第25回 ■ バンダイ 装着変身EX2「ミラーモンスターズ03」

2006年5月14日 更新

 龍騎系装着変身のペアアイテム「装着変身EX ミラーモンスターズ」の第三弾!
 今回は、仮面ライダーナイトの契約モンスター・ダークウイングと、仮面ライダーオーディンの契約モンスター・ゴルトフェニックス。
 そしてさらに、(一応)初商品化のバイオグリーザ!!
 仮面ライダーベルデの契約モンスターで、画面ではほとんど出てこなかったこやつまでもが商品化するとは!
 そのあまりにも奇跡的な商品展開に感動し、今回突発レビューです。

「装着変身EX ミラーモンスターズ03」
ダークウイングとゴルトフェニックス、バイオグリーザの三体セット。
発売日は2006年4月22日。
定価4,725円(税込)。
前回よりも、500円ちょっとくらい高くなってます。

 「ミラーモンスター」とは、基本的には「仮面ライダー龍騎」本編内に登場した敵キャラクターですが、ライダーが契約を行う事で、その能力の一部を受け取り、強くなる事が出来ます。
 その代わり、ライダーは別なモンスターを倒し、その際発生するエネルギー球? を契約モンスターに与えねばならないという義務が付加され、これが破られた時は契約モンスターに捕食されてしまいます。
 また、契約証明でもあるカードデッキが破損した場合も同様。
 以前発売されたR&Mシリーズでは、モンスターの身体の一部を取り外し、それをライダーに
装備させるというプレイバリューがありましたが、モンスターが付属しない装着変身では、このギミックを楽しむ事ができませんでした。

 そこで、この「装着変身EX ミラーモンスター」シリーズが出てきたわけです。
 複数種のモンスターを同梱、R&M版の再販リペイント物と、新造形の物を組み合わせた販売形態で、今回はその第三弾。
 第一弾は、ギガゼール(仮面ライダーインペラー)・メタルゲラス(ガイ)・エビルダイバー(ライア)の三種類。
 第二弾は、デストワイルダー(仮面ライダータイガ)・サイコローグ(オルタナティブ)の二種類でした。

●ダークウイング

 コウモリ型のミラーモンスター。
 ライダーと契約したモンスターの中では一番小柄で、武器はウイングランサーのみ。
 その代わり、自身をナイトと合体させる事で、防御技「ウイングシールド」を行ったり、ナイトを飛行させる事が可能。
 ファイナルベント「飛翔斬」は、マント状に広げた翼でナイトをグルグル巻きにして、上空から特攻をかけるという荒業。
 実は意外と身体を張ってたり。

 他のミラモンシリーズ同様、このダークウイングもR&M版のリペイント。
 ただし、過去二作とは違って、今回のリペは「ウェザリング」ではなく、むしろ「スミ入れ※」に近いものになっています。

※スミ入れ
 モールドラインやパーツ分割を再現する筋堀部分に、黒やグレーの塗料を薄く流し、線を入れる作業のこと。
 ガンプラなどでは有名な技術だが、他のプラモや玩具でも、これを行う事で見違えるほどディテールアップする場合がある。

 ダークウイング・前面部。
 写真では判りづらいですが、翼の軸?部分と皮膜部分の境界線や、ボディ部分にスミ入れが施されています。

 ダークウイング・背面部。
 翼部分のスミ入れは、なんとなくウェザリングっぽい表現も兼ねようとしているようで、若干塗装幅が広がっている上、色が合ってません。
 でも、立体感が引き立って、そんなに大きな違和感はなかったり。

 R&M版との比較。
 よく見ると、頭や翼の暗青部分が艶消しになっていて、以前よりも質感が出ています。
 また、脚部の色もガンメタっぽくなり、銀色部分が減ったせいで、安っぽさがかなり抑えられています。

 はっきり言って、これは装着変身EX版の方が良いですな。

 ダークウイング付属版の、ウイングランサーの比較。
 刃部分は両方ともまったく同じで、装着版はスミ入れもウェザリングもなし。
 柄部分の紋章周辺にだけ違いがあり、装着版は紋章がより浮き出て見えるようにスミ入れされています。
 とはいえ、装着変身ではもっと立派な奴があるから、こっちは使わないんだけどね。

 言うまでもなく、装備状況はR&Mの時とまったく同じ。
 これでいったい何本目のウイングランサー?(答:4本目)

 さて、問題の“装着変身との合体”。

 結論から言うと、まったく問題なく合体できます。
 そりゃまあ、出来なきゃ困るんだけどさ。
 ジョイント口径が巧く調整されたおかげで、ダークウイングはスムーズにジベットスレッドに固定できるようになりました。
 これで、R&M版を合体させるのはどれほどムチャだったかが、わかるというものです。

 あまり重要ではないけれど、足の固定。
 装着ナイト&R&Mダークウイングの組み合わせでは、合体接合度が低すぎたためダークウイングの足がナイト胴体アーマーの蝶番に干渉、ジベットスレッドへの固定ができませんでしたが、今回はそれもスムーズに行えるようになりましたとさ。

 でも、なぜか説明書には、この合体接合について触れていない…イラストではちゃんとこういう形になっているのに。

 ウイングシールドも、ばっちり再現可能!
 しかも、今回は商品梱包段階からこのシールド状態なので、R&M発売当時問題視されていた「翼が綺麗に閉じない」という難点を、容易に避ける事が可能になりました。
 もし、仮にうまく翼が閉じない商品を買ってしまったとしても、R&M版で紹介した修繕法で対応可能なので、是非試してみましょう。

 後にあらためて触れますが、今回のダークウイングは地味な改良点が巧く引き立っていて、間違いなく前より良い状態になっています。
 スミ入れについての粗も少ない(というか目立たない)ので、大変オススメできます。
 少なくとも、R&M版を持っていれば充分代用可能、という事にはならなくなってきました。
 R&M版を持っていなかったという人は、これでようやく勝ち組に。

●ゴルトフェニックス

 鳳凰型のミラーモンスターで、仮面ライダーオーディンと契約。
 いまだに「ゴル“”」と間違って呼称される事が多い、可哀想な奴。

 劇中では最終回にしか登場せず、しかもほんのちょっと飛んできただけ。
 それなのに本放送当時商品化されたのは、相方のオーディンが出張ってくれてたからでしょ。
 比較的小柄な割には多くの武器を持ち、二本のゴルトセイバー、そして大型の盾・ゴルトシールドを装備。
 また、右翼に青、左翼に赤、そして背中に銀の宝珠状モールドを持ち、この形状が、三枚のサバイブカードのデザインと同一になっているため、このモンスターが、他のミラーモンスターとは違う存在意義を持っているのでは? と、本放送当時は噂されたことも(結局それが描かれる事はなかったけど)。

 ファイナルベント時にオーディンの背中に合体するが、その後何をするかは不明。
 なぜなら、本放送当時は、発動直後そのままCMに入ってしまったから。

 こちらも、R&M版のリペイント。
 ダークウイング同様、ウェザリングではなくスミ入れ主体の塗装が行われています。
 基が良いのと、派手なウェザリングが施されていないので、意外に悪くない…むしろ、良い感じにまとまっています。

 ゴルトフェニックス・前面部。
 相変わらずゴージャスな出来で、大変素晴らしい。
 全体的には良くまとまっているんだけど、スミ入れの塗料がにじんでいて、一部ヘタなウェザリング状態になってしまっているのが残念。
 ここは人によっては許容できないこともあるかと。
 幸い、パッケージの状態で確認できるので、直接見て購入を判断されるのがよろしいかと。

 ゴルトフェニックス・背面部。
 銀の宝珠周辺のモールドが目を引きます。

 R&M版との比較。
 どの部分が追加塗装なのか、だいたいわかると思います。

 画面に写っていない、左翼側も、だいたい同じ感じ。
 ゴルトセイバー基部の、翼の主軸部分の塗装が、難点ポイント。
 泥水が付着して乾いたようにも見える、独特のムラになっちゃってます。
 でも、そんなにド派手に塗られているわけではないです。
 よく見ると確かに気になるけど、すぐ見慣れるのではないかと思わける程度。
 決して致命的(目立ちまくる粗)というほどではないでしょう。

 と筆者は思うけど、購入希望者は一応現物の確認を勧めます。

 ゴルトセイバー比較。
 R&M版と形状の違いはないのですが、微妙に印象が違います。
 どういう部分にスミ入れが施されているか、よくわかりますな。
 ジベットスレッドの側面モールドにまでスミ入れされているというのは、面白いかも。

 ゴルトシールド比較。
 こちらは、スミ入れにより一層高級感が増したアイテム。
 中央部の模様部分が、シックな質感になり、なんだか骨董品のような雰囲気を出してます。
 これを見ちゃうと、R&M版の金色ベタ塗りが安っぽく思えてしまうくらい。
 これだけでも、今回のリペイントの旨みが実感出来ちゃいます。

 でも、下部の放射状モールドへのスミ入れは、好き嫌い分かれそう。

 ゴルトセイバーとシールドを、装着変身オーディンに装備。
 シールドは、玩具の従来の指定通り、前腕のジベットスレッドに直接続。
 R&M版のシールドは、ジョイント口径の違いから、これが出来ませんでした。

 で、シールドの裏側に、装着またはR&M龍騎のドラグシールド用グリップを付けて…
 (もちろんリュウガのものでも可)

 劇中通りの持たせ方を。
 うん、やっぱりこっちのがしっくり来る!

 ファイナルベント・エターナルカオス形態。
 ゴルトシールドを取り外し、首を胴体内に収納したゴルトフェニックスを、背中のジベットスレッドに固定。
 やや固い感はあるものの、ジョイント口径そのものはしっかり合っているので、問題なく合体可能。
 これでようやく、R&M版ゴルトフェニックスに頼らずに済みそうです。

 いやあ、オーディンの造りがR&M版よりもしっかりしたものになったせいか、ゴージャスさが格段に跳ね上がりましたね。

 設定にはない、エターナルカオス状態でゴルトバイザーを持たせた状態。
 もうイヤになるほど、ゴージャス極まりない!
 これは、実物を直接目にすると、益々実感できます。

 ゴルトフェニックスのスミ入れのおかげで、全体的に安っぽさがなくなり、装着変身オーディンとの一体感が増したというのが、一番の旨みでしょうか。

 とにかく、これとダークウイングだけでも、充分買いだと思いますよ。
 R&M版をすでに持っている人も、という意味で。

●バイオグリーザ

 今回の最大注目株。
 カメレオン型のモンスターで、仮面ライダーベルデと契約。
 2002年9月19日放送のスペシャル版「仮面ライダー龍騎13RIDERS」のみの登場で、しかも劇中の登場時間は1分未満!
 両目を合わせた形をした「バイオワインダー」を装備し、これをベルデに使用させる事が可能。
 ファイナルベントは、長い舌でベルデの足を捕まえ、振り子状に振り回し、ベルデが捕らえた敵ごと空中に放り出し、そのままキン肉ドライバーを決めさせるという「デスバニッシュ」。
 派手な割には、敵一体ずつにしか使えない上、ミラーモンスターの形状やサイズによっては使用不可能なのではないかと、色々心配になってくる豪快技。

 完全新造形なので、まずは全身の形状を。

 前面部と背面部。
 この写真では、いつもの前傾姿勢ではなく、あえて直立させています。
 この状態だと、ベルデより背が高いです。

 側面部。
 独特の形状の尻尾は、なんとこれだけで11箇所もの関節を持っていて、クルクルと巻き取る事ができます。
 各ブロックパーツの湾曲具合の関係で、一直線状に伸ばす事は出来ませんが、元々弧を描く形状の尾なのですから、そこに文句付けるのは筋違い。
 「尻尾が真っ直ぐにならないとはどういう事だ」と怒る人は、何か別なものを求めていたのではないでしょうか。

 両目を取り外し、別添のワイヤーパーツにはめ込む事で、バイオワインダーを再現。
 目はそれぞれジョイントサイズが異なっているため、左右を間違える事はありません。
 なくなりやすいパーツなので、くれぐれも取扱いに注意。

 ワイヤーパーツに、バイオグリーザの目をはめ込んだ状態。
 残念ながら、ワイヤーを巻き取る事はちと困難。
 つか、できないと思った方がいいかもしれません。

 装着変身ベルデに付属したバイオワインダーとの比較。
 大きさが段違い。
 これまでのパターンだと、装着変身に付属した武器の方が、ミラーモンスターの部分変型武器より完成度が高かったわけですが、ここに至って逆転したようです。
 今回ばかりは、バイオグリーザ版の方が、劇中イメージに近いですね。

 しかし、プレイバリューというかユーザビリティとしては、装着変身版の方が上。
 ワイヤーを巻き取れる上、グリップ?を固定できるというのは強みです。
 また、バイオグリーザ版は手に持たせるのに多少工夫が必要なため、親指で固定できる装着版の方が、やっぱり便利なのです。
 それに、輪っかに指通しやすいのも、装着版の方だし。

 一つ上の写真のように、ワイヤー(つかテグス)を指の間に挟むようにすれば、バイオ版でも問題なく手に持たせて飾れます。
 ただし、まとめられないワイヤーがダランと下に垂れ下がるので、これがちょっと難点かと。

 とりあえず、ライアにぶつけてみましょう。

 もう一つのギミック、「デスバニッシュ」の再現。
 舌パーツ先端を、バイオグリーザの口に…

  反対側を、ベルデの足首の軸に固定して…

 それ行け、ファイナルベント!!!

 ――って、アレ?

 実はこの舌パーツ、この程度の長さしかありません。
 また、バイオグリーザ側の固定が ほ と ん ど 出 来 な い に 等 し い ので、劇中のようにブラ下げて飾るのは不可能です。
 材質は軟質素材なので、くにくに曲げられます……が、なんか嬉しくない。
 別に、無理にデスバニッシュ再現して欲しいわけじゃないけど、なんか中途半端すぎるなあと。

 雇い主?と揃い踏み。
 やっぱり、ライダーと契約モンスターの2ショットはいいものです。

 それにしても、まさか本当にこの組み合わせが可能になるとは…
 いまだに信じられません。
 やっぱり、これも前回のサイコローグ同様「商品化されただけで充分奇跡」という奴なのでしょうね、きっと。

【買ってみて一言】

 これは、未購入時と購入後で、かなり印象が変わる商品だと思います。
 正直な話、前回の「ミラーモンスターズ02」よりも、お買い得感は高いでしょう。
 本来ならダブり要員の筈の鳥ニ匹(ぉぃ)は、明らかにR&M版よりグレードが上がっていますし、何よりストレスなく装着変身と絡められるプレイバリューを発揮します。
 実質的にはこの二匹、R&M版のものとはまったくの別物です。
 ですから、「このニ匹さえなければ買うんだけどなぁ」と悩んでいる方は、騙されたと思って購入してみるべきではないかと思います。
 R&M版を持っていて、しかもそちらの方に大きな魅力を感じていた筆者が、一気に乗り換えたくらいの出来なのです。
 もちろん、個人的な嗜好の幅もありますから、絶対的な評価ではありませんが、少なくともススだらけにされたデストワイルダーよりは、遥かにマシです。

 そして、バイオグリーザ。
 こちらは、ちょっと神懸り的なこだわりの逸品になっていて、他のニ匹のグレードアップに勝るとも劣らない魅力を発揮しています。
 単純な出来の良し悪しだけでなく、尻尾の可動や、各関節の可動幅の追求など、目立たないところで最大の工夫が見られるのです。
 特に、あの足の形状にも関わらず接地性が高いというのは、特筆物。
 ふくらはぎ側に湾曲した部分(アレが本当の脚という設定なんだけど)が途中で分断されていて、そこがロール状に可動、足首のボールジョイントの可動に制約を与えないようになっています。
 残念ながら、前後方向への可動は不可能ですが、ここまでやってくれれば充分過ぎます。
 また、腕の可動幅も充分過ぎる上、装飾パーツもそんなに邪魔にならないので、表情付けが楽しいです。
 この上、あんな形状であるにも関わらず、首までボールジョイントのため、またまた細かな表情演出が出来ます。
 ここまで至れり尽くせりだと、もはや文句を付ける事すら躊躇われるよう。
 というわけで、今回は、新造モンスターだけでなく全体的に旨味の多い、大変良い商品になったと判断します。
 少なくとも、前回よりお買い得感は高かったですね、個人的に。

 ――ですが。
 ここに至って一つの問題点が見えてきたのもまた事実。

 今回の再販ミラモンは、ウェザリングを辞めてスミ入れに変更しました。
 それは結果的に正解だったとは思うのですが、これにより、過去に出た再販ミラーモンスターとの統一感がなくなりました。
 また、「何故過去の再販ミラモンも、最初からスミ入れ処理にしなかったのか」という疑問も生まれたわけです。
 また、これで二体目の「ウェザリングのない」新造モンスターが登場したわけです。
 ウェザリングを施された新造モンスターは、第一弾のギガゼールのみ。
 ここでも、統一感が失われています。
 バンダイ側の暗中模索が手に取るようにわかる状況ですが、この統一感のなさは、大変大きな問題でしょう。
 しかも、今後解決できないという…

 この後、第四弾としてドラグレッダー/マグナギガ/ボルキャンサーのセット発売が決定しています。
 ボルキャンサーはともかく、マグナギガにはウェザリングが施されるのか、それともスミ入れなのか、ちょっと心配になってしまいます(極端でなければ、ウェザリングでもいいかな〜、なんて思うわけですが)。

 しかし、問題はドラグレッダー
 龍型ボディのミラーモンスターは、側面部の模様がメッキシールで再現されていました。
 果たして、これをどう対処するのか?
 ウェザリング仕様なら、汚れたような色を含めた新規シールを貼るのか、それともスミ入れにして、R&M版と同じシール利用でお茶を濁すか。
 少なくとも、シール部分をモールドに変更というのは、新しく原型製作をしなければならなくなる上、ベノスネーカーへの流用が利かなくなるため、まずありえないでしょう。

 こんな感じで、「次にどういう処置を施してくるか」で、ミラーモンスターシリーズ全体の評価が、ほぼ確定するようです。

 発売予定は、2006年夏過ぎとか。
 はてさて、心配であります。

 で、消去法から考えると、第五弾はドラグブラッカー/ベノスネーカー/ブランウイングですか。
 まさか長物を二つセットにしてくるとは思いませんでした。

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