第158回 ■ グッドスマイルカンパニー「THE合体 マイトガイン」01

2024年2月19日 更新

 

 今回は、筆者過去最大の“入手に難儀した玩具”のレビューです。

 予約に失敗したとか、物凄い勢いで売れまくって買い損ねたというパターンなら過去幾度もあったのですが、今回はそんなパターンのいずれでもなく、もっと根源的な問題に引っ掛かってしまった展開です。

 というわけで、今回は最高の完成度を持ち製品にも問題なしなのに、一部の販売形態に問題があったため、近年稀にみる“事件”を起こしてしまった本商品をレビューして参ります。

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■ THE合体 マイトガイン

 

 メーカー:グッドスマイルカンパニー
 発売日:2023年9月29日(出荷日:9月28日)
 価格:27,900円 (税込)

 本レビューで初めて取り扱うブランドなので、まずは簡単に「THE合体」シリーズについて触れて行きます。
 完成品フィギュアの大手メーカーとして今やすっかりメジャーとなった「グッドスマイルカンパニー(以下グッスマと表記)」が、figmaやねんどろいど等に並んで新たに発足させたのが、「THE合体」シリーズです。

 こちらは、いわばバンダイスピリッツにとっての超合金魂等に相当する、高年齢層向け高額玩具のシリーズです。
 合金こそ使用しておりませんが、優れた完成度と耐久性、そして緻密な設計と造形が魅力で、その上凝った変形合体ギミックをも搭載しており、非常に満足度の高い製品になっています。

 

 2021年9月発売の「合体超神サンダーグリッドマン」を皮切りに、「グランラガン」「ダンクーガ」「(アニメ版)グリッドマン」などの商品を発売(順不同)。
 そして2022年5月からは「伝説の勇者ダ・ガーン」を第一弾として、「勇者シリーズ」の商品展開を開始。
 「ガ・オーン」「セブンチェンジャー」「マイトカイザー」「マイトガンナー」等を発表し、また「太陽の勇者ファイバード」の展開を匂わせる発表をワンダーフェスティバルにて行うなど、90年代をメインに育った世代を狙うような、ややマニアックなラインナップで攻めてくるのも大きな特徴です。

 

 また、メーカー問わず旧商品が存在する物についてはそのリスペクトも行われており、懐かしさを感じさせながらも新規解釈のギミックも組み込み、より高度なスタイルに仕上げるようにしているのも大きな特徴です。
 一方で、旧商品では造形的・ギミック的に難を感じがちな物(当時製品の解釈でやむを得ない物も含む)を大胆にアレンジし、よりスタイリッシュに仕上げるという一面もあり、2024年現在非常に大きな注目を集めています。

 「THE合体」をはじめとするグッスマ商品は、メーカーが運営するオンラインショップにて予約(受注生産)が可能で、注文すれば必ず入手が可能という点も魅力的で、プレミアムバンダイのような受注枠オーバーによる受付終了が事実上ないというのも大きなポイントです。
 半面、クレジットカードでの注文の際、他のネットショップではあまり採用されていない本人認証を要するなどいささか面倒な点もあり、時にはそれ専用にクレジットカードを新規で作成する必要も生じますが、どうしても確実に欲しい商品がある場合は一考の価値があるかもしれません。
 更に加えて「再販」もしてくれる事があるので、買い逃してもまだ希望が持てるというのも、嬉しい所です(必ず全商品再販するというものではありませんが)。

 尚、これら予約上の嬉しいポイントは、あくまで「グッスマオンラインショップ」上での特典であることをご理解ください。
 それ以外の状況については、後述します。

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■勇者特急マイトガイン:

 

 1993年1月30日から1994年1月22日まで、テレビ朝日系列で全47話が放送された、「勇者シリーズ」第四作目。
 
 主人公・旋風寺舞人を総帥とする旋風寺コンツェルンは、私設無国籍救助隊「勇者特急隊」を設立。
 石油枯渇により電動鉄道社会となった世界を舞台に、超AI「Gシステム」を搭載した自立型ロボット・ガインをはじめとするロボット軍団を率い、また舞人自身もマイトウィング(&マイトカイザー)を駆り、ヌーベルトキオシティを狙う様々な悪人達と戦い、世界を救うため大活躍する。
 しかし、彼らの世界には恐るべき秘密があり――

 

 マイトガインは、300系新幹線のぞみから変形する「ガイン」と、400系新幹線「つばさ」から変形する「マイトウィング」、そして蒸気機関車型の大型サポートビークル「ロコモライザー」の三体が合体して誕生する巨大ロボット。
 
 本放送当時は、メインスポンサーであるタカラ(現・タカラトミー)が関連商品を発売。
 マイトガインも「特急合体マイトガイン」として商品化されており、そちらは電飾ギミックを搭載しておりました。
 残念ながら本商品には電飾ギミックは搭載されていない為、当時品のような楽しみ方が一部出来ない点もありますが、そこは予め承知しておく必要があるかと思います。

 それでは、そろそろ本商品を個別に詳しく見ていきたいと思います。

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■ガイン:

 

 300系新幹線のぞみ型ビークルから人型に変形する、超AI搭載ロボット。
 銃型武器「ガインショット」を装備し、他にも脚部にビーム砲を装備することもある。
 マイトガインの左肩から左腕を構成。

 

 さて、ガインです。
 本商品最大の注目点とも云えるのが、ガインのプロポーションでしょう。
 旧商品のガインを知っている人ほど、このスタイルは脅威と思うことでしょう。

 

 ビークルモードが長方形型の新幹線で、しかもマイトガインの左腕を構成するという都合上、これまではどうしてもロボットモードのスタイルが犠牲になる傾向がありました。
 しかし、本商品はそこをとんでもない新解釈とギミックで解決しちゃってます。

 

 というわけで、まずはビークルモードから触れて行きます。

 

 全長は約13.7センチ、全幅約2.5センチ。
 重さは約45グラム。
 現実ののぞみ及び作中のガインと大きく異なり、パンタグラフのシールドがかなり低めになっている特徴があります。
 恐らくこれは、マイトガイン時の前腕の形状を意識したものではないかと。

 

 フロントビューとリアビュー。
 この形状から分かる通り、所謂電車型玩具特有の「連結ジョイント」の類は特にありません。

 

 サイドビュー。
 作中のマイトガインは肩部分が丸く鼻っ面が短めに描かれる事が多く、それをメインに造形されるケースも多いようですが、本商品のガインはその辺実物と比較してもさほど大きな違和感はなく、ビークル形態に無理がありません。
 足回りにいささか違和感はありはしますが、ここはギミックの都合上致し方なく。

 

 底面。
 あまりロボットっぽい特徴がないのも面白いところです。

 

 特急合体のガインは、ビークルモード時も上面部にジョイントが露出していましたが、今回はそういうことはなく綺麗にまとまっています。

 次はロボットモードへの変型を。

 

 変型開始です。
 前方側面部を180度外側に反転させます。

 

 本体後部を引っ張って引き伸ばします。

 

 本体後部の赤い蓋状パーツを、観音開きで一杯に展開します。

 

 底面部の赤いパーツを立て、後部の観音開きパーツを本体側面までたたみます。

 

 本体全体を立て、本体前部(上半分)を引き伸ばします。

 

 本体上半分を、90度前方に倒します。
 この時、自然と運転席上部のハッチが開きます。

 

 上部ハッチを開き、その下に畳み込まれていた頭部を引き上げ、最後にハッチを戻します。

 

 背面の屋根部分と側面部を、二段階で折りたたみます。
 過去商品化されたガインは、この処理が行われた例が(筆者が覚えてる限りでは)なく、その為物凄く不格好になっていました。
 その為、今回のこのギミックは非常にスタイルを良く見せる良い効果を発揮しています。

 

 ノーズ部分下のスカートを引き下ろし、股間部のジョイントに接続します。

 

 腹部側面にあたる黒いパーツを奥に押し込み、また腕の付け根にあるプレートを反転させます。
 これで、脇部分のスカスカを隠します。

 

 両肩を横に引き伸ばし、前腕も引き伸ばして上腕部を露出させます。
 更に袖部分から手首を引き出します。

 

 脚の付け根を上方へスライドさせて、フロントスカートの裏側に股間を移動します。
 ついでに、腰アーマー側面部を適当に開いておきます。

 

 両肩側面部の四角いパーツを、爪で引っ掛けるようにして引き出します。

 

 ガインへ変型完了。
 長方形の棒から変型したとは思えない、本当に見事なスタイルです!

 

 全高約12.4センチ、最大幅約5.8センチ。
 専用武器「ガインショット」が付属。

 

 ガインショット自体2センチ程度の長さしかありません。
 手首に開いている穴にグリップを差し込むだけですが、サイズ的にそれが限界かと。

 

 頭部アップ。
 高さはたったの1.3cmしかないのですが、それでも尚これだけシャープな造形なのは本当に驚きです。
 しかも勇者ロボとしての特徴である、奥まった目もしっかり再現されています。
 目の幅なんか、2ミリあるかないかですぜ!

 

 ガインの可動部は、正直あまり大したことはありません。
 まあ、このスタイルで変型してくれるだけで十分な気がするので、そこまで重視すべき事ではないと思いますけど。

 腕は360度回転可能(ただしちょっと引っ掛かる)、横方向の開きは殆ど不可能で、画像で精一杯です。
 肘はおおよそ90度曲げられますが、上腕の回転機構はありません。
 ちなみにこの回転機構なしの件、最初に発表されていたCGモデルでは回転可能でしたが、発売直前に回転機構がないことがアナウンスされました。
 正直、もっと早く言えよ! と思いましたが。

 

 足の前後可動はこれが限界。
 思ったよりも大きく動くのでもう十分なのですが、何故かあまり動かない? という印象を抱いてしまいがちです。
 腰パーツは独立可動なので、足の動きには連動しません。

 

 横方向の開きはこれくらい。
 尚、足首というか赤いつま先パーツは、若干ではあるものの斜めに回転可能で、接地時の表情付けに役立ちます。
 さすがにここまで開くと、接地対応は無理ですけど。

  

 ガイン前面・背面。

 

 側面。
 さすがにのぞみのノーズ部分の出っぱりだけは、作中みたいにコンパクトには出来ませんでしたが。
 でも、ここをペチャパイにしちゃうと、今度はビークルモードの時に悪影響出ちゃうんですよねぇ。

  

 後述しますが、ロコモライザーの汽笛パーツはマイトガイン合体時に余剰となります。
 代わりに、というわけではないのですが、ガインの両脚側面に取り付けることが可能です。
 向きはどちらでもOKです。
 一応、設定画としては右写真の向きが正解みたいです。
 というより、これがガインの正装? になります。

 

 たまたま手元にあった「真骨頂製法・仮面ライダーファイズ」と比較。
 本当なら他の勇者玩具と比較すべきなんでしょうけど、ご容赦を。
 ファイズの大きさは約15センチなので、ガインがどのくらいコンパクトなのかわかる……かと思いますが伝わります?

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■マイトウィング:

 

 400系新幹線つばさ(山形新幹線)型ビークルから人型に変形する超電導ジェット戦闘機で、AI等は搭載されておらず旋風寺舞人が自ら操縦する。
 マイトカイザー登場後は、(舞人がそちらを操縦する都合)自動操縦による飛行も可能になった。
 マイトガインの右肩から右腕を構成。

 

 マイトウィングはガインと異なり、余剰というか外付パーツがほぼ必須という構成です。
 正しくはなくてもOKではあるんですが、それだとスタイルが今一つ決まらないんですよね。
 要は尾翼のことなんですが……

 

 ビークル(?)モード。
 よく考えたら、マイトウィングは変型前も後もビークルなんですよね。

 全長は約13.7センチ、全幅約2.5センチ。
 重さは約36グラム。

 

 ガインに比べて、マイトウィングは非常にシンプルな構造と変型です。
 塗装もいい感じに劇中のイメージ(※実物ではないとこがミソ)を再現していると思います。

 

 変型ギミックは別として、大雑把な構造はガインとよく似ています。
 尚ガインもマイトウィングも、連結ギミックはありません。
 ちなみに特急合体版では双方の手首を伸ばし、ジョイントパーツを手で握らせて無理やり連結させることが出来ましたが、今回はそれも出来ません。
 惜しい所で翼が閉じなくなっちゃうんですよね。

 

 フロントビューとリアビュー。

 

 サイドビュー。
 こうして見ると、なんか寸詰まりっぽく感じるかもしれませんが、実物はかなりシャープで程好い長さです。

 

 底面。
 中央にある楕円?っぽい形状の黒いパーツは、スタンドを差し込むジョイントになります。

 

 ここからは飛行形態(ジェットモード?)への変型になります。
 本体後部側面部を持ち上げます。

 

 内側に折込まれている翼端を更に引き上げます。

 

 本体前部、コクピット下部に収納されている安定翼を引き出します。

 

 ここまでのプロセスを左右共に行うと、このようになります。

 

 続いて収納された尾翼を引っ張り上げます。
 といっても、これはそうだと言われない限り、尾翼だとは思えないくらいショボイですよね。
 一応余剰なしで変型します! という体面を整えるために付けたもの、という印象が個人的に拭えません。
 色も違うしね。

 

 そこで、スタイル重視用パーツの尾翼を取り付けます。
 これは、元々の尾翼に上に被せる? ように取り付けます。

  

 マイトウィング・ジェットモード(仮称)完成。

 全長は約13.7センチ、
 最大翼幅約8.1センチ、尾翼の高さ約4.7センチ。
 重さは約37グラム。 

 変型以外のギミックは特になし。
 何かを発射するとか、そういうのもありません。
 さすがに、そういうのはいらんと思うけど。

 

 ちなみに先で触れた「双方の手首を伸ばし、ジョイントパーツを手で握らせて無理やり連結させることが出来ましたが、今回はそれも出来ません」という件ですが、一応それっぽくすることは可能です。
 ただし、美観もへったくれもなく安定性もないので、殆どネタの領域です。

 

 それから、手首を出すと翼の裏側にあるストッパーが干渉してしまい、翼が綺麗に閉じなくなってしまいます。
 画像は微妙に浮いている状態なので、面一にならず段差が出来ています。
 まあ、どのみち無理にやるようなものではないですね。

 

 本商品のオプションとして、マイトガインの交換用手首やガインショット等を固定しておく事が出来るディスプレイ台が付属します。
 また中央の支柱にマイトウィングを固定する事が出来ます。
 ちなみに、マイトウィング変型前の状態にする際、尾翼パーツもこのディスプレイ台に固定させることが出来ます。
 これは地味に便利です。
 台座は約8.7×4.4センチ、支柱の高さは約9センチ。

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■ロコモライザー:

 

 勇者特急隊が誇る巨大機関車型サポートメカで、マイトガインの両肩・両腕以外の全てを構成する。
 超AIなどは搭載されておらず、完全自動操縦で稼働する。
 別名「化け物機関車(命名:ウォルフガング)」。
 全アニメ史上でも屈指の超高速走行能力を持っており、非飛行型メカとしては常軌を逸した「時速36万km/h(マッハ294)」という、桁を間違えたんじゃないかと思える程の速度を叩き出す。
 これは「地球のどこへでも3分で到着する」という設定に基づく公式の情報です。

 

 さてロコモライザーです。
 全長は約29.2センチ、最大幅約9.2センチ。
 最大全高約7.6センチ。
 重さは約328グラム。

 

 こちらも、特急合体と比較してかなりフォルムが変化しています。
 まず「カウキャッチャー(スカート)」部分がかなり肥大化しており、更にフロントのエンブレム部分に大きく被さっています。
 その為、フロント部分の印象がかなり変化しており、人によっては違和感を覚えるかもしれません。
 かくいう筆者もそうです。

 

 加えて中間部分が異様に細く、逆にリア部分が大きく横に膨らんでいて、ぶっちゃけ機関車っぽいふとっちょ体形は再現されているとは言い難いものがあります。
 とはいえ、これは(ご存じの通り)合体後のマイトガインのプロポーションから逆算された結果でもあるので、個人的にはやむを得ない気がします。
 見方を変えれば、機関車型メカの後部にブースターユニットを取り付けたようなスタイルに思えたり。

 

 尚、本商品ではロコモライザーの大きな特徴とも云える「ガインとマイトウィングの収納」が行えません。
 これはちょっと意外な展開でした。

 両脚の中が完全に埋まっている上、何かしらの拡張を行えるような形状でもなさそうなので、これは後でなんとかフォローするようではなく、完全なオミットでしょうか。
 作中でも行われていたシチュなので非常に残念ですが、これってもはやTHE合体では「ジョイントドラゴンファイヤー」が行えない事で確定なのかな?

 

 ロコモライザー・フロントビュー。
 先の通り、カウキャッチャーの自己主張が凄いです。

 

 リアビュー。
 さっき「埋まってる」と書いた内部はこんな感じです。
 白い棒状のパーツは、マイトガイン時の脛にあたる部分になります。

 

 サイドビュー。
 ちなみにコロ走行は可能ですが、今一つスムーズに車輪が揃って回転してくれる感がありません。
 まあ、その点は特に大きな問題とは思えませんが念のため。

 

 サイドビュー前部アップ。
 中央よりちょっと前の辺りが、かなり大きくへこんでいるのがわかるかと思います。
 しょうがないと書いたとはいえ、この向きで見ると、ここはかなりのがっがりポイントかと。

 

 サイドビュー後部アップ。
 特急合体では運転席の窓状に表現されていた側面の四角い部分が、今回はモールドのみで塗装はされていません。
 これはどういう意図だったんだろう?
 当初は塗装する予定だった……?

 

 リア部分、サイドの黒いパーツは後方にスライド可能です。
 ただし、これは本商品内で使用するギミックではありません。
 (分かる人には分かるものではありますが)

 

 スライド幅はこれくらいです。

 

 以上、ロコモライザーでした。
 
 これ単独だと結構好き嫌いが分かれそうな造形でしかも単独ギミックも乏しく、合体後のプロポーションのしわ寄せが一番集中している少々残念な出来と云えるでしょう。

 が、それはあくまでこれ単独で見た場合の話。
 これが、合体プロセスで「うええぇぇ?!?!」となるのが凄いのです。

 というわけで、この後はいよいよ「レーッツ、マーイトガーイン!!」です。

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