第33回 ■ バンダイ 装着変身マニアックス誌上限定販売「装着変身オルタナティブ・ゼロ スペシャルパック」

2006年10月15日 更新

 やっと到着しました「誌上限定版オルタナティブ・ゼロ」。
 今回は、こちらのスペシャルパックをレビューしてみます。

 長かったねえ、約七ヶ月。
 その間、色々あったねえ。
 破損問題とか破損問題とか破損問題とか

●バンダイ 装着変身マニアックス(徳間書店刊)誌上限定販売
 「装着変身オルタナティブ・ゼロ スペシャルパック」
 定価3,400円(税込・本代及び各種手数料除く)

  • オルタナティブ・ゼロ素体フィギュア
  • オルタナティブ・ゼロ素体用眼鏡パーツ
  • オルタナティブ・ゼロ頭部(マスク)
  • スラッシュバイザー(右前腕)
  • オルタナティブ・ゼロ肩アーマー×2
  • オルタナティブ・ゼロ左前腕アーマー
  • オルタナティブ・ゼロ胸アーマー
  • オルタナティブ・ゼロ太腿アーマー×2
  • オルタナティブ・ゼロ脹脛アーマー×2
  • オルタナティブ・ゼロVバックル
  • スラッシュダガー(ソードベント装備)
  • 龍騎ブランク体・頭部(マスク)
  • ライドバイザー
  • ライドセイバー×1
  • ライドセイバー・折れ×1
  • 取扱説明書

 「装着変身オルタナティブ・ゼロ」は、徳間書店「ハイパーホビー3月号(2月1日発売)」誌上での限定販売の通常版と、ムック「装着変身マニアックス(4月3日発売)」誌上限定スペシャルパック版が存在。
 前者はゼロのみ、後者はさらに「仮面ライダー龍騎ブランクフォーム」の一部パーツが同梱。

 ハイパーホビー通常版の価格は2,900円(税込・本誌代&手数料別)で、申込締切は2月28日。
 ムックのスペシャルパック版は、価格3,400円(税込・本誌代&手数料別)で、申込締切は6月15日。

 2006年9月23日前後、ハイパーホビー版の配送開始&到着。
 同月27日、ムック版の配送開始&到着※。
 「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、15番目の商品。
 そして劇中に登場する通常ライダー及び擬似ライダーとしては、最後のリリースとなる。

※当初のアナウンスでは、商品配送は8月だった。
その後遅延を繰り返し、9月上旬から9月下旬になった。
9月後半、申込者各位には「配送遅延」の葉書が送付されたが、それからあまり間を置かずに商品が配送されてきた。
配送業者は、どちらも佐川急便。

●映像内のキャラクター

 オルタナティブ・ゼロは、2002年度放送「仮面ライダー龍騎」に登場したキャラクターだが、オルタナティブ同様仮面ライダーではない。
 便宜上「擬似ライダー(劇中呼称はナシ)」と呼ばれ、神崎士郎の野望を阻止するために、清明院大学の教授・香川英行が作り出したシステムのプロトタイプ。
 その大元の設計思想は神崎が作り出したライダーシステムに準拠しており、香川は、たまたま神崎が落とした関連資料をチラ見して、この概要を把握、自ら再現した。

 オルタナティブシリーズは二体存在し、他にも仲村創が変身する「オルタナティブ」がある。
 オルタナティブとの外観上の違いとして、額部分に「V」のマークが加わり、肩のパイプ状パーツの色が異なり、さらに脇腹から太腿側面にかけて、「PROTOTYPE-00」という文字入りの銀色ラインが入る。
 随分微妙な違いだが、これは撮影の都合上オルタナティブの着ぐるみを再利用しているためだ。
 その理由から、香川ゼロと仲村オルタナの揃い踏みは、撮影上ありえないことになる。

 オルタナティブはライダーシステムを流用しているものの、かなり異なる特徴を持っている。
 たとえば、Vバックルにカードデッキを差し込む向き・カードを抜く方向・バイザーへのベントインのスタイルが、神崎ライダーと正反対になっている。
 つまり、右側からカードを引き抜く各ライダーに対して、オルタナティブは左側から引き抜き、右前腕部に装備したスラッシュバイザーを利用する。
 神崎ライダーのバイザーは、一部例外あれどだいたいが左側でベントインするスタイルなので、動作まで完全に逆転しているのは面白い。
 また、オルタナティブのアドベントカードは神崎ライダーと異なり、「カード側面部のバーコードをバイザーに読み取らせる」という形式になっていて、しかも使用直後には青い炎になって燃え尽きる。
 加えて、バイザーの発する声も女性のものになっている。
 バーコードカードのスラッシュによるパワー発動は、翌々年の「仮面ライダー剣」のラウズシステムに通じるものがある。
 オルタナティブ・ゼロは、ソードベント(スラッシュダガー召喚)とアクセルベント(加速攻撃)を使用し、龍騎達ライダーを攻めた。

 さらにホイールベントで契約モンスター・サイコローグをバイク型(サイコローダー)に変型させ、ファイナルベント「デッドエンド(サイコローダーに乗ってぐるぐるやーぐるぐるにゃーする)」をぶちかます事も出来る。

 なお、設定上オルタナティブとゼロは、二人で一体のモンスターと契約しているらしい。

 オルタナティブとゼロは、TV本編にしか登場しておらず、劇場版およびスペシャルには出ていない。

 装着員・香川英行は、一度目にしたものを記憶する特殊能力を持っており、それを利用してオルタナティブシステムを開発したが、戦闘時でも「相手の攻撃を覚えて対応してしまう」という活用を行い、かなりの難敵になっていた。
 教え子の仲村・東條(仮面ライダータイガ)と力を合わせ、ミラーワールドを閉じるために神崎優衣の命を狙って暗躍した。
 目的はともかく、根は真っ当な善人で、「多くを助けるために1つを犠牲にできる勇気を持つ者が真の英雄」という信念の持ち主。
 神崎士郎が妻と子供を人質に取っても、なお戦う事を選んだほどだ。
 だがそんな姿勢は、「大切な者を(たとえ自分で殺したとしても)犠牲に出来るのが英雄」と考える東條には歪んで伝わり、結果的に殺意へと繋がる反感を呼ぶきっかけになってしまう。
 結局、香川の目的は「英雄願望」という名の不気味な妄想に取り憑かれた東條の暴走によって内部破綻を起こしてしまい、本人も、最期はタイガの「クリスタルブレイク」で不条理に殺された。

 ミラーワールドではない現実世界で、なぜか死体が霧散してしまったという変わった体質の持ち主でもあった(違)。

●セールスポイント

 まずは、オルタナティブ・ゼロから見て行こう。

 ゼロは、基本的には「装着変身オルタナティブ」のリデコ(後述)で、パッと見はほとんど区別がつかない。

 外観上の違いは、

  • 額に「V」のマークがある。
  • 両肩のパイプ状パーツの色が銀色になっている。
  • 身体の側面に銀色のラインが入っている。
    ※「PROTOTYPE-00」の文字はオミットされている。

という点。

 それ以外は、基本的に装着オルタナティブとほぼ同等。

 当然、可動・装甲形状も同じ。
 装着オルタナティブの長所・短所がそっくりそのまま当てはまる。
 ま、これは仕方ないよね。

 ただし、アドベントカードパーツとシールが付属していないため、単独では上の写真のような飾り方がまったくできない。
 (上の写真は、装着オルタナティブのものを流用して撮影)

 装着オルタナティブには、アドベントとソードベントのカードが不足している上、オリジナルアドベントカードシールが付属した「装着変身マニアックス」ですらオミットされたので、ここで同梱しなかったら意味がない筈なんだけど…。

 ご丁寧に、今回素体の顔は新規作り起こし。
 香川教授になんとなく似てる(あくまで、なんとなく)顔。
 しかも、ご丁寧にメガネ付き!

 もちろん、メガネは取り外し可能。
 ただしやったらと細い上に軽く、手に持たせるのも困難なので大変になくしやすい。
 取扱は厳重に。
 これって、なくしたら部品注文できるのかなあ?

 素体頭部の側面に凹があり、そこにメガネのアームにある凸をはめ込んで装着。
 固定力はなかなかのもので、この状態で勝手に外れる事はまずありえない。
 もちろん、メガネをかけたままでマスクパーツを被せる事が可能。

 せっかくなので、教え子の東條君と一緒に決めポーズを。

 お姫様抱っこって、なんか萌えるよね。

 もちろん、サイコローダーにも搭乗可能。
 とはいえ、オルタナティブの時とまったく同じ諸問題があるわけだけど。

 劇中ではこの組み合わせしかなかったので、ようやくしっくり来る組み合わせが実現した事になる。
 ああ、感無量。

 ――さて。

 ところでこのオルタナティブ・ゼロ、先程「リデコ」と表現したけど、「どうして? これはリペじゃないの?」と言う人が居るかもしれない。

 実はこれ、マスクパーツが新造品だったりする。

 うっそだぁ! と思うなかれ。
 以下でその検証をしてみよう。

 まずは、オルタナティブのマスクと並べて、裏側の形状比較。
 よく見ると、マスク内部の形状がまったく違う上に、マスク全体の輪郭形状も異なっているのがわかる。
 これ、決して角度のせいでそう見えるわけじゃないのよ。

 マスク前面パーツのみ、角度を変えて撮影。

 内部面だけでなく、顎周辺の形状もまったく違っている事がわかる。
 というか、こうして見るとまったくの別物!

 恐らく、もっとも違いがわかりやすいだろうと思われる側面部。
 各部の矢印は、目立つ相違点。

 ひっくり返しているのは、両方とも「ツノを同じ平面に接地させて撮影」したため。
 これで、ツノの長さ及び形状の違いがわかると思う。

 こうしてみると、ツノもゴーグルもアゴの大きさもディテールも、何もかもがまったくの別物だとすぐにわかる。
 当初は、オルタナティブの頭部パーツを基本形にディテール調整をしたのかとも思ったが、それにしてはあまりにも違いすぎる形状箇所が多い。
 というわけで、ここまで来たら完全新造形だと言い切っても問題ないだろう。

 で、マスク内側の形状が違うのは、ひょっとして香川のメガネが出っ張ってるために調整された結果なのかなと思ったんだけど…
 このように、ゼロとオルタナティブのマスクを交換しても、それぞれ問題なく装着出来てしまう。
 あれれ?

 しかし、「オルタナティブ前面+ゼロ後面」やその逆だと、写真のようにパーツが噛み合わず、装着不可能になる。
 ジョイントの位置がまったく合っていないためだ。
 もっとも、後面マスク自体それぞれまったくの別形状なので、そもそも装着できる筈なんかないんだけどね。

 と、とにかくこんな感じで、ものすごく気付きにくい所に新造パーツが使用されているため、リペ品ではなく「リデコ」品と表現させていただいた次第。

 なお、マスクが新造形になった事で、何か新しいメリットが生まれたか、と言われると……

 残念ながら、ほとんど変わりなし。
 首の可動時、襟に干渉するのは同じだし、また(素体の首が固いというのもあるけど)頭部を回しにくいという点もそのまま。
 つまり「別に無理に新造形にしにくても良かったのでは?」と思わされる改修に過ぎなかったという事。
 まー、じっくりと比較すれば、ものすごく微妙なところでブラッシュアップが計られているのかもしれないけど、まずほとんどの人が意識しないでしょ。

 でも、個人的には、こういうマイナーな所に手を入れる根性は評価したいかなと。
 その方が、新しい品物を買った気分にさせられるし。

 まず前提として。
 これは完全なファンアイテムなので、「装着オルタナティブと比べて変化がない」というのは、マイナスにはならないだろう。
 「装甲パーツの外れやすさ」「各部リベット状モールドの塗装オミット」「単独のプレイバリューの乏しさ」というマイナス面もそのまま継承されているが、これも仕方ない。
 これは、過去発売された「R&M版未発売ライダーの商品化」以上に、出た事そのものを喜ぶべきアイテムなわけだ。
 その辺の割り切りが出来るかどうかで、この商品への評価は変わってくるだろう。

 ただ、正直に言うと。
 素体頭部の形状などどうでもいいという人にとっては、装着オルタナティブを自力でリペイントした方が、むしろ安上がりで満足度も高いかもしれない。
 この商品は、「商品に手を加えたくない/加えるだけの技術がない」という人や「(内容を問わず)コレクターアイテムとして保存したい」という人向けなのだろう。
 だから、いじってナンボという人には、あんまりオススメはできない。
 まして、最後にまとめているように「価格面」の難点もあるのだから(それに、今からではもう個人売買等でしか買えないし)。

 結局のところ、これは「色々な意味で割り切った人限定」なのだと思われる。
 そうでないと、とてもやってられないかもしれないね。

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●仮面ライダー龍騎 ブランクフォーム

 これは、ムック版「装着変身オルタナティブ・ゼロ スペシャルパック」内に同梱されているパーツと、その他の商品を組み合わせる事で完成するもの。
 単独商品では再現不可能。

 詳しくは後述するが、スペシャルパックには「ブランクマスク」「ライドバイザー」「ライドセイバー2種」のみが付属。
 オルタナティブ・ゼロ同様、アドベントカード関係のパーツやシールは一切付属していない。

 装着変身の龍騎ブランクフォーム。
 仮面ライダー龍騎の、未契約状態。
 仮面ライダークウガ・グローイングフォームと並ぶ、平成ライダー「最弱形態」シリーズ。

 当初は、まさかこんな形でお目見えになるとは思わなかったものだけど。
 「装着変身マニアックス」では、ページ内にブランクフォーム作成のためのリペ講座があり。
 本来なら、その作業を経て完成させるべきなんだろうけど…
 なんかね〜。
 一応、龍騎素体も一体確保はしてたんだけど、結局使わなかったり。

 購入前は、はっきり言ってどーでもいいと思っていたブランクパーツだけど、実際に装備させて完成させたら、これはこれでものすごくまとまったいい感じになってしまった。

 つか、これ単独商品にしてもいいんじゃない?
 その場合は2,100円だと困るけどさ。

 ものがブランクなので、かっこいいポージングとかとは本来無縁なんだけど、なんだか思わず決めてしまいたくなる魅力に溢れている。
 悪くないよ、これはマジで!
 なんつーか、思わぬめっけもん?

 なお「ブランクフォーム」という名称は玩具独自のもので、劇中では「ブランク」、設定的には「ブランク体」という呼称が正しいらしい。
 この“フォーム”は、当然クウガやアギト等のフォームチェンジ呼称を継承したものだろう。

 龍騎ブランク全身像。
 頭部形状が龍騎通常体と異なっている事に注意。

 というか、今回のスペシャルパック付属物は、すべて新造形になっている。

 ライドバイザーとライドセイバー。
 当初は、てっきりR&M版ブランクフォームからの流用だと思われたが、なんとびっくり作り起こし。
 ライドバイザーはR&M版より厚みがなくなり大型化、ライドセイバーは刀身がえらく長くなった。
 劇中でも、こんなに長かったっけ?

 もはやお約束の「折れたーっ?!」版ライドセイバーも付属。
 もちろんこれも新造形。
 しかも、わざわざ断面部分にギザギザモールドが入っていて、いかにも「砕け折れた」感じになっている。
 無駄に凝ってて、なんだかすごく嬉しい。

 で、いくら「思わぬかっこ良さ」が感じられたとしても、所詮はブランク、所詮は城戸真司。
 だからこーいう虐待の図式が、一番似合ってるのかもしれない(嘘)。

 って、実は中の人は真司じゃなくて蓮(装着変身・仮面ライダーナイトの素体)なんだけどね。

 多少ボディカラーが明るくはなるけど、自力リペはしたくない&うまくやる自信がないとか、新品のような雰囲気(というか光沢とか)が欲しいという人には、一応オススメ。
 少なくとも、代用品としては充分すぎるだけの魅力が発揮されると思う。
 なお、この素体の頭部形状だと、マスクパーツをハメる時にちょっとだけコツが必要。

 ――しかし、よく考えると。

 元々持っているナイトをこれに使ってしまうと、ナイトと並べて飾る事が出来なかったりするわけで。

※2006.10.18追記

 そういえば、龍騎素体にマスクパーツをはめた事がなかったのを思い出して、装着させてみたら…

 首、埋まってしまいましたがな!

 ブランクのマスクは若干龍騎マスクより大きくて、素体の首の上の方まで包み込んでしまうようで。
 これじゃ、龍騎素体リペイントしても役に立たないなあ。

 というわけで、他の素体を流用するのが利口みたい。
 やっぱりナイトが一番お手軽でベストなのかなあ。
 今はもう、ほとんど売ってないけど…<この前探しに行った。

 これが、パーツの内訳。
 ここに加えて、素体(龍騎かナイト、リュウガのものいずれか)が必要になる。

 「とすると、ひょっとしてこれを揃えるために、えらい金がかかるんじゃね?」と思った人は正解。
 ちょっと計算してみよう。

  • 装着変身 仮面ライダー龍騎 \2,100
  • 装着変身 仮面ライダーリュウガ&ファムセット \4,200
  • 装着変身 オルタナティブ・ゼロSPパック \5,630※

※本誌&各種手数料すべてを含めた、本当の購入必要金額

 龍騎素体をそのまま使用したという前提にして、ここまでの総額はなんと11,930円!!
 しかも、もしナイトの素体に変更したいと考えたら、ここにさらに2,100円(装着変身・仮面ライダーナイトの代金)が加わり、総合計は14,030円まで跳ね上がる
 でも、すでにSPパックの販売は終了しているので、もしこれを個人売買や中古業者からプレ値付きで購入した場合は、さらに増額となる。

 一切のプレミア価値ナシの状態で、約12,000〜14,000円…
 なんちゅ〜高額商品!
 普通の装着変身の最大約7倍?!

 これはもう、「元々シリーズを集めていた人用のボーナスパーツ」と割り切るしかないだろう。
 せっかく新造形でいい作りなのに、もったいないけどなぁ… 

 一番痛いのは、未契約状態Vバックルがリュウガ&ファムセットからしか持ち出せないという事。
 わざわざそのためにこれを買うというのも……まあ、場所によっては叩き売りされてるけどさ。

 一番利口なのは、装着龍騎のVバックルの紋章をなんとかして剥がすか、または部品請求でこれだけ購入するか(出来るかどうかは未確認だけど)。
 もし、部品購入で龍騎アーマーやVバックルが別途購入できたら、金銭的負担は軽減できるかな?
(これを読んで、本気で注文してみようと思った方、くれぐれも申請・交渉は自己責任でお願いします)

 マスクと装備品だけなんで、これ自体の単独評価というのは難しいが。
 もし、龍騎ブランクフォームを作れるだけの物をすでに持っているなら、一度くらいは組み立ててみる価値があると思う。
 しかし、ライダーフルコンプリートを狙って全部を新規で揃えたいと願う人にとっては、正直あまりオススメできない。
 というより、コストが物の良さを上回ってしまうと思われるからだ。
 無論、その人が割り切ってしまえば問題は全くない訳だが…

 しかし、このパーツ構成。
 つくづく阿漕だなあと、感じさせられた。

 せめてVバックルが付属していれば、龍騎かナイトを単体購入するだけで(一応)決着するというのに、これではあまりにも不親切すぎるわけで。
 まさかとは思うけど、わざとこういう構成にして「リュウガ&ファムも買ってね〜。」としたかったんだろうか。
 だとしたら、随分と大胆な販促だけど。

 ――ううむ、どう結論付ければいいんだろう。
 とっても難しい。

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●パッケージ比較

 では次に、バッケージの比較を。

 まずは、スペシャルパック単体。

 一見オルタナティブの使いまわしに見えるけど、グラデーションの色が違ったり、撮影に使用されている写真が全部違ったりと、色々変更あり。
 ま、一つずつ見ますかね。

 右は、ハイパーホビー版の「オルタナティブ・ゼロ通常版」。
 龍騎ブランクパーツが入っていない物ね。

 通常版は、単なる白パッケージだとアナウンスされていたので「最低限の印刷しかないただの白箱」と思いきや、一応オリジナルデザインの施された、いかにも限定物っぽい作りになっていた。
 カラフルさはないが、一応シリーズとしての統一感は守られているので、そんなに悪くない。

 筆者は、こういうパターンになるんじゃないかと思ってた

 それぞれのパッケージ裏面。
 通常版は、あっさりしたデザイン。
 スペシャルパックは、全面新規で、今回の書き文字は香川の台詞ではない。
 スペックデータや付属写真等も、当然新規。
 なかなか手が込んでるみたい。

 箱の上面部。
 それぞれに「ハイパーホビー」と「装着変身マニアックス」のロゴが印刷されている。

 次に、「装着変身オルタナティブ」とスペシャルパックの比較。
 一見似たような感じだが、色々と細かく違っている。
 黒のグラデーションのオルタナティブに対して、ダークブルーのグラデーションになっているのが、なんかいい味わい。

 しかし、スペシャルパックはブランクの分内容物が多い筈なのに、サイズはまったく同じでしたな。

 さて、このパッケージ撮影時点ではすべて未開封品なんだけど、中のブリスターを取り出してみた所、いずれも再確認の痕跡が色濃く残っていた。
 ブリスターの天地左右面には、何重にも貼り重ねられたセロテープが。
 これはゼロだけでなく、同時期に再販※されたオルタナティブも同様。
 なぜこんな処置がされているかという理由は、こちらをご参照のこと。

※この場合の再販は、破損品交換用商品の意
 実売商品としてのオルタナティブが、この時期に再生産・再販売されたかどうかは未確認。

 内部ブリスター比較。
 もちろん、双方ともまったく同じ配置でパーツが収納されてますが…
 それでは、スペシャルパック同梱のブランクパーツはどこに?!

 …って、こんな所にありましたとさ。

 なるほど、これならパッケージのサイズや厚みの変更は必要ないですな。
 デッドスペースを巧く活かした、見事な収納。
 もちろん、ゼロのブリスターとブランクパーツの間には、また別に蓋が存在。

【買ってみて一言】

 オルタナティブ・ゼロ。

 言うまでもなく、形状的には「装着変身オルタナティブ」とほとんど変わらないため、プレイバリュー的には特筆すべきものはない。
 これはいわば「ファン向けアイテム」であり、コレクションとしての意味合いが強いのだと思われる。
 わざわざ作り起こされた頭部やメガネなど、面白い部分も確かにあるが、玩具的には装着オルタナティブの別バージョンに過ぎないため、要らない人には要らない、必要な人には魅力的という、変わった需要を生み出した。

 それにしても、もしゼロの方が一般発売され、無印オルタナティブが限定になっていたら、どうなっていただろう。
 なんだかんだでそれなりに売れたとは思うのだが、話題性としては弱くなっていたかな?
 というわけで個人的には、“話題性について”と限定した場合、誌上販売にゼロを選んだ事は正解だったように思う。

 無印とゼロ、両方とも一般販売していたら、絶対どっちかが割りを食っただろうね。
 どちらが食うかは、なんとなく予想がつきそうだけど。

 しかし、装着変身オルタナティブ・ゼロの本当の魅力は、製品そのものではない。
 告知から配送されるまでにWEB上各所で語られていた、数多くの話題性の方が重要だったりする。

 というわけで、少しだけ当時の様子を振り返ってみよう。

 繰り返しになるが、この装着変身オルタナティブ・ゼロは、徳間書店発行のハイパーホビー2006年3月号とムック「装着変身マニアックス」の誌上販売物だった。

 この販売情報は両誌発行前から告知されていたため、かなり早い時期から「どっちを買うべきか」という論争が起こっていた。
 普通に考えるなら、「白い箱にゼロ本体のみ」という内訳のハイパーホビー版よりも「箱がしっかり作られている上にブランク龍騎のボーナスパーツ付き」のムック版の方がお徳に感じる。
 否、この時点での論争では、間違いなくそっちの方がいいだろうとされていた(話の流れとしては、という意味で)。

 ハイパーホビー3月号の発行日は、2006年2月1日。
 装着変身オルタナティブ・ゼロの申込締切は、2月28日まで。

 対して「装着変身マニアックス」の発行日は、2006年2月20日→3月16日→4月3日と順調に遅れた。

 お気づきになられたと思うが、これでは、読者はハイパーホビー版とムック版のどちらか好きな方を選択して注文する事が困難になってしまう
 当初の予定通りに両誌が出ていたら、2月の最終週は、ハイパーホビーかムックかどちらか好きな方を選択するだけのゆとりがあった筈。
 両方の仕様を見比べて気に入った方を買えばいいわけだから、このまま行ったらかなりありがたかった事だろう。
 パーツが不十分なブランクパーツなんか要らないという実益主義の人も居るし、とにかく豪華な方が欲しいという人も居るから。
 本来なら、2月末はその両方のタイプの人が満足できる筈だった。

 ところが、ムックが遅れた事でハイパーホビー購入希望者は選択肢を奪われた。
 また、ちょっとしたコレクター精神をお持ちの方は、両方買うべきかなという気持ちを煽られることに。
 さらに、この両者にズレが発生したため、後からこの情報を知った人は「もう今からハイパーホビー版は買えないから、やむなくムック版を買う」という選択肢を強要されてしまった。
 (ま、これはその人のアンテナが低すぎたのが原因で、決して販売方法がまずかったという事にはならないわけだが)

 とは言えど。

 ハイパーホビー版の方は、本誌代880円+本体代2,900円+郵便振替手数料210円
 ムック版SPパックの方は、本誌代1,800円+本体代3,400円+簡易書留手数料430円

 前者は合計金額3,990円
 後者は合計金額5,630円(実際は、指定された簡易書留以外の安い郵送方法でも大丈夫だったようだが…)。

 いくら箱が豪華でブランクパーツが付いてくると言っても、その価格差は1,640円
 ビックカメラやヨドバシカメラなら、装着変身が一体余裕で買えてしまう価格差。
 これだけの差があるなら、悩む人が出て当然だろう。

 「でも、SPパックの方はムックもあるんだから、高くなっても仕方ないじゃない?」とお考えの方も多いと思うが、実はここが、本商品最大の問題点だった。

 散々遅延して発売された「装着変身マニアックス」は、はっきり言って…ムックとしては最悪の出来だった。

 資料性皆無、掲載データはいい加減、パーツ間違いの写真掲載、特典の「装着変身用アドベントカード」は企画縮小された上に実際のカードパーツとサイズが合わず、あげくにSPパック申込書が表紙カバーの折り返し部分(しかもPP加工されているため、書き辛い&インクが乗り辛い)と…
 特に、カバーを切り取らないとならない仕様は、書籍コレクターの存在をまったく無視した度し難いもので、とても見過ごせるものではなかった。
 また内容も、それなりに装着変身シリーズに触れていれば「誰でも基本知識として知っている」程度のものに過ぎず、驚きの内容や、ムックならではの独自のものも異常に少なく、読み応えは最悪。
 そこに加えて、値段に見合わない極薄ページ数という、どーしようもない欠点が付け加えられていた。
 これはもはや、誰がどう見ても「誌上限定販売商品を買わせる事」が主目的としか思えず…

 しかもこの後、ミリオン出版から「装着変身大全」という、さらに豪華な内容を売りとしたムックが発売されるという告知が成された。
 こちらは海外版商品を含めた全シリーズの完全網羅や試作アイテム、デザインスケッチ等の掲載、さらには装着変身の元祖と呼べる商品から歴史を振り返ったりと、資料性の高さを強調している。
 言い換えれば、これら売りはすべてが「装着変身マニアックス」にはなかったわけだ。
(加えて、大全の方にも誌上限定販売として装着変身ファイズ・アクセルフォームが確定)

 これにより、本誌の存在意義はほぼ完全に消滅した
 見方を変えれば、実に巧くタイミングを縫った「売り逃げ」だったとも言えるけど。

 もう一つ。

 別ページでも詳しく触れていますが、夏頃に「装着変身オルタナティブの破損問題」が浮上した。
 これは、ゼロ注文期間が終了し、後は届くのを待つだけという状況下で発生・拡大した話題だったため、当然ながらこのムック版も耐久性を疑われた(これは現在進行形でもある)。
 装着変身オルタナティブは、初版だけでなく後に再版という名目で発売された物にまで同様の破損が確認されたため、ファンの不安は高まった。
 そのせいかわからないが、先述の通り、当初九月上旬配送予定だった本商品は下旬まで遅延し、さらに実際の商品には執拗に貼り直されたセロテープの跡(それだけ再検品を繰り返した?)が確認できた。
 中には、なんと四回も上張りされたものがあったとか! 

 何はともあれ、あまりよろしくない注文状況、一部不当に高い価格、さらに破損問題を巡る不安などと様々な悪要因を引き摺った状態で、本商品は発送が開始された。

 これを書いている2006年10月初頭現在、本商品の破損関係話題は特に上っていない。
 しかし、このアイテムは約半年間、本当にファンを(色々な意味で)振り回してくれた。
 当初は、ここまで話題性を提供してくれるとは思ってもみなかったから、個人的には充分元を取ったかな、という気はするが、果たして皆さんはどうだろう…?

 WEB上のゼロ話題に加わるための参加費としては、やっぱりいささか高すぎだったかな?

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