第163回 ■ グッドスマイルカンパニー「THE合体 セブンチェンジャー」01
2024年11月16日 更新
それなりに古くから玩具収集をされている方なら周知の話ですが。
「トランスフォーマーシリーズ」には、多段変型するものがいくつかありました。
トリプルチェンジャー、シックスチェンジャー、シックスショット、グレートショット等が代表的なもので、これらはいずれも「一体で複数の形態に変型する」という特徴を持っています。
そして勇者シリーズにも「シャドウ丸(勇者警察ジェイデッカー)」のように六段変型するロボがありましたが、これまた玩具収集家の皆さんはご存じの通り、こちらの玩具はトランスフォーマー「シックスショット」のリレコ品。
元々TF製品のリデコロボがいくつか含まれる勇者シリーズではありましたが、その中で唯一、完全オリジナルの多段変型ロボがおりました。
それが、今回レビューするこの「セブンチェンジャー」です。
その名の通り七つの形態に変型するという、他を寄せ付けないギミックの集合体!
他の多くの勇者ロボを差し置いて早々の登場なわけですから、そりゃあ驚くっってもんです。
というわけで、2024年時点で最新のTHE合体勇者ロボのレビュー、参りたいと思います。
「THE合体」なのに合体は一切しない! とかいう野暮なツッコミは置いといて。
●THE合体 セブンチェンジャー
メーカー:グッドスマイルカンパニー
配送日:2024年9月25日(出荷日:9月24日)
受注期間:2023年11月21日〜2024年3月27日
価格:29,000円 (税込)
※グッドスマイルカンパニーオンラインショップ限定販売
「プロの闘い方を、よく見ておくことだ」
セブンチェンジャー。
「伝説の勇者ダ・ガーン」15話「サーカスの秘密」より登場するロボット。
ダ・ガーン他地球の勇者ロボ同様、自意識を持ち独自で行動する事が可能で、ダ・ガーン達の敵であるオーボス軍に味方する傭兵。
その名の示す通り七つの形態に変型する能力を持ち、他のロボとの合体はしないものの非常に多彩かつ強力な戦闘能力を持つ。
幾度となく星史&ダ・ガーン達との戦闘を繰り広げるが、彼らの仲間であるスカイセイバーを倒したことがある。
変型以外にも非常に多彩な装備・武器を持ち、戦闘能力は突出して高い。
変型の詳細は、後述のレビュー内にて解説。
その素性・正体は長らく不明だったが、後にワイルダー星の勇者(異星の勇者ロボ)であった事が判明。
オーボス軍にかつて滅ぼされたワイルダー星の王子・ヤンチャーを保護しており、彼を隊長として従う存在であり、尚且つ復讐目的でオーボス軍に潜入していた。
しかし、後にオーボス軍幹部の一人・ビオレッツェに見抜かれてしまい、処刑寸前でダ・ガーン達地球の勇者ロボ達に助けられる。
以降は仲間となり地球と宇宙の存亡を賭けて共闘するも、幹部・レッドロンの駆る変型ロボ・レッドガイストとの対決で相射ちとなり爆散。
最後は勇者の石に戻ってしまうも、他の勇者ロボ同様ダ・ガーンGX(※グレートダ・ガーンGXではない)に取り込まれ、伝説の力を発動させる一端を担う。
作中では特異な設定ではあるものの勇者ロボの一体として描かれてはいるが、シリーズ全体を考慮した場合何故か勇者から除外されがちな存在。
体内に調理機を備え付けており、人が食べられる料理(ハンバーグ)を提供する事が出来るという、面白い一面を持つ。
尚、趣味は「変型」らしい(さもありなん)。
さて、セブンチェンジャーです。
ダガーン、ガ・オーン、マイトガイン系に続いて登場したのは、まさかの異星勇者ロボ!
これはかなり意外な展開で、92年当時発売された玩具「7段変形」版を知っていた人の注目を集めました。
しかも、ロボットモードのスタイルやディテールが異常な程優れており、あまりに凄いので「オイオイ、これ本当に七段変型すんの?」という不安を抱いた向きもあったとか?
まあ、結果的にそれは全くの杞憂だったんですけど。
本商品は、韓国の企業「GOD BRAVE STUDIO」による原型。
そして、本商品はその実力の高さを遺憾なく発揮しています。
ロボットモードの造形の高さのみならず、プロポーション、可動、ギミックの全てが驚く程の優秀さで、長年ロボット玩具に触れて来た筆者も相当衝撃を受けました。
何より、勇者ロボ的なポージングやアングルがバシバシ決まるのが素晴らしい!
またそれだけでなく、ストレスなく弄れる構造、殆ど問題が見当たらないパーツ強度など、玩具として最重要なポイントもしっかり押さえている所が本当に秀逸です。
後にまた詳しく触れますが、個人的には2024年のみならず、過去数年間の中でも最高傑作の一体ではないかと真剣に考えています。
セブンチェンジャーは、先の通り七種類の形態があります。
というわけで先が長いので、早速各形態について触れて行きたいと思います。
既に何枚か画像を上げているロボットモードは最後に改めて触れていきます。
■セブンチェンジャー変型:
各変型に触れる前に、「基本形態」への変型を行います。
これは必須というものではありませんが、各形態への繋ぎとなるもので、取扱い説明書上で触れられているものです。
まず、胸パーツを取り外します。
このパーツは様々な部位に接続されますが、以降本レビューでは一貫して「胸パーツ」と記述します。
背中のプレートを展開します。
首の根元部分のブロックを引き上げます。
これは背中側の突起部を引っ掛けて引き上げるとやりやすいです。
引き上げたブロックを一旦後方に傾け、前面の黒いプレートを開きます。
更にセブンチェンジャーの首を押し縮めます。
プレートには一応爪掛け部があるのですが、爪を切った直後だと若干開けにくくなります。
その際は、ブロックの内側の黒い部分を一旦後方に押してやると、開けやすくなります。
頭部を回転させ、開いたプレートの内側に収納します。
ここは非常にタイトで、角が端に引っ掛かりそうになりますので、塗装剥げが起こらないよう細心の注意を払う必要があります。
頭部を収納したら、蓋を閉じます。
先程展開した背中のプレートを戻します。
プレートの根元が二段関節になっているので調整が利き、ブロック部を伸ばした後でもきっちり閉じられるようになっています。
こういうマイナーな所にもしっかり神経が行き届いているところが、本商品の凄い所なんです。
足の内側に折り畳まれている凸ジョイントを引き上げておきます。
両脚を閉じて、先程引き上げたジョイントをしっかり差し込んで固定します。
手首のプレートを開き、手首を内側に回転収納させます。
肩アーマーを下げます。
腕を引き上げて縮め、上腕部を収納してしまいます。
肩アーマーの裏側下部に小さな突起があるのですが、これを肘辺りのキャタピラ部分にある凹ジョイントに差し込みます。
こうすると、前腕アーマーと肩アーマーが一体化します。
肩と腕を一体化させたら、腕全体を前方に回すように移動させます。
さて次に脚側面の緑色のボックス(以降グリーンボックスと仮称記述)なんですが……これがちょっと厄介です。
こちらは二つの軸で脚部と繋がっていて、「ジョイント根元」+「ボックス裏側」がそれぞれ独自可動出来ます。
これを利用して、ボックスを画像の位置に移動させるのですが、ぶっちゃけ説明書を読んでも今一つピンと来ません。
実際に手に取って動かしてみて、なんとなくわかってくるという感じです。
ちなみにここの関節部は、かなり大きなガチガチ音がします。
いや……ガチガチどころか「ガチン! ガチン! ガチン!」という感じで相当やかましいレベルですから、夜中にはあまり動かさない方がいいかもしれません。
アパートとかだど、マジで隣からクレーム入りかねません。
両脚を縮め、太腿を収納します。
この時、膝パーツがキャタピラに接触する形になります。
ここから、ちょっと複雑になります。
先程動かしたグリーンボックスを一旦上に引き上げ、脚の側面に収納されているプレートを展開します。
更に、先程動かした腕(肩)の根元の白いプレートを上に移動させます。
脚部から移動させたプレートを更に開き、上に拡げます。
グリーンボックスを元に戻します。
足首の踵に収納されている車輪を展開させます。
ちょっと回転させる向きに注意が必要です。
基本形態完成。
ここから色々な形態に変型させていく事になるのですが、実際は全ての形態の基礎になるわけではありません。
具体的には「ジェット」「潜水艦」「トレーラー」にしか応用出来ません。
この状態から、とりあえず「トレーラーモード」にして行きます。
最初に取り外した胸パーツの内側にあるジョイントを開きます。
尚、このジョイントは多用するんですが耐久性が非常に心配で、取扱いには細心の注意が必要と思われます。
先程完成させた基本形態の後部上方、具体的にはロボットモード脚部前面側にジョイントを差し込み固定します。
その後、赤いパーツを倒します。
これで「トレーラーモード」完成です。
■トレーラーモード:
セブンチェンジャー・トレーラーモード。
地上を移動する際のメイン形態。
登場頻度はそんなに高くなかった印象がありますが、ヤンチャーの普段の隠れ場所としても活用されている様で、運転席に座っている描写もありました。
個人的に筆者が一番好きな形態です。
全長約23センチ、全高約9センチ、最大幅約11.4センチ。
全十輪のタイヤは全てコロ走行が可能です。
当時品「7段変形」版では、胸パーツの接続位置が異なっていて側面のグリーンボックスの外側にくっつけていました。
今回の方が劇中準拠です。
当時品「7段変形」版は変型がかなり簡素なものになっており、各部位の形状が影響を受けています。
特に大きな差異はフェイス部分で、トレーラーヘッドの正面に大きな穴が空いていました。
その為、正直トレーラーっぽくない外観となっていました。
今回それがなくなったので、かなりイメージが向上しています。
トレーラーモードフロントビュ―。
バックビュー。
サイドビュー。
ロボットモードからの印象変化がハンパないです。
以上、トレーラーモードでした。
続けて、変型過程に触れながら次の形態を紹介します。
次の形態への変型開始です。
胸パーツを取り外します。
グリーンボックスを一旦上に移動させます。
先の行程を逆に辿り、側面の白いプレートを畳んで収納、肩の白いパーツも元に戻します。
更にグリーンボックスの位置も戻します。
足首を上にずらし、踵の車輪を収納します。
グリーンボックスを更に回転移動させ、画像の位置へずらします。
腕部分を下ろし、グリーンボックス部側面のプレートを倒します。
尚、このグリーンボックスのプレートですが一部に結構な負荷がかかるようで、あまり激しく動かすと基部が白化する現象が起きるそうです。
具体的には画像の黄色い四角部分で、筆者所有のものも若干その兆候が見えています。
これはかなり丁寧に、気を遣いながら動かしても発生してしまうようなので、扱いにはくれぐれも注意が必要です。
背面のプレートを一旦開いてトレーラーヘッドを収納し、再度プレートを閉じます。
上面に、胸プレートを接続します。
赤いパーツは開いておきます。
後部上面のパーツを引き上げます。
引き上げたパーツの内側から、砲塔をクルリと回して引き出します。
これで、タンクモード完成となります。
■戦車(タンク)モード:
セブンチェンジャー・戦車(タンク)モード。
地上を移動する際のもう一つの形態であり、同時に火力担当。
残念ながら登場頻度は多くなく、作中では少々持て余し気味な印象がありました。
しかしシルエットの変化は他に比べて非常に大きく、大変個性的です。
全長約19.8センチ、全高約8.4センチ(後部末端)、上の画像程度の砲塔アップ時の高さ最大約11.4センチ、最大幅約14.2センチ(胸パーツ末端)。
トレーラーモードと違い、コロ走行は不可能です。
砲塔は上下に可動。
ちなみに砲塔自体は、何故か引っこ抜くことが出来ます。
勿論、すぐに戻すことが可能ですが。
ちなみにこの砲塔、ロボットモードでも引き出すことが出来ます。
これは「チェンジャーベルファー」という武器ですが、作中でもたまに使用していました。
なお角度は画像のものが最大展開です。
タンクモード・フロントビュ―。
バックビュー。
サイドビュー。
以上、タンクモードでした。
続いて基本形態から更に変型プロセスに触れて行きます。
それでは一旦基本形態に戻して行きます。
まず本体をひっくり返します。
後部の足首からパーツを引き出します。
具体的には、尾翼とランディングギアを画像の通り引っ張り出します。
本体上部、中央辺りの部分を上から押します。
すると、艦橋パーツが立ち上がります。
艦橋パーツを180度回転させます。
艦橋パーツ側面のウィング型パーツを引き上げます。
トレーラーヘッド裏側の蓋を開け、内部から機首を引き出します。
機首を完全に出し切ったら、蓋を閉じます。
ブロックごと、機首を押し込みます。
胸パーツのジョイント、内側の小さいポッチ部分を接続に使用します。
本体側面上部に胸パーツを接続します。
これで「潜水艦モード」完成となります。
■潜水艦モード:
セブンチェンジャー・潜水艦モード。
水中及び宇宙空間移動用の形態。
全長約24.6センチ、全高約11センチ(尾翼末端)、最大幅約17センチ(胸パーツ末端)。
こちらは作中たった二回だけの登場で、しかも水中での使用はなかったのですが、潜水艦だけに耐圧・気密性能を活かしてか宇宙空間用として利用するのはなかなか良いアイデアだったと思います。
正直なところ、艦橋がなければ潜水艦にはとても思えない形態ですが、そこは熱い愛で補いましょう。
潜水艦モード・フロントビュ―。
バックビュー。
サイドビュー。
以上、潜水艦モードでした。
次の変型プロセスは、基本形態からではなく、この潜水艦モードから行って行きます。
しかし潜水艦以外の形態から変型させる場合は、基本形態から行った方がいいかもしれません。
それでは変型行程です。
まず胸パーツを取り外します。
艦橋を、先程と逆の行程で収納します。
グリーンボックスを引き上げます。
この場合、後部に若干の空間を空けて置く必要があります。
先の“空けた空間”から、安定翼を引き上げます。
引き上げた安定翼は、一旦尾翼と同じ位置まで上げておきます。
グリーンボックスを戻し、安定翼の位置を水平に調整します。
本体後部上面を左右に展開します。
展開した主翼の末端部に、胸パーツを接続します。
しかし、この接続が少々厄介で、ぶっちゃけかなりやり難いです。
下手するとジョイントを破損する可能性もあるので、取り外す際も含めて注意が必要です。
胸パーツ接続時は、主翼を開く前に予め接続しておくと若干やりやすくなります。
片方ずつ、このように接続してから開くようにして行きます。
主翼を左右に展開します。
更に主翼の先端部を展開します。
更に更に主翼全体を、前方にスライドしていきます。
潜水艦時に折り畳まれていた機首を引き上げ、一旦開いてから位置を調整し、機首上面が面一になるようにします。
これでジェットモード完成です。
■ジェットモード:
セブンチェンジャー・ジェット機モード。
空中戦でメインに使用していたためか、登場頻度が割と高かった印象が強いです。
なんと宇宙空間航行も可能。
チェンジャーラケーテンというミサイルを装備。
全長約26.5センチ、全高約11センチ(尾翼末端)、最大幅約25.8センチ(主翼末端)。
作中ではかなり無理のあるスマートな形態でしたが、立体化するとどうしてもずんぐりむっくりになってしまいます。
ですが、この形状じゃないとセブンチェンジャージェットじゃない! って気がしてしまうのは「7段変形」版に慣れ親しんだせいなのでしょうか……。
ともあれ、マイナーチェンジにも関わらず、潜水艦モードからかなり印象が変化しているのは凄い所。
「7段変形」版では、主翼が後ろ寄りになっていて、そちらの方が“らしい”感じがしてなりません。
ただこの形状だと、主翼の後ろが安定翼に接触してしまうという難点があるので、これも仕方ないのかもしれません。
ビークル形態はこれで最後の紹介となります。
驚くべきは、この機首内にセブンチェンジャーの頭部が収納されているということ。
頭部を収納したブロックが移動・変型して、三種類のビークルの機首になるという脅威。
これ、地味だけどかなり緻密な設計を行ってないと実践出来ないことですよね。
ホント、本商品ってこういう地味〜なところで凄いこと沢山やってるんです。
ジェットモード・フロントビュ―。
バックビュー。
主翼のせいでえらい横幅が広い!
サイドビュー。
以上、ジェットモードでした。
次ページからは、非ビークル形態への変型となります。