第97回 ■ バンダイ D-arts「アリサ・イリーニチナ・アミエーラ」
2013年5月19日 更新
毎年2月後半から5月前半は、とある方面での別活動が活発になるため、どうしても更新が滞ります。
そのせいで、一つ前の更新から随分とレビュー対象商品が溜まってしまいました。
これから急ピッチで一つずつ消化していこうと思いますが、今回は初めて扱うブランドの商品レビューを行ってみたいと思っています。
S.H.フィギュアーツから派生した「D-arts」20番目の商品にして、一気に完売御礼となった注目株・「ゴッドイーター」のアリサです。
本当は、SECRETの方で扱う予定だったんですが、商品カテゴリがどう考えても美少女フィギュアというより男玩寄りだったので、こちらに掲載しました。
■ D-arts アリサ・イリーニチナ・アミエーラ
2013年3月30日発売。
同時販売物は、「ミュウツー(ポケットモンスター)
2013年3月のラインナップは、以下の通り。
- 3/22(配送開始日)「オーバーナイトブレイザー(WILD ARMS2)」(魂ウェブ限定)
全高は約14.5センチ。
合計4種8個の手首付き。
交換用フェイスパーツ2種付属。
帽子付属。
可変式神機「アヴェンジャー」付属。
台座1点と支柱・アーム2組付属。
価格は税込4,725円。
アリサ・イリーニチナ・アミエーラ。
PSP用アクションゲーム「ゴッドイーター」の登場人物。
西暦2071年、あらゆる物を捕食する異形の怪物「荒神」によって、絶滅寸前の状態に追い詰められた人類は、生化学企業「フェンリル」が開発した「神機」と呼ばれる生体兵器と、それを操れる「ゴッドイーター」に望みを託すしかなかった。
ゴッドイーターが所属する組織「フェンリル」は、全世界に支部を持っているが、主人公の所属する極東支部に派遣されたロシア支部出身の少女が、アリサである。
新型のゴッドイーターで性格は非常に高飛車、序盤は周囲のあらゆるものを見下し軽蔑するような態度を取り、特に旧型に対する差別意識は非常に高かった。
両親の仇である荒神に対する憎悪は凄まじく、容赦ない殺戮まがいの攻撃を加えようとしていた。
やがて、様々なトラブルや緊急事態、多くの人々との触れ合いを経験し、主人公と心を通わせるようになったことで、人間的な成長を見せていくことになる。
続編でも様々な活躍を見せ、ラノベ『アリサ・イン・アンダーワールド』では主人公になった。
S.H.フィギュアーツが特撮やアニメキャラの商品化が中心であるのに対し、派生ブランドの「D-arts」は、ゲームやデジタルキャラクターなどのキャラクター商品化を行っています。
2010年11月20日、「ウォーグレイモン(デジタルモンスター)」から始まった本シリーズは、ロックマンシリーズやペルソナ、メダロット、ポケモンシリーズなどの人気キャラクターを商品化して来ましたが、その殆どが非人間型ばかりでした。
正確には、人間のような頭部と四肢を持つ直立姿勢型はあるのですが、はっきり人間だと断定できそうなキャラは、第18弾「テリー・ボガード(飢狼伝説/KOFシリーズ)」までありませんでした。
D-artsは、地味に人気があるもののフィギュアーツ等のような目立った需要はまだ確立しているとは言い難く、また世代をまたぐような人気キャラも殆どいないこともあり(せいぜいテリーくらい)、ごく限られた年齢層に向けた商品というイメージが強くありました。
今回のアリサも、これらの条件に当てはまるキャラではあるのですが、試作品の完成度が非常に高く注目を集めたこと、そして実際の商品も劣化が殆ど感じられないこと等が加わり、更に本来のキャラ人気もあって、D-arts初の発売後即完売+入手困難という事態を巻き起こしました。
もっとも、これは出荷数が少なかった可能性も考えられ、単純にバカ売れしたとは断定できませんが。
ともあれ、アリサはD-artsに新しい風を吹き込んだアイテムであることは確かで、今後の展開に期待したくなります。
てなわけで、アリサです。
正直、人間型可動フィギュアの出来については全くといって良いほど期待出来ないバンダイですが、今回はかなり頑張っている感じです。
たまらん的な不安要素も皆無で、殆ど文句なしですが、そこに加えて超大型の武器持ちという、そのテのマニアの琴線に触れまくる要素てんこ盛り。
これで需要が出ないわけがありますまい。
ちょっと前に「新素体導入!」と大々的に宣伝していたにも関わらず、目も当てられないほどアレな出来だったテリーとは、良い意味で比較になりません。
また、バンダイにしては本当に良く出来た顔(表情パーツ)のおかげで、非常にポージングが様になります。
ほのかなお色気もあって、満足度抜群です。
それでは、本体から触れて行きます。
まずは、前後比較。
サスペンダーは、この状態から形状変更できません(右側は垂れたまま)が、左右それぞれ軟質素材のため、殆ど動きに干渉しません。
全体のスタイルは、可動フィギュアとしてはかなり良好。
15歳にしては発達良すぎなバストと、すっきりしつつも肉感的な腹部の再現など、実に良いものです。
シリーズが違うので単純比較もなんですが、ヒールのせいで背が高いためか、S.H.フィギュアーツの仮面ライダー連中より背が高かったりします。
ただ、足首間接に固めなところとやわめなところが混在する上、足首自体の形状もあって、いささか自立させづらいです。
フィギュアーツのプリキュアシリーズ(除・無印とMH)を根性で自立させていた猛者なら、なんとかできるかもしれません。
D-artsにとって、帽子はイヤンな思い出を掻き立てる因縁のアイテムなんですが(詳しくはテリーボガードをお買い求めください)、今回はご安心、ちゃんと頭頂部が存在します。
というか、このサイズで帽子を差し替えなしで着脱可能という条件を満たしている割には、本当に素晴らしいバランスです。
頭部アップ。
まずは、正面向き顔。
ほんのり微笑んでる表情が可愛いですね。
前髪で目の端が隠れていますが、ちゃんと全部タンポ印刷で再現されてます。
顔部分については、造形・塗装共にfigma並のグレードを発揮しています。
凛々しい顔つき。
目線の向きが限定される割には、妙に汎用性の高い表情です。
パッケージ写真などでも多用されています。
怒り顔ないしは叫び顔。
良く見ると、歯まで再現されています。
これらの表情パーツは、前髪を取り外すことで簡単に交換可能です。
接続が硬いなどの問題はなく、スムーズに交換出来、しかもポロリもありません。
あ゛ー、フィギュアーツの「フレッシュプリキュア!」の時もこうだったらなー!
上半身は、ベストの下の隙間からアンダーバストが覗くという、えっちぃ仕様。
とはいえ、そこまで作りこんでいるわけではないので、期待し過ぎはよくありません。
バストと腹部の段差部分が関節になっていて、ここでかなり大きく動かせます。
ともすれば、人間ではありえない位置まで乳をスライドさせることなんかも……
アリサののけぞり可動範囲は、ちょっと凄いレベルです。
股関節は動かさなくても、腰・胸部だけで普通にこれくらい曲がります。
前のめりはこれくらい。
この画像では、若干股関節が前に可動していますが。
この状態で見る背中は、ちょっとエロいです。
体の横捻りも、かなりの範囲まで可能。
この動きは、殆ど胸部関節のみで行っています。
ただし、左のサスペンダーが伸びるので、正直この動作はあまりオススメしません。
サスペンダーを装着したままで腰関節も動員して捻ると、だいたい270度くらいまで回せますが、それ以上やると間違いなく紐が切れます。
腕は、ほぼ真上に持っていけます。
若干肩をすぼめる動きも可能。
肩の根元で、多少の上下左右スイングが出来ます。
フィギュアーツの昭和ライダーや戦隊ヒーロー系で不評な「上腕ロールなし構造」。
このアリサもそうなんですが、上腕を肩ジョイントに差し込む構造なので、腕回転は可能になっています。
画像は、上腕だけを動かして回転可動範囲を比較したもの。
左から右くらいまで、肘や前腕を回転させられます。
今度は、正面から。
それぞれ、内側と外側に回しています。
右肩を見れば、だいたいどれくらい動くかがわかるかと思います。
書き忘れてましたが、右手首のブレス(神機のハーネス)は一体化していないため、位置移動や回転が可能です。
手首を取り外す時に除去も出来ます。
脚部。
どうしようもないことなんですが、ブーツの形状のせいで両脚がこれ以上閉じられません。
ちなみに、太ももとブーツの境に回転ロールが仕込まれています。
脚部の可動範囲ですが、非常に良好に動いた上半身に対して、正直あまり良いとは言えません。
構造上はもっと動かせる筈なんですが、スカートパーツの素材の張力に負けるのでこれくらいしか前に出せません。
これが、ポージングの際に結構地味に響きます。
勿論後方にも動かせますが、目測45度強くらいが限界です。
その場合は、さほどスカートに干渉しないようです。
お約束のスカートの中身ですが、ぶっちゃけ可動に特化した構造なんで色っぽさは微塵もありません。
パンツ(腰)部分はスカートと一体式(正確には接着済み)です。
パンツ部分と脚付け根には、可動範囲を確保するためか大きな隙間が設けられています。
そのため、両脚と腰の一体感が皆無で、なかなか不気味な見た目になっています。
この辺りの構造は、モロにfigmaそのものなんですが、あちらは脚と腰の一体感を確保した上で可動範囲も広いので、どうせならそういう特徴も丸々頂いてしまえばよかったのに、とすら思わされます。
まぁ、スカートの中身なんかどうでもいいという人には、どうでもいい話なんですが。
下半身の可動制約は痛いものの、それでも表情付けはそれなりに可能なので、極端な開脚を要するアクション以外であれば、色々ポージングが楽しめそうです。
ブーツ部分は、(先にも触れた)太ももとの境界部分、膝、足首それぞれを横方向に回転させられるので、モデル立ちさせる際には非常に役立ちます。
要は、一部難はあるものの、全体的には割と良く動かせるということですね。
造形の良さも手伝って、これは高評価出来ると思います。
次は、神機「アヴェンジャー」。
新型の可変式神機で、アリサが使用するものは剣・銃・盾と3つの形態にモーフィンチェンジします(形態により名称も変化)。
ただ、立体として再現不可能ないわゆる「ゲッター変形」なので、今回は剣のみ。
全長は約19.9センチ、最大幅は約5.7センチ。
ABS製の単一部品で、一切ギミックはありません。
グリップ部分アップ。
生体部分と赤い装甲部分の組み合わせが面白いデザインです。
このガトリング砲部分は、銃モード「レイジングロア」の時に大型化する設定です。
グリップ部分反対側。
生体部品のコアが造形されています。
別角度で、全体像。
剣というよりは大型のアーミーナイフで、刃は先端部分のみです。
片刃に見えますが、実際は両刃です。
これは、刃を上向きにした状態。
反対向き。
先の角度に反して、こちら側は随分すっきりしています。
グリップ側から。
持ち手は細いプラ製なので、いささか強度が心配。
まぁ、剣部分の重量でへし折れることはないと思いますが。
半球状の部分(プリムストーン)の断面部分も、しっかりモールドが掘られています。
このように、かなり細かいところまで手が加えられているので、全体的に高い質感と重量感を覚えます。
ただ、何故か生体部分がツヤツヤ仕様なのが、個人的に好きくないです。
アリサとの組み合わせ。
神機がこういう形状なので、普通に持たせて姿勢保持するのはかなり厳しいです。
付属する魂STAGEを使えばいいだけなんですが、スタンドを使いたくない場合はどうしても姿勢が限定されてしまいがち。
まぁ、これは元デザインの問題(というか特性)なんで、決して商品が悪いわけじゃありませんが。
気を取り直して、適当にポージングなど。
原典再現なんか度外視して、まずは上段ジャンプ斬りとか。
この場合、剣は帽子で支えています。
意外になんとかなるもんです。
これだけ大きい神機の重さはどれくらい? と思って、実際に計ってみました。
結果、26グラム。
これは、「S.H.フィギュアーツ仮面ライダーフォーゼ・ベースステイツ」のほぼ半分くらいの重量。
見た目の印象に反して、思ったより軽めです。
ちなみに、アリサ本体はこれくらいの重さです。
だいたい1.5倍。
PVCの重さのせいかな?
ともあれ、38グラムの本体に26グラムの剣を持たせるのはなかなか酷な話で、しかもこんなに細腕&小さな手首ですから、そのまんまではあまりに不親切というもの。
その対策として、本商品は魂STAGEが付属しています。
これを活用すれば、でっかな剣もなんとか安心して飾れるというものです。
付属する魂STAGE。
これは、要するに「土台1つ」「支柱2本」「アーム2個」の組み合わせと言いたいだけで、必ずしもこういう形状にしなきゃならないというわけではありません。
アームは、一つが通常のもので、もう一つが「魂STAGE ACT-4」に付属した平型?アーム。
所謂、プリキュアーツを飾る際に腰を掴むのに最も適した奴です。
このページの画像では、従来のアームにアリサを、平型に剣を掴ませていますが、逆にしても充分利用できます。
むしろ、剣に平型だと掴める部位が限定されるので、あまりよろしくないかも。
4月下旬に配送された「S.H.フィギュアーツ宇宙刑事ギャバン」との比較。
たまたま傍にあったので並べたのですが。
ギャバンの大きさが、約14.1センチなので、こんな対比となります。
まさに、日本人男性とガイジン女性の背比べ状態。
「男なんだろう?」
いえ女です。
以上、D-artsアリサでした。
【買ってみて一言】
D-artsはこれが初購入だったんですが、正直なところ、予約受付段階では興味が全くありませんでした。
そのため、商品の仕様やディテール、造形なども全く見ておらず、なんとバンダイ製でということすら気付いておりませんでした。
というか、ぶっちゃけるとfigmaだとばかり思っていたわけです。
ところが、発売後にWEB上で詳しいスペックや評価を見るにつれてだんだん関心が芽生え、滅茶苦茶遅れて購入したというていたらくです。
まあ、決定的な購入ポイントは、アリサ自身ではなく「対比的に無理ありすぎな馬鹿デカい武器」だったんですが。
好きなんですよ、こういうのって。
それはともかく、ここまで何度も繰り返したように、本商品は実に完成度が高いです。
フィギュアーツ・ハナから始まったバンダイ可動美少女フィギュアとしては、現状最高峰かと思います。
プリキュアのフィギュアーツも年々完成度が高まってはいるんですが、体型がなんだかおかしかったり、おかしなところでストレスが溜まったりと相変わらず問題が多く、まだまだという感じなんですが、ここに来て一気にランクを高めた感じです。
惜しむらくは、その構造がfigmaに酷似し始め、非常にオリジナリティが薄まった点なんですが、ここを指して「オリジナリティ云々より造形やプレイバリュー重視」とするか「なんだかパクりっぽくて評価出来ない」とするかは、ユーザー次第なんじゃないかと考えます。
でもとにかく、安心して遊べる上に、動かせば動かすだけ味わいがあり、しかもちょっぴりエロ要素も加わった造形、更に顔のグレードが高いという売りポイントは確実なところなんで、不安を抱いてる人は心配せずにお手に取って頂きたいところです。
……と言いたいところなんですが、このアリサ、かなり品薄で現在入手が大変困難です。
発売前後の評判の高さから購入希望者が多発したのか、転売屋に目をつけられたのかわかりませんが、とにかく今後店頭で見かけたら相当ラッキーだと考えて間違いないでしょう。
実際、自分が発売後一週間くらい後に某所で発見した時は、売れ残り組の箱の一番奥に隠されたような状態で置かれていたくらいで、それ以外の場所では全く見かけられませんでした。
D-artsは、ここまで再販された例がないため、このアリサも今後再販されない可能性が非常に高いと思われます。
ですが、バージョン違い「D-Arts
アリサ・イリーニチナ・アミエーラ 神機銃形態(ガンフォーム)装備」の受注販売が決定しています(2013年10月発送予定)。
神機が銃モード(レイジングロア)になったもので、表情も本商品とは違うものが加えられているようです。
こちらもデカ過ぎる武器装備が光っていて、実にいい味が出ています。
今回見逃してしまって、何としても入手したいと思う方は、是非チェックして頂きたいところです。