『仮面ライダークウガ』
EPISODE48 空我
(Story)
ポレポレに戻った雄介は、奈々とおやっさんに冒険に出ることを告げ、わかば保育園に向かった。
そこで園児とみのりに別れを告げた雄介は、最後に城南大学を訪ねて桜子にも別れを告げる。
全てを理解した上で雄介を送り出そうとする桜子。
そこに一条から、0号(ン・ダグバ・ゼバ)が長野に現れたとの通信が入る。
雄介は高速道路を疾走した。
そして、ようやく完成した『第0号検知システム』によって、0号が松本に向かったことを知る。
松本での殺戮現場に到着した雄介に、0号は
あそこで待ってるよ
思い出のあの場所で
と言い残して姿を消した。
雄介はトライチェイサーで駆け付けた一条と合流して、あの場所…つまり、全てが始まった九郎ケ岳に向かう。
九郎ケ岳に到着すると、雄介は一条に“ベルトの傷は治ってないから、もしもの時はそこを狙って欲しい”と言った。
「こんな寄り道はさせたくなかった
君には冒険だけしていて欲しかった
ここまで君を付き合わせてしまって…」
と詫びる一条に、雄介はにこやかに
「ありがとうございました。
俺、良かったと思ってます。だって、一条さんと会えたから」
と答える。
2人はサムズアップを交わした。
そして雄介は
「じゃあ、見ててください。俺の変身」
と言って遂に凄まじき戦士になり、0号の元へと向かう。
対峙するクウガと0号。
0号はクウガに
「なれたんだね。究極の力を持つ者に」
と微笑みかける。
2人の凄絶な殴り合いが始まった。
互いに相手のベルトを破壊し、人間の姿になってなお殴り合う2人。
そして、駆け付けた一条が見たものは、雪の上に倒れた2人の姿だった。
一条の絶叫が響く。
「五代ーーーっ!」
(傾向と対策)
今回は、前回挨拶していないおやっさん、奈々、みのり、園児達、そして桜子に別れを言って歩く姿がメインになっている。
それぞれの別れのシーンは実にいい。
おやっさん達には、別れ際にさらっと
「俺、クウガだから、今度こそ0号を倒したいんです」
と告げ、園児達には
「『どこまでもどこまでも青い空があるところ』に行く」
と告げる。
勿論、EPISODE10『熾烈』でみのりから貰った園児手作りのお守りも忘れない。
「この雨だって絶対やむよ
そしたら青空になる
今だって、この雨を降らせている雲の向こうには青空が広がってるんだ」
という言葉には、“どんなに苦しくても、きっとなんとかできる”という雄介の信念が込められている。
そして、別れを嫌がる園児に対し、みのりに「笑顔でバイバイしよ」と言わせることが、“1人になっても頑張って生きろよ”というメッセージなのだ。
それが判っているからこそ、雄介とみのりの目は潤んでいる。
そして、全てを理解している桜子は、だからこそ雄介を決して止められないことも熟知しており、雄介に
「でも…聖なる泉を涸れ果てさせちゃダメだよ。
それから、太陽を闇に葬ったりしないこと」
とだけ言って後は「いってらっしゃい。頑張ってね」と笑顔で送り出している。
涙を一杯に溜めたその笑顔は、最初から側で雄介の戦いを見守ってきた桜子ならではの素晴らしい笑顔だった。
最後につぶやいた一言、「窓の鍵は開けとくから」ってのがいいじゃない。
前にも書いたが、雄介が人の善意を平気で頼るのは、相手が桜子の時だけだ。
今回も、一条からの通信が入った時、「ちょっとごめん」の一言もなくバイクに駆け寄り、そのまま行ってしまった。
雄介には、それでも桜子は判ってくれるという甘えがある。
誰にも甘えることのない雄介が唯一甘える友人、それが桜子なのだ。
最後に挨拶する相手に桜子を選んでいるのは、そういう理由もあると思う。
そして、決戦の前の一条との語らい。
常に共に戦ってきた一条に、初めて自分の意志で変身した時と同じセリフで
「見ててください。俺の変身」
と静かに凄まじき戦士になる。
そして、少しだけ振り返って別れを告げ、一気にダグバの元へ。
もしもの時は自分を殺して欲しいなどと頼めるのは、多分一条だけだろう。
必要と感じれば自分の好悪でなく行動できる一条なら、きっと闇に染まった自分を撃てる。雄介はそう感じているのだ。
けど、ねぇ。どうしましょ? 最後の戦い。
ダグバが嬉しそうに殴り、雄介が嫌そうに殴っているのは、好対照でいいんだけど、“究極の力”を持った者同士の戦いがあれかい?
『北斗の拳』のケンシロウとラオウの戦いじゃないけど、極めた者同士の拮抗した戦いは結局子供の殴り合いに戻るってことなのかね?
最終決戦が今回で終わるとは思ってなかったからなぁ。
みんな怒ってるんだろうなぁ。
鷹羽は、まぁ、いいかって感じ。
今回はもうストーリーが全然戦いを向いてなかったから、をひをひって感じで。
次回は、きっと後日談を延々20分近くやるんだろう。
それで雄介が窓から帰ってくれば完璧だね。
もう1つの決着、一条とバルバは、背後から2発、振り向いたところを4発、(多分)強化型神経断裂弾を平然と放った一条に向かって
気に入った
お前とは、また会いたいものだ
と言い残して海に没した。
このセリフは、人間の姿をしたままのバルバを背後から撃った一条を気に入ったという趣旨なのだが、まぁ確かにEPISODE7『傷心』で杉田が「人間の格好をした奴らを俺達は撃てるのか?」と言っていたことから考えれば、非情に徹することのできる一条はグロンギに近いと見えるのかもしれない。
「リントも我々と等しくなったな」
「だがお前はリントを狩るためのリントの戦士のはずだ」
というバルバのセリフには、必要とあらば同族をも攻撃できる一条は立派な戦士だという意味が込められている。
EPISODE43『現実』で、一条が直接人体を狙ったわけではないにせよ人を撃ったということは、こういうことを意味しているのだ。
もしかしたら究極の闇とは、『リントが憎み合い殺し合う性質を持った世界』ということなのかもしれない。
ま、いずれにしても、あれでバルバが死んだとは思えないから、できれば次回再登場して欲しいものだ。
何しろ、貫通しちゃったら神経断裂弾は効果がないんだから。
あれは、体表面で連続爆発することで神経組織を破壊するものなんだからね。
0号のアフロヘアの秘密が明かされなかったのは、実はバルバの怪人体がアフロヘアで、本当の0号はバルバだったってオチを期待したいけど、クウガのベルトが壊れたんだから、そんなことはできないだろうな。
謎を残すのかなぁ?
ところで、一条がトライチェイサーに乗って現れたお陰で、トライチェイサー・ビートチェイサーの揃い踏みができたわけだけど、やっぱ最高速が300km/hだったから、一刻も早く移動するために乗ってきたのかな。
意外に2台のカウルの高さが違うんで驚いた。
ま、あれでないと雪の九郎ケ岳には登れなかっただろうから、結果オーライだったわけだけど。
でも一条君、最後までトライチェイサーで追っかけてれば、雄介と殴り合ってるダグバを見付けて狙撃一発で終わったんじゃなかろうか。
さて、今回の見所は、やっぱ雄介のくしゃみだろうね。
「もうすぐくしゃみするぞ」って予告しておいて、自分が先にくしゃみをしちゃう。
んで、時間差で雄介もくしゃみをするっていう、最近の重い雰囲気と違う軽い空気が心地よかった。
「やっとそういう(冒険に行こうって)感じになった」と言った雄介に向けたおやっさんの目の優しいこと。
いいなぁ。でも、本気で気付いてなかったのね、4号の正体。