをまきちらす。
世界一くさい菌。
一度ふむと、においがとれない。
(ミニブック解説より)
原型維持型の代表的存在。
パッと見、ほとんど「足だけ継ぎ足した」かのように思えるほど大行進版の形状を色濃く残している(実際は完全な別原型)。
ハチマキを装備し、刻印は二文字の「神風」。
腕は相変わらずナシ。
ものすごく重心が高そうに見えますが、これでもしっかり自立可能。
モールドも細かく、またデザインがデザインだけに、大変味わい深い造形にまとまっています。
バイクに乗せると、水虫菌同様「バイクのシートに置かれたとても困っちゃうモノ」に成り果てる所がビューティホー。
大きさは、約2.9センチ(大行進版は約1.8センチ)。
■ 大食い菌 ■
おやつを食べて、すぐにごはんが食べられるんだって。
きっとお腹の中には大食い菌がいっぱいなんだ。
(ミニブック解説より)
顔の作りなどがかなり変わっているけど、一応原型アレンジ型と判断してもよさげ。
こちらも、足が伸びたおかげでかえってバランスが良くなったタイプ。
元々人型タイプのバイ菌は、暴走族になった事でかえって自然なラインになったかも。
ただ、そのせいか逆に個性が薄まったかな? とも思わされる気がします。
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
■ なまけ菌 ■
宿題をする時間になるとテレビの回りに発生する。
感染すると「なまけ者病」になる。
叱られるとすぐに治るんだモーン。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型で、妙に大型化した上にスタイルも様変わりしてしまったタイプ。
小柄で短い筒のような可愛らしい体型は、妙にデカく太い体躯に変化。
更に、シリーズ内でも最大クラスのヘルメットを装着。
その上、以前と違い眠たそうな目になったおかげで、なんとなく迫力が増してしまいました。
なんというか、小学生の時小柄だった友達と高校になって再会したら、迫力満点の気合入りまくり君になっていたかのような感覚といえば伝わるでしょうか?
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.1センチ)。
■ 電菌 ■
刺されるとシビレる。
電線に多く発生しているので凧上げの時には注意しよう。
また、長く座れば足に発生することもある。
(ミニブック解説より)
原型アレンジ型。
足だけでなく、少し手も伸びた電菌。
こちらもハチマキグループで、なぜかマークが「菌」ではなく「神」の刻印になっています。
昔は、族の中でも坊主頭にして迫力アップに努めていた人達が多くいたものだが、そういった役どころっぽい気がします。
しかし、表情は相変わらず可愛らしいまんま。
手持ちのものは、微妙な歪みがあるのか今ひとつ自立し辛い印象あり。
オリジナルもすぐ倒れるからなあ、これは電菌の宿命なのでしょうか?
大きさは、約3.1センチ(大行進版は約2.2センチ)。
■ 菌マン ■
大菌獣を相手に戦う正義の菌マン。
バイ菌の中の英雄!
テレビの菌マンショーにも出演。
なんだかわけのわからない菌。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型だが、大雑把なシルエット以外ほとんど完全な別物になってしまいました。
勉強菌同様、大きさ・表情・モールド・バランスがオリジナルより極端に肥大化。
かなり好き嫌いが分かれそうなデザインに。
しかも、なまけ菌のように何かを装備した上でスタイルが変化したものでないため、ある意味とても異質に見えます。
逆に言えば、それはものすごい個性だとも言えます。
個人的には、ビックリ目玉と巨大化ボディが大変お気に入り。
オリジナルも悪くないけど、あちらは意外に個性に乏しいからね。
インパクトとしては充分過ぎるかと。
大きさは、約3.6センチ(大行進版は約2.1センチ)。
■ ベロベロ菌 ■
びっくり箱の中にいる。
「ベロベロバー」といいながらみんなをびっくりさせて喜ぶ菌。
アレ、どこかで見たゾー。
(ミニブック解説より)
特徴的なヘルメットでかなり表情が変化しているけど、その造形の緻密さから一応原型アレンジ型に判別できそう。
よく見るとかなり大幅にデザイン変更されていますが、ポージングとモールドのせいか、かなりオリジナルのイメージを色濃く残しています。
オリジナル以上に彫りが深まった体表が、面白い味わいを見せているのも見逃せないポイント。
他の人型タイプ同様、バランスが良くなっているのも注目点。
このタイプが、バイクに乗せて一番映えるからね。
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
■ 短足菌 ■
ロックコンサート会場に出没する。
伝染すると少しづつ足が短くなっていくという恐ろしい菌。
短足友の会が発生源らしい。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型で、大きさ、表情、造形すべてオリジナルとは完全な別物。
短足の筈なのに足が長くなるなんてけしからんと言いたいところですが、他の暴走族シリーズと比べると確かに短足です。
正面からだとわかり辛いですが、後ろから見るとハチマキを巻いているのがわかります。
ハチマキ部分に何かモールドが欲しかったところ。
大きさは約3.4センチ(大行進版は約2.1センチ)。
●後期 全10種
アレンジ型が多いのが特徴。
バイキン樹、カリカリ菌、車菌、菌トン雲は存在未確認。
■ バイ菌女王 ■
バイ菌のあこがれの的。
モモエ菌ともいう。朝一番にカガミを見た時「ァ〜私はなんと美しい!」と思ったら、もう感染している証拠。
(ミニブック解説より)
菌マン同様、特に装備品が増えている訳でもないのに印象がガラリと変わってしまった大幅アレンジ型。
妙に角ばった部分が増え、正直緻密さはあまり感じられない造形。
荒削りな部分もかなり多く、いかにも木型から作り起こされたんだな、という印象が強いです。
勿論、この場合それらの特徴はマイナスにはならないという事は、言うまでもありません。
先の通り、バイキン大王を凌ぐような迫力を身に付けてしまいました。
なんだかとっても怖いような気がするのは、筆者の気のせいなのでしょうか。
尚、自立性はすこぶる悪い!
大きさは、約3.7センチ(大行進版は約2.3センチ)。
■ バイ菌博士 ■
バイ菌大王の先生。
人間のことならなんでも知っている。
もちろん君がおやつを食べる前に手を洗わないってこともね。
(ミニブック解説より)
こちらも原型留めない型。
オリジナルと大きく異なり、巨大な卵型になった頭部と、延長された割には短く感じられてしまう足が特徴的。
その他(厳密にはこれは復刻版を見ていてやっと気付いたんですが)槍が角ばった形状のものに変化しています。
顔の迫力がとてつもなく上昇し、もはや「怖い」の領域に!
こんなでっかい顔で、一つ目&牙付きの口じゃあ、そりゃ怖いって!
これは、スプレー塗装の色によってさらに引き立ち、ずば抜けた個性に変化。
筆者が持つ赤地に青のスプレーのものは、もうとんでもない大迫力になってしまっています。
こちらは、2004年度の復刻版にそのままの形状で混入されました。
ネットオークション等で当時モノの購入を検討する場合は、2004年「バイキン軍団個展限定発売版」と間違えないように注意してください(そちらにもスプレーがかかっているため、写真だけでは判別が難しい場合があります)。
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
■ おなら菌 ■
ブヒブヒと鳴くからすぐバレル菌。
発生源はおいもかお腹の中かパンツの中か良くわからない。
悪化するとうんち菌とも仲良くなれる。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型。
何より目立つのが、ヘルメット。
なまけ菌と同じような無骨なタイプで、大元のデザインと比較するとすごい個性になっています。
おなら菌は、これ以外のシリーズ(機甲部隊・ヘッドフォン族・カラオケ)でも比較的原型を維持し続けている珍しいバイ菌ですが、この暴走族だけ頭一つ飛び出しているような気がします。
足が細めだけど、胴体が大柄でガッシリしているため、バイクに乗せると映えるのが良い感じ。
こんなのでも、一応しっかり自立が可能。
大きさは、約3.8センチ(大行進版は約2.5センチ)。
■ 人くい菌 ■
アフリカの奥地で発生したらしい。
でも、かなり流行している。
ほら、誰にでもかまわずカミツキたがる奴がいるだろう。
犯されているゾ。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型ですが、特徴的な部分はしっかり押さえています。
手足食いながらバイクに乗るなよ! と言いたくなりますが、そこはそれ個性だし。
少々メタボチックだった胴体はいくらか細身になったようで、造形バランスは著しく向上。
というか、第三期の造形は全体的にあまり褒められたものではないのですが。
良い意味でコミカルな作りになり、愛らしさが増した感があります。
でもやっぱり人間食う。
大きさは、約3.7センチ(大行進版は約2.6センチ)。
■ 下くちびる菌 ■
夜の8時ごろに多く発生する菌。
目から感染する。
すぐにヒゲダンスを踊りたくなるから感染したかどうかすぐわかる。
(ミニブック解説より)
原型留めない型。
薄っぺらで横長だったボディは正反対になり、分厚く縦長になりました。
また、三つ目部分にだけヘルメットを被り、なんだかとっても奇妙な姿に。
ただし彫りはオリジナルより浅くなり(注:甘くなったわけではない)、もっとも原型を想像し辛い物の一つになった感もあります。
ボディに対して妙に細い手足がチャームポイントですが、こんななりでも余裕で自立可能という恐ろしさ。
大きさは、頭頂部まで約3.2センチ(大行進版は約2センチ)。
■ ハナタレ菌 ■
ハナグソ菌のいとこ。
昔、ハナ紙屋がひそかにバラまいたというウワサも!?
だから今は大繁盛。飲みこまないように。
ハナグソ菌になるよ。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型。
溢れるハナミズのインパクトは、完全にオリジナルを凌駕。
基本的デザインとポーズは変わっていないものの、そのイメージが大きく変化しています。
というか、人くい菌同様オリジナルより造形レベルが高まっている一体だったり。
平たい面に先の尖ったものでカリカリと掘り込んだだけ(のように見えた)オリジナル版の顔に対して、こちらはきちんと立体的な掘り込みになっています。
どうも下くちびる菌と同じ原型師が製作したようで、いくらか共通点や癖が見て取れます。
大きさは、約3.5センチ(大行進版は約2.7センチ)。
■ ヨダレ菌 ■
デブ菌の子供。
食物・おもちゃ、なんでも目に入るとすぐほしくなる。
ほっておくとあっという間にデブ菌に……。
ホラ、ホラヨダレタラタラ。
(ミニブック解説より)
比較的緻密な作りだったオリジナルに対して、こちらは原型留めない型。
筆者が判断する限り、恐らくもっとも造形が粗い(ぶっちゃけると“手抜き”)に思われる一体。
なんとなくですが、オリジナルを一瞥しただけのおぼろな記憶だけで造形したような、適当感がかなり感じられます。
だらしない体格、情けない表情が更にそれを強調しているが、ひいてはそれが最大の魅力にもなっている点は見逃せません。
元々大きくはあったが、一歩間違うと口さけ菌と対を張れるレベルに肥大した大口と、そこから零れる立体的なヨダレは秀逸。
というか、それだけでもオリジナル以上の特性アピールかもしんない。
大きさは、約3.7センチ(大行進版は約2.6センチ)。
■ 金もち菌 ■
感染するとなんでもお金を出せば手に入ると思ってしまう。
新しいものをつぎつぎほしがる君は、このいやしい菌のとりこになったのだ。
(ミニブック解説より)
大幅アレンジ型。
ただし、こちらもオリジナルの大雑把な造形をブラッシュアップした感が強く、完成度はそれなりに高いと思われます。
下くちびる菌同様、横長で薄っぺらだったボディは縦長・厚めになりましたが、どちらかというと「厚みを増した」というより丸くなったという感じ。
その他、顔のパーツが密集しています。
単独で見る分にはなかなかいいのですが、造形が堅実すぎるのかバイクに乗せてもあまり映えないのが弱点かなと。
大きさは、約3.1センチ(大行進版は約2.2センチ)。
■ なきむし菌 ■
本当はイジメッ子に寄生している。
だからイジメッ子が強いんじゃなくてなきむし菌のおかげなんだ・・・ボクが泣かされるのは。
(ミニブック解説より)
第三期暴走族にしては珍しい、原型維持型。
よほどじっくり見比べない限り、(足の長さ以外)オリジナルと区別が付かないかもしれないというほど忠実な造りになっています。
逆に言えば、他の暴走族に比べてアレンジがほとんどないため、若干浮いてる感じもしなくはないですが。
筆者は当時、これは足パーツだけ増設しているものだと信じていました(実際は完全新規です)。
大きさは、約3.6センチ(大行進版は約2.6センチ)。
■ タイフー菌 ■
海水浴に行くと約束した時に限って発生する。
時にはいえがつぶれることもある強力なきん。
塩をまいたぐらいでは退治できないのだ。
(ミニブック解説より)
持っている個体の左足が溶けていて丸まっているけど、その上から赤いスプレー塗装されているので整形不良かも?
他の個体は、ちゃんと造型されています。
一見原型維持型ですが、実は大幅アレンジ型というくわせ者。
全体的な大型化が計られ、さらに身体が厚みを増しました。
第三期暴走族に見られる良いアレンジが成されていて、完成度が更に高まっています。
まあ、オリジナルもかなり造形密度が高くて秀逸ではあるんだけどね。
しかし基本形状が基本形状だけに、暴走族っぽいアレンジは加えられなかったみたい。
大きさは、約2.2センチ(大行進版は約3センチ)。
●造形アレンジの特徴
一応ほぼ全種類のバイキン暴走族を見て来たが、ここで再度造形の特徴を振り返ってみましょう。
・原型維持型:
大行進シリーズの基本造形に忠実に造られており、伸びた足以外はオリジナルとほぼ同じ。
多少のアレンジはあるものの、一目でオリジナルが何か区別が付けられます。
ある意味、暴走族シリーズが最も目指していたスタイルなのではないかと想像できます。
一番安心感のある造形で馴染みもあり、発売当時もこれが出ると純粋に新鮮な気持ちが味わえました。
・原型アレンジ型:
パッと見は大行進版と違うようですが、よく見ると部分的にオリジナルの意匠を残しているもの。
こちらも、原型維持型同様暴走族シリーズを象徴するような、安定感のあるデザインだと言えます。
また、全体の中でももっとも「暴走族らしさ」を持っている感があります(あくまで当時の感覚で、だけど)。
筆者は、当時これらが出ると、どこがどのように変わったかオリジナルと比較するのが楽しくて、後からじわじわと喜びを覚えたものです。
以上二点は、恐らく同じ原型師により製作された物のように感じられます(或いは大行進から継続して製作していた同一担当者)。
表面は滑らかに処理され、モールドの一つひとつがとても細かく仕事が丁寧に感じられます。
ウルトラ怪獣消しゴムに例えるならば、これらはポピー製にあたるでしょうか。
・大幅アレンジ型:
大行進の造形をほとんど参考にせず、独自解釈(多分)で一から作り直されたと思われるもの。
おおまかなデザインは踏襲しているので、恐らく過去の製品を参考にせず製作されたのではないでしょうか。
基本的にとても良く出来ていて、物によっては大行進版よりも造形レベルが高いものも多いですが(特に第三期)、表面がデコボコしているものが多く、原型が木彫りである事を明確に示しています(実際原型は木製)。
明らかに前2タイプとは原型師が異なっているのもわかります。
・原型留めない型:
そのままだとバイクに乗れないバイキンを、乗れるようにするという大義名分の下、徹底的に別物にしてしまったという一筋の輝きを感じさせるセンスが魅力。
当時、バイキンに詳しい者は一度は驚いただろうトンでもない造形。
こちらも「大幅アレンジ型」と同じ原型師によるもののようで、いくらか特徴的なポイントが見て取れます。
ただし、大幅アレンジと同じような製作意図だったと思われるものの、どう見てもこちらに属しているようにしか見えないものもあったりします。
ある意味では、暴走族シリーズの一端をガッシリと支えていると言えるでしょう。
これは筆者の推測ですが、恐らく原型製作担当者が大行進の時より多かったか、或いはそのうちの一人が大幅に作風を変えた結果なのではないかと考えられます。
大行進シリーズも、よく見ると前期・中期と後期でかなり造形のクセに違いが見られるので、可能性は高いのではないいでしょうか。
さて、次回はいくつかのシリーズをすっ飛ばして2004年度復刻版と個展限定版を紹介してみたいと思います。
「機甲部隊」と「ヘッドフォン族VSローラー族」はほんの一部しか所有していないので、遠い将来何かの間違いで揃える事が出来たら紹介……という事でご容赦を。
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このバイ菌軍団レビューページ製作にあたり、筆者は今現在もなおバイ菌軍団シリーズを集め続けております。
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