玩具ありMINI! 第7回 |
後藤夕貴 |
更新日:2004年2月12日
1/18に放送終了、そのあまりに特異な最終回の内容から各方面で大きな波紋を投げかけて散っていった「仮面ライダー555(ファイズ)」。
2003年度のバンダイ男玩の代表格となったファイズギア系と並び、注目を受けたのがこの「S-RHF」シリーズだった。
装着変身、R&Mシリーズに次ぐ新しいタイプの可動フィギュアは、なんとシリーズ最大級のソフビサイズ!
装着変身とくらべて頭一つ以上も違うサイズであるためか、ソフビにまったく興味のないコレクターに戸惑いを与えたが…
という訳で、ソフビにまったく食指が動かないため今年は購入を控えようと思っていた筆者も、ついつい手を出してしまった本商品…せっかくなんで軽くレビューしてみたいと思う次第。
こんな時期(放送終了直前からブレイド開始頃)に購入してしまったため、思い切り旬を逃してしまっている感もあるけど、どうかご容赦を。
「バイクがロボットに変形する!」という、ライダーシリーズとしては画期的なシチュエーションをもたらしたオートバジンは「仮面ライダー555」放送開始前から期待されており、また初変形披露時は、フルCGでありながらもほとんど違和感を感じさせないスピーディな演出で視聴者を魅了し、確固たる人気を掴んだ。
その人気は結局最終回以降まで持続するほどで、当然そのギミックを再現できる玩具にも期待が寄せられていた。
ところがS-RHFシリーズは、その名の通り「従来のライダーソフビフィギュア・RHFシリーズ」の延長線上にシフトされ、クウガ&アギトの装着変身、龍騎のR&Mなどとはまったく違うサイズのものになってしまったため、過去の平成ライダー玩具と同一に並べる事が出来なくなった事に対する不満も集中した。
そして実際に発売された後は、高い評判と同じくらい「酷評」も集中した。
その理由は、単純に「出来が悪いから」だった。
筆者も、初めて商品を見た時は「うわっ、なんだこりゃ!」と思ったクチで、その後これを買う事になるだろうとは、その時点では微塵も思わなかった。
とはいえ、不満や文句だけでなく、間違いなく「これはとてもいい」という意見もあったのだ。
どうして? こんなにあからさまに出来が悪いのに?
その解答は、筆者が実物を手にするまでわからなかった。
――猛省。
●概要
まずは、ファイズから見てみよう。
最初に述べておくが、はっきり言ってファイズの出来は悪い!
先で筆者が思わず引いてしまったというのも、実はこのファイズフィギュアの出来が原因だった。
それでは、問題点を並べてみよう。
長い間飾っていればある程度慣れるのかもしれないが、とにかく違和感が拭えないという人も多いのではなかろうか。
まず顔だが、どうも目の縁の赤いラインが太過ぎる&自己主張が強過ぎるようで、そのために印象がまったく変わってしまっている。
さらに、なんとなく眉間の幅が広すぎるような印象もある。
もし、目がクリアパーツか何かで再現されていたならまだマシだったのかもしれないが、商品は黄色のペンキ塗り状態で、しかもはみ出しもちらちらと…。
これだけで敬遠する人も多かったのではなかろうか。
体形に関しては、これはある程度仕方がないかなとも思っているが、実はさりげにファイズは細身で、すらりとしたイメージが強いのだ。
フルメタルラングのせいで骨太にも思えるが、スーツアクター・高岩氏の体形がかなり色濃く出ている上、スーツは黒が基調のカラーリングのため、引き締まった印象があるのだ。
筆者はなんとなく「これってアメリカ輸出向け?」なんてイメージを抱いてしまったほどだ。
可動範囲が狭いのも致命的ではなかろうか。
実はバイクに乗せるタイプのフィギュアの場合、足首が前後に可動するというのは大変重要な意味を持ち、これがあるだけでライディングスタイルがガラリと変わってしまう。
またライダーの場合、キックの姿勢にも影響が出るので、この問題はかなり痛い。
まあ、キック姿勢のままで飾ろうとする人はあまりいないだろうけど…遊ぶ時の違和感に繋がるのだろうなあ。
4本の指がくっついた形状になっている手も、表情が付けにくくてちと辛い。
ホント、どうして可動率を低下させる必要があったのかなあ。
大きくなるとパーツもデカくなるから、破損を懸念する必要性が出てくるとか?!
武器の対比のトンデモさは、思わず笑ってしまうほど凄まじい。
ファイズエッジだけはまともなサイズなのだが、ファイズショットもフォンブラスターも、何かを間違えたかのような超巨大サイズになっている。
このフィギュアは、ベルトのファイズフォンが外れないようになっているので、フォンブラスターを構えた時にその大きさのギャップをふんだんに味わう事が出来る。
…のだが、このサイズ、実はそんなに的外れでもなかったりする。
実際の撮影用のブロップだと、フォンブラスターは本当にこれくらいの対比らしい。
どうやら、これくらいのサイズがないと画面上で目立たないため、実際の携帯サイズではいけないようだ。
ひょっとしたらファイズショットも、撮影の時は携帯時と装備時ではサイズが変わっていたのかもしれない。
そう考えるとなかなか感慨深いものがある(嘘)。
ちなみに、当然ながらミッションメモリーはすべての武器にモールドされているようで、ファイズフォンとファイズショットのメモリーの大きさの違いも、なかなか爆笑できるものがある。
ファイズエッジには、それとおぼしきモールドがちょっとあるだけなので、はっきり言い切れないが…
もちろん、すでにメモリーがついているという事は、武器は当然変形しないという事でもある。
本商品最大の問題は「ファイズショットの装備の仕方」だろう。
なんとこの商品、ファイズショットはグリップ部分が降りている状態で固定されているため、そのまま腰からブラ下げる事ができない。
そのため「コ」の字型のオリジナルホルスターをファイズの左腰に装着し、その隙間に“裏返しに”ファイズフォンを差す必要がある。
ミッションメモリー側が内側に向くという事だ。
当然全体のデザインはアンバランス極まりなく、左腰部分に巨大な弁当箱を下げているような超カッコ悪いスタイルとなってしまい、目も当てられない。
…等々、大変に問題の多いファイズだが、実はいくつか嬉しい部分もあったりする。
まず、歴代平成ライダーのフィギュアの中でもっとも違和感なくライダーキック(正確にはクリムゾンスマッシュ)のポーズが取れる事だ。
もちろん、本編中のポージングとは若干異なる姿勢にはなるが、装着変身やR&Mよりはかなり綺麗にまとまる。
特にファイズの場合、ファイズポインターというキック専用アイテムが存在する事もあり、キックのスタイルにはこだわりたいところ。
そうなってくると、これがばっちり決まるのは本当に嬉しい限りだ。
欲を言えば、足の裏のモールドを設定通りに作って欲しかった…只の靴じゃん、これ(笑)。
可動範囲の関係で、残念ながらファイズ独特の「やってらんね」ポーズが取りにくい。
ファイズポインター装着時の、膝と腰を落として「オラ、とっととエクシードチャージしろやコラ」的な雰囲気が作れないのだ。
せめて足首が装着変身並に動いてくれれば、それっぽいポーズは作れたんだけど。
それにしても、ファイズポインターはかなり良い出来。
ちょっと小さ過ぎる感もあるけど、腰に携帯する場合はあれくらいのサイズじゃないと腕にすぐ干渉してしまうだろう。
よくポロポロ落としてしまうのだが、筆者はこれがあるために、文句をいいつつもこのフィギュアを気に入ってしまっている。
こちらもなかなか問題が多いのだが、そんな事を気にさせないだけのてんこ盛りギミックに驚嘆させられる。
とにかく、バイク形態時のフォルムからはほとんどロボット時の姿が想像できないというのがすごい。
足になる部分や腕になる部分などはわかるんだけど、頭の形状を、収納も無しに見事に隠蔽しているのだ。
そう、オートバジンには「変形時に収納される(身体の)部分」というものがどこにもない。
必要最低限のギミックだけで、完璧な変形(というか偽装?)を成し遂げてしまっているというのは、本当に凄いことだ。
よくよく見ると、ファイズに対してややオーバースケール気味なのだが、ここまでやってくれればほとんど文句は出ないだろう。
だが、ロボット形態になるとさすがにしわ寄せが目立ってくる。
変形システムの都合上、エンジン部分とボディ中枢部を構成する事になる太腿部分は、バイクのリアカウルを構成するすね部分を中央に寄せる役目を果たすため、どうしても内股気味になってしまう。
そのため、なんとなく頼りない姿勢になってしまい、性別すら疑いたくなってくる(?!)。
一応、足は八の字っぽく開く事は出来るんだけどね。
両腕の肘が固定されているのも辛い。
腕は前輪を支えるシャフトを構成している都合上、耐久度の関係でどうしてもこうせざるをえなかったのかもしれない。
とはいえ、ロボット形態時にただ棒のように伸びているだけの腕…というのは、あまりにも悲しい。
そのためか、肘にボールジョイントを仕込む改造が流行ったという噂も耳にする。
同様に手首も可動しないため、腕は本当の意味でお飾り状態だ。
ここを我慢できるかどうかが、購入の決め手になるだろう。
で、最大の問題点が「ハンドルが外れない」という事だろう。
ご存知の通り、オートバジンのハンドルグリップは引き抜く事でファイズエッジに変形し、この玩具にも付属している。
なのに、バジンのハンドルが外れないものだから、ファイズエッジを持たせたファイズと並べて飾るのに違和感が生じてしまう。
こればっかりは、なんとかして欲しかった。
大きく目立つ問題点はこのくらいで、後はかなり良い点ばかりに思える。
とにかく、やや細身とはいえ劇中のオートバジンのイメージをかなり忠実に再現しているというのは、大変にポイントが高い。
顔や胸、腰から下半身に至るラインやふくらはぎの辺りは、「これは元々バイクから変形したもの」である事を考えると、ちょっとした驚きモノだ。
こんな形態の上、独特の踵の形状(マフラーのみ)をしているにも関わらず、設置性も高くあまりフラフラしないというのも素晴らしい。
また、一見保持力がなさそうな後輪固定ジョイントも、ロボット時・バイク時双方とも予想外なほどにかっちりロックしてくれる。
変形の行程で生まれたものとはいえ、ゴーグルの下の顔まで作られているのには感激させられる。
もっとも、そこにもまたゴーグル状の目があるだけなんだが。
さて、ファイズフィギュアをオートバジンに乗せてみると…正直、微妙な印象だ。
パッと見はしっかり問題なく乗っているように思えるし、アギトの時のガードチェイサーやギルスレイダーの時のような不自然さはないのだが、どことなく違和感がある。
実は、腕の位置を正しく調整しないと腰が浮いてしまうのだ。
また足首がしっかり可動しないため、フットステップ部分に足を乗せる時も、なんとなくおかしな感じがする。
無論きちんとした乗せ方は可能だが、わずかにチューニングが狂っているかのようなイメージがある。
なので、筆者が飾る場合は腰を思い切り高く上げ、膝と肘を少し伸ばし気味にして、モトクロス風の姿勢にしている。
こういうスタイルだと、妙に決まっていてかっこいい……ような気がする。
残念ながらブラスターフォームは入手できなかった。
赤い部分がなくなったせいか大変シャープなイメージになり、顔の似てなさ加減も幾分落ちついているような印象を受ける。
パーツのほとんどは流用だが、さすがに上半身前面と左下腕は新造型で(実は足首も変わっている)、上半身にはフルメタルラング開閉用のギミックが仕込まれ、腕にはファイズアクセルのモールドが追加されている。
よく見ると、ファイズアクセルからはしっかりミッションメモリーが引き抜かれている。
無論こうでないと困るわけだが、それ以外の部品はなぜかメモリーを適当に扱っている感じがしたので、個人的にちょっと嬉しい。
実際動かしてみるとわかるが、回転が途中で止まってしまう。
どうしてこうなるのかは分解してみないとわからないが、とにかくこれがノーマルファイズとの大きな違い。
覚えておいて損はないだろう。
ただし、先のように気になる部分も多いのは事実だから、初めて手を出すという人は一度現物をじっくり見て判断する事を奨める。
幸いウインドウパッケージだしね。
個人的に、ファイズはアクセルあってこそのファイズと思っているので、やはり両方揃えたいという願望が強かったのだが、これは万人に共通する感覚とは限らないだろうし。
この商品、2003年秋頃から徐々に店頭から姿を消し始め、ある時期にごそっと消滅してしまった…かのような印象があったのだが、実はデパートなどの非マニア系の店では「過剰在庫の一つ」にカウントされていたらしい部分があり、番組終了後もこれだけ山ほど置かれている所がぽつぽつと見かけられた。
うーん、アクセルフォーム…実質的に一番人気があったと思っているんだけどなあ。
そうでもなかったのかしらん?
10体くらい買ってクリムゾンスマッシュのポーズを取らせて、赤いセロファンで円錐こさえて宙吊りで一緒に飾れば、劇場版の対ライオトルーパー戦の再現も出来るのに<まて
●総評:
先に「評判が悪かった」と書いた「ファイズ&オートバジン」だが、実際に手に取った人達の評判は大変良いらしい。
特に、本編最終回で異様なほどに株を上げたオートバジンは、一部の出遅れ組の人達によって血眼で捜されたという噂も耳にする。
また、場所によってはかなりの安売りがされており、それによって試しに購入してみたら、気付いていなかった良さに魅了され、慌てて他のシリーズにも手をつけるというパターンもあったとか。
…え、筆者がそうなんだろうって?
そ、そそそそそんな事はないぞぉ。
とにかく、色々不満はあったものの「いじれば納得」系アイテムとして、そこそこ優秀だったという結論を出してもいいのかな、なんて勝手に思っていたりする。
この後、同シリーズからは、ファイズ関連商品全体で一二を争う完成度の逸品「S-RHF
仮面ライダーカイザ&サイドバッシャー」が発売され、これがものすごい大人気を博した。
まるで、今ではプレミアでも付きそうな勢いである。
ライダーシリーズ初のサイドカーであり、さらにオートバジン同様変形するもののその用途が著しく異なるというコンセプトは、本編中たったニ度きりの披露(劇場版でさらに一回)だったにも関わらず、多くのファンを魅了した。
…で、これの入手にもなんとか成功したので、次回「玩具ありMINI・ファイズ編」はこちらをご紹介してみようかと思う。
2003年度のバンダイ男玩の代表格となったファイズギア系と並び、注目を受けたのがこの「S-RHF」シリーズだった。
装着変身、R&Mシリーズに次ぐ新しいタイプの可動フィギュアは、なんとシリーズ最大級のソフビサイズ!
装着変身とくらべて頭一つ以上も違うサイズであるためか、ソフビにまったく興味のないコレクターに戸惑いを与えたが…
という訳で、ソフビにまったく食指が動かないため今年は購入を控えようと思っていた筆者も、ついつい手を出してしまった本商品…せっかくなんで軽くレビューしてみたいと思う次第。
こんな時期(放送終了直前からブレイド開始頃)に購入してしまったため、思い切り旬を逃してしまっている感もあるけど、どうかご容赦を。
S-RHF01 「仮面ライダーファイズ&オートバジン」 定価:3,980円
- ファイズフィギュア
- オートバジン
- フォンブラスター
- ファイズポインター
- ファイズショット
- ファイズショット用ホルスター
- ファイズエッジ
- 取扱説明書
「バイクがロボットに変形する!」という、ライダーシリーズとしては画期的なシチュエーションをもたらしたオートバジンは「仮面ライダー555」放送開始前から期待されており、また初変形披露時は、フルCGでありながらもほとんど違和感を感じさせないスピーディな演出で視聴者を魅了し、確固たる人気を掴んだ。
その人気は結局最終回以降まで持続するほどで、当然そのギミックを再現できる玩具にも期待が寄せられていた。
ところがS-RHFシリーズは、その名の通り「従来のライダーソフビフィギュア・RHFシリーズ」の延長線上にシフトされ、クウガ&アギトの装着変身、龍騎のR&Mなどとはまったく違うサイズのものになってしまったため、過去の平成ライダー玩具と同一に並べる事が出来なくなった事に対する不満も集中した。
そして実際に発売された後は、高い評判と同じくらい「酷評」も集中した。
その理由は、単純に「出来が悪いから」だった。
筆者も、初めて商品を見た時は「うわっ、なんだこりゃ!」と思ったクチで、その後これを買う事になるだろうとは、その時点では微塵も思わなかった。
とはいえ、不満や文句だけでなく、間違いなく「これはとてもいい」という意見もあったのだ。
どうして? こんなにあからさまに出来が悪いのに?
その解答は、筆者が実物を手にするまでわからなかった。
――猛省。
●概要
まずは、ファイズから見てみよう。
最初に述べておくが、はっきり言ってファイズの出来は悪い!
先で筆者が思わず引いてしまったというのも、実はこのファイズフィギュアの出来が原因だった。
それでは、問題点を並べてみよう。
- 顔が似ていない
- 体形が異常にマッチョすぎて、イメージに合わない
- 首・指・足首などの可動率が低い
- ペイントが全体的に粗い
- 武器の対比があまりにも合っていない
- ファイズショットがデカすぎる上、まともに腰にホールドできない
- フォンブラスターが巨大すぎる
- 当然、ベルトからファイズフォンも外れない
- ライディングポーズも、イマイチ決まらない
長い間飾っていればある程度慣れるのかもしれないが、とにかく違和感が拭えないという人も多いのではなかろうか。
まず顔だが、どうも目の縁の赤いラインが太過ぎる&自己主張が強過ぎるようで、そのために印象がまったく変わってしまっている。
さらに、なんとなく眉間の幅が広すぎるような印象もある。
もし、目がクリアパーツか何かで再現されていたならまだマシだったのかもしれないが、商品は黄色のペンキ塗り状態で、しかもはみ出しもちらちらと…。
これだけで敬遠する人も多かったのではなかろうか。
体形に関しては、これはある程度仕方がないかなとも思っているが、実はさりげにファイズは細身で、すらりとしたイメージが強いのだ。
フルメタルラングのせいで骨太にも思えるが、スーツアクター・高岩氏の体形がかなり色濃く出ている上、スーツは黒が基調のカラーリングのため、引き締まった印象があるのだ。
筆者はなんとなく「これってアメリカ輸出向け?」なんてイメージを抱いてしまったほどだ。
可動範囲が狭いのも致命的ではなかろうか。
実はバイクに乗せるタイプのフィギュアの場合、足首が前後に可動するというのは大変重要な意味を持ち、これがあるだけでライディングスタイルがガラリと変わってしまう。
またライダーの場合、キックの姿勢にも影響が出るので、この問題はかなり痛い。
まあ、キック姿勢のままで飾ろうとする人はあまりいないだろうけど…遊ぶ時の違和感に繋がるのだろうなあ。
4本の指がくっついた形状になっている手も、表情が付けにくくてちと辛い。
ホント、どうして可動率を低下させる必要があったのかなあ。
大きくなるとパーツもデカくなるから、破損を懸念する必要性が出てくるとか?!
武器の対比のトンデモさは、思わず笑ってしまうほど凄まじい。
ファイズエッジだけはまともなサイズなのだが、ファイズショットもフォンブラスターも、何かを間違えたかのような超巨大サイズになっている。
このフィギュアは、ベルトのファイズフォンが外れないようになっているので、フォンブラスターを構えた時にその大きさのギャップをふんだんに味わう事が出来る。
…のだが、このサイズ、実はそんなに的外れでもなかったりする。
実際の撮影用のブロップだと、フォンブラスターは本当にこれくらいの対比らしい。
どうやら、これくらいのサイズがないと画面上で目立たないため、実際の携帯サイズではいけないようだ。
ひょっとしたらファイズショットも、撮影の時は携帯時と装備時ではサイズが変わっていたのかもしれない。
そう考えるとなかなか感慨深いものがある(嘘)。
ちなみに、当然ながらミッションメモリーはすべての武器にモールドされているようで、ファイズフォンとファイズショットのメモリーの大きさの違いも、なかなか爆笑できるものがある。
ファイズエッジには、それとおぼしきモールドがちょっとあるだけなので、はっきり言い切れないが…
もちろん、すでにメモリーがついているという事は、武器は当然変形しないという事でもある。
本商品最大の問題は「ファイズショットの装備の仕方」だろう。
なんとこの商品、ファイズショットはグリップ部分が降りている状態で固定されているため、そのまま腰からブラ下げる事ができない。
そのため「コ」の字型のオリジナルホルスターをファイズの左腰に装着し、その隙間に“裏返しに”ファイズフォンを差す必要がある。
ミッションメモリー側が内側に向くという事だ。
当然全体のデザインはアンバランス極まりなく、左腰部分に巨大な弁当箱を下げているような超カッコ悪いスタイルとなってしまい、目も当てられない。
…等々、大変に問題の多いファイズだが、実はいくつか嬉しい部分もあったりする。
まず、歴代平成ライダーのフィギュアの中でもっとも違和感なくライダーキック(正確にはクリムゾンスマッシュ)のポーズが取れる事だ。
もちろん、本編中のポージングとは若干異なる姿勢にはなるが、装着変身やR&Mよりはかなり綺麗にまとまる。
特にファイズの場合、ファイズポインターというキック専用アイテムが存在する事もあり、キックのスタイルにはこだわりたいところ。
そうなってくると、これがばっちり決まるのは本当に嬉しい限りだ。
欲を言えば、足の裏のモールドを設定通りに作って欲しかった…只の靴じゃん、これ(笑)。
可動範囲の関係で、残念ながらファイズ独特の「やってらんね」ポーズが取りにくい。
ファイズポインター装着時の、膝と腰を落として「オラ、とっととエクシードチャージしろやコラ」的な雰囲気が作れないのだ。
せめて足首が装着変身並に動いてくれれば、それっぽいポーズは作れたんだけど。
それにしても、ファイズポインターはかなり良い出来。
ちょっと小さ過ぎる感もあるけど、腰に携帯する場合はあれくらいのサイズじゃないと腕にすぐ干渉してしまうだろう。
よくポロポロ落としてしまうのだが、筆者はこれがあるために、文句をいいつつもこのフィギュアを気に入ってしまっている。
さて、オートバジン。
こちらもなかなか問題が多いのだが、そんな事を気にさせないだけのてんこ盛りギミックに驚嘆させられる。
とにかく、バイク形態時のフォルムからはほとんどロボット時の姿が想像できないというのがすごい。
足になる部分や腕になる部分などはわかるんだけど、頭の形状を、収納も無しに見事に隠蔽しているのだ。
そう、オートバジンには「変形時に収納される(身体の)部分」というものがどこにもない。
必要最低限のギミックだけで、完璧な変形(というか偽装?)を成し遂げてしまっているというのは、本当に凄いことだ。
よくよく見ると、ファイズに対してややオーバースケール気味なのだが、ここまでやってくれればほとんど文句は出ないだろう。
だが、ロボット形態になるとさすがにしわ寄せが目立ってくる。
変形システムの都合上、エンジン部分とボディ中枢部を構成する事になる太腿部分は、バイクのリアカウルを構成するすね部分を中央に寄せる役目を果たすため、どうしても内股気味になってしまう。
そのため、なんとなく頼りない姿勢になってしまい、性別すら疑いたくなってくる(?!)。
一応、足は八の字っぽく開く事は出来るんだけどね。
両腕の肘が固定されているのも辛い。
腕は前輪を支えるシャフトを構成している都合上、耐久度の関係でどうしてもこうせざるをえなかったのかもしれない。
とはいえ、ロボット形態時にただ棒のように伸びているだけの腕…というのは、あまりにも悲しい。
そのためか、肘にボールジョイントを仕込む改造が流行ったという噂も耳にする。
同様に手首も可動しないため、腕は本当の意味でお飾り状態だ。
ここを我慢できるかどうかが、購入の決め手になるだろう。
で、最大の問題点が「ハンドルが外れない」という事だろう。
ご存知の通り、オートバジンのハンドルグリップは引き抜く事でファイズエッジに変形し、この玩具にも付属している。
なのに、バジンのハンドルが外れないものだから、ファイズエッジを持たせたファイズと並べて飾るのに違和感が生じてしまう。
こればっかりは、なんとかして欲しかった。
大きく目立つ問題点はこのくらいで、後はかなり良い点ばかりに思える。
とにかく、やや細身とはいえ劇中のオートバジンのイメージをかなり忠実に再現しているというのは、大変にポイントが高い。
顔や胸、腰から下半身に至るラインやふくらはぎの辺りは、「これは元々バイクから変形したもの」である事を考えると、ちょっとした驚きモノだ。
こんな形態の上、独特の踵の形状(マフラーのみ)をしているにも関わらず、設置性も高くあまりフラフラしないというのも素晴らしい。
また、一見保持力がなさそうな後輪固定ジョイントも、ロボット時・バイク時双方とも予想外なほどにかっちりロックしてくれる。
変形の行程で生まれたものとはいえ、ゴーグルの下の顔まで作られているのには感激させられる。
もっとも、そこにもまたゴーグル状の目があるだけなんだが。
さて、ファイズフィギュアをオートバジンに乗せてみると…正直、微妙な印象だ。
パッと見はしっかり問題なく乗っているように思えるし、アギトの時のガードチェイサーやギルスレイダーの時のような不自然さはないのだが、どことなく違和感がある。
実は、腕の位置を正しく調整しないと腰が浮いてしまうのだ。
また足首がしっかり可動しないため、フットステップ部分に足を乗せる時も、なんとなくおかしな感じがする。
無論きちんとした乗せ方は可能だが、わずかにチューニングが狂っているかのようなイメージがある。
なので、筆者が飾る場合は腰を思い切り高く上げ、膝と肘を少し伸ばし気味にして、モトクロス風の姿勢にしている。
こういうスタイルだと、妙に決まっていてかっこいい……ような気がする。
★オマケ:S-RHF02 仮面ライダーファイズ・アクセルフォーム
この原稿執筆中に、たまたま手に入ったので簡単に。残念ながらブラスターフォームは入手できなかった。
定価:\1,600
- ファイズ・アクセルフォームフィギュア
- ファイズポインター
- ファイズショット
- ファイズショット用ホルスター
- ファイズエッジ
- 取扱説明書
赤い部分がなくなったせいか大変シャープなイメージになり、顔の似てなさ加減も幾分落ちついているような印象を受ける。
パーツのほとんどは流用だが、さすがに上半身前面と左下腕は新造型で(実は足首も変わっている)、上半身にはフルメタルラング開閉用のギミックが仕込まれ、腕にはファイズアクセルのモールドが追加されている。
よく見ると、ファイズアクセルからはしっかりミッションメモリーが引き抜かれている。
無論こうでないと困るわけだが、それ以外の部品はなぜかメモリーを適当に扱っている感じがしたので、個人的にちょっと嬉しい。
で、装備もだいたいS-RHFファイズと同様なのだが、よくよく見てみるとファイズフォンがない。
その理由は設定を思い出してみたらなんとなくわかる事で、ファイズアクセルのメモリーが刺さった状態のファイズフォンをドライバーから引っこ抜いたら、恐らくアクセル化が解けてしまうからではないかと。
うーむ、なるほど。
ちゃんと考えられているのねん。
さて、アクセルフォームの売りでもあるフルメタルラングの変形だが、残念ながらこれは手動で行わなければならない。
筆者は、てっきりスイッチで「カシャッ」と上がるものだとばかり思っていた(笑)。
ラングの前面を指で引出し、肩の方向へぐるりと回す。
機軸にはスプリングが仕込まれているので、思ったより腕パーツに干渉はしないようだが、ラングパーツによって塗装が剥げてしまいそうで、それがちょっと怖い。
とはいえ、ラングの下から露出する内蔵メカのモールドは、ちょっとしたため息モノの迫力だ。
本当に細かく、よく作られている。
筆者は、このモールドが死ぬほどお気に入りになってしまったため、ラングを閉じるのに抵抗があるくらいだ。
実際動かしてみるとわかるが、回転が途中で止まってしまう。
どうしてこうなるのかは分解してみないとわからないが、とにかくこれがノーマルファイズとの大きな違い。
覚えておいて損はないだろう。
ただし、先のように気になる部分も多いのは事実だから、初めて手を出すという人は一度現物をじっくり見て判断する事を奨める。
幸いウインドウパッケージだしね。
個人的に、ファイズはアクセルあってこそのファイズと思っているので、やはり両方揃えたいという願望が強かったのだが、これは万人に共通する感覚とは限らないだろうし。
この商品、2003年秋頃から徐々に店頭から姿を消し始め、ある時期にごそっと消滅してしまった…かのような印象があったのだが、実はデパートなどの非マニア系の店では「過剰在庫の一つ」にカウントされていたらしい部分があり、番組終了後もこれだけ山ほど置かれている所がぽつぽつと見かけられた。
うーん、アクセルフォーム…実質的に一番人気があったと思っているんだけどなあ。
そうでもなかったのかしらん?
10体くらい買ってクリムゾンスマッシュのポーズを取らせて、赤いセロファンで円錐こさえて宙吊りで一緒に飾れば、劇場版の対ライオトルーパー戦の再現も出来るのに<まて
●総評:
先に「評判が悪かった」と書いた「ファイズ&オートバジン」だが、実際に手に取った人達の評判は大変良いらしい。
特に、本編最終回で異様なほどに株を上げたオートバジンは、一部の出遅れ組の人達によって血眼で捜されたという噂も耳にする。
また、場所によってはかなりの安売りがされており、それによって試しに購入してみたら、気付いていなかった良さに魅了され、慌てて他のシリーズにも手をつけるというパターンもあったとか。
…え、筆者がそうなんだろうって?
そ、そそそそそんな事はないぞぉ。
とにかく、色々不満はあったものの「いじれば納得」系アイテムとして、そこそこ優秀だったという結論を出してもいいのかな、なんて勝手に思っていたりする。
この後、同シリーズからは、ファイズ関連商品全体で一二を争う完成度の逸品「S-RHF
仮面ライダーカイザ&サイドバッシャー」が発売され、これがものすごい大人気を博した。
まるで、今ではプレミアでも付きそうな勢いである。
ライダーシリーズ初のサイドカーであり、さらにオートバジン同様変形するもののその用途が著しく異なるというコンセプトは、本編中たったニ度きりの披露(劇場版でさらに一回)だったにも関わらず、多くのファンを魅了した。
…で、これの入手にもなんとか成功したので、次回「玩具ありMINI・ファイズ編」はこちらをご紹介してみようかと思う。