第164回 ■ グッドスマイルカンパニー「THE合体 ファイバード」01

2025年2月24日 更新

 

 2025年一発目のレビューは、またまた「THE合体」シリーズです。
 だいたい一年前から取扱い始めて、今回で既に五回目。
 それだけ注目度と話題性が高い商品シリーズということなのです。

 が。

 今回の「ファイバード」は、所謂1号ロボにも関わらず発売直後から非常に多くの話題が生まれました。
 それは賞賛であり、はたまた不満であり。
 そしてその中には、かなり洒落にならない大問題も含まれておりました。

 というわけで、今回は「太陽の勇者ファイバード」の主役勇者ロボ・ファイバードのレビューです。
 ついでに発売当時の様々な話題や、その時点での注目ポイントに的を絞って色々と書いて行きたいと思います。

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●THE合体 ファイバード

 

 メーカー:グッドスマイルカンパニー
 発売日:2025年2月14日(出荷日:2月13日)
 受注期間:2024年3月15日〜2024年7月10日
 価格:24,500円 (税込)

 

 1991年2月2日から1992年2月1日まで、テレビ朝日系列で全48話が放送された、「勇者シリーズ」第二作目。

 西暦2010年。
 悪のエネルギー生命体「ドライアス」が地球に飛来。
 地球人である悪の科学者・Dr.ジャンゴと結託し、地球上で破壊と混乱を巻き起こすべく暗躍を開始する。
 これを追ってやって来た正義のエネルギー生命体「宇宙警備隊」のメンバーは、地球上の乗り物に憑依。
 そのリーダーであるファイバードは、天野平和科学研究所所長・天野博士が自主的に開発・製造していたレスキューメカの一環である“アンドロイド”に憑依。
 全身金色のアンドロイドボディにスーパーシリコン製の人工皮膚をまとい“火鳥勇太郎”を名乗り、天野博士の助手という立場を得ながらドライアス一味と日々闘っていく。

 天野博士が極秘で行っているレスキュー活動に参加し、その際に搭乗する「ファイヤージェット」で活躍するが、ピンチの際はこれに合体し「ファイバード」となる。
 また戦況に応じて、支援用無人戦闘機「フレイムブレスター」と合体、「武装合体ファイバード」となりパワーアップする。

 

 尚、このファイヤージェットとフレイムブレスターはエネルギー生命体の来訪・憑依を前提に開発・建造された訳では当然ない為、本来は変型や合体機構を持っていない。
 しかし、火鳥勇太郎(ファイバード)からの力を与えられることにより変化が生じ、ロボットに変型・合体出来るようになってしまったという経緯がある(作中でも、制作者である天野博士が驚くシーンが存在する)。

 必殺技は、フレイムソードを用いた「フレイムソード・チャージアップ」や両肩からの射撃「フレイムキャノン」、「ダイナバスター」「フレアミサイル」「サンスライサー」等。
 各砲門を全展開して一斉砲撃を行う「フルブラスト」等もある。

 

 本作「太陽の勇者ファイバード」は国内外問わず非常に人気の高い作品であり、三十四周年にあたる2015年に於いても尚注目されている作品です。
 が、同時にいくつかの関連事件が発生した事で有名です。

 制作会社のサンライズとスポンサーのタカラ(現タカラトミー)に対して続編要望の投書が多数送られたものの、その中に殺人をほのめかす脅迫内容が含まれていたという事件が複数件発生し、実際に警察が関わった事がありました。
 また作中のメインヒロイン・天野ハルカが(作画設定上仕方ないのだが)いつも同じ服を着ている事を憐れみ、ファンが二万五千円の服代を送り付けるという珍事も発生しています。

 また事件ではないものの、作中設定時代である2010年頃、英語圏でのネットミームに作中における火鳥の台詞(ちょっと間抜けなもの)が用いられた事もあったとか。

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■ファイヤージェット:

 

 全長26.2メートル、重量45.5トン、最高速度マッハ5.2を誇る大型輸送機。
 複座式で、前席にはコウタ、後席には火鳥が搭乗するのが基本パターン(操縦は火鳥が担当)。
 昭和ロボットアニメのスクランブルシーンを彷彿とさせる発進シークエンスが特徴で、天野平和科学研究所の真下の崖(に偽装したハッチ)から発進する。
 救助活動用の消火弾ミサイルや、攻撃用のフレアミサイルを装備。
 推進剤を変更することで宇宙空間での飛行も可能。

 

 本商品は、実はファイバード状態で梱包されているのですが、ここでは変型シークエンスに則りあえてビークル形態から触れて行きたいと思います。

 

 全長約38.5センチ、最大全幅約25.4センチ、最大全高約10.2センチ。
 重量約462グラム(フレイムソード収納状態)。
 非常に大型で大人の手にも余るほどですが、実はこれ当時品「武装合体ファイバード」とほぼ等しいサイズとのこと。
 言われてみれば、確かに当時品も結構なサイズがあったよなあと、記憶が呼び覚まされます(←当時、勇者ロボ玩具をフルコンプしていた勢)。

 

 ファイヤージェットのギミックについて。
 まずキャノピーですが、前後分割式で開閉します。
 前半分を少々上に引っ張り、その後に後ろ半分を展開させる方式。
 ただし、後述するフレイムソードの柄を収納したままだと、この後ろ半分の開閉が困難になる場合があります。
 これは柄の一部が干渉しているせいなので、気になるなら変型時は柄を収納しないようにするといいかと思われます。

 ……つか、それサンプルチェックの時点で気付かなかったんかい! って思う。

 

 キャノピー内部から、操縦席ブロックを取り外すことが出来ます。
 代わりに火鳥勇太郎フィギュア(後述)を搭乗させられます。
 一応、底部に突起があってフィギュアを固定させる事が可能なのですが、少々やりづらいものがあります。
 
 こうしてみると、ちっこいと思った火鳥にーちゃんは対比的に結構でっかいことがわかりますね。

 

 本体後部上面には、ミサイルランチャー(フレアミサイル)が隠されています。
 当時品では、この部分は白いパーツだったので分かりやすかったのですが、今回は劇中準拠のブルーになっている為、少々分かりづらいかもしれません。
 尚、ミサイルは取り外し不可です。

 

 ランディングギアは、三点支持。
 まず機首側のものは、一旦フタを開いてからランディングギアを出し入れし、再度フタを閉じるタイプ。
 これは展開時・収納時共に同じです。

 

 本体後部の二点は、各四輪のランディングギアを展開、収納します。
 こちらもフタを開いてギアを出し入れします。
 フタは左右別個展開式。
 ただし前部と違って、ランディングギアを出している時はフタは閉じません。

 

 ランディングギアを全て展開することで、コロ走行が可能です。
 この画像だと、左後部のランディングギアが浮いているように見えますが、きちんと接地していますのでご安心ください。

 

 ファイヤージェット・フロントビュー。

 

 リアビュー。

 

 サイドビュー。

     

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■フレイムブレスター:

 

 フレイムブレスター。
 無人支援戦闘機で、火鳥の呼びかけに応じて飛来する。
 単独で攻撃も可能で、状況に応じてファイバードのフォローを行う場合もある。
 ファイヤージェットとの二種類の合体が可能で、そのうち一つはファイバードを「武装ファイバード」へ強化する働きを持つ。

 

 全長約14.4センチ、最大幅約12.8センチ、最大全高約3.4センチ(砲塔先端)。
 重量約64グラム。
 フレイムブレスターは、非常に平たい造形となっていて、正直言うとあまりジェット機感はありません(元々ないとも言えるけど)。
 キャノピーはメタリックブルーの塗装で再現されています。

 胸の中央のサンスライサーは出っ放し。

 

 フレイムブレスター底面部。
 メットオン後のファイバードの顔がこんにちは。
 ランディングギア等は一切ありません。

 

 フレイムブレスター・フロントビュ―。

 

 サイドビュー。
 ぺたんこ。

 

 リアビュー。
 ジェット噴射の類の再現はなし。

 

 ファイヤージェットとフレイムブレスターの合体。
 ジョイント箇所は、画像の黄色い矢印が差している辺りの、赤い部分(黄色い四角内)になります。

 

 フレイムブレスター側のジョイントは、一番後部にある下向きの四角い突起二つです。
 ここがファイヤージェット側のジョイントに差し込まれます。

 

 ファイヤージェットとフレイムブレスターの合体形態。
 これに特別な名称はありません。

 

 フレイムブレスターの固定はカッチリしたものではありませんが、固定力はそこそこで逆さまにした程度では脱落はしません。
 しかし、その状態で揺さぶるとさすがに外れて落っこちます。

 

 そういえば、この形態に専用の名称ってないんだよなぁ。

 

 合体形態フロントビュ―。

 

 リアビュー。

 

 サイドビュー。

 

 以上、ファイヤージェット及びフレイムブレスターでした。

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■火鳥勇太郎:

 

 今回のコアロボとなる、火鳥勇太郎フィギュア。
 通常の姿ではなく、素体のアンドロイドの状態の立体化。
 背中のでっかなプレートが非常に目立ちますが、これに難色を示す向きもあるかと思われますが、当時品を知っている人ならニヤリとしちゃう仕様です。

 

 腰部分が二重関節になっているため、座らせることが可能。
 それどころか屈伸まで出来ちゃうわけなんですが(つうか合体形態)。

 

 火鳥勇太郎フロントビュ―。
 大きさは全高約2.5センチ、最大幅約0.9センチ、奥行最大約0.8センチ。
 重量約0.5グラム。

 

 リアビュー。
 この背中の模様が、ファイバード時の胸に収納される際の表面となります。
 ちなみに劇中だと、これは背中に施されています。

 

 サイドビュー。
 やや前のめりになっているのは、こうしないと自立してくれないためです。
 実際はしっかり直立させられます。

 

 同じTHE合体の「伝説の勇者ダ・ガーン」付属のダ・ガーン(ビークル形態)との比較。
 丁度良い対比? に思えてきます。

 

 せっかくなので、ロボット形態のダ・ガーンとも比較。

 かなり小さなダ・ガーンが大きく思える対比!

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■チェンジ・ファイバード(変型):

 

 ここからは、ファイバードへの変型に触れて行きます。

 

 ここからの変型プロセスは、取扱説明書の手順とは異なる進行になりますのでご注意を。

 まず機首を180度折り畳みます。
 そして横の安定翼も折り畳んでおきます。

  

 本体先端部の赤いフタを展開し、中から頭部を引き上げます。

 

 本体後部のこの部分のジョイントを外します(左右共に)。

 

 ジョイントを外した本体後部中央を引き上げます。

 

 赤い蓋の横にあるエアインテークのようなパーツを二段階で動かし、蓋を抑えるようにします。

 非常に細かく忘れてしまいがちな可動箇所ですが、実はこれグレート合体時に大きな意味が生じる、とんでもない“工夫ポイント”だったりします。
 詳しくは後述。

 

 引き上げたパーツをそのまま180度展開して、本体前部に接続します(赤い蓋を塞ぐように)。

 

 本体裏側、青いパーツの一部分が開く構造になっているので、これを機首方向に折り畳みます。

 一見意味がなさそうな構造ですが、これも後に驚かされるポイントです。

 

 主翼と垂直尾翼を折り畳みます。

 

 ここまでの状態。
 この後、ガニマタ状態を整えて脚をまっすぐにします。

 

 脚をまっすぐにした後、太腿のロールを内側に向けて動かし、角張った部分を正面にします。
 この時、膝も外側に向いてしまうので、それも一緒に調整します。

 

 つま先が前後に移動可能なので、もし下がっている場合は前に引き出しておきます。

 

 閉じられていた腕を左右に開き、基部を内側にスライドさせます。

 

 脇腹にある青色のブロック状パーツを、上に移動させます。

 

 先程移動させた青いパーツを、後方に折り畳んでジョイントに嵌め込みます。

 ここは先程、別なパーツを移動させて空いた穴を再度塞いだ形になるわけですが、これにより本体前部と後部をロックする効果を発揮します。

 非常に良く考えられた構造ですが、実はこれ、後でまた別な使い方をすることになります。

 

 腕を正位置に移動させます。

 

 ここまでの状態。
 この後、肩と腕を変型させておきます。

 

 肩を上に向けて、両腕を引き伸ばします。
 二段階に伸びるようになっています。
 その後、胸の金色のプレートを左右に開きながら引き上げます。

 

 前腕に繋がっている黒いパーツ(ダイナバスター)を開き、その状態で前腕の先端部を90度回転させます。
 その後、蓋を開いて拳を中から引き出します。

 この時回転させる“前腕の回転部分”が、今回一番の話題となった部位となります。
 これについても後述します。

 

 ここで一旦、火鳥フィギュアに移ります。
 火鳥兄ちゃんを屈伸させて、この状態にします。

 

 火鳥兄ちゃんブロックを、胸の穴に嵌め込みます。
 尚、取り出す場合は上部にあるこの小さなスイッチを“弾き”ます。
 具体的には、顔側に向かって爪の先で「チョン!」と弾くように動かすと、火鳥兄ちゃんがすっ飛んでいきます。
 ビックリするくらい、結構スッ飛びます。
 その為、取扱説明書でも「プレートを指で押さえながら」取り出すようにするよう表記されています。

 

 変型完了、ファイバード。
 後述しますが、手首を形状重視の握り拳に変更しています。

 

「貴様! ドライアスの手先だな?!」

 右手のみ人差し指を伸ばした拳パーツが付属。
 変型後の決めポーズもこの通り再現可能です。

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■ファイバード:

 

 さて、ようやくファイバードです。
 全高20.1メートル、ジャンプ力250.9メートル。

 これまでのTHE合体シリーズの主役勇者ロボと比べると、物凄くマッシブな体格!
 これは変型仕立ての状態なので、手首もデフォルトになっています。

 

 全高約24.5センチ(頭頂部まで)/約27.5センチ(肩を真上に向けた場合)、最大幅約12.6センチ(肩を真上に向けた状態での肩幅)。

 

 ファイバードは他の勇者ロボと異なり、基本ロボのスタイルが合体後もほぼそのまま継承されるので、可動面などは後述の武装ファイバードも殆ど同じになります。

 

 両手を形状重視用の握り拳に交換した状態。

 

 股関節と膝、前腕先端部(ファイヤージェット変型時に動かす部分)がクリック関節になっていて、それ以外の部分はロール軸を含めて通常の可動となっています。

 

 ファイバード・フロントビュ―。

 

 サイドビュー。

 

 バックビュー。

 

 頭部アップ。
 見てよこのイケメン顔!
 もう完璧と言っても過言ではないような素敵フェイスです。
 尚、表情違いの交換顔パーツなどはありません。

 

 可動範囲について。
 まず肩ですが、横方向には目測おおよそ135度くらいまで上げられます。
 肘はなんと二重関節で、こちらもだいたい135度くらい曲げられます。

 

 変型構造の影響で、肩を前方に引き出すことが可能です。
 セブンチェンジャー程ではないですが、腕組みっぽくすることも一応出来そうです。
 尤も、ダイナバスターが邪魔であんまりそうは見えない気もするけど……

 

 手首の構造ですが、デフォルトの可動指手首は親指とその他の四本指が別個動かせます。
 また接続方法が変わっていて、ボールジョイントを横からスライドさせるように嵌め込む形式です。
 その為、軸に負荷を大きくかけることなく取り外しが出来るようになっています。

 

 どうでもいいことですが、サムズアップが出来ます。

 

 またこの手首の内側にある突起を利用することで、フレイムソードをしっかり持たせることが可能になります。
 ただし親指の付け根がボールジョイントになっているため、少々癖のある可動範囲となりますので、注意が必要です。

 

 THE合体の妙に広い脚部可動は今回も健在。
 両脚は前後に180度まで展開出来ます。

 

 横方向への展開はここまで可能。

 

 股関節付近のロール軸は妙に回転幅が大きく、ここまで回すことが出来ちゃいます。

 

 膝関節も90度以上曲がり、膝立ちも出来ます。
 ……が、例のごとく微調整が非常にめんどくさいので、気軽に行えるということはないです(しょっちゅう倒れます)。
 この画像のポーズで自立させるまでに、結構な時間を費やしました。

 

 足首は横幅に結構広く可動するので、大きく脚を開いた際の接地性は非常に高いです。
 またクリック関節でもないので、微調整も可能。

 ……なのはいいのですが、今回何故か前後方向には 一 切 動 か せ ま せ ん 。
 その為、真っすぐ立たせても何処か俯いているような姿勢になったり、今一つ踏ん張りが利かなかったりします。
 実際、今回の撮影の際も結構苦労させられました。

 もしかしたらグレート合体時のゲタ履きの際に必要な処置だったのかもしれないですが、ここは非常に残念なポイントですね。

 

 交換手首は、手を開いた物もあります。
 しかし今回、何故か手首の交換がきっついので付け替えが大変です。
 手首の穴がボールジョイントの径に対して少々小さめなので、正直冬場はあまり気軽には交換出来ません。
 取扱説明書にも、困難な場合は温めたりしてしてくださいという表記があります。

 

 その他のポイントとしては、
・首が若干引き伸ばせる
・腰可動がない
・スカートの前部・左右が展開可能
・膝アーマーの可動は結構緩い(ただしダレたりはしない程度)
 などがあります。

 

 以上、ファイバードでした。

 次のページからは、いよいよ武装合体です。

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