電磁戦隊メガレンジャー

平成9年2月14日〜10年2月15日 全51話+Vシネマ1本

主題歌

 『メガレンジャー』のタイトルコールは、5人が「電磁戦隊」と言った後、ゲームの合成音声のような声で「メガレンジャー」と入る。
 これは、本作が対戦格闘ゲームを意識している作りのため、ゲームでのスタート・勝利時の音声などを模しているものと思われる。
 本編中で、戦闘開始時に「MEGABLACK FIGHT!」と文字が入るのと同じような感覚だろう。
 
 また、EDとして、夏場バージョンの『BOMB DANCING メガレンジャー』が流れているが、これは、盆踊りに引っかけてのネーミングであり、ある意味この作品らしい曲となっている。
 個人的には嫌いだが。
 これを含め、都合3種類のレギュラーEDが流れたことになるが、これはシリーズ最多記録となっている。

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基本ストーリー

 対戦格闘ゲーム「メガレンジャー」で、ゲーセン荒しと評判の男と対戦し、見事な勝利を収めた伊達健太は、デジタルセンターNASADAに連れて行かれ、久保田博士に引き合わされる。
 実は、このゲームは、ネジレジアの侵略から世界を守る計画の下、強化スーツを使いこなせる人材を探すシミュレーションマシンだったのだ。
 だが、「焼肉を食わせてくれるって言うから来ただけ」と答える健太にがっかりした久保田博士は、健太をスカウトするのをやめ、帰らせることにする。

 一方、健太の友人の遠藤耕一郎ほか3人は、NASADA見学を急遽中止にされたために忍び込んだものの、施設内部で捕まり、健太と一緒に追い返されることになった。
 だが、そこにネジレジアからの攻撃が始まった。
 耕一郎達は、電子ロックが故障して開かなくなったドアを、持っていた電子手帳などの部品を利用して開けてしまう。
 博士は、耕一郎達のセンスに賭けることにして5人にデジタイザーを与え、メガレンジャーを誕生させた。
 エイネジレを倒し、戦艦ネジクラッシャーをギャラクシーメガで撃破したメガレンジャーだったが、ネジレジアの侵略は始まったばかりだった。

 スーツは、一度装着した人間の遺伝子情報を記憶するため、もう他の者が装着することはできない。
 高校生5人は、平和のために戦わなければならなくなってしまった。

▼ 「真実の物語」は…

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メンバー

メガレッド:伊達健太

 頭部の紋章はパソコンで、万能の能力を持つ。
 個人武器はドリルセイバー。
 私立諸星学園高校3年A組(当初2年生)で、ほかのメガレンジャー4人がいる関係でデジタル研究会(通称:デジ研)に入ったが、パソコンのキーボードを見るとじんましんが出るというくらい苦手。
 実家は八百屋。
 お気楽な性格で焼肉好き。
 ただ、義理人情には厚く、タケシらゲーセン仲間の子供達を守るためにたった1人飛び出してネジレ獣に立ち向かったり、かつての友人と戦うことになった久保田博士を心配して無茶をしたりもする。
 19話『打ちこめ!不屈の必殺パンチ』で、ギレールに盾にされたタケシを殴って怪我させてしまったことで、戦えなくなったりもしている。
 また、16話『激ヤバ!オレたち死ぬのか?』で、死の毒に犯され、あと数時間の命という状況に絶望した際、立ち直ったのは、上記のゲーセン仲間の少年や焼肉屋の主人もまた毒に犯されていることを知り、彼らを救うためにギリギリまで戦おうと決意したことからだった。

 演じた大柴邦彦氏は、平成11年NHKの朝ドラ『すずらん』でヒロインの幼なじみ役として準主役になり、翌年には洋服の青山のCMキャラになっている。

メガブラック:遠藤耕一郎

 頭部の紋章はデジタル衛星で、あらゆる通信衛星を利用して情報収集・分析する力を持つ。
 個人武器は棍状のメガロッド。
 健太の同級生で、デジ研の会長も務めており、そのままメガレンジャーのリーダーにもなっている。
 真面目な優等生だが、反面、頭が固く、融通の利かない性格をしている。
 千里となんとなくいい感じ。

メガブルー:並樹瞬(なみき・しゅん)

 頭部の紋章はデジタルテレビで、立体映像を映し出したりする力を持つ。
 個人武器はメガトマホーク。
 デジ研の一員で、コンピュータグラフィックによるイラストレーター志望。
 実質、デジ研の活動は、耕一郎、瞬、千里の3人が行っている。

メガイエロー:城ケ崎千里(じょうがさき・ちさと)

 頭部の紋章はデジタルカメラで、映像を記録・分析したり、立体映像を作り出すほか、敵を結界内に捕らえて、自分達に有利な状況で戦うことができる。
 また、右手にエネルギーの刃を生成して手刀で斬るブレードアームも得意。
 個人武器はメガスリング。
 デジ研の一員だが、銀塩写真が趣味。
 演じた田中恵理氏は、後に『仮面ライダークウガ』で笹山望見巡査を演じている。

メガピンク:今村みく

 頭部の紋章はデジタル携帯電話で、敵の所在や戦闘能力を分析する電波を発することができる。
 個人武器はメガキャプチャー。
 デジ研の一員だが、おまけ部員的存在で、パソコン等はほとんど使えない。
 瞬に片思いしていた(実は瞬も意識していた)が、とうとう告白できないまま卒業してしまった。

 演じた東山麻美氏は、この後、Vシネマ『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』に、同じ今村みくの役で出演している。

司令官:久保田 衛吉(くぼた・えいきち)博士

 ネジレ次元の存在を信じ、ネジレジアの侵略を国連に提唱してI.N.E.T.International Network of Excel-science and Technology:世界科学連邦)を作り上げた天才科学者で、前線司令官的な立場にある。
 見た目どおり、かなり人の良いおじさんで、健太達を温かく見守っている。
 自ら強化スーツを開発し、装着すべき人材を探していたが、成り行きとはいえ高校生を戦わせていることに心を痛めている。
 反面、健太達の素質と可能性を高く評価しており、メガレンジャーとして戦えるのは彼らしかいないとも考えている。
 また、見た目に反して結構アクティブな性格で、危険を承知で前線に出ることも多い。
 5話『キメるぜ!これが裏技バトル』では、自動戦闘プログラムによる無人戦闘でショックアブソーバーが破壊されて大地震状態のギャラクシーメガの中で、きっと助けに来るであろう健太達を迎え入れるため、戦闘プログラムを停止させるべく決死の覚悟でコクピットに向かうということもやっている。
 かつてネジレ次元に消えた親友:鮫島のことを今でも案じ、止められなかったことを心の傷にしている。

 演じた斉藤暁氏は、『踊る大捜査線』の副署長や、『うたう!大竜宮城』の亀の運転手、『超力戦隊オーレンジャー』の豊の父などを演じている。

整備班チーフ:川崎省吾

 プログラムの権威:川崎博士の一人息子で、ギャラクシーメガの整備班チーフ。
 若いが腕のいい整備士。
 I.N.E.T.職員の高野めぐみと交際中。
 ギャラクシーメガ中破後は、月面基地で修復作業を行っていた。

 演じた田中優樹氏は、『ブルースワット』でブルースワットのサポーター(後方支援担当):セイジ役を演じていた。

メガシルバー:早川裕作

 頭部の紋章はLSIのような形で、スーツ固有の特別な能力はない。
 I.N.E.T.のスペースメガプロジェクト特別開発班チーフで、月面基地やメガボイジャーの設計・建造責任者であり、普段は月面基地内にいる。
 ただし、本人は前面に出たいタイプで、仕事を放り出して勝手に行動していることが多い。
 デジタルスーツのプロトタイプを勝手に改修してメガシルバーのスーツを作り上げたり、こっそり自分用の巨大ロボ:メガウインガーを作り上げたりと、相当な額の予算をちょろまかしていると思われる。
 おおざっぱな性格で、博士の頭痛の種だが、科学者としても戦士としても非常に能力が高い。
 6人の中でただ1人、ネジレジアに顔を知られている。

 演じた金井茂氏は、『重甲ビーファイター』で、ジースタッグ:片霧大作を演じていた。

 メガレンジャーは、成り行きでスーツを着用する羽目になり、そのまま戦うことになってしまった戦士だ。
 元々戦士としての能力を買われてスカウトされ(そうになっ)たのは健太1人で、ほかは、耕一郎と瞬が電子ロックを解除したセンスを見込まれてスーツを与えられただけで、千里とみくはついでだった。
 特にみくは、戦士としては全く能力を持っておらず、スーツの性能だけで戦っている。
 この点は、前述の『百獣戦隊ガオレンジャーVSスーパー戦隊』で、本人も触れているところだ。
 とはいえ、彼らが全く無自覚に戦っているかというとそうでもない。
 
 16話『激ヤバ!オレたち死ぬのか?』では、ドグガネジレがばらまいた毒に1万数千人が犯され、24時間後に死ぬという状況になる。
 健太達もその中に含まれていたため、死ぬ前に思い残したことをやろうとして、健太は小遣いをはたいて特上カルビを食べまくり、瞬はこれまでに描いたCGをプリントアウトして個展もどきをやろうとし、みくは欲しかった服などを買い漁り、ウェディングドレスも買って瞬に告白しようとした。
 結局、健太は上記のとおり知り合いを助けるために、瞬は個展もどきでは満足できないから思い残したことをなくすのは無理と気付いて、みくは告白する前に瞬にそう持ちかけられたため、いずれも助かる可能性を求めてI.N.E.T.の解毒薬を待つことにした。
 なお、耕一郎と千里は、最初からデジ研の部室で久保田博士からの連絡を待っていた。
 この例は、自分を救うことと他者を救うことが一致しているが、特に健太は、自分以外の者を助けるために傷つくことを恐れない性格をしており、熱血突っ走り系のレッドだった。
 また、優等生タイプの耕一郎・千里は、世界を守るために戦うことに意義を感じており、第一志望の大学の入試を放り出して戦いに赴いたりもしている。
 瞬とみくは、それに付き合っている状況というところだろうか。
 少なくとも3人は、他者を守るということを自覚して戦っていると言っていいだろう。

 I.N.E.T.は、久保田博士の提唱により国連が作り上げたネジレ次元からの侵略に対処するための国際組織で、構成員も日本人だけでなく、数か国から研究員が参加しており、画面上から少なくとも2人の外国人隊員が確認できる。
 ネジレジアが地上界に出現する際には、そのエネルギーで周囲の空間がねじれるという現象が起きるので、そのネジレ反応を検知するシステムによって発見し、侵略を防ごうとしている。
 前線基地であるメガシップにはシールドシステムが搭載されており、攻撃から船体を守ることはもちろん、敵からの位置探索にも引っ掛からないようになっている。
 組織立ち上げ段階から、いつ侵略が始まるか分からないという切羽詰まった状況だったため、取りあえず前線基地としてメガシップを作り上げたようだ。
 実際、予想より遥かに侵略が早く、戦士の選定も間に合わない状況だった。
 特に、月面基地の完成は侵略開始の半年後と、大きく遅れている。
 
 また、I.N.E.T.の上層部では、スーツの装着者を変更すること自体は諦めているが、ギャラクシーメガの操縦については高校生に任せるべきではないという意見も強かったようで、実際に5話で、自動戦闘プログラムによる無人操縦システムを導入しようとしている。
 結局、健太達の奔放な戦闘の方が実戦向きであるという結論に達したため、その後は議論されなくなったようだ。

 なお、5人の名前は、

  • ate Kenta
  • ndou Kouichirou
  • amiki Syun
  • ougasaki Chisato
  • mamura Miku

となっており、イニシャルを並べると「DENJI」となる。

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変身システム

 左手に付けた変身ブレス:デジタイザーに「インストール! メガレンジャー!」と音声入力してカバーを開き、「3」「3」「5」「ENTER」と入力すると、メガスーツ(初期数話ではデジタルスーツと呼称)が電送されてくる。
 入力時には、デジタイザーから「スリー、スリー、ファイブ」という音声が発せられる。
 これは暗証番号とキーワード、声紋照合によるロックであり、他人が変身することはできない。
 実際、カナリアネジラーと声を交換されてしまった千里は、変身できなかった。
 また、メガスーツは、最初に装着した人間の遺伝子情報を記憶するため、誰かが装着したスーツは、一からプログラムを組み直さないと(=作り直さないと)他人が装着することはできない。
 また、装着者の体調が装着コンディションの基準値を下回ると、強制的に装着解除されるという安全装置もついている。
 
 スーツは、頭部のコンピュータのバトルプログラムに従って動くようにできており、大まかな動きは、コンピュータに選択肢を提示させ、その中から装着者が選んだものが実行される。
 そのため、みくのような戦闘能力・知識を持たない者でもきちんと戦うことができる。
 このシステムは、分かりやすく言うと、家庭用ゲーム機のアクションゲームなどでたまにある“戦闘中、セレクトボタンなどでウインドウを開き、リアルタイムで武器を選択する”システムのようなものだ。
 つまり、「ここはパンチで」とか、「今だ、メガスナイパー使用!」といった装着者の判断を、コンピュータの提示する選択肢の中から即座に選び出す、或いはコンピュータが提示した使用可能な武器・行動の中から、最も有効と思われる選択肢を選ぶといった能力が重要なのであり、そういった能力の秀でた者を探すために格闘ゲームの形でシミュレーターを作ったようだ。
 実際、健太がスカウトされた理由としては、ゲーム上では通常使用できないはずの裏技(隠し武器):ドリルセイバーを使用していたことが大きい。
 スーツ着用時、選択肢をどうやって選んでいるのかは不明だが、スーツ装着者がコントローラのようなものを持っているわけではないので、脳波や音声入力の複合により操作しているのだろう。
 ただし、非戦闘時の行動は、装着者の動きをそのままトレースしている。
 
 なお、ネジレンジャーに盗まれたデータのチェックを基地のコンピュータでやっていたことなどからすると、スーツ本体は、メガシップや月面基地で保管・整備されていると思われるが、初期は健太達が変身すると、ゲーセンのメガレンジャーが消えるという描写があったので、もしかしたらゲーセンの筐体の中にデータの状態で保管されていたのかもしれない。
 スーツは信号によって電送されるシステムになっていて、基地のコンピュータで変身不能にすることも可能。
 デジタイザーが発する電波は、かなり強力なのか中継点が多いのか、地下からでも宇宙空間のメガシップや月面基地まで届くが、電波妨害や結界などによって電波が遮断されると変身不能になるため、幾度もピンチに陥った。
 
 なお、通信時にはデジタイザーのボタンカバーを開くが、マイク・スピーカーはカバーの外についており、カバー裏面に画面があるわけでもないのに、どうしてカバーを開くのかは謎
 ちなみに、このカバー裏には、変身のほか、メガスライダー等の呼出コードが記載されている。

 また、メガシルバーは、携帯電話型の変身アイテム:ケイタイザーを持ち、「2」「5」「8」「0」「ENTER」と入力して「ケイタイザー! インストール!」の音声入力で変身する。
 このとき、ケイタイザーからは「エム、イー、ジー、エー、メガ」という音声が発せられる。
 このスーツは、資料として保管されていたプロトタイプを早川が勝手に改良・実用化したものであるため特殊な能力は内蔵されておらず、また、非常に高性能・高出力な代わりに2分30秒しか装着できない。
 後に、改良により装着限界がなくなったが、それに伴って目立った活躍をしなくなっているので、装着時間延長の代償として性能が低下しているかもしれない。
 装着時間を延長したのは、メガウインガーに搭乗するためなので、戦闘能力を多少下げてでもタイムリミットを削る必要があったと考えられるからだ。

 スーツは、デンジマン、バイオマンと同様、頭部に内蔵されたメカ(劇中で「紋章」と呼称)に固有の特殊能力で性能の個別化を図っている。
 マスクには、超アップ用としてパソコンなどの紋章が光る電飾内蔵のものが用意されている。
 
 また、“銀色”が入ったのも初めてで、そのせいか、メガシルバーのマスクは、金色と銀色で構成されており、特に金色のラインがメッキ処理されているという凝りようだった。

 恒例の変身アイテムとして、デジタイザー、ケイタイザーが商品化されている。
 デジタイザーは、数字のボタンを押すと、「スリー」などと音声が出る。
 変身音のほか、メガシップやデジタンク、メガスライダー呼出コードによる電子音が鳴り、オリジナル機能として、ブレスからランダムに発せられる音声に合わせてボタンを押すというゲームができるようになっている。
 なお、「7(セブン)」の音は、「9(ナイン)」の音と区別が付きにくいようで、鷹羽はゲームではここで失敗してしまう。
 5人共通で左手のブレスだけで変身というパターンは、『マスクマン』以来9年ぶり。
 
 ところで、このデジタイザー、商品をそのまま小道具として本編内で使用しており、通信や変身のシーンを見ると、ボタンカバーの裏に「912 GAME」と書かれたシールがそのまま貼ってあるのが分かる。
 何もそこまでそのまま使わなくてもいいだろうに…。
 
 ケイタイザーは、これまでのドラゴンバックラーやキバチェンジャー、キングブレスなどのような5人のもののバージョン違いではなく、完全な別形状になっている。
 これ以後、“増加メンバーの変身アイテムはメインメンバーとは別系統”というのが伝統になる。
 また、ケイタイザーは、後の作品にいくつか登場する携帯電話型変身アイテムの第1号でもある。
 通常時、ボタンの上を半透明のカバーが覆っており、使用時にカバーをバシャッと開くアクションが特徴的だった。
 この当時は、まだ携帯電話とPHSが同じくらいの普及率で、しかも都会ならともかく田舎では電波の届かない範囲が多かったため、まだまだどこでも着信しやすいポケベルが重宝されていた時代だった。
 名称が「ケータイザー」ではなく「ケイタイザー」なのはそのせいだ。
 携帯電話の形状にしても、無変形の棒形が圧倒的で、せいぜい長さを稼ぐためにマイク部分が蓋のように開閉するタイプがあったくらいで、今のような二つ折りタイプは、1社が出していたかどうかというレベルだったと記憶している。
 そういった理由から、今にして考えると妙な“ケイタイザーの半透明のカバー”も、当時は特におかしくは思わなかったのだ。

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名乗り

 「メガレッド!」

 「メガブラック!」

 「メガブルー!」

 「メガイエロー!」

 「メガピンク!」

 5人「電磁戦隊! メガレンジャー!」

というのがフルバージョン。

 メガシルバーは、単独で

 「メガシルバー!」

と名乗る。

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武器

 標準装備は、右腰のホルスターに入っている銃:メガスナイパー
 メガスナイパーは上下に分割でき、それぞれメガショットメガマグナムという銃になる。
 一旦分割し、それぞれの個人武器(マルチウェポン)を挟んで合体させると、ドリルスナイパーロッドスナイパーなどになり、破壊力が上がる。
 また、トマホークスナイパーには冷凍弾を、スリングスナイパーには追尾弾を発射する能力がある。
 これら合体銃を同時発射すると、ファイナルシュートという初期必殺技になる。
 
 14話でドリルスナイパーにダブルトップが追加されて銃口が2門になり、強化型のドリルスナイパーカスタムになった。
 また、13話以降、ほかの4人の個人武器は、合体してマルチアタックライフルになる。
 これは、メガロッドを銃身、メガキャプチャーを銃口、メガトマホークとメガスリングをグリップとして合体させた銃だ。
 大型火器を持たないメガレンジャーは、ラストまでドリルスナイパーカスタムとマルチアタックライフルの同時発射が必殺技であり続けた。
 ただし、最強の必殺技は、下で挙げているドリルスナイパーカスタム・フルパワーである。

 ほかに、レッド専用で、右手首に装着するバトルライザーがある。
 これは、1〜3のボタンがあり、「01」を押せばライザーチョップ、ライザーパンチなど肉体的攻撃力を飛躍的に上げ、「02」を押せばバトルライザーからレーザーバルカンが発射されるもので、レーザーバルカンは変身前でも使用できる。
 ちなみに、通常「01」モードは右手だけで攻撃しているが、ブレスをしていない左手も攻撃力が上がっており、左右の4連撃なども可能。
 33話『ウキウキ!月からきた恋人』で、新たなプログラムがインストールされ、「03」を押すことでドリルスナイパーカスタムの破壊力を15倍に増幅する能力(ドリルスナイパーカスタム・フルパワー)が加わった。
 2号ロボ:デルタメガの音声操縦アイテムでもあったため、当初はレッド専用装備だったが、後に複数製造され、シルバー、久保田博士、耕一郎、千里も装備した。
 また、レッドのものをほかの者が使用することも可能で、29話『やせたい!みくの怪しいダイエット』でピンクが借り受けて使用している。

 また、メガシルバーの武器シルバーブレイザーは、右前腕に固定するタイプの銃(ガンモード)で、銃口の上にあるパーツを前方に反転させて刀身を発生させ、剣(ソードモード)にすることもできる。
 スーパーロボット大戦シリーズをプレイしている人なら分かるだろうが、『聖戦士ダンバイン』のビルバインが持つオーラソードライフルのようなものだ。
 必殺技は、ガンモードで連射しつつ敵に接近し、ソードモードで切り裂くブレイザーインパクト
 当初は、ブレイザーインパクトを掛け、切り裂いた勢いでそのまま振り向くと、敵の爆発と共にタイムリミットで変身が解けるというのがパターンだった。
 ついでに言うと、タイムリミットがなくなった後、ブレイザーインパクト単独でトドメを刺したことはない。

 『メガレンジャー』では、通常装備である銃が2挺拳銃に分解できると共に、『ターボレンジャー』のターボカセット同様、通常装備に個人武器を合体させて強化するという形式を取った。
 それだけではなく、一歩進めて、レッドの合体銃が単独で必殺武器になり、ほかの4人の個人武器だけを合体させてもう1つの必殺武器にするという形になっている。
 商品展開としても、ドリルセイバー単品売りとマルチアタックセットの2本立てになっている。
 ただし、メガスナイパーの分解機能は、どちらかというと個人武器との合体のためだけにあるようなもので、メガショットなどを単体で使っていたのはごく初期だけ。
 
 また、変身に使わないブレスを装備したのは初めてであり、攻撃力強化アイテムであると同時に2号ロボの操縦機という面白い位置付けになっている。
 そして、ドリルスナイパーカスタムといい、バトルライザーといい、レッドの武器だけが強化されていくというちょっと変わった展開でもある。

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移動装備

 5人それぞれにサーフボード型の飛行装置:サイバースライダーがある。
 反重力システムで移動するメカであり、空中を飛行できるほか、大気圏離脱することも可能で、事件現場に急行するためだけではなく、メガシップやボイジャーマシンに乗り込んだり、月面基地への往復の移動手段としても使用する。
 また、メガシップ側からの操作で、サイバースライダーの緊急帰還を行うこともできる。
 もちろんメガシップに直行するだけでなく、自由なルートで移動・停止することができるが、宇宙空間を飛行する際には、周囲にチューブ状のコースを作っており、何らかの力場を発生しているものと思われる。
 このコースは透明化もできるようだが、内部にはちゃんと1気圧程度の空気もあり、生身の人間を抱えて宇宙に出ることも可能。
 
 設定最高速度は550km/hだが、メガシップへの移動時間等を考えると、どう考えてもそれより早いはずである。

 このほか、突入、救助活動用に多機能作業車デジタンクがある。

▲ デジタンク。
玩具レビューはこちら

 壁などを透視するマルチビュー・サーチャーや、前部左側にマジックハンド:デジハンドを装備し、階段を昇るほどの登坂力を持つ。
 また、攻撃用にパーティクルキャノンを装備しており、久保田博士が戦場に駆けつける際などにも使用していた。

 シルバーには、オートスライダーというサーフボード型(ホバーモード)に変形するバイクがある。
 どうやら、早川のオリジナル設計らしい。

 サイバースライダーは、OPに「サーフィンしようぜ/光るネットの波をくぐって」とあるように、当時浸透しつつあった言葉「ネットサーフィン」に引っかけてのものだ。
 実物大のプロップが人数分作成されているが、当然プロップに移動機能はなく、移動シーンは全て合成である。
 
 シルバー専用となっているオートスライダーも、前作に引き続きメインの5人以外が乗るバイクとして登場しているわけだが、シルバーはシグナルマンと違って5人と同陣営であるため、5人同様のサーフボード形態に変形するということで統一感を持たせている。
 
 また、デジタンクは、戦隊の始祖である『ゴレンジャー』のバリタンク、『ジャッカー』のジャックタンクの流れを汲む装甲機動車で、実際に走行可能なものが作成・使用されている。
 『バトルフィーバー』に始まる正規のスーパー戦隊シリーズでは、2005年現在、唯一の装甲車だ。

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ロボット・メカニック

ギャラクシーメガ

 宇宙空間に浮かぶI.N.E.T.の前線基地兼宇宙船:メガシップが変形する巨大ロボ。
 先端部内部にはメガシャトルが収納されており、普段は久保田博士らが地球との行き来に使用している。
 この際、メガシャトルの加速用ブースターとして使用されるシャトルブースターは、ロボに変形後、ブースターライフルとして使用される。
 このメガシャトルを5人が操縦して単独で頭部に変形、メガシップ本体が変形したボディ(頭部以外)に「電磁合体!」して完成する。
 変形時には、メガシップが持つバリアシールドを展開しているため、多少の攻撃はものともしない。
 宇宙ステーションでもあるメガシップの変形ではあるが、メガシップ自体が大気圏内飛行できるとんでもないメカなので、宇宙空間でも地球上でも自在に変形できる。
 宇宙で変形した場合は、メガシールドを構えながら大気圏突入して地上に降りてくる。

 武器は、メガサーベルと上記のブースターライフル
 メガサーベルは、刀身部分を電磁ムチとして使うこともできる。
 メガサーベルを使っての必殺技は、メガフライングカッター、メガクロスカッター、メガサイドカッター、メガストレートカッター、メガフラッシュアロー、メガダッシュカッター、ギャラクシーランス、メガハングカッターと多彩。
 
 32話『終わりか!?絶体絶命ギャラクシーメガ』で、マッドギレールに破壊され、以後月面基地で修復作業を受けていた。
 
 ギャラクシーメガ内部には、I.N.E.T.の職員が100人以上常駐しており、戦闘に関係ないとはいえ、当時はスーパー戦隊ロボ史上最多の搭乗者数を誇るロボットだった。
 『特捜戦隊デカレンジャー』に登場するデカベースロボの収容人数とどちらが多いかは不明。
 ただ、間違いなくこちらの方が乗員の危険度は高い。
 何しろ格闘をして倒れたりするのだから。
 一応、強力なショックアブソーバーが内蔵されているため、通常時は転んでも問題ないが、これが壊れると、無茶苦茶な振動に襲われる。
 やはり危険だったからか、後に月面基地が完成してからは、職員はそちらに移っている。
 
 なお、一応「電磁合体」という合体コードがあるものの、メガシャトルもメガシップの搭載機である上、ギャラクシーメガのコクピットは5人一緒なので、2号ロボにありがちな分離変形、或いはマジンガーZやマシーンブラスターのようなコクピット合体タイプと見るべきだろう。
 合体機構を持つ1号ロボで、メンバーが操るパーツ同士が合体するわけではないロボは、2005年現在、このギャラクシーメガだけである。

デルタメガ

 戦力強化のために作られた無人自動操縦の2号ロボ。
 AIなどによる自己判断機能はなく、バトルライザーによる音声入力で作動するようになっている。
 戦闘プログラムは、その道の権威である川崎博士が作った。
 無線操縦だけに、“より強力な電波による乗っ取りが可能”という鉄人28号のようなロボットでもある。
 普段はシャトルモードでメガシップ下部のドックに駐留しているが、バトルライザーに「デルタメガ、インストール」と音声入力すると、発進して大気圏に突入し、ロボモードに変形する。
 武器は、両手の指から発射するガトリングブラスター
 巨大な空薬莢を排出しながら連射するはた迷惑な武器である。
 ギャラクシーメガの中破と共にドック入りしていたが、42話『ふりきれ!邪悪な追跡者』ではシルバーが、50話『壮絶!灼熱の超戦士ユガンデ』では久保田博士が、それぞれ自分のバトルライザーで操作している。

スーパーギャラクシーメガ

 ギャラクシーメガとデルタメガが「超電磁合体!」して完成する。
 アクセントとしては、「ちょう・でんじがったい」と区切る。

 バトルライザーをギャラクシーメガのコクピットにセットすると合体プログラムが起動して変形を開始、その際、両ロボが一旦大気圏外に離脱し、それぞれメガシップとシャトルモードに戻ってから合体行程に入り、デルタメガが再度変形したギャラクシーメガの頭部、腕部、脚部、胸部、肩にそれぞれ増加装甲として合体する。
 武器は、両肩に来ているデルタメガの手首から発射するガトリングブラスターで、デルタメガ時の3倍の威力がある。
 実弾なのに、どうして合体で威力が上がるのかは不明。
 必殺技は、両拳を発射して敵を貫くスーパーギャラクシーナックルと、錐もみ回転して火の玉状になって体当たりするビッグバンアタック
 ただし、ビッグバンアタックは、本編中で「新必殺技」と呼称されているものの、敵を倒したことはないので、必殺技と呼ぶには疑問がある。

メガボイジャー

 早川が月面基地と共に設計・製作した3号ロボで、月面基地から発進した5機のボイジャーマシンが「銀河合体!」して完成する。

 格納時は、上方に発進するロケットボイジャー3(ブルー搭乗:上半身基幹部、腹部、脛部、ボイジャースパルタン)を中心に、ロボイジャー1(レッド搭乗:腰部、大腿部)、シャトルボイジャー2(ブラック搭乗:頭部、ボイジャーシールド)、ソーサーボイジャー4(イエロー搭乗:胸部、腕部)、タンクボイジャー5(ピンク搭乗:足首)が四方の発進口を向いている形になっている。

 発進時、ロボイジャー1は、プロレスのリングロープのようなスリングを使用して射出されるが、レッドはロボイジャー1の推進装置を上手く扱えないため、発進後すぐに、ロケットボイジャー3にサーファーのように乗った状態になる。
 とはいえ、33話『ウキウキ!月から来た恋人』では、ロボイジャー1単独で大気圏突入・離脱しているので、その程度の推力はちゃんと持っているようだ。

 銀河合体の際には、まずロケットボイジャー3の後部が分離され、更に左右分割されて脛部になり、同じく左右分割して足首になったタンクボイジャー5と合体する。
 次に、ソーサーボイジャー4が展開して腕部と胸部・背面部になるが、その中央部には、展開に伴う空間(穴)ができており、そこを先程分離したロケットボイジャー3の前部が埋める形で合体する。
 これは、『チェンジマン』のヘリチェンジャー2とジェットチェンジャー1の合体と同様のパターンだと言えば分かりやすいだろうか。
 そして、この状態ではロボの頭部に当たる部分にはロケットボイジャー3の先端部があるわけだが、これが分離した後にシャトルボイジャー2から分離した頭部パーツが合体する。
 この後、腰部・大腿部に変形したロボイジャー1と、上半身パーツ、膝下パーツが一列に並び、それぞれ合体する。
 「銀河合体!」のコールは、この際に行われるのが一般的。
 合体時に分離したロケットボイジャー3の先端部は、必殺武器ボイジャースパルタンとして使用され、同様にシャトルボイジャー2の大部分はボイジャーシールドとなる。
 また、合体は、地球到達前に行われ、月をバックに大気圏突入してくるのが一般的。
 戦闘終了後、どうやって月に帰るのかは描写されていないが、最終回でグランネジロスを抱えたまま上昇しているところからすると、単体で大気圏離脱するだけの推力は持っているようだ。

 ボイジャーシールドは、スーパーギャラクシーメガを戦闘不能にしたマッドギレールのビームを難なく跳ね返すほどの防御力を持つ。
 また、必殺武器ボイジャースパルタンは、ロケットボイジャーの先端を物理的に発射するというミサイルのような武器であり、発射エネルギーを強化することで破壊力が上がる。
 43話『負けない!決戦はクリスマスイブ』では、メガウインガー、スーパーギャラクシーメガのパワーも集中させて発射し、トリプルメガスパルタンとして使用した。
 また、メガウインガーの翼が背中に合体することでウイングメガボイジャーになり、空中機動力が上がる。
 その場合、ボイジャースパルタンを空中で発射するようになり、ウインガースパルタンと呼称しているが、特に威力のアップ等があるかは分からない。
 
 なお、メガボイジャー最大の謎は、どうやって乗り込んでいるのかだ。
 合体前に乗っているし、宇宙空間で合体しているのは間違いないのだが、5人が宇宙に出るために使用できるメカはサイバースライダーしかない。  

ところが、これの設定最高速度は550km/hでしかない。

 また、合体後、バックにあれだけ大きく月が見えるということは、地球のすぐ傍ということはないだろう。
 地球と月の中間地点くらいで乗り込むとしても、いったい何時間掛かるものやら…。

メガウインガー

 早川がメガボイジャーと共にこっそり設計・製作した、メガシルバー専用ロボ。
 フライヤーモードから「電撃変形!」してロボットモードになる変形ロボで、翼部を構成するパーツがウインガーキャノンとして武器になるほか、このパーツをメガボイジャーの翼として使用できる。
 バーニングユガンデとの戦いで戦闘不能になり、ボイジャーマシンの発進口を開く作業終了後、完全に作動不能となった。
 なお、ほかに地上用のランドモードにも変形できるが、画面上での活躍はない。

 今回は、ギャラクシーメガに音声ギミックが仕込まれており、胸の赤いM字を押したり、頭部を合体させたときに、M字部分が光ったり、「ガシーン」と音がなるようになっている。
 これは、後の『特捜戦隊デカレンジャー』のデカレンジャーロボと同様のシステムと思えばいい。
 ただ、電気系統のパーツ収納の問題から、合体ロボにはできなかったため、1号ロボが5体合体でないというちょっと変わったスタートになった。
 その分、1年ぶりのスーパー合体復活となったが、ロボを操るための音声入力装置が同時に武器になり、しかもスーパー合体のキーになるという連携をしており、新武器がレッドだけのものという不公平に意味を与えていた。
 ただし、実際の商品では、デルタメガとバトルライザーの連携はない。
 
 メガボイジャーは、5機のメカが合体するという割とオーソドックスなロボだが、巨大な余りパーツを必殺武器やシールドに回すというちょっと面白い発想をしている。
 発売が遅かったこともあって販売数が少なかったとみえ、かなり入手しにくいアイテムだったようだ。
 
 メガウインガーは、『カクレンジャー』のニンジャマン、『オーレンジャー』のガンマジン、タックルボーイのようなバネの力で変形するシステムを継承し、3か所のボタンを順に押すことで飛行機型からロボットに変わるという「電撃変形」をウリにしていた。
 ただ、その分遊び甲斐はなかったようで、せいぜいウイングをメガボイジャーに合体させられるというプレイバリューがあった程度だ。
 もっとも、元々月と地球を往復できる推力を持つメガボイジャーに羽根を付けることの意味は、今ひとつ分からないものがある。
 また、フライヤーモードの羽を畳んでランドモードになれるという設定があるが、本編中では活躍していないようだ。

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学校の仲間達

大岩先生:

 3年A組の担任。
 うだつの上がらないおっさんのようにしか見えず、恐らく実際そうなのだろうが、きちんと生徒を理解している。
 最終決戦間際、ジゴクネジラーから生徒を守ろうとして重症を負わされた。

恵理奈:

 3年A組の同級生で、千里の友人。
 文化祭で歌う予定だった千里が、カナリアネジラーに声を取り替えられてえらいことになっている状況は知らなかったが、千里を心配しつつ文化祭が終わっても待っていた。
 最終決戦当時、健太達を排斥しようとするクラスメートの中でも、最後まで健太達を庇い続け、卒業式の延期を校長に直談判したりしていた。

シンタロウ&ジロウ:

 3年A組のクラスメートで、健太と熾烈なビリ争いをしている2人組。
 ガキ大将タイプのワダ・シンタロウと、提灯持ちのジロウという印象の取り合わせで、シンタロウはあまり喋らず、ジロウが「…とシンタロウさんが仰っておられる」と代弁することが多い。

 シンタロウはみくのことが好きで、何度かデートに誘おうとしたりしていたが、結局玉砕してしまった。
 実は、シンタロウは元々いじめられっ子で、同じいじめられっ子だったジロウをいつも庇っていたところから付き合いが始まり、対人関係が苦手なシンタロウの世話をジロウが焼いているのであって、決してジロウが腰巾着というわけではない。
 また、シンタロウもジロウのことを大事にしており、49話『絶望!俺たちは嫌われ者!?』で、ジゴクネジラーの攻撃のとばっちりでジロウが重症を負ったことが原因で、健太をクラスから追い出そうとしている。

 ジロウを演じたのは、『恐竜戦隊ジュウレンジャー』でタイガーレンジャー:ボーイを演じた橋本巧氏。

タケシ:

 健太のゲーセン仲間の小学生で、使用キャラはメガレッド。
 メガレッドのパンチを食らっても死なない、不死身の肉体または幸運の持ち主。
 どうやら母子家庭らしい。
 ヒネラーの計略により、母親ともどもヒネラーシティ行きのさんふらわあ号に乗り、無事救出されたが、その後どうなったか不明。

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敵組織:邪電王国ネジレジア

首領:邪電王ジャビウス1世

 ネジレ次元を生み出し、ネジレジアを建国した帝王。
 強大な超能力を持ち、ネジレ次元を維持している。
 Dr.ヒネラーに命じて地上界侵略に乗り出したが、その目的は不明。
 通常、移動要塞デスネジロ内部のモニターに巨大な目だけが投影された状態で命令を下すが、どうやら人間型の生物と思われ、頭痛薬を飲むなどの人間くさい行動を取ることができる。
 その細胞から密かに生み出された分身:ネジレンジャーに生体エネルギーを奪い尽くされ、超能力の源であるジャビウスハートを残してネジレ次元ごと消滅した。

大幹部:Dr.ヒネラー

 ジャビウス1世の命令で地上界侵略作戦の司令官としてやってきた科学者。
 ユガンデ、シボレナといった人工生命体を生み出して部下としている。
 実は日本人であり、鮫島という久保田博士の旧友。
 ネジレ次元の存在を唱え、久保田博士とは別に強化スーツの開発をしていたが、国連が一向にネジレ次元の存在を認めようとしなかったため、存在を実証するための実験で行方不明となっていた。
 実は、その実験でネジレ次元に到達し、自分を非難した人間に復讐しようと考えていた。
 (最終回において、強化スーツの実験の失敗により娘を死なせてしまったことで周囲から非難されたことが原因とも語られている。)
 そのためにネジレジアを利用し、ジャビウス1世を亡き者にして地球を支配するのが究極の目的。

幹部:ユガンデ→ユガンデリライブ→ユガンデストロング→バーニングユガンデ

 ヒネラーに生み出された、黒く固いボディと高い戦闘力を持つ人工生命体。
 何度も死んだり死にかけたりしているが、その度にヒネラーによって強化再生された。
 最終的には、命と引き替えに一時的な超パワーを引き出すネジリアクターを使い、真っ赤なバーニングユガンデとなって月面基地を襲った。
 リライブまでは長剣ダークサンダー、ストロング以降は長剣ダーククライシスを武器としている。
 ダーククライシスは、鍔元の3つのボタンを押すことで、刃に火炎などのエネルギーを蓄積して放射する能力を持っている。

 声の出演は、『無敵鋼人ダイターン3』主人公:破乱万丈、『機動戦士ガンダム』のブライト役の鈴置洋孝氏。

幹部:シボレナ

 ユガンデ同様、ヒネラーに生み出された人工生命体。
 変身能力があるが、戦闘能力はさほど高くない。
 鮫島の死んだ娘をモデルに作られている。

 演じた城麻美氏は、深夜番組『ギルガメッシュナイト』に出演したりもしていた(詳しくは後述)。

幹部:ギレール→ギガギレール→マッドギレール

 一向に進まない地上界侵略に、痺れをきらしたジャビウス1世が送り込んだ補佐役。
 卑劣な手段を好み、敵を倒すためなら味方を犠牲にすることも厭わない。
 予想外の苦戦に、ジャビウス1世の怒りが自分にまで向いてしまったため、ユガンデを騙し、合体してギガギレールとなって、その戦闘力でスーパーギャラクシーメガを追い詰めたが敗れ、その際ユガンデが瀕死の重傷を負ってしまった。
 このため、ヒネラーの怒りを買い、潜在能力を100%引き出すと騙されて薬物ネジレゲンカプセルを飲まされ、狂戦士マッドギレールになってしまった。

 声の出演は、『太陽の牙ダグラム』でラコック弁務官を演じた故・仁内達之氏。

下級幹部:ビビデビ

 ヒネラーに生み出された人工生命体。
 ネジレ獣を巨大化させる巨大化ウイルスを体内に持ち、噛みつくことで巨大化させることができる。
 最期ははっきり描写されておらず、恐らくグランネジロスの自爆に巻き込まれて死亡したものと思われる(一応、Vシネマ『星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー』では、グランネジロスの中で死亡したと語られている)。

 声の出演は、『機動武闘伝Gガンダム』の主人公ドモン・カッシュを演じた関智一氏で、氏は『オーレンジャー』のブルドント(カイザーブルドント)も演じている。

怪人:ネジレ獣

 ヒネラーが生み出す人工生命体で、○○ネジレというネーミング。
 ネジレ魔法陣にネジレ獣の遺伝子(卵のような形)を置き、シボレナが「ネジレロ・ヒネクレロ、ネジレロ・ヒネクレロ」と呪文を唱えた後、ネジレエネルギーを注入することで誕生する。
 この遺伝子に与えられたデータによって能力が決まるらしい。

怪人:サイコネジラー

 ネジレ獣よりも高い知能とパワーを持つ人工生命体で、○○ネジラーというネーミング。
 『フラッシュマン』の遺伝子シンセサイザーのような機械で作り出す。
 ビビデビでも作れてしまう。

切り札:邪電戦隊ネジレンジャー

 ヒネラーが密かに入手したジャビウス1世の細胞から生み出した人工生命体に、ヒネラー開発の強化スーツを装着させた5人衆で、

 「ネジレッド!」

 「ネジブラック!」

 「ネジブルー!」

 「ネジイエロー!」

 「ネジピンク!」

 5人「邪電戦隊! ネジレンジャー!」

という名乗りポーズもある。

 本体はサイコネジラーより強力な怪人である。
 それぞれメガレンジャーに対応した5色のスーツを着ており、同色のメガレンジャーを倒したいと思うよう意識操作されている。
 また、武器もレッドが剣、ブラックがさすまた、ブルーがネジトマホーク、イエローがネジスリング、ピンクがネジアローと、ほぼメガレンジャーに対応している。
 さすがに、ドリルセイバーやメガキャプチャーに対応する武器は持たせられなかったということだろう。
 なお、ネジレッドとネジブラックの武器については、名称が本編中で呼称されていない。
 恐らくネジセイバー又はネジソードとネジロッドなのだろうと思われる。
 この呼称の有無は、脚本が武上氏か小林氏かによっており、小林脚本の回だけ呼称されている。
 
 本体は、ネジレッドから順に、ネジファントムネジヴァルガーネジビザールネジソフィアネジジェラス
 人間に変身することも可能。
 ジャビウス1世の細胞を使っているため、戦うごとにジャビウスの生体エネルギーを大量に吸っていく。
 元々ヒネラーは、メガレンジャーを倒すと同時にジャビウスを倒そうと考えているが、より手強いジャビウス打倒を優先しているため、あと一歩というところまでメガレンジャーを追い詰めても帰還命令が下ることが多い。
 ネジレッドはその秘密を知り、ジャビウスが死んでも生きられるよう改造してほしいと申し出たが、造物主には逆らえず、あっさり洗脳されて捨て石にされてしまった。
 
 その後、怨霊となり、ヒネラーシティにおいて復活したが、最後はデータカードにされてヒネラーシティごと吹き飛んだ。


戦闘員:クネクネ

 やはり人工生命体だが、誰が開発したのかは不明。
 工場で量産されている。
 知能が高く戦闘能力も高いボスクネクネも1回登場しているが、どのように作られたのかは、やはり不明。
 ボスクネクネの指示の下、大量のクネクネが合体すると、巨大怪人キングクネクネになる。

 邪電王国ネジレジアは、ジャビウス1世が生み出したネジレ次元に潜む謎の王国であり、その先鋒として、移動要塞デスネジロと共にヒネラーとその配下が派遣されてきた。
 どうして地上界侵略を考えたのかは分からないが、ネジレ次元そのものがジャビウス1世の力なしには維持できない不安定な世界であることから、安定した世界を求めていたのかもしれない。
 侵略前線軍司令官に地上界出身のヒネラーが選ばれたのは、やはり事情をよく知っている分、円滑に侵略を行えると判断されたためだろう。
 もしかしたら、ヒネラー自身がそう言って立候補したのかもしれない。
 ただ、ヒネラーには最初からネジレジアを利用して地上界の支配者になろうという野望があったので、必死に侵略しようという意図はなかったのではないかと思われる。
 ジャビウス1世の方でも、その辺りは胡散臭いものを感じていて、だからこそギレールを送り込んだのだろう。
 結局、この化かし合いはヒネラーの勝利に終わり、ネジレジアはネジレ次元と共に消滅の憂き目にあったため、ジャビウス1世がどういう存在だったのか、ほかの住人はどういう者達だったのか、ネジレ次元とは何だったのかは全く分からないまま終わってしまった。
 
 ヒネラーは、自分以外は信じていない男で、自分が生み出した人工生命体であるネジレンジャーも捨て石としか考えていなかったが、ユガンデとシボレナにだけは愛着を持っていた。
 もしかしたら、家族として生み出したのかもしれない。

 なお、ヒネラーら3幹部は、捻る、歪む、絞るというネーミングで、戦闘員もクネクネと、“ねじれた侵略者”に引っかけている。
 首領のジャビウスも、メビウスの輪に引っかけてのものだろう。
 ネジレジアの面々が地上界に出現する際、近くにあるものがねじれていくというのも、それを視覚的に表したものだ。

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巨大化

 ネジレ獣、サイコネジラーは、ビビデビに噛まれることによって巨大化ウイルスを注入され、その力で巨大化する。
 完全に死んでいても、僅かな灰から復活・巨大化させることもできる。
 なお、ネジレンジャーの本体達やユガンデは、いずれも自力で巨大化・等身大化できる。

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真実の物語

 3年前、鮫島博士は、ネジレ次元の存在と危険性を提唱し、それらに対抗する(宇宙開発のためという説もある)ための強化スーツ開発に当たっていた。
 しかし、そのスーツは、装着者の体をスーツに合わせて改造するタイプであったため、自分の娘を被験者として実験を行っていた。
 そして、実験の失敗により娘を失うと共に世間から悪魔の科学者と非難され、しかも国連が一向にネジレ次元の存在を認めようとしなかったため、自分を認めたネジレ次元のジャビウス1世の招きに応じてネジレ次元へと消えた。
 友人だった久保田博士は、鮫島を怒りと絶望から救えなかったことに無力感と悲しみを抱きつつ、その遺志を継いで奔走してネジレジアの存在を突き止め、国際組織I.N.E.T.を立ち上げた。
 そして、近い将来に来るであろうネジレジアの侵略者に対抗するため、宇宙ステーション兼戦闘ロボと、戦士のための強化スーツを完成させ、さらに月面基地建設計画を実施しつつ、スーツを使いこなせる戦士の選定に入っていた。
 
 一方、ネジレ次元に到達した鮫島は、自己改造を加えてDr.ヒネラーとなり、自分を非難した人間に復讐し、地球を支配しようという野望に取り憑かれ、それを確実にするためにネジレジアをも滅ぼそうと考えて画策していた。
 
 こうして、かつての友人同士は、かたや地球の守り手、かたや侵略者の司令官として対峙することとなった。

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中盤のパワーアップ

 ギレールを投入してもなお進まない地上界侵略に、ジャビウス1世の怒りは高まっていた。
 自分の立場すら危うくなったことを知ったギレールは、“ヒネラーのため”と言ってユガンデを騙し、無理矢理融合してギガギレールとなるが、メガレンジャーに敗れ、ユガンデが瀕死の重傷を負ってしまった。
 
 ユガンデが戦闘不能になったため、ヒネラーは、ユガンデのために開発していた“潜在能力の全てを引き出す薬物”ネジレゲンカプセルをギレールに与え、メガレンジャー打倒を命じた。
 地上界侵略の手柄を独り占めすることを考え始めたギレールは、カプセルを使い、マッドギレールとなってメガレンジャーを追い詰める。
 メガシルバーに応援を頼もうにも、早川はスペースメガプロジェクトの最終段階に入っており、通信不能の状態だった。

 ところが、一方的にメガレンジャーを追い詰めていたマッドギレールは、突如体に変調を来して姿を消した。

 実はネジレゲンカプセルは、パワーと引き替えに自我を奪う欠点を持った未完成品であり、ユガンデを傷つけられたことを怒ったヒネラーが、ギレールに対する復讐と利用のために渡したものだったのだ。
 自我を失い巨大化したマッドギレールが出現し、スーパーギャラクシーメガが出動するが、スーパーギャラクシーナックルも通じない。
 プログラムが完成したばかりの新必殺技ビッグバンアタックを使えば倒せるかもしれないが、ダメージが大きい今の状態で使えば、スーパーギャラクシーメガは戦闘不能になるという。
 一か八かビッグバンアタックを放ったものの、マッドギレールは瞬く間に再生し、しかもその際分身のギギレまで生まれてしまった。

 絶体絶命のそのとき、作業が終了して通信が回復した早川と連絡が取れた。

 メガレンジャーは、事態を打開するため、デルタメガで月面基地を目指し、残されたギャラクシーメガは省吾が操縦してシールドシステムで防御に専念する。
 デルタメガは、追ってきたギギレを振り切って月面基地に到達し、5人は完成したばかりのボイジャーマシンで出撃する。
 追い付いたギギレを撃破した5機は、メガボイジャーに合体して地球に戻り、ボイジャースパルタンでマッドギレールを倒した。

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ラストへの流れ

 ヒネラーは、苦労の末入手したジャビウス1世の細胞から、ジャビウス1世の生体エネルギーを吸収して力を発揮するネジレンジャーを生み出し、メガレンジャーにぶつけることにした。
 メガレンジャーを誘い出したネジレンジャーは、緒戦でメガレンジャーを翻弄し、スーツから何らかのデータを奪って去っていった。
 そして、ネジレンジャーの姿が鮫島の研究していた強化スーツによく似ていることに気付いた久保田博士は、ネジレジアに友が与していることを知る。

 その後、一般市民がネジレンジャーに襲われるという事件が頻発し、被害者が使っていたPDAが発する電波がメガレンジャー変身の際の電波の周波数に近いことが判明、ネジレンジャーは周波数のデータを盗み、メガレンジャーが変身する直前に倒そうとしているということが分かった。
 ネジレンジャーは、5人バラバラに距離を置いて監視しているため、電波の発信から襲撃までの時間は、入力からスーツ装着までの時間より短い。
 危険を感じた久保田博士は、周波数の変更を行うまでスーツの電送システムをロックし、健太達に通信もしないよう厳命して、1人鮫島の生家に向かった。
 はたしてそこにはヒネラーが映像で待ちかまえており、人間への復讐心を語る。
 
 一方、久保田博士と鮫島の因縁を以前聞かされていた健太は、久保田博士の身が危ないと感じて、早川に依頼して変身のロックを解除してもらうと共に、デジタンクを出動させる。
 高速で疾走するデジタンクから変身コールの電波が発せられていることに気付いたネジレンジャーは、移動しながら変身して攻撃をかわそうという作戦と読み、集合して攻撃を仕掛ける。
 だが、デジタンクには誰も乗っていなかった。
 これは、デジタンクを囮に使ってその隙に変身しようという、健太の作戦だったのだ。
 健太の作戦勝ちで変身できたメガレンジャーだったが、ネジレンジャーの強さの前になす術もなく倒されてしまう。
 だが、あと一歩のところで、この戦いで大量に生体エネルギーを奪われたジャビウス1世が苦しみだしたため、ヒネラーは一旦ネジレンジャーを帰還させた。
 絶好の機会を見逃したことをいぶかしむユガンデとシボレナに、ヒネラーは真実を明かす。
 ジャビウス1世に気付かれることなくその力を吸い尽くして死ぬことこそが、ネジレンジャーの真の役割なのだと。
 
 その後、変身電波の周波数を変えたメガレンジャーは、ネジピンクとネジイエローのいがみ合いに乗じて集中攻撃でネジピンク(ネジジェラス)を倒し、全員をメガブルーに偽装し、更に早川がネジシルバーに扮することでネジブルー(ネジビザール)と6対1の戦いに持ち込み、これを倒した。
 そして、声紋や動きなどからメガレンジャーの正体に迫ろうとして失敗したネジレンジャー3人は、正体を現しての巨大化戦の末、メガボイジャーごとメガレンジャーをネジレ次元に連れ去ろうとする。
 メガレンジャーは、メガボイジャーを捨てて脱出するしかなかった。
 
 そして、ヒネラーは、いよいよジャビウス1世の生命力が減ってきたことから、最終決戦を目論む。
 その話を盗み聞きしたネジレッドは、自分達が使い捨てられる運命だと知り、生き残れるよう、メガレンジャーを追い詰めた段階でヒネラーに交渉することにする。
 メガボイジャーをエサにメガレンジャーをおびき出し、データ化したネジイエローがメガボイジャーのコンピュータ内に侵入しておいて動けなくなったところを倒そうという作戦は成功したものの、交渉に向かったネジレッドは、ヒネラーによって自我を消されてしまう。
 操り人形と化したネジレッドは、ブラック、イエローの自我も奪い、3人でメガレンジャーとの決戦に臨む。
 これにより、ネジイエローはメガボイジャーのコンピュータから抜け出ることとなり、ネジファントム、ネジヴァルガー、ネジソフィア対スーパーギャラクシーメガ、メガボイジャー、メガウインガーの戦いとなった。
 決戦は、辛くもメガレンジャーが勝利し、ネジレンジャーは全滅したが、その戦いの裏でジャビウス1世は死に、ネジレ次元も消滅した。
 ジャビウス1世が遺したジャビウスハートを手に入れたヒネラーは、いよいよ自分が地球の支配者になるべく行動を開始する。
 
 ヒネラーの目的は、ジャビウスハートの力を使って人間をデータカード化して保管・改造し、自分が人類の全てを整理・掌握することだったのだ。
 そして、あの手この手で人間を誘拐してはヒネラーシティ内に集め、次々とデータカードにしていった。
 ヒネラーシティに潜入したメガレンジャーもまたデータカードにされるが、怨霊となっていたネジレンジャーがデータカード化システムを利用して肉体を取り戻し、再度雌雄を決するべくヒネラーを襲ってシステムを奪い、メガレンジャーを解放してしまう。
 そして、早川の活躍でカード化された人々は救出され、メガレンジャーと戦っていたネジレンジャーはカード化されて倒された。
 そして、早川の手でデータカード化システムもろともヒネラーシティは爆破され、ヒネラーの野望は潰えた。
 だが、この戦いで、ヒネラーはメガレンジャーの正体を知ることとなり、復讐を誓う。

 ヒネラーは、学校や家など健太達の私生活の場を狙って攻撃を始めた。
 家族はI.N.E.T.の手で救出され無事だったものの、学校ではジロウや大岩先生が重症を負い、更にそれが健太達メガレンジャーが襲われたとばっちりだと分かってしまったため、健太達は学校から追い出されてしまう。
 一度は戦意喪失した5人だったが、早川の言葉や、代わりに戦う久保田博士の姿に“ここでやめたら、今まで守ってきたものを本当に失ってしまう”ことに気付き、戦う気持ちを取り戻した。
 健太達は、3月10日の卒業式までにネジレジアを潰し、みんなと一緒に卒業することを目標に、月面基地には行かず、地上で隠れ家を作って生活することにしたが、デスネジロの潜伏場所は分からないままだった。
 そのころ、ヒネラーは、何かの研究に没頭していた。
 
 3月9日、ユガンデはメガレンジャーを倒すため、独断で行動することにした。
 ユガンデは、シボレナに頼んでネジリアクターを内蔵して捨て身のパワーアップを果たし、デジ研部室のパソコンに残っていたデータから位置を割り出した月面基地に侵入する。
 月面基地にメガレンジャーがいないことを知ったバーニングユガンデは、巨大化して基地を破壊し始める。
 この戦いでデルタメガは大破、ボイジャーマシンの発進口も塞がれ、メガウインガーも大ダメージを負ってしまった。
 メガレンジャーが地上にいると踏んだシボレナは、地上で暴れて5人をおびき出す。
 月からやってきたバーニングユガンデに、唯一戦闘可能なギャラクシーメガで立ち向かったメガレンジャーだが、圧倒的なバーニングユガンデの前にギャラクシーメガも作動不能になってしまう。
 だが、そのとき、パワーが尽きたバーニングユガンデは、等身大に縮小した。
 メガレンジャーは、援護に入ったシボレナともどもバーニングユガンデを倒したが、基地とロボ全てを失ってしまった。
 一方、デスネジロを究極の生命体に改造する研究が完成したヒネラーは、瀕死のシボレナからユガンデの死を知らされ、また、自身の体もネジレ次元での生活の影響で限界を迎えていることを知った。
 
 夜を徹してメガウインガーがボイジャーマシンの発進作業を行い、地上で倒れたギャラクシーメガも修復を急ぐ中、久保田への歪んだ復讐に燃えたヒネラーが怪人体となって現れて久保田を襲う。
 怪人体を維持できず、すぐに元の姿に戻ってしまったヒネラーは、久保田によって自分の全てが奪われたのだと八つ当たりに燃えていた。
 彼は、かつて、強化スーツに適合させるための実験で娘を失ったとき、久保田のスーツが性能は低いくせに人体に手を加える必要がないため、愚かな世間が自分を“悪魔の科学者”と罵ったと感じていたのだった。
 ヒネラーは、デスネジロから生み出したグランネジロスに合体して久保田を襲う。
 ようやく出撃できたメガボイジャーも、発進前のダメージのための能力を発揮できず、再生能力を持つグランネジロスに歯が立たず、ボロボロになっていき、ダメージでメガスーツも解除されてしまう。
 だが、そのとき、教室から5人を応援するクラスメートの姿が見えた。
 これ以上グランネジロスの攻撃が続けば、学校が破壊されてクラスメートが死んでしまう。
 健太達5人は必死で反撃する。

 そのとき、遂にヒネラーの体が限界を迎えた。

 ヒネラーは、せめてメガレンジャーを道連れにして久保田から大切なものを奪おうと決意し、グランネジロスを自爆させると伝えてきた。
 クラスメートを巻き添えにしたくない健太達は、メガボイジャーでグランネジロスをできるだけ上空に連れて行くことにする。
 再度変身して脱出しようとする5人だが、上昇に伴う強烈なGのため、デジタイザーのボタンを押すことができない。
 そして、上空でグランネジロスとメガボイジャーは四散した。

 ようやく平和と安全が戻り、クラスメートの悲しみの中、卒業式が終わろうとしたその時、サイバースライダーでメガレンジャーが飛び込んでくる。
 5人は、ギリギリで変身して脱出したのだった。

 命を懸けて戦い続けた高校生5人の戦いは、仲間と共有する喜びの中で終わった。

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Vシネマ 電磁戦隊メガレンジャーVSカーレンジャー

 VシネマでのVSシリーズ第3弾。
 双方ともお気楽系の作品なので、割とすんなり融合している。

 カーレンジャーがシボレナに洗脳されるという展開があり、VSシリーズで、本当に過去の戦隊と戦っているのは、2005年現在、これだけ。
 ダップからカーレンジャーへの通信(宇宙ファックス)を傍受した久保田博士が、語尾の「だっぷ」を真面目に解読しようとしているのが笑える。
 また、洗脳されたカーレンジャーは、マスクのヘッドライトが黒くなっているが、『カーレンジャー』本編でシグナルマンが洗脳されたときに、胸の信号などが黒くなっていたのを彷彿させてちょっと嬉しい。

 『カーレンジャー』最終回で焼肉屋に就職したガイナモが、独立して店を持っていたりするのもなかなか。
 面白いことに、素顔の10人が並ぶと、恭介達カーレンジャーの面々がとても大人に見え、彼らがそれなりに社会人しているのだなあと思わせる。
 卒業アルバムの集合写真を撮る話が出ていることから、時期的には、ネジレンジャー登場直前といったところだろうか。
 EDでは、『気のせいかな』をバックに、カーレンジャーの面々を交えてテレビ版EDのシーンを再現しており、最後まで楽しいお遊びになっている。

 2つの作品世界が融合しているため、違和感があまりないので繋がっている世界と思う人も多いだろうし、細かいところに目を瞑れば、今回はそう思っても問題はないかもしれない。
 一応、鷹羽的解釈としては、カーレンジャーがとっくに壊れてしまったRVロボに乗っていたり、『カーレンジャー』開始前から存在していたI.N.E.T.がカーレンジャーを知らない(というより、ネジレジアに対する準備よりも、今破壊活動しているボーゾック対策の方が重要なはず)など、多少齟齬する部分があるので、世界観は違うものと考えている。

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傾向と対策

 シリーズ19作目(『ゴレンジャー』からは21作目)となった『メガレンジャー』は、色々な意味でシリーズ再生の起点となった作品だ。
 まず、『激走戦隊カーレンジャー』で書いたとおり、お気楽ノリながらも真面目な戦いを描いた作品になっていること。
 次に、金曜夕方から放送だったのが、8話以降、日曜朝7時半という現行の時間帯に変わったことだ。
 この時間移動そのものは、当時「とうとう日曜の朝に飛ばされた」と嘆くファンが多かったのだが、これにより、『ダイナマン』以来15年続いていた“25分番組”から30分番組に戻ることができた。
 これは、本編に使える時間が3分くらい増えたということで、ドラマを増やせるということに直結する。

 ちなみに、どうして「朝に飛ばされた」と嘆かれたのかというと、1987年放送の『超人機メタルダー』が、月曜夜7時から日曜朝9時半に時間変更になった後、路線変更されて“駄目な番組”になってしまった例があったからだ。
 また、大きなお友達にとって、休日朝7時半という時間帯は、せっかく朝寝ができるのに…という微妙な線でもあった。
 こっちについては、ビデオを録ればいいだけなのだが、やはり家にいる時間帯なら生で見たいという思いもあるのだろう。
 本作の場合、一応、当時の東映の広報(だったと思う)から、“日曜朝を子供向け番組で固めて、テレビタイムにしてしまおうと考えている”という発表があった。
 当時の日曜朝と言えば、7時半から『メガレンジャー』、8時から『ビーロボ カブタック』、8時半から『花より男子』と続いていて、東映トクサツ×2+東映動画アニメとなっている。
 放映期間の微妙なズレはあるものの、この流れは“スーパー戦隊、仮面ライダー、東映動画アニメ”として現在まで続いており、“日曜朝を子供向けテレビタイムに”という意図は今でも生きていることが分かる。
 結果的には、『メガレンジャー』自身、特に路線変更することなく続いたわけで、この時間移動は正解だったと言っていいだろう。

 さて、『メガレンジャー』では、ごく普通の高校生が戦士となっている。
 5人は、センスはともかく肉体的には何の特殊能力も持たず、たまたま敵が襲ってきたときに居合わせたためにスーツを渡され、戦士になってしまっただけだ。
 この点、クルマジックパワーに選ばれたカーレンジャー以上に、ただの人の集団だ。
 誤解されやすいが、健太も、候補者として招かれたものの久保田博士の面接に落第して帰される直前だったのであり、正式に戦士としてスカウトされたメンバーは1人もいないのだ。
 こうして、国際組織をバックに持ち、シリーズ唯一の宇宙基地を持ちながら、そこに常駐しない戦隊という妙な集団が出来上がった。
 また、リーダーはブラック:耕一郎であり、レッドの健太が後先考えずに突っ走るのを必死にフォローしていたり、嫌がる4人を相手に無理矢理ミーティングを開いて説教したりしている場面が多かった。
 一方で、その耕一郎にしても、堅物すぎて柔軟性に欠ける面が何度も指摘されており、とにかく未熟な戦士の集団と言える。
 特に健太は、狙っている部分もあるにせよ「焼肉好き」を強調しすぎたせいか、かなりバカなキャラになっており、当初の印象が悪くて嫌いになったという人も多いようだ(実際、このサイトの管理人:後藤夕貴は、1話を見て「レッドがサルな上、『焼肉』ばっか言っててうざいから嫌だ」と言ったきり、本放送を見なかった)。
 こんな5人をまとめる久保田博士の心痛が分かろうというものだが、逆に、久保田博士の柔らかいキャラクターでなければ、まとめることはできなかっただろう。

 この番組の特徴としてまず挙げられるのが、対戦格闘ゲームブームの影響パソコンへの期待感だ。
 前者は、主題歌のところでも書いたとおり、番組タイトルを合成音っぽい声で言っていることや、ギャラクシーロボの必殺技が多彩なところに表れている。
 序盤、“通常戦闘パターンと違う”という意味でやたらと「裏技」という言葉を使っていたのもそうだ。
 ほかにも、戦うときには画面に「FIGHT!」と出たり、勝つと『MEGARANGER WIN!』と出たりするし、ギャラクシーメガの必殺技の際には、レッドが「これでゲームオーバーだ!」と言いながらコントロールレバーを稲妻型に動かしてコマンド入力したりしている。
 第一、地球を守る戦士を“ゲーセンに置いたゲーム機で探す”というもの凄いことをやっているのだ。
 「ゲームの戦士に/まさかなっちゃうなんて嘘みたい」「だけどどっきり/ホントのバトルは命懸け/リセットできない厳しい勝負」というOP2番の歌詞にも、現実世界で戦うゲームキャラという本作の特徴が出ている。
 当時、対戦格闘ゲーム人気自体は、既に凋落の傾向が見え始めていが、本作の企画開始時期にセガとの合併話があったこと、本編内に登場するゲーム:メガレンジャーが3D格闘であることを考え合わせると、セガが開発した『バーチャファイター』に絡めて取り入れたのかもしれない。
 もしかしたら、本当にメガレンジャーをアーケードゲームにしたり、家庭用ゲーム機用対戦格闘ゲームとして発売するつもりもあったのかも…。
 ともあれ、このゲーム的な描写は中盤以降どんどん薄れていき、最終的にはOPのタイトルコールとボイジャースパルタンのコマンド入力以外は全く消えてしまった。

 次に、パソコンへの期待感だが、要するに、前々年に発売されたウインドウズ95によるパソコンの普及と、この当時知られ始めた「インターネット」「ネットサーフィン」という単語から来るパソコンが万能であるという幻想がそこはかとなく流れているということだ。
 まぁ、デジカメで撮った写真をパソコンに取り込んで印刷するということが受け入れられ始めており、パソコン=デジタル機器の集大成的なイメージが強く、何でもできそうな気がしていたわけだ。
 瞬の趣味と将来の夢がCGアートだったり、健太達がデジタル研究会に所属していたりするのもそうだし、レッドの能力がパソコンで、久保田博士に「万能戦士だ」などと言われたりするのもそういう部分だろう。
 今から考えると笑える話ではあるが、当時、パソコンをよく知らない人には、そういうイメージもあったのではないかと思う。
 ただ、デジタル機器の能力を戦士の力として描写するのは難しかったのか、それともネタがなくなったのか、「デジタルスーツ」という名称は早々に「メガスーツ」に変更されているし、物語中盤に登場したシルバーには特段の能力が付加されていない。

 だが、実はこの作品のテーマは、ゲームでもデジタルでもなく、友情だったりする。
 1話で5人が成り行き上戦う羽目になった際、やる気の4人に対し、ただ1人気が進まない瞬は、困り顔で「いい友達を持ったよ」と言っているし、2話でも、助けに駆けつけてくれた4人に、健太が「持つべきものは友達だ」的なことをいっている。
 3話でも「友達」をテーマにしているし、そもそもED「気のせいかな」で歌われているように、この作品は最初から友情がテーマになっているのだ。
 そして8話で、久保田博士は健太に、周囲の人間を信じることができずにネジレ次元に消えた親友鮫島の話をしており、38話でヒネラーが鮫島であることを久保田博士が知るという展開に繋がっている。
 ヒネラー自身も、8話の段階で既に久保田博士がメガレンジャーのスーツを開発したことに気付いている描写があるのだが、久保田博士については本編中で半年がかりの伏線として生かされているわけで、鷹羽は高く評価している。
 また、この友情テーマはその後も続き、最終決戦ころに健太達が四面楚歌になっていたころ、クラスメートである恵理奈が庇ってくれたりもしている。
 最終決戦では、一度はほぼ全員が健太達を排斥しようとしたクラスメートが一丸となって応援することで、健太達が反撃に転じるなど、“友情は壊れない”ことを強調している。
 特に、ジロウが重症を負ったことで健太を恨んだシンタロウが、必死に戦うメガボイジャーを見て教室に戻り、健太を応援したことは大きい。
 ここでは、メガボイジャーが押されてくれば潰れてしまう学校から逃げ出さずに応援するクラスメートと、それを守るために必死に踏みとどまるメガボイジャーの対比と、教室に戻るシンタロウと、学校から逃げ出そうとして爆風に飛ばされる校長という描写もあり、むしろ教室の方が安全だったことが強調されている。
 そうしてメガボイジャーは、学校の近くで爆発させないために、再変身する間も惜しんでグランネジロスごと空へと舞い上がる。
 そういった中で、死んだと思われていた5人が、終わり掛けた卒業式に滑り込むというエンディングを迎えるわけだ。
 ここでは、
  友情を忘れ復讐に狂った鮫島=ヒネラーと、健太達を案じ、鮫島を案じ続けた久保田博士
  健太達を信じたクラスメートと、彼らを守るために命を懸けた健太達
という対比が行われ、友情賛歌的な終わり方をしている。
 鷹羽が、この作品を“シリーズ再生の起点”と評価する所以だ。

 だが、もちろん悪いところも色々ある。
 まず、主人公5人の影が薄いことだ。
 キャラ的にはかなり立っているのだが、不思議と個性が弱いように感じる。
 良く言うとどこにでもいる高校生、悪く言うとキャラが地味で没個性といったところだろうか。
 とはいえ、決して彼らが無個性というわけではない。
 この辺は説明が難しいのだが、早川のキャラの光り方を見ると、メインの5人がすっかり隠れてしまっていることに気付く。
 おバカな健太と優等生的な耕一郎の対比、健太とみくのおみそペアはちょっと目立つのだが、千里や瞬は5人揃うとかなり影が薄くなる。
 これは、1つには、耕一郎と千里、瞬とみくがカップルとして動くことが多いだけに、2人セットになってしまっていることもあるだろう。
 
 しかし、もっと大きい理由として、5人が変身前から事件に絡み、ネジレ獣等と顔を合わせることが多いというのがあると思う。
 それのどこが目立たない理由なのかと言われそうだが、ここで重要なポイントがある。
 メガレンジャーの5人は、正体不明の戦士なのだ。
 ネジレジアにしても世間にしても、メガレンジャーの正体を知らない。
 知られれば、ラストでそうなったように、常に周囲を巻き込みながら襲われ、平穏な私生活を失ってしまうからだ。
 だから、5人は決して人前では変身しないし、ネジレ獣の前で変身した際には、その場で倒してしまわなければならないのだ。
 2話では、変身したところをヒネラー達にモニターされているが、あのとき録画されていたら、その後1年間の戦いはなかっただろう。
 その後も、ヒネラー達が戦闘をいちいちモニターしていないという妙な癖を持っていることに助けられて正体がバレていないのだ。
 実際、11話『あぶない!赤いバラの誘惑』では、変身前にシボレナに捕らえられ、脱出して変身したために正体がバレそうになったメガイエローが、「ありがとう、メガイエロー!」と駆け寄る千里の立体映像まで使って正体を隠そうとしている。

 また、先にも書いたとおり、健太以外はスカウトの対象ではなかったし、健太にしても身体能力でスカウトされたわけではない。
 つまり、肉体的には、5人とも本当にただの高校生なのだ。
 だから、変身前に5人がネジレジアに遭遇すれば、男連中でもクネクネを1人ずつ倒すのが精一杯だし、ネジレ獣なんて論外だ。
 奇しくも、この作品では、結界だ電波妨害だといって変身不能になるピンチが多いのだが、そこで描かれる彼らの姿は、何とかして変身(通信)可能な状況にしようと逃げ回る“犠牲者の1人”でしかないのがほとんどだ。
 『カーレンジャー』のときにも書いたが、生身では弱くて戦えないから強化スーツを着るわけで、この“生身ではただの人”という不便さは、強化スーツヒーローの1つの頂点と言える。
 
 逆に、この点が、月面基地住み込みのため敵に正体を知られても困らず、生身でもクネクネをひょいひょい倒せる早川が出てきた途端に食われてしまった理由だ。
 つまり、“変身しないとただの人”の集団に、変身しなくても強いヒーローが1人混じってしまったのだ。
 しかも、役者的にも、早川を演じる金井氏は生身のアクションができるため、画面を見ていて本当に強そうな感じがしてしまう。
 この辺は、後楽園野外劇場での『メガレンジャー』シリーズの最終公演で、役者6人全員が本人出演しているにもかかわらず主役は早川だったという点にも表れている。
 5人には、ちょっと不幸だったろう。
 また、早川には大人の余裕や風格があったために、成長途上の未熟な戦士5人は水をあけられてしまった面もある。
 こうして考えてみると、個性が弱いというより魅力が薄いと言う方が正確なのかもしれない。
 つまり、彼らが発展途上の少年少女として描かれているため、大きなお友達から見るとガキっぽい存在に見えてしまうのだ。
 これが、早川と並んだ途端に影が薄くなったように感じる要因なのではないだろうか。
 つまり、子供にとってはお兄さんお姉さんでも、大人の視聴者にとっては子供で頼りないわけだ。
 本放送当時小学校低学年だった視聴者にとっては、健太も大人=格好いいお兄さんに見えていた可能性が十分にある。

 次に、敵であるネジレジアだが、これがまたよく分からない。
 ねじれた侵略者とデジタルがどう繋がるのか分からないという番組企画上の問題もさることながら、結局首領であるジャビウス1世は、正体も地上界侵略の目的もさっぱり分からないまま死んでしまった。

 これまでスーパー戦隊シリーズには、獣戦士(怪人)にされて最終回前に死んでしまった『フラッシュマン』の大帝ラー・デウスや、正体は泥人形だった『ダイレンジャー』のゴーマ15世という情けない最期を遂げた前例がいるが、それでもラストのうねりまでは敵首領として君臨していた。
 中盤で早々に死んでしまう『ターボレンジャー』のラゴーンにしても、ネオラゴーンとして復活し、最後の敵になっている。
 ところが、ジャビウスはクリスマス前に死んでそれっきりだった。
 しかも驚いたことに、健太達はジャビウスが死んだことすら知らない…というより、存在そのものを知らない。
 なにしろ、3話で健太達の前に姿を見せたヒネラーは、「私はDr.ヒネラー。ネジレジアを束ねる者だ」と自己紹介しているから、健太達の認識では、当初はヒネラーがネジレジアの首領だったのだ。
 また、38話でヒネラーが地球人であることが判明したことから、ネジレジアの首領は当然別にいるはずということにはなるのだが、その際ヒネラーの口からはその存在については詳しく語られず、「もうすぐ私がネジレジアの頂点に立つ」と言っているだけなので、結局、元々トップに立っていたのが誰なのかは分からないままだった。
 最終回で、初めてヒネラーの口から「ジャビウスは〜」という台詞が出ているが、それが何者なのかは語っておらず、健太達の印象には残っていないであろう有様だ。

 かつて最も情けない首領は、途中で出てきて前後編だけで死んでしまったために首領と認識さえしてもらえないこともある『ジェットマン』の女帝ジューザだったが、それでも彼女はそれなりの強さを見せつけてくれた。
 なにしろ、バイラムの幹部達とジェットマンがそれぞれ独力では倒せず、協力して倒しているのだ。
 東映トクサツ史上、いざ出てきたら弱かったという首領は多いが、姿も現さないまま部下に殺されてしまった首領など、ほかにいただろうか?
 まぁ、お陰でヒネラーのキャラが立ったとも言えるのだが、彼自身、考えようによっては、逆恨みで世界征服をしようとしていたおっさんということになるわけで、かなりしみったれた組織になってしまった。
 
 しかも、なんだかんだいって、ジャビウスハートがデスネジロの中で入手されたことを考えると、ジャビウスはデスネジロ内部に住んでいたことになる。
 ほかに住人がいたのかさえも分からない。
 では、ネジレジアの本拠ってどこなのだろう?

 また、ユガンデが何度も強化されたり、ネジレ獣からサイコネジラーになっても、どう強くなったかが演出的によく分からなかったのも残念だった。
 実のところ、ギガギレールになったとき、ユガンデ部分の左胸からギレールの鎖が生えていたのだが、リライブからストロングになった際、その穴の位置にエネルギー増幅用の宝玉らしきものが埋め込まれていたりして、デザイン的にちゃんと繋がっているのだ。
 こういう丁寧な部分を、再生改造などのシーンの形できちんと見せないのは、非常にもったいない。

 こういった欠点も数あるが、それでも鷹羽はこの作品が結構好きだ。
 その理由の大部分を占めているのがネジレンジャーだ。
 単発登場でない敵戦隊というと、『ファイブマン』のギンガマン、『カクレンジャー』の花のくノ一組が挙げられるが、正義側と同じ色を配し5人統一のスーツに身を包んだ悪の戦隊はこれだけだ。
 しかも、スーツはツーピースで、まぶたのような突起のあるゴーグル部やトゲトゲしたボディなど、正義の戦隊ではなかなかできない斬新なデザインだった。
 また、ネジレンジャーが行った作戦の際に、敵味方共に目を見張る行動があったこともポイントが高い。
 初登場時の変身電波の件もそうだし、42話『ふりきれ!邪悪な追跡者』での、声と体型と動き方で正体を見極めようというネジレッド・ブラック・イエローの作戦もそうだ。
 前者は、『ラストへの流れ』で書いたとおり、変身しようとした際にデジタイザーが発する電波を目掛けて襲いかかるという作戦で、デジタンクを囮に使った健太らしからぬ頭脳プレイで切り抜けた。
 なお、今回、この原稿のために見直して、変身だけでなく通信の電波もキャッチされるということになっていながら、健太達が早川に連絡を取ったとき、デジタイザーを使っているというミスを発見してしまった。
 一応、秘密回線を使った“本部への通信”が傍受される対象ということにはなっており、脚本的にはケイタイザーとの通信は回線と使用電波が違うという見解なのかもしれないが、やはり紛らわしいので公衆電話などから連絡してほしかったところだ。
 
 後者は、みくがクリスマスの買い物に出掛けている間に、千里が自分と間違われて襲われた女性を見たことから、ネジレンジャーが人間に化け、声でメガレンジャーを見付け出して襲おうとしていることが分かるというものだ。
 耕一郎は、千里から話を聞いてみくが危ないことを知り、ポケベルを使って「声を出すな」と釘を差した上で電話させて状況を伝えるのだが、何しろ相手が人間に化けているため、“黒い服の男女”としか伝えられず、みくが恐怖に震えるという展開になっている。
 黒い服を着ている人間などそこら中にいるから、みくは周囲全部がネジレンジャーに見える。
 耕一郎達が助けに行こうにも、みくからは話ができないため、どこにいるのかも伝えられない。
 また、ネジレンジャー側でも、ネジイエローが最初に声だけで判断して別人を襲ってしまったことで、不意を突かなければ変身電波の二の舞になってしまうと慎重になり、声・体型・動きの全てが一致するまで襲わないことにしたため、みくを怪しいと睨みながらも襲えないでいる。
 一向に声を出さないみくに業を煮やしたネジブラックが、声を出させようと、「ハンカチを落としましたよ」と声を掛けるというのも上手い。
 ほかの4人なら自力で状況を打破できるような気がするため、追われるのがみくでなければ、こんなにハラハラはしなかったわけで、“ただの女の子”というみくのキャラクターが生きた展開だった。
 
 最終的には、みくの電話から聞こえた背後の音が後楽園の観覧車のものだと耕一郎が気付いて、救出に赴いた早川がみくの声の録音されたテープを流してネジレンジャーを引き離し、その隙にみくが変身するのだが、この辺の緊張感はなかなか上手かった。
 現在の感覚からすると分かりにくいが、当時は携帯電話の普及率も低くてケータイメールもなく、ポケベル側から文章を送ることもできなかったのだ。
 もっとも、詳しい人に聞いたところ、みくが公衆電話から、仲間の誰かのポケベルに文章を送ることは可能だったそうで、誰も気付かなかったのは手落ちだったということになる。
 ポケベルに縁のなかった鷹羽は、当時全く気付かなかったわけだが、同じようにハラハラして見ていた人というのも多かったのではないかと思う。

 この話のラストから、12/21放送の43話『負けない!決戦はクリスマスイブ』へと続いてネジレンジャー編は終わり、ジャビウスも死んでしまうのだが、ここまで盛り上げるだけ盛り上げておいて、翌週(12/28)放送の44話『お気楽!健太の年越し騒動』では、総集編としてドタバタが繰り広げられる。
 本作から、クリスマス前に総力戦をして、年末最後の放送では息抜きのおふざけ総集編をやるという悪しき伝統が始まった。
 これは、クリスマス商戦をターゲットとしてロボット総登場の決戦をすると、12/24までに一旦決着する必要があるが、年内の放送はあと1回しかないため、そこに話を入れても正月の放送休止を挟むことになるので、その間延びを避ける意図と思われる。
 理屈は分かるが、鷹羽的にはやめてもらいたい展開だ。
 また、この総集編では本編ラストに挿入歌としてOPの英語版『MEGARANGER "THE CYBERDELIX"』が流れているが、次作『星獣戦隊ギンガマン』では、OPそのものとして英語版が使われている。
 どうして本作ではOPにしなかったのかという疑問が湧くが、これは恐らく曲の長さによるものだろう。
 『メガレンジャー』の英語版は、日本語版のものより若干テンポが遅いのだ。
 そのため、OPの画面に合わせることができず、挿入歌として使うしかなかったのだろう。
 
 伝統と言えば、前作『カーレンジャー』に引き続き、サブタイトルの拘りやメイン5人の名前の隠し文字がある。
 名前については、キャラクター紹介で書いたとおりだ。
 サブタイトルは、『ゆるすな!ねじれた侵略者』『戦慄!ネジレジアの凶悪戦隊』のように、ひらがな4文字分の言葉を最初に入れるというものだ。
 4文字の後に「!」や「?」が入ることも多い。
 次回予告の際にメインキャラ達が登場して喋るのも引き継いでおり、その回の主役や次回の主役になるキャラが出てくるのだが、31話『止めるぜ!ギレールの暴走』での次回予告では、ヒネラーとシボレナ、ビビデビが予告をやるなど、敵方のキャラによる予告も数回入っている。
 個人的には、40話で流れた『キレてる!青の恐怖ネジブルー』分の予告での、ネジブルーの「メガブルー、次回お前は死んじゃうんだ!」という台詞が気に入っている。
 
 また、恒例の主役キャラによるアイキャッチは、やはりその回の主役が映るというものだが、ここに挿入される画は、OPで「100万倍の好奇心」と流れている辺りに挿入されている画像が使われている。

 もう1つ、前作からの伝統として、セクシー系女優の顔出しレギュラー出演があるが、今回はシボレナ役として城麻美氏が出演している。
 番組出演後、ヌードグラビアなどで出ていたようだが、この作品以前にAVに出演していたほか、深夜番組『ギルガメッシュナイト』の司会を務めたりもしていたそうだ。
 この人の演技は、一連のセクシー系の中ではかなり良かった方ではないかと思う。
 
 そして、伝統破りなのがヒネラーで、『カーレンジャー』の原稿にも書いたが、『オーレンジャー』以降の男性レギュラー幹部で着ぐるみでないのは、このヒネラーただ1人となっている。
 ヒネラーのキャラクター性を考えると、着ぐるみでなくて本当に良かったと思う。

 ところで、シリーズ初期の『電子戦隊デンジマン』は、「でんしせんたいでんじまん」となっているため、本作のタイトルの「でんじせんたい」と混同して『電磁戦隊デンジマン』と言い間違うファンも多いらしい。
 当然のことながら、『デンジマン』ファンは「電子戦隊」であることに拘りを持っており、メガレンジャーが似たような要素(マスク頭部にメカがある、戦士は元々民間人、敵は異次元からの侵略者)を持つ後発作品なだけに、混同されると「こっちが本家なのに!」と怒り出すので注意が必要だ。
 一説には、『デンジマン』ファンの前で『電磁戦隊デンジマン』と言うと、ホントのバトルが始まってしまうらしい。

 この当時は、番組関連の商品としてヒーローの普段着が発売されるということはなく、コスプレする人達は、同じような服を探すのに苦労したりしていたのだが、早川が着ていた銀色のジャンパーは、結構有名なブランドのもので、同じ製品が割と簡単に手に入ったそうだ。
 そのため、大きなお友達がコスプレ用に買ったり、普段着用に買ったりしていたらしい。
 この需要が、後にヒーローの普段着を商品展開の一環として販売するという流れに発展する原点になったものと思われる。

 さて、そろそろ話をまとめよう。
 この『メガレンジャー』も『カーレンジャー』同様、好き嫌いが分かれる作品だ。
 ただし、健太達は、決して戦いを舐めているわけではなく、場合によっては自分の命を懸けてでも他者を守ろうという態度であることは何度も描写されている。
 
 作品として、欠点は数多い。
 序盤のお気楽ノリの印象が強すぎて、シリアスが似合わない感もある。
 また、せっかく高校生が主人公なのに、正体不明なことも相まって、事件に絡むゲストキャラとしてクラスメートが使いにくいため、ラストで健太達の友人として使えるキャラが大岩先生を含めても4人と、かなり少なかったという弱点も持つ。
 本来、ラストでメガボイジャーが散った時には、健太達1人ずつに対応した親しいキャラがそれぞれの名前を叫ぶべきなのに、シンタロウ、ジロウ、恵理奈の3人だけで5人の名前を呼んでいるため、健太の落ちこぼれ仲間であるシンタロウが耕一郎と瞬の名前を叫ぶ羽目になってしまってもいる。
 
 その他の欠点として、年間通してのメイン脚本が誰かはっきりしない面が強いことも挙げられる。
 かといって『ダイレンジャー』のようにキャラクターごとにメインライターがいるというわけでもないため、主に武上純希氏が書いているネジレンジャー編でも、小林靖子氏がネジピンクとブルーの死ぬ回を書いていたりして、そのときだけピンクやブルーの性格が変わっている感がある。
 最終回で、いきなり鮫島がネジレ次元に行った理由が変わっていたりするのもかなり「?」な展開だ。
 8話で久保田博士と鮫島の因縁話ネタをふった際には、ネジレ次元の存在を国連が認めず、その存在を実証するためだったし、その後もずっとそう説明されてきた。
 だが、最終回で、いきなり強化スーツの実験で娘を被験者にして死なせたことを非難されたために変わってしまった。
 しかも、スーツの使用目的も、画面上の新聞記事によれば「宇宙開発」となっている。
 一応、世間を騒がせないためにネジレ次元云々を隠して報道したという考え方もできるが、やはりこの変更は、鮫島=ヒネラーの久保田に対する逆恨みという面を強調するためだったと思われる。
 だが、そのためだけに、それまで話題にも上らなかった鮫島の娘(しかもシボレナそっくり)をいきなり登場させられても困る。
 これも、最終回の脚本を荒川氏が書いていることによる弊害だ。
 久保田博士と鮫島の因縁話をずっと描いてきたのは、荒川氏ではなく武上氏なのだ。

 だが、これら欠点を差し引いても、スタッフがかなり真面目なヒーロー物を作ろうとしていたことは窺える。
 ラスト3話で、正体がバレて居場所を奪われる健太達というのは、これまでの作品ではあまり描かれなかった部分だ。
 なにしろ、ヒーローがヒーローであるが故をもって迫害されるのだ。
 かつて、偽物が悪事を働いたためにヒーローが石を投げられるということはままあったが、「お前達がここにいるから俺達が巻き込まれるんだ」という、ある意味真っ当な文句を付けられることはほとんどなかった。
 一般にヒーローが(民間人にとっては)正体不明だからということもあるだろうが、敵に正体が分かっていても、私生活の場で攻撃してきたために深刻な問題が起きたということは滅多にないし、正体を暴くことで、ヒーローを孤立化させようという作戦を取る組織もほとんどない。
 基地の在処が分からないスーパー戦隊系作品においても、ほとんどが“基地の在処がバレる=基地を破壊される”という図式になっている。
 もっとも、ヒーロー側でも、基地の在処がバレたせいで、周辺住民を巻き添えにすることを恐れて立ち退く場合もある。
 『ダイナマン』で、存在がバレた夢野発明センターを閉鎖してダイナステーションに籠もるようになったのはそういう例だ(作劇上の都合でもあるが)。

 ただ、一般生活を送りながら戦士として戦うという二重生活を送るパターンの中でも、『メガレンジャー』は、“高校生”という1人では生活していけない存在を戦士としたため、日常生活を捨てさせるわけにもいかず、日常生活で関わる一般人の数も半端じゃないという独特の弱点を持つヒーローを生み出した。
 『メガレンジャー』では、学校から追い立てられるだけではなく、倒れて動けないギャラクシーメガを付近住民が追い出そうとする(!)という凄い状況を描いているのだ。
 冷静に考えれば、国連主導の組織なのだから、こういう場合むしろ付近住民の方を退去(避難)させるべきだとも思うのだが、それも根本的解決にはならないだろうとも思える。
 ある程度追い詰められた民衆は、ネジレジアが「メガレンジャーを引っ張り出すためには、どこでも襲う」とアナウンスすれば、メガレンジャー排斥論すら出しかねないのだから。
 
 作品としては、全般的に決してリアルではないし、設定にも演出にもところどころ大きな粗があるが、上記のとおり、正体不明の戦士という面と、本当に普通の人が変身するという面を突き詰めようという意図は確かにあり、これはやはり強化服ヒーロー物の1つの頂点と言えるだろう。
 突き詰め方は足りないが、もう少し磨けば、かなり光る作品だったのではないかと思われる。
 本質的には、シャレにならないレベルで民衆やヒーローを追い詰めている、結構凄い作品なのだ。
 対象年齢を考えると、あまり5人を追い詰めて話を重くし過ぎるのもどうかと思うから、これは十分なレベルだろう。
 後は、戦いが終わった後のフォローをもう少し入れていれば、歴史に残る描写になったのではないだろうか。
 これで、もう少し年間通して作品の統一感があれば、『メガレンジャー』はかなりの傑作たりえたのではないかと思われる。
 
 そして、これは、年々手を変え品を変えしているうちに目指す方向性を見失い、混迷を続けていたスーパー戦隊シリーズにとって、今風なキャラクターを使っても、真面目で熱血なヒーローを描けるし、十分ウケる作品になりうるという手応えを与えた。
 これが、次の『星獣戦隊ギンガマン』という“ヒーロー性を前面に押し出した正統派”作品を生み出す原動力となり、後の作品に繋がっていくことになったのだ。

 この作品なくして、現在のスーパー戦隊シリーズはありえない。
 鷹羽は、そう思う。

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