第9回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダーゾルダ」&「仮面ライダーインペラー」
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今回は2005年度二番目のこの龍騎ライダー二体。
同時発売の「装着変身 仮面ライダー響鬼」は、別ページで。
●バンダイ装着変身シリーズ「仮面ライダーゾルダ」 定価2,625円(税込)
- ゾルダ素体フィギュア
- ゾルダ頭部(マスク)
- ゾルダ肩アーマー右
- マグナバイザー(銃)
- ゾルダ前腕アーマー×2
- ゾルダ胸アーマー×1
- Vバックル(ゾルダ用ベルト)
- ギガランチャー(シュートベントα装備)×1
- ギガキャノン(シュートベントβ装備)×1
- 装着変身サイズ・アドベントカード×3
- アドベントカード用シール(3枚分裏表・計6枚)
- 取扱説明書
2005年3月18日(19日説も有)、装着変身「仮面ライダーインペラー」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、7または8番目の商品。
R&Mシリーズでは一番のギミックとボリュームを持っていたライダーだったが、さて今回は…
●映像内のキャラクター
2002年度放送「仮面ライダー龍騎」に登場した、4番目の仮面ライダー。
弁護士の北岡秀一が変身する。
一応、龍騎(真司)・ナイト(蓮)に並ぶ主役格ライダーという事になっているが、実際は劇中の北岡の身辺描写が多いだけで、特に主役である必要性は描かれておらず、また感じられない。
全ライダー中もっともメカニックなデザインで、知らない人が見たらまるでロボットのよう。
頭部側面部には、意味不明の歯車(回転ギミック付)があり、肩にもライトのような形状のモールドが付属している。
マガジン交換もなく無限に撃ちまくれる、とっても便利なハンドガン型の召喚機マグナバイザーを持つ。
バッファロー型モンスター「マグナギガ」と契約し、圧倒的な「火力」を武器に遠距離から攻撃を仕掛けるタイプだが、反面格闘戦はあまり得意ではないようだ。
超大型の重火器を召喚し、両手で支えて砲撃する「ギガランチャー」と、背中に担いで肩越しにビーム弾を撃ち込む「ギガキャノン」をメイン武器とする。
複数の、内容の違うシュートベントを持っているという珍しいライダーである。
さらにガードベント「ギガアーマー」という巨大シールドを持っているが、以前発売された「R&Mシリーズ」版では、ここに加えて玩具オリジナルの「ギガテクター(両肩の追加装甲)」「ギガホーン(腕に装備する打撃武器)」がある上、ギガランチャーとギガアーマーの合体形態があり、これでもかというくらい多数の装備に恵まれていた。
また、マグナギガ自体を巨大な盾として使用していた。
ファイナルベントは、マグナギガの全身の砲門を一斉開放し、無数のミサイルやレーザービーム、砲弾を同時掃射する「エンドオブワールド」。
攻撃範囲が、地面ごとごっそりえぐられたように消滅してしまうほどの破壊力があるが、実はライダーを一人も倒した事がないため、大徳寺美子の赤城山ミサイル並に「人畜無害兵器」呼ばわりされた(実際は、モンスターをかなり倒しているけど)。
なお、ファイナルベント時ゾルダ本人はマグナギガの背後に隠れる形になり、爆風から守られた状態にある。
こういうところにも、北岡らしさが覗いていてイイ感じだ。
北岡は、港区西青山で「北岡弁護士事務所」を経営している。
弁護士という割にはお堅いところがまったくなく、妙に軽いスタイルが特徴で、自己中心的な人物。
その口ぶりや態度から「軟派」というイメージが付きまとうが、実は慎重な頭脳派という二面性を持つ。
人間の欲望を愛しており、依頼者に対する莫大な報酬の請求も、贅沢な暮らしも、すべては己れの欲を満たすためであり、その事に一切の疑問を抱いていない。
よくOREジャーナルの令子に誘いをかけたりしているが、本当はバイセクシャルで、秘書の吾郎とはそういう関係にある…という記述を書籍で見つけ、ひっくり返った事があるが、残念ながらソース失念。
ただ、「そういう雰囲気があるかのように」演じられていたというのは、本当の様子。
「黒を白にする」弁護士とも呼ばれ、強引に無罪を勝ち取るという別な意味での凄腕だが、犯罪者・浅倉威の弁護の際はさすがに無罪に出来ず、刑期10年に止めるのが精一杯だった。
ところが、浅倉はこの件の事をかなり根に持っており、後に仮面ライダー王蛇としてライダーバトルに参戦した時も、北岡もライダーである(=自らの手で殺せる)と知って密かに喜んでいた。
北岡は、その飄々とした態度からは想像出来ないが、実は不治の病に冒されており(病名は述べられていない)、余命いくばくもない状態にある。
そのため、ライダーバトルに勝利して「永遠の命」を得る事を目的とする。
しかし、自己中心的な望みを持つ割には、そのために非情に徹しきる事が出来ない弱さも持ち合わせており、思わず人を助けてしまったり、気が付いたら他のライダーと共闘していたりする。
特に、龍騎と組んでアビスハンマーと戦った26話の戦闘シーンは、必見。
ライダーバトル終盤まで生き残ったものの、結局病魔には勝てず、他のライダーに知られる事なく、自室でひっそりと死を迎える。
だが、浅倉=王蛇との決着をつける事を目的としていた北岡の意志を継ぎ、なんと吾郎がゾルダとなってバトルに参戦。
しかし吾郎ゾルダは、王蛇のファイナルベント「ドゥームズデイ」を食らってしまい敗北。
マグナギガも、ジェノサイダーの発生させたブラックホールに吸い込まれて消滅してしまった。
先行最終回と銘打たれた劇場版「エピソードファイナル」では、北岡は死ぬ事なく、自らライダーバトルの決戦参加を辞退している。
だが、その後の令子との会話で自らの死を匂わせており、結局は運命を受け入れたようだ。
スペシャル版では、なんと完全な悪役側に回り、真司をどつき倒すライダーグループの一人として参加していた。
●概要
2004年6月から、毎月連続で出続けている「装着変身」シリーズの、第八期販売商品。
四番目の「R&M版が存在するライダー」であり、装着化にあたって現状もっとも造形や特徴が変化している。
R&Mでは、一つも余る部分がなく身体のすべてが武器に変化するマグナギガが付属しており、これのプレイバリューが高かった事もあって、装着変身版はどのような構成になるのか、という興味は、自然に発生したと思う。
装着版は、さすがにすべての武器を同梱する事は出来なかったが、ギガランチャー・ギガキャノンという最も大型の武器が付属する事になり、ボリューム的には龍騎ライダー系最大規模になってしまった。
ただし、ギガランチャーもギガキャノンも大幅な見直しが行われ、R&Mよりも劇中のイメージに近いものにするため、かなりコンパクトな造形となった。
それにより、以前とかなり違った印象を与えるようになったわけだが…
●セールスポイント
装着ゾルダは、ライダー自体と各種武器、そして装備状態と分けて評価するべきだと思う。
まずゾルダだが、遠目に見るとR&M版と区別が付きにくいが、かなり大幅な改修が行われている。
一番目立つ変更点は、(アーマーの脱着ギミックを除けば)顔と胸、そして肩だろう
ゴーグル周辺はちょっと厚ぼったい塗装になり、スリット部分のシャープさに欠けるようになってしまったが、明るいシルバー塗装を用いる事でフェイス部分のモールドが明確になった。
ちょっと綺麗過ぎるような印象もあり、以前のようなシャープな雰囲気はなくなってしまったが、決して造りは悪くない。
また、マスクパーツの分割もちょっと凝っており、なかなか面白い。
胸部分は、中心部のふくらみが押さえられてかなり平らに近くなり、立体的な派手さが押さえられた。
その代わり、シルバー部分がガンメタル風の塗装になり、益々重みが増したような印象を与えるようになった。
肩部分は、アーマーの接続方法が「跳ね上げ式」になったため、R&Mのような回転軸が表面に露出する事はなくなり、ライト状のモールドもしっかり再現されるようになった。
また、ここもガンメタル塗装が施されている。
上の写真だと少し解りづらいが、ボディカラーはR&Mの方が暗めでメタリックなグリーンで、装着変身はやや明るい緑の成形色になっている。
R&M版の方が、引き締まって良く見えるように感じられる。
個人的には、装着変身の方が劇中イメージに近い色合いに思えるが、玩具的にはR&Mの色の方が気に入っている。
そういえば、いつも書いてるような「マスクが外れやすい」という不具合は、ゾルダについてはまったくなかった。
襟がマスクに干渉する事がないようなデザインのためか、首を回してもパーツが勝手に割れる事がない。
これはとってもありがたい事だ。
――本当はそれで当然なんだけど。
マグナバイザーも、変更要素が多い。
一見塗装が変更されただけでR&Mと同じ形に見えるが、実際は新造形になっている。
細かなモールドがかなり変わっているが、一番大きな変更点はカードスロット部分だろう。
今回はカードを収納するトレイが引き出せて、さらにスロットカバー部分にマグナギガの紋章が浮き彫りで刻み込まれた。
残念ながら、トレイはほんのちょっとしか引き出せず申し訳程度にすぎないのだが、ギミック追加は嬉しいところ。
(構造的にもっと長く引き出せるように作れそうなんだけど、耐久性の問題かな?)
全体的な塗装もより緻密さを増し、かなり引き締まった造りになった……のはいいが、なぜか銃口部分の穴がなくなってしまった。
これはかなり悲しい。
サイズは以前と変わらないので、当然R&Mのマグナギガを転用して「エンドオブワールド」を再現させる事も出来る。
その他、R&Mとの相違点をざっと眺めていくと…
- 肩アーマーと胴体の間がより狭まり、装甲の一体感が増した
- (仕方ないけど)やや頭部が大きくなった
- 本体が重くなったため、大きな武器を構えてもふらつきや転倒が抑えられるようになった
- 足首の可動範囲や肩アーマー付近の処理なども(他の装着変身同様)向上しているため、かなりポージングの自由度が高まっている
- 首付近の負担がなくなり、自在に頭を回せるようになった(R&Mは首が外れやすかった)
全体的なバランスを見た場合、R&Mの方がスマートでシャープな印象があり、装着変身は無駄に小奇麗すぎるといった感もあるが、だからと言ってどちらが優れているか、という話にはならないと思う。
筆者は、どちらにも良い点があると思うので、あまり優劣をつけたいとは思わない。
どちらがいいかは、買った人の好みで大きく変化するのではないだろうか。
次に装備だが、主力武器のギガランチャーは、約19センチ強の長さになっている。
R&M時は、これが約29.5センチもあったので、だいたい2/3程度のサイズに縮められたという感じか。
ギガキャノンは、脚部を伸ばして砲塔から計ると、だいたい11センチ弱。
対してR&M版は約14.7センチくらいになっている。
R&M版ランチャーは極端なオーバースケールだという事で、発売当時話題になったが、あの迫力は独特の魅力にもなっており、決して欠点ではなかった。
もちろん、これは「武器を合体させるとマグナギガになる(逆か?!)」というギミックが前提として存在していたため、仕方のない事情だったわけだが。
一方装着変身版は、武器を合体させるという制約がなくなったため、純粋に劇中のスタイルを追及する事ができるようになった。
小型化したギガランチャー&キャノンは劇中のプロップに近い比率になり、違和感は相当に薄れた。
ただ一部では、「今度は小さくなりすぎだ」という声もあるそうな。
これについては、実際に本編映像と見比べて判断するのがベストなのだが、あえて印象論だけで語らせていただければ、「こんなもんで充分なんじゃない?」という気がする。
写真で見ると確かに小さい気がするが、実際はそれなりに迫力があるし、決して問題点にはならないと思う。
ちょっとだけ細すぎるかな、という気は確かにするが…
ただし、これはかなり主観が入っている感想なので、やはり納得できないという人も居ると思われる。
だから、もしこれから購入を検討される場合は、実物を手にとって見て、可能なら玩具店でディスプレイされているものを見た上で、ご判断いただいた方が賢明かと思う。
ギガランチャーは、砲身部・本体・後部・グリップ基部×3・グリップ×2の計7つのパーツに分解できる。
グリップがかなり自由に回るので、ストレスなくゾルダに持たせる事が可能だし、R&Mのように基部(マグナギガの肩アーマー部)が妙に外れやすいといった事もない。
ちなみに、後部(マグナギガの左腕)の爪は、特に意味もなく開閉が可能。
利用価値はないんだが、なんだかとっても嬉しい。
ギガキャノンも、劇中イメージに近いサイズに縮められている。
実際に装備してみると、ゾルダの頭部を挟み込む形になるため、砲門を並行に向ける事が難しくなってしまうが、R&Mのように頭の遥か上に配置されるよりはマシだろう。
こちらは、マグナギガの膝・脚の付け根にあたる部分がフレキシブルに可動し、砲門の向きを自由に微調整させられるが、さすがに砲身を折りたたむ事は出来ない。
また、パッケージ写真だと砲門内部が塗装されておらず違和感丸出しだが、実物は黒く塗られているので、心配はいらない。
と思ったら、ギガランチャーの砲門は無彩色でやんの。
ギガランチャーは、R&M版のように「ものすごい無理をして」持たせる必要がなくなり、ストレスはほとんど感じない。
左手でグリップを逆手に握り、右手で砲身側のグリップを上から掴ませるといい感じにまとまる。
ゾルダの腕を調節する事で、砲門を上方に向ける事も可能。
完全自立できるのも嬉しい。
先に書いた通り、R&M版の圧倒的なインパクトはなくなってしまったものの、それでも対比的にはすごい大きさであり、決して魅力が損なわれたわけではない。
なんと、R&M版のギガランチャーを装着版ゾルダに持たせても自立出来てしまうが、それはひとえにフィギュア自体の重さが違うためだ(ちょっとコツが要るが)。
R&Mゾルダは合金パーツないから、仕方ないよね。
ギガキャノンも、背負わせた状態で余裕で自立可能。
それどころか、ランチャー&キャノン両方を装備させた状態でも大丈夫だ(上の方の写真参照)。
この場合、安定性に関してはほとんど問題がない。
では逆に、R&M版装備を、装着版ゾルダに持たせたらどうか?
先の通り、ギガランチャーは自立可能ではあるが、やはり持たせづらさは付きまとってしまう。
R&Mと同じように、ジベットスレッドへの固定がうまく出来ず、また左手側でうまくホールドさせる事が出来ない。
ギガキャノンは、残念ながら背中のジベットスレッドの口径の問題で装備出来ない。
無理に装備させようとすると、ギカキャノン側のジョイントを破損する危険がある。
もし、どこかに「装備可能」なんて書いてあっても、それは絶対嘘だから信じちゃダメよ。
「ギガアーマー」は、ただ手に持たせるだけなので、問題なく装備出来る。
R&Mオリジナルの「ギガテクター」「ギガホーン」も、そのまま装備させられる。
特にギガテクターのフィット感は素晴らしく、何の違和感もない。
まるで、元々装着版のパーツであったかのようですらある。
つまり、R&Mのマグナギガは、装着ゾルダのプレイバリューを盛り立てこそすれ、支障を来たすような事はまったくないのだ。
装着変身ゾルダのアドベントカードのミニチュアは、「ファイナルベント」「シュートベント(ギガランチャー)」「シュートベント(ギガキャノン)」の三種類。
カード自体の成形色は、黒。
●問題点
あまり大きな欠点が見当たらないゾルダではあるが、やはり、R&Mと比較すると目立ってくる部分がある。
先にも触れた「頭部・胸の造形」の違いだが、頭部はともかくとしても、胸部分の立体感の違いは凄まじい。
塗装については装着変身の方が丁寧なのだが、造形はR&Mの方に軍配が上がる。
胸中央のジベットスレッドに及ぶまでの段差を比較すると、一目瞭然。
装着版は、この部分の造形を中途半端にオミットしたかのような印象すら受けてしまう。
うーむ、ここを分厚くする事で発生するデメリットというのは、ちょっと思いつかないんだけど、どうしたんだろうか。
マグナバイザーの装着(未使用時に腰のジベットスレッドに接続するアレ)が、ものすごくやりづらくなっているのも問題だろう。
というより、ジョイントの口径が明らかに合っていない。
無理矢理差し込もうとすると、ジベットスレッドがマグナバイザーの凸ジョイントを削ってしまうかのようだ。
これだけきついと、保持力を発揮する以前に勝手に落下してしまう。
マグナバイザーの凸ジョイントを削ればいいような気もするが、ちょうど良い太さに出来るかわからないし、何よりジョイントそのものが塗装されているので、厳しいものがある。
これさえなければ、本当に文句なしのプレイバリューなのだが…。
それから、こちらも装着王蛇同様、カードデッキ部分の紋章のプリントが不充分になっており、隅の歯車状模様がオミットされている。
なんとなく、今後この部分はすべておざなりになってしまいそうな気がする。
●総合評価
個人的な見解を抜きにして、アーマー各所のディテールの違和感やR&Mの存在を気にしなければ、ほとんど文句なしの出来と言っていいだろう。
もっとも、ディテールと言っても肩アーマーなどを見る限り、装着版の方がよくまとまっている箇所も多いのだが。
すでにR&M版を所有している人でも、こちらに手を出す価値は充分あると思う。
というか、ここまでくるともはや完全に別物だし。
関節可動範囲も違えば、安定性も段違いなので、手に取れば違いはわかるはずだ。
一番の理想系は、やはりR&Mのマグナギガと合わせて飾る&遊ぶ事だろうが、いい加減発売から時間が経ちすぎているから、R&Mゾルダの入手は難しいだろうか。
R&Mと比較したり関連付けたりしなくても、これは充分遊べる良いアイテムだ。
龍騎ライダーを集めたいと思っている人は、是非手にとってみていただきたい。
なおこの商品、パッケージ裏に見所がある。
装着変身は、商品を利用した写真の上に劇中の名セリフを重ねたイメージを印刷しているのだが、このセリフはそのライダー自身のものに限定されている。
ところが、ゾルダには変身経験者が二人いる事を逆手に取り、二枚目のイメージ画像の方では、なんと吾郎ゾルダの最期のセリフが用いられている。
「先生…また、うまいもん買って帰ります…」という、アレ。
なかなかいいセンスをしてると思う。
って、よく見たら一枚目のイメージ画像でも、対峙している王蛇はガードベント使ってるし。
■装着変身 R&M武装を【背中に接続する】件について(※追記)
このコーナーでは、「ジベットスレッドの口径が異なるため、背中に装備するタイプのR&Mシリーズ武装の流用は不可能」と表記していますが、先日「そんな事はない、しっかり装備できるではないか!」というご指摘を受けました。
確かに、他の玩具レビューサイトでは合体させている写真があり、それだけ見ていると問題なく装備可能に思えますが、これについて、筆者は大きな疑問を抱いております。
2005年4月下旬現在、背中のジベットスレッドにR&M武装を装備できるライダーは、ナイトとゾルダ、オーディンの三体のみです。
結論から言えば、確かに装備させる事そのものは不可能ではありません。
ただし、「不可能ではない」イコール「可能」という事でもないのです。
実際には無理矢理パーツをねじ込まないと合体は出来ず、また合体出来ても、時間が経つとパーツ自体の張力によって接続が離れ、ポロリと取れてしまいます。
つまり、他の玩具サイトのように装備を成功させるには、パーツを傷める覚悟でかなり強引な手段に訴えなければなりません。
そして筆者は、そういうものは「装備可能である」などと、とても言えないと思うのです。
「装備可能」と表現できるのは、装着変身に付属してくるパーツのように、接続後何の問題もなく保持が可能で、ストレスなく遊べる事を言います。
(※4/21発刊の「フィギュア王No.87」95ページにも、「装着変身版とR&M版では一部規格が異なります。パーツの装着は自己責任でお願いします。」という表記があります)
R&Mのように、強引なねじ込みを要し、結果的に破損の危険がありうるものは、絶対に違うだろうと筆者は考え、以降、このような状態が見られた場合は、例外なく「装備は不可能」と表記させていただきます。
仮に、何の問題もなくスムーズにR&M装備が接続出来るという装着変身を持っている方が居たら、それはかなり特殊な個体差と思われますので、大切にするべきだと思います。
以上の理由から、本文内の「R&Mギガキャノンは装備不可能」という表記は、訂正いたしません。
よろしくご理解の程お願い致します。
注:後に発売された「装着変身EX ミラーモンスター版のマグナギガ」にて接続用アタッチメントパーツが付属した事により、上記の件は裏付けられた事を記しておきます。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダーインペラー」 定価2100円(税込)
- インペラー素体フィギュア
- インペラー頭部(マスク)
- インペラー肩アーマー(&上半身A)×1
- インペラー胸アーマー(上半身B)×1
- インペラー前腕アーマー×2
- Vバックル(インペラー用ベルト)
- ガゼルバイザー(上半分)
- ガゼルスタッブ(スピンベント装備)×1
- 装着変身サイズ・アドベントカード×3
(内一枚は名刺用) - アドベントカード用シール
(3枚分裏表・計6枚。内一組は名刺) - 取扱説明書
2005年3月18日、装着変身「仮面ライダーゾルダ」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、7または8番目の商品。
シザースに次ぐ短期間登場であり、テレビ版では最後に出現したライダー。
●映像内のキャラクター
2002年度放送「仮面ライダー龍騎」10番目にして、最後に出てきた仮面ライダー。
終盤の見え始めた40話から44話にかけて登場。
佐野満が変身する。
右膝に、召喚機ガゼルバイザーを装備している。
マスク形状は、龍騎ライダーズの中でも突出した個性を放っている。
その他、なぜか肩口に白い毛が生えているのが特徴。
これまでにも何度か敵として登場したモンスター・ギガゼールの一匹と契約しているが、こいつがガゼール系モンスターのリーダー格だったようで、結果的にその配下の別モンスターも引き連れてしまい、王蛇とは別な理由による「複数の契約モンスター持ち」になった。
本編を見ている限りそんな気配は微塵もないが、何かの書籍では、これまでガゼール属モンスターを影から操っていた黒幕的存在として記されていたとか。
ムエタイを主体とした格闘技を使い、一対のドリル状の槍・「スピンベント」のガゼルスタッブを武器とする。
それ以外には特に武装を持たず、自らの戦闘力で勝負するようだ。
ファイナルベントは、ガゼール軍団を敵に向かわせ、連続攻撃でしばき上げてから最後に左膝蹴りでトドメを刺す「ドライブディバイダー」。
一見ハデだが、実際は全龍騎ライダー中一二を争う地味なファイナルベント。
初登場時に、一度見せただけで終わってしまった。
設定だけ書くとなかなか凄そうな奴だが、実は強さを明確にアピールする描写はほとんどない。
また佐野の軽いキャラクター性とも相まって、今イチ実力が示しきれたという印象もない。
佐野満は、大会社の社長の勘当された御曹司で、しがないフリーター生活を営んでいた。
そこで神崎士郎の誘いを受け、一攫千金を目的にライダーとなったが、一人で戦おうとはせず、自分の力を他のライダーに売り込んで傭兵として戦う事を望んだ。
龍騎達ライダーの対立を観察した上で、まず真司・蓮達に売り込みを行ったが断られ、次に香川教授(オルタナティブ一派)側にも売り込みを行うしたたかさを見せる。
だが突如父親が死亡し、次期社長として迎え入れられる事になってしまったため、一攫千金を夢見る必要がなくなりライダーをやめようとするが、すでにそれは許されない状況となってしまっていた。
最終的に、意気投合した筈の東条悟・仮面ライダータイガの不意打ちを受けて逃走し、さらに王蛇から追い討ちをかけられてしまう。
カードデッキを破壊され、変身能力(=現実世界に戻る能力)を失った状態でミラーワールド内に取り残された佐野満は、鏡の向こうの婚約者の姿を見つめたまま、無念の叫びと共に消滅してしまった。
劇場版には登場しなかったが、スペシャル版には変身後の姿だけお披露目した。
その時点では、佐野はおろか東条すらテレビに出ていなかったのだから当然なのだが。
役割は、ゾルダと同様リンチチームの一員。
●概要
2004年6月から、毎月連続で出続けている「装着変身」シリーズの、第八期販売商品。
ライア、ガイ、そして四月発売のベルデと並び、「フルアクションフィギュアとしての商品化が難しいと考えられていた」ライダーの一人。
もはや、ここまで来ると出てくれた事だけで満足できそうだ。
ゾルダとインペラーの発売告知が出た頃は、さすがにファンも「ほう、次はこれか」という感じで堂々と構えており、シザース発売決定当時の大きな動揺や衝撃は走らなかったようだ。
それでも、わざわざバイザーのために片足を新規造形したり、異常に巨大なスピンベント装備をつけるという姿勢に、並々ならぬものが感じられたのも確かで、期待する人達は多かったと思う。
ただし、ここまでの流れで「同時発売された装着は、片方が出来が良いともう片方がダメになる」という見方もあり、今回はインペラーがダメ担当になるのでは、という見方もあった。
ところが、実際に発売されてみたら…
インペラーの完成度は、ここまでの新生装着変身の中でも、最上位に食い込みかねないほどの高いレベルだった!
●セールスポイント
とにかく「出来が良い!」の一言。
これに尽きるだろう。
劇中イメージに近いボディバランス、大きな不満を感じさせない各部ディテール、忠実なカラーリング、無闇に大迫力な武器…ただそのまま立たせておくだけでも素晴らしい。
まったく問題点がないわけではないが、それらがほとんど気にならないというのは凄い。
装着変身シリーズと龍騎が好きなら、手を出す価値は充分過ぎるほどあるだろう。
インペラーは、さりげない所に工夫が施されており、それがまだ良い。
右膝のガゼルバイザーは、上半分が別パーツ、下半分が脚部と同体化している。
このために、わざわざ右膝下を新造しているほどだ。
膝のジベットスレッドに上半分バイザーパーツを差し込むと、膝関節の可動によってガゼルバイザーの開閉が再現できる。
装着変身の膝は二重関節になっているので、上の関節だけを曲げるとバイザーは開かないままで、下の関節だけを曲げると、ちょうとアドベントカードを差し込む際の形状のようにパックリ口が開くのだ。
さすがにカードを差し込む事まではできないが、これは素体の関節構造を活かしたアイデアもののギミックだ。
これは、仮にR&M版が発売されていたとしても、再現できなかった事だろう(R&Mは膝が二重関節ではない)。
インペラーというと、やはりムエタイのポーズを取らせたくなるのが人情というものだが、なんと、本商品は本当に片足だけで自立出来てしまう!!(上・インペラー商品説明部分の写真を参照)
これは、絶妙なバランス調整が必要だが、足首関節の可動範囲と保持力が活かされた結果だ。
でも本当は、構造的な関係で、多分すべての新生装着変身にも出来てしまうのではないだろうか。
さすがに試してみる気はないが…とにかく、インペラーが片足立ちできるというだけで、満足したいものだ。
もちろん、限りなく地震が怖くなるのは言うまでもないが。
実際の対比よりさらに1.5倍以上デカくしたような、ガゼルスタッブも凄い。
構造的にはエビルバイザー、メタルホーン同様ジベットスレッドと手首の保持力で支えるもので、これだけでインペラーの首から足首くらいまである。
しかも、ドリル部分が別パーツの上に回転が可能なので、もはや間違った楽しみ方をしてくれといわんがばかりに、サービス精神が溢れている。
その上、ちょっと軽く引っ張ると抜けてしまうものだから、もうほとんど「ドリルミサイル」状態!
というわけで、勝手に「シュートベント」または「ドリルベント」などと名づけて、脳内設定バリバリで遊ぶのもいいだろう。
もちろん、ただ大きいだけでなく、ドリルの刃の末端部には丁寧に金色のラインが引かれているし、ギガゼールの体色の一部もきちんと再現されている。
しかし、この武器の裏側って、こんなにメカっぽいデザインだったのか。
インペラーは、肩アーマーはゾルダ等と同じく跳ね上げ式で、可動時の干渉はない。
頭部と両肩のツノは、軟質素材で作られている。
胴体アーマーの筋肉状のモールドもしっかり造られていて、申し分がない。
筆者が見た範囲では、ゴーグル部分の塗りミスもそんなに多くないような印象だった(もっとも、これは断定は出来ないけど)ので、ほとんど問題らしい問題がないと言えるだろう。
筆者は、今のところ未R&M化ライダーの中では、これが一番気に入っている。
装着変身インペラーのアドベントカードのミニチュアは、「ファイナルベント」「スピンベント」の二種類。
ただし、三枚目として「佐野満の名刺」がある。
アドベントカード同様、小さなプラパーツの両面にシールで貼り付けるというものだが、これだと両側に印刷された名刺になっちゃう。
カード自体の成形色は、黒。
●問題点
インペラーの問題点は、主に塗装と部分的な再現不足によるものだけで、特に致命的なものはない。
一番気になるのは「毛の再現」が皆無だという事だろうか。
インペラーは、なぜか肩口に白いモフモフな毛が生えているという変わったデザインなのだが、本商品ではこれはまったく再現されていないばかりか、毛のようなモールドすらつける事はなく、単に白い輪っかがくっついているだけという状態にまとめてしまった。
とはいえ、まさか実際に毛を植え付けるわけにはいかないだろう。
毛の部分がすぐに汚れてしまうだろうし、耐久性の問題もある。
処理的にはこれで正解だと思うし、個人的には問題として見たくはないのだが、こういう細かいディデールにも拘る人だって居るのだから、一応挙げておこう。
でもきっと、これが70年代後半や80年代前半の超合金だったら、絶対再現されていそう。
胴体アーマーの造形は良いと先ほど述べたが、ブラウン部分の塗装が半光沢になっているため、実際の着ぐるみの質感とは程遠い雰囲気になっており、若干の違和感がある。
もっとも、これも人によるだろうけど…
実際、筆者はまったく気にならないし。
マスクが妙に外れやすいのも、気になるところ。
しかも、特に襟などが干渉する事もないのに外れてしまうのだ。
どうもこれは、独特のマスク分割に理由があるようにも思える。
マスク前面部に対して後面部の奥行きが狭いせいか、パーツが指などにひっかかると保持が利きにくくなるように思える。
ただし、普通に左右に回している分には、ほとんど外れる事はないので、重大な問題というほどではないかもしれない。
ゾルダや王蛇同様、Vバックルの紋章が一部オミットされているのも残念だ。
というか、恐らくこれは今後も続くだろう。
いちいち取り上げるのもどうかという気さえし始めてきたよ、あたしゃ。
あと、これはほとんど難癖になるが…やはり武器一点だけでは割高だという意見もある。
確かに、ライアなどよりはまだマシなのだが。
こればかりは、元の設定によるものだからなあ…どうしようもないでしょ。
●総合評価
なんとなく筆者の贔屓が丸出しになっているような気がするが、とにかく筆者には、大きな問題が見出せないというアイテムなのは間違いないようだ。
このインペラーは、シザース同様「同スケール規格の契約モンスター玩具が存在しないライダー」なので、どうしてもなんとかしたい場合は、龍騎放映当時に販売されていたギガゼールを探すしかない。
もっとも、それでもボルキャンサーを入手するよりは楽かもしれないが。
ガゼール軍団を揃えたいというヘビーな人の場合は…やっぱり複数個ソフビを買って改造するしかないのかなあ?
今回の素体ヘッドは、ゾルダと同様「巧ヘッド(長髪型)」。
髪の色は黒。
どうにも佐野満のイメージが重ならないのだが、こちらはむしろ「草加ヘッド(短髪型)」の方がよかったのでは、と思うのは筆者だけだろうか?
■総括
ここまでに発売された新生装着変身のパッケージを並べてみて、ふと思うのが「こんなところまで来たんだなあ」という感慨。
もうすぐ一年が経とうとしている本シリーズ、すでに商品数はかなりのものになっている。
いまだ商品化の気配すらないライダーも多いが、ここまで毎月のように展開を続けてきたというのは、本当に凄いことだと思わされる。
2005年3月分発売の装着変身は、この他にもう一体「仮面ライダー響鬼」があるのだが、こちらは龍騎ライダー系と比べるとかなり規格が違うものなので、別箇に取り扱ってみたいと思う。
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