第28回 ■ バンダイ 超合金魂「超電磁マシーン ボルテスV」1

2006年7月9日 更新

 七年、待ちました。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」が発売されてから七年。

 ずっと、ずっと、ひたすら待ちました。

 一時は「コンVと似たような合体システムだから出す意味ないと思われてるのでは」と言われ、またある時は「超電磁ゴマが再現不可能だからダメなんじゃ」とか言われ、酷い時には「どうせ超合金(ポピニカ)版の方が出来が良いに決まってるんだから、出す価値なし」とまで言われ…
 筆者のように、対合体ロボット興奮回路を埋め込まれた者は、まるで○○○○のような心境でひたすら光が差す日を待ち続けていたのでありました。

 今、目の前に、あのボルテスVがある。
 合体し、変形し、しかもきっちりカッチリ動く!
 ああ、もう失禁モノの大感激!
 この七年間で進歩した技術を盛り込み、我々ファンの期待を良い意味で裏切り、さらに「ここまでやるか!」と言いたくなるようなおバカ機能搭載で(←ホメ言葉)。

 信じていれば、いつかは報われるというのは本当なんですねママン!

 というわけで、皆で叫べ「V! トゥギャザー!! レーッツ、ボルトイーン!!!」
 声紋登録完了だーっ!!

   

●超合金魂 超電磁マシーン ボルテスV 定価16,590円(税込)

  • ボルトクルーザー(頭部)
  • ボルトボンバー(両腕部)
  • ボルトパンザー(胸部・腹部)
  • ボルトフリゲート(腰部・両脚部)
  • ボルトランダー(両足首部)
  • ガトリングミサイル×1
  • チェーンナックル×1
  • 超電磁ストリング×2
  • 超電磁ゴマ×2
  • 天空剣(形状優先タイプ)×1
  • 胸パーツ(天空剣抜取後のフタ)×1
  • クルーカッター×2
  • 交換手首基部プレート×2
  • 交換手首・拳×2
  • 交換手首・握り手×2
  • 交換手首・開き手×2
  • 鷹メカ
  • 超電磁ボールコントロール装置
  • ボルトボンバー用ランディングギア×2タイプ各2(計4)
  • 専用ディスプレイ(全5パーツ構成)
  • 取扱説明書

 2006年5月20日発売で、以前レビューした「超合金魂バトルフィーバーロボ」の次に出た商品。
 2006年6月現在、「超合金魂 無敵超人ザンボット3」と並ぶシリーズ最高額商品の一つになっているが、近々これは「超合金魂ガンバスター」によって抜かれる予定。
 1999年に発売された「超合金魂 超電磁ロボ コンバトラーV」と同様の合体コンセプトと似たような構造を持っているが、関節可動率や各種ギミックは段違いに進化している。
(こうなってくると、コンVもリニューアル版が欲しいねえ)

●超電磁マシーン ボルテスV 作品解説

 1977年6月4日〜1978年3月25日まで、テレビ朝日系で全40話放送された、日本サンライズ製ロボットアニメ。
 前番組の「超電磁ロボ コンバトラーV」と、後番組「闘将ダイモス」と合わせて、いわゆる「長浜三部作」と呼ばれている。
 長浜とは、この三作品の総監督を担当した故・長浜忠夫氏のことで、昭和五十年代前半という時期に「ハードなドラマ性・ラブストーリー・壮大な悲劇性」などを盛り込んだ。
 これは、それまでのロボットアニメのスタイルを大きく打ち崩しただけでなく、後続の作品群にもかなり大きな影響を与え、「子供向け作品にも、深いストーリーを盛り込む事が出来る」という可能性を示した功績を作り出した。
 特にこの三作品には、当時にして現在のようなやおいファン的存在を大量に生んだという興味深い事実もある(笑…だけど本当の話)。

 それはともかく、「超電磁マシーン ボルテスV」は、物語の内容密度も濃い上に各種設定を随所に活かした名演出が冴えまくっていた作品でもあり、世間で言われているほど「コンバトラーVの焼き直し的内容」にはなっていない。
 つか、全然違うし! どこ見てそんな事言ってるのか! と。
 まあ実際は、かなり印象だけで結論付けられている感が大きいんだけど、内容充実度は、実は最近の作品なんかより遥かに高かったりする。
 個人的には、長浜三部作最高傑作だと確信している。
 伏線と設定をしっかり踏まえた意外性の高いドラマは、当時のヒーローロボットアニメとしてもかなり異色で、決して「防衛戦闘特化パターンを繰り返すロボット物」に収まっていなかったのは、高く評価出来る点だ。  ある日突然、プリンス・ハイネル率いるボアザン星人の軍団が、地球侵略を開始した。
 地球側の抵抗はすべて無駄に終わり、圧倒的な力の差を思い知らされる。
 だがその時、秘密基地・ビッグファルコンから発進した五機のボルトマシンが合体!
 超電磁マシーン・ボルテスVが登場し、ハイネル軍が派遣した獣士・ドクガガを撃退。
 ここに、ボルテスチームとボアザン勢力の戦いの火蓋は切って落とされた。

 剛三兄弟の健一・大次郎・日吉は、“ロデオ大会三年連続優勝して帰国したところをいきなり拉致られた峰一平と、地球防衛軍の岡長官の娘・めぐみと組み、母・光代とビッグファルコン初代司令官・浜口博士の導きを受け、五体のボルトマシンへの搭乗と、ボアザン勢力との戦闘を命じられる。
 ボアザン勢力に対抗するため、それまで過酷な訓練を積み重ねてきた五人は、ボアザン星と地球の科学の結晶であるボルテスVと共に、壮絶な死闘に挑んでいく。
 そしてそれは、指導者達の死、衝撃の事実判明、さらに兄弟同士の殺し合いへと発展していく、壮絶な悲劇の幕開けでもあった。

 以下、本編ネタバレ。

 ボルテスVとビッグファルコンの産みの親・剛健太郎博士は、実はボアザン星人ラ・ゴールで、皇帝の弟の子供で皇位継承ほぼ確定という所にまで上り詰めた存在だったが、角の有無が階級を分けるボアザンの世界において、生まれつき角がないというハンディを背負っていた。
 角のないボアザン人は、労奴(奴隷と同意)として一生過酷な労働を強いられる上、角のない親から生まれた「角のある子供」もほぼ同様に扱われ、せいぜい末端の兵程度にしかなれない。
 そんな世界に大きな疑問を抱いていたラ・ゴールは、いつかこんな状況を改革すると誓い、優秀な能力を活かして科学大臣の座を掴む。
 だが、皇帝崩御後、次期皇帝候補として選ばれたものの、同じく次期皇帝候補のズ・ザンバジルより、角の秘密を暴かれて失脚。
 角がない事を知りながらも献身的に尽くしてくれていた妻・ロザリアと離縁させられた上、労奴に落とされてしまうが、ロザリアの死の報を聞かされ、ついに反乱決起を企てる。
 図らずも反乱は失敗に終わるが、仲間の協力を得てボアザン星脱出には成功。
 地球に逃げ延びて来た所を科学者・剛光代に救われ、ラ・ゴールは地球人としての生活を始める。
 やがて光代と結婚し、三人の子供を作った彼は、いずれやって来るだろうボアザン勢力に立ち向かう準備のため、浜口博士や岡防衛長官らと組んでビックファルコンとボルテスV建造に着手する。
 その後、皇帝となったズ・ザンバジルに居所を突き止められた上にボアザン星へ戻るよう脅迫されたため、一度ボアザン星に戻る事を決意した健太郎は、一年経っても戻らなければ死んだものと思え、との言葉を残し、旅立つ。
 そして、一年以内に戻って来る事は出来なかった。

 一方ボアザン星では、ラ・ゴールとロザリアの子であり、皇家の血筋でありながら裏切り者の子供と蔑まされ続け育ったハイネルが、皇帝ズ・ザンバジルの掲げた全宇宙征服の野望の下、己の忠誠心を証明するために、辺境地・地球侵攻の司令官の任に就いた。
 だがこれは、妾腹であるズ・ザンバジルが、いずれ皇帝の正統血族であるハイネルにとって代わられる事を恐れ仕組んだ策で、辺境の地球での危険な任務の果てに戦死する事を願ってのものだった。
 8話ではザキ公爵という右腕的人物を送り込み、ハイネルを謀殺しようとした事もあるが、ここから、皇帝による「ハイネルの意志を無視した一方的な介入」が頻繁に行われはじめ、ハイネル自身、皇帝に対する猜疑心を少しずつ募らせていく。
 やがて、皇帝によって地球に取り残されたハイネルはカザリーンの手によってボアザン星に秘密裏に帰還し、労奴の反乱に怯え混乱する貴族達に、最後まで抵抗を試みるよう呼びかけるが、同じ貴族から狙撃される。
 とっさに彼をかばったカザリーンによって一命を取り留めたものの、代わりに凶弾を受けたカザリーンは死に、ついに何もかも失ったハイネルは、ボアザンの守護神像・ゴードル内に隠されていた巨大ロボットを発見・操縦し、ボルテスVに最後の戦いを挑もうとする。
 その後、ボアザン星に辿り着き解放軍の先陣を切って戦っていたボルテスVと戦闘、相打ちとなるが、さらに健一との生身の勝負を展開。
 だが、ハイネルが取り出した鳩の紋章付きの短剣が、ロザリアの託した「ラ・ゴールの形見」だった事から、彼が、実は剛三兄弟の腹違いの兄だった事が判明した。
 その時、半狂乱のズ・ザンバジルが爆弾を片手に惨めな姿を現すが、ハイネルはその姿に幻滅し、彼を殺害。
 その時、ザンバジルの爆弾が爆発、とっさに健一をかばうハイネルだったが、足場が崩れ離ればなれになり、そのまま炎の渦の中に姿を消してしまった。

 ハイネルは、最後の最後まで貴族としての気高さと誇りを捨てなかった、素晴らしい名悪役だった。
 最終回及び、ハイネル最期のシーンの(当時としては)異様に描き込まれた作画レベルの高さと、鬼気迫る演出・展開の凄まじさは、いまだに語り草になっている。
 特に、最後の最後に見せたハイネルの涙と「お父さん…」という囁きは、29年経つ今でも忘れる事が出来ない。

●ボルテスV メカニック概要

 ボルテスVは、全長58メートル、重量600トン。
 最高飛行速度はマッハ20。
 超電磁エネルギーで動き、メインパイロットは剛健一。

 ただし、他の四人は各セクション操作を別途担当しており、健一の指示で武器を使用したり、また逆に健一にアドバイスを与えたりする重要な役割を持つ。
 面白いのが、ボルテスVの武器はボルトボンバー操縦者・一平が担当していることで、6話で獣士バッド・ヘイルに拘束された際、健一からグランドファイヤー(ボルトフリゲートのブロックにある武器)を使った脱出法を指示されるが、「それではボルテス自体がダメージを受けてしまう」と反論、結局使用を断念するという場面があったりする。
 宇宙空間でも活動する事が出来る上、空気抵抗から解放された武装のいくつかは、さらに破壊力がアップする。

 健一の「Vトゥギャザー」の掛け声で、ボルトクルーザーを先頭に左側にパンザー・ランダー、右側にボンバー・フリゲートと並ぶV字型編隊を組み、次に「レッツ・ボルトイン」の掛け声で合体に入る。
 合体時は、ボルトクルーザーから超電磁フィールドを発生させ、ボンバーから順に各機を包み込み、重力無視極まりない合体プロセスを展開する。
 超電磁フィールド自体はVトゥギャザー時にも発生しており、これは牽引ビーム代わりにもなる。
 6話では、獣士に捕獲されたボルトボンバーを強制的に巻き込み、無理矢理引き剥がすという荒業も披露した。
 ただし、この合体体勢はボルトマシンすべてが完全無防備になる状態でもあり、ここに攻撃を受けると合体できなくなるだけでなく、深刻なピンチに陥る。
 後に、浜口博士に代わってビッグファルコン司令官になった左近寺博士による猛特訓のおかげで、ボルトクルーザーのクルーブーメラン(本編中ではクルーカッターと言っていたが、翼の武器ではなく機首先端部のツノ)を伸ばした状態で全機超高速きりもみ回転&螺旋飛行を行い、「超電磁スピン」張りの攻撃兼追撃防御技を会得した。
 これは、獣士に多大なダメージを与えるほどの破壊力を発揮する。

 前作コンバトラーVと同じ合体コンセプトを持っているロボットで、いわゆる「縦積み型合体ロボ」の二代目といえる。
 頭部・腕部・胸部・下半身・足首が分離し、それぞれが個別のメカになっているという、その後の合体ロボのパターンの基礎を「確定」させた功績がある(決して“構築”ではない)。
 また、巨大な剣をメイン武器として、「〜斬り」系統の技を使うのも、ここから始まっている。
 剣を使うスーパーロボットといえば、元祖はグレートマジンガーだが、マジンガーブレードは固有名詞付きの技はなかった。
 本編を見てなかった人にはあまり信用してもらえないが、実はかなりヘビーに組まれた設定があるロボットで、初搭乗時、各パイロットのかけ声「レッツ・ボルトイン」から声紋を登録し、以降この五人以外に操縦出来ないようにしたり、合体時に掛け声が必要になるという理由も作った。
 
 その他、意外に弱点が多いロボットとして描かれていた事も特徴である。
 装甲はしょっちゅう獣士に貫かれていたし、配置上もっとも安全と思われるボルトボンバーやパンザーのコクピットにまで破損が及ぶ事も、結構頻繁にあった。
 また、超電磁加重砲(後に触れる超電磁ボールコントロール装置)が組み込まれたばかりの頃は、許容エネルギー問題で自爆はするわエネルギー使い果たすわと、深刻なピンチに陥った。
 だが、脚が破損した時はボルトフリゲート以下を切り離し、上半身&超電磁ストリングのみで戦ったり、取り外さない状態で天空剣を伸ばしてピンチを脱したりと、その機能を応用した臨機応変ぶりも見所の一つとなっており、決してただ弱いだけのロボットには堕していない。
 圧倒的なパワーで押し勝つというよりは、苦境を乗り越え、最後に天空剣を振るって決着するというパターンを持った、努力型のスーパーロボットなのである。

 ちなみに、最終回でスペースワープ装置を組み込まれたらしい事が健一の台詞で判明。
 地球からボアザン星まで14,000光年もあるのだが、そこまで単独で行き来できるようになってしまったらしい
 それって、なんだかすごく恐ろしい性能のような気がする。

▲ TOP ▲

●ボルトマシン

・ボルトクルーザー

 ボルテスVの頭部を構成、合体後は全体のコンピューターセクションを担当する高速戦闘機。
 全長12.8メートル、重量95トン、飛行速度マッハ20。
 パイロットは剛健一。
 ボルトマシンの指令機で、超電磁発生装置とウルトラマグコンを装備。 
 翼にクルーカッター、機首側面部にクルーミサイルを装備。
 その他、バルカン砲や、本体上面部から撃ち出すクルーアロー(なぜかたまにクルーミサイルと言われる事もある)、ボルテスのツノにあたる部分を射出するクルーブーメラン等の武器も装備するが、これらは残念ながら本商品では再現されていない。
 異様に精密な操縦が可能で、3話では、ボルトボンバーの発射したミサイルをクルーカッターで“弾いて”、高速移動する獣士の死角から命中させるというトンデモない事をしてみせた。
 これは機体性能だけでなく、健一の特訓の成果も大きいと思われる。

 いかにも戦闘機! といったデザインが秀逸だが、ボルテスに「トンガリ頭」という好き嫌いの分かれる要因を与えてしまった、罪深い機体でもある。

 キャノピーは透明パーツで構成され、搭乗者を含めたコクピット内部を再現。
 魂コンバトラーVでは、キャノピーはすべて塗装のみだったため、なんか新鮮な感動を覚える。
 五機中、唯一キャノピーを開く事が出来る。

 ランディングギアが格納可能。
 ただし、前輪を引き上げるのはちょっと困難。
 ツメがある程度伸びていないと、ちときつい。
 筆者は、コツを覚えるまでマイナスドライバーの先端で持ち上げていた。
 車輪回転はなし。
 また、合体ジョイントの収納も不可能(これはしょうがないか)。

 上部の白いラインが面一にならないという難点があり、これが一部のユーザーに不評を買っているようだ。
 だが、段差自体は大したものではないし、個体差によってちゃんと面一になるものもあるようなので、さほど大きな問題ではないと思われる。

 クルーカッターは、翼の末端を挟み込む形で装着するので、一見塗装皮膜を傷付けてしまいそうだが、実は装着部分に小さなジョイント受けが設定されており、皮膜にダメージが及ばないように工夫されている。

 クルーミサイルは、機首側面部のもののみ再現。
 ただし固定は一切出来ず、傾けるとスルッと出てきて、立てると奥に引っ込むという簡素な構造。
 まあ、オマケギミックとして見ればいいかなという程度。
 残念ながら、本体上面から射出するクルーアローは再現されていない。

 ボディは機体後部上面がダイキャストで、残りはプラ製。
 この内部構造が凄まじい事になっているんだけど、それは合体説明の時に詳しく。

 エンディングみたいに、ランディングギア付近に健一を座らせて飾りたいなあ。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」のバトルジェットとの比較。

・ボルトボンバー

 ボルテスVの両腕部を構成、合体後は全体の攻撃セクションを担当する重爆撃機。
 全長16.2メートル、重量100トン、飛行速度マッハ18。
 パイロットは峰一平。
 コクピットブロック側面から撃ち出すボンバーミサイルや、主に左腕側から射出するボンバーフック、機首先端部から発射するボンバーリング、コクピット後方部から突如放り出すボンバーバム(←注:ボムではない)など多彩な武装を持っているが、残念ながらそのいずれも本商品では再現されていない(つか無理)。
 ボンバーアンカーは、ボルテスVのチェーンナックルと良く似た武器で射出口も同じだが、形状はまったくの別物になっている。
 こんな細い部分に一体どれだけの武器が詰まっているのか、一度内部構造を見てみたい。

 爆撃機というには妙にスマートで、劇中の印象としてはボルトクルーザーと並ぶもう一つの高速戦闘機(ただし装備はちょっと独特)という感じだった。

 ポピニカ版では垂直尾翼が余剰パーツとして付加されている上、腕がボルテスのものそのままで一切変型や伸縮なしだったため、劇中との印象がかなり違っていた。

 ボルトボンバーは、五機の中でもっとも二次元の嘘にまみれていたデザインで、正しくは、機首が両腕よりも前(手首の位置よりも前)にあった。
 そのため、さすがの魂版も劇中のものそっくりとはいかないが、それでも極力イメージが近づけられている。
 腕になるメカにしては薄くスマートで、しかもボルトクルーザーとのサイズ差も少なく、並べてあまり違和感がない。
 とても洗練されたデザインなのがよくわかる。
 やる気がないようにはとても思えないんだけどなあ。

 機首裏側の筒状パーツ(ボルトクルーザーのジョイントを収める部分)は、飛び出していない形状にアレンジされている。
 確かに、こっちの方がスマートだもんね。

 前腕部は、青い装甲部分を後方にスライドさせることで黄色い手首部分(エアインテーク?)を露出させる事が可能な上、腕全体を劇中のものに近い形状にできる。  面白いのが、ランディングギア。
 コンVのバトルクラッシャー同様、さすがに外付け&合体時は余剰となるパーツだが、なぜか2セット4個もついており、すべて付けた上機首部に格納されたものまで使うと、全部で五箇所13輪という凄まじいものになる。
 実はこれ、劇中設定再現とポピニカ再現の両方を可能とするためのオマケパーツなのだ。

 腕部分に4個のランディングギアを付けると劇中設定版。

 上腕部のみにパーツを付け、機首のランディングギアを引き出すと、ポピニカ再現版となる。
 ここで、なぜポピニカ版の再現が必要なのかという理由については、後でまとめて触れよう。

 残念ながら、腕幅の伸縮ギミックに若干の難があり、幅を縮めた状態でかっちり固定ができない。
 ほんの僅かではあるが、微妙に後方が開いてしまいやすいのだ。
 これは目に余るほどのものではないが、腕部分が綺麗に平行にならない要因でもあるため、気になる人は気になってしまうかも。
 あとほんのちょっとだけ、関節強度が欲しかった気がする。
 特にここは、ひんぱんに伸び縮みさせる部分だからなおさらだ。

 垂直尾翼は、一応取り外しなしで合体時転回収納可能だが、さすがに元々無理がある配置のためか、ボンバー時には完全固定に至らず、上腕の後ろからぶら下がるような形になってしまう。
 しかしプラプラはせず、合体時には一応固定が可能。
 一見取り外せそうだが実際は不可能なので、ここは割り切るしかない。
 もっとも、劇中のボルテスVの上腕裏側には、ボルトボンバーの尾翼が常に見えている状態なので、実際はあんまり問題じゃなかったり。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」のバトルクラッシャーとの比較。

・ボルトパンザー

 多くの人が「パンー」と誤解しているメカ。
 全長12.4メートル、重量220トン。
 飛行速度マッハ15という設定だが、ムリすればマッハ16でも飛べるトンデモキャタピラ戦車で、実はあまり戦車である必要性がないメカ。
 左近寺博士の猛特訓時、限界値を超える速度で飛行させられたのは一部で有名。
 合体後はボルテスVの上半身&エネルギーセクション担当ブロックを構成し、パイロットは剛大次郎
 セクション機能はあまり目立った描写がないが、エネルギー関連の動作に関して健一が大次郎に指示をしたり、また鷹メカ超電磁ボールコントロール装置をパンザーに取り付けたりと、大変地味に描写している。
 コクピットブロック側面にパンザーミサイルパンザーナックルを装備し、さらにキャタピラ下面から発射するベルトカッターという奇妙な武器もある(キャタピラの一部を飛ばしてる?)。
 一番有名な装備は、上面後方部にあるパンザーアームで、これはバトルタンクから継承されたデザインであると思われる。
 バトルタンクとは前後の向きが逆で、腰側が前、胸側が後方になる。
 合体時、ボルトフリゲートのコクピットと向かい合わせになるため、いくら兄弟同士とはいえ終始日吉と熱い視線を交し合うハメに陥る。

 ボルトパンザーは、ポピニカ版だと妙に足が長く、コクピットブロックに対してボディ全体が厚ぼった過ぎて全然印象が違うという感じだったが、今回はかなり劇中イメージに近づけられている。
 コンパクトで無駄がない形状と、その上で必要なギミックはすべて盛り込まれているという緻密さ。
 大変ミリキのあるメカになっている。
 ボルトランダーやボルトボンバーとあまり変わらない大きさというのが、さりげにすごい。

 残念ながら、パンザーアームがほとんど伸びない(リーチがない)。
 それでも、一応前方にかざす事はできるので、かろうじて面目は保っているかと。

 キャタピラアームは、設定通り合体時は上方(ボルテス時は背面側)に移動するが、さらに胴体内側にめり込ませる事が可能。
 これで、合体時も劇中に近い位置に設定できる。
 キャタピラのホイール部分は、バトルタンクと共通のものかな?

 機首部分に謎のハッチがあるが、これは合体時に奥へ引っ込むコクピットブロックを引き出すためのもの。
 こういうささやかな工夫が嬉しい。

 ボルトパンザーは、コクピット収納ギミックを持ちながら天空剣の柄と刃を内部に収納するという、すごい事をやってのけている。
 ポピニカ版では、コクピットブロックは上に跳ね上げる構造だった。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」のバトルタンクとの比較。

・ボルトフリゲート

 ハイネルの部下と同じ声を持つ、剛日吉が操縦する双胴型潜水艦。
 全長19.5メートル、重量105トンで、ボルトマシン中最大サイズを誇る。
 マッハ16での単独飛行も可能で、人によっては潜水艦という印象がほとんどないかもしれない。
 修理装置を搭載しており、合体後は修理セクションとなる面白い設定がある。
 5話では、ブースター部を破壊されて飛行不能になった時、水中で自己修理を行って戦線復帰したり、32話ではボルトクルーザーを修理した事もあるが7話では飛べなくなったボルトランダーを、メカに強い日吉が直接修理していた。
 他ボルトマシン修理時は、なんとアンテナ(艦橋に似たパーツ)部からマニピュレーターを伸ばす。
 ボルテスVの腰と脚部を構成。

 機首両側面より発射されるワイヤーのネプチューンロック、両翼部から発射するフリゲートミサイルなどの装備を持つが、もちろん本商品では再現ナシ。

 下半身メカなのに、意外にまとまったデザイン。
 横幅を広げて双胴型戦闘機という感じにまとまったバトルマリンに対して、こちらは輪郭を長方形型にまとめて潜水艦らしいボディラインを強調している。
 角ばった胴体部分が、いかにもメカという感じで大変面白いし、全体のラインの統一性を高めている。

 ポピニカ版では過剰なまでに大きかった艦橋型レーダー兼マニピュレーター基部はコンパクトになり、押し込み式で収納可能。
 アンテナ部分は軟質素材なので、折れる心配なし。

 レーダー部をアップさせる時は、胴体側面部のモールドを模したスイッチを押す。
 この隠し方が実に見事で、説明書なしでいじっていると、最初は必ずと言っていいほど戸惑う(筆者ときょろらが体験)。

 ランディングギアは、前部はベルトのバックル部分を立てると、その裏側に備えつけられている。
 後部は、ポピニカ版と良く似たシステムで収納されている。
 ボルトランダーとの合体時、このランディングギアは使用せず、脛側に収納する形になる。
 ウイングについては、ポピニカ版とまったく同じ。

 合体時、コクピットブロックが縮み、やや上を向くようになるが、これはボルテスVの胴体内でボルトパンザーのコクピットブロックを避けるための工夫。
 さすがに、二機のコクピットを向かい合わせて収納するのは不可能なので、フリゲートをパンザーに被せるようにしてスペースを埋めるようにしたわけだ。
 ここはちょっと設定と違うので残念なところではあるが、代わりに機首は(こういう合体システムであるにも関わらず)比較的長めに作られている。
 合体優先のため、不自然に短くされるよりは、よっぽどましだろう。
 まして、ポピニカ版よりは忠実な合体なんだし。 

 難点としては、ボルテスVの股関節にあたる部分の保持力が甘いため、しょっちゅう機体後部が下向きに折れ曲がってしまうことだ。
 これについては、合体後のボルテスVの項で詳しく触れよう。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」のバトルマリンとの比較。

・ボルトランダー

 紅一点・岡めぐみが操縦する、ボルテスVの足首・足を構成する。
 全長8.3メートル、重量80トン、飛行速度マッハ17。
 偵察用マシンで、かなり個性的な装備を持つメカ。
 合体後のセクションは情報分析担当で、6話では行方不明になった一平の捜索も行っている。

 バトルクラフトと違い両足がくっついて一つのボディを形成するタイプではなく、左右にあるコクピットブロックが中央で繋がっているという双胴型メカで、飛行タイプとしての印象が強い(ように筆者は思う)。
 実際、劇中でも空を飛んでいるのがほとんどで、地上走行はめったにしなかった。
 それではタイヤはなんのためについているのだろう、などと本放送当時ずっと思っていたが、その辺りはタイヤフェチなので個人的に許容していたり。

 前面部のシャッター内部に、左右各二機ずつランダードリルが装備されており、これで地中潜行も可能(かなり無理があるけど)。
 ただし、実際に使ったのは37話とほとんど終わり際。
 その他、コクピット下部(繋ぎ目の真下辺り)から発射するランダー手裏剣や、コクピットブロック脇の筒状パーツから撃ち出すランダーミサイルなどがある。
 変り種の装備としては、スパイビームという透視光線(多分)があり、9話では、これでルイ・ジャンギャルに占拠された防衛軍本部をスキャンした事がある。
 さらに、ドリルで地中潜行するカメラをコクピット下部から投下して、地下施設のスキャンも可能(これも9話で使用された)。
 一応、偵察機としてもちゃんと使用されているわけだ。
 (しかし33話では、演出の都合とはいえ、ボルトクルーザーとボルトフリゲートが偵察に飛んでいたりする)

 だが一番の変り種武器は、コクピットブロック脇(ランダーミサイルと同じところ)から噴き出す速乾性のランダーコンクリートだろう。
 これで敵を一時的に拘束したりする事が可能だが、当時から「本体にかかって固まったりしないかな」とか「ミサイル発射口詰まったりしないかな」と妙に心配だった。
 「轟轟戦隊ボウケンジャー」のゴーゴーミキサーが、スーパーダイボウケン時に足首になった時、思わずニヤリとしてしまったのはここだけの秘密だ。

 その他、37話では同じ発射口から、モグミサイルというバズソーの付いたミサイルを発射して、地底城の攻撃で拘束されたボルテスVの本体を解放した。

 一瞬「え、ポピニカ?」と思わされた逸品。
 フロントグリル部分やシャッター部、またホイールスペース付近が、ポピニカ版を連想させる造りになっているのがさりげに嬉しい。
 ただし、ポピニカ版に付属していた意味不明のチューブはさすがに付いてない。
 コクピットブロックの塗装が劇中と若干異なるが、こうじゃないと合体時に一体感が出ないから、まあいいか。
 足首メカだからかなり小さいかなと思われるが、実はボルトパンザーよりも大きい
 その上で、合体時にフォルムを崩したりもしないので、大変秀逸なバランスにまとまっている。
 残念ながらタイヤはゴムではなくプラだが、劣化を考慮するとこれで正解かも。
 バトルクラフト同様、ちゃんとサスペンションギミックも搭載されている。
 コクピット部と本体部の接合箇所の造りはかなりのもので、ここの構造のおかげで、ボルテスVは脅威の接地性を発揮できる。
 ただし、なぜかランダー時に本体が左右水平にならず、左側の方が若干ナナメになってしまうのはいただけない。

 これはどうやら、内部パーツ構造の問題らしく、しかも個体差ではなくほとんどの製品にある問題のようなので、再販時に改善される事を祈るしかない。
 一応無視できるレベルかもしれないが、人によっては気になって仕方ないとも思うので、問題点として指摘しておこう。
 装備は、ランダードリルが再現されている。

 コクピット上部のアンテナは軟質素材で、これを折れたらちょっとすごいかも。
 合体時は後方に折りたたむ形式なので、ポピニカ版のように取り外す必要はない。

 「超合金魂 コンバトラーV(旧)」のバトルクラフトとの比較。

 10機勢揃い。

●ポピニカのリスペクト?

 先にもちらりと触れたが、実は今回のボルトマシンは、単に劇中のメカを再現しただけではなく、当時発売されたポピニカ版をリスペクトしたような部分が多く見て取れる。
 ポピニカ・ボルトマシンシリーズは、当時でも大変完成度の高い商品で、特に合体のラチェット感と安定性、充実感は他の追随を許さず、圧倒的な存在感を持っていた。
 このポピニカ版があまりにも完成度が高すぎたため、ボルテスVは、玩具抜きに多くは語れないという傾向も生まれたほどだ。
 とにかく、切っても切れない関係があったわけだ。

 で、魂版は、その辺りを組んでポピニカ版のテイストを多く含んだ造りになっている。
 これが実に嬉しい!
 先の「ボルトボンバーのランディングギアの謎」も、この視点から見れば理解可能だし、ボルトランダーのパーツ構成は、ポピニカ版を知る人が思わずニヤリとしてしまうようなものになっている。
 その他、パンザー・フリゲート・ランダーはポピニカ版と同じような(パーツ)材質構成になっているのも見逃せない。
 魂コンバトラーVの時は、こういったリスペクトがなく、あくまで劇中スタイルの再現に留まったためポピニカ版を知る者には大きな違和感があったが(それ自体マイナス要素じゃないけどね)、今回はそれがかなり薄まっている。
 まるで、かつて憧れたポピニカの縮小版を手にしているかのような錯覚を受けるほどだ。
 かといって、各機の構造は簡略化されておらず、逆に緻密になっているわけだから、充実度はさらに上昇する。
 ポピニカ版は、今でも美品は十万円以上の価格で取引されるほどで、とても気軽に入手できるものではないが、その溜飲を下げる意味でも、この魂版ボルトマシンの存在意義は大きい。

――などと書いてたら、後に「ポピニカリスペクトVer.」というそのまんまの商品が本当に発売されて、筆者は大変ビックリした。

 ボルトマシンが五機揃ったら、次は当然合体。

「V!! トゥギャザー!!」

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