第124回 ■ バンダイ 超合金魂GX-31V「ボルテスX(超合金40周年記念Ver.)」
2015年1月20日 更新
1974年「マジンガーZ」から始まった超合金ブランドの歴史は、2014年で四十年に達しました。
それを記念して、超合金ブランドでいくつかの商品が発売されましたが、超合金魂では「GX-68 超合金魂ガオガイガー」を、そして過去に発売された商品のNEWバージョンをいくつか発売しました。
2014年12月13日に発売された「マジンガーZ」「アフロダイA」に続いたのは、「超電磁マシーン・ボルテスV」。
何故マジンガーの後にいきなりボルテスなのか、些か戸惑いを覚えはしますが、ギミック豊富な合体ロボの再登場は望むところです。
というわけで、こんな画像をのっけから貼りつつも、今回はリニューアル版超合金魂「ボルテスV」をレビューします。
……とはいえ、魂ボルテスVは過去に一度レビュー済みですので、今回は全体をさらりと流す程度の軽いノリで参ります。
超合金魂GX-31V「ボルテスX(超合金40周年記念Ver.)」
2014年1月17日発売。
定価は、24,840円(税込)。
本商品は、「超合金魂ボルテスV」のリデコ&リペイント品で、基本的な仕様は最初の超合金魂版(以下、初版と表記)に準拠します。
細かな仕様についてはこちらをご覧ください。
超合金魂ボルテスVは、2006年5月20日で、価格は税込16,590円でした。
何度も再販されたコンバトラーV(Ver.1)に対して、こちらは一度も再販は行われませんでした。
しかし2008年12月20日に、「RESPECT FOR VOLT IN BOX」という別仕様バージョンが、税込18,690円で発売されました。
こちらは、カラーリングを「DXポピニカ版」をイメージしてあえて玩具っぽさを強調した正にリスペクト版で、初版では行えなかった「ボルテス重戦車(後述)」への変型が可能になり、またいくつかの仕様が改められました。
今回の40thバージョンは、三回目の発売となり、実質的には再販に限りなく近い存在なのですが、初版のリペイントではなく、リスペクト版を初版に近いカラーリングに変更したものとなります。
そのため、このページでは、レビュー済みの初版とは異なる部分を中心に触れて行きたいと思います。
尚、上記の通り、今回は6,150〜8,250円もの値上げが行われています。
もう以前のような価格では再販不能ということかもしれませんが、この差額だけで結構な規模の玩具が買えてしまうほどなので、正直ちょっとした戸惑いも生じます。
ボルトクルーザー。
変更点は塗装のみで、赤い部分がメタリックレッドに、白いラインがメタリックシルバーに変更されています。
初版に比べ、上面のラインが面イチになりやすくなっているようです(ラインが整った所できっちり止まる感じ)。
コクピット内部も、何故か丁寧にメタリック塗装が施されています。
ボルトボンバー。
五機の中で、最も変更点が多いマシンです。
尾翼は、初版同様赤の成型色による軟質素材ですが、それ以外の赤い部分はやはりメタリックレッド塗装。
それ以外にも、白部分がメタリックシルバーになっています。
ランディングギアは、「劇中準拠版(上)」「ポピニカ仕様版(下)」と選択可能。
こちらは、初版からの伝統みたいなものです。
初版では可動手首とボルテスバズーカが収納されていた前腕部は、リスペクト版から改修されて、ギミックが全て排除されました。
また、両腕先端部には別パーツのシャッターが接続出来ます。
この仕様変更のため、残念ながら分離時・合体時両方で余剰パーツが発生してしまうことになります。
尚、特に意味はないですが、前腕がスライドする機構は何故か残されています。
どうしても余剰パーツ発生が嫌だという方は、ボルトボンバーの状態で拳をつけたままにするという「ポピニカ仕様再現」により、無理矢理余剰を減らすのはどうかなとか思ったり思わなかったり。
ボルトパンザー。
機首がメタリックレッドに変更、その他にも車高が高くなっています。
また、後部の赤い部分がまるで退色したクリアレッドみたいな微妙な色合いになっていて、ちょっと驚き。
コクピットブロック横の突起(合体時のジョイント)が長くなったため、若干外観に変化が出ましたが、これはボルトフリゲートとの合体時に、接合力を高めるための改修です。
「ボルテス重戦車」への変型の都合、キャタピラアームが長くなりました。
これはリスペクト版からの仕様変更で、ポピニカ版のスタイルに近くはなっているのですが、オリジナルの低車高でコロコロした外観が好きという人もいるかと思われるので、出来ればここは差し替えでも両方再現出来るようにして欲しかった気がします(強度的に可能かどうかはわかりませんが)。
パンザーアームは、特にこれといった変更はなく、以前のまま活用可能です。
その他、上面ハッチ(超電磁ボールコントロール装置を入れるところ)なども相変わらず健在で、パカパカ開く蓋もそのまんまです。
ボルトフリゲート。
外観上の変化は殆ど皆無ですが、地味に改修されている箇所がいくつかあります。
この機体に限った話ではありませんが、青い部分の色味が明るくなり、いかにも合金玩具的な雰囲気の色になっています。
リスペクト版がベースになっている本商品ですが、アンテナの形状は初版のままです。
その他、ボルテスVの股関節にあたる部分の強度(保持力)が高められたため、脚が下がることもなくなり、機体形状維持がしっかり行えるようになっています。
初版は、股関節の保持力がなさすぎたので、これはありがたい改修です。
ボルトランダー。
こちらも、本体がメタリックレッドになったため、ボルトクルーザー同様、結構印象が様変わりしています。
なんとなくアメリカンテイスト。
アンテナは、ボルトフリゲート同様、初版の形状です。
初版は、左本体の関節部に癖があり、そのため片側だけやや傾いてしまうという問題点がありましたが、今回はきちんと修正されています。
ランダードリルとその収納ギミックは、これまでと同じです。
「鷹メカ」。
リスペクト版では真っ白にされたこの機体も、今回は赤に戻りました(メタリックレッドですが)。
基本的に色以外の変更はないのですが、以前は脚パーツを付ければ自立したのに、何故か今回はやりづらくなりました。
今まで同様、ボルテスVの背後に合体して「超電磁ボールコントロール装置」を装着する場面を再現出来ます。
……と書いてたんですが、申し訳ありません、これ嘘でした。
コントロール装置自体は装着可能なんですが、鷹メカを合体させることは出来ません。
改めて試してみたところ、キャタピラアームが干渉してしまうため、鷹メカの脚がボルトパンザーまで届かないのです。
厳密には、脚パーツをかなり緩く鷹メカ本体に付ければなんとか固定は可能なんですが、お世辞にもこの状態を合体しているとは表現したくありません。
また取扱説明書を確認してみると、確かに鷹メカとの合体には触れられていませんでした。
申し訳ありません、一度レビュー済みの商品のため、充分な仕様確認も行わず惰性で書いてました……反省点です。
レッツ・ボルト・イン!
合体システムに変更はありません。
初版またはリスペクト版を持っていれば、そのまま問題なく合体可能です。
合体システム詳細については、こちらをご参照ください。
初版からの変更点としては、「手首が外付のみになった」「肘が二重間接になった」「腕や股関節・膝の関節の保持力が上がった」というものがあります。
関節保持力強化のおかげで、以前のような若干ふにゃふにゃしたような感じがなくなったのは、特筆すべき点かと。
反面、首の接続力が弱い点だけは、何故か全く改善されていません。
相変わらず据わりが悪く、ふらふらしがちです。
ここは真っ先に直して欲しかったものですが……
天空剣は、収納型もスタイル重視型も両方付属。
いずれも、鍔部分がメタリックレッドになっています。
それ以外は、特段変化なしです。
適当なポージング。
天空剣といえば、お約束のコレ。
折り畳まれた刃の成型色は、変更なしです。
以前紹介した訳アリ天空剣は、今回無事片手持ちが可能になりました。
やはり肘や肩関節に負荷はかかりますが、手首のボールジョイントがかなりきつくなったのが幸いしたようです。
とはいえ、やっぱり長時間持たせたままにはしたくないですね……
ボルテスバズーカは、劇的な改変が成されています。
外付式になったため、砲塔は大型化し、なんとミサイル発射機構が付属しました(画像では、ミサイルは装填していません)。
超合金魂で昔ながらのスプリングミサイルが付くなんて、なんか意外です。
しかも、劇中のシチュエーションに近い「手首がトリガー」になっていて、ぶら下がった右手首を引くと、ミサイルが飛びます(バズーカを左腕に着けることも可)。
チェーンナックル。
こちらは、初版同様の細鎖で繋がったものと、新規ギミック付のユニットが混在。
まずは、今まで通りのもの。
例によって、赤い部分はメタリック塗装です。
パーツ分解は、以前同様に行えます。
チェーンナックル用の射出ユニットが、ボルテスバズーカとは別に付属します。
こちらも、左右どちらにも装着可能。
先のチェーンナックルとは異なる、発射用の赤いパーツに、取り外した先端部を付けて構成します。
ガトリングミサイル。
残念ながら、今回も付属は一つだけ。
超電磁ストリング。
素材が変更されたようで、やや硬さが増しています。
超電磁ゴマとの組み合わせ。
こちらも、赤い部分はメタリックになっています。
超電磁ストリングの硬さが増したため、このように超電磁ゴマと組み合わせて浮かせることも可能になりました。
ただし、当然ながら放置していると、だんだん下がってきます。
超電磁ストリングは、以前より扱い易くなったものの、やはり癖は付いてしまうので、長時間曲げているとなかなか真っ直ぐには戻りません。
やりすぎると、箱に戻す時やディスプレイ(武器ラック)に収納する際に難儀します。
一応、指でしばらくしごいていると、ある程度落ち着いては来ます。
本商品の目玉とも云える「ボルテス重戦車」。
DXポピニカ版オリジナルの形態で、劇中には出てきませんが、これが出来なきゃボルテスの玩具じゃない! という方には、ありがたいギミックです。
もっとも、これをある意味一番忠実に再現していたのはリスペクト版なので、本商品の場合は、はオマケ要素的な位置付けなのかもしれません。
別角度で。
関節が固めなので、コンバトラーV(Ver.2)のグランダッシャーのようなフニャフニャ感は殆どありません。
あえて言うなら、足首付け根のジョイントの上方スライドが上手く固定されない点が、難点といえば難点でしょうか。
超合金魂「コンバトラーV(Ver.2)」のグランダッシャーと共に。
色合いも似ているので、なんだか絵になる比較です。
ちなみに、この写真を撮るために久々に取り出したコンVですが、拳パーツの表面が既にベタつき始めていました。
お持ちの方は、ご注意ください。
専用ディスプレイ。
リスペクト版から、成型色が白に変更されて、よりビッグファルコンぽくなりました。
クルーカッターが固定されていませんが(画面左下辺りに来ます)、これは付属していないのではなく、単に筆者がランナーから切り離していないだけです。
貧乏症でごめんなさい。
こちら側は初版と若干構成が変わり、ボルテスバズーカとチェーンナックル射出ユニットが中腹辺りに固定されます。
ただこの二点のパーツは、説明書の指示通りの向きには固定出来ません。
90度向きを変えてやる必要があります。
まあ、固定は出来るので全然問題はないのですが、念の為。
以上、魂ボルテスV40周年記念Ver.でした。
【買ってみて一言】
諸事情あり、初版やリスペクト版との直接比較が出来なかったのが残念ですが、個人的に、今回の商品は一番良い感触でした。
初版にあった諸々の不満点が大幅に改修され、ギミックも増えて、何より安心して弄り倒せる頑丈さが備わったのが嬉しいです。
筆者は、特にボルトパンザーとフリゲートの接続の甘さが不満だったのですが、それの改善が一番嬉しく、正直それで評価が底上げされてる感もちょっとあります。
それ以外にも、全体の色合いの見直しが図られ、よりボルテスっぽさが引き立ったこともあって、非常に満足度は高いです。
メタリックレッドとシルバーの塗装は、多少ギラつき過ぎな気もしますが、嫌うようなものでもないし、個人的にはありかと。
ただ、この塗装が結構好き嫌いを分ける要素になるかなという気も、同時にしています。
実際、ボルテスにメタリックカラーというのはあまりイメージが結びつかないですし、メタリックにしたせいで赤の色味がやや沈んでしまった感も拭えません。
ここが引っかかって購入を躊躇う人は、確実にいそうな予感がします。
あとは、価格の高騰でしょうか。
以前の定価+8000円以上というのは、場合によっては初版のプレ値よりも高い可能性があるわけで、(以前のも決して安かったわけではない事もあって)ちょっとどうかと疑問を抱かざるを得ません。
材料費や中国の人件費高騰の話は、今更ここで語るものでもないわけですが、それにしてもちょっとボリすぎじゃない? というのが素直な感想です。
どうせこんなに値上げするなら、せめてボルトパンザーのキャタピラアームを差換えで初版Ver.風に戻せるとか、工夫またはオマケ要素が欲しかったところです。
ともあれ、商品自体が良い物であることは変わりないので、出来ることならもっと多くの40周年バージョンを出して欲しかった気がします。
個人的には、ガンバスターや大空魔竜(リペ版はとっくに出ましたが)、下半身の関節保持力を強化した「コンバトラーV」や、エースレッダーの腕付け根の耐久性を改善した「ダイオージャ」などを希望したいものですが。