第75回 ■ バンダイ S.H.フィギュアーツ「ライオトルーパー」
2011年10月23日 更新
一万人の仮面ライダー(ただし廉価版)、フィギュアーツに登場です。
別名・やられ役専門、或いはもっとも金のかかるフィギュアーツ。
装着変身時代から商品化が熱望されていたアイテムが、ようやく一般販売されたわけです。
というわけで、今回はこの素晴らしき雑兵共をレビューしてみたいと思います。
■ S.H.フィギュアーツ ライオトルーパー
2011年10月8日発売。
同時販売物は、同シリーズ中にはなし。
2011年10月の販売(配送)ラインナップは、以下の通り。
- 10/29 「バーナビー・ブルックスJr.(TIGER&BUNNY)」
「ゴーカイブルー(海賊戦隊ゴーカイジャー)」 - 10/26(配送開始日) 「ガメル」「バースCLAWsセット(仮面ライダーオーズ)」
「キュアブラックMax Heart Ver.」「キュアホワイトMax Heart Ver.(ふたりはプリキュアMaxHeart)」
「黄金騎士・大河(牙狼)」
全高は約14.3センチ(ツノ含まず)
合計3種5個の手首付き。
アクセレイガン一点付属。
台座などのオプションはなし。
価格は税込3150円。
ライオトルーパー。
劇場版「仮面ライダー555 バラダイスロスト」にて初出。
スマートブレイン社が開発した、「SWAT」所属オルフェノク専用の戦闘用特殊スーツ。
ファイズギアをはじめとする5つのベルトの廉価版で、大幅なコストダウンを計る代わりに生産製が高められており、その数は一万に及ぶ。
ただしフォトンブラッド・フォトンストリームは搭載されておらず、性能は変身者のそれに準拠する。
劇中では、ファイズ(乾巧)と園田真理を追いつめ、集団戦とはいえ一度はファイズ撃退に成功している。
人類の殆どがオルフェノク化している世界において、人間の残党と「人間解放軍」狩りを行っているライダー騎兵隊として登場。
人類を恐怖のどん底に追いつめていたが、巧(ファイズ)の復活で形勢逆転されてしまう。
モチーフは「ο(オミクロン)」の文字で、ファイズやカイザのように携帯電話型トランスジェネレーターを持たないため、3つの数字による表現はない。
一万体というのはあくまで設定に過ぎず、実際に劇中にその数が出て来たわけではない。
変身は、SWATのオルフェノクが手を胸に添えるだけで実行される簡素なもの。
オルフェノクは、通常は人間態の時に変身・装着を行い、怪人態になる際は一旦ライオトルーパーから元に戻らなければならない。
ライオトルーパーのまま倒されてしまうと、変身解除はせずスーツが維持されたまま灰化してしまう。
装備は、銃とコンバットナイフに変型するアクセレイガンと、ジャイロアタッカーと呼ばれるバイク。
ただし、中にはサイドバッシャーやジェットスライガーを駆使する者もいる(各マシンが各ライダーの専用機と別な物なのかは不明)。
蛇足だが、「パラダイスロスト」製作中、視聴者一万人を招待して撮影に参加させるというキャンペーンが行われた。
実際に、本編終盤の戦闘シーンではファイズ達の闘いを見物するオルフェノクのギャラリーという設定で画面に映されており、エンディングテロップも大変なことになっていた。
しかしこのキャンペーン告知とほぼ同時に、「次の劇場版ではライダーが一万人登場する」という宣伝も行われていたため、多くのファンが「仮面ライダー(ライオトルーパー)役で登場出来る!」と信じ込んでしまったという、微笑ましいエピソードがあった。
中には、撮影当日にはDXファイズドライバーなどの玩具を持参するべきか等とWEB上で真剣に相談する人もいたが、後にただのエキストラだと判明してから、不満・不平を訴えるといった展開もあった。
今となっては笑い話以外の何物でもないが、「一万人」というキーワードを二つ用いることでファンの期待をくすぐったのは事実で、当時はそんな動揺が発生するのもやむなしといった雰囲気が確実に存在していた。
「仮面ライダー555」のテレビ版本編にも、ライオトルーパーが出演している。
物語終盤、スマートブレイン前々社長・花形が、オルフェノクの王抹殺の目的でスマートバックル(TV版におけるライオトルーパーに変身するベルト)を6体製造、これを新社長・木場勇治に託す。
木場はかつての仲間であり同志だった海堂直也を中心に、スマートブレイン社員を含めたライオトルーパー部隊を組織、これを暗躍させる。
しかし、後に海堂は木場に反旗を翻す事となり……
こちらのライオトルーパーは、「数が少ない」「レギュラーキャラが変身者に含まれる」「変身システムが違う」「ジャイロアタッカーがない」といった設定の違いが見受けられるが、基本的には劇場版登場のものとほぼ同等である。
ライオトルーパーは、その後約7年ぶりに「仮面ライダーディケイド」に登場する。
本作では二種類の存在が確認出来、一つは仮面ライダーディエンドがディエンドライバーのカメンライドで呼び出した「兵隊」として使用するバージョン。
こちらは3体1セットで召喚され、特定の変身者や素となるオルフェノクは存在しない。
また一度きりではなく、4回も召喚されており、大変便利に扱われていた。
劇場版「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」では、小野寺ユウスケ率いる一団として登場し、門矢士を追いつめるものの、ディケイド激情態にあっさりと蹂躙されてしまう。
ユウスケが、どのような手段でライオトルーパーを従わせていたのかは不明。
というわけで、ライオトルーパーです。
のっけからなんですけど、今回は正直割高感がハンパないです。
画像を見れば一目瞭然、3,000円台にしてこの付属品の少なさ!
正直、呆気にとられるレベルです。
さすがに、仮面ライダー龍騎などと比較するのは酷ですが、同じ「仮面ライダー555」系商品と比較しても、これはないなというレベルです。
せめて手首が左右全部揃っているとか、または価格を2,500円台程度に抑えるとか、それくらいのことはあっても良かったんじゃないでしょうか。
そう思わされる商品です。
まずは、いつもの前後比較。
基本体型は、当然の様に555系を踏襲していますので、ガチムチです。
今回は、特に頭部が小さいとか極端にマッチョに見えるといったことはなく、バランスは大変良いと思います。
足首は、今回もダイキャスト使用なので踏ん張りが利きます。
背面を別角度から。
左脚のホルスターは、本体と一体式で取り外し不可です。
ここに、後述のアクセレイガンをホールド出来ます。
といっても、保持力は皆無なためしょっちゅうすっぽ抜けます。
正直、少しくらい突っ張れる何かが欲しかった気がします。
頭部正面アップ。
いつ見ても、覗き穴構造がよくわからないマスクです。
クリアパーツは一切なく、見たまんま銀一色です。
斜めから。
ツノはわりかし太めなので、ファイズのような折れやすさはなさそうですが、一応油断なく行きたいものです。
左前腕には、「RIOT」の文字がタンポ印刷されています。
摩耗が怖いならコート処理必須でしょうか。
スマートバックル。
構造が他の555系と同じため、今回も取り外しが可能です。
なんだかよく回ってしまいがちで、ズレることもしばしば。
撮影後にズレてたのに気付いたものもいくつか……
ライオトルーパーにはフォトンストリームはありませんが、似た様な銀色(白?)のラインが存在しています。
ところが、今回それが全く塗装されていません。
造型はされているので完全にオミットされたというわけではないようですが、露骨なコストダウンがここにも見られて、ちょっと辟易させられます。
今回唯一の装備品・アクセレイガン。
劇中設定通り、ナイフと銃に変型可能です。
ただ問題は、それを持つ手首が右手しかないこと。
今回も、なぜか左の武器持ち手がオミットされています。
もう訳わからんです。
アクセレイガンは全長約5.4センチと、かなり大振り。
ブレード部分だけでも約2.9センチもあるので、ハッタリが利かせられます。
ちょっとだけ持たせ辛いかもしれないけど、人差し指もちゃんとトリガーにかかっているので、安心です。
こちらが、ブレードモード。
この状態でホルスターに入ります。
こちらがガンモード。
何のことはない、ただ刃部分の根元が折れ曲がっただけです。
可動は適度な固さで、プラプラすることはありません。
大元のデザインが、銃と呼ぶには難のあるデザインということもあって、イマイチ銃の構え的ポージングに悩みます。
それと、ブレードがどうしても目立ってしまって曲がったナイフ以外の何物でもないという外観も……
まあ、それでも可動式のものをちゃんと付けてくれた事は、評価したいところです。
構えたところを真横から見ると、全体のバランスがより明確化します。
銃にしてはグリップが長すぎるせいなのか、やっぱりどこかいびつです。
もっとも、これは玩具の難点じゃなくて元デザインの問題だから、決して本商品が悪いわけではないです。
アクセレイガンを握れる手が右手しかないため、必然的にこんな不自然な抜き取り方になってしまいます。
左手で取って右手に持ち替えるでもいいのに……
何故そこまで執拗に左武器持ち手オミットにこだわるのか、理解が及びません。
ファイズのように、ファイズショット手首を入れる都合というならまだわかりますが、今回は同梱しない理由が全く見当たらないので純粋に不思議です。
でも、前述の通り大振りな武器ということもあって、開き直って構えればそれなりに格好良く決まります。
もし装着変身で出ていたら、PVC製で二種類同梱だったのかなあ?
以上で、商品仕様の概要は終わりです。
「仮面ライダーファイズ」との比較。
なかなかいい感じのバランスです。
こうして見ると、ファイズの頭の大きさも本当に気にならないですね。
「仮面ライダーカイザ」との比較。
ライオトルーパーの真価は複数購入によって発揮されます。
絵になる度が、ハンパなく高まりますからね。
この喜びは、言葉や文字では伝えられない気がします。
とりあえず、三体揃えてみました。
カイザも揃ったので、それっぽく共闘&対峙の場面を演出してみたり。
この構図だともう数体欲しいところですが、これ以上はお財布が厳しいです。
必殺デジカメパンチ。
やっぱりライオトルーパーは最高のやられ役です。
カイザスラッシュ!
やっぱりライオトルーパーはry
カメンライド・ライオトルーパーズ!
「後はよろしくね、僕の兵隊さん♪」
仮面ライダーディエンドと共に並べると、また違った趣が出て来ます。
というか、三体揃えたのはこれが狙いだったんですけど。
ちなみに、フィギュアーツ・ディエンドにはデフォルトで「ライオトルーパーズ」のカードが同梱されていました。
でかした、バンダイ!
クウガ引率部隊、ディケイドと対峙。
さすがにこれはもっと数が欲しいところか!
せっかく三体あるので、もちょっと欲張って撮影を。
まずは、俺達の魂も燃えてみたり。
悲しみ溢れた時は、勇気の鐘を鳴らしてみたり。
荒ぶるとか、たおやかとか魂とか、三人の組曲を届けてみたり。
よっしゃ、ギリチョンで間に合った。
お兄ちゃんに、この服似合うかどうか聞いてみたり。
以上、ライオトルーパーでした。
今回のレビューは短いなぁ。
って、伸ばしようがないんだけど。
【買ってみて一言】
一応、ファンにとっては念願のアイテムではあったのですが、仕様と価格が合っているとはとても言い難い、いささか残念感の強い商品でした。
一部ダイキャスト使用とはいえ、この程度の内容で3,000円台というのはどうかと。
どうしても、そう思わされてしまうのが、この商品の難点と言えるでしょう。
確かに、ライオトルーパーに豊富な付属品を望むのは変な話ですが、手首などは省く理由が見当たらず、また一部塗装オミットもどうかと思われるものです。
これでは、もう少しなんとか出来たんじゃないかと感じざるを得ません。
話によると、玩具商品はシリーズの一部でコスト的に厳しい商品を出すと、他の商品をコストダウンさせることで全体の帳尻を合わせるそうです。
そう考えると、今回の商品は「何かの」帳尻合わせでこうなってしまったという見方も可能になります。
確実な話ではないですし、果たして影響を与えた商品が何なのか特定も出来ませんが(出来そうな気もするんだけど、あえてこう書く)、そのような知識を持った上で本商品に触れると、多少理解が及ぶのかもしれません。
とはいえ、理解と納得はまた別な問題です。
造型自体はとても良いものなので、仕様のショボさが目立ち魅力を潰してしまうような内容は、残念です。
以前ゼクトルーパーという兵隊キャラの商品化がありましたが、あちらは2415円というリーズナブルな価格帯で、複数集めるのが前提なのではないかとすら感じさせるものがありました。
もっとも、ダイキャスト未使用に加え、マシンガンブレードのギミックが廃されているという問題もあり、その結果の価格だったとも見られますが、せめてあれくらいであれば…と思わされてしまいます。
まあ、ともあれ。
逆に言えば、最初から複数買いの覚悟さえ決めてかかっていれば、沢山集まる事で発揮される独特の魅力が堪能できますし、何より既存ライダーと絡ませてプレイバリューを高める事も出来ます。
「仮面ライダーディケイド」のおかげで、555系ライダー以外と絡ませても違和感がなくなったという点も大きく、そういう意味ではゼクトルーパー各種より応用性が利くといえます。
中には、三体なんて言わずもっともっと集めている人達がいるようですが、懐が許す範囲で多数並べて、迫力あるディスプレイを楽しみたいものです。
ちなみに、今回の流通は相当な余裕があったようで、WEB通販・店頭共に在庫豊富でした。
このレビューを書いてる現在でも、どこかしらで入手が可能であり、また争奪戦もなく楽勝感が強いです。
こういう状況なので、複数買いも余裕かもしれませんが、店舗によっては一人一体までと制限が設けられているケースも多々あるので、通販の場合は送料が余分にかかってしまう危険をはらみます。
筆者は、二体をそれぞれ個別に通販、一体を店頭で購入しまして、割引分でそこそこオトクになりましたが、全部通販だったら少し厳しかったかもしれないといった所でした。