『仮面ライダークウガ』
EPISODE49(最終回)雄介
(Story)
0号(ン・ダグバ・ゼバ)の死から3ヶ月が過ぎ、警視庁は未確認生命体関連事件が終結したと判断して合同捜査本部を解散し、一条は長野県警に戻ることになった。
捜査本部室の片付けをしていた一条・杉田・桜井・望見は、もし雄介以外の人間がクウガになっていたら、果たして最後まで戦え抜けただろうかと考える。
そこにやってきた松倉本部長は、雄介だけでなく、一条達もよく頑張ったとねぎらった。
ポレポレでは、クウガエプロンをしたおやっさんが、4号関連の記事のスクラップブックを完成させ、実加の高校合格の挨拶状に返事を書いていた。
そこに、奈々がオーディション合格の通知を持って現れた。
やってきたジャンと神崎先生を交えて、4人は雄介の思い出話に花を咲かせる。
一条は、長野に帰る前に世話になった人達に挨拶回りをしていた。
榎田親子、椿、みのり、桜子の元を次々と訪れる一条。
榎田は、親子の時間を頑張って作っていた。
椿は、
変身した当初
金の力が発現した頃
黒の金のクウガになった後
ダグバに破れた直後
最後の挨拶に行った時
の5枚のレントゲン写真を見ながら、凄まじき戦士になった雄介の身体がどれ程変わったかを心配しつつ、雄介と出会ったことで蝶野が前向きに生きることを覚えたと喜んでいた。
みのりは、雄介は暫く帰ってこない気がすると言い、「4号どこ行っちゃったの?」と尋ねる広之に、「4号なんかいなくてもいい世の中が1番いいと思うんだ」と答えていた。
最後に訪れた城南大学で、一条は桜子から、ゴウラムにはクウガが凄まじき戦士になると、その力を悪用されないように崩れて砂になるような措置が施されていたことを聞かされた。
しかし、まだゴウラムは科警研にちゃんと残っている。
ということは、雄介は身体は黒の4本角になったが、心は雄介のままだったはずだ、と桜子は言う。
一条も、4本角のクウガの目が赤いままだったことを思い出す。
あれは、雄介の心が残っている証だったのだ。
雄介は伝説を塗り替え、憎しみの心ではなく「みんなの笑顔を守りたい」という優しい心で凄まじき戦士になったのだと。
五代君、絶対笑顔を取り戻して帰って来ますよね
という桜子の問い掛けに、一条は
五代は信じていますからね。世界中のみんなの笑顔を
と答えた。
その頃、雄介は、どこか海外(南米大陸辺りだろう)の海岸で、子供達にジャグリングを披露した後、またいずこかへ向かっていた。
その瞳は青空を見上げていた。
(傾向と対策)
『仮面ライダークウガ』という異色なヒーロー番組の最後は、やはり異色作の名にふさわしく、一切特撮シーンのない普通のドラマ仕立てだった。
そしていつものリント文字の注意書きもなく、OP前にサブタイトルを出し、中CMなし、EDには全怪人の人間体クレジット付き、しかもED後のCMでは
五代雄介、一条薫をいつまでも忘れないでね。
一年間応援ありがとうございました。
と字幕で挨拶が入るという、極め付きの異色仕立てだった。
鷹羽の予想では、『勇者指令ダグオン』の最終回パターンだったんだけど、帰ってこなかったね。
巷では『超人戦隊ジェットマン』の最終回Bパート的な展開になるんじゃないかと思っている人もいたようだけど。
『無敵ロボ トライダーG7』の最終回にはならないだろうと思ってたけど。
ま、良質な後日談だったと思う。
雄介があっさり生きていたことについては賛否両論あるだろうが、鷹羽的には、やはり生きていてくれて良かったと思う。
ま、番組途中で挿入された雄介の足とか荷物は余計だったと思うけど。
実は、画面をよく見ていると、雄介が生きているに違いないってのは判ってることなのよ。
番組冒頭で一条が見ていた未確認生命体関連の資料は、2月に入ってから作られた物らしく、ダグバの死についてはっきりと書かれている。
そこには第0号について
平成13年1月30日、4号の殴打による腹部神経断裂により死亡
(死亡推定時間1月30日午前7時〜午前8時)
という意味のことがはっきりと書かれている。
つまり、ダグバの死体は回収され、解剖されているのだ。
ということは、死体が回収されなかったクウガは生きているはずで、警察関係者全員が「五代雄介が生きている」と確信しているのは、こういう事情があるからだ。
ちなみに、4号については
未確認生命体第4号(及びその別形態である第2号)はその他の未確認生命体とは別種の存在と判断、事件捜査の対象から除外された。
という内容が書いてある。
その後は読めなかったのだが、要するに“まだ生きているが、危険性がないから取り敢えず放置する”というのが警察側の公式見解だったようだ。
勿論ここに『正体が五代雄介である』旨が書かれるはずがないので、行方不明のままで終わるんだろう。
おやっさんのスクラップブックの新聞記事には、
未確認事件解決
警視庁 第0号の死を確認
四号 戦いに終止符
と、また別の記事で
第4号、第0号を倒す
という見出しが付いていた。
このことからも、公式見解では“4号は0号を倒した後姿を消した”という扱いになっていることが判る。
そんなわけで、雄介は生きていたのだ。
EPISODE40『衝動』の時にも書いたことだが、雄介は凄まじき戦士になりきってはいない。
あの時の仮説“ベルトが黒くて目が赤いクウガっていうのは、まだ黒に染まりきっていない状態、つまり『聖なる泉』が涸れ果てていない状態なのではないだろうか”というのは当たっていたらしい。
その傍証として出てくるのが、ゴウラムに書かれていた
心清き戦士の泉涸れ果てし時 我 崩れ去らん
という文字だろう。
雄介は『聖なる泉』を涸れ果てさせなかったのだ。
桜子の言った
頑張ればどんな願いも叶えられる
と、雄介の父の
いつかみんなが笑顔になる日のために
という言葉は、『クウガ』という番組から視聴者へのメッセージだろう。
そして、榎田の前で遊ぶ冴のサムズアップ(榎田が教えたんだろうな、きっと)や、実加の笑顔も雄介が1年間自分を犠牲にして戦い続けた成果なのだ。
そういや、ジャンも榎田親子と一緒にディズニーランドに行けるようになったみたいだね。
そんな中でも一番大きいのが、蝶野の『お節介な椿氏へ』という手紙だろう。
鷹羽のテレビでは、全文は読み取れなかったのだけど、そこには
五代が言っていたように、どうせ生きていくなら、楽しく生きてみようという気になりました。
と書かれている。
五代と出会ったことで、確かに蝶野は変わることができた。
『クウガ』を見た人の中に、こんな想いが生まれたらいい、というスタッフからのメッセージだと思う。
では、どうして一条は挨拶に行った先々で1人暗い顔をしていたのか?
どうして桜子の前でだけ明るい答えを返したのか?
その答えは、多分こうだろう。
雄介は、みんなの笑顔のために、敢えて拳を振るい続けてきた。
そのために心に大きな傷を負い、それを癒すために青空と誰かの笑顔を求めて旅をしている。
実際、EDで雄介は、寝ころんだまま右の拳を見つめている。
EPISODE2『変身』で、桜子から「五代君でも中途半端になることってあるんだ?」と言われて、「そりゃあ、あるさ」と答えた時と同様に、雄介は右の拳を見つめているのだ。
それほどまでに拳を振るうことを嫌っていたのだ。
一条には、雄介にそこまでさせてしまったのは、雄介を戦いに巻き込んでしまった自分だという想いがある。
こんな想いを抱いているが故に、一条は暗い顔をしているのだ。
みのりの「今度はしばらく帰ってこない気がする」、椿の「なぁ、五代は今笑顔でいると思うか?」という言葉に暗い顔をしているのは、そうさせたのが自分だという負い目があるからだ。
雄介はグロンギとの戦いという使命から解放された。
自分で選んだ道とは言え、やはり本当なら避けたかった道から。
歴代のライダー達の多くが“平和な世の中には自分は必要ないから”日本を離れたのに対し、雄介は“平和な世界に生きる個人に戻る”ためのリハビリの旅に出たのだ。
“戦う人”でなくなった雄介は、二度と戦わない決意を抱いて普通の生活を送ろうとしている。
世界中で色々な人の笑顔を見て心の傷を癒した後、再び日本に帰ってくるだろう。
2000+αの技を持つ冒険野郎として。
映画化でその平穏が破られないことを祈る。
いや、映画化されるのはいいんだけど、後日談でもう1度変身して欲しくないなぁ、とまぁそういうことなんだけど。
さて、おやっさんの本名が出ましたね。
飾 玉三郎(かざり・たまさぶろう)
だそうですが。
「玉三郎さ〜ん」ってやってる時に、本名を知ってる奈々だけが「何やっとんねん?」って顔で見てるのが楽しい。
う〜ん、9のつく名前だと思ってたんだけどなぁ。
雄介の回りの人達は、奇数の数字が入った名前で統一されている。
一条、五代、奈々という具合だ。
鷹羽は、3は沢渡桜子で「さ」に引っ掛けていると思ってたんだよね。
木に引っ掛けての「桜」なら、桜井刑事がいるし、桜子が3だと思ってたんだけどなぁ。残念、外れてしまった。
さて、主に本編と関係ない部分ばかり取り上げてきた『今回の見所』だが、今回の見所は、『撮影協力:キューバ大使館』だろう。
最後の子供達の絡みだと思うのだが、どうしてキューバなのか?
EPISODE13『不審』で、雄介が奈々に「クウガ」と言った時、
奈々「バレーとか強い、あの?」
雄介「…それは、キューバ」
という会話があったが、その関連だと思うのだが。
んで、最後の見所は、おやっさんの書いてた実加への手紙の中に出てきたポレポレの新メニューだね。
その名も『ひょうたん島カレー』! ご飯をひょうたん型に盛っているだけらしい。
最後までやってくれるね、おやっさん!