第2回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダークウガ」

2001年11月23日 更新

 ここでは、近年発売されたキャラクター玩具の中で、特に話題性の高いものを扱って色々分析してみたいと思います。
 どういった分析を行っていくのかは、以下の本文を読んでいただくとして…
 まずは、貴方のネット生活上でのささやかな暇つぶしになれれば幸いです。
 このページでは、商品写真を沢山展示しているため、ちょっと表示に時間がかかってしまうと思われますが、ゆっくり読み進めながらお待ちくださいませ。
 前回の反省を活かし、今回はより高性能のデジカメを借りて撮影したのはいいんですが…あまりうまく撮れてなかったりして。

 さて、前回予告しました通り、今回は「仮面ライダークウガ」関連商品の第二弾としまして…

仮面ライダークウガ 装着変身シリーズ

を、扱ってみたいと思います。

前説;装着変身の流れ

 装着変身シリーズには、数多くの“先祖”と言える商品が存在する。
 こちらの流れにも、軽く触れてみよう。

 そもそもこのシリーズは、86年から放映開始されたアニメ「聖闘士星矢」のキャラクター商品『聖闘士聖衣大系』から系列が始まっている。
 このシリーズは、作品内に登場する聖闘士(セイント)・神闘士(ゴッドウォーリアー)・海闘士(マリーナ)がその身に装着する鎧を商品化したもので、各関節可動の人形(以降、素体と表記。これはすべてに適応する)に装着できるばかりではなく、別添の筐体に接続する事で“様々な形状のモニュメント”形態になるというものだった。
 ここでいう形状とは各聖闘士の象徴…鎧のモチーフの事であり、天馬や龍・鳳凰や鎖で巻かれたM女・その他様々な化け物など、実に様々なバリエーションがある。
 さらに表面にはフルメッキが施され、黄金聖闘士シリーズなどの豪華さはすばらしいものがあった。
 これにより、単なる鎧装着だけでなく“飾る”事が大きな意味を持ち、結果ものすごい人気を博するに至る。

 かなりの大ヒットを記録したこの商品の流れは、当然他の作品の商品にも引き継がれる事となり、これらは総じて「クロスシリーズ」と大雑把に呼称されるようになった。
 当然、その作品内に「クロス」という単語が登場していないにも関わらず、だ。
 
 その後、聖闘士シリーズと共通の素体を使用、筐体がなくなった代わりに装着型の武装・救命機器を豊富に添付した、「特警ウインスペクター」の『着化指令シリーズ』や、同系列・より関節可動箇所が減少した素体を利用した「特捜エクシードラフト」の『トライジャケットシリーズ』、素体が衣服を身につけているという変わり種「BLUE-SWAT」の『コンバットクロスシリーズ』等が登場した。
 「仮面ライダークウガ」以前のライダーシリーズにも当然こういった系列のものは存在し、「仮面ライダーBLACK RX」でも、RX・ロボライダー・バイオライダーに組み替えられる『チェンジクロス』が販売された。
 もっと突っ込むと、始祖とも言える同コンセプトの商品は「宇宙刑事シャリバン」の頃から存在している。

 他メーカーからも、当然似たようなコンセプトの商品は販売され、代表的なものはタカラの発売した「鎧伝サムライトルーパー」のヨロイギアがある(商品名失念…)。
 だが、これは聖闘士聖衣シリーズを意識しすぎて脱線した感が強く、最大のウリは「バネ仕込みの関節がグイングイン」するという、よくわからないものであった。モチーフも色彩も地味だった上に女性ファンによる人気に偏り過ぎたため、結果は惨敗だった。 
 バンダイも、「天空戦記シュラト」の神甲冑(シャクティと呼称。商品展開は主にプラモデルだった)を商品化。
 これはモチーフ形態が自走・飛行出来るという設定だったため、ミニ四駆状の筐体の上にシャクティをセッティングするという試みが施されていた。
 こんなところで、スチールセイント聖衣のコンセプトが生かされるとは思わなかった(嘘)。
 他にも、セガから「超音戦士ボーグマン」などが発売されたが、これまアーマー自体がまともに素体に装着させられないという、なかなかに悲しい完成度であった(敵であるダストジードまで商品化したのは大したものだ。…マスクがまともに被れたなら、だが)。

 しかし、80年代後半から90年代前半にかけてとかなりの長期間似たような商品が売られていたせいもあってか、一時期はかなり消費者に飽きられる傾向もあったようだ。
 そりゃあそうでしょう。なにせクロスとの関連付けさえ普通はしない「機動警察パトレイバー」の98-AVイングラムまであったくらいだから!
 これらは後に「SDガンダム」などのプラ系SD玩具の方にシフトし、しばらくリアルスタイル路線から姿を消す事となってしまった。

 個人的な印象論で大変恐縮だが、聖衣以外は特別ブレイクしたような記憶がない事を考察すると、「モニュメントになる」という、素体とは直接関連のない最大のギミック(又は売り)がありえない分、他のシリーズが見劣りしたのではないかと思われる。
 つまり、聖衣シリーズは「遊べる」上に「飾れる」というポイントがあったという事だ。
 しかも、生半可な商品を飾るのとは存在感が段違いだ。
 また限定版プレゼントによる販促効果も最大の効果を上げていたように思われる。
 対して、他のシリーズは素体から鎧をはずすと“脱ぎっぱなし”状態になり、完全に余り物と化してしまう。
 サムライトルーパーは一応のモニュメント形態があるが、ほぼすべて同一形状の上にギミックに欠けるため、ほとんど注目されるに至らなかった。
 これら商品の存在価値観を高めるためには、鎧を装着する際に「頭も装甲で覆う」という方法を採る事で「変身的効果」をもたらすしかないという結論に達した。
 「聖闘士シリーズ」と「SDガンダム」以外のこういった系列は、ほぼすべてマスクパーツが顔面を覆う形式である事を考えれば、ほぼ間違いない結論だと考える。
 しかし、それがイコール聖衣のコンセプトに打ち勝てたか…となると、かなり厳しい結果だったと言うしかないのも事実だ。
 武装をいくら追加しても、装着行程を工夫しても、明確な「鎧を着せ変える理由」がなければプレイバリューは生まれない。
 現在に至ってなお「聖闘士大系」を越える人気を得た商品が存在していない事実も、これを裏付けているのではなかろうか。

▼特別おまけコラム
「装着変身」と「聖闘士聖衣大系」の比較・技術の進化

 さて「仮面ライダークウガ」のキャラクター商品としてスタートした『装着変身』だが、もちろんこれも、同様の不安を持ち合わせている事に変わりはなかった。
 他のシリーズ・ブランドと同様の“素体人形にただアーマーを着せる”だけというコンセプトが、はたしてどれくらい世の中に受け入れられるだろうか?
 古くから玩具に興味を持っていた方々の中にも、こういった不安を抱いた方は多少なりともいらっしゃった事と思う。
 ましてや、基本的に換装用アーマーは別売りという形式だ。
 番組自体が元々抱えていた「5つの形態に変身するライダー」という、扱いが非常に難しい問題…
 商品が売れるか売れないかは、もはや番組内でのアイテムの使い分け方に完全に頼らなければいけないという、非常に危ういバランスだった。
 これは、うまく使えば売れ、そうでなければ売れないという、非常にわかりやすい現象が生じる可能性という事だ。
 そして「装着変身・仮面ライダークウガ」は、その両方を体現した非常に珍しいケースとなった。

1.「装着変身1」仮面ライダークウガ・マイティフォーム&グローイングフォームセット 定価2,500円

セット内容:

  • 五代雄介人形(素体)
  • マイティフォームアーマー
    (マスク複眼赤・小手×2・ボディ・ショルダー×2・ベルト赤)
  • グローイングフォームアーマー
    (マスク複眼橙・小手×2・ボディ・ショルダー×2・ベルト橙)
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • アーマー用素体型筐体
  • 取り扱い説明書
  • シール(台座用)

●前評判:

 実は本原稿執筆前に、当サイトの掲示板上および友人関係にアンケートをとってみた。(ご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました)
 いくつかの項目に分けて訪ねてみたのだが、一番最初のこの商品に対する感想はだいたい二分しているようだった。
 アンケートによると、この商品の段階では意外と注目していなかった人達が多かったように感じられる。
 もちろん、本商品が発売された頃には本編もすでに始まっていた訳で、その内容に注目して購買意欲を激しく煽られた人達も多かった事を付け加えねばならない。
 振り返ってみれば、後のシリーズの商品宣伝に比べて、「装着1マイティ」はかなり地味な告知だったようにも思える。
 雑誌宣伝もかなりあったとはいえ、強くプッシュする紹介記事を見た記憶がない。
 もちろん私個人の情報収集の範囲なので勘違いもあるかとは思われるが、少なくとも「商品が出ている事に気づかなかった」という人が結構いた事実は変わらない。
 個人的には、あまり強く押せない理由…つまり、メーカーにとって商品販売数の見込みが立たない状態だったからではないかと考えている。
 これは、バンダイがよくやるパターンだ。
 売れる自信の持てない商品の場合は初版を少数だけ流通させ、その販売成績を参考に再販を決定し、そこからが本格流通となるケース。
 本商品は、近年ではその典型的な例となった。
 初版はほとんど“発売と同時に完売”となり、入手困難状態が結構長い間続く事となる。
 「装着変身4タイタンフォーム」(後述)販売の辺りからようやく再販版が均等に出回り始めた気配があった。
 すぐに入手できなくて泣いた人、さんざん探し回った経験を持つ方も多かったのではないだろうか?

●概要:

 「装着変身」シリーズのコンセプトは、まずこのセット“マイティ&グローイングフォーム”をベーシックとして、別売りのアーマー“フォームチェンジ後のクウガの外装”に付け替えて遊ぶというものだ。
 先に挙げた不安要素が、番組内での見事なフォーム使い分け描写によってうち破られた事は、ここであらためて説明するまでもないと思う。
 これは「聖衣シリーズ」とはまったく趣を別にした“ウリ”であり、今までありそうでなかった“コロンブスの卵”的発想が成功の要因となった事は疑いようがない。

 まず、基本体となる“五代雄介人形”。 
 祖となる「聖衣シリーズ」との形状の違いはすでに触れたので、ここではその商品紹介のスタイルにも触れてみたい。
 「装着変身」は、人間の姿(素体)に装甲(フォームアーマー)を取り付ける事で“仮面ライダークウガ”になるというものなので、変身前の姿にも細心の注意が払われていたようだ。
 この素体の顔は、こういった形状の玩具全シリーズのものと比較しても、多分ベストと言えるくらいに本物に似ている。
 そう感じない人も多いとは思われるが、これまでの(そして、この後の旧ライダーシリーズ・アギトシリーズ)物の作りとは完全に別物だ。
 メーカーもかなりの自信を持ってウリにしていたらしく、当初雑誌媒体での告知の際は「商品を直接見て驚いてくれ!」といわんがばかりに素体の顔部分を隠していた。
 筆者は、購入当初「言うほどではないかなぁ」と感じていたが、番組が進むにつれ、だんだん「やっぱ似ているかも」と思うようになった。
 特に、五代が憂いを込めた表情をした時(もちろん本編ではほとんどなかった描写だが)の表情がすごく似ている! と感じていたものだ。
 先の細かいペンで、ほくろを付けて遊んでいた人はいるだろうか?

 可動範囲が広いだけではなく、工夫すれば様々な表情を出してくれる造形も大変人気が高い。
 「足や膝の関節がすぐヘタれる」「首がまわりにくい」などの欠点もあるものの、それを補って余りあるプレイバリューがある。
 また細身なスタイルをさらに強調した“デフォルメ”が良い効果を発揮しており、飾り物としても大変意味がある。
 購入直後、ここまで可動し、かつ様々なポージングが可能である事に驚愕した人は多かったのだ。

 さて、変身後の姿を象徴するアーマー。
 基本セットですでに換装用アーマーがあるというのは大変に嬉しいもので、当初「これで2500円は結構おいしいかも!」とつぶやいた記憶がある。

 マイティ&グローイングフォームの上半身アーマーの完成度はかなりのもので、その表面の塗装・加工・形状ともにほとんど問題らしい問題がない。
 強いてあげれば「内側に空間が若干生まれるためか、素体との密着性が感じられない」というものがあるが、そこまで求めるのは贅沢かもしれない。
 (その後、この部分を改善したと考えられるアギトが悲惨な状態を発生させた事を考えると、これで正解だった気もしてくる) 
 うまくすれば、トライチェイサー等に搭乗しているスタイルのままで脱着させる事も可能である。
 表面の塗装はパール状に輝く独特のもので、こういった装着モノの中でも異彩を放つ美しさだ。
 
 一方マスクだが、こちらについてはちょっと造形的にどうかと思われる部分が目立つ。
 複眼部の割合が大きく感じられ、べったりとした塗装が施されているだけなので、アニメキャラ商品的な印象が拭えない。
 これは角の小さいグローイングフォームでより強調されている感があるが、ちょっとだけ残念に思える所だ。
 仕方ない事ではあるが、全体がプラ製でありアーマー各部と比較されやすい事も、印象を悪くしている要因なのかもしれない。
 なぜかこのフォームセットとアルティメットフォームだけが、角に塗装が施されている。

 腕部装甲は、この後の基本フォーム3態と造形的には共通のようだ。
 裏側の凸部の口径が小さいのか、素体の方の問題なのか、とにかく抜け落ちやすいために破損・傷が付きやすい部分。
 これが発売された時点ではまだ「素体の手首が抜ける」という事が知られておらず、かつギミックに生かされる予定がなかったためか、「アギト・バーニングフォーム」のような形状は考えられなかったようだ。
 とにかく新品・中古問わずよく抜け落ちる。
 「聖衣シリーズ」からの系譜を、そのまま引き継いだだめに発生した問題箇所なのかもしれない。
 個人的には、どう見ても硬質素材に見えない実物のクウガ着ぐるみ腕部を、金属パーツにする必要性が見いだせなかった。
 肩パーツはすべてのシリーズが一体成形で構成されており、素体肩部の凹部に、アーマー裏側の凸部を押し込んで装着する。

 さてベルトだが、細かい塗装はオミットされているもののなかなかの造形で、しかもその接続形式からは想像出来ないくらいにはまりが良く、勝手にはずれる事が少ない。
 過去の玩具系雑誌の記事によると、素体人形の胴体部可動がオミットされたのは、この接続保持力を保つためだったらしい。
 小さいながらもプラ製でなくダイキャスト製のため質感も良く、かなりのものである…のだが、実はここだけ塗装が他の部分よりも剥げやすくなっている事に気付かれた方はいらっしゃっただろうか?
 ベルトの中央部は、フォームの各色に合わせた塗装が施されているが、ここだけ塗料の結着が弱いのか塗料の質が違うのか、些細な摩擦でもダメージを受ける場合がある。
 「ドカーン!」「バキーン!」「トォー!」と遊ぶ御仁は、特に注意して扱って欲しいパーツだ(爆)。

 筐体は、肩の付け根が回転する以外可動箇所を持たない、空のアーマーを保持させるための付属品だ。
 各基本フォームセットに付属し、それぞれのカラーに合った成形色で作られている。
 さりげなく非常に便利な存在なのだが、この便利さは「装着変身6 アルティメットフォーム」以降痛感させられる事になる。
 髪型と体型表現のリアルさから「さぶ臭」が漂っているという件については、暗黙の内に箝口令が敷かれているという。

 ちなみにこれは、微妙な形状違いによって「装着変身・仮面ライダーアギト」シリーズのアーマーをまとわせる事が出来ない。

●展開:

 実はこの商品は、発売前の紹介写真と実物とでいくつかの相違点がある。
 細かい所についてはいろいろな意見があるようなので割愛するが、最も目立つ部分は「足首の金メッキ」だろうか。
 紹介写真を見る限りでは、当初足首は「黄金聖衣」のメッキ状の輝きを持っていた。
 ここで「黄金聖衣の白銀聖衣化現象」に泣かされた方は、ちょっと警戒したかもしれない。
 
 またこれは完全に“噂”としてしか聞いていない未確認情報なのだが、初版のマイティ&グローイングセットの両肩のアーマーがそれぞれ二分割式だった…という話を聞いた事がある。
 どえらくハマりが悪く、すぐに分解してしまうために再販版では改められた、というのだが…本当の所はどうだったんだろ?
 かつてプラモデルで、「宇宙の騎士テッカマンブレード」の両脇のブースターパーツ等の構成が変更になったり、超合金魂「マジンガーZ」の腕の磁石の磁力強度が高められたりした事があったから、再販時に手直しされた可能性は否定できない。
 情報をご存知の方、いらっしゃったら是非ご教授ください。

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2.「装着変身2」仮面ライダークウガドラゴンフォーム 定価各1,200円

◆セット内容:

  • アーマー各種
    (マスク青・小手×2・ボディ・ショルダー×2・ベルト青)
  • ドラゴンロッド
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • アーマー用素体型筐体
  • 取り扱い説明書
  • シール(台座用)

●前評判:

 「装着変身1」にやや遅れて順番に登場したのが、この換装用アーマー各セット。
 実はこれも私が探し始めた時点では品物がどこにもない状態で、初期は比較的入手困難だった物。
 若干時期をずらしてドラゴン、ペガサス、タイタンの順で発売されたと記憶している。
 タイタンフォーム発売の時期と前後してマイティ&グローイングセットの再販販売数も安定し始めたため、出揃う頃には充分遊べたと思われるが、それまではどちらかしか持っていない人も多かったらしく、いつか素体を入手した時のために先行でアーマーだけ買ったり、またはその逆を見越した人もいたとか。

 ドラゴンフォームは、スピードと棒術による戦闘能力が秀でた形態で、棒状の物体を変形させ、ドラゴンロッドとして使用する能力を持っているという設定。
 この商品は、とにかく全体の色の渋さが魅力だ。
 また形状もシャープで、引き締まった感じが凄く良いと思われる。
 一番オーバーアクションさせたいのに、両肩部を包み込む形状のため意外と自由が利かない(どうしようもない)欠点もあるにはあるが、肩部分を黒の成形色として素体との一体感を高めているため、他のフォームとラインが似ているにも関わらず、まったく違うスタイルに見えるというおもしろい特徴がある。
 とにかく、明るい青にしなかったのは大正解だろう。

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3.「装着変身3」仮面ライダークウガペガサスフォーム 定価各1,200円

◆セット内容:

  • アーマー各種
    (マスク緑・小手×2・ボディ・右用ショルダー・左用ショルダー
     ・右上腕用リング・ベルト緑)
  • ペガサスボウガン
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • アーマー用素体型筐体
  • 取り扱い説明書
  • シール(台座用)

 ペガサスフォームは、50秒間という時間制限を持つ代わりに卓越した超感覚を身に付ける形態。
 超々距離狙撃や索敵能力に優れ、一条刑事の拳銃を変形させて、ペガサスボウガンとして使用する事が出来る。
 ほとんど動かないで敵を倒すという、ライダーにしてはかなり珍しい戦闘スタイルを持っている。
 タイタンほどでないが首元を覆うアーマーと、独特の肩パーツによる左右非対称のラインがおもしろくかつ素晴らしい。
 色も、流行りのエメラルド系ではなく純緑系を採用しているのが特徴だろうか。
 これも右腕の可動幅がパーツによって阻害されているため、あまり自由は利かないのだが、元々あまり動かないフォームであるためかさほど大きな問題とはならないように感じられる。
 ただ、ペガサスボウガンをうまくかつカッコよく構えさせるためにはちょっとしたコツが必要のようだ。
 しかし、当然というか1.2を争う地味なフォームであるためか、いまだこれだけ売れ残っているのをよく見かける。

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4.「装着変身4」仮面ライダークウガタイタンフォーム 定価各1,200円

◆セット内容:

  • アーマー各種
    (マスク紫・小手×2・ボディ・ショルダー×2・ベルト紫)
  • タイタンソード
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • アーマー用素体型筐体
  • 取り扱い説明書
  • シール(台座用)

 タイタンフォームは、装甲の強度をさらに高め、動きの素早さを失う代わりに強力なパワーを身に付ける形態。
 ドラゴンフォームが戦闘不能になる程の攻撃にもビクともしない頑丈さを持つ。
 棒状の物体を変形させ、2段階に伸縮するタイタンソードとして使用する能力を持つ。
 甲冑をモチーフとした首元をほぼ完全にホールドするアーマーと、これまでのライダーと一線を画する肩の形状が特徴で、どうやら子供達に一番の人気があったらしい。
 一部ではアギトのデザインフォーマットとなったという説もあるが、これは定かではない。
 先にも触れた通り、基本カラーが紫なのにベーシックカラーは銀色というカラーリングセンスがたまらなくかっこいい。
 本編ではあまり大きな動きを見せなかったフォームのためか、ポーズのバリエーションに悩む事もあるかもしれないが、実は一番大きな可動範囲を持ち、腕部に至ってはほとんど可動制約ゼロとなっている。
 もちろん完全に本編同様の形状ではなく、2段目の内側肩アーマーはオミットされているが、そこまで求める人はあまりいないのではなかろうか?

●展開:

 ほぼ一年越しで販売された商品群で、その人気の高さはいまだ衰えないようにも感じられる。
 いずれも非常に印象深い使い方をされ、特徴を生かし切った演出に彩られたため、「こんなにたくさんの形態があっても使いこなせないだろう」という当初の不安を、完全に振り払う事に成功した。
 これはものすごい成功要素で、近年希に見る販売促進を生み出すに至る。
 その反応は商品の売り上げが証明したと言い切れる。
 もちろん装着変身だけの影響ではなく、前回紹介した「DXトライゴウラム」やその他関連商品総合の影響である事は言うまでもない。
 番組終了期に起こった「クウガの関連商品は売れたか否か」論争の火種が生まれたのは、こういう背景が存在したためである。

●概要

 右腕部の腕輪がある分、ペガサスフォームだけ1パーツ多いが、基本的には皆同様の部品構成。
 それぞれのモチーフカラーで統一されているのは当然だが、それぞれのカラーリングや形状をじっくり観察すると、なかなか芸コマな部分が見て取れる。
 例えばドラゴンフォームの胴体アーマーは肩の付け根部分と胴体部分の彩色が微妙に異なっており、同系色の2トーンカラーになっている。
 また筆者一番のお気に入りであるペガサスフォームは、その胸の凹凸のディテールとそのエッジが素晴らしく、タイタンフォームは単純な紫ベースの彩色とせず、銀色ベースに紫ラインという逆転の発想が渋い(ライジング版は紫ベースに金ラインだが、これもまた違った趣がある)。
 
 次に武器だが、軟質ビニール(でしょ?)製の無可変単体成形で、ギミックがない分人形との対比や全体のラインに注意が払われているようだ。
 成形上の都合でタイタンソードの中心部が抜きになっていないのは残念ではあるが、それを求めるのは贅沢というものだろう。
 ドラゴンロッドの先端部の宝珠状部分の彩色がない以外は、いずれも全体的にかなり丁寧な彩色が施されている。
 うまく工夫する事によってドラゴンロッドをやや正面向きまたは背面・後方に構えられたり、ペガサスボウガンの後部トリガー(?)を引くような姿勢を取れたりとなかなか自由が利くのが嬉しい。

 さて、次にグリップの問題について。
 構える事そのものにはバリエーションに溢れていて結構なのだが、それを長時間保持させる事は結構大変だったりする。
 それは、素体の指可動部分の保持が意外と甘くなりやすいため、ゆるみが発生してしまうからだ。
 しかし、ここで誤解のないように説明しておくと、これでも「聖闘士聖衣大系」全体などの旧シリーズのものよりはかなり改善されているのだ。
 購入当初はそれなりの固さを持っているわけだから、これは単純に使用頻度による個体差ではないだろうか…
 筆者が持っているものは、タイタンソードなどのように片側に重量が偏るものは手首が回転し、その後によく取り落とすが、ドラゴンロッドなどはずっと持ち続ける事が可能である。これまでもかなり色々ポーズ付けして遊んだ記憶がある。
 ガンダムのプラモデルでも同様の構造の物は似たような問題が起こっていた事からも、“親指固定・指2本ずつ根本のみ可動”形式は構造的に限界なのかもしれない。
 ちなみに指関節の強度アップについては、何かしらの溶剤の塗布しかないようだ。
 もちろん付け過ぎは「パキッ」「アンギャーッ!」状態を併発するので、気をつけてかかりたい。

 筐体は、それぞれの基本カラーのクリア成形。
 並べて飾るとなかなかゴージャスだ。
 マイティ&グローイングのものも同型なのだが、筐体または素体を飾る台座も嬉しい。
 左右に開いた穴にはそれぞれ武器がホールド可能で、一つにつき2つまで接続可能。
 ただし立てて飾る事になるドラゴンロッドやタイタンソードは、その材質の関係でだんだんしなってくる。
 「アギト」の武器がなかなかしならないように大型化・硬質化しているのは、多分これを改善したためだと考えられる。

 ここでとある興味深い話に触れてみよう。

 人づてで聞いた話であるため、私自身確証や裏付けを取ってないという事を先に断っておくが、この後登場する「ライジングフォーム」は当初の登場予定・スタイルを大幅に変更させられてしまったという噂がある。
 なんでも当初はタイタンフォームに次ぐ6番目の最新独立形態だったらしく、これが最強の形態であったらしい。

 ところが、本編では「マイティ・ドラゴン・ペガサス・タイタン各フォームのブーストアップバージョン」という存在となり、しかもその持続時間はいずれも30秒という設定を背負って現れた。
 ウルトラマンを例に取るまでもなく、時間制限を持つヒーロー番組の場合、全体の作品時間内から実質的な活動場面を計算し、これを設定上のタイムリミットとする場合がほとんどだ。
 だが、クウガの場合これとは意味の異なるタイムリミット設定を持った形態“ペガサス”が存在した事から、すべてが当てはまるとは考えづらい。
 つまり、ライジングの30秒は番組構成上の都合で設定されたタイムリミットではない、という見方の方が濃厚なのだ。

 ゴ・ガドル・バ戦の直前で、五代はさらなる電気ショックを得る事でライジングとしてのタイムリミット制限を完全に打破してしまう。
 おりしもそれは、もはや展開上旧フォームを出す必要がなくなった時期でもあった。

 …これはどういう事なんだろうか?

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3.装着変身5 仮面ライダークウガライジングフォームセット 定価4,500円

◆セット内容:

  • 五代雄介人形(素体)
  • ライジングマイティフォーム:
    アーマー各種 (マスク複眼赤・小手×2・ボディ・ショルダー×2)
  • マイティアンクレット
  • ライジングドラゴンフォーム:
  • アーマー各種 (マスク青・小手×2・ボディ・ショルダー×2)
  • ライジングドラゴンロッド
  • ライジングペガサスフォーム:
  • アーマー各種 (マスク緑・小手×2・ボディ・右用ショルダー・左用ショルダー・右上腕用リング)
  • ライジングペガサスボウガン
  • ライジングタイタンフォーム:
  • アーマー各種 (マスク紫・小手×2・ボディ・ショルダー×2)
  • ライジングタイタンソード
  • ライジング用ベルト(全フォーム共通)
  • ライジング用ベルト(全フォーム共通・発光ギミック有)
  • 各フォーム用手甲パーツ(ランナーパーツ)
  • ベルト発光用電池ボックス
  • アーマー収納用ボックス(棺桶型)
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • 取り扱い説明書
  • シール

 この商品が出たのは前回紹介した「DXビートゴウラム」より少し前の時期だが、この頃から“クウガ商品大人気”現象に陰りが見え始めた。
 結論から先に言えば、この商品はものすごく売れ残った。
 番組終了間際には、各所で1セット1,000円前後にまで価格を暴落させまくり、いまだに豊富な在庫を抱えている店舗も少なくないという。
 
 念の為記しておくが、商品の出来が悪かった訳では決してない。
 それどころか、この価格でよくまあここまで沢山盛り込んだものだと、感心せざるを得ない。
 おそらくバンダイとしても、かなりの自信を持って繰り出した商品だったのではないかと推察されるが…
 こういった背景の分析も兼ねて、触れていってみたいと思う。

●前評判:

 こちらについてもアンケートを採ってみたが、少なくとも商品化を両手を上げて喜んだという人の意見は皆無だった。
 確かに、ライジングフォームセットには購買意欲抑揚効果や牽引力が乏しかった。
 それなりに見せ場はあるものの、結局2回しか登場していないライジングドラゴンや、結構強い筈なのにピンチの場面の印象の方が強い(私だけ?)ライジングタイタンなど、アピールが決定的に足りていなかったのは間違いあるまい。
 
 あれだけの大人気と評判を呼んだクウガ商品…しかも次期主力商品だというのにこの扱いの落差は…

 商品の内容に触れてみよう。

 まずは五代人形(素体)。
 手首のパーツが以前のマイティ&グローイングフォームセットのものと変わり、フォーム別の手甲パーツを接続出来る形式に変更された。
 これは具体的にどういうものかというと、以前あった手甲部分のモールドがそぎ落とされ、中央部に小さな穴が開いている。
 ここに、5ミリ四方程度の大きさで裏側に凸パーツのある“手甲”をはめ込むというものだ。
 だが素体の手首は引っこ抜けるため、腕全体を新造した訳ではないのだ。
 私は手甲チップの紛失が怖かったため、手首をマイティ付属のものと交換して飾っていた(^^;。
 
 また、股関節の強度が以前のものより増したという報告もあるが、これも裏付けは取れていない。
 分解したら、股関節部に両面テープが挟まっていた…などという報告もどこかで目にしたが、確かにこれをやればカタカタは収まるからねぇ…う〜ん。

 各アーマーは、実はほとんど変更がない。
 唯一腕の装甲にラインの浮き彫りが一本追加されたが、それ以外は彩色変更のみ。
 基本的には、これまでの各アーマーに金色の塗装が加わるといったもの。
 本商品の完全新造パーツは、ベルト以外の装着物ではマイティアンクレットのみとなっている(型加工のライジングウェポンは対象外)。
 一番印象が変わったのは、ほぼ全身のカラーリングが変更された唯一のフォーム・Rタイタンだろう。
 これまで銀色地に紫のラインだったものが、紫ベースに金色ラインのものに変更となった。
 いかにも甲冑然としたノーマルに対して、より豪華な高等装備という印象にチェンジしたRタイタンは、個人的にポイントが高い。
 もちろん、他にもRドラゴンなんかもイメージが大きく変わっている。
 黒成形色だった肩アーマーは、ボディカラーと同じ青に金色の縁取りが施され、さらに肩口にも金色のラインが入ったためか“中国格闘家風のベスト型装甲”は、一転ブレストプレートアーマーのような形状に変化した。
 そういえば、マイティフォームのみマスクが若干異なっている。
 先にも触れたが、前フォームセットの角部分には塗装が施されていたのだが、本商品ではすべてのフォームのマスクの角は未塗装となっている。
 後に単独発売された「装着変身 仮面ライダークウガ・マイティフォーム(定価1,500円)」は、実はこちらのマスクが流用されている。
 
 ライジングウェポンとは、これまでの各フォームの武器にライジングパーツなる増加部品が付いて長さとボリュームがアップしたもので、ライジング化と同時に2段階目の変形を遂げたものという設定だ。
 実際には矢印型の刃状パーツで各ウェポンを挟み込んだり、先端に被せたりしただけなのだが、その形状や使い方まで変わるのは面白い。
 玩具でもこれで過剰な大型化が果たされ、結構格好良い。
 なりきり玩具系ではどうしても「武器の長さ制限」があるため、満足度は落ちてしまう所があるが、それを補うかのように巨大なのは好感度高いかも。
 
 これの善し悪しは個人的嗜好による所も大きいと思うので断定は避けたいが、私はライジングドラゴンロッド以外はなかなかいい線行っていると思っている。
 Rドラゴンロッドは、素体にとって一番握りやすい部分…ドラゴンロッドで言うところの先端宝珠部分から本体部を繋ぐ細い部分がほとんどなく、握り拳1つ分すらないため、ここを掴ませるためにはかなりの工夫が必要となる。
 本当は一番太い部分も掴めるのだが、あまりしっくりこなくて、総合的にはかなり持たせにくいものとなってしまっている。
 せめてもう少しここにゆとりがあれば…とも考えるのだが、それは贅沢なのだろうか。
 ノーマル時の宝珠部分も、側面にポッチリ表現されている所が、なんか可愛い。
 もっとも、持たせにくさといえばRタイタンソードもなかなかの物で、重さのバランスから素体の指関節が勝手に開いてしまい、保持が利かないなんて事もあるが。 
 で、唯一完全新造のマイティアンクレットだが、これはさすがに本編とはあまり似ていない造形となってしまったが、それよりも“足首部分に装着する”という感覚を優先させた好アイテムだ。
 未発売のフォーム“アメイジングマイティ”を改造で作る際、このパーツを2つ用意しなくてはならなかった。
 さりげなくスタイルを彩るポイントとなるもので、ライジングとそうでないマイティを見分ける役目も果たしている。
 軟質樹脂で出来ているため、足に巻き付けるようなスタイルとなっているが、後にこれを応用して「アルティメットフォーム」の腕や足の装甲が特殊なものになった。

 ライジングフォーム用のベルトだが、これは結構顰蹙だったようだ。
 このセットには、普通に装着できるものと、バックルの部分に点灯ギミックが仕込まれているものの2種類のベルトが入っている。
 普通のタイプについては特筆する事はないが(モールド等の完成度は高いが…)、点灯タイプの方を利用するためには、バッテリーを別に接続しなくてはならないという問題がある。

 あんな小さなパーツにバッテリーを内臓する事は不可能なため、商品では“ベルト発光用電池ボックス”なるものを用意し、これを人形に背負わせるという方式を取った。
 これを装着した時のマヌケさときたら…ご存知ない人は写真を参照していただきたいが、その誇らしげ過ぎる存在感は、多くのユーザーの不評を買った。
 また肝心のベルト自体、バックルがほとんど光らないというお粗末さ。
 というか、決して“点滅”ではなく“点灯”なのだ。
 つまり、スイッチを入れている間ずっと光っているだけ。
 さらに、光っているのはバックルの面積よりも一回り小さな部分だけで、あまつさえ“四角く”ちまっと光るだけ。
 明るい所で点けると、ほとんどわからないくらいに光量も少ない。
 まるでそれがある事に意味が見出せない、無意味なギミックの集合体となってしまっている。
 この点灯ギミックベルト、それ自体が大きすぎてバランスが悪く、電池ボックスなしで保持も出来ないため、いつもと気分を変えて装着。 という事すらできない。
 この商品を購入する前から、かなり不要視されていたのは言うまでもない。

 

 ベルトの不評に対して、その便利さ・デザインの良さを讃えられたのが、アーマー収納用ボックス。
 いわゆる“棺桶”だが、これがあるとないとでは商品全体の価値観がまるで変わってしまう。それくらい重要なアイテムだった。
 このボックスは、先代クウガのミイラが眠っていた棺桶を模しており、表面にはリント文字がびっしり浮き彫りされている。

 ボックスのリント文字は、中に人が収まっている前提で右肩から足下にかけての一段目は

(左から読んで) 邪悪なる者 あらば 希望の 霊石を 身に付け 炎の ごとく 邪悪を 打ち倒す 戦士あり

 足下の折れ目の左側1文字目から、やはり左読みで

(左から読んで)心清く 体健やかなる者 これを 身に付けよ さらば 戦士クウガと ならん

 左肩から足下にかけて

(右から読んで)邪悪なる者 あらば その技を 無に 帰し 流水の ごとく 邪悪を なぎ払う 戦士あり

 二段目は、右腰から足下方向に

(左から読んで)邪悪なる者 あらば その姿を 彼方より 知りて

 足下の5文字を飛ばして、左の足下から左腰に掛けて

(左から読んで)風の ごとく 邪悪を 射抜く 戦士あり

となっている。
 足下中央の1文字は、クウガの襟などにも書かれている区切り用の文字らしい。
 棺の蓋中央には、上から3段目まで、左書きで1段ずつ

邪悪なる者 あらば
 鋼の 鎧を 身に付け 地割れの
  ごとく 邪悪を 切り裂く 戦士あり

となっている。
 足下や蓋の4段目に書いてある2つの文字は、この棺にしか書かれていない文字だという。
 だいたい…

 はずしたもの(アーマー)を 入れる箱

 といった感じの意味になるらしい。
 (以上、鷹羽飛鳥氏より。最後の一文は氏の見解による解釈も多く含まれているので注意の事)

 2重底式の棺桶には、なんと、素体と武器・電池ボックス以外のすべての装着品がまとめて収納できるようになっている。
 欲をいえば蓋のストッパーが欲しかった所であるが、これは髪を結ぶゴムなどを巻いてしまえば外れなくなるので、収納箱としてはかなり高ポイントだ。

 各フォーム用手甲パーツは、先にも触れた通り数ミリ四方のプラ板にそれぞれのフォームのシンボルマークともいえるリント文字がプリントされたもので、ランナーから切り取って素体の手の甲にはめる。
 ご想像の通りかなり小さいため、すごくなくしやすい。
 裏面の凸部はかなり太めの口径で作られていて、素体にしっかりハマるのでなかなか落ちる事はな…くない。実際は結構ポロポロ落ちる。
 一見しっかりハマっているように見えて、実はハマりがゆるいという事もしばしばなので、パーツ紛失を恐れるならばいっそ使用しないままの方がいいというシロモノでもある。
 このパーツ、出来はいいものの着せ替えの際にすごく手間をかけてしまうため、個人的には大嫌い。
 しかし、これがないとまた締まらないというのも事実なのである。う〜ん…

 ちなみにこれは、後年「アギト」で手首そのものを丸ごと取り替えるという形式で改訂したようだ。

●展開

 商品の完成度については、部分的な不満はあったものの全体的にはかなり好印象だったと言い切れるだろう。
 にも関わらず、ここまで悲惨な扱いとなってしまった背景は何だったのだろうか?

 ライジングフォームは、先の通りほとんどまともに本編に登場出来なかった形態ばかりだ。
 否、正確にはそれなりの活躍はしているのだが、さほど印象に残る場面がない。
 初ライジング化の対メ・ガリマ・バ戦や、ライジングマイティによる対ゴ・ガメゴ・レ戦でのキック、あるいはゴ・ジャラジ・ダにとどめを刺すRタイタンくらいしか思いつかないという人もいるのではないだろうか?(個人的にはもちろんまだ色々あるけれど)
 つまり、ライジングのスタイル・外観がほとんど元のフォームと変化ない所や、実際の戦闘スタイルに差が少ないというのが、注目されない最大の原因ではないかと推察される。
 おそらく子供にとっては、あまり大した違いは感じられなかったのではないだろうか。
 ライジングフォームへの超変身が、本編内でうまく利用されていた事は間違いないが、イコール商品アピールには繋がっていないというのが問題だったという意見もある。
 なるほど、それならばこれだけの在庫過多の結果も納得がいく。
 では、そもそもなんでこんな形態が登場する必要があったのだろうか。

 ライジングフォームが、当初予定されていた“クウガ最強の第六形態”だったらしいという事は先に触れた。
 これの登場時期をいつ頃にするつもりだったのかは推測の域を出ないが、やはりそれなりに後の方にしなくては意味をなさない。
 だが、どうもこれの登場はスポンサーによって早められたらしい風潮がある。
 実際、そこまでのクウガのストーリーラインのあり方を見ていると、あるものが伺えるのだ。
 「習慣鷹羽」でもかつて触れられていたが、「仮面ライダークウガ」という作品はほぼすべてのエピソードで必ず何かしらの新しい要素が出続けるというすごい展開だった。
 もちろんこれは終盤直前までの話であるが、前後編のうち後編に至って、それまでになかった要素が登場して逆転するというケースが多かった事に、納得していただける方も多いと思う。
 ところが、クウガがライジング化の必然に迫られる時期は、物語の謎解き等を別とすると、ほとんどこういったものがなくなってしまう。
 ゴウラムの件もあらかた出揃い、各フォームの描写もそれなりに成功していた。
 元々“明確なパワーアップ要素を盛り込みにくい”仮面ライダーという番組独特の性質もあって、あとはせいぜい(誰もが予想していた)新型バイクの登場くらいしか花がなかったのだ。
 新型バイク・ビートチェイサーが登場するのは対ゴ・バダー・バ戦。ゴのゲゲルが中盤に差し掛かる頃だった。
 これの登場時期を仮に早めたとしても、終盤まで作品への牽引力を維持する事は困難である事は、おそらくスポンサーにも容易に想像できたのではないか。
 結果、中盤までに“もっと小出しに出来るネタ”を用意しなくてはならず、しかもそれらは単体・小数ではいけなかった。
 
 もし、この状態でフォームがもっともっと増えれば…

 間を持たせるには最高の案…のつもりだったのかもしれない。
 ここまでの推測の何割かが当たっていたとしたら、こういう考えが出るのはしごく当然の事だっただろう。
 どうも、このライジング登場繰り上げと、用途の変更は制作中枢部にとってかなり面白くないものだったらしい。
 その結果が、この後に紹介する「アルティメットフォーム」に多大な影響を与えた、というのが通説だが…

 本当の所はどうなのだろうか?

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4.装着変身6“仮面ライダークウガ アルティメットフォーム 定価2,980円

◆セット内容:

  • 五代雄介人形(素体・アルティメット専用バージョン)
  • アルティメットフォームアーマー
    (マスク・小手×2・ボディ・ショルダー×2・ベルト・足アーマー×2)
  • ブラック・ライジングウェポン×4
    (ライジングドラゴンロッド・ライジングペガサスボウガン・ライジングタイタンソード)
  • ゴ・ガドル・バ人形
  • 飾り用台座
  • 背景パネル(紙製)
  • 取り扱い説明書
  • シール(台座用)

 アルティメットフォームは、クウガの最終形態という触れ込みで登場した、黒い異形の姿。
 尖った肩や腕・足の装甲と、むき出しの牙と鬼の角を連想させる形相のマスクなどが特徴で、その姿はまさしく“悪魔”のようですらある。

 ヒーローらしからぬそのデザインと、どのような登場の仕方をするだろうかという注目を一身に集めた話題のファイナルフォームであったが、実はこの商品、先のライジングフォームセットをも凌駕する不人気で、さらなる在庫過多状況を作り上げてしまった。
 当時(といっても、これを書いてるほぼ一年前だが)を知らない方のためにちょっとだけ触れると、実はこのフォーム、2000年の10月発売の児童誌に初めてその全体の姿が発表されたのだが、実際にTV本編内に登場・活躍したのはなんと翌年(2001年)1月だった。
 しかも、これは最終回の一つ前(48話)。
 あげくに、活躍内容が最後の敵ン・ダグバ・ゼバとただ延々殴り合うというだけ。
 しかも途中で変身が解けてしまうため、実質的な活動はほとんどなかったに等しい。
 つまり、出番の少ないライジングフォームよりもさらに少なかった訳だ。
 児童誌に新しい要素が発表されると、だいたいその月のうち(11月号なら11月中という意)にそれは登場するというのがセオリーだった。
 だがアルティメットフォームはこの月の放送では「五代雄介が見る幻影」として登場しただけで、それから48話登場まで、ひたすらその存在を引っ張り続けたのだ。

 なぜ、最終フォームがここまで引っ張る事が出来たか。

 それは、稀代の優しさと暖かさを持つ好青年・五代雄介が、憎悪の感情などでクウガの力を暴走させ、その結果転じる“邪悪かつ最強の存在”であるという噂が流れたからだ。
 つまり、アルティメットフォームは五代asクウガにとって「なってはならない形態」というスタンスだったのだ。
 だから、まるで悪鬼のようなデザインだったというもの。
 そして、五代自身ゴ・ジャラジ・ダとの戦闘の際にこの幻影を見てから、“アルティメットフォームにならないよう”気をつけて戦いに挑んでいく…とまあ、だいたいこんな背景があった。

●前評判

 アルティメットフォームは、メインのクウガ商品ではほぼラストの時期に発売されたもので、当然本登場よりもはるか前から発売されていた。
 当初、アルティメットフォーム自体が「正体不明の存在」という扱いで発表されており、つまり五代雄介ではない、まったく別のクウガとも取れるような表記がされていたのだ。これが、アルティメットの話題をある程度盛り上げた題材となったのも確かだ。
 ところが、商品宣伝媒体ではしっかり素体の顔部分が公開されており、五代が変身する姿だという事を堂々とバラしてしまっていた。
 こういったスターティングもあり、全体的にどこかおかしな宣伝がまかり通ってしまった感があった。
 
 そして、当然まだ画面にまともに登場していない存在である。
 商品が店頭に並んでも、本来のターゲット層である子供も、そしてマニア・コレクター達も今回ばかりは躊躇したらしい。
 発売時期全体を通して、これが好評を以て迎え入れられた光景は見たことがない。
 実際、アンケートなどでもかなり辛い評価が多く、ほとんど興味を引く対象とは成り得なかった事が伺える。
 当初あれだけの大人気を博したシリーズのラストを飾るものとは、とても思えない様子だった。
 
 とはいえ、これも決して商品がよくない物だった訳ではない。
 商品内容に触れてみよう。

 まず素体。
 アルティメットフォームの五代人形は、専用のものとなっている。
 もちろん基本構造は今までのものと同じなので他のフォームアーマーを着せる事も出来るのだが、手首にはアルティメットを表すリント文字のエンブレムがプリントされた手甲、そして太股部分にはアルティメットフォーム独特の血管状のモールドが走っている。
 これはパーツの浮き彫りと金色のラインの印刷で表現されていて、なかなかいい感じ( この塗装は結構すぐに剥げ始めてしまうため、注意が必要だったりする)。
 ただ、これがあるために他のフォームとの換装で遊ぶという楽しみが阻害されてしまった感は否めない。
 要は気にするか、しないかの違いなのだが…

 現在もそういう傾向があるが、別商品のソフビを分解し、この素体に装着させる事で関節フル可動の怪人人形を作り出したり、装着変身よりも納得のいくフォルムのクウガを作るといった改造が流行った事がある。
 その際、このアルティメットの素体はもってこいだったらしい。
 安売りで安価で手に入る上に、基本カラーが黒なので応用が利かせやすい。
 太股の部分さえなんとかすれば、これ以上の素材はないのだから。

 各アーマーは、ちょっとこれまでの装着変身のものとは性格が異なるように感じられる。
 肩アーマーは、マイティやドラゴンのような丸く肩を包み込む形状のものに、ななめ上に反り返った棘がくっついているようなスタイルとなっているが、こういった形状のため、あまり充分な可動率を持っているとは言い難い。
 一方、腕や足のアーマーはかなりタイプが変わっており、ライジングマイティのアンクレットのように、それぞれ腕や足に巻き付ける形式のものになっている。
 どうしてアルティメットだけそうなっているかといえば、それは脛や肘から伸びている長い棘状の部分まで再現しているためだ。
 PL法などの安全基準に基づいた処置だ。
 これのおかげで装着変身最大の欠点“アーマーがすぐに外れてしまう”が緩和され、かなり安心していじれるようになった。
 ただ、腕や足そのものに固定はできないため、クルクル回転してしまうという問題はある。
 せめて腕くらいは、裏側に突起を設けて回転しないようにする工夫が欲しかったものだ。
 胴体装甲は完全新型で、これもなかなかの造形とモールドを誇っていて、個人的にはすごくお気に入り。
 実物の着ぐるみは艶のない厚手の布のような材質で構成されているので、それと比較すると違和感が出るかもしれないが、他のフォームも合金パーツである事をアピールしまくっている塗装なので、まあつっこむのはヤボというものなのだろう。
 アルティメットの胴体部分も、やや襟が立った形状のため首が少しだけ覆われる。
 ところがこれが、マスクパーツに干渉してしまうため、他の商品のようにスムーズに首が動かしにくいという欠点も生まれてしまった。
 これは、アーマーではなくマスクの形状が独特のためだ。
 アルティメットのマスクは、従来のクウガマスクよりも下顎部分が長く、このため少し顎を突き出したかのようなスタイルになっている。
 ここがひっかかるため、首の位置を調整する際は気を付けなければならない。
 希に首がスムーズに回る素体と巡り会うと、あまりこの干渉が気にならなくなるようではあるが、パーツに傷が付く可能性もあるので、注意するに越した事はない。
 角パーツも独特で、これまでのような一枚板状の平たい形状ではなく、中央の2本が頭頂部付近に至るまで後方に伸びているという半立体型だ。
 もちろんこれは安全対策のもので、角を四本を生やした形状のマスクでの負傷を避けるため、わざと厚く作られているのだ。
 横から見るとなんとなくエラが張ったような顔つきになっているのが面白いが、わずかにシャープさを欠くラインとなってしまったのは否めない。
 ま、正面から見ればそんなに気にならないから良いかもしれないが…

 アルティメットフォームは、装着変身の名を持ちながらもほとんど“装着・換装”を楽しむ意味を持たない商品となってしまっている。
 他と決定的に違うのは、アーマーを脱がした後にそれをホールドしておく筐体が存在しないという事だ。
 その代わり本商品ではゴ・ガドル・バ人形が添付されており、なかなか面白い内容構成となっている。
 しかし、このガドル人形…入っているのはいいのだがいかんせん利用価値に乏しい。
 造形は確かに良いのだが、肩関節が回転する以外一切可動部分がなく、またソフビや中空成形ではないため関節を増設する改造も困難を極める。
 さらに、当のアルティメットフォームよりも身長が低いため、対峙させてもあまり良い感じにならない。
 せいぜい役立つとすれば「ガドルの体表モールドを確認する」程度だ。
 もちろん関節フル可動にしてくれ…などという贅沢を言う気はないが、せめてもうすこし身長を伸ばすか、あるいは手に何か持たせられるくらいの工夫が欲しかったな…なんて個人的に思う。

  さて、アルティメットフォームにもライジングウェポンが付属しているが、これらは「ライジングフォームセット」のものとは異なり、それぞれのシンボルカラーが塗装されている部分が全部黒に変わっている。
 それ以外の造形はまったく同じで、アルティメットとも結構合うので良い感じ…ではあるのだが、これらはまったく本編に登場しなかったものだ。
 これについては、後の“展開”でまた触れてみよう。

●展開

 “最強にして最悪の正義をその身にまとえ!”
 “心清き戦士力を極めて戦い邪悪を葬る時 汝の身も邪悪に染まりて永劫の闇に消えん”
 “ゴ集団最強の怪人「ゴ・ガドル・バ」をクウガと同スケールで再現! 劇中シーンが君の前に!!”

 これらは、アルティメットフォームのパッケージに記述されているコピーの一部だ。
 
 本商品があまりに不評だった事はすでに触れたが、ではどうして、アルティメットフォームは商品展開に合わせた効率的な登場のさせ方ができなかったのだろうか?
 一番最初の5大フォームやゴウラムなどのアイテムをあれだけ売りこむ事に成功した製作陣なのだから、その気になればこれらをより盛り立てる工夫は不可能ではなかっただろう。
 
 以前一度このサイト内で書いた事だが、こんな説がある。
 
 ライジングフォームを最強形態と考えていたスタッフの意向に反して、その登場スタイルや活躍の形式を大きく変更されてしまったクウガ。
 商品展開上、あまり大きな期待をかけられていなかっただろう本作品は、スポンサーにとって予想外の人気を博する事となり、それが各メーカーの商品増加意欲をあおったのかもしれない。
 いずれにしても、ライジングを早々に登場させてしまったクウガにおいては、また別な最強形態を登場させねばならない。
 これにより提案されたのが(スタッフ側かスポンサー側かは不明瞭だが)、アルティメットフォームだった。
 しかし、本編を観ていた方ならわかると思うが「仮面ライダークウガ」という作品は、終盤近くになるとあまりマーチャンダイジングとは無関係な展開へと方向性がシフトしていった。
 てっとり早く言えば、おもちゃのネタになるような物を出しているヒマがないという事。
 それよりもストーリーの中の複線の消化や、展開の盛り上げの方に力を割かなくてはならない。
 ともすれば、この辺の物語展開の構想が綿密に固まっていたのではないかという推測が立つのは、当然の事だと思われる。
 しかし、“クリスマス商戦”というメーカーには絶対避けられない売り時が迫ってもいる。
 メーカーとしては、その際の主力商品のタネとなるものを本編に出すための指示をしたくなるのが人情だろう。

 結果。
 そう、実際の思惑は別としても、結果。
 スタッフは、この申し出を蹴る形を取った。
 つまり、アルティメットを最後の最後まで出さないという姿勢を貫いてしまった。

 危険な予兆は、その前にもいくつか点在していた。
 代表的なのが、ホントに蛇足的にしか画面に出ていないライジングビートゴウラムとエンシェントゴウラムだ。
 さらに、事実上たった一話限りの活躍で、しかも事前情報ほとんどなしで突然登場した“黒いマイティフォーム”アメイジングマイティ。
 前者2つは、すでに発売されていた(しかし、本編内では利用価値がなかった)「DXビートゴウラムの付属品」に対しての事実上の言い訳だった事は、ここで語らなくても同様に考えた方は多かったと思う。

 問題は後者だ。
 「装着変身6 アルティメットフォーム」のパッケージには、ガドル人形と対峙させたアルティメットの写真の側に「劇中の場面を再現」とある(先述のコピー参照)。
 単純に受け止めれば、アルティメットは対ゴ・ガドル・バ戦で登場する予定だったのではないかと推測出来る。
 またライジングウェポン4種の同梱も、クウガと同様4つの形態を持って登場したガドルと対決させる材料としてはうってつけにも思える。
 実際ガドルとの対峙でなければ、これらの武器すべてを有効利用出来たとはちょっと考えづらい部分もある。
 現実のスタッフ&スポンサー側の思惑はともかくとしても、上記のような流れが計画され、それに沿った展開が望めればそれなりの販促効果が見込めただろう可能性は高いのではないか。
 
 しかし、現実にガドルと対峙したのはアメイジングマイティ。
 アメイジングマイティとは、一体なんだったのだろうか?
 アルティメット商品化の背景から考えると、当初から計画されていた商品ラインには存在しなかった存在なのは、疑う余地もない。
 装着変身ではないが、アメイジングマイティが商品化したのは、番組終了後かなり経ってからだというのも、これを裏付けるものにならないだろうか?

 実は、こんな事があった。
 アルティメット登場にまつわる噂が囁かれていた頃、とある雑誌にインタビューが掲載された。
 これはクウガのプロデューサーに対して行われたものだったのだが、なんとここで「五代は暴走してアルティメット化する」といった感じの内容の発言をしてしまった。
 だがしかし、これはインタビュー中ではオフレコにして欲しいと言われた部分だったらしい。
 これをうっかり(…意図的に?)掲載してしまった雑誌に対して、スタッフはコメント内容の否定を行ったのだ。
 主人公・五代雄介が怒りや憎しみの感情にまかせて暴走してしまう展開は、様々な意味で衝撃が大きく、作品のインパクトとしては確かに凄いものになるだろう。
 だが、これが事前に流出してしまった事を、スタッフは良しとしなかった。
 便宜上これを否定してしまったスタッフは、別の展開を用意しなくてはならない。
 その結果、怒りまかせの暴走とはまったく無縁の“自らの意志で(まるで当然のように)アルティメット化”が可能となってしまった。
 後の展開は、先で触れた通りである。

 アルティメットの登場の流れは、綿密な打ち合わせがスタッフとスポンサー側で行われていただろう事は間違いない。
 さもなければ、あんな確信犯的なコピーをいくつも商品箱に書き込む事は出来ない筈だ。
 だがこれが破られてしまったため、いつまでたっても肝心の黒いクウガは登場しない。
 最低限ここで出てくれなければ困ってしまう! という部分に達してしまった時、登場したのは商品予定のないアメイジングだった。
 そして、その次の回では活躍場面すらカットされ、早々にその姿を消してしまった。
 これはどういう事だろうか?

 以上の事は、これまで色々各所で語られてきた情報の数々をつなぎ合わせ、まとめた一つの“憶測”に過ぎない。
 事実はまったく違うかもしれないので、これらについての質問・指摘はお答え出来ない事を、先にお断りしておきたい。
 ただ、なんとなくリアルなこの説は、私にとってかなりの説得力を感じさせるものである事は間違いない… 

 参考までに。
 アメイジングマイティの総登場時間(48話冒頭をすべて含め)は、約2分前後。
 48話でのアルティメットも、登場時間はやはり2分程度しかなかった。

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装着変身海外版 仮面ライダークウガ アメイジングマイティフォーム 価格不定

◆セット内容:

  • 五代雄介人形(素体・アメイジングマイティ専用バージョン)
  • アメイジングマイティフォームアーマー
    (マスク・小手×2・ボディ・ショルダー×2
     ・ベルト・アンクレット×2)
  • 取り扱い説明書

(注:以下は、2002年4月に追記された部分です)

 さて、最後の最後に「装着変身クウガ アメイジングマイティ」にも触れてみよう。
 
 で、中には「えっ?! そんな物販売されてなかった筈だけど?!」という方や「何かの限定版ですか?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に概要を説明してみたいと思う。

 この装着変身アメイジングマイティ(以下アメイジングで統一)は、改造でも限定でもなく、タイトル通り海外のみの発売バージョン。
 2002年1月より香港で放映開始された「仮面ライダークウガ」の関連商品という事で、香港バンダイから正式販売されたものだ。
 これを書いている段階では、まだほとんどのフォームが登場していないと思われるのだが、なんと香港ではすでに全種類のフォームが発売されており、しかも微妙に日本のとは販売形式が違っているらしい。
 で、このアメイジングもその際に出たという顛末だ。
 ちなみに、筆者自身は未確認だがアルティメットにはガドル人形やライジングウェポンが付属しておらず、その他のフォームもすべて五代人形付きでバラ売りされているという。
 全部揃えたら、ホントに上にあった五代人形写真みたいになってしまう事だろう。
 基本販売形式は、パッケージ写真をみていただければわかる通り、日本の1,500円販売装着変身シリーズと大差ないものと考えられる。

 かなり前からネットオークションなどでその姿を見せていた商品だが、最近国内の業者が逆輸入(?)して販売するケースが増えたようだ。
 筆者も、そんな流れから購入する事が出来たというパターン。
 定価表記がないのは、販売箇所や国内相場などで価格が一定しないためで、万が一の事を考慮して記載を見合わせた次第。

●前評判

 もちろん、これの存在を早い時期からキャッチして、入手のために画策を始めていたマニアさん達はおられたようだ。
 まあ、(筆者は行った事ないが)香港くらいなら海外旅行とはいえ大した予算も時間もかからないので、ちょっと足を伸ばした程度の感覚で購入する人もいた事だろう。
 業者による逆輸入販売の云々はともかくとして、まあいずれにしても、これで本当にクウガの全形態が揃った訳だから、めでたいものだ。

 しかし、実はこの商品は現地でも「限定品」だというデマが流れていた。
 …というか、正確に言ってしまえば、これはいまだに一部で蔓延している。
 勘違いも多いと思われるので、現時点で筆者が入手した情報を紹介しておきたい。

 1月から放映が始まったクウガは、その関連商品も同時期には発売を開始した。
 のっけから全種類というのは先にも触れた通りだが、少なくともアメイジングは、1月期に第一次生産をしてしばらく停止をかけた。
 つまりこの時点での出荷数に制限が設けられたという事だろう。
 どうやらこれに尾ヒレが付いて広まり、「アメイジングは1度きりの生産のみのレアアイテム」という事にされてしまったようだ。
 もちろん、その他の商品も同様のパターンになっている可能性が高いが、その辺にはまったく触れられていないというのもなんかアレである。
 
 現実には、二次生産あるいは二次出荷は行われた。
 この時期に国内の業者による販売が本格化したのも、そういう背景があったからだというのだ。
 香港での商品販売ペースが、日本のそれとまったく同じなのかどうかはわからないが、なにせまだ放映からほとんど時間が経っていない訳で、販売期間はかなりゆとりがある。
 この間、さらに生産or出荷されていく事は、ほぼ間違いない。
 日本で未発売だったアメイジングだから、という事で「限定の可能性」が囁かれた可能性は大いにありうる。
 確かに、いつでも気軽に入手できるというものでない事は確かだし、ある程度の供給が国内であったとしても、いずれはレア化する可能性はある。
 だが、今はまだそんなに目くじら立てる程ではないんじゃないかな? というのが、筆者の素直な感想だ。

 アメイジングは、ご存知の通り「ライジングマイティが黒くなった」だけであり、アンクレットが両足に装着される以外、造形上ではほとんど特筆すべき事がない。
 だが、実はその“塗装”に注目するべきポイントがある。
 アメイジングのメインカラー「黒」は、こういう合金玩具系では珍しい“艶消し(フラット)ブラック”なのだ。
 ライジングマイティの装甲で、赤い部分がフラットブラックに変更されている訳だが、それだけでなんとも落ち着いたいい雰囲気になってしまっているから不思議だ。
 実際の撮影用のスーツも、この部分は材質の関係で艶はなく、自然な照り返しだけで立体感を見せていた非常に渋いものであった。
 商品の感覚は、これにとても近い。
 むやみに反射しまくる他のフォームとは、一線を画していると言い切っていいだろう。
 アルティメットフォームも、こういう塗装にしてくれたならあと2個は間違いなく購入しただろうに…なんて考えてしまう筆者は、アメイジングを見て、同様の塗装だった「DX超合金 ブラックライディーン」を思い出すのであった。

 ちなみに、アメイジングのマスクパーツとベルトパーツは、そのまんまライジングのもの。当然といえば当然か。
 また手の甲の部分には「雷」を表すリント文字がプリントされている。
 ゴウラムの台座の文字と同じだ。

 さて、海外版なので当然パッケージにも目が行くというもので。
 
 商品タイトルは当然英語表記の「MASKED RIDER KUUGA」『AMAZING MIGHTY FORM』なのだが、なぜか「超合金(ちょうごうきん…とカナでルビ入)」とか「装着変身(ルビ無し)」とも記されている。
 パッケージ左上のクウガのロゴも、日本のそれとまったく同じだ。
 パッケージ裏には、またデカデカと日本語で「アクションポーズが思いのまま!!」「変身!!」と記されている。
 それ以外のメーカー表記や注意書き、対象年齢などの表記は漢文字と英字に統一されているといった内訳だ。
 一時期、このパッケージ裏の日本語部分がそのままなのを指して「パチモンだ!」とクレームを付けていた人もいたといわれているが、ホントの話だろうか…?!?!

 でも、パッケージ一番の見所は「アメイジングの新撮写真」と「黒と金のパッケージカラー」の組み合わせだろう。
 ホントにいい写真を使っている!

●展開

 と言っても、日本での販売状況はよくわからないし、向こうでも反応がどうかなどというのは推測すら立たない。
 どうやら香港でもそれなりの反応らしいので、結構な人気商品になっているのではないだろうか?
 だとすると、これ以外にも“香港バンダイオリジナル商品”なんかが出たりして…??
 おお、そういえば「超装可動」なんてのもありましたなー(ニヤリ)。

 現在、一部の業者は「転売目的の大量購入」の客を警戒している傾向があるという。
 まあ、どちらの気持ちもわからなくはないんだけど…これについてはコメントを控えたい。
 どうやら現在の通常購入相場は、「多分定価の2倍前後くらい」ではないかと思われるが、こればっかりは今後どうなるかわからないからねぇ。

●総括

 「装着変身」シリーズは、この後「仮面ライダーアギト」「旧・仮面ライダーシリーズ」にも引き継がれ、様々な改良を加えられてよりバリエーションに溢れた商品へと進化するに至る。
 2001年度は、売り上げ的に「百獣戦隊ガオレンジャー」に後れを取る形となってしまったが、それでもかなり健闘した方だという。
 この流れを2002年度に引き継ぐものが出るのか、そしてそれはどういう媒体なのか…
 これは、これを執筆している段階ではまだ何とも言えない話ではある。

 「装着変身」は、前回紹介した「DXトライゴウラム」等の乗用アイテムと組み合わせる事で、よりプレイパリューが発展するという素晴らしい商品だった。
 ここから玩具改造の道に目覚めた人も決して少なくない。
 その存在感と完成度は当初の予想を大きく上回るものであったのだ。
 
 だが、ちょっと見方を変えてみると、これだけ面白い商品展開をした媒体も珍しい。
 発売当初に爆発的な人気を得たにも関わらず、メーカー(スポンサー)やスタッフの意向が影響し、かなり惨めな退場を余儀なくされた。
 まさしく、一発屋的な経過だと言える。
 継承者は現れたものの、非常に興味深い展開だった事は間違いない。

 だが、実はこのシリーズや他のクウガ関連商品が2000年度当初バカ売れした事は、後々意外な影響を及ぼした。
 それは、「仮面ライダーアギト」の関連商品が“売れているのか売れていないのか”全然伝わってこないという情報混乱だ。
 これは、言う人はなす人それぞれがまったく逆の感想や報告をしてくるため、まったく事実が見えないという現象だった。
 「前作クウガの商品が売れたから…」という先入観が、正確な情報をねじ曲げた結果とも考えられる。
 「売れたから…」の後は、「今年はダメなんだ」でも「今年もイケてる筈」でも、どっちでもかまわない。
 いずれにせよ、前年のクウガの時の状況と比較してみてしまった人が多かったため、現実の売り上げ状況がすべて印象論で語られてしまったのだ。

 そしてこれは、どうもメーカー側でもあったらしい。
 この傾向は、実はクウガ放映中からあったのだ。

 バンダイに限らない話ではあるが、人気が出てきた番組の商品の種類増強・強化を考慮するのは当然の流れだ。
 「仮面ライダークウガ」はそういう意味では当初あまり見込まれていなかったというが、途中から突然手のひらを返したかのような商品展開を行い始めた。
 前回の「DXビートゴウラム」しかり、今回の「ライジングフォームセット」しかりだ。
 突然販売数が増加する商品群に、消費者はかなり翻弄された事と思う。
 これが結果として裏目に出てしまったのが、クウガの後半の商品群なのではなかろうか…

 しかし、完成度が高い物はその本来の販売期間のみの評価に止まる事はほとんどない。
 この良さ、プレイバリュー、そして所々に光る心配り的な良点は、いずれきっとまた再評価されるのではないだろうか?
 それこそ、ポスト「聖闘士聖衣大系」のようになったりして?

 なんとなくだが、私はそう思えてならないのだ。

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