第1回 ■ バンダイ 装着変身「仮面ライダーライア」&「仮面ライダーナイト」
2004年12月31日 更新
- | 装着変身 仮面ライダーライア |
- 装着変身 仮面ライダーナイト |
- 総 括 |
2003年4月にて更新終了を告知しておきながら、「気分屋な記聞」にていけしゃあしゃあと16回も連載を続けてしまった「玩具あり」。
その後紆余曲折ありまして、やっぱり連載を再開する事にしました。
相変わらず旬の玩具を取り扱ったりはせず、あくまで筆者のお気に入りだけを不定期でピックアップしていく形を貫かせていただきますが、よろしくお願いします。
なるべく、ありがちな玩具レビューにはならないようにしていきたいと思います。
今回取り扱うのは…
バンダイ 装着変身「仮面ライダーライア」&「仮面ライダーナイト」
更新終了が龍騎関連で、再開もまた龍騎関連とはなんたる皮肉。
以下、本文内で挙げられている「R&Mシリーズ」とは、「仮面ライダー龍騎」本放送当時のメイン商品。
2002年春から、同年秋口を中心に販売されていました。
この商品については、以前に一通り紹介しているので、詳しくはそちらをご参照のこと。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダーライア」 定価2100円
- ライア素体フィギュア
- ライア頭部(マスク)
- ライア肩アーマー×2
- ライア前腕アーマー×2
- ライア胸アーマー×1
- Vバックル(ライア用ベルト)
- エビルバイザー×1
- エビルウィップ
(スウィングベント装備)×1 - 装着変身サイズ・アドベントカード×3
- アドベントカード用シール
(3枚分裏表・計6枚) - 取扱説明書
2004年11月下旬、装着変身「仮面ライダーナイト」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、3または4番目の商品。
●映像内のキャラクター
2002年度放送「仮面ライダー龍騎」に登場した、5番目の仮面ライダー。
手塚海之が変身し、エイ型の契約モンスター「エビルダイバー」の力を借りて戦う。
ただし、他のライダーと異なり、本人は「ライダー同士の戦い」に否定的。
そのため、同じく反ライダーバトル派の城戸真司(龍騎)と意気投合するが、勝ち残る事にすべてをかける秋山蓮(ナイト)は、彼を受け入れようとはしなかった。
手塚自身はコインやペンデュラムを用いる街頭占い師で、その見地から、ライダーバトルの無意味さと危険性を、蓮に対して説いていく。
メイン武装は「スウィングベント」で召喚する「エビルウィップ」のみだが、この他、相手の装備と同じ物を取得する「コピーベント」を持ち、ナイトのウイングランサーや龍騎のドラグクローを使用した事がある。
「ファイナルベント」は、エビルダイバーの背に乗って相手に特攻する「ハイドベノン」。
最期は、龍騎を仮面ライダー王蛇のファイナルベントから庇い、死亡。
エビルダイバーは、その後王蛇の三番目の契約モンスターとなってしまう。
ただし、2002年10月に放送されたスペシャルでは死因が異なっており、仮面ライダーベルデのファイナルベント「キン肉ドライバー」で見事に無様な死に様を見せ付けた。
手塚の名セリフ「俺の占いは当たる」は、当時ファンの間でちょっとした流行語になった。
●概要
2004年6月から、毎月連続で出続けている「装着変身」シリーズの、第五期販売商品(なぜか10月のみお休み)。
7月に発売された「仮面ライダーシザース」に次ぐ未R&M化ライダーという事で、商品化が発表された頃は大いに盛り上がった。
なにせ、ライアである。
二年前、R&Mシリーズにおいて契約モンスターだけが商品化してしまい、なんとも言えない気持ちを抱いたファンは多かった。
当時、ライアはソフビや食玩関連でしか販売されなかったため、「R&M仮面ライダー王蛇」付属のエビルダイバーと並び立たせるためには、自分でカスタムメイドするしかなかった。
そのため、「R&M仮面ライダー龍騎ブランクフォーム」や「R&M仮面ライダーリュウガ」をベースに、「ツインヒーローシリーズ」として発売されたライアソフビを組み合わせて改造するのが大流行になった。
数々の職人さん達は、素晴らしい改造品を作り出して発表していたが、玩具改造は絶対しない主義の人や、改造スキルのない人達は、それをただずっと羨望の眼差しで眺めるしかなかった。
筆者もその一人だったわけだが、当時、大変無念だったのを覚えている。
無論これは、2005年1月に発売が決定した「仮面ライダーガイ」に対しても、同様であった。
ともあれ、それだけライアをはじめとする未R&M化ライダーの商品化要望は根強かったのだ。
あれから二年、ようやく、待ち望んだライアが正式発売となるのだ。
盛り上がるなという方が無理である。
でも一方では、「あんなに装備の少ないライアを、他の装着変身シリーズと同価格帯で出すのはどうか」という意見もあった。
上記でも記した通り、ライアにはほとんど独自装備がなく、唯一の武器・エビルウィップにしても、細長いだけでボリューム感に欠ける。
それでいて、装備が三種類も付属する龍騎や、新造・巨大化したウイングランサーを持つナイトなどと同価格帯というのは、確かに納得できない感はある。
ライアが出るのは嬉しいが、内容的に満足できない可能性も確かにある。
でも、出る事そのものは嬉しい。
そんな二つの感情が右往左往しながら、ファンは、発売日まで待つ事になったのである。
まあ、結論としては…全然問題ないどころか、逆に絶賛されまくったんだけど。
実際に発売された装着変身「仮面ライダーライア」は、その完成度の高さから、各所で褒め称えられた。
たしかに装備は乏しく、またエビルダイバーが付くなんて事もありえなかったが、とにかく全体の再現度と造形のクオリティの高さで、あらゆる不満は吹っ飛んでしまったようだ。
「R&M仮面ライダー王蛇」を大事に保存していた人にとっては、念願だった“エビルダイバーとの揃い踏み”が再現できるとあって、もうそれだけで、細かい事などどーでも良くなってしまったのだ。
●セールスポイント
「装着ライア」は、とにかくその造形完成度の高さが、最大の売りだ。
先述の通り、フェイスの出来の良さはその中でも群を抜いている。
他の装着龍騎系ライダーも、今のところフェイスに大きな問題はないが、とにかく「これだけコンパクトにまとまっていて、なおかつオリジナルの雰囲気を忠実に再現している」というのは嬉しい。
以前発売されていた「ツインヒーローシリーズ」というソフビ商品のライアも、当時はなかなかのものだと言われたが、今回はそんなものではない。
頭頂部付近にある、エメラルド彩色の目(エビルダイバーの意匠)がちょっと浮いている感があるけど、ほとんどのファンが満足する出来だった。
ライアは、龍騎やシザース同様「手で常に握っているタイプのバイザー」を装備するライダーだ。
龍騎は、左腕のジベットスレッドに固定するというアレンジが施され、シザースは手の指だけで本体を固定するという「安定性に欠ける」構造だったが、今回は「手に持った上に、さらにジベットスレッドでも固定できる」ものになった。
これは、ライアのバイザーがかなり大型な物であるからこそ叶ったのだろう。
エビルバイザーのシッポにあたる部分の裏側に、ジベットスレッド用の凸ジョイントが付いている。
だが、あえてこれを固定せず、本編同様「手の指の保持力だけ」で持たせたとしても、実は何の問題もなかったりする。
実際のライアのスナップ写真などを見ていただければわかるが、エビルバイザーの下から左腕のジベットスレッドが覗いているというのが、正しい装着スタイルなのだ。
とはいえ、無理にこだわる必要はないから、どちらでも好きな保持をさせればいいと思う。
筆者は、ジベットスレッドには固定せず、写真のように手だけで持たせて飾っている。
ただし、この場合でもバイザーの凸ジョイントをカットしたりはしない。
これがジベットスレッドの突起に引っかかって、固定の補助をしてくれるからだ。
肩アーマーは、いわゆる「555系装着変身型」のパターンで、肩の動きに干渉されないよう跳ね上げ型になっている。
もっともこの形状だと、肩アーマーが上下にパタつく事はほとんどないけれど。
なお、ライアは肩アーマーの下に一対のジベットスレッドが配置されているのだが、今回は肩ブロック可動の関係でこれがオミットされている。
いずれにしても、ライアの肩アーマーの内側に何かの装備をはめ込むのはまず不可能なので、何の問題もないのだけど。
よく見ると、素体フィギュアの肩口に、ジベットスレッドの痕跡がある。
気になる前腕アーマーだが、今回もなかなかの保持力を見せており、勝手に外れるような事は少ない。
さらに、今回はVバックルも少し保持力が高まっているようで、以前のようにポロポロ落ちる事が少なくなっている。
でも、何度も付けたり外したりしていたら、どうなるかわからない。
先に少しだけ触れた「ツインヒーローシリーズ」版ライアは、後頭部の弁髪(正確には、エビルダイバーの尾の意匠)が上半身と一体化している造形で、こだわりの改造派の人達は、弁髪部分をそぎ落として、あらたに後頭部に接続したり、丸ごと新造したりしていた。
つまり、改造派の人達にとっては大きな「泣き所」だったわけだ。
で、装着変身では、弁髪は完全別パーツ化してくれた(当たり前だけどね)。
残念ながらこれ自体に可動ギミックは付加されず、ただブラ下がっているだけなのだが、それでもやっぱり嬉しい。
何より、適当な処理に甘んじていないところが良い。
充分な太さと長さを持っている弁髪パーツは、是非一度手にとって見ていただきたい。
もちろん、そのために別な問題も発生してしまったが、それは後に触れよう。
装備のエビルウィップだが、これを「R&M王蛇」付属の同品と同じものであると考える人がいるようだ。
だが、実際は別物。
というか、改修品ではないかと考えられる。
全体のラインはほとんど変わらず、鞭先端部分の節目の数まで同じだが、グリップ部分の形状だけが、大きく異なっているのだ。
装着変身版の方が、R&M版より細くなっている(さらに塗装も変わっている)。
その他、鞭の先端部分のしなりにも違いがあり、R&M版の方が、いかにもシッポという感じでひん曲がっている。
一番の違いは材質と色なのだが、まあこれは、わざわざ触れるほどのものでもないだろう。
最初は、R&Mのものより柔らかい材質を使用した弊害で、収縮して形状差が出たのかとも思えたが、全体比較をしてみたところ、どうやらそんな単純なものではなさそうだ。
いずれにせよ、装着変身付属の方は、柔らかい材質の関係でぐにゃぐにゃ曲げて遊ぶ事が可能で、R&Mのものよりも勝手が良いように感じる。
それに、本編でも装備とモンスターの体の一部は別物という扱いだったから、エビルダイバーと飾る場合、エビルウィップが二本になってもなんら問題はない。
ちなみに、装着変身のエビルウィップは、なぜかR&Mエビルダイバーに取り付ける事が出来なくなっている。
無理矢理付けたとしても、エビルダイバー本体と色が違うから、違和感が出るだけなんだけど。
装着ライアにも、龍騎やシザース同様、小さなアドベントカードのミニチュアが同梱されている。
今回は「ファイナルベント」「スウィングベント」「コピーベント」の三種類。
やはり、小さなプラ板の両面にシールを貼る形式だ。
なぜか成形色がブルー(ナイト付属のカードと同色)だけど。
ところで、最近ふとある事に思い当たり、ライアとシザースの装甲を交換してみた。
「装着変身 仮面ライダーシザース」のページを見て頂ければわかるが、基本的に、シザースとライアの素体は同じタイプだ。
だから装甲交換をすれば、上腕や脚部にちょっと違和感があるだけの、ほとんど変わらないライダーが完成する筈だったのだが…
結果は、こんなになってしまった。
首、寸詰まり!
なんでこうなるのだろうと思って、あらためて素体を比較してみた。
そしたら…首の長さ、全然違うやん!!
写真の通り、こんなにも首の形状が違うのだ。
言っておくがこの二体、首の付け根周辺の造形は同一だ。
念のため、「装着変身 仮面ライダーファイズ」の素体とも比較してみた。
胸部形状の違いのせいか若干身長が違うようだが、だいたい同じくらいの首の長さだとわかるだろう。
つまりライア素体は、これまでの装着変身で囁かれていた「首の長さ問題」にまで対応してくれた、ありがたい存在だったと判明した。
うーむ、頭部周辺が妙にすっきりして見えたのは、こういう理由があったからなのねん。
で、ライア素体にシザース装甲をハメたらどうなったか…首が長くなりすぎて違和感バリバリでした。
興味のある人は、是非お手持ちの奴で試してみてね。
●問題点
良点が多く「小粒ながらも粋な奴」という印象のある装着ライアだが、やはりというか、問題と思われる点もいくつか見て取れる。
一番目立つのは、頭部・胸部・肩部で装甲の色が異なっている事だろう。
ライアの胸アーマーは、つや消しのピンク色で塗装されているが、頭部と肩部は、成形色をそのまま活かしたものになっている上、表面に光沢がある。
なので、2種類のピンクが各所に混在している事になり、こだわる人には気になってしまう点だろう。
また、ライアは上腕部にもピンク色の装甲部分があるのだが、これは別パーツ化されておらず、素体フィギュアに直接塗装されている。
このピンクもつや消しのものなので、すぐ上にかかる肩アーマーとは色が違う。
さらに、ピンク塗料にムラが出ている場合もあり、下地に塗られた白が透けてみっともない色になっている事もある。
そういった理由で、装着版龍騎やナイトなどと並べてみると、なんとなくもっさりした感じが出てしまう。
どちらかというと、装着サイズの別企画フィギュアに見えてしまう事もある。
まあ、下半身を見れば他と同じなんだから、すぐに違和感は消えるかもしれないけど。
後頭部の弁髪にも、ちょっとした問題がある。
先の記述では喜ぶべき部分として書いたが、実はこれのお陰で、頭部パーツの収まりが悪くなっている。
弁髪は、太くてまっすぐに伸びているパーツのため、ライアの首を左右に回そうとすると、背中でつっかい棒の役割を果たしてしまい、マスクパーツを強制的に分離させてしまうのだ。
これは、恐らく現在のものよりも柔らかい材質で行っても、同じ結果になるだろう。
これの対策としては、もはや弁髪の根元または節々に関節を設け、自由に曲がるように改造するしかない。
弁髪パーツにクセを付ける事である程度の回避は可能だけど、それは決して万全の対策とは言えない。
せっかくいい感じにまとまっているエビルバイザーだけど、シザースバイザーのような、アドベントカード挿入または開閉のギミックがまったくないのは、大変残念だ。
これは龍騎・ナイトにも当てはまる事なので、ライアばかりが責められるものではないが、せっかくの新造ライダーなんだから、せめてフタ部分のスライド機構だけでも欲しかったものだ。
この後発売が決定している「仮面ライダーガイ」のメタルバイザー、「仮面ライダー王蛇」のベノバイザーには、きちんとカード挿入用ハッチの開閉ギミックが搭載されている(実際にカードを入れる事はできないらしいが)。
そうなると、これだけのサイズがあるにも関わらず、何のギミックも盛り込まれていないライアは、かなり見劣りするのではないかと思われる。
もっとも、無理に開閉ギミックを盛り込んで、バイザーのデザインラインを崩されるような結果になるのも問題だから、これはこれで満足すべきなのかもしれないなあ。
●総合評価
装着変身「仮面ライダーライア」は、諸問題はあれど、まずは商品化した事、全体的にかなり忠実に作られている事を称えたい。
個人的には、「期待以上」のアイテムだったと、結論付けても良いのではないかと思う。
もちろん、買った人によってこの辺の考え方は様々だろうが、決して「作り直して欲しい」とか「なくても良いアイテム」であるとか、そういう物ではない筈だ。
ちなみに、今回の素体フィギュアの頭部は「たっくんタイプ(装着変身・仮面ライダー555参照)」で、目の瞳孔部分が異様に小さいせいか、かなり詐欺師っぽい顔付きになってしまっている。
せめて、前髪くらいは付けて欲しかったけど…こりゃしょうがないかな。
この素体ヘッドは、どうやら本当に、「たっくんタイプ」と「草加タイプ」を中心に乗り切る腹のようだ。
このサイトでは紹介していない、装着変身「仮面ライダーブレイド」以下四体にいたっても、同様のヘッドが利用されている訳だから…本気だな。
●バンダイ 装着変身「仮面ライダーナイト」 定価2100円
- ナイト素体フィギュア
- ナイト頭部(マスク)
- ナイト肩アーマー×2
- ナイト前腕アーマー×2
- ナイト胸アーマー×1
- Vバックル(ナイト用ベルト)
- ダークバイザー
- ダークバイザー用の鞘
- ウイングランサー(ソードベント装備)
- ウイングウォール(マント形態・ガードベント装備)
- 装着変身サイズ・アドベントカード×3
- アドベントカード用シール(3枚分裏表・計6枚)
- 取扱説明書
2004年11月下旬、装着変身「仮面ライダーライア」と同時発売。
「仮面ライダー龍騎」系装着変身としては、3または4番目の商品。
●映像内のキャラクター
「仮面ライダー龍騎」のもう一人の主人公とも呼べる存在で、秋山蓮が変身する。
長い間意識不明状態に陥っている恋人・恵里を救うため、自ら神崎士郎の誘いを受け、ライダーバトルへと身を投じる。
基本的には、反ライダーバトル派の城戸真司や手塚海之らに同調せず、目的のために他のライダーを殺す事を肯定しているが、その実、心の中では人を殺す事に大きなためらいを持っており、その狭間で大きく葛藤していく。
最終的にはライダーバトルに生き残り、恵里を救う事にも成功するが、自分自身も、仮面ライダーオーディンとの戦いのダメージで死亡する。
龍騎よりも前からライダーとしてモンスターと戦っていたが、龍騎と出会うまで、他のライダーと戦った事はなかったらしい。
仮面ライダーシザースを倒したには倒したが、その際の須藤の死に、かなりのトラウマを植え付けられてしまったらしい。
戦闘能力には諸説あるが、目立った特長のある能力を持っていない。
だいたい、平均的な能力の持ち主と見て間違いないようだ。
契約モンスターは、コウモリ型の「ダークウイング」で、変身してなくても共に行動する事があったりと、結構息が合っていたようだ。
装備は、召喚機でもあるダークバイザー(剣)をメインに、ソードベント「ウイングランサー」、ガードベント「ウイングウォール」を持つ。
その他、分身能力を発揮する「トリックベント」と、音響攻撃の「ナスティベント」という技も持つが、後者はダークウイングの翼から発せられる音波攻撃だ。
元々剣を持っているのに、さらに剣を召喚するのはどうしてか…と思っていたら、より大型のトゥーハンドソード型ランスが降ってくるという、武器マニア泣かせの演出をしてくれる。
ウイングウォールには一応2形態あり、ダークウイングがナイトの背中に張り付き、マントのような形状になったものと、ガ○ダムデスサイズのように、ダークウイングの翼で背後からナイトの前面を覆うパーソナルシールドのようなものがある。
ただし、実際に映像として出てきたのは前者のみで、後者は「R&Mシリーズ」独自のギミックだった。
召喚したダークウイングと合体し、空を自由に飛べるようになるという、他のライダーとは大きく異なる性能も持つ。
この能力は、劇場版仮面ライダー龍騎「EPISODE FINAL」にて、たっぷり見る事が出来る。
というか、めちゃくちゃカッコイイから、観てない人は是非観ていただきたい。
「ファイナルベント」は、ウイングランサーを真下に構え、全身をダークウイングの翼で包み込んで墜落特攻する「飛翔斬」。
もちろん、これを再現した玩具はいまだ発売されていない。
後に、手塚経由でサバイブ「疾風」のカードを手に入れ、ナイトサバイブへと二段変身できるようになる。
●概要
仮面ライダーナイトも、龍騎同様、過去にR&Mシリーズとして製品化した事がある。
R&M「仮面ライダーナイト」と装着変身の、もっとも大きな違いは「ダークウイングが付いてこない」という事だが、それ以外は、だいたい同じようなパーツ構成になっている。
もちろん、これはナイトの装甲一式を別にした場合の話。
ただし、装着ナイトは装着龍騎とは違い、なんと、装備のほとんどを新規で作り直されている。
正確には、ウイングランサーとウイングウォール、ダークバイザーの鞘などが新規造形だ。
R&Mの流用パーツにも、追加ペイントが施されていたりして、決して手抜きになっていない。
明らかに、龍騎よりも凝った造りになっているのだ。
●セールスポイント
まず、装備から見て行こう。
ウイングランサーは、ダークウイングの尾になるという制約から解放されたため、本編同様「両手で掴めるくらい長い柄」になり、さらに刃の中央部分には、R&Mでオミットされていたカラーリングが施されている。
また鍔部分も大型化し、迫力が以前とは段違いに高まった。
全体的にかなり大きくなっているため、これで、いかにも「ソードベントで呼び出した特殊武器」というイメージが強まった。
R&M当時、ウイングランサーのショボさに対してえらくクレームがついたという話を聞いたが、正直、筆者はこんなものだろうと気にしていなかった。
しかし、装着変身のウイングランサーを見て、考えが変わった。
「これが求められていたのか!」と、やっと認識できた訳だ。
なるほど、これなら確かに、R&Mの奴は酷評されるわな。
でも、よく見ると刃の部分はR&M版の流用だったりする。
この部分の出来は、決して悪くなかったって事やね。
ウイングウォールは、その形状により神経が注がれたようで、いかにも「マント」というスタイルになった。
以前も、マント然とした出来ではあったが、今回はさらに“布の質感”を求めて造形され、皺や布の流れが自然になっている。
R&M版では、首元に布を引っ張って止めているような形状だったが、その「前に回している部分」も含めてナイトの背中に接続してしまうため、湾曲部分のせいで胴体とマントの間に不自然な隙間が出来てしまい、一体感がなかった。
さらに、これを装備すると途端に安定が悪くなり、まともに立たせる事が困難になった。
だが、装着変身版は、これらの問題をほぼ完全に解決している。
それぞれを個別で見るとあまりピンと来ないかもしれないが、比較してみると一目瞭然。
また装着変身版ウイングウォールは、ダークウイングの頭部を外す(ひっこ抜く)事ができるため、装着時のスタイルがより自然になる。
さらに、R&M版では再現されなかった「上に反り上がった爪状のパーツ」まで再現されている。
さすがに、布部分を前面部に引っ張って来たりはできないけれど、これだけ手が加えられていると、嬉しくなる。
ギミック的にはR&Mと大差ないパーツではあるが、ここは、ディスプレイ用のパーツ・向上版という事で割り切り、ありがたく頂戴しておきたいところ。
ダークバイザーは、残念ながらR&Mのものとまったく同じ形状のものが使用されている。
ただし、鍔部分のモールドがきちんと塗装されているため、こちらの方が高級感がある。
また、材質が変わっているため、刃部分がペランペランと波打つ。
なお、写真を見るとR&M版の方が大きく見えるけど、これは当方の撮影の仕方が悪かっただけで、実際はまったく同じサイズだ。
R&Mの時、外れまくる事で散々文句を言われていた鞘は、新規で作り起こされている。
より強くジベットスレッドに固定できるよう、修正が加えられているようだ。
ガッチリとまでは行かないが、以前に比べてかなり外れにくくなっているため、安心して装着していられる。
色が黒からブルーに変わってしまっているが、これはどちらが良いのだろう?
何はともあれ、これは、とても嬉しい。
ナイト本体を見てみよう。
装着変身ナイトは、R&M版と比べて、かなり豪華な雰囲気になった。
これは多分、パーツ全体の光沢や、材質の硬質感から来る印象だと思われる。
R&M版は、全体的にフラットな上、硬質感に乏しい素材で構成されていたため、どこかチープトイ的なイメージがあった。
今回はそれがなくなったためか、造形は前とほぼ同じだという事がわかっているにも関わらず、かなり別物っぽい。
それだけで、装着変身版を購入した喜びを感じる事が出来る。
次に、ボディカラー。
R&M版で、恐らく最も文句が付けられたのがこれだろう。
以前は、スーツ部分が「青々とした青色」だったため、本編とのギャップが凄まじかった。
で、装着変身版ではどういう変更が成されたか…
実は、意外にも体色はほとんど変更されていない。
むしろ、R&Mの方が暗い感じになっており、益々明るくなってしまった。
これはいったいどうした事だろう?
これは完全に推測だが、やはり、本編同様の配色では商品的な見栄えが悪いと判断され、こういった明るい色にせざるをえなかったのだろう。
でも、なぜかあまりこの体色に対しての文句を耳にしない。
たまたま筆者が巡ったサイトの見解が肯定的だっただけなのかもしれないが。
さすがに、放送終了後約二年も経っている作品だから、映像と比較されるチャンスも減ったのだろうか。
もし、この商品が本放送中に発売されていたら…やっぱり叩かれただろうなあ。
でも、R&Mと違って光沢のある材質になった事もあり、筆者は、この体色がかなり気に入っている。
マスクは、かなり精悍なイメージになり、シャープさが増したようだ。
やや、サバイブ的解釈が加わっているような気もしなくはないけど…。
当然、内部には素体ヘッドが収まっているわけだが、それをあまり感じさせないコンパクトさで、いい感じだ。
こういう改修が行われているなら、以前R&M化されたライダーを再び集めるというのも、決して悪くはない筈だ。
よく見れば龍騎も、かなり改修されているんだけどね。
Vバックルの色が変更されているのも、興味深い。
実は、R&M版のカードデッキ部分はベースカラーが「青」のため、設定と大きく違っていた。
本当は「黒」なんだよね。
「青」だと、サバイブになってしまう。
装着変身版は、さすがにここを修正してあり、黒ベースになっている。
ナイトにも、アドベントカードのミニチュアが付属している。
「ファイナルベント」「ソードベント」「ガードベント」の三枚。
●問題点
装着ナイトにも問題点が当然あるが、これらはいずれも、少し不思議なものばかりだ。
まず、項目を羅列してみよう。
- マスクのハマりが悪く、やたらとすぐ外れる
- マスク部分の塗装精度があまり良くない
- R&Mのダークウイングと合体する事が出来ない
マスクについては、ひょっとしたら個体差かもしれないので「そうかな、うちのは全然外れないけど」と言う人は、スルーして構わないと思う。
ただ、筆者のものはあまりにも安定が悪く、少しでも首を回した状態だとまともに装着させる事はまず不可能だ。
なので、ここに使用している写真は、外れる直前状態のマスクを、そうは見えないように工夫して撮影している。
これは、パーツの軸を太らせる事で対応できるかな…?
マスクの塗装だが、これは、R&Mの時のように「格子部分が潰れている」などの大きな問題は少ないように見受けられる。
しかし、塗りそのものがかなりやぼったくなっており、R&Mの方が精悍に思える感がある。
そんな事はない! とお思いの方もおられると思うが、装着ナイトの銀色部分の明度・彩度を無視して比較してみていただきたい。
格子の内側まで彩色されている分、装着変身の方がゴーグル部分が細く見えてしまっている。
つまり、丁寧に塗装されている事が裏目に出て、かえってマスク部分のシャープさを損なっているのだ。
こう書くと、先に記した「マスクはかなり精悍なイメージになった」という文に矛盾してしまうように思えるけど、先のは、あくまで造形の話。
比較してみればわかるが、やはり、造形自体は装着ナイトの方が良いのだ。
だけど、塗りの点でわずかに損をしているように見えるという事なのだ。
もっとも、これは必要以上に細かく見た場合の問題点で、普通はあまり気にならないかも。
それより深刻なのは、R&Mとの関連プレイバリュー。
装着変身はその性質上、R&Mとの関連を持たせて遊んだり、飾ったりする事を普通に求められるだろう。
これはR&Mを持っている人限定の楽しみ方ではあるが、契約モンスターが付属しない装着変身だからこそ、こういう応用は自然に思いつくのではないか。
ところが、装着ナイトには独自の難点がある。
まず、ナイトとダークウイングの合体が不可能だという点。
なので、必然的に「飛行体制」「ウイングウォール(玩具オリジナル形態)」は再現できない。
一応、ダークウイングを背に背負わせる事は可能だが、ジベットスレッドの口径が異なるため収まりが大変悪く、すぐに外れてしまう。
ヘタに押し込もうとすると、ダークウイング側の凸ジョイントが削れる恐れもある。
また、背中に背負わせる事に成功しても、今度はダークウイングの足を固定できない。
R&Mでは、ダークウイングの足を前に伸ばし、これを腰のジベットスレッドに固定する事で完全な合体となる。
これが、装着変身では完全に不能なのだ。
原因は、写真を見ていただければ一目瞭然。
胸アーマーの蝶番が引っかかってしまって、足が伸びきらないからだ。
もちろん、ダークウイングの足を固定する必要性を感じないという人なら、確かに合体プレイは可能。
しかし、それでもやっぱり背中の固定が満足に行かないため、前面部に回した翼が、あまりうまくまとまらないという難点が発生する。
同様に、R&Mのマント(ウイングウォール)を装着変身に合体させる事も出来ない。
装着変身は、さりげにR&Mとジベットスレッドの口径構造が違う。
さらに、胸アーマーの背中側が展開する構造になっている都合上、ジベットスレッドの間が開きすぎているのだ。
そのため、こういった問題が発生しやすい。
背中に武装を合体させるというと、他にはゾルダ(ギガキャノン)やオーディン(ゴルトフェニックス)が思い出される。
新造形の武装が付属する事になっているらしい装着変身版ゾルダ(王蛇とガイの次にリリース予定)はともかく、オーディンも装着変身になったら、ナイトと同様の問題で悩まされる事になるかもしれない。
●総合評価
装着変身「仮面ライダーナイト」は、龍騎以上に進化した再商品化だと結論づけて良いだろう。
龍騎も決して悪くはなかったが、ナイトはさらにその上を行った。
何よりも、(完全ではないにしろ)R&M時に唱えられていた問題点を、できる限り改修した跡が見られるのが嬉しい。
すでにR&Mを持っている人でも、手を出す価値は充分にあるはずだ。
この調子で、続く王蛇・ゾルダ等の「R&M版商品も存在する組」の進化に期待したい。
なお、このナイトの素体フィギュアは、いわゆる「草加タイプ」のヘッドを使用している。
これは、本編内の秋山蓮に髪型が結構似ているので、ある意味では一番違和感がないかもしれない。
■総括
言うまでもなく、今回のライアとナイトは、以前紹介した「装着変身・龍騎&シザース」と同様の素体を利用しているため、膝の二重関節や可動範囲の大きい足首なども、当然継承している。
また同時に、装甲を付けないとアンバランスになってしまう腕などもそのままで、本来ならライダーごとに異なっている腹部分のモールドも、オミットされている。
この様子からすると、どうやら今後も、素体を改良する様子はないようだ。
なのでこの辺の問題点は、ここではあえて触れていない。
つまり、これだけは諦めてかかれという事になってしまう。
個人的には、これでも全然問題ないとは思うけど、気になる人はいるだろうなあ。
「人生に玩具あり2式」の理想は、最新玩具のレビュー掲載ではなく「商品の記録を残す」というものです。
今はごく当たり前の情報でも、数年後に読み返した時に「なるほど、そういえばそうだったっけ」と思っていただけるような内容を目指しています。
だから、回りくどい欠点指摘や無駄な考察などを張り巡らせている訳ですが、それについてはどうかご理解いただきたいと思います。
- | 装着変身 仮面ライダーライア |
- 装着変身 仮面ライダーナイト |
- 総 括 |