第36回 ■ バンダイ装着変身「仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」
2007年8月19日 更新
2011年9月11日 一部追記
「装着変身大全」誌上限定版の装着変身が、ようやく到着です。
「仮面ライダー555」で唯一? 装着変身化していなかったアクセルフォーム。
装着変身シリーズ最後のレビューは、これで行ってみたいと思います。
●ミリオン出版刊「装着変身大全」誌上限定販売
装着変身 仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム 誌上価格\2,500※
- アクセルフォーム素体フィギュア
- アクセルフォーム頭部(マスク)
- アクセルフォーム肩アーマー×2
- アクセルフォーム胸アーマー
- ファイズエッジ
- ファイズポインター(大小)各×1
- ファイズショット(大小)各×1
- 取扱説明書
※その他送料・手数料・消費税\1,000が加わり、実質\3,500+本誌代\1,680=\5,180
2007年1月9日発売のミリオン出版ムック「装着変身大全」誌上にて、限定発売。
但し、アナウンスは2006年8月末から「フィギュア王」などで行われていた。
申込締切は、2007年4月9日(当日消印有効)、当初の商品発送時期は同年五月予定。
その後延期告知があり、同年8月15日辺りから発送処理開始。
翌16日以降から、申込者の許に届き始める。
一冊一体のみの購入で、複数購入の場合は上記金額を個数分支払う必要があった(そのため、たとえ二個以上注文する場合でも、送料は個別分支払わなければならないという問題も有り)。
2007年8月現在、「仮面ライダーカブト」以前の旧タイプ構造装着変身としては、最後のアイテム。
基本構造は、「仮面ライダー555」の装着変身シリーズに準拠(装着変身・仮面ライダーファイズのリデコ品)。
「装着変身 仮面ライダー電王」シリーズと比較すると、どうしても関節可動幅等の面に見劣りを感じてしまう。
●映像内のキャラクター
ファイズが腕時計型の追加装備ファイズアクセルを装着し、上面部のアクセルメモリーを引き抜いてファイズギアのメモリースロットに差し込む(ファイズのミッションメモリーと入れ替える)と、アクセルフォームと呼ばれる超加速形態に進化変身する。
体色が黒と銀を基調としたものに変化し、胸のフルメタルラングが放熱のために展開、内部のブラッディ・コアが露出する。
この状態でファイズアクセルのスイッチを入れると、「Start-up」→「…3.2.1…Time-out」というナビゲートボイスが流れるまでの10秒間、ファイズは普段の1000倍という超高速状態に突入し、圧倒的な攻撃力を発揮できるようになる。
ファイズ自身は、アクセルフォーム化により特に新しい戦闘技や武器を手に入れるわけではないが、本来一度に一回しか放てないクリムゾンスマッシュ(ライダーキック)が、一瞬で複数放てるようになったり、同時に複数の敵を攻撃できるようになったりする。
この「ライダーキック系の技は一画面に一つだけ」という暗黙の了解を豪快に打ち破った映像センスとインパクトは凄まじく、アクセルフォームの人気を不動の物とした。
反面、更なる上級フォームであるにも関わらず超加速能力がない「ブラスターフォーム」が、どう見てもアクセルフォームより弱く見えてしまうという弊害も発生した。
尚、劇中では後にドラゴンオルフェノクやゴートオルフェノクのような“更にレベルの高い超加速能力”を持っているオルフェノクが登場してしまったため、アクセルフォームの能力は必ずしも万能のではないと証明された。
ファイズファンには大変人気の高いアクセルフォームだが、同時に数多くの矛盾を抱えた存在である事も指摘されていた。
有名なものが、「加速時間10秒とは主観によるものなのか客観なのか」という点。
劇中では、アクセルフォーム以外の動きがスローモーションになって加速状態を表現していたが(アニメ三作目のサイボーグ009の加速装置表現に近い)、なんとアクセルフォームはその状態で更に加速・高速移動しており、いわば通常・加速・もっと加速という三つの速度を発揮できる事になってしまった。
このため、10秒の時間制約とは「何を基準に計られているものなのか」が不明瞭になり、その後一部で盛り上がっていた「仮面ライダーカブトのクロックアップとどっちが凄いのか」議論では大きな問題点として扱われた。
(仮に主観10秒だと、アクセル・クリムゾンスマッシュを複数出現させる事は絶対不可能となってしまうし、客観10秒だと二段加速表現の意味がない上に、ファイズアクセルのタイムカウントがまったく無意味になってしまう…等々)
他にも、どさくさ紛れにルールや物理法則無視を連発しているというのも特徴的だった。
本来のクリムゾンスマッシュで必要な行程(一発ごとにエクシードチャージを行う…入力と待ち時間がその都度発生する、等)を無視しているとしか思えない動作や、自然落下法則の無視(別途推進能力が発生しない限り、いくら超加速状態でも滞空中の移動速度は変化しない)など。
また、劇場版ではフライングアタッカーで飛翔する仮面ライダーサイガを追い抜けないという演出があったが、それだとサイガは屋内でマッハいくつの猛スピードで飛んでいたのか、という事になってしまう上、フライングアタッカーにはアクセルフォームをも超える加速能力がある事になってしまう。
このように様々な矛盾があり、その度にマニアから指摘を受けてはいたものの、そういった重箱の隅突きやツッコミを打破するだけのパワーを秘めていたのもまた事実であり、四の五の言わせない迫力を堪能させてくれた存在であったとも言える。
(実際、ツッコミを入れている人達も、演出意図をわかった上であえてやっている感が強かった)
もっとも、ファイズアクセルの入手経緯の不可解さ(何の前置きもなく草加が巧に投げ渡す)だけは、最後までファンの不評を買っていたが…
一応補足説明が後に行われたとはいえ充分納得できるようなものではなかったため、その後も数多くの物議をかもし出した
アクセルフォームは、平成ライダーにおける“単独でメイン商品展開された”中間パワーアップ形態の実質的な始祖であると同時に、同シリーズ内でいまだ超える者が登場しないのではと言われるほどの圧倒的存在感を発揮していると言っても過言ではないだろう。
…もっとも、比較対象は各ジャックフォームや響鬼紅、クライマックスフォームくらいしかないんだけど。
先に触れた通り、装着変身アクセルフォームは装着変身ファイズのリデコ品なので、基本的なプレイバリューはほとんど変わっていない。
唯一、フルメタルラングの開閉ギミックがあるが、それ以外は各部彩色の差と素体左手首に直接組み込まれている(取り外し不可)ファイズアクセルがあるだけ。
なので、後は持ち主の思い入れで旨味を見出し、補完していくしかない。
――って言ってしまうとそこまでなので。
装着変身ファイズにも共通する部分も含めて、あらためて全体に触れてみよう。
●セールスポイント
まず、スタイル。
新生装着変身第一号だったファイズそのままなせいか、今見ると色々と思う部分もあるが、意外に良い雰囲気が出ている感じ。
ブラスターフォームでは改善されたマスクと首の長さが反映されていないので、この辺りに残念感があるのは否めないけど、これを前提として捉えておけばあまり目立った問題はないスタイルと言えるかも。
まあ…装着ファイズが発売されたのが2004年6月25日…もう3年も前だもんなあ。
その間進歩しまくってたわけだから、見劣りしない方がどうかしてるんだよなあ。
当時は画期的だーと散々褒めちぎったもんだけど…時の流れって残酷なのね。
アクセルフォーム全身。
アルティメットファインダーは、メタルレッド塗装。
クリアパーツではないのが残念だが、単なるリペの割には良い感じにまとまっている。
フルメタルラングは、PVC製で手動展開。
意外に厚みがなく、胴体アーマーとフィットしているので浮き出ている感じはほとんどない。
ただ、材質が材質だけに一応癒着の心配はするべきか?
梱包時は閉じた状態になっているが、癒着防止のビニールなどは挟まっていない。
ラング側の凸ジョイント左右各ニ箇所で固定されているが、簡単に外せる。
柔らかい材質なので、多少おかしな力がかかっても壊れる事がないのは嬉しい。
跳ね上がったラングは、肩や腕にほとんど干渉しない。
干渉したとしても柔らかいため、あまり問題にならない。
S-RHF版アクセルフォームを持っていた人には、とても嬉しい配慮かも。
装甲パージ機構もないから、腕が上まで上がらない、なんておかしな問題もないわけだしね(S-RHF版は内部構造の問題で腕が上がらなかった)。
胸中央部・ブラッディ・コアは黄色で塗装。
劇中では赤色だったが、これはアクセルフォーム起動直後の色なのだそうな。
モールドは細かく掘り込まれていて、雰囲気は充分。
ファイズアクセル。
素体の左前腕と一体化しているので、取り外しは不可能。
このため、アクセルフォームになろうとしているノーマル状態のファイズは再現出来なくなってしまったが、元々装着変身ファイズの左前腕にジョイントがないから、これは仕方ない仕様だと思われる。
デジタル表示部分はオミットされているが、特徴的な赤いラインはしっかり再現されている。
形態が形態なので、既にアクセルメモリーが抜き取られている状態になっているのもポイント。
ファイズギア他。
ファイズフォン部分の塗装が変更され、アクセルメモリーが差し込まれた状態を再現している。
当然、ファイズポインターとファイズショットは今まで通り……と言いたいところだが、どうもこれ、若干手を加えられたらしい痕跡がある。
実は当初、「装着変身大全」では“ファイズポインターとファイズショットのメモリーも「赤く」リペイントされている”というアナウンスがあり、ファンを驚愕させた事があるのだ。
どうも担当者は、アクセルメモリーの設定を把握していなかったようで、「アクセルメモリーはファイズアクセルとファイズフォン以外には差さない」事を知らず、単にミッションメモリーと交換して使用するものだと勘違いしていたらしい。
実際、情報初公開時は黄色だったのに、後に赤色に変更とアナウンスしたという経緯もある。
これは恐らくかなりの指摘を受けたのではないかと思われるが、実物はかろうじて設定通りの黄色い塗装になっている。
ただ、よぉくポインターとショットの各メモリーを見ると、赤色の皮膜の上から黄色が塗られている事がわかる。
どうやら、後から追加塗装を施したようだ。
本商品のブリスターは、セロテープがやたらと沢山重ね貼りされているのだが、ひょっとしたら一旦赤色で塗装した状態で完成させて、後から全部開封して再塗装を施したのかもしれない。
付属品は、基本的にはファイズと同じだか、ファイズギアボックスとファイズフォン2形態が付属していない。
まあ、どちらもアクセルフォームとは無縁な存在だからいいんだけど。
その分割高…と考えてしまうのは、せこいかな(笑)。
ファイズポインターとファイズショットは、小型の物をベルト側面部に固定可能。
大型の物は直接手足に装備させて使用可能。
それはいいのだが、今回なぜか各パーツの固定が甘くなっているようで、やたらと外れやすくなった。
なんとなく、ジョイント軸の口径が合っていない感覚。
更に、ジョイント部分が凹凸双方若干柔らかくなってしまっているようで、張力が発生して固定力を著しく低下させている。
ファイズの時も決してガッチリ固定ではなかったが、ここまでやわやわじゃなかった。
これは、ファイズ付属のものと交換すれば、ある程度緩和出来はする様子。
ちなみにファイズポインター(小)のみ、ミッションメモリーのスリット部分の塗装がオミットされている。
なんつか、ここだけ妙な手抜き感を覚えるなあ…。
アクセルフォームと、他の装着変身ファイズを比較。
いやあ、感無量。
一時はどうなる事かと思ったけど、やっぱり三体揃うと安心感が違いますな。
こうするとどうしてもブラスターフォームが浮いてしまうのが悲しいけど…決して出来が悪いわけじゃないんだよね。
アクセル・クリムゾンスマッシュ。
旧タイプ装着変身では結構難しい姿勢。
これでも、発売当時はバッチリ決まるなぁと感心したものだけど。
本編中、巧は
赤円錐の数だけエクシードチャージ→ジャンプ→ロックオン→蹴らないで着地→必要な数だけ赤円錐作る→最初の円錐に戻ってキック・突撃→次の円錐に移動してキック・突撃…(以下繰り返し)
…などという涙ぐましい努力をしているのだなと後から知って、その健気さに感情移入してしまったものだけど。
アクセルフォームは、腰を落とした姿勢がベストだよねーと思う筆者。
「仮面ライダー555」登場ライダー全集合!
これで、ようやく555ライダーはコンプリート。
クウガ、アギト、龍騎シリーズに次ぐ快挙となった。
一応シリーズ順にフルコンプしているのね。
――え、意図的に何かを外してないかって?
……
【買ってみて一言】
リデコ商品であること、誌上限定販売である事から、さほど大きな期待もなく、いわば記念品的アイテムのつもりでしたから、アクセル好きの筆者としては文句はなく、むしろ満足。
この商品は、そんな感じでアバウトに扱ってもいい物なのではないかなと考えます。
やれプレイバリューがどうとか、アレンジの具合がどうとか、新造ギミックがどうとか、そんな話をするべき対象ではない事は、とっくに知られているわけだし。
今はただ、(形はどうあれ)商品化しただけでも良しとしたい心境です。
さて価格ですが、ムック誌上販売という事もあり、当然価格はそれなりに高くなってしまいました。
以前紹介した「装着変身 オルタナティブ・ゼロ」の時もそうですが、通常商品の約2倍という価格と、購入手続きの面倒くささに尻込みしてしまった人も多かったのではないでしょうか。
一部では、アクセル誌上限定販売という事に異を唱え、延々と愚痴り続けている人も居るようですが。
確かに、誌上限定販売というスタイルが必ずしも良い形態だとは思いませんが、アクセルフォームは、ファンの人気度合いに対して商品的価値が(メーカーにとって)見込まれていないのでは、という背景もあるため、この処置は仕方がない気もします。
「仮面ライダー555」放送終了期前後、各所で大量に余っていたS-RHFアクセルフォームの姿が思い浮かびます。
筆者は、ある店舗で30体以上並べられたこの商品を見た事がありますが、あれは唖然とさせられましたよ。
所謂マニア人気と、玩具購入層(本来のターゲット層?)との温度差が、ここまでとは思ってもみませんでしたから。
「装着変身マニアックス」は、装着変身オルタナティブ・ゼロSPパックを買うための布施代わりに購入しなきゃならないという、大変困った「内容ペラペラ」のムックでしたが、「装着変身大全」は資料的価値も高く、カラー写真や設定画なども多く、単なる布施的購入書籍の位置付けに留まっていないところが魅力でした。
だから、本来の装着変身シリーズの倍支払ってアクセルフォームを購入したとしても、そんなに割高感はなかったんじゃないか、と筆者は考えています。
勿論、アクセル好きから来る贔屓目も若干含まれているのではないかという自覚も、まったくないわけではないですが。
【2011年9月追記】またまた破損問題発覚!
2011年7月発売「S.H.フィギュアーツ仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム」のレビューを書く際、比較用として久々に本商品を取り出してみたのですが、またしても自然破損が発生しておりました。
気付くのが遅れたため、今更かとは思うのですが、せっかくなのでご報告しておきます。
本商品は、このページでレビューするため撮影した後、そのままパッケージに収納し数年間の眠りに着いていました。
ご覧の通り、右太股のネジ受け部分が割れ砕けています。
「装着変身オルタナティブ」や「仮面ライダーリュウガ」と、全く同じ症状です。
本商品は、この2商品の破損問題対応が完了した後に配送された商品だったため、安心していたらこの有様です。
2011年9月現在、正直なところもう装着変身の需要も薄まり、今後もどれだけの需要が見込めるかわからないわけですが、コレクションを大事に保管したいと考える人もいるでしょう。
そういった方は、今すぐお手持ちの物の確認をした方がよろしいかと思います。
多分もう、バンダイは対応してはくれないと思いますが……代金くらいは戻ってくるかも?!
破損部のアップです。
この写真ではわかりませんが、今回うちの手持ち商品はネジ受け部分の割れだけでは済まず、太股前面部を真横に走る大きな亀裂まで発生していました。
これは、筆者が確認した中では最大の破損規模です。
殆ど動かしてないので、内部のボールジョイントが負荷を与え続け、それが原因で割れたというのは考えられません。
結局、装着変身の黒いパーツ自然破損現象は、最後まで完全解決しなかったという事でしょうか。
装着変身は、このサイトで挙げてきた物以外でも自然破損が発生したというレポートがいくつか存在します。
今後も大事に保管したいとお考えの人は、そろそろ一斉チェックを試みてみるのも良いかもしれませんね。