『仮面ライダークウガ』
EPISODE50 乙彼
(予告)
一条「東京に未確認が300体!?」
椿 「そんな馬鹿な。全ては終わったはずじゃないのか」
みのり「私、これは嘘予告だと思うんです。鈴村さんの得意技の」
桜子「だとしたら、サブタイトルにホントの意味が…」
ダグバ「フフフ…」
雄介「一条さん!」
一条「五代見てろ! この後すぐに謎を解く2つの文字が出る!」
『乙彼』
(Story)
番外編…と言うより楽屋オチ。
海外にいる雄介、長野県警に戻った一条の元に新しい台本が届いた。
早速一条と合流した雄介だったが、いつもと違い、監督の名前が出てこないことに気付く。
実は、様々な監督の特徴的な映像で作られているのだった。
突然現れた第22号(ズ・ザイン・ダ:サイ種怪人)人間体を桜子が倒した後、演出が徹夜の多い鈴村監督に移り、今のうちにと寄り添って眠ろうとする雄介と一条。
雄介は一条に
これでホントのホントのホントに終わりですね
と言うが、その目の前に0号(ン・ダグバ・ゼバ)人間体が現れ
そうでもないよ
まだ終わらせないよ。この人は…
と笑う。
その手には、高寺プロデューサーの写真があった。
雄介と一条は顔を見合わせ
一条「ということは…劇場版があるってことか!?」
雄介「『お疲れ』のはずなのに、まだまだ頑張れってことですね?」
と驚く。
画面には、『というわけで…』の字幕の後、いつものリント文字で
つづく
の表示が。
(傾向と対策)
あらすじを書こうとすると馬鹿馬鹿しくなるくらい内容がない。
まぁ、完成パーティー用の楽屋オチものなのだから、内容を求めようというのが間違いなのだが。
そういうものだと割り切り、頭を空っぽにして見ている分には笑える。
特に、1人だけ20倍スロー再生になって走ってくるみのり(結局到着しない)は、もう笑うしかない。
デジカメで撮影した画像だが、いつもと同様に16:9の画面構成で作り、『テレビを見るときは…』の注意書きがリント文字で入り、アバンタイトルの後でOPという、テレビ版と同じ構成になっている。
もっとも、イントロからいきなり終わり、番組タイトルの後ろの文字が、いつもの
a new HERO
a new LEGEND
から
時間がないので
カットしました
に変えられ、その後もわざわざ「ハイビジョン撮影」の代わりに「デジカメ撮影」の字幕まで入れている。
雄介達に送られてきた台本はアバンの位置だけが書かれているだけの白紙同然のものだが、『脚本がまた遅れた』という雄介らのセリフに
脚本:荒川稔久
の字幕が
すみません
に変わったりする。
この辺は、レギュラーの視聴者なら笑えるところではないだろうか。
ちなみに、OP冒頭に毎回チラッと入っていたその回の怪人の顔の部分には、高寺Pの顔が一瞬映っている。
基本的に『クウガ』の監督を務めた人達の特徴的な画面作りを極端にして見せることと裏話を元にしたネタで繋ぎ、劇場版への期待を煽って終わるという形だと言えば分かりやすいだろうか。
監督が変わるたびに『監督:石田秀範』『監督:渡辺勝也』『監督:長石多可男』『監督:金田治』『監督:鈴村展弘』の文字が浮かんでは消える。
この字幕は登場人物から見えるという設定になっていて、雄介が再三「ほら、やっぱり○○監督ですよ」と指さしている。
それぞれの特徴としては、極端な回り込みとロングショットの石田監督、超スローモーションの渡辺監督、強烈なコントラストを付け、ロケ場所に拘る長石監督、撮影しながら口で効果音を入れる金田監督、いつも撮影がオシてしまって徹夜ばかりの鈴村監督、という具合にしてある。
『クウガ』の内情にある程度詳しい人なら割と知っているネタ、特にHP上で公表されたような撮影裏話を絡めてネタにしているあたりは巧いと思う。
好例が
1 EPISODE12で使った校舎について
2 ザインの最期のセリフ
3 放っておくと27時間ぶっとおしになる
というところだろうか。
1は、長石監督がロケ場所に拘りまくるということをネタにしていて、長石監督担当パートで登場する橋の下での椿と雄介のセリフに出てくる。
そもそもこのシーン自体、長石監督が橋の下やガード下が好きということによっているのだが、椿の
本当なら撮影場所にも拘りたかったんだが、時間がないから仕方がない
という言葉に雄介が
EPISODE12で使った小学校も、拘っただけあって最高でしたもんね
と返すと、椿は
甘ちゃんなんだよ!
本当は北海道にもっと良い場所があったんだ! それを…それを…
と言って走り去ってしまう。
「甘ちゃんなんだよ!」のセリフは、元々劇中で椿が蝶野に言ったもの。
そして、EPISODE12『恩師』に出てくる立花小学校のシーンは、本当に廃校になった校舎を使っているというのがここでのネタだ。
雄介が言ったのはこの校舎がいい感じの場所だったということなのだが、実は長石監督的にはあれは次善の場所であって、最善ではなかったらしい。
北海道にもっと良い場所があったのに、確か撮影期間や交通費の関係で使えなかったと記憶している。
椿のセリフは、それを指しているのだ。
2は、唐突に現れたザイン人間体に対し、これまた唐突に現れた桜子が金の力のキックを放って倒したときのザインのセリフだ。
このとき字幕ありモードにしてあると、ザインが
村田さん、俺のファンだって言ってたのに!
と言いながら爆発していることが分かる。
桜子役の村田和美がプロレス好きなことは有名らしいが、ザインの人間体を演じていたのがプロレスラーのAKIRAで、撮影当時、村田氏はザインと共演させてほしいとねだってスタッフを困らせたのだそうだ。
番組が終了してようやく念願が叶ったというわけだ。
ちなみにザインのこのセリフ、少し意訳されている。
このセリフは
ガンムラタ ギデデ ダブゲビ ザデデ ゴセンザン
(さんむらた いって たくせに だって おれのファン)
であり、直訳すると
村田さん、俺のファンだって言ってたくせに
となる。
たった一文字多いだけなんだけど、字幕の文字数制限って厳しいのね。
3は、やおいなお姉ちゃん達に一条&雄介のカップリングを爆発させたことで有名なEPISODE2『変身』のラストシーン(この当時は鈴村助監督)の再現だ。
本当に毎回徹夜だったのかは知らないが、EPISODE30『応戦』の撮影は、本当に27時間ぶっとおしになってしまったそうだ。
まぁ、本編自体はあまり手掛けていない人だから、一番印象深いネタと徹夜が多いってのをひっかけてるんだろう。
それにしても、さすがに有志が集まって作っただけあってか、エンドロールは全て『友情○○』が並んでいる。
この手のものだと、よくあるのが友情出演というヤツで、実際わざわざ出演してくれたAKIRAは大したもんなのだが、この『乙彼』の場合、通常の役割にそのまんま「友情」の文字を冠しているだけなのだ。
『友情脚本』や『友情監督』はいいとして、『友情五代雄介:オダギリジョー』って何よ?