第41回 ■ バンダイ 超合金魂「六神合体ゴッドマーズ」5

2008年10月12日 更新

●ディスプレイ:

 専用ディスプレイ台だが、今回はかなり異色な内容。

 

 まず、ガイヤー専用の明神礁石像。
 土台パーツに、石像前面・背面パーツを接続して再現。
 パックリ割れた中から、ガイヤーがテッテレー。

 …と言いたいところだが、実はちょっとイメージが違ったり。

 

 後述するもう一つのディスプレイ台の「支柱」を石像土台に移植し、それでガイヤーを押さえなければならない。
 さもないと、単なる空洞の中でガイヤーが振り回されて? しまうことに。

 大きさ的に腕ロボも入れられないかなと思ったけど、結果は「無理」だった。

 

 もう一つのディスプレイ台は、定番の差し替えパーツ保持目的のもの。
 なのだが、見ての通り、商品規模に反比例して異常にコンパクト。
 まさかこんなにちっこいとは! と思ったけど、よくよく考えりゃゴッドマーズはほとんどオプションがないんだもんね。
 これは当然の結果というべきか。

 

 ディスプレイ台の支柱は、先端部のジョイントパーツを差し替えることで

  • コスモクラッシャーの支持
  • ガイヤーの支持
  • マーズフラッシュの立てかけ

 …が可能になる。
 後の二つは同一パーツでOK。

 ただし、パーツ構成の都合上このどれか一つしか行えず、またコスモクラッシャー固定かマーズフラッシュ立てかけを行なってしまうと、今度は明神礁石像内にガイヤーを固定出来なくなる。
 また、先端部のジョイントも交換後は行き場がなくなってしまうため、魂シリーズでも珍しい「どこにも収まり場所がない部品」と化す。
 なんつーか、こうして見ると、所々で中途半端さが目立つような気がしてならない。
 もう一本支柱があるだけでも、かなり違うと思うけど。

 ちなみに余った支柱先端ジョイントは、明神礁石像の中に放り込んでおけば一応片づける事は可能。

 

 しかし悪い事ばかりではなく、この支柱は相当遊べる。
 ガイヤーや後述するコスモクラッシャーを自由な姿勢で飾れるというのは、ものすごくポイントが高い。
 となると当然、カエル飛びで飾りたくなるのが日本人の心意気というもの。

 

 マーズフラッシュ持ち用手首の固定位置。
 なんだか、すっごくやっつけ感を覚えるのは筆者だけ?

 さて、次は本商品もう一つの「主役」。
 本来はオマケの筈の、コスモクラッシャー。
 タケルが所属するコスモクラッシャー隊の主力戦闘機で、三体合体による構成だが、嬉しいことにこれをしっかり再現してくれているという優れもの。

 実はこれ、他の六神ロボに決して劣っていないほどの造り込み具合。
 恐らく人類史上最初で最後の立体化と思われるので、詳しくじっくり触れてみよう。

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●コスモクラッシャー:

 

 コスモクラッシャーとは、地球防衛軍所属コスモクラッシャー隊が駆る大型戦闘機兼移動指令基地。
 大気圏内の飛行だけではなく高い宇宙航行能力も持っており、冥王星まで単独で行き来する事も出来るという恐ろしい性能を発揮する。
 宇宙航行時は、別途宇宙管制センターのナビゲートを必要とする(10話ではそこをギシン星の刺客ヴァレンに突かれてえらい目に遭わされた)。
 ギシン星編終盤では、新開発されたワープを使用したとはいえ、ガイヤーらと共にギシン星まで行ってしまった。

 クラッシャー1号〜3号に分離可能で、基本は合体形態で発進・飛行移動。
 作戦及び戦闘内容・状況に応じて分離する。
 劇中では、単なる戦闘兵器としての活躍だけでなく、コスモクラッシャー隊メンバーの会話の場としても利用されており、実はかなり画面露出が多かった。
 コクピットにはメンバー全員の座席とコンソール類が配備されており、タケルの搭乗ポジションは左後方。
 オープニングでは、本体キャノピー左側後方の窓から顔が見える。

 ちなみに機体呼称だが、「コモクラッシャー」が正しく、「コモクラッシャー」は誤りである……という意見をよく見かけるが、劇中では「ズ」の呼称は一切なく、「ス」で統一されている。
 また、中には「部隊名称が“ス”で、機体名が“ズ”なのだ」という見解もあり、事実そのように記されている資料もあるらしいが、少なくとも本編を見る限りこの区別表現は見当たらず、機体名称もはっきり「ス」と何度も呼称されている。
 また本商品説明書内でも「ス」で記述されているため、以後本ページでも「ス」で統一表記する。
(恐らくだが、「ズ」は一部書籍上の誤表記が元で広まった情報なのではないかと筆者は考える)

 

 コスモクラッシャー全体。
 全長約12.3センチ、最大幅約11センチ。

 

 オマケの割には意外に大きくて、実はガイヤーよりも体積がある。
 細かいところが本編映像や設定と違うが、そんなの気にならないくらい巧くまとめられた造形。
 金属パーツは、ネジやシャフトを除けば未使用で、基本的にすべてABS製。

 合体状態で、下部にディスプレイ台のジョイントを接続可能。
 これにより、飛行状態で飾る事が出来るようになる。
 ただ残念ながら、ガイヤー用アームより可動数と長さが若干減少してしまう。
 それでも、充分ハッタリの利いたアングルで飾れるけど。

 

 きちんとランディングギアも装備。
 しかも、機首側はさりげに関節部が凝った構成になっている。
 残念ながら、このランディングギアは合体時のみ有効で、分離時には応用できない。

 

 機首部分。
 天面の四角いくぼみは出入り口で、劇中タケルはガイヤーからここを使って機内に戻ったりしていた。
 わざわざここまで再現しているなんて、本当に頭が下がる。

 

 1号機首部分の補助翼は、折りたたみ可能。
 また、劇中のパースが利いた絵のイメージに合わせ、機首先端部を若干下向きにすることが出来る。
 おおー、エンディングなどの画面イメージが見事に再現!

 ちなみにこの補助翼だが、実は形態に関係なく、出しても引っ込めてもスタイル的には間違いではない。
 合体時に閉じている事もあれば分離時に開いてる事もあり、またその逆もある。
 本編を見ている限り、大気圏内では補助翼を使用し、宇宙空間や他惑星上では閉じているようだが、バンクフィルム使用の都合なのか、大気圏内でも閉じている場合があったりする。
 エンディングでは、最初に補助翼を開いているコスモクラッシャー(バトルキャンプ上を飛行)があり、その後補助翼を閉じている様子(宇宙空間で戦闘)の両方が出てくるので、興味のある方は確認してみては。

 

 1号と2号分離状態。
 1号は両翼幅を縮め、ウイングを斜め上方向に傾ける。
 2号は機首接合後、先端部を畳みウイングの角度を適当に整えて完成(画像は先端部を移動中の状態)。

 クラッシャー1号。

 クラッシャー2号と3号。  3号がナナメなのは、本体下部にウイングがあるため。

 三機対比。
 1号全長は約10.7センチ(本体部のみ)、最大幅約9.5センチ。
 2号全長は約8.7センチ、最大幅約10.6センチ。
 3号全長は約2.4センチ、最大幅約2センチと、超マイクロサイズ。
 なくさないように注意しないと!

 

 本編だけ見ていると今ひとつ判り辛い合体構造だが、これでようやく理解できるようになった。
 1号の後ろ半分に、機首を分割した2号がおぶさる状態で合体しているわけだが、もっともわかりづらかったウイング構成は、各機のものがクロス状に重なっているというもの。
  2号の翼に設けられた隙間に、1号の翼を差し込むスタイル。

 

 変型の都合、1号の翼は横幅が変更できる仕様になっている。
 残念ながら、本編のように独立時の後退翼変型(というかいつのまにか変わっている)までは再現されていない。

 

 1号機体後部は、僅かに下に沈む構造で、ここに2号の本体が乗っかる。
 3号は、1号の底部ハッチ内に収納されている。
 両翼を上に向けた状態で、本体下部の尾翼?をハッチ隙間に挟めて固定。
 極小のため、3号にランディングギアの類はない。

 劇中の3号は、1号下部からアームで吊るされて発進するため若干シチュエーションが異なっているが、これくらいのアレンジは許容したいところ。
 これにダメ出ししたら、本体の六神ロボなんか目も当てられないし。

 

 二分割された2号の機首は、先端部を外側に回してノーズを縮めた後、やや斜めに傾けた状態で1号機首側面部の凸ジョイントにはめ込む(2号機首の裏側にある溝に差し込む)のだが、ここにちょっと面白い仕掛けがある。
 2号は、1号との合体時には左右の機首を結合させるジョイントが存在していないが、折りたたんでいた先端部を移動させると、これに連動して接合ジョイントが内側に露出する構造になっている。
 こういうほんのちょっと気が利いた仕掛けってのは、本当に楽しい。

 コスモクラッシャーは、恐らくだが多くのファンの期待を良い意味で裏切ってくれたアイテムだと思う。
 アレンジはあるものの違和感の少ない造型とギミック、機首折り曲げなどの「わかっている」演出など、本当に魂がこもっている。
 六神ロボのオマケに甘んじることなく、むしろ七つ目のメインとして立派に成立するほど作り込まれているので、これは素直に頭を下げたくなるほどだ。

 このコスモクラッシャー、本商品発売直後のオークションで(これだけで)5000円近い値段がついたことがあったが、それだけの魅力を見込まれている存在という事なのだろう。
 魂シリーズにオマケとして小メカが付いてくる事はよくあり、それもまたお楽しみの一つとなっているが、少なくともこの時点まででは、コスモクラッシャーが最高レベルだと言い切っても過言ではないだろう。
 欲を言えば、単独機時のランディングギア搭載や一部でもいいからダイキャストパーツを使用して欲しかったという希望も出てくるが、これは「満足度が大きいからこそ出てくるついでのお願い」みたいなものではないだろうか。
 とにかく、絶対に立体化などありえないだろうと思われていたものを、ここまでしっかり作り出してくれた魂開発スタッフには、最大の讃辞を送りたいと筆者は思う。

 以上で、すべてのレビュー完了。
 お疲れ様でした!

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【買ってみて一言】

 極力個人的な思い入れを抜きにして見ても、かなりの作り込みとこだわりを感じさせる仕上げになっていて、大変満足度が高いアイテムになっている。
 デザイン・形状に対する好みの差を別にすると、総合完成度はかなりのもの。
 旧版六神合体を持っているまたは弄った事のある人は、技術の進歩ぶりに驚くだろうし、初めて手にする人も、第一印象からはちょっと想像し難いギミックの量圧倒されるかも。
 とにかく、各ロボをただ手足に変型させてガシャンで終わらせていないという所が凄すぎる。
 魂イデオンやガンバスターのような、極端な形状・シルエットの変化は少なく、またバイカンフーやマジンガーシリーズ各種のようなオプションの充実ぶりもないが、それでも定価24150円が安く感じられるくらい、色々盛り込まれているというのは感嘆させられる。
 個人的には、ゴッドマーズを知らない人にも(買え! とは言わないけど)一度は手に取ってみて欲しいなと思う。

  

 話によると、この魂ゴッドマーズは開発に約三年の歳月が費やされたとのことだが、充分納得できる。
 82年当時、ゴッドマーズの洗礼を受けた者達にとって、この商品は待ちに待った一品だったわけだが、その26年分の想いに対して「バンダイがこれ以上ないくらいに返答してくれた」かのようにも感じる。
 …まあ、多少個人的な喜びも含まれている意見だけど、そう言いたくなるくらい、これは素晴らしいアイテムだということだ。

 勿論、細かな問題点も散見されるし、いくら構造上やむなしといえど中には充分な関節可動率を発揮出来ていないロボもあったり、また惜しいところで目立つ難点が表出してしまっている。
 また、先にも少し触れた通り、旧版六神合体のデザインラインをリスペクトしたのではと思われるデザイン形状も見取れ、それが劇中のイメージとのギャップを生み出している点は否定できない(旧世代玩具のデザインラインを否定する、若い玩具マニアも多いしね)。
 これが致命的なものかどうかは受け止めた人それぞれだと思うが、少なくとも筆者がもし点数を付けられるとしたら、かなり高いポイントを提示したい気持ちだ。

 どっちにしろ、六体のロボットがしっかり合体出来るだけでなくそれぞれがカッチリ動いてくれる上、耐久性も充分という、これだけの条件を満たしている「ゴッドマーズ」の玩具は、恐らく今後は出ないんじゃないかなと筆者は思っている。
 そういう意味でも、本商品は大変に嬉しく、ありがたいものだ。

 ――けど。
 コスト削減のためのサイズ縮小をしなかった場合の魂ゴッドマーズ完成版も、見てみたかったような気がするなあ(笑)。
 「魂ネイション」に飾られていたのは無着色の試作原型だったし。
 商品化が叶っていたら、いったいどんな迫力になってたんだろう。

  

 最後に。
 鷹羽飛鳥氏が、秘蔵の当時品・ガチャガチャの金属製ゴッドマーズの写真を送ってくれたので掲載。
 なかなか良い味わい(笑)。

 尚、今回撮影に使用した旧版DX超合金「六神合体」は、筆者の知人G氏よりお借りしました。
 協力ありがとー

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