主題歌
- オープニングテーマ:星獣戦隊ギンガマン(44話以外)
The Galactic Warriors Gingaman(44話のみ) - エンディングテーマ:はだしの心で(44話以外)
Naked Mind(44話のみ) - 挿入歌:銀河の王者ギンガイオー
荒ぶる!合身獣士ブルタウラス
ギガライノス!ギガフェニックス!ギガバイタス!
『ギンガマン』OPは、アバンに「星獣とは、銀河の平和を守るために戦う神秘の動物たちのことである」というナレーションが入っている。
タイトルコール後、走る四足獣をイメージした動き方でタイトルロゴが出てくるのに合わせて画面がパンする(本当に走っている動物の隣をカメラが追い掛けるイメージ)など、獣性を強調している。
また、「ガンガンギギン/ギンガマン」といった力強くかつ意味のない歌詞は、子供に歌いやすいようにという配慮と思われる。
実際、放送当時は、いわゆる懐かしのアニメ・トクサツ系と現行のアニメ・トクサツ系の主題歌のランキング番組がレギュラー放送されていたが、このOPはかなりの頻度でランクインしている。
しかし、歌っている希砂未竜氏はその手の番組には一切登場しておらず、番組内でも“謎の歌手”的な扱いをしていたことなどからすると、正体隠蔽が図られていたようだ。
もっとも、その特徴的な声・歌い方から「子門真人氏に違いない!(つーか、バレないと思ってるのか!?)」と当時から言われていた。
鷹羽もそうだと信じている。
また、後述の英語版を歌っているのも希砂未竜氏自身であるため、ますます子門真人説が強くなったという話もある。
「子門氏である」との雑誌記事などがあったとの報告もあるが、当時、既に子門氏は公式には引退していたことなどもあって、東映・子門氏いずれからも、今もって正式な回答はなされていない。
一応納得できる説明としては、“既に引退していた子門氏を口説き落として歌ってもらうに当たり、正体不明を条件にされた”という噂がある。
なお、OPで走っている林に積もった雪は本物で、たまたま撮影前日ころに雪が降った名残だったりする。
お陰で狙っても撮れないような画面に仕上がっている。
44話の『The Galactic Warriors Gingaman』は、OPの英語バージョンであり、年末の総集編用特別版OPだ。
前作では英語版のOPはテンポの違いなどからOPとしてではなく挿入歌として使われていたが、今回はちゃんとOPとして使われている。
これは、オケがオリジナルのものをコーラスまでそのまま使われているためで、コーラスが要所要所で「ギンガマ〜ン」と入る程度の“英語版としてもそのまま使える”性質のものだったからだろう。
歌詞の方は、基本的にオリジナルのものを英語に直してあるが、意味のない「ガンガンギギン/ギンガマン」の部分を「Come On! Kick'n GINGAMAN Ride-on Ride-in GINGAMAN」と変えるなど、気を遣ってもいる。
個人的には、前作での英語版では歌詞を「Denji-sentai MEGARANGER〜」と何の捻りもなく使っていたのが気に入らなかっただけに、今回「Seiju-sentai〜」とならなかったことを喜んでいる。
基本ストーリー
3000年前、5体の星獣とギンガの森の勇者ギンガマン達によって海の底に封印された宇宙海賊バルバン。
だが、その封印は海底火山の活動で効力を失い始め、ゼイハブ船長らバルバンの魔人達が活動を始めた。
ちょうどその頃、ギンガの森では、第133代星獣剣の戦士の認定式が行われていた。
そして、ギンガの森の長老オーギは、邪悪な気配からバルバンの復活を察知し、おたけび山にある聖なる腕輪:ギンガブレスを取ってくるようヒュウガら星獣剣の戦士に言いつける。
おたけび山に向かった5人の前に、3000年前の恨みを晴らすべくやってきたゼイハブ船長らが襲いかかる。
加勢をしようとしたヒュウガの弟リョウマは、アースを使いこなせないため逆に足を引っ張ってしまい、ヒュウガは星獣剣をリョウマに託して地の底へと消えていった。
そして、兄を失った怒りがリョウマのアースを覚醒させ、その怒りに応えたギンガブレスがリョウマ達5人の手元へと飛んできた。
ギンガマンの復活に驚いた魔人達は、一旦引き上げる。
ゼイハブは、ギンガマンへの復讐より、エネルギーが足りないために未だに封印が解けない海賊船の要:魔獣ダイタニクスを復活させるのが先決と考えた。
そして、4幹部が足の引っ張り合いをするのを避けるため、復活に必要なエネルギーを集める作戦遂行をサンバッシュ魔人団の担当と決め、他の幹部の干渉を一切禁止した。
一方、ギンガの森のエネルギーに狙いを付けたバルバンの操舵士シェリンダは、独断でギンガの森を襲う。
オーギは、ギンガの森のエネルギーを悪用されないように、妖精ボックに知恵の樹モークの種を託して脱出させ、森を封印してしまった。
こうなれば、バルバンを叩き潰すまで森を蘇らせることはできない。
また、かつてバルバンを封印した方法は既に失われているため、再封印することはできず、魔人達を全滅させる以外に手はない。
5人は、たまたまこのとき森の近くに来ていて事件に巻き込まれた晴彦の世話で、シルバースター乗馬倶楽部で働きながらバルバンと戦うことにする。
バルバン復活を感知して地球に飛来した5体の星獣の力を借りながら、5人は戦い抜くことを誓った。
メンバー
ギンガレッド:リョウマ
炎のアースの戦士で、兄ヒュウガと星獣剣の戦士の座を争っていた。
本来ギンガマンのリーダーたるべき炎のアースの戦士ながら、兄の穴埋めとして加わった重圧に悩んでもいる。
兄の死を信じ切れずにいるため、それを利用した敵の罠にはまることもしばしば。
だが、やがてリーダーとして自立するに至り、ヒュウガ復活の後には、今後もギンガレッドとして戦い続けることを申し出た。
得意アース技は「炎のたてがみ」で、星獣剣にアースを込めると炎一閃、星獣剣とキバカッターの同時攻撃で二刀一閃、獣撃棒にアースを込めると猛火獣撃、閃光星獣剣と獣装の爪にアースを込めると獣火一閃になる。
ギンガグリーン:ハヤテ
風のアースの戦士。
沈着冷静なタイプで、初期は実質的なリーダーだった。
ギンガの森に婚約者ミハル(演じるは、『有言実行三姉妹シュシュトリアン』の長女・雪子を演じた田中規子氏)がおり、近々結婚する予定だったが、今回の一件で離ればなれになることに。
吹き矢としても使っている横笛は、以前ミハルに貰ったものだったが、10話『風の笛』で、シェリンダに壊されてしまった。
この時シェリンダに手傷を負わせて以来、宿敵と付け狙われ、魔人が暴れている現場に急ぐ際に何度も妨害されたが、ハヤテの方はどちらかというとシェリンダに対する恨みの気持ちはさほど強くなく、シェリンダを打ち倒してもトドメは刺さずに魔人のところに急ぎ、ますます恨まれるという展開になっていたが、46話『怒りの風』で、シェリンダがミハルの幻を使って襲ってきたことには相当腹を立てたようで、遂に49話『奇蹟の山』でトドメを刺すに至った。
昔、蜂蜜を取ろうとして蜂に刺され死にそうになったトラウマで、蜂蜜は見るだけで気が遠くなるほど苦手。
トマトも食べられなかったが、こちらは克服した。
得意アース技は「嵐の羽ばたき」で、剣にアースを込めると疾風一陣、キバカッターとの同時攻撃で二刀一陣になる。
ギンガブルー:ゴウキ
水のアースの戦士。
涙もろいタイプだが、一方で質実剛健といった素朴な人間。
勇太の担任の水澤鈴子に恋をし、やがて相思相愛の仲になった。
得意アース技は「流水の鼓動」で、剣にアースを込めると激流一刀になる。
演じた照英氏は、その後『筋肉番付』に出演するなどしてメジャー化し、『水戸黄門』にレギュラー出演するまでになった。
なお、ゴウキはその後の2002年春発売のVシネマ『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』にも登場している。
ギンガイエロー:ヒカル
雷のアースの戦士で、6人の中ではサヤと並んで最年少であり、わがままな面が目立つ。
赤ん坊の頃は、ヒュウガやハヤテ、ゴウキが面倒を見ていた。
得意アース技は「雷の雄叫び」で、剣にアースを込めると雷一掃、キバカッターとの同時攻撃で落雷両断になる。
ギンガピンク:サヤ
花のアースの戦士。
ヒュウガに憧れている。
得意アース技は「花びらの爪」で、剣にアースを込めると花一心になる。
演じた宮澤寿梨氏は、元ねずみっ子クラブメンバーで、番組終了直後にセミヌード写真集を出した。
助言者:知恵の樹(き)モーク
オーギがボックに託した種から、瞬く間に巨木に成長した“ものを言う木”。
オーギの知識の全てを与えられているため色々なことを知っている上、知能も高く、ギンガマンの知恵袋的存在。
根を利用して他の植物を介したネットワークを作っており、バルバン出現を察知したりする。
また、自らの力で新たな武器:獣撃棒を生み出した。
48話『モークの最期』で、地球魔獣に汚染された大地を浄化するために汚れを全て吸収して枯れてしまったが、その際、種を残したため、復活したギンガの森で蘇ることができた。
声を演じたのは、納屋六郎氏。
氏は、『仮面ライダー』7〜13話で藤岡弘氏の吹き替えや、『聖闘士星矢』で水瓶座のカミュ役などをしている。
ちなみに、『ルパン三世』の銭形警部を演じる納屋吾郎氏の実弟である。
マスコット:ボック
どんぐりのような姿の妖精。
オーギからモークの種を託された関係上、封印を免れた。
声を演じたのは、『超時空世紀オーガス』モーム役の深雪さなえ氏。
黒騎士:ヒュウガ
本来はギンガレッドになるはずだった炎のアースの戦士。
メインメンバーの中で、唯一晴彦の駄洒落で笑うほどの笑い上戸。
得意アース技はリョウマ同様「炎のたてがみ」で、物語中盤での復活以降は、2人で同時攻撃することもあった。
リョウマを庇ってゼイハブの攻撃を受け、星獣剣をリョウマに託して地割れに落下して消えた。
落下途中でブルブラックに吸収され、アースの力を肉体回復のために利用されていた。
ブルブラックの死後、正式にギンガレッドの座をリョウマに譲ったが、長らくブルブラックに吸収されていたため、彼が遺したブルライアットを使ってブルブラックの姿に変身できるようになった。
後に、バルバンを抜けたブクラテスの「アースの戦士ではゼイハブは倒せない」との言葉を信じ、ゼイハブ打倒のためにアースを捨てて5人とは別行動を取るようになる。
演じた小川輝晃氏は、『忍者戦隊カクレンジャー』でニンジャレッド・サスケを演じている。
支援者:青山晴彦
勇太の父で、伝説のロマンを追い求める夢多き絵本作家。
不思議な伝説を追うのが好きで、不思議な森(ギンガの森)を探しにやってきた際にギンガマンと面識を持ち、帰るところを失った彼らを、友人から経営を預かっていたシルバースター乗馬倶楽部の住み込み従業員という形で迎え入れた。
奥さんは海外に単身赴任中。
演じたのは、元チェッカーズの高杢禎彦氏。
友人:青山勇太
晴彦の息子。
ボックとリョウマが森の結界から出てしまったことから面識を持ち、その際バルバンの襲撃があったことから、ギンガマンと共に過ごすようになった。
知人:水澤鈴子
勇太の担任。
姉の結婚相手と花嫁衣装をゴウキに守ってもらった縁で交流が始まり、最終的には付き合うようになった。
ギンガマンは、3000年前にバルバンを封印して以来、代々受け継がれてきた“星獣剣の戦士”だ。
ただし、変身に必要なギンガブレスはおたけび山に保管されており、有事の際以外は身につけることはないようだ。
アースには、炎・風・水・雷・花の5種類があり、使えるアースは1人1種類となっている。
そして、星獣剣の戦士として選ばれるのは、それぞれの種類ごとに最も強力なアースを操る者と決まっており、正に選ばれた戦士と言える。
ただし、戦士選定の儀式などは、長い間に若干形骸化していた感は否めないようで、星獣剣の戦士は受け継がれていたものの、封印するための方法は失われてしまっている。
毎年秋になると、星祭で、星獣剣の戦士が
戦士とは、日々においても、戦いにおいても、心に平和を忘れず、持てる力全てを惜しまず、諦めず、振り返らず、また、仲間を信じ、苦難と悲しみは受け入れる。全ては星を守るために。
という“戦士の誓い”を詠唱する。
変身システム
▲ ギンガブレス
左手に付けた変身ブレス:ギンガブレスのダイヤル部を、矢印が自分の色に合うように回転させ、「ギンガ転生!」と叫びつつスイッチを押すとスーツが装着される。
黒騎士ヒュウガは、ブルライアットの刀身を引き抜いて天に掲げ、「騎士転生!」と叫ぶことで変身する。
5人のマスクは、ライブマンやジュウレンジャーと同様、モチーフになっている動物の顔を模したデザインになっている。
また、スーツには菱形の模様が入っており、この点もジュウレンジャーに似ている。
恒例の変身アイテムとして、ギンガブレスが商品化されている。
名乗り
「ギンガレッド! リョウマ!」
「ギンガグリーン! ハヤテ!」
「ギンガブルー! ゴウキ!」
「ギンガイエロー! ヒカル!」
「ギンガピンク! サヤ!」
その回の主人公「銀河を貫く伝説の刃!」
5人「星獣戦隊! ギンガマン!」
というのがフルバージョン。
名乗りの後、「ギンガマンとは、勇気あるギンガ戦士に与えられる称号である」とのナレーション(若本規夫氏)が入る。
ヒュウガは、単独で
「黒騎士、ヒュウガ!」
と名乗る。
最終回では、
「ギンガレッド! リョウマ!」
「ギンガグリーン! ハヤテ!」
「ギンガブルー! ゴウキ!」
「ギンガイエロー! ヒカル!」
「ギンガピンク! サヤ!」
「黒騎士、ヒュウガ!」
6人「銀河を貫く伝説の刃!」
(リョウマ)「星獣戦隊!」
6人「ギンガマン!」
という名乗りの後、「ギンガマンとは、勇気ある者のみに許された栄誉あるギンガ戦士の称号である」という特別版ナレーションが入った。
武器
標準装備は、左腰のホルスターに入っている星獣剣。
変身前は背中に背負っているが、変身後は小さくなってホルスターに入っている。
収納時は鍔の部分が縮んだ刀身を覆うように閉じているが、抜く際には鍔が開いて刀身が伸びる。
剣先が短くなりながらホルスターに収納されるシーンもちゃんとある。
ほかに、3000年前の戦いの際に奪われていた自在剣・機刃(キバ)がある。
これは、名前の通り牙のような形の武器で、短剣:キバナイフ、キバカッター、かぎ爪:キバクローとして使えるほか、変形させるとビーム銃:キバショットや弓:キバアローと、5つの形を取って戦うことができる。
それぞれが使いやすい形状というのはあるようで、主としてリョウマはキバカッター、ハヤテはキバショット、ゴウキはキバクロー、ヒカルはキバナイフ、サヤはキバアローを使うが、誰でもどの形状でも使え、キバカッターやキバショット、キバアローなどは数人が使っている。
基本形態を5つ集めて力を集中すると、機刃の激輪(キバのげきりん)という強力なエネルギー弾を発射できる。
また、機刃を星獣の星からのエネルギーを受けるアンテナとして使うことで、星獣を銀星獣に変えることもでき、その際は銀星獣の体内に入り込み、コクピット内部で回転している機刃に手をかざして念じることで自由に操ることができる。
基本武装としては、ほかにモークが作った獣撃棒がある。
これは、棍棒として使えるほか、個人用の大砲(獣撃破)としても使用でき、一斉発射すると必殺技:銀河獣撃弾
(ぎんがじゅうげきだん) になる。
47話『悪魔の策略』において、モークの力を受けて更にパワーアップしており、必殺技も戦光獣撃弾
(せんこうじゅうげきだん) にパワーアップした。
このほかに、純粋には武器ではないが、5人のパワーアップとして獣装光(じゅうそうこう)がある。
ギンガマンがギンガの光を手に入れたことによって使えるようになったもので、5人が「唸れ! ギンガの光!」と叫ぶと、左上腕に腕輪:獣装光輪(じゅうそうこうりん)、バックル部に獣装防具、右手袋と両足ブーツの端に増加装甲:獣装輪具(じゅうそうりんぐ)が付くほか、左手にかぎ爪付きの手甲:獣装の爪などが装着され、それに伴って星獣剣も閃光星獣剣にパワーアップする。
獣装の爪は、攻撃の際、かぎ爪部分が伸びる形で変形することもできる。
獣装光した状態で、5人が光の球となって敵に体当たりするのが必殺技:銀河の戦光
(せんこう) だ。
ギンガの光は、意思を持ったエネルギー体で、ある程度以上の身体能力を持つ者に反応する。
ブドー配下の魔人:怒濤武者が一旦手にして、一時的に邪装光(じゃそうこう)したものの、イリエス配下の魔人メドウメドウの毒で体力が低下したことから、ギンガの光はすぐに離れてしまい、ギンガマンの“星を守りたい”という想いに反応して力を授けることになった。
この時、本来1つであるギンガの光は、5人一組としてギンガマンに宿ったため、獣装光は5人が1か所に集まった状態でないと発動できない。
逆に、5人揃ってさえいれば、力を授ける相手は何でもいいようで、ギンガイオーに乗っているときに発動すればギンガイオーに武装され、超装光ギンガイオーとなる。
この特性を利用して、Vシネマ『救急戦隊ゴーゴーファイブVSギンガマン』では、ゴーゴーファイブの巨大ロボ:ビクトリーマーズに超装光させている。
ギンガの光が与えたもう1つの力が機動馬ガレオパルサーだ。
メルダメルダのバイクに対抗するために生み出された。
「吠えろ! ギンガの光!」と叫ぶことで、5人に分散して与えられているギンガの光の力が一点に集中し、バイク型の武器ガレオパルサーが出現する。
この際、当然のことながら5人は獣装光できない。
ガレオパルサーにレッドが乗り、突撃形態で体当たりすると、必殺技:獅子の装光
(そうこう) になる。
個人武器がないギンガマンの武器の中で、唯一レッド専用の武器と言える。
また、バイクの形をしてはいるが、これは移動手段として使われたことはなく、単に体当たりするための武器である。
初登場時、魔人メルダメルダ追跡用に使用されはしたものの、目的は高速追尾であって近くをちょこまかと走り回っていただけ。
ほかの4人が走って追いつけるほどの距離しか走っていない。
なお、黒騎士が使うブルライアットは、そのまま使えばライアットガン、鞘から抜けば剣として使えるという武器で、ヒュウガの変身アイテムとしても利用されている。
これもまた、変身前は小さくなっている。
この剣を使い、空中回転から敵を両断するのが必殺技:黒の一撃だ。
出自が異星の武器ということもあいまって、ギンガマンの武器と連携していないことに違和感がないのは見事と言えるだろう。
黒騎士ヒュウガの武器としては、ほかにナイトアックスがある。
▲「銀河大決戦セット」付属のナイトアックス。下はブルタウラス用
これは、ゼイハブを倒す武器として、ヒュウガがブクラテスの指示で作った大型の斧で、アースを持つ者には触れることすらできない(電撃のようなダメージを食らう)というものだ。
等身大で使うほか、合身獣士ブルタウラスになったときには、ナイトアックスも巨大化する。
『ギンガマン』では、通常装備として最初に剣だけを持たせるという形式を取った。
ホルスターに銃(になるパーツ)がないのは、『ダイナマン』で銃と剣(スティック)に変形する武器を導入して以来15年ぶりのことだ。
その分、銃にも弓にもなる機刃を出しているわけだが、こちらはベルトには収納されない。
また、5人に共通形状の大型火器を持たせたのも初めてで、これは次作『救急戦隊ゴーゴーファイブ』のVランサー(=Vマシンガン)に受け継がれることになる。
異彩を放っているのが獣装光で、増加装甲であり、強化武装であるという特徴と、“5人揃わないと使えない”という不便さが、5人の結束という演出効果を高めたとも言える。
商品展開的には、「獣装光セット」という形で、獣装の爪と閃光星獣剣用のパーツ、獣装防具のセットが発売されている。
移動装備
5人それぞれが獣走馬(じゅうそうば)という馬に乗っている。
名前は、順にレッドスパーク、グリーンウィンド、ブルーホライズン、イエローサンダー、ピンクフラワー。
名前にはそれぞれの色名が入っているが、あくまで名前だけで、別に5色の馬というわけではない。
実際には、レッドスパークは白馬で、後は順に黒、ベージュ、栗毛、栗毛である。
ただし、顔の部分に競馬馬のマスクのようなものを付けており、その部分は乗り手のパーソナルカラーになっている。
森の中で暮らしていたという5人の設定を考えると自然な流れではあるが、反面“馬”そのものを使う関係上、そう簡単に画面に登場させることはできないだろうと見たファンが多かった。
そして、予想どおり初期2話程度で姿を消してしまい、その後は20話『ひとりの戦い』でレッドが氷度笠と一騎討ちする際に乗ったほかは、ED以外全く登場しなかった。
通常のバイクのプラデラのような感じの商品が発売されていたが、果たして売れたのだろうか。
なお、武器のところでも書いたとおり、ガレオパルサーはバイクの形をしているだけで移動手段としては使われていない。
ロボット・メカニック
星獣(ギンガレオン、ギンガルコン、ギンガリラ、ギンガベリック、ギンガット)
宇宙のどこかにある星獣の星(それぞれ違う星)に住んでいる高い知能を持つ巨大生物。
平和を愛しており、それを脅かす者と戦う。
3000年前にも地球に飛来し、バルバンを封印するのに力を貸した。
今回も、バルバン復活を察知して飛来し、地球に留まっている。
ギンガマンを頭上(ギンガリラは肩)に乗せることでアースの力を増幅する力を持っており、それぞれ剛火炎、轟旋風、豪腕力、強雷撃(ごうでんげき)、合花弾という技を使う。
ギンガマンが星獣の頭上に立ち、機刃を掲げて「大転生! 銀星獣(ぎんせいじゅう)!」と叫ぶと、星獣の星からのパワーを受けて、金属質の外見を持つ銀星獣にパワーアップする。
銀星獣時には、それぞれのアース増幅技は、銀火炎、銀旋風、銀吹雪、銀閃光(ギンガベリックとギンガット共通)になる。
ギンガイオー(超装光ギンガイオー)
▲ 星獣合体ギンガイオー
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5体の銀星獣が「星獣合体!」して完成する巨大な戦士。
上半身にギンガレオン、腹部中央と腰部・脚部にギンガリラ、左腕にギンガベリック、右腕にギンガットが変形し、ギンガルコンが脇腹部と背中の翼として合体する。
必殺技は、銀鎧剣(ぎんがいけん)を使っての銀河獣王斬りと、背中のギンガルコンが変形するガルコンボウガンを使っての流星弾。
コクピット内でレッドが「超装光! ギンガイオー」と叫ぶことで超装光ギンガイオーにパワーアップする。
超装光ギンガイオーは、頭部・胸部に増加装甲が付くほか、銀鎧剣の鍔にも飾りが付き、超銀鎧剣となる。
この際の必殺技は、超銀鎧剣での銀河大獣王斬り。
ブルタウラス
復活したブルブラックが重星獣(じゅうせいじゅう)ゴウタウラスを呼び寄せたことで合体可能になった。
ゴウタウラスが黒騎士に巨大化光線を照射すると、黒騎士が巨大化して重騎士になる。
重騎士は、顔こそ黒騎士と似かよっているが、デザインラインが細身の小型ロボ型であり、色も黒と赤の2色になっている。
重騎士は2本の長剣:ブルソードを武器として、ブルタウラスに跨って戦うほか、「騎重合身!」の掛け声で、ゴウタウラス内部に収納合体してブルタウラスになる。
武器は、ブルソードを繋げて槍状にしたツインブルソード、ブルソードをブルタウラスの胸の鎖で繋いでヌンチャク状にしたブルチェーンソード。
必殺技は、ツインブルソードを構えたまま独楽のように回転して敵を斬り裂く野牛鋭断(やぎゅうえいだん)。
また、終盤にはナイトアックスを使用しての野牛烈断(やぎゅうれつだん)も使用している。
ギガライノス
宇宙商人ビズネラがサイに似た星獣の死体をサイボーグ手術した鋼星獣(こうせいじゅう)。
コントローラーの起動には強力なエネルギーが必要だったため、黒の一撃と銀河の戦光のエネルギーを利用した。
当初はバルバンにコントロールされていたが、魔人ヒエラヒエラがコントローラーを破壊した後、ギンガマンの叫びによって自我を取り戻した。
パワーとスピード、幻覚に惑わされない集中力や臨機応変な戦闘技術を併せ持っており格闘戦が得意。
ギガホイール1〜5に分離してギガバイタスに収納されており、出撃するとすぐに獣陸合体する。
合体の際には、特に合体コードのコールはなく、最初の合体の際にナレーションで紹介されただけである。
武器は、ギガンティスバスター。
ギガフェニックス
▲ 獣空合体ギガフェニックス
玩具レビューはこちら
ギガライノス同様、ビズネラが鳥型の星獣の死体をサイボーグ手術した鋼星獣。
ギガライノス同様、当初は操られていたが自我を取り戻した。
身軽で、弱点を突く戦法が得意。
ギガウイング1〜5に分離してギガバイタスに収納されている。
ギガライノスと同じく、発進するとすぐに獣空合体するが、やはり合体のコールはなく、当初のナレーションだけだった。
武器は、ギガニックブーメラン。
ギガバイタス
ギガライノス、ギガフェニックス同様、ビズネラがシャチに似た星獣の死体をサイボーグ手術して生み出した空母型の大型鋼星獣で、自我を取り戻してギンガマンの仲間になった。
ギガホイールとギガウイングを登載しており、普段はどこかの巨大な滝の奥に潜んでいる。
ギンガマンが呼ぶと 母艦形態(クルーザーモード)で飛来し、戦闘形態(スクランブルモード)に変形して、相手の魔人の特性を見抜いて有利な鋼星獣を出撃させる。
武器は、両腕のバイタスキャノン。
普段は、ギンガマンがどんなにピンチでも呼ばれない限り出てこないのだが、敵がビズネラの時に限って、呼びもしないのに駆けつけ、ギガライノスとギガフェニックス両方を参戦させており、その際「宿敵ビズネラを殺すべく、ギガバイタスからギガライノスとギガフェニックスが出動した」とのナレーションが流れている。
本作では、『フラッシュマン』で2台目ロボが登場するようになって以来初めてメインメンバーが乗るロボが変わらなかった。
一応、この『スーパー戦隊の秘密基地』では、ロボなどを玩具展開と絡めて考察している都合上、実質的にロボットではない大獣神などもロボとして扱っており、メンバー自身の変身や融合もメカへの搭乗として扱っていることをお断りしておく。
2006年現在、複数のロボがありながら、メインメンバーが乗り換えも他のメカとの合体もせずに1台の巨大ロボで年間通したのは、本作だけだ。
2台目ロボであるブルタウラスが、第3勢力ブルブラックのものとして登場したことが主な理由と思われるが、超装光というパワーアップによる商品展開なども絡めてのことかもしれない。
この超装光もスーパー合体とは趣が異なり、新たなメカが合体するのではなく、本当に“増加装甲が湧いて出る”という変わった構成なのだ。
何が違うかといえば、そのものずばり合体用新メカが登場しない、つまり新商品が出せないわけだ。
超装光のパーツは、当初「ギンガマンパワーアップキャンペーン」の景品として黒騎士フィギュアと共にプレゼントされたに留まり、その後「銀河大決戦セット」として、黒騎士フィギュアやナイトアックスなどとセットで発売されはしたが、パワーアップ自体が新商品の発売とリンクしていたわけではない。
ともかく、ロボの乗り換えがない分、自律行動型のギガライノスとギガフェニックスが登場したわけだが、自己判断で戦う上に決してトドメは刺さないなど、なんとなく『タイムボカンシリーズ タイムパトロール隊オタスケマン』のオタスケメカを彷彿とさせた。
なお5星獣は、撮影用に、基本形態である生物形態時の着ぐるみが作成・使用されており、ほとんどの活躍シーンは、銀星獣形態ではなく、生物的な状態で行われている。
また、生物形態のソフビ人形セットが発売されていた。
第3勢力:
第3勢力:黒騎士ブルブラック
かつてバルバンに滅ぼされたタウラス星からやってきた復讐鬼。
ギンガの光を身につけ、弟クランツの仇を討つことを目的としている。
だが、3000年前は、旅の疲れなどからギンガの光を使えないままサンバッシュに敗れ、地の底に埋もれていた。
ヒュウガを取り込むことで傷を回復させると、サンバッシュから隠した際に行方不明になったギンガの光を探すことを始める。
かつてクランツを人質に取られて武装解除したためにクランツも星も守れなかったという苦い経験から復讐の鬼となっており、バルバンを倒すためなら手段を選ばない。
ギンガの光がギンガマンのものになってしまったため、火山を刺激して地球ごとバルバンを滅ぼそうとしたが、クランツの幻影が言った「兄さん、星を守って」の言葉に、ヒュウガを解放し、火山のエネルギーを吸収して爆発を防ぐべく火口へと消えた。
その遺志は、ブルライアットと共にヒュウガに引き継がれることになる。
声を演じたのは、『MAJOR 』ジョー・ギブソンを演じた落合弘治氏。
敵組織:宇宙海賊バルバン
首領:ゼイハブ船長
魔獣ダイタニクスを船とする宇宙海賊バルバンをまとめる男。
ダイタニクスが星を食った時に生成される宝石“星の命”をこよなく愛している。
左手の義手は、前回の戦いで初代ギンガマンに切り落とされた腕の代わりで取り外して大砲と取り替えることができる。
前回、内輪揉めしているうちに封印されてしまった反省から、今回は、1軍団ずつ行動させることにした。
部下に対しても冷酷な人間で、独断専行も内ゲバも、自分にとって利がある間は放っておこうとする反面、必要ならば、部下を殺すことでも平気でする。
イリエスが恩賞目当てにブドーを陥れたことには騙されたふりをしたが、ダイタニクスの背骨が腐り始めていることを知った時には、そのイリエスの命の結晶を砕いて腐乱防止の薬とする非情さを見せている。
もっとも、シェリンダが死んだ際には、遺品である剣を三宝に載せて飾っており、彼女だけは別格だったようだ。
実は、3000年前の戦いで瀕死の重傷を負っており、“星の命”を使って命を取り留めていた。
声を演じたのは、『仮面ライダーストロンガー』でゼネラルシャドウを演じた柴田秀勝氏。
幹部:銃頭(じゅうとう)サンバッシュ
サンバッシュ魔人団を率い、ダイタニクス復活のためのエネルギー源となりそうなものを漁っていた。
すぐカッとなる性格で、ところ構わず銃を撃ちまくる。
実は、封印される前に、ギンガの光を奪うためにブルブラックを倒しているが、そのことはゼイハブには報告していない。
声を演じたのは、『ダイレンジャー』の神風大将、『オーレンジャー』のボンバー・ザ・グレートを演じた檜山修之氏。
幹部:剣将ブドー
サンバッシュ亡き後、ブドー魔人衆を率いてギンガの光捜索をした。
妖刀ギラサメを振るう剣豪幹部で、必殺技はギラサメ残酷剣。
様々な資料からギンガの光の在処のヒントを見付け出しており、俳句のような文章にしたためていた。
イリエスの奸計にはまり、裏切り者として追われ、ギンガマンに敗れて死んだ。
声を演じたのは、『バイオマン』のバイオハンター・シルバを演じた林一夫氏。
幹部:妖帝イリエス
イリエス魔人族を率い、魔力でダイタニクス復活のためのエネルギー(人間の生命などのエネルギー)を集めようとしていた。
ブクラテスの姪。
金に目がなく、恩賞目当てに他人を陥れることも平気で、ブドーを死に追いやった。
命を宝石のようなものに封じており、倒されても、その宝石から僅かな時間で復活することができる。
だが、ゼイハブとバットバスによってその宝石は砕かれてしまい、二度と復活することはない。
声を演じたのは、『巨神ゴーグ』のレイディ・リンクスを演じた高島雅羅氏。
幹部:破王バットバス
バットバス魔人部隊・バットバス特殊部隊を率いて、ダイタニクスの心臓にショックを与える作戦及び地球魔獣育成作戦を実行した。
力押しを好む単純明快な男で、ゼイハブとの付き合いが4幹部中最も古く、その信頼も厚い。
単純な分、部下思いの面もある。
声を演じたのは、『ダイナマン』の帝王アトン、『チェンジマン』のギョダーイを演じた渡部猛氏。
参謀:樽学者ブクラテス
バルバンの知恵袋で、ゼイハブから「先生」と呼ばれている。
もっとも、大した知恵を出したこともなく、シェリンダを含めイリエス以外の幹部連中からは割とバカにされているようだ。
イリエスの命の宝石が砕かれる際、反対したことから斬り捨てられた。
一命を取り留めた後は、ゼイハブへの復讐を誓い、ヒュウガを利用する。
そして、星の命を砕く訓練のために、自らの命を繋いでいた星の命を使うなど、自分を捨ててかかっており、最期にはヒュウガを庇う形で死んだ。
声を演じたのは、『名探偵コナン』で目黒警部を演じる茶風林氏。
なお、サンバッシュからは「樽ジジイ」、ブドーからは「ご老体」、イリエスからは「おじさま」、バットバスからは「じいさん」と呼ばれていた。
操舵士:シェリンダ
実際にダイタニクスを操る役目を持っており、それだけに一向に作戦がうまくいかない幹部達を苦々しく思っている。
戦闘能力は、ギンガマン1人と互角程度で、4幹部には遠く及ばない。
特に軍団を率いているわけではないが、態度はとても大きく、各軍団長に対等以上の口を利く。
10話『風の笛』で、ハヤテの笛を壊した際に手傷を負わされたため、ハヤテに対して強い復讐心を持っており、何度となく付け狙ったが、いつもまともに相手にされず、ますます復讐心を募らせていた。
そういった事情もあって、最終決戦でもハヤテの前に立ち塞がり、遂に倒された。
演じたのは、水谷ケイ氏。
準幹部:ビズネラ
かつてバットバスと懇意にしていた宇宙商人。
星獣の死体から鋼星獣を作り上げてバルバンに高く売ろうとしたが、鋼星獣がギンガマン側についてしまったため、罰として全財産を奪われてしまい、バットバスの部下として拾われた。
声を演じたのは、『機動戦士ガンダム』のマ・クベなどで有名な塩沢兼人氏。
氏は、平成12年に急逝した。
怪人:魔人
「魔人」と一括りに言われるものの、種族などは皆違うようだ。
また、イリエスの弟デスフィアスも魔人扱いされているので、内部での階級のようなものかもしれない。
サンバッシュ配下は「○○ー」と伸ばす名前、ブドー配下は「怒濤武者」などの和風漢字名前、イリエス配下はメドウメドウのような繰り返し名前(上記デスフィアスのみ例外)、バットバス配下は「○○ス」という名前といった具合に統一されている。
戦闘員:賊兵ヤートット
蛮刀を武器とする戦闘員で、雑魚的な宇宙人と思われる。
ひげ面のマヌケ顔で、オレンジ色の海賊人形といったコミカルな出で立ちだが、やることは普通の悪の戦闘員並で、ブクラテスとヒュウガの潜んでいる小屋を爆破したりと、結構えげつない。
各軍団ごとにヤートットの教育も違うらしく、その性格も様々。
バットバス配下のヤートットは、出撃前に
- 俺達は! バットバス特殊部隊!
- ××している(例:半べそかいてる)ギンガマン!
- ○○する(例:最後に勝つ)のは俺達だ!
- (バットバス等)「作戦失敗した奴は?」
- てめえで頭を食い千切れ!
と気合いを入れていく。
宇宙海賊バルバンは、魔獣ダイタニクスに操縦装置である“荒くれ無敵城”を合体させた魔獣要塞ダイタニックを操って星々の宝を奪った後、星そのものをダイタニクスに食わせて“星の命”を精製し、それを集めている。
ただし、力が全てのような世界でもあり、船長であるゼイハブの命令すらまともに聞かない荒くれ者がいたりして、各軍団の統率も今ひとつといった感がある。
魔人バクターが機刃を奪ったことを団長であるサンバッシュも知らなかったり、サンバッシュがギンガの光が地球にあることをゼイハブに教えていなかったりするのもその表れと言える。
そのため、前回の戦いでは、手柄を競って足を引っ張り合っている間に封印されてしまった。
今回、作戦遂行する軍団を1つに絞っているのも、ゼイハブが前回の轍を踏まないようにと考えてのことだった。
だが、統率の悪さは、今回もイリエスによるブドー謀殺などを生んでおり、組織としての脆弱さを露わにしている。
なお、ネーミングとしては、魔獣要塞ダイタニックは、平成9年に大ヒットした映画『タイタニック』の豪華客船タイタニックから、ゼイハブ船長は『白鯨』のエイハブ船長から、ブクラテスは学者ということで「BOOK」とソクラテスからとなっており、シェリンダは、衣装デザインの貝殻(シェル)と操舵師ということで「舵輪(だりん)」から付けられている。
また、ほかの幹部達は、
- サンバッシュ → 桟橋
- ブドー → 埠頭
- イリエス → 入り江
- バットバス → 波止場
という具合に、海に関係する言葉をもじって付けられている。
巨大化
「バルバンの魔人は、バルバエキスを飲むことで巨大化する。
だが、それは自らの命をも縮める最後の手段でもあるのだ」というナレーションが示すとおり、バルバエキスを飲んで巨大化する。
どうやら、封印される前の戦いでは、命を削ってまで戦った魔人はほとんどいなかったようだ。
バルバエキスの入れ物は、サンバッシュ配下はウイスキー瓶、ブドー配下はひょうたん、イリエス配下はアラビア風革袋、バットバス配下は樽となっている。
また、バルバエキスは注射使用でも作用するため、デギウスとビズネラは、本人の意思とは関係なく巨大化させられている。
真実の物語
3000年前、宇宙海賊バルバンに母星を滅ぼされたブルブラックは、復讐の旅に出て、その途中ギンガの光を手に入れた。
そのころ、バルバンは地球を襲っていたが、駆けつけた5体の星獣とギンガマンやギンガの森の人々の奮戦、またバルバン内部の足の引っ張り合いで状況が膠着していた。
この乱戦で、ギンガマンは機刃を奪われてしまう。
また、ゼイハブも星獣によって瀕死の重傷を負わされ、右胸に星の命を埋め込むことで九死に一生を得た。
そんな中、地球にやってきたブルブラックだったが、長旅の疲れなどからサンバッシュに敗れ、ギンガの光を隠して地の底に飲み込まれた。
ギンガの森の人々は、バルバンの内輪揉めに乗じ、おたけび山の仕掛けでダイタニクスをおびき出して全ての魔人ごと海底に封印することに成功した。
その後、星獣は宇宙へと帰っていったが、ギンガの森の人々は、いずれ封印が解ける日に備えて未来のギンガマンを育てるべく、星獣剣の戦士を代々選ぶようになっていった。
ラストへの流れ
中途半端に封印が解けたまま半年以上も放置され続けたダイタニクスは、背中の一部が腐り始めてきた。
それを知ったゼイハブは、ギンガマンに倒されて復活しようとしていたイリエスの命の宝石を砕いてダイタニクスの傷口に与え、腐食を止めることにする。
ゼイハブにイリエスを殺され、自身も重傷を負わされたブクラテスは、ゼイハブに復讐することを決意し、戦いの傷で弱っているゴウタウラスを封印して人質に、ヒュウガに取引を持ちかける。
自分と共にゼイハブを倒そうと言ってくるブクラテスに不信を抱いたヒュウガではあったが、「アースの戦士ではゼイハブを倒せない」という言葉に妙な引っかかりを覚え、ゴウタウラスのこともあって仲間達の元を離れる決意をする。
ゼイハブを倒せる唯一の武器:ナイトアックスは、アースを持つ者は触れることすらできないため、ヒュウガは沈みの実を食べてアースを捨てた。
そんなヒュウガに、ブクラテスは、“全てを教えて寝首をかかれては困るから”と、意味を教えないまま訓練を与える。
ヒュウガは、その意味も知らされないまま、ナイトアックスを使いこなすための訓練を始めた。
ヒュウガを引き戻そうとしたリョウマも、ヒュウガがかつての“たとえどんなことがあろうとも星を守ろう”という誓いを胸にブクラテスと行動を共にしていることを知って、ヒュウガを信じて別々の道を行くことにする。
そして、隕石のエネルギーを利用して遂にダイタニクスが復活、ギンガマンは、総力を挙げてこれを迎え撃ち、特訓途中のヒュウガも加わっての総力戦となった。
そして、ダイタニクスの背中(以前腐りかけた部分)が弱点と気付いたギンガマンの総攻撃により、ダイタニクスは死んだ。
だが、ダイタニクスの肉片は、地球の中心を汚し、地球魔獣が誕生してしまった。
実は、ゼイハブはダイタニクスの弱点に気付いており、ダイタニクスを捨てて地球魔獣を新たな船とするべく行動していたのだった。
地球は、地球魔獣によって徐々に地表まで汚れが広がり、モークが弱っていく。
更に、バットバス部隊の魔人に対抗するため獣撃棒を強化したことで、モークの消耗は進んでしまった。
やがて地球の汚染は進み、地球の力であるアースも汚れてリョウマ達はアースを使えず変身もできなくなってしまった。
モークは命を賭けて地球の汚れを一手に吸収し、そのお陰でリョウマ達は変身できるようになった。
だが、引き替えにモークは種子を遺して死んでしまう。
その頃ヒュウガとブクラテスは、ゼイハブ打倒のために星の命を砕く訓練を始めていた。
そんな2人をバットバスが襲う。
ヒュウガがバットバスと戦っている間に、シェリンダの剣がブクラテスを貫く。
なんとかブクラテスを連れて脱出したヒュウガだったが、ブクラテスの傷は深かった。
死を悟ったブクラテスは、ヒュウガにゼイハブ打倒の方法を告げる。
ゼイハブの右胸には星の命が埋め込まれており、そこから生まれる無限のエネルギーによって不死身になっているため、ナイトアックスで星の命を砕かなければゼイハブは倒せないのだと。
ブクラテスがヒュウガの訓練用に使っていたのは、ブクラテス自身を支えていた星の命だった。
潜伏場所がシェリンダらに取り囲まれていることを知ったブクラテスは、ゴウタウラスをヒュウガに返して脱出させ、自爆して果てた。
形はどうあれ、命を捨ててゼイハブを倒そうとしたブクラテスの遺志も継いで、ヒュウガは改めてゼイハブ打倒を誓う。
リョウマ達は、星獣から、3000年前の戦いの際、おたけび山の仕掛けでダイタニクスをおびき出したという話を聞いて、地球魔獣を誘導できるのではないかと考えた。
思惑どおり地球魔獣はおたけび山に誘導され、その動きをキャッチしたバットバス・シェリンダ、ヒュウガもそれぞれおたけび山に向かう。
グリーンとシェリンダの因縁の戦いはシェリンダの死で幕を閉じ、バットバスは急成長エキスごと地球魔獣に食われ、残るはゼイハブ1人となった。
そして、急成長した地球魔獣に城を合体させたゼイハブを、ギンガイオー、ブルタウラス、ギガライノス、ギガフェニックスが迎え撃つ。
地球魔獣の肉片が散らばれば再び地球が汚されるため、肉片全てを焼き尽くして倒さなければならない。
リョウマはギンガイオーの技に炎のアースを込め、火炎獣王斬り、火炎流星弾を放つが、地球魔獣には歯が立たない。
4対1の戦いの中、ナイトアックスの一撃が城を破壊し、黒騎士ヒュウガ対ゼイハブの等身大戦、地球魔獣対ギンガイオーら3体の巨大戦となった。
アースを使いすぎて疲労が激しいリョウマに、4人とギガライノス・ギガフェニックスがアースを注ぎ込み、ギンガイオーの拳から放出するギンガ大火炎で地球魔獣は焼き尽くされた。
一方、黒騎士は、ゼイハブの右胸にナイトアックスの一撃を叩き込むが全く通用しない。
実は、ゼイハブは星の命を右胸から胸の中央に埋め変えていたのだった。
ギンガマン5人が合流して6対1になってもゼイハブの優勢は変わらず、猛攻を受けた6人は変身が解けてしまった。
ナイトアックスが砕け、ヒュウガも深手を負ったため、一旦リョウマがヒュウガを撤退させた。
「ナイトアックスを失っても、アースがなくても、俺は星を守る」と言うヒュウガに、リョウマは「アースは兄さんの中にある」と答える。
「アースは星を守る力だから、星を守ろうとする兄さんには大きなアースが生まれるはずだよ」と。
ハヤテら4人を追い詰めたゼイハブの前に、戻ってきたヒュウガとリョウマが立ちはだかる。
そしてリョウマは、突如アースの力を復活させたヒュウガと炎のたてがみを同時に放ち、ゼイハブの星の命を砕いた。
6人は再び変身し、黒の一撃と銀河の戦光の連続攻撃でゼイハブを倒す。
ゼイハブの死と共にギンガの森が復活し、6人は、懐かしいギンガの森に帰ることができた。
そして、モークが遺した種子からモークも再生し、大団円となった。
Vシネマ 星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー
VシネマでのVSシリーズ第4弾。
このシリーズにしては珍しく、メイン番組である『ギンガマン』の後日談(バルバン全滅後しばらくしてからの話)として作られている。
また、役者の都合か、耕一郎、瞬、みくの出番は少な目で、久保田博士は名前しか登場しない。
冒頭であっさり死んでしまうギガライノスとギガフェニックスが哀れを誘う。
いくら人が乗っていないからといってあんまりだ。
平気な顔で魔獣ゲルマディクスを爆発四散させてしまうデリカシーのなさもマイナスだ。
これでは、ゲルマディクスの肉片で、また地球が汚れて魔獣が生まれてしまう。
ただし、メガレンジャー側で登場するロボが、『メガレンジャー』最終回で地球に残された形のギャラクシーメガだけであるところに若干の良心を感じる。
ネジレジア側のキャラとして登場するヒズミナ(シボレナにそっくり)の“メガレンジャーとの最終決戦直前に作られ、ビビデビによって宇宙に転送された”というかなり無茶な設定もさることながら、存在理由が敵方である宇宙海賊グレゴリーの復活の原因でしかないのも少々マイナス。
再生怪人扱いであっさり死んでしまうゼイハブほか幹部連中もかなり悲しいものがあった。
傾向と対策
シリーズ20作目(『ゴレンジャー』からは22作目)となった『ギンガマン』は、前作『メガレンジャー』での正統派回帰を受けて、実に真っ当な正義の味方となった。
まず、何と言っても、ギンガマンの特徴は、星を守る戦士となることを望み、そのために努力を重ね、その実力を長老に認められて星獣剣を勝ち取った者達であるということだ。
この“自ら望んで努力し、選抜された”戦士は、実はスーパー戦隊シリーズでは非常に珍しい。
鷹羽が見るところ、ジュウレンジャーとデカレンジャーだけだろう。
スーパー戦隊は、戦士としての素質を持っているがゆえに一方的に選ばれるというパターンが多い。
元々軍の構成員を集めた“特殊部隊”であるサンバルカンやチェンジマン、オーレンジャーにしても、そういった特殊部隊への配属を自ら望んだわけではなく、いきなり転属させられたり、候補生の訓練に駆り出されたりして一方的に選ばれている。
理由の1つとして、戦隊結成準備が秘密裡になされていることが多いというのが挙げられるが、戦隊の存在を知った上で、その一員になることを自ら願った戦士が存在する土壌は、最初から乏しいのだ。
もちろん、そういった戦隊の戦士達も、選ばれた後は、自身の意志で戦士として歩んでいるわけだが、選ばれる前からそれを望んでいたわけではない。
デンジマン、ゴーグルV、ダイナマン、バイオマン、マスクマン、ターボレンジャー、ジェットマン、ダイレンジャー、カクレンジャー、カーレンジャー、アバレンジャー、ボウケンジャーといった面々は、いずれも素質や能力を理由にスカウトされた戦士達だ。
また、バトルフィーバーも、元々国防省のエージェントだったところに強化服を与えられたわけだから、このパターンに入るだろう。
ゴーゴーファイブは、最初から子供を使うつもりで父親が組織したというとんでもないチームだから、やはり本人達の意思ではない。
母に促されて突然組織されたマジレンジャーも、これに近いものがあるだろう。
メガレンジャー、ハリケンジャーは、“たまたまそこにいたから選ばれた”わけだし、元々戦士になることを望んでいたわけではないから、やはり選ばれた組だろう。
これに対し、自ら戦士となることを選んだパターンとしては、フラッシュマン、ライブマン、ファイブマンがある。
だが、これらは、戦士の座を奪い合う存在がそもそもおらず、望めば全員が加われる戦隊だ。
事実、ライブマンは、後からブラック・グリーンを迎え入れている。
タイムレンジャーも、竜也以外の4人は、元々そういう部署だと知っていて時間管理局に入ったわけだから、自ら選んだ道だと言えるが、その人選の真実は、リュウヤ隊長が自分に都合の良い人間を選んだだけと思われ、努力や熱意、実力が認められたというには問題がある。
なにしろ、彼ら4人は、入局間もない訓練前の新人で本来なら選ばれるはずがなかった上に、最初の巨大化戦を生き残れば1年後にタイムファイヤーが死ぬまで戦いが続く(=生き残れる)ことを歴史が保証しているという微妙な立場なのだ。
成り行きでもなく、偶然でもなく、素質だけでもなく、自ら鍛え上げた力を認められて戦士になるというのは、このように珍しいのだ。
この特徴は、戦士たることを常に自覚しているという意味で、本作の特徴となっている。
特に、本来レッドになる予定だったヒュウガ復活後、既にレッドとして戦い続けていたリョウマが今後もレッドでいたいと申し出るところなどは、分かっている展開ではあってもいい感じだ。
もう1つ、今度は敵方について見てみると、4人の幹部が1クールずつ登場するという特徴がある。
途中で新たな幹部が参入するのはよくある話だが、“最初から4人いる幹部が1人ずつ前面に出てくる”というのは、スーパー戦隊シリーズでは類を見ない設定だった。
普通なら、複数の幹部がいる組織は、幹部が手柄争いをしつつ1話おきに出番が来るなどするところだ。
『ギンガマン』では、この理由を“前回は軍団ごとに足を引っ張り合ったから負けたので、二の轍を踏まないため”とすることで自然なものにした。
本作において、幹部が1人ずつ登場するというのは、企画時から決まっていたことだ。
これには、各クールごとの番組の色を変えようという目的があったようだ。
西部劇の荒くれガンマン風のサンバッシュ、和風の剣豪ブドー、アラビア風妖術使いイリエス、スパルタンな武闘派バットバスといった色分けも、そうした雰囲気の変化を強調するためだったのだろう。
それに伴い、劇中の物語も、1クール目のサンバッシュ編ではダイタニクス復活のために様々なエネルギーを集める作戦、2クール目のブドー編ではギンガの光争奪戦、3クール目のイリエス編では、ダイタニクス復活のエネルギーを呪術で人間から奪う作戦、4クール目のバットバス編ではダイタニクス復活〜地球魔獣育成と、幹部ごとに求める方向がはっきりしている。
そして、それにともなって、ギンガマンの武装も変化していく。
通常、スーパー戦隊では、年間数回にわたって、新兵器の登場などのパワーアップが行われる。
こういった新兵器の登場は、物語の起伏として描写されてはいくが、その存在理由の大部分は商品展開との絡みだ。
『フラッシュマン』まではせいぜい必殺技のパワーアップ(バージョンアップ)くらいで、商品展開には繋がっていなかったのだが、『マスクマン』での必殺武器交代以来、中盤で新兵器が登場するのは当たり前になった。
必殺武器が交代しなかった『ライブマン』でも、個人武器がファルコンソード→ファルコンセーバーといった具合にパワーアップして新兵器が登場しているし、『ターボレンジャー』では、2クール目に登場した新必殺武器Vターボバズーカのほかに、序盤で個人武器ターボカセットが開発されており、年間2回新兵器が登場している。
ここに、『ジュウレンジャー』でハウリングキャノン(伝説の武器)、6人目の戦士の専用武器:獣奏剣と、レンジャースリンガーが加わり、新兵器が実質3回登場するようになった。
『ギンガマン』では、この流れを受けて、機刃、獣撃棒、ブルライアット、獣装光という構成になった。
獣装光は、獣装の爪と閃光星獣剣用のパーツセットが発売されている。
この強化は、敵幹部の交代に伴って行われており、ブドー魔人衆に対抗するために獣撃棒が登場し、同時期にブルブラック(ブルライアット)が登場する。
そして、獣装光が加わると同時にイリエスが前線に出るようになる。
また、この時期にヒュウガが黒騎士となっており、ブルライアットが味方側装備になった。
このように、敵幹部の交代と共にギンガマンの戦力が強化されており、本作の物語が幹部交代を中心に組み上げられていることが分かる。
ただし、これが成功したのかと言うと、残念ながらそうは言いがたい。
新兵器の登場は、戦いの激化、或いは敵の強化を視覚的に納得させる効果を持つ。
新しい武器が必要になるということは、それだけ敵の戦力が上がっているということを意味するからだ。
いや、確かに装備の強化と共に敵味方双方が強くなったような印象はある。
だが、根本的な疑問もまた生じてしまうのだ。
4軍団は、そんなに力の差が大きかったのか?
通常は、新幹部の参入や怪人の強力化などによる敵組織強化が図られるのが普通だ。
ところが、『ギンガマン』では、新たに前線に出てくる幹部も魔人も3000年前からいた奴らで、しかも幹部達は(組織的には)同列という事実がある。
つまり、同列のくせに魔人達の戦力を含めて歴然とした力の差があるということになるのだ。
まぁ、軍団ごとに力の差があるのは構わないのだが、ことが船の復活を賭けた重大事だけに、「さっさと強い奴らを前面に出せばいいのに」と言いたくなる。
もちろん、本編上はその点をかなり上手くかわしており、カードでジョーカーを引いたサンバッシュが一番手を任され、「部下をやられて黙っていられねえだろう」とそのまま戦い続け、ギンガの光の情報を握っているブドーが二番手になるなどしているのだが、それにしたって三番手がイリエスである必然性には乏しいし、幹部の発言力が同じなのも妙だ。
まぁ、操舵手のシェリンダと各軍団の長達が互いにタメ口をきいているくらいだし、あからさまに力の差があっても、並び立っていられたのかもしれないが。
船乗りの場合、一般に操舵手のヒエラルキーが高いはずなのだが、少なくとも本作の場合、シェリンダがナンバー2とはとても思えない組織構成になっている上、魔人を部下に持たないシェリンダより4幹部の地位が低いとは考えにくいのだ。
ともかく、こういう弊害があったせいか、この多数幹部順次出撃制はこれ1作で終わっている。
正確には、例えば『百獣戦隊ガオレンジャー』では、シュテン、ウラ、ラセツと、大幹部が1人ずつ交代で登場しており、それに伴って敵が強くなっていくという展開を見せる。
これは、『ギンガマン』の流れを継いだものとも言えるが、正確には『仮面ライダー』の頃からある流れであり、『ギンガマン』がそれらと大きく違うのは幹部も怪人も1話から登場しているという点なのだ。
後から出てくる分には、以前より強くなっていても問題ない。
というより、この手の番組としてはそれが当たり前とさえ言える。
例えば『仮面ライダー』では、ゾル大佐も死神博士も地獄大使も、ショッカーの各支部で辣腕をふるっていたと作中で説明されており、作品世界では確かに同時期に存在していたキャラだ。
しかし、少なくとも画面上では初登場するまではその存在が語られてすらいなかった。
組織内に最初からいたとしても、画面に出なければいないのと同じだ。
同じスーパー戦隊シリーズの『忍風戦隊ハリケンジャー』の敵ジャカンジャには、暗黒七本槍という7人の幹部が登場するが、当初から登場している5人の幹部については、それぞれの戦力にはさほどの差はなく、明確に強さが抜きん出ていたのは途中でパワーアップしたマンマルバや、中盤以降に登場したサタラクラ、サンダールだけだ。
これもまた後から登場した幹部が強いという基本ラインを守っているわけだ。
本作での方式は、例えば『超人機メタルダー』で、ネロス帝国の4軍団が1軍団ずつ攻めてくるようなもので、最初から幹部が揃っている意味に乏しい。
ジャンプマンガによくあるトーナメント方式のような形式ならば、いくつもチームがあり、後から対戦する敵の方が強くても何の違和感もない。
だが、本作のような1つの敵組織において、最初から登場している軍団が1つずつ攻めてくるというのは非常に珍しい形式で、鷹羽がぱっと思いつくところでは、『超獣機神ダンクーガ』(テレビ版)でのムゲ・ゾルバドス帝国のデスガイヤー、ギルドローム、ヘルマットの3将軍くらいだ。
ただ、『ダンクーガ』の場合、デスガイヤーは白兵戦、ギルドロームは精神攻撃、ヘルマットは爆撃とタイプの違いを明確にしたため、ダンクーガの苦戦の仕方に自然と差が生じたこと、番組打ち切りの都合でヘルマットがすぐ死んでしまい、強そうに見せる暇もなかったことなどから、3将軍に戦力差があるようには感じにくかった。
『ギンガマン』の失敗は、最初からいる4人の幹部を1人ずつ投入しているのに、強さに明確な差を持たせすぎたということなのだ。
これでは、内輪もめしても足の引っ張り合いにもならず、実質5星獣と星獣剣だけで戦っていた初代のギンガマンが勝てたのが不思議なくらいだ。
何しろ、長老オーギの知識を全て受け継いでいるモークが銀星獣への大転生を知らなかったし、バルバンも知らなかったのだから、先代では機刃をさっさと盗まれて銀星獣にもギンガイオーにもなれずに終わったことは明らかだ。
装備の点でこれだけ差があるのに、先代のギンガマンはバルバンと互角以上に戦い続け、ゼイハブに瀕死の重傷を負わせたり、ダイタニクスごと全魔人を一網打尽に封印したりしているのだから、先代はよほどの実力者揃いで、ギンガの森の民も含めて戦い方が巧かったということになる。
つまり、今のギンガマンは戦力自体は増強されているくせに、総合戦闘力において、先代より弱くなっているとしか考えられないのだ。
さて、本作では、レギュラーとしてギンガマンの側にいるメンバー外のキャラは、晴彦と勇太親子だけという非常に閉じた世界になっている。
これは、乗馬倶楽部を住処に据えた5人が、戦う以外の目的で外界にほとんど出ないことによる。
一応、鈴子先生のようにセミレギュラー化したキャラもいるが、ゲストキャラはそう多くはなく、そのほとんどが1回だけの登場となっている。
この辺は、私生活をほとんど持たない戦闘のプロとして描かれていることの影響といえ、鷹羽的には好感を持っている。
前作から始まったクリスマス前に総力戦をして、年末最後の放送では息抜きのおふざけ総集編をやるという悪しき伝統は、今回は晴彦がギンガマンの活躍を描いたイラストを見ながらの回想という形になっている。
恒例となり始めたサブタイトルの拘りとして、今回は「○○の××」という統一がある。
『必殺の機刃』『逆転の獣撃棒』などという具合だが、今回は特に1話『伝説の刃』と最終話『明日の伝説(レジェンド)』にも拘りがある。
タカラの勇者シリーズでおなじみの“主題歌のタイトル・歌詞をサブタイトルに使う”手法だ。
「伝説の刃」はOPの、「明日の伝説」はEDの歌詞に出てくる言葉なのだ。
なお、イリエスが一度も再生しないまま死亡する『不死身のイリエス』や、全然(とまでは言わないが)晴彦が活躍しない『無敵の晴彦』など、妙なタイトルがいくつかあることも付け加えておこう。
商品展開にも、この作品の特殊性が現れている。
巨大ロボの項でも書いたが、超装光ギンガイオーになるためのパーツは、当初発売されていなかった。
3クールに入る前後、「ギンガマンパワーアップキャンペーン」として、ギンガイオーとブルタウラスの超合金の応募マークを送ることで、抽選で黒騎士ブルブラックフィギュアとギンガイオー用の超装光パーツのセットがプレゼントされるという形でしか入手できなかったのだ。
これは、同時期放送の『鉄ワン探偵ロボタック』でのランドツールプレゼントや、前年放送の『ビーロボ カブタック』でのキャプテントンボーグプレゼントと同様の、商品購入者への特典という形だった。
これは、一般売り商品の金メッキ版のようなマイナーチェンジバージョンでなく、当選しないと入手できないというもので、『聖闘士星矢』の『聖闘士聖衣』シリーズでの射手座の黄金聖衣(カムフラージュ版)やオーディンローブなどのようなものだった。
ただし、キャプテントンボーグは、本編後半、ボディカラーが青から赤に変わって赤トンボーグになり、それに伴って赤バージョンで商品化されていたため、『ギンガマン』でも、後に何らかの形で超装光パーツが商品化されるのではないかと噂されていた。
結果的に、超装光パーツと黒騎士ヒュウガフィギュア、ナイトアックスがセットになった「銀河大決戦セット」が発売されており、せっかく商品の箱から応募マークを切り取ってまでプレゼントに応募した人は、相当激怒したそうだ。
もっとも、箱の一部を切り取ることを嫌がるのはコレクターの類(もはや素人とは言えない人種)だけだろうから、個人的には、前年の状況からそれくらい予想できない方が悪いとも思うが。
この例に限らず、『ギンガマン』の商品展開は、かなり特殊だ。
有名な説として、メインプロデューサーだった高寺成紀氏が、スポンサーサイドからの至上命題である“合体ロボ玩具が出せる巨大ロボ”の登場を拒否し、星獣のみで(ギンガイオーすら出さずに)1年通そうとしてしていたため、2号ロボ的存在のデザインが間に合わなかったことが原因だというのがある。
そのため、3号4号ロボであるギガライノス・ギガフェニックスのデザインは、他戦隊ロボの没デザインの流用だったそうだ。
そして、ようやく登場させたギガライノス・ギガフェニックスにはギンガマンを乗せなかったため、せっかくギガホイール1〜5、ギガウイング1〜5に分離収納されているのに、出撃した途端、個別に画面に映るシーンすらなく合体するという異常に色気のない登場になっている。
しかも、合体コードである「獣陸合体」「獣空合体」すら、本編中ではナレーションで1回紹介されただけという不遇ぶりだ。
画面に出しにくい獣走馬の代わりにプラデラ要員として登場させたのではないかと思われるバイク型メカ:ガレオパルサーにしても、突撃兵器でしかなかった。
挙げ句に、せっかく格好良くパワーアップした新獣撃棒は、ラスト間際の登場であり、端から玩具化するつもりがないのがありありだ。
高寺氏は、後年『仮面ライダークウガ』でも、商品化されているアルティメットフォームの出番をほとんどゼロにし、隠し球的に登場したアメイジングマイティフォームが放送当時商品化されずに終わるなど、マーチャンダイジングとの協調性に欠ける方針が問題視されることになるが、本作で既にその片鱗を見せていると言われている。
鷹羽も、その意見に敢えて異を唱えるつもりはない。
ただし、本作の特性を考えた場合、巨大ロボの乗換がなかったことは高く評価している。
というのも、1号ロボであるギンガイオーは、ギンガマンそれぞれのパートナーになっている星獣が合体したものだからだ。
『百獣戦隊ガオレンジャー』と比べると分かりやすいだろう。
『ガオレンジャー』の場合、5体のパワーアニマルが合体して1号ロボ:ガオキングになる。
この5体のパワーアニマルこそが、ガオレンジャー5人の変身能力の源となっている。
5人が持っている変身アイテム:Gフォンは、その5体から力を受け取るための触媒なのだ。
だから、最終回直前のように、メインの5体が死ねば変身不能になる。
物語途中で狼鬼に次々とパワーアニマルが奪われた際にも、メインの5体だけ不自然なまでに狙われなかったのは、そういった作劇上の限界によるのだ。
だが、『ガオレンジャー』の特徴であり最大の成功要因でもあった百獣武装(パワーアニマルの換装)が、メインの5体との一体感を失わせる原因ともなってしまった。
百獣合体・百獣武装には、パワーアニマルの分身とも言える“ガオの宝珠”を使うため、百獣武装に使われるパワーアニマル達の宝珠は、必然的に、武装によって外れるメインのパワーアニマルのパートナーが持つことになる。
例えば、ガオキングの右腕であるガオシャークはガオブルーのパートナーだが、右腕に百獣武装されるガオジュラフの宝珠もガオブルーが持つことになるわけだ。
ガオベアーとガオポーラの宝珠など、元々はガオイエローが入手したにもかかわらず、両手を司るガオブルーとガオホワイトに譲られている。
そのため必然的に、1人のガオレンジャーが2〜4個の宝珠を持つということになる。
こうして、本来ならば絶対のパートナーであるべきメイン5体のパワーアニマルとガオレンジャーの繋がりは、とても希薄になってしまった。
後半メインロボとなるガオイカロスなど、メイン5体のパワーアニマルが1つも入っていない有様だ。
その点、ギンガマンと5体の星獣の結束は、ラストまで非常に強いものとなっていた。
確かにギンガマンの変身と星獣の力の間には、直接的な関係はない。
星獣達が地球に来なくても死にかけていてもギンガマンの変身ができることから、それははっきりしている。
だが、それにもかかわらず、ギンガマンと5星獣の結束は、ガオレンジャーと5体のパワーアニマルのそれとは比べものにならないほど強い。
もし、ギンガマンがギガライノスらに乗り換えていたら、それほどの結束は感じられなかったに違いない。
また、ギガライノスらをパートナーではないが仲間である星獣として無理なく存在させた演出や、ガレオパルサーを5人揃わないと使えないギンガの光による力として設定したことで、少なくとも物語中での違和感はほとんど感じさせない。
だから、商品展開的には問題があるにせよ、鷹羽は『ギンガマン』作品内でのロボや武器の描写自体は特に問題ないと思っている。
まぁ、ギガホイールとかの合体は無駄だが。
恒例の主役キャラによるアイキャッチは今回はやっておらず、『チェンジマン』以来のイラストアイキャッチになっている。
また、アイキャッチで「ギンガマン」とナレーションが入っている。
もう1つ、恒例となったセクシー系女優の顔出しレギュラー出演は、今回はシェリンダ役として水谷ケイ氏が出演している。
この人は、番組放映中の時期に、男性向け週刊誌などに「ギンガマンに出演中の」というキャプション付きでヘアヌードを発表しており、個人的に非常に気に入らなかった。
キャラの項で書いたとおり、サヤ役の宮澤寿梨氏も番組終了直後にセミヌードになっているが、これは番組が終わっていたので笑って許せた。
まぁ、芸能活動をどう行おうと本人の自由ではあるのだが、やはり子供も見る番組に出演している人が、その最中に、出演していることをウリにヌードってのはまずいだろうと思ったわけだ。
“出演していた”というのと“出演中”というのは、やはり違う。
この作品のちょっと後くらいから、番組放映中に出演女優がそれをウリにグラビアに出るというパターンが出てきたような気がする。
出演する人の層がグラビア寄りになってきたせいかもしれない。
この作品以降(特に21世紀に入ってから)、そもそもヒーロー系番組全般の主役側役者がアクションからっきしのモデル系が多くなったという傾向もあって、出演女優が週刊誌や写真集でセミヌードやらきわどい水着姿やらを披露するようになってきたため、(そういう傾向自体は嫌いなのだが)いちいち腹を立てなくなってしまった。
『特捜戦隊デカレンジャー』のデカイエロー・ジャスミン役:木下あゆ美氏が番組放送中にセミヌード写真集を出したのを知った時にはすごく驚いたが、それすらもう怒りもしなかった。
ただし、『仮面ライダー555』に真理の先輩美容師添野ひかる役で出演していた三訳真奈美氏が、「『仮面ライダー555』ヒロインが脱いだ!!」というキャプションでグラビアに載ったことには、相当腹を立てた。
添野ひかるは、当時はまだ番組に2回くらいしか登場していないゲストキャラであり、そんなキャラを「ヒロイン」と呼ぶなど予想だにしなかった鷹羽は、この情報を知った時「三訳真奈美って一体誰だろう?」と疑問を抱き、さらに、添野ひかる役と知って「どこがヒロインやねん!」と怒ったものだ。
既に腹を立てる理由が違っているのが分かる。
ちなみに、このキャラは結局1年通して3回程度しか登場しなかったが、三訳氏は番組終了から3年経っても、時々「『仮面ライダー555』ヒロイン」というキャプションで写真週刊誌等に登場していた。
鷹羽は、『ギンガマン』をかなり気に入っており、年間の構成やキャラ立ち、物語のボルテージなど大好きな面が多いのだが、1つだけどうにも許せないことがある。
それは、“最後にヒュウガにアースが戻り、アースによってゼイハブの星の命を破壊した”ことだ。
言うまでもなく、4クール目でのヒュウガは、アースを持つ者ではゼイハブは倒せないという理由から、アースを捨て仲間とも別れて訓練に明け暮れている。
その理由についてはブクラテスの死の直前まで謎とされてきたが、少なくとも展開上、39話『心のマッサージ』(11/29放送)では、ゼイハブを倒すにはナイトアックスを使わねばならないことが語られている。
そして、ナイトアックスはアースを持つ者には触れることもできないため、ヒュウガはブクラテスの言葉を信じてアースを捨てた。
この点、ブクラテスが手駒としてヒュウガを選んだ理由には、ゴウタウラスを人質にできることのほか、黒騎士の戦闘能力がアースに依存していないということもあったのだろう。
もちろん、“ギンガマン5人を分断することなどできない”という作劇上の理由もあったはずだ。
ともかく、この時点で、少なくともブクラテスの頭の中には、星の命を破壊できるのはナイトアックスだけという確固とした信念があったことは疑いようがない。
そうでなければ、わざわざヒュウガが持つ便利な力=アースを捨てさせてまで新たな武器を持たせなくても、ブルライアットを使った新たな技を身に付けさせればいいのだから。
ブクラテスは、ギンガマンではゼイハブを倒せない理由として、“あの程度の力では無理”ではなく、“アースを持つ者には不可能”と言っているのだ。
この辺りは、アースという“星を守る力”では星の命を破壊する=星を殺すことはできないと解釈でき、実にストレートに納得できる。
ところが、最終話では、特に何かしたわけでもないのにヒュウガのアースは復活し、アース技である炎のたてがみで星の命を破壊している。
一応、その直前のシーンでは、リョウマがヒュウガに“アースは星を守る力だから、星を守ろうとする兄さんにはアースが生まれる”と言っている。
要するに、星を守る戦士なら、たとえ一度はアースを使えなくなってもまた使えるようになると言いたいわけだろう。
一方で、ゼイハブの星の命が砕けた際には、リョウマが「星を傷つけるお前から星が離れたんだ」と言っている。
たしかに、戦う相手のいない3000年の間に“星を守る気持ちがある限りアースは失われない”ことが忘れられてしまった或いは元々知らなかった可能性は否定できないし、アースで星の命を破壊できないというのもブクラテスの思い込みに過ぎなかったのかもしれないから、作品内論理として破綻しているとは言い切れない。
だが、作劇上の論理として、3か月にもわたるヒュウガの悲壮な努力にはどう落とし前をつけるのか。
ヒュウガは、二度とギンガの森に帰れなくなる覚悟で永遠にアースを捨て、リョウマもその覚悟を知って敢えて袂を分かった。
ブクラテスは、自らの命を繋ぐ“星の命”を訓練用に差し出していた。
それなのに実はアースで星の命を破壊できるし、アースも復活するんですでは、ブクラテスは大勘違い野郎だし、ヒュウガもリョウマ達5人も単にものを知らないで悲壮ぶっていただけの間抜け揃いになってしまう。
確かに最終回だけ見れば、なくしたはずのアースが奇蹟の復活を遂げて、ダブル炎のたてがみで星の命を破壊したという燃えるシチュエーションとも言えるが、よく考えてみれば、そこに至るまでの3か月の重みをまるっきり無視したご都合主義的展開でしかない。
例えば、まだナイトアックスを使いこなせないヒュウガの捨て身の一撃で相討ち的に星の命が砕け、ギンガマンがトドメを刺す形でも燃える演出は可能なはずだ。
そして、ギンガの森に帰れないヒュウガが1人旅立つといったベタな展開でも十分盛り上げられる。
安っぽい奇跡を起こして根幹をダメにするより、よほど綺麗にまとまるように思うのだが。
また、百歩譲ってアースの復活を許すとしても、リョウマの言葉の後、具体的に復活を示す描写が全くないままにいきなり炎のたてがみというのは、展開があまりにも唐突すぎる。
これは、決して“尺が足りなくて描写をオミットした”などというものではない。
なにしろ、リョウマの言葉を聞いたヒュウガが「俺にもアースが…」と手の平を見つめるシーンがあるのだ。
そこで手の平の上に炎のアースが燃え上がれば、まだ復活が目に見える形になったはず。
そして何より、ヒュウガがアースを捨てる覚悟をした時に見つめた手の平の炎と、アースを捨てた直後に見つめた“もう炎が出ない手の平”の対比に対する回答にもなるはずだ。
せめてそのシーンがあれば、鷹羽は、筋は通らないが、まあ許せると思えたことだろう。
気に入っていた作品だけに、この一点で画竜点睛を欠いてしまったことが、どうにも許せない。
そろそろまとめに入ろう。
前述の理由から、鷹羽の『ギンガマン』評は、“ラストでコケたけど、まあいい作品だった”になってしまった。
だが、ラスト以外については、非常によくできた作品だったと思う。
代々受け継がれた“星を守る戦士”という立場の重さと意味をしっかりと胸に刻み、仲間との絆を信じ、その信念が揺らぐことのなかった戦士達。
やんちゃで自分勝手な面を持ち、5人の中で最も戦士として未熟だったと思われるヒカルにしても、星を守るという目的をないがしろにすることはなかった。
前半、リョウマがヒュウガ絡みになると暴走しがちだったものの、それを乗り越えていく過程がきちんと描かれていたため、成長の証としてプラスに働いている。
また、第3勢力だった黒騎士ブルブラックにしても、愛する者を守れなかった悲しみ故の暴走であることが貫かれており、最愛の弟の幻に導かれて、母星ではないが“星を守る”ために散っていった。
その想いを受け継ぐ形でヒュウガが黒騎士に変身できるようになったというのも、伝説の戦士に新戦士を加えるという無茶な要請に対する解答として、なかなか巧い方法だった。
同じような伝説の戦士ジュウレンジャーの6人目:ドラゴンレンジャーが、5人の装備より格段に上位のスーツを持っていて、しかもそのスーツの存在や在処をバーザが知っているという、だったら最初からそれをゲキに渡せよと言いたくなるような展開だったことと比べれば、格段に自然だ。
“星を守る”という仲間と同じ信念を貫くために袂を分かったヒュウガ。
ゼイハブを倒すため、仲間との生活も故郷への帰還という夢も捨てて、アースを捨てたヒュウガ。
そして、理由は知らないまま、ヒュウガの想いの深さと覚悟の強さを感じ取り、それを止めなかったリョウマ。
最終的に筋を曲げてしまったものの、かなりの秀作だったと言えるだろう。
そして、ここからスーパー戦隊シリーズは、ややライトながらも真面目な正義の味方路線へと回帰していく。
前作での正統派回帰の流れを受け、次代へと繋いだ逸品である。